JP2012057141A - 接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る接着剤組成物は、下記(1)又は(2)の少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーと、光重合開始剤と、を含有する。
(1)(メタ)アクリロイル基を2個有する2官能の(メタ)アクリルモノマーであって、2個の(メタ)アクリロイル基間にポリアルキレンオキサイド鎖を有し、かつ、2個の(メタ)アクリロイル基を繋ぐ最短原子数が13以上である。
(2)(メタ)アクリロイル基をn個(nは3以上の整数)有するn官能の(メタ)アクリルモノマーであって、任意の2個の(メタ)アクリロイル基間にポリアルキレンオキサイド鎖を有し、かつ、任意の2個の(メタ)アクリロイル基を繋ぐ最短原子数が23以上である。
【選択図】なし
Description
(1)(メタ)アクリロイル基を2個有する2官能の(メタ)アクリルモノマーであって、2個の(メタ)アクリロイル基間にポリアルキレンオキサイド鎖を有し、かつ、2個の(メタ)アクリロイル基を繋ぐ最短原子数が13以上である。
(2)(メタ)アクリロイル基をn個(nは3以上の整数)有するn官能の(メタ)アクリルモノマーであって、任意の2個の(メタ)アクリロイル基間にポリアルキレンオキサイド鎖を有し、かつ、任意の2個の(メタ)アクリロイル基を繋ぐ最短原子数が23以上である。
この接着剤組成物は、上記の液晶ディスプレイ分野におけるLCDモジュールに保護板を貼り合わせる場合のほか、半導体分野におけるウエハ等の基板を裏面研削する際に使用される接着テープ(特開2005−174963号公報等を参照)等の接着材料に代わる、剥離容易な接着剤組成物としても有用なものである。
本発明に係る接着剤組成物は、特定の(メタ)アクリルモノマーと、光重合開始剤と、を含有するものである。以下、接着剤組成物に含有される各成分について詳細に説明する。
本発明に係る接着剤組成物は、下記の第1の(メタ)アクリルモノマー又は後述する第2の(メタ)アクリルモノマーの少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを含有する。
一般に、単官能の(メタ)アクリルモノマーを用いた場合には、硬化時に線状ポリマーが形成される。このため、例えばセロハンテープを用いて硬化物(硬化膜)を被接着対象から剥離しようとしても、糸曳きが生じ、剥離が困難である。また、通常の3官能以上の(メタ)アクリルモノマーを用いた場合には、硬化時に密なネットワーク構造が形成される。このため、例えばセロハンテープを用いて硬化物を被接着対象から剥離しようとしても、剥離途中で切れてしまい、剥離が困難である。
これに対して第1の(メタ)アクリルモノマーは、2官能であり、かつ、2個の(メタ)アクリロイル基間の距離が長いため、硬化時に緩いネットワーク構造が形成される。これにより、接着剤組成物の硬化物を被接着対象から容易に剥離することが可能となる。
2個の(メタ)アクリロイル基を繋ぐ最短原子数の上限は、特に限定されないが110程度である。この最短原子数は、13〜101であることが好ましく、15〜90であることがより好ましく、20〜70であることがさらに好ましい。なお、最短原子数が60以上の場合は、2個の(メタ)アクリロイル基間に存在する全ての原子における酸素原子の炭素原子に対する割合が50%以下であることが好ましく、35〜45%であることがより好ましい。
R3は単結合又は2価の有機基を示す。この2価の有機基としては、鎖状若しくは環状の脂肪族基、芳香族基、又はこれらの組み合わせが挙げられ、水酸基、エーテル結合、又はウレタン結合を有していてもよい。
Xはそれぞれ独立に炭素数2〜6のアルキレンオキサイド基を示す。このXの炭素数は、繰返し単位毎に異なっていても構わない。
m1,m2はそれぞれ独立に1〜30の整数を示す。なお、m1=m2=1の場合、R3は単結合となる。
上記式(I−1)中、m5は2〜15の整数を示す。
上記式(I−2)中、m6,m7はそれぞれ独立に2〜30の整数を示し、好ましくは2〜20の整数を示す。
上記式(I−3)中、R5,R6はそれぞれ独立に水酸基又はウレタン結合を有していてもよい炭素数1〜5のアルキレン基を示し、R5,R6の少なくともいずれか一方は水酸基又はウレタン結合を有するものであり、m8は2〜15の整数を示す。
上述したように、通常の3官能以上の(メタ)アクリルモノマーを用いた場合には、硬化時に密なネットワーク構造が形成される。このため、例えばセロハンテープを用いて硬化物(硬化膜)を被接着対象から剥離しようとしても、剥離途中で切れてしまい、剥離が困難である。
これに対して第2の(メタ)アクリルモノマーは、任意の2個の(メタ)アクリロイル基間の距離が長いため、硬化時に緩いネットワーク構造が形成される。これにより、接着剤組成物の硬化物を被接着対象から容易に剥離することが可能となる。
ポリアルキレンオキサイド鎖を構成する各アルキレンオキサイド基は、アルキレン基をAとしたとき、−AO−、−OA−のいずれで表されるものであってもよい。その炭素数は、2〜6であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。ポリアルキレンオキサイド鎖には、炭素数の異なるアルキレンオキサイド基が混在していても構わない。任意の2個の(メタ)アクリロイル基間におけるアルキレンオキサイド基の繰返し数は、2〜20であることが好ましく、3〜10であることがより好ましい。
任意の2個の(メタ)アクリロイル基を繋ぐ最短原子数の上限は、特に限定されないが60程度である。この最短原子数は、20〜55であることが好ましく、30〜50であることがより好ましい。
R10,R11,R12はそれぞれ独立に単結合、又は炭素数1〜5のアルキレン基を示す。このR10,R11,R12は、いずれか1つが単結合であり、残り2つがメチレン基であることが好ましい。
m10,m11,m12はそれぞれ独立に2〜10の整数を示す。ただし、任意の2個の(メタ)アクリロイル基を繋ぐ最短原子数は23以上である。
また、第1,第2の(メタ)アクリルモノマーは、硬化物の弾性率が約5×106Pa以下となるように選択することが好ましい。このように硬化物の弾性率が低くなることで硬化物が柔軟になり、リワーク性が良好になる。
また、第1,第2の(メタ)アクリルモノマーは、硬化物が適度な硬度になるように選択することが好ましい。具体的には、2個の(メタ)アクリロイル基間(第2の(メタ)アクリルモノマーの場合は任意の2個の(メタ)アクリロイル基間)に存在する全ての原子における酸素原子の炭素原子に対する割合が60%以下、好ましくは30〜55%、より好ましくは30%以上55%未満である(メタ)アクリルモノマーを選択することが好ましい。また、特に、上記割合が同等の場合には、アクリルモノマーよりもメタクリルモノマーを選択することや、アルキレンオキサイド鎖のほかに置換基として水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーを選択することが好ましい。
また、硬化物に耐水性が要求される場合、第1,第2の(メタ)アクリルモノマーとしては、炭素数が3以上のアルキレンオキシド基を有するものを選択することが好ましい。第1の(メタ)アクリルモノマーについて、アルキレンオキサイド基の炭素数が2である場合は、繰り返し数が2〜4であることが好ましい。
本発明に係る接着剤組成物は、本発明の効果を阻害しない限り、上記第1,第2の(メタ)アクリルモノマー以外の他の重合性モノマーを含有していてもよい。特に、Tgが低い重合性モノマーを含有させることにより、硬化物の弾性率を低くすることができる。
ただし、上記第1,第2の(メタ)アクリルモノマーの含有量は、モノマー全体に対して30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。
上記他の重合性モノマーを含有する場合は、モノマー全体に対して、0.5〜70質量%であることが好ましく、1〜50質量%であることがより好ましく、1〜40質量%であることがさらに好ましい。
これらの重合性モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明に係る接着剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲でセルロース系樹脂を含有していてもよい。
セルロース系樹脂としては、セルロースや、セルロースの水酸基の一部又は全部がアシル化されたアシル化セルロース等が挙げられる。アシル基としては、アセチル基、ブチリル基等が挙げられる。このセルロース系樹脂の中でも、セルロースアセテートブチレート(CAB)が特に好ましい。
本発明に係る接着剤組成物は、溶剤を含有しないことが好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば微量の有機溶剤を含有していてもよい。その場合、有機溶剤の含有量は、接着剤組成物中、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;等が挙げられる。
これらの有機溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明に係る接着剤組成物を用いて被接着対象同士を接着するには、まず、少なくとも一方の被接着対象の貼り合わせ面に、ロールコーター、スピンコーター、スクリーン印刷機等の塗布装置を用いて、塗布膜の膜厚が5〜1000μm、好ましくは10〜500μmとなるように接着剤組成物を塗布する。被接着対象としては、ガラス板、アクリル板、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等が挙げられる。
次いで、被接着対象同士を貼り合わせ、紫外線、可視光レーザー等の活性エネルギー線を照射し、塗布膜を硬化させる。照射量は接着剤組成物の組成によっても異なるが、例えば100〜2000mJ/cm2程度が好ましい。
次いで、被接着対象の貼り合わせ面に残っている接着剤組成物の硬化物(硬化膜)を剥離する。例えば、硬化物の端にセロハンテープを貼り、これを剥がすことで、硬化物を容易に剥離することが可能である。また、室温(23℃)〜100℃の水に10秒間〜60分間浸漬することによっても、硬化物を剥離することが可能である。
なお、これらの重合性モノマーのうち、PE−90,200,250、PP−1000,500,800、50PEP−300、70PEP−350Bは日油社製であり、HO−MPPは共栄社化学社製であり、M−5700は東亜合成社製であり、残りは新中村化学工業社製である。
・光重合開始剤
IR−907:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバスペシャリティケミカルズ社製、「IRGACURE 907」)
IR−184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティケミカルズ社製、「IRGACURE 184」)
・セルロース系樹脂
CAB1:セルロースアセテートブチレート(イーストマンケミカル社製、「CAB−551−0.2」)
CAB2:セルロースアセテートブチレート(イーストマンケミカル社製、「CAB−381−0.5」)
CAB3:セルロースアセテートブチレート(イーストマンケミカル社製、「CAB−381−2」)
下記表1〜6に記載された成分を混合して、接着剤組成物を調製した。各成分の[]内の数字は質量部を表す。重合性モノマーについては、2個の(メタ)アクリロイル基を繋ぐ最短原子数(2官能の場合)、又は任意の2個の(メタ)アクリロイル基を繋ぐ最短原子数(3官能以上の場合)についても表中に示した。
なお、実施例18の接着剤組成物のみセルロース系樹脂を含有しており、その粘度は1100cPであった。
実施例1〜22、比較例1〜28の接着剤組成物を、スクリーン印刷機を用いてガラス基板上に塗布し、膜厚90μmの塗布膜を形成した。次いで、塗布膜上にさらにガラス基板を積層し、その上から500〜2000mJ/cm2の照射量で紫外線を照射し、塗布膜を硬化させた。いずれの組成物も、ガラス基板同士を接着させることができた。その後、一方のガラス基板を剥がした。そして、ガラス基板上に残った接着剤組成物の硬化膜にセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り、それを剥がしたときに、硬化膜の全体が剥離されたものをリワーク性が良好、糸曳きが生じたり、硬化膜が途中で切れたりしたものをリワーク性が不良、として評価した。また、セロハンテープによる剥離以前に、一方のガラス基板を剥がせなかったものもリワーク性が不良として評価した。結果を表1〜6に示す。
実施例1〜22、比較例1〜28の接着剤組成物を、スクリーン印刷機を用いてガラス基板上に塗布し、膜厚90μmの塗布膜を形成した。次いで、塗布膜上にシリコーン系の離型PETフィルム(薄膜)を積層し、離型PETフィルム側から500〜2000mJ/cm2の照射量で紫外線を照射し、塗布膜を硬化させた。そして、離型PETフィルムにうねりが生じたものを硬化収縮あり、うねりが生じなかったものを硬化収縮なし、として評価した。結果を表1〜6に示す。
触手により、硬化膜の硬さを下記の3段階で評価した(1が特に好ましい)。結果を表1〜6に示す。
0:硬い
1:柔らかい、しなやか
2:柔らか過ぎ
上記[硬化収縮性の評価]と同様にして、ガラス基板とシリコーン系の離型PETフィルム(厚膜)とを貼り合わせ、離型PETフィルム側から紫外線を照射し、塗布膜を硬化させた。その後、離型PETフィルムを剥離した。なお、本評価では離型PETフィルムを使用しているため、上記[リワーク性の評価]でガラス基板を剥がせなかった接着剤組成物を用いた場合であっても、離型PETフィルムを剥離することができる。そして、カッターナイフを用いて、ガラス基板上に残った硬化膜に1mm×1mmのクロスハッチ(升目)を100個形成し、その上にセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り、それを剥がした。そして、ガラス基板から剥がれた升目の数が多い方から0点〜10点で評価した。結果を表1〜6に示す。なお、クロスハッチ試験の点数の低い方が、リワーク性の観点から好ましい。
これに対して、(メタ)アクリロイル基間の距離が短い2官能や3官能の(メタ)アクリルモノマーや、単官能の(メタ)アクリルモノマーのみを重合性モノマーとして含有する比較例1〜28の接着剤組成物を硬化させた硬化物は、いずれも剥離することが困難であった。
下記表7に記載された成分を混合して、接着剤組成物を調製した。各成分の[]内の数字は質量部を表す。重合性モノマーについては、2個の(メタ)アクリロイル基を繋ぐ最短原子数についても表中に示した。なお、上記[リワーク性の評価]と同様にしてリワーク性の評価を行ったが、実施例23〜33のいずれの接着剤組成物もリワーク性が良好であることが確認できた。
実施例23〜33の接着剤組成物を、スクリーン印刷機を用いてガラス基板上に塗布し、膜厚800μmの塗布膜を形成した。次いで、塗布膜上にさらにガラス基板を積層し、その上から、500〜2000mJ/cm2の照射量で紫外線を照射し、塗布膜を硬化させた。その後、一方のガラス基板を剥がした。そして、TMA(熱機械分析装置、セイコーインスツル社製)を用いて、0.01Hzの周期で50mN(±10mN)の加重をかけた条件で、他方のガラス基板上に残った接着剤組成物の硬化膜の弾性率を測定した。結果を表7に示す。
実施例23〜29の接着剤組成物を、スクリーン印刷機を用いてガラス基板上に塗布し、膜厚180μmの塗布膜を形成した。次いで、塗布膜上にさらにガラス基板を積層し、その上から500〜2000mJ/cm2の照射量で紫外線を照射し、塗布膜を硬化させた。その後、一方のガラス基板を剥がした。そして、他方のガラス基板上に残った接着剤組成物の硬化膜を、ガラス基板ごと、0.02質量%のKOHを含有する水溶液中に10分間浸漬し、膜厚の変化を測定した。そして、いずれか一方でも水溶液への浸漬前後で、膜厚の変化が5%未満であったものを○、いずれか一方でも5%以上変化したものを△、として評価した。結果を表7に示す。
また、表7から分かるように、実施例23〜29の接着剤組成物を硬化させた硬化物はいずれも耐水性が良好であったが、特に炭素数が3以上のアルキレンオキサイド基を有する実施例23〜24,28,29の接着剤組成物や、アルキレンオキサイド基の炭素数が2であり、かつ繰返し数が4である実施例25の接着剤組成物は耐水性に優れていた。
下記表8に記載された成分を混合して、接着剤組成物を調製した。各成分の[]内の数字は質量部を表す。重合性モノマーについては、2個の(メタ)アクリロイル基を繋ぐ最短原子数についても表中に示した。
実施例34〜37の接着剤組成物を、スクリーン印刷機を用いてガラス基板上に塗布し、膜厚90μmの塗布膜を形成した。次いで、塗布膜上にさらにガラス基板を積層し、その上から500〜2000mJ/cm2の照射量で紫外線を照射し、塗布膜を硬化させた。その後、一方のガラス基板を剥がした。そして、他方のガラス基板上に残った接着剤組成物の硬化膜を、ガラス基板ごと、23℃、50℃、80℃の水中に浸漬し、硬化膜が剥離するまでの時間(秒)を測定した。結果を表8に示す。
下記表9に記載された成分を混合して、接着剤組成物を調製した。各成分の[]内の数字は質量部を表す。重合性モノマーについては、2個の(メタ)アクリロイル基を繋ぐ最短原子数についても表中に示した。
そして、実施例38〜40、比較例29の接着剤組成物を用いて、上記と同様に、リワーク性の評価、硬化収縮性の評価、硬さの評価、及びクロスハッチ試験を行った。結果を表9に示す。
これに対して、単官能の(メタ)アクリルモノマーのみを重合性モノマーとして含有する比較例29の接着剤組成物を硬化させた硬化物は、剥離することが困難であった。
Claims (5)
- 下記(1)又は(2)の少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーと、光重合開始剤と、を含有する接着剤組成物。
(1)(メタ)アクリロイル基を2個有する2官能の(メタ)アクリルモノマーであって、2個の(メタ)アクリロイル基間にポリアルキレンオキサイド鎖を有し、かつ、2個の(メタ)アクリロイル基を繋ぐ最短原子数が13以上である。
(2)(メタ)アクリロイル基をn個(nは3以上の整数)有するn官能の(メタ)アクリルモノマーであって、任意の2個の(メタ)アクリロイル基間にポリアルキレンオキサイド鎖を有し、かつ、任意の2個の(メタ)アクリロイル基を繋ぐ最短原子数が23以上である。 - 前記(1)又は(2)の(メタ)アクリルモノマーの含有量が、モノマー全体に対して30質量%以上である請求項1記載の接着剤組成物。
- さらにセルロース系樹脂を含有する請求項1から4のいずれか1項記載の接着剤組成物。
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