JP2016103015A - タッチパネル絶縁膜・保護膜形成用の感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた硬化膜及びタッチパネル - Google Patents

タッチパネル絶縁膜・保護膜形成用の感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた硬化膜及びタッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】透明性、耐光性、耐候性、耐熱性、表面硬度、密着性、耐薬品性、信頼性等に優れた感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】(i)所定の重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂、(ii)少なくとも1個の重合性二重結合を有する重合性モノマー、(iii)表面処理剤で表面処理されて、且つ平均粒子径が10〜300nmのシリカゾル、(iv)光重合開始剤、及び(v)シランカップリング剤を必須の成分として含有するタッチパネル絶縁膜・保護膜形成用の感光性樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、特定のカップリング剤で処理されたシリカゾルを必須成分とし、得られた硬化膜が光学特性、硬度、密着性、耐光性、耐薬品性、信頼性等に優れて、タッチパネルの絶縁膜や保護膜を形成するのに適した感光性樹脂組成物に関する。
カラーフィルター用保護膜、ハードコート材、有機デバイス用封止材等の表面保護材料および層間絶縁材料には、透明性、耐光性、耐候性、耐熱性、平坦性、表面硬度、密着性、耐薬品性等が求められる。また、タッチパネルの需要拡大にみられるように、フラットパネルディスプレイの需要が続いており、これらの分野においても表面保護材料および層間絶縁材料の要求特性は高まっている。
図1には、一例として、互いに直交する方向に延びるX電極とY電極とを同一面上に形成したタッチパネルの部分断面図を示す。この形態のタッチパネルでは、裏面側にシールド層8を有してガラスやアクリル樹脂等からなる透明な基板1の上に、ITOやZnO等の透光性を有する材料からなるX電極2とY電極3とが配置されており、これらの電極を平坦化膜4が覆い、接着層5を介して保護基板6が設けられている。ここで、X電極2及びY電極3は、それぞれが複数の島状電極と、同極の島状電極同士を接続するブリッジ電極とを有しており、互いのブリッジ電極を立体的に交差させて、この交差部分に絶縁膜7を形成することで、X極とY極とが電気的に接触することなく配置される(図1では、X側の島状電極2aとブリッジ電極2b、及びY側のブリッジ電極3bを示している)。さらに、X極、Y極の両電極層を形成後に、電極層を形成した部分と形成していない部分により発生する段差をなくすために平坦化膜4を形成し、保護基板6を貼り付けてタッチパネルとなる。なお、このような平坦化膜4は、配線(電極)がある層と保護基板6との間(接着層5を介して)を平坦にするものであり、上記のような金属配線層の間の絶縁を目的にする絶縁膜7と共に、透明で光加工が必要となる膜であって、タッチパネルにおける保護膜の一例である。
上記の例をはじめ、タッチパネルの構造は薄型化、軽量化の傾向にあり、なかでも、電極間を埋める絶縁膜には、透明性、基板への密着性、平坦性、表面硬度、耐光性、耐候性、耐熱性、信頼性といった諸特性のほか、タッチパネル製造プロセスにおける要求特性を満足する必要性がある。すなわち、電極間に隙間なく、かつ正確に配するためにフォトリソグラフィによって絶縁膜を形成しようとすれば、絶縁膜を形成する材料(組成物)には現像性が求められる。また、絶縁膜上にITOを蒸着し、部分的にエッチングして電極を形成する製造プロセスを経る場合には、エッチング工程で使用される薬剤に対する耐薬品性(耐アルカリ性、耐酸性)を備えていなければならない。
ここで、シリカ粒子や無機フィラー等の無機化合物を含有した樹脂硬化物は、フレキシブル回路基板用保護材料、層間絶縁膜、カラーフィルター用保護膜などに広く用いられている。例えば、特開2009-217037号公報には、回路基板用保護材料として使用される感光性組成物が記載されており、約30μmの細線形成能や高い冷熱衝撃耐性を具備できるとしている。しかしながら、この組成物に含有されるシリカ粒子の粒径が0.5μmと比較的に大きいことから、例えば、カラーフィルター用保護膜で高硬度要求が強い場合等のように、高透明かつ高硬度のコーティング材用途を想定してシリカ粒子を高濃度に含有させた場合には、解像度や透明性の低下が懸念される。
また、特開2010-32916号公報には、ナノシリカ粒子を含んだ光学フィルム用の耐擦傷性層材料として使用される感光性組成物が記載されており、白化がなく、耐擦傷性に優れた防眩フィルムが得られるとしている。ところが、このフィルムを得るのに用いられる硬化性樹脂は特にアルカリ現像性を有しておらず、アルカリ現像性を利用した光加工プロセスを使用する用途には適用することができない。
また、特開2002-179993号公報には、シリカ粒子を含んだ樹脂組成物の熱硬化性カラーフィルター用保護材料としての応用が例示されており、カラーフィルター上の異物による膜厚分布を低減できることが開示されている。しかしながら、この技術においては樹脂組成物に使用する樹脂種によっても膜厚の不均一を是正する効果を図っており、シリカ粒子が直接与える効果は限られている。
一方、特開2010-27033号公報には、無機化合物を含有しないタッチパネルの絶縁膜用感光性樹脂組成物が開示されている。この感光性樹脂組成物によれば、透明性及びガラス基板や透明導電膜との密着性、耐擦傷性に優れていることが記載されている。しかしながら、現像性、耐薬品性、電気的信頼性(耐マイグレーション性)及び高温高湿度下での密着性について言及されていない。
特開2009-217037号公報 特開2010-32916号公報 特開2002-179993号公報 特開2010-27033号公報
そこで、本発明者らは、上述のような、従来のシリカ粒子や無機フィラー等の無機化合物を含有する感光性樹脂組成物における課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の表面処理剤で処理したシリカゾルを用いることにより、シリカゾルの表面処理剤の種類または使用量により両立することが難しい特性である、現像性と絶縁膜としての電気的信頼性とを両立し、尚且つタッチパネル用絶縁膜として要求される透明性、耐光性、耐候性、耐熱性、表面硬度、密着性、耐薬品性、及び信頼性のレベルをクリアすることができる硬化膜を得ることができ、加えて、所定の重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂を用いることで、更に耐光性を向上させることができ、タッチパネル絶縁膜や保護膜を形成するのに好適であることを見出し、本発明を完成させた。
従って、本発明の目的は、アルカリ現像性を維持したまま透明性、耐光性、耐候性、耐熱性、表面硬度、密着性、耐薬品性、信頼性等に優れて、タッチパネル絶縁膜・保護膜を形成するのに適した感光性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、光や熱による劣化、経時変色、電気的信頼性を主とする信頼性等に優れた硬化膜を提供し、さらに、この硬化膜を絶縁膜及び/又は保護膜として備えたタッチパネルを提供することにある。
すなわち、本発明は、(i)少なくとも一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物と一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸化合物との共重合体中のカルボキシル基の一部に、一般式(III)で表されるエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させて得られる重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂、
Figure 2016103015
(但し、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、内部にエーテル性酸素原子、又はウレタン結合を含んでいてもよい。)
Figure 2016103015
(但し、R3は水素原子又はメチル基を示す。)
Figure 2016103015
(但し、R4は水素原子又はメチル基を示す。R5は炭素数2〜10の2価の炭化水素基を示す。pは0または1の数を表す。)
(ii)少なくとも1個の重合性二重結合を有する重合性モノマー、
(iii)一般式(IV)で表される表面処理剤で表面処理され、且つ平均粒子径が10〜300nmのシリカゾル、
(iv)光重合開始剤、及び
(v)シランカップリング剤、
を必須の成分として含有するタッチパネル絶縁膜・保護膜形成用の感光性樹脂組成物であり、固形分中における(i)〜(v)の必須成分の含有量が、(i)重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂10〜60質量%、(iii)シリカゾル10〜50質量%、(v)シランカップリング剤0.1〜20質量%であると共に、(ii)重合性モノマーは(i)/(ii)(質量比)=20/80〜85/15の範囲を満たし、(iv)光重合開始剤は[(iv)/〔(i)+(ii)〕](質量比)=0.005〜0.2の範囲を満たすことを特徴とするタッチパネル絶縁膜・保護膜形成用感光性樹脂組成物である。
Figure 2016103015
(但し、R6は分子内にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり、かつ不飽和結合又はエポキシ基を有する反応性基を含む、R7はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を示し、R8はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、qは1〜3である)
また、本発明は、上記感光性樹脂組成物を硬化させた硬化膜であり、さらに、当該硬化膜を絶縁膜及び/又は保護膜として有するタッチパネルである。
本発明の感光性樹脂組成物は、特定の表面処理剤により表面を処理したシリカゾルを含むため、従来、電子材料分野などで使用されていた樹脂組成物に比べて現像性を維持したまま透明性、耐光性、耐候性、耐熱性、表面硬度、密着性、電気的信頼性、耐薬品性等に優れた硬化物を得ることができる。また、本発明では、感光性樹脂組成物中の特定の表面処理剤により表面を処理したシリカゾルの含有量を増やしても現像性が損なわれない。そのため、本発明の感光性樹脂組成物は、タッチパネル絶縁膜や保護膜を形成するのに極めて有用である。
図1は、タッチパネルの一例を示す部分断面図である。
以下、本発明の感光性樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、下記一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物と、下記一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸化合物との共重合中のカルボキシル基の一部に、下記一般式(III)で表されるエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させて得られる重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂(i)を主成分として含有する樹脂組成物である。本発明の感光性樹脂組成物に主成分として含有する重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂(i)は、後述するように、(メタ)アクリル酸化合物に由来するカルボキシル基を有するためにアルカリ可溶性を有し、かつエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する重合性二重結合を有するためにラジカル重合性を有する。
Figure 2016103015
(但し、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、内部にエーテル性酸素原子、又はウレタン結合を含んでいてもよい。)
Figure 2016103015
(但し、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
Figure 2016103015
(但し、Rは水素原子又はメチル基を示す。Rは炭素数2〜10の2価の炭化水素基を示す。pは0または1の数を表す。)
先ず、本発明の重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂(i)は、一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物と、一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸化合物とを共重合させて得られる、下記一般式(VIII)で表される多価カルボン酸化合物から誘導される。この多価カルボン酸は、一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物に由来する構成成分と、一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸化合物に由来する構成成分とが、基本的にランダムに結合した共重合体である。共重合させる方法としては、公知の共重合方法を採用することができる。一般式(VIII)で表される多価カルボン酸化合物における、一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物の構成単位kと一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸化合物の構成単位n(k、nは任意の整数を示す)が、後述する一般式(III)で表されるエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させることを考慮して、kとnの総和を100とした場合のkの割合は20〜70であることが好ましい。
Figure 2016103015
(式中、R1は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。R2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基を示し、内部にエーテル性酸素原子、又はウレタン結合を含んでいてもよい。R3は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。k、nは任意の整数を示す。)
一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物におけるR1は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。また、R2は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、内部にエーテル性酸素原子、又はウレタン結合を含んでいてもよい。これらの炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、エイコシル基等の直鎖状炭化水素基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデシルメチル基、デカヒドロナフチル基、下記一般式(IX)で表される置換基等の環状脂肪族炭化水素基、メトキシエチル基、2−(メトキシエトキシ)エチル基等の脂肪族エーテル類、2−(エトキシカルボニルアミノ)エチル基等の脂肪族ウレタン類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、本発明においては、不飽和結合や芳香族の構造を含まないことが好ましいため、一般式(I)におけるR2において、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、又はトリシクロデシルメチル基であるのが良い。この一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物は、2種以上用いることもできる。また、一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸化合物におけるRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、1種または2種用いることができる。
Figure 2016103015
(但し、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
次に、一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物と一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸化合物とを共重合した一般式(VIII)で表される多価カルボン酸化合物と、一般式(III)で表されるエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応による、重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂(i)の製造方法を説明する。
一般式(VIII)で表される多価カルボン酸化合物中のカルボキシル基の一部に、一般式(III)で表されるエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させて、下記一般式(X)で表される重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂(i)を得るようにする。下記一般式(X)において、一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物に由来する構成成分、一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸化合物に由来する構成成分、及び、一般式(II)のカルボキシル基に一般式(III)で表されるエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物が付加した構成成分の3種の構成成分の結合順序は特に規則性はなく、3種の構成成分が基本的にランダムに結合した共重合体である。
Figure 2016103015
(但し、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、内部にエーテル性酸素原子、又はウレタン結合を含んでいてもよい。R3、R4は水素原子又はメチル基を示す。Rは炭素数2〜10の2価の炭化水素基を示す。pは0または1の数を表す。k、l、mは任意の整数を示す。)
一般式(III)で表されるエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物において、Rは炭素数2〜10の2価の炭化水素基を示す。これらの炭化水素基としては、例えば、エチレン基、1,2-プロピレン基、1,4-ブチレン基、1,6-ヘキサメチレン基等が挙げられるが、好ましくはエチレン基、1,2-プロピレン基、又は1,4-ブチレン基であるのが良い。pは0または1の数を表す。
一般式(VIII)で表される多価カルボン酸化合物中のカルボキシル基の一部に、一般式(III)で表されるエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させる際に使用する溶媒、触媒等の反応条件に関しては特に制限されないが、反応温度より高い沸点を有する溶媒を反応溶媒として用いるのがよく、このような溶媒としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒や、ジグライム、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、酢酸ブチル等の高沸点のエーテル系若しくはエステル系の溶媒や、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒等であるのがよい。また、使用する触媒としては、例えばテトラエチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等のアンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン類等の公知のものを使用することができる。これらについては特開平9-325494号公報に詳細に記載されている。
一般式(VIII)で表される多価カルボン酸化合物と一般式(III)で表されるエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させて、一般式(X)で表される重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂(i)を製造する際の反応温度としては、20〜140℃の範囲が好ましく、より好ましくは40〜130℃である。一般式(X)で表される重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂(i)を製造する際の一般式(III)で表されるエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物と一般式(VIII)で表される多価カルボン酸化合物の仕込み比は、前記一般式(X)で表される重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂(i)の酸価及び硬化性を調整する目的で、任意に変更できる。この際、当該多価カルボン酸化合物中のカルボキシル基に対する一般式(III)で表されるエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物中のエポキシ基の仕込み比は、10〜50モル%が好ましい。
また、一般式(X)で表される重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂(i)中の全構成単位の総和を100とした場合の各構成単位の割合は、酸価及び硬化性を調整する目的で、任意に変更できるが、好ましくはそれぞれ、一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物の構成単位kが10〜80、一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸化合物の構成単位lが10〜50、一般式(II)のカルボキシル基に一般式(III)で表されるエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物が付加した構成単位mが10〜40である。kの割合が上記範囲より多くなると、重合性二重結合の含有量が低下して硬化物の密着性や硬度が低下するといった問題が生じるおそれがある。また、lの割合が上記範囲より多くなると、硬化物の吸水率が高くなり、更には有機溶剤への溶解性が低下するといった問題が生じる。また、mの割合が上記範囲より多くなると、硬化時の体積収縮が大きくなり、基板との密着性が低下したり、表面の平坦性が悪化するといった問題が生じる。更には、一般式(X)で表される重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂(i)の重量平均分子量(Mw)について、好適には5,000〜200,000、より好適には10,000〜200,000、更に好適には10,000〜100,000、更により好適には10,000〜50,000となるようにするのが好ましい。重量平均分子量(Mw)が前記の範囲より小さい場合は、密着性が低下するおそれがある。また、重量平均分子量(Mw)が前記範囲より大きい場合は、硬化性の低下が懸念される。また、(i)成分の酸価は10〜120mgKOH/gであることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物の固形分中における上記一般式(X)の重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂(i)の含有量は10〜60質量%であるのが良く、20〜50質量%が好ましい。固形分中における(i)成分の含有量が少ないと硬化物の強度が低下する。反対に多過ぎると、本発明の感光性樹脂組成物中における、(iii)成分のシリカゾルの割合が減少し、シリカゾルによる表面硬度向上、線膨張率抑制による密着性向上等の効果が発現しない。
本発明において、感光性樹脂組成物としての特徴を生かすためには、下記(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び(v)を必須の成分として含有する。すなわち、(i)一般式(X)で表される重合性二重結合を有するアルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂、(ii)少なくとも1個の重合性二重結合を有する重合性モノマー、(iii)下記一般式(IV)で表される表面処理剤で表面処理された平均粒子径が10〜300nmのシリカゾル、(iv)光重合開始剤、及び(v)シランカップリング剤を必須の成分として含む。
Figure 2016103015
(但し、Rは分子内にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり、かつ不飽和二重結合又はエポキシ基を有する反応性基を含む、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、qは1〜3である)
このうち、(ii)成分である少なくとも1個の重合性二重結合を有する重合性モノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマーや、ペンタエリスリトールトリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの付加物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの付加物等のウレタン(メタ)アクリレート類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール変性ビスフェノールAジアクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類を例示することができ、その1種又は2種以上を使用することができる。
また(ii)成分としては、分子内にカルボキシル基を有する少なくとも1個の重合性二重結合を有する重合性モノマーを用いることもできる。ただし、アルカリ現像時の現像マージンが狭くなる懸念があるので、アルカリ可溶性樹脂との組合せに十分に留意する必要性がある。分子内にカルボキシル基を有する少なくとも1個の重合性二重結合を有する重合性モノマーとしては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとコハク酸とのモノエステル、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとフタル酸とのモノエステル、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとヘキサヒドロフタル酸とのモノエステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとコハク酸とのモノエステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとフタル酸とのモノエステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとヘキサヒドロフタル酸とのモノエステルが挙げられ、市販品としては、例えばARONIX〔東亞合成(株)製〕のM−510やM−520等が挙げられる。これらは、その1種又は2種以上を使用することができ、他の少なくとも1個の重合性二重結合を有する重合性モノマーと併用することができる。
(i)成分と、これらの(ii)成分との配合質量割合[(i)/(ii)]については、20/80〜85/15であるのが良く、好ましくは40/60〜80/20であるのが良い。(i)の重合性二重結合を有するアルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂の配合割合が上記範囲より少ないと、硬化後の硬化物が脆くなるといった問題が生じる。反対に、(i)の重合性二重結合を有するアルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂の配合割合が上記範囲より多くなると、樹脂成分に占める硬化性官能基の割合が少なく架橋構造の形成が不十分になるといった問題が生じるおそれがある。
また、成分(iii)のシリカゾルの平均粒子径は、動的光散乱法により得られるキュムラント平均粒子径であり、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させて得た硬化物の透明性を保持する目的から10〜300nmが好ましい。より好ましくは30〜200nmである。
また、本発明の感光性樹脂組成物の固形分中におけるシリカゾルの含有量は10〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%である。固形分中におけるシリカゾルの含有量が少ないと、シリカゾルによる表面硬度向上等の効果が発現しない。反対に多過ぎると、本発明の感光性樹脂組成物中における、(i)成分及び(ii)成分の割合が減少し、硬化物の強度が低下するし、耐マイグレーション性が悪くなって電気的信頼性が低下する可能性がある。
ここで、成分(iii)のシリカゾルの表面処理に用いる一般式(IV)で表される表面処理剤においてRは分子内にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり、かつ不飽和結合又はエポキシ基を有する反応性基を含む。これらの炭化水素基としては、例えば、3-グリシドキシプロピル基、ビニル基、アリル基、スチリル基、3-メタクリロイルオキシプロピル基、3-アクリロイルオキシプロピル、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基等を含む基が挙げられる。このうち、Rがビニル基、3-メタクリロイルオキシプロピル基が好ましく、ビニル基が特に好ましい。また、Rが炭素数10より大きい炭化水素基の場合は現像時に残渣が残りやすい傾向がある。一般式(IV)におけるRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。これらの炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられるが、好ましくはメチル基又はエチル基である。一般式(IV)におけるqは1〜3である。
また、一般式(IV)で表される表面処理剤によるシリカゾル表面のシラノール基の処理方法は、公知の方法を使用することができ、例えば特公平3-29823号公報に記載されているように、シリカゾルに表面処理剤、酸触媒、水を加えて加熱撹拌することで得ることができる。一般式(IV)で表される表面処理剤によるシリカゾル表面のシラノール基の処理の比率は、用いるシリカゾルと表面処理剤の仕込み比等によって変わり、シリカゾルに使用する溶剤種、本発明の感光性樹脂組成物中の各成分に合わせて任意に変更できる。
また、成分(iv)の光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p'-ビスジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)ビイミダゾール、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2,4,5-トリアリールビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物類、2-トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル-5-(p-シアノスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチルジアゾール化合物類、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-メチル−4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-フェニル-4、6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4,5-トリメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メチルチオスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等のハロメチル−s−トリアジン系化合物類、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾアート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-アセタート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1-オンオキシム-O-アセタート、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、メタノン,(9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル)[4-(2-メトキシ-1-メチルエトキシ)-2-メチルフェニル]-,O-アセチルオキシム、メタノン,(2-メチルフェニル)(7-ニトロ-9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル)-,アセチルオキシム、エタノン,1-[7-(2-メチルベンゾイル)-9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-(-9,9-ジブチル-7-ニトロ-9H-フルオレン-2-イル)-,1-O-アセチルオキシム等のO-アシルオキシム系化合物類、ベンジルジメチルケタール、チオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、2,4-ジエチルチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2-イソプロピルチオキサンソン等のイオウ化合物、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類、アゾビスイソブチルニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物、トリエタノールアミン、トリエチルアミン等の第3級アミンなどが挙げられる。これらの光重合開始剤は、その1種又は2種以上を使用することができる。
また、本発明は、成分(iv)の光重合開始剤に加えて、更に、(vii)熱重合開始剤を併用することができる。成分(vii)の熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン-1-カルボニトリル、アゾジベンゾイル、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、2,2’-アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性触媒及び過酸化物あるいは過硫酸塩と還元剤の組み合わせによるレドックス触媒等、通常のラジカル重合に使用できるものはいずれも使用することができる。成分(vii)の熱重合開始剤は、本発明の感光性樹脂組成物の保存安定性、硬化物の形成条件や硬化物の透明性を考慮して選定できる。
(iv)成分の光重合開始剤の使用量は、重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂〔(i)成分〕と、少なくとも1個の重合性二重結合を有する重合性モノマー〔(ii)成分〕との合計に対する成分(iv)の質量割合[(iv)/〔(i)+(ii)〕]が0.005〜0.2であるのが良く、好ましくは0.01〜0.1であるのが良い。光重合開始剤の配合割合が少ないと、重合の速度が遅くなって硬化性が低下する。反対に多過ぎると、感度が強すぎてパターン線幅がパターンマスクに対して太った状態になり、マスクに対して忠実な線幅が再現できない、又は、パターンエッジががたつきシャープにならないといった問題が生じる恐れがある。
また、(v)成分のシランカップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ類、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン等のビニル類、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N- (2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ類、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等のウレイド類、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート類、アルコキシオリゴマー等のシランカップリング剤を挙げることができる。
(v)成分のシランカップリング剤の使用量は、本発明の感光性樹脂組成物の固形分中において0.1〜20質量%であるのが良く、好ましくは0.5〜10質量%であるのが良い。
ここで、本発明の光硬化性樹脂組成物の別の実施形態として、(i)の重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂の一部として、(vi)一般式(V)で表される重合性二重結合含有アルカリ可溶性樹脂を用いることができる。この樹脂を(i)と併用することにより、感光性樹脂組成物をフォトリソグラフィで使用する時の現像性の制御や、当該組成物を硬化物としたときの耐熱性、耐光性等の物性の設計に関して、自由度を広げることが可能になる。例えば、シリカゾルを均一に分散させるために、構造、分子量、酸価等の1つ以上が異なる不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂を併用することが有効な場合もあり、これにより透明性を確保したり、好ましくないヘーズ(曇り度)が生じるのを防止したりすることができる。なお、このように(i)成分の一部として当該(vi)成分を用いる場合、前述した(i)〜(v)成分に関する含有量及び質量比については、いずれも、それらの記載における「(i)」を『(i)+(vi)』として読み替えるものとする。
Figure 2016103015
(但し、R10は水素原子またはメチル基を示す。Xは単結合又は内部にヘテロ元素を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を示し、Yは4価のカルボン酸残基を示し、Zは水素原子又は下記一般式(VI)で表される置換基を示し、Gは水素原子または下記一般式(VII)で表される置換基を示す。rは1〜20の平均値を示す。)
Figure 2016103015
(但し、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12は炭素数2〜10の2価の炭化水素基を示し、Lは2価又は3価のカルボン酸残基を示す。uは0又は1を表す。s及びtは、それぞれ0、1又は2であり、s+tは1又は2である。)
Figure 2016103015
(但し、R13は水素原子又はメチル基を示し、R14は炭素数2〜10の2価の炭化水素基を示す。vは0又は1を表す。)
一般式(V)のアルカリ可溶性樹脂の製造方法について以下に詳細に示す。
先ず、一般式(XI)で表される1分子内に2個のエポキシシクロアルキル基を有するエポキシ化合物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、好適には(メタ)アクリル酸を反応させてエポキシ(メタ)アクリレート化合物を得る。不飽和基含有モノカルボン酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸以外に、アクリル酸やメタクリル酸に無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等の酸一無水物を反応させた化合物などが挙げられる。
Figure 2016103015
〔但し、Xは一般式(V)に示したものと同義である。〕
このようなエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応は、公知の方法を使用することができ、例えば2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物1モルに対し、約2モルの(メタ)アクリル酸を使用して行う。この反応で得られる反応物は、例えば特開平4−355450号公報等に記載されている。この反応で得られる反応物は重合性不飽和基を含有するジオール化合物であり、下記一般式(XII)で表されるエポキシ(メタ)アクリレート化合物である。
Figure 2016103015
〔但し、R10、Xは一般式(V)に示したものと同義である。〕
一般式(XI)で表される分子内に2個のエポキシシクロアルキル基を有するエポキシ化合物のXは、単結合又は内部にヘテロ元素を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基である。内部にヘテロ元素を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基としては、2価の炭化水素基、炭化水素基の末端の一つまたは二つにカルボキシル基を有する2価の基等が挙げられ、ここでいう炭化水素基は内部にエーテル結合性の酸素原子又はエステル結合を有していてもよい。このような2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピリデン基、sec-ブチレン基、メチルイソブチレン基、へキシレン基、デシレン基、ドデシレン基等の直鎖炭化水素基が挙げられる。
一般式(XI)で表される分子内に2個のエポキシシクロアルキル基を有するエポキシ化合物の具体例としては、下記一般式(XIII)〜(XIX)で表されるエポキシ化合物が挙げられ、同時に2種類以上を併用してもよい。好ましくは入手の容易さ及び硬化物の物性から一般式(XVI)又は(XVII)で表されるエポキシ化合物であり、gが1であり、hが5かつiが1であることが好ましい。
Figure 2016103015
(但し、gは1〜20の整数を表し、hは2〜20の整数を表し、iは1〜10の整数を表し、jは1〜20の整数を表し、dは1〜18の整数を表す。)
上記一般式(XII)で表されるようなエポキシ(メタ)アクリレート化合物の合成、及びそれに続く多価カルボン酸又はその無水物の付加反応、さらにカルボキシル基との反応性を有する重合性不飽和基を有する単官能エポキシ化合物等を反応させて、一般式(V)のアルカリ可溶性樹脂の製造においては、通常溶剤中で必要に応じて触媒を用いて反応を行う。ここで、使用する溶媒、触媒等の反応条件に関しては特に制限されないが、例えば、水酸基を持たず、反応温度より高い沸点を有する溶媒を反応溶媒の主成分として用いるのがよく、このような溶媒としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒や、ジグライム、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の高沸点のエーテル系若しくはエステル系の溶媒や、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒等であるのがよい。また、カルボキシル基とエポキシ基との反応においては触媒を使用することが好ましく、使用する触媒としては、例えばテトラエチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等のアンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン類等の公知のものを使用することができる。これらについては特開平9-325494号公報に詳細に記載されている。
二番目の反応として、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応で得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物(XII)〔以下、これを「(c)」と記載する場合がある。〕と後述の酸成分(a)及び(b)とを反応させて、一般式(XX)で表される重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂(以下、「一般式(XX)のアルカリ可溶性樹脂」と記載する)を得ることができる。
Figure 2016103015
〔但し、R10は水素原子またはメチル基を示す。Xは単結合又は内部にヘテロ元素を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を示し、Yは4価のカルボン酸残基を表し、Wはそれぞれ独立して水素原子又は−OC−L−(COOH)(但し、Lは2価又は3価のカルボン酸残基を表し、fは1又は2を表す)を表し、rは1つ1つの分子において各々1〜20の整数であり、一般式(XX)のアルカリ可溶性樹脂は、これらの混合物である。つまり、一般式(XX)におけるrは1〜20の平均値を示す。〕
一般式(XX)のアルカリ可溶性樹脂を合成するために使用される酸成分としては、エポキシ(メタ)アクリレート化合物(c)の分子中の水酸基と反応し得る多価の酸成分であり、(a)ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸一無水物と(b)テトラカルボン酸又はその酸二無水物を併用することが必要である。
これらに利用される(a)ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸一無水物として、以下に示す化合物およびその酸一無水物を挙げることができる。鎖式炭化水素ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アセチルコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、イタコン酸、アゼライン酸、シトラリンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、オキソグルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、ジグリコール酸等の化合物があり、更には任意の置換基の導入されたジカルボン酸若しくはトリカルボン酸でもよい。また、脂環式ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸としては、例えば、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ノルボルナンジカルボン酸等の化合物があり、更には任意の置換基の導入されたジカルボン酸若しくはトリカルボン酸でもよい。更に、芳香族ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等の化合物があり、更には任意の置換基の導入されたジカルボン酸若しくはトリカルボン酸でもよい。
また、(b)テトラカルボン酸又はその酸二無水物としては、以下に示す化合物およびその酸二無水物を挙げることができる。鎖式炭化水素テトラカルボン酸としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸、ヘキサンテトラカルボン酸等の化合物があり、更には置換基の導入されたテトラカルボン酸でもよい。また、脂環式テトラカルボン酸としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、シクロへプタンテトラカルボン酸、ノルボルナンテトラカルボン酸等の化合物があり、更には置換基の導入されたテトラカルボン酸でもよい。更に、芳香族テトラカルボン酸としては、例えば、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸等の化合物が挙げられ、更には置換基の導入されたテトラカルボン酸でもよい。
このエポキシ(メタ)アクリレート化合物(c)と酸成分(a)及び(b)との反応の方法については、特に限定されるものではなく、例えば特開平9-325494号公報に記載されているように、反応温度が90〜140℃でエポキシ(メタ)アクリレート化合物とテトラカルボン酸二無水物を反応させるような公知の方法を採用することができる。好ましくは、化合物の末端がカルボキシル基となるように、エポキシ(メタ)アクリレート化合物(c)と、ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸一無水物(a)と、テトラカルボン酸又はその酸二無水物(b)とのモル比が(c):(a):(b)=1:0.01〜1.0:0.2〜1.0となるように反応させることが望ましい。ここで、(a)酸一無水物、(b)酸二無水物を使用する場合を例にとって定量的な説明をすると、重合性不飽和基を含有するジオール化合物〔エポキシ(メタ)アクリレート化合物〕(c)に対する酸成分の量〔(a)/2+(b)〕のモル比[(c)/〔(a)/2+(b)〕]が0.5〜1.0となるように反応させることが望ましい。モル比が1.0を超える場合は、未反応の重合性不飽和基を含有するジオール化合物の含有量が増大してアルカリ可溶性樹脂組成物の経時安定性低下が懸念される。一方、モル比が0.5未満の場合は、一般式(V)で表されるアルカリ可溶性樹脂の末端が酸無水物となり、また、未反応酸二無水物の含有量が増大してアルカリ可溶性樹脂組成物の経時安定性低下が懸念される。(c)、(a)及び(b)の各成分のモル比は上記一般式(V)で表されるアルカリ可溶性樹脂の酸価、分子量を調整する目的で、上述の範囲で任意に変更できる。
三番目の反応として、一般式(XX)のアルカリ可溶性樹脂のカルボキシル基に一般式(III)の重合性不飽和基を有する単官能エポキシ化合物を反応させることにより、一般式(V)のアルカリ可溶性樹脂を得る。
上記一般式(XX)のカルボキシル基に対する上記一般式(III)で表される不飽和基含有エポキシ化合物のエポキシ基のモル比は上記一般式(V)で表されるアルカリ可溶性樹脂の光反応の感度(重合性二重結合の量の大小による)や酸価を調整する目的で任意に変更できる。一般式(III)のモル数は、(a)成分のモル数と(b)成分のモル数の2倍との合計モル数に対して、90%以下であればアルカリ現像性の付与が可能であり、光パターニング性を有する感光性樹脂組成物に用いることができる。また、光反応の感度向上効果を付与したい場合は、10%以上にすることが必要であるので、10〜90%であることが好ましい。さらに、30〜70%であることがより好ましい。また、使用する一般式(V)のアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は1,000〜100,000であることが好く、酸価は30〜120mgKOH/gであることが好ましい。
(i)の重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂の一部として、前記(vi)の一般式(V)で表される重合性二重結合含有アルカリ可溶性樹脂を使用する場合の(i)と(vi)の質量組成比率については、(vi)/[(i)+(vi)]=0〜0.8であればよく、0.1〜0.7であることがより好ましい。
また、樹脂成分として(viii)2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂又はエポキシ化合物を併用することができる。具体的なエポキシ樹脂又はエポキシ化合物としては、例えば、3,3',5,5'-テトラメチル-4,4'-ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、3,4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物、エポキシシリコーン樹脂等を挙げることができる。
(viii)成分の2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂又はエポキシ化合物を添加することにより、硬化物の表面硬度を確保した上で、タッチパネル絶縁膜・保護膜に必要とされる十分な密着性とともに、優れた耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性といった耐薬品性や優れた耐候性、耐熱性を与えることが可能である。
(viii)成分の2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂又はエポキシ化合物の使用量は、得られた硬化物(塗膜)に濁りが発生しないよう均一に相溶する量が望ましく、重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂〔(i)成分〕と、少なくとも1個の重合性二重結合を有する重合性モノマー〔(ii)成分〕との合計に対する成分(viii)の質量割合[(viii)/〔(i)+(ii)〕]が0〜0.35であるのが良い。なお、(i)成分の一部として(vi)成分を含む場合には、当該(i)、(ii)及び(vi)の合計に対する成分(viii)の質量割合[(viii)/〔(i)+(ii)+(vi)〕]が0〜0.35であるのが良い。(viii)成分の2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂又はエポキシ化合物は、密着性、耐薬品性の付与が必要な場合は有効であるが、添加量が多過ぎると、アルカリ現像性が低下し、マスクに対して忠実な線幅が再現できない、又は、パターンエッジががたつきシャープにならないといった問題が生じる恐れがある。
本発明の感光性樹脂組成物は、必要により溶剤に溶解させたり、各種添加剤を配合して用いることもできる。溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−若しくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N-メチル-2-ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類等が挙げられ、これらを用いて溶解、混合させることにより、均一な溶液状の組成物とすることができる。これらの溶剤は、塗布性等の必要特性とするために2種類以上を用いてもよい。
また、本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤、酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を配合することができる。このうち、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤等を挙げることができ、可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、リン酸トリクレジル等を挙げることができる。また、消泡剤やレベリング剤としては、例えば、シリコン系またはフッ素系の界面活性剤を挙げることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、溶剤を除いた固形分(固形分には硬化後に固形分となる重合性モノマーを含む)中に、(i)成分の重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂、(ii)成分の少なくとも1個の重合性二重結合を有する重合性モノマー、(iii)成分の一般式(IV)で表される表面処理剤で表面処理された平均粒子径が10〜300nmのシリカゾル、及び(iv)成分の光重合開始剤が合計〔(i)成分の一部として(vi)成分を含む場合には、当該(i)〜(iv)と(vi)との合計〕で70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上含まれることが望ましい。溶剤の量は、製膜に適した目標とする溶液粘度によって変化するが、感光性樹脂組成物の全体量に対して60〜90質量%の範囲が望ましい。
また、本発明の塗膜(硬化物)は、例えば、上記感光性樹脂組成物の溶液を基板等に塗布し、乾燥し、光(紫外線、放射線等を含む)を照射し、これを硬化させることにより得られる。光が当たる部分と当たらない部分とを設けて、光が当たる部分だけを硬化させ、他の部分をアルカリ性現像液で溶解させれば、所望のパターンの塗膜が得られる。
次に、感光性樹脂組成物を用いた塗膜(硬化物)形成方法について、その一例を以下で説明する。まず、基板等の表面上に、感光性樹脂組成物を塗布したのち溶剤を蒸発させる第1段のベーキングを行い、塗膜を形成する。次いで、パターンを形成する場合は、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ性現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、第2段のベーキングで熱重合反応を促進して、硬化物を形成する。
感光性樹脂組成物を基板に塗布する際には、公知の溶液浸漬法、スプレー法の他、ローラーコーター機、ランドコーター機、スリットコーター機やスピナー機を用いる方法等の何れの方法をも採用することができる。これらの方法によって、所望の厚さに塗布した後、第1段のベーキングで溶剤を除去し、露光、現像後に、第2段のベーキングで熱重合反応を促進することにより、硬化物が形成される。第1段のベーキングはオーブン、ホットプレート等による加熱、真空乾燥又はこれらを組み合わせることによって行われる。第1段のベーキングにおける加熱温度及び加熱時間は使用する溶剤に応じて適宜選択され、例えば80〜120℃の温度で1〜20分間行われる。第2段のベーキングは、例えば150〜300℃の温度で、10〜120分間行われる。
以下に、一般式(X)で表される重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂および一般式(V)で表される重合性二重結合含有アルカリ可溶性樹脂の合成例等に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの合成例等によりその範囲を限定されるものではない。また、以下の合成例における樹脂の評価は、断りのない限り以下の通りに行った。
[固形分濃度]
合成例中で得られた樹脂溶液1gをガラスフィルター〔質量:W0(g)〕に含浸させて秤量し〔W1(g)〕、160℃にて2hr加熱した後の質量〔W2(g)〕から次式より求めた。
固形分濃度(質量%)=100×(W2−W0)/(W1−W0)
[エポキシ当量]
樹脂溶液をジオキサンに溶解させた後に臭化テトラエチルアンモニウムの酢酸溶液を加え、電位差滴定装置〔平沼産業(株)製 商品名COM-1600〕を用いて1/10N−過塩素酸溶液で滴定して求めた。
[酸価]
樹脂溶液をジオキサンに溶解させ、電位差滴定装置〔平沼産業(株)製 商品名COM-1600〕を用いて1/10N−KOH水溶液で滴定して求めた。
[分子量]
ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)[東ソー(株)製HLC-8220GPC、溶媒:テトラヒドロフラン、カラム:TSKgelSuperH-2000(2本)+TSKgelSuperH-3000(1本)+TSKgelSuperH-4000(1本)+TSKgelSuper-H5000(1本)〔東ソー(株)製〕、温度:40℃、速度:0.6ml/min]にて測定し、標準ポリスチレン〔東ソー(株)製PS−オリゴマーキット〕換算値として重量平均分子量(Mw)を求めた値である。
[合成例1]
窒素導入管及び還流管付き1000ml四つ口フラスコ中にメタクリル酸51.65g(0.60mol)、メタクリル酸メチル38.44g(0.38mol)、メタクリル酸シクロヘキシル36.33g(0.22mol)、アゾビスイソブチロニトリル5.91g、及びジエチレングリコールジメチルエーテル368gを仕込み、80〜85℃で窒素気流下、8hr撹拌して重合させた。更に、フラスコ内にメタクリル酸グリシジル39.23g(0.28mol)、トリフェニルホスフィン1.44g、2,6-ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.055gを仕込み、80〜85℃で16hr撹拌し、重合性二重結合含有(メタ)アクリレート樹脂(i)-1を得た。得られた重合性二重結合含有(メタ)アクリレート樹脂の固形分濃度は35質量%、酸価(固形分換算)は110mgKOH/g、GPC分析によるMwは18080であった。また、得られた重合性二重結合含有(メタ)アクリレート樹脂のIR測定から、1409cm-1(ビニル基)、1186cm-1(カルボキシル基)にピークが観測された。これより、重合性二重結合とカルボキシル基を有する重合性二重結合含有(メタ)アクリレート樹脂であることを確認した。
[合成例2]
窒素導入管及び還流管付き1000ml四つ口フラスコ中にメタクリル酸51.65g(0.60mol)、メタクリル酸メチル36.04g(0.36mol)、メタクリル酸シクロヘキシル40.38g(0.24mol)、アゾビスイソブチロニトリル5.91g、及びジエチレングリコールジメチルエーテル420gを仕込み、80〜85℃で窒素気流下、8hr撹拌して重合させた。更に、フラスコ内にメタクリル酸グリシジル61.41g(0.43mol)、トリフェニルホスフィン2.27g、及び2,6-ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.086gを仕込み、80〜85℃で16hr撹拌し、重合性二重結合含有(メタ)アクリレート樹脂(i)-2を得た。得られた重合性二重結合含有(メタ)アクリレート樹脂の固形分濃度は33質量%、酸価(固形分換算)は50mgKOH/g、GPC分析によるMwは20600であった。また、得られた重合性二重結合含有(メタ)アクリレート樹脂のIR測定から、1411cm-1(ビニル基)、1186cm-1(カルボキシル基)にピークが観測された。これより、重合性二重結合とカルボキシル基を有する重合性二重結合含有(メタ)アクリレート樹脂であることを確認した。
[合成例3]
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中に3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート85.78g(0.34mol)、アクリル酸49.00g(0.68mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート139.0g及び臭化テトラエチルアンモニウム(TEAB)2.15gを仕込み、100〜105℃で加熱下に20hr撹拌して反応させた。次いで、フラスコ内に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物35.31g(0.12mol)、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物41.08g(0.27mol)を仕込み、120〜125℃で加熱下に8hr撹拌して反応させた。更に、メタクリル酸グリシジル39.80g(0.28mol)を仕込み、100〜105℃で加熱下に8hr撹拌し、重合性二重結合含有アルカリ可溶性樹脂溶液(vi)−1を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は57.0wt%、酸価(固形分換算)は82mgKOH/g、GPC分析によるMwは3500であった。
(実施例1〜5、比較例1)
次に、感光性樹脂組成物及びその硬化物の製造に係る実施例及び比較例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。ここで、以降の実施例及び比較例の感光性樹脂組成物及びその硬化物の製造で用いた原料及び略号は以下の通りである。
(i)−1成分:上記合成例1で得られたアルカリ可溶性樹脂溶液
(i)−2成分:上記合成例2で得られたアルカリ可溶性樹脂溶液
(ii)成分:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物(日本化薬(株)製 商品名DPHA)
(iii)-1成分:溶剤分散シリカゾル〔アドマテックス社製YA010C-SV1、分散媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、固形分濃度=20%、動的光散乱法の測定機器(大塚電子製粒径アナライザーFPAR-1000)で求めたキュムラント平均粒子径65nm(動的光散乱法)、表面処理剤:式(IV)におけるR6はビニル基、R7,R8はメチル基、q=3〕
(iii)-2成分:溶剤分散シリカゾル〔日産化学社製PMA-ST、分散媒:PGMEA、固形分濃度=30%、キュムラント平均粒子径47nm(動的光散乱法)、表面処理剤:式(IV)におけるq=1、R6,R7,R8=CH3
(iv)成分:オキシムエステル系光重合開始剤(BASF製、イルガキュアOXE01)
(v)成分: 3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(vi)成分:上記合成例3で得られた重合性二重結合含有アルカリ可溶性樹脂溶液(vi)−1
添加剤1:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF製、イルガノックス1010)
添加剤2:界面活性剤(東レ・ダウコーニング社製、商品名FZ-2122)
溶剤-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤-2:ジエチレングリコールジメチルエーテル
上記の配合成分を表1に示す割合で配合して、実施例1〜5及び比較例1の感光性樹脂組成物を調製した。尚、表1中の数値はすべて質量部を表す。
Figure 2016103015
[硬化物の作成]
表1に示した感光性樹脂組成物を、予め低圧水銀灯で波長254nmの照度1000 mJ/cm2の紫外線を照射して表面を洗浄した、50mm×50mmのガラス基板(コーニング社製EAGLE XG)(以下「UV洗浄ガラス基板」という)、インジウム−スズ酸化物蒸着ガラス基板(UV洗浄ITO基板)、及びモリブデン−アルミニウム合金蒸着基板(UV洗浄MAM基板)上に第2段のベーキング後の膜厚が1.5μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で1分間第1段のベーキングをして塗布板を作成した。次いで、波長365nmの照度が50mW/cm2の高圧水銀ランプで60mJ/cm2の紫外線を照射して光硬化反応を行った。その後、熱風乾燥機を用いて230℃、30分間第2段のベーキングを行って、実施例1〜5、及び比較例1に係る硬化物(塗膜)を得た。
上記で得られた実施例1〜5、及び比較例1の感光性樹脂組成物からなる硬化物(塗膜)について、以下の項目について評価した結果を表2に示す。これらの評価方法は以下の通りに行った。なお、耐高温高湿密着性、及び耐薬品密着性(耐酸性、耐塩基性)については、UV洗浄ガラス基板上の硬化物のみでなく、UV洗浄ITO基板及びUV洗浄MAM基板上に作成した硬化物に対しても評価した。
膜厚:
触針式段差形状測定装置〔ケーエルエー・テンコール(株)製 商品名P-10〕を用いて測定した。
耐高温高湿密着性:
UV洗浄ガラス基板、UV洗浄ITO基板、及びUV洗浄MAM基板上に作成した硬化物を、温度121℃、湿度100%、気圧2atmの条件下に5時間放置した。更に、放置した硬化物を、太佑機材株式会社製 Super Cutter Guideを使用して1mm×1mmの正方形のマス目が100個形成されるように切込みを入れ、マス目の上にセロハンテープ(ニチバン製)を貼ってから剥がすテープ剥離試験を行なった。マス目の中の硬化物が全く剥離していない場合は○、マス目の中の硬化物の1/3未満が剥離している場合は△、1/3以上が剥離している場合は×とした。
耐酸密着性:
UV洗浄ガラス基板、UV洗浄ITO基板、UV洗浄MAM基板上に作成した硬化物を、王水の入ったシャーレに室温で2分間浸漬した後、純水で洗浄し、水分を拭き取る。更に、太佑機材株式会社製 Super Cutter Guideを使用して1mm×1mmの正方形のマス目が100個形成されるように切込みを入れ、マス目の上にセロハンテープ(ニチバン製)を貼ってから剥がすテープ剥離試験を行なった。マス目の中の硬化物が全く剥離していない場合は○、マス目の中の硬化物の1/3未満が剥離している場合は△、1/3以上が剥離している場合は×とした。
耐塩基密着性:
UV洗浄ガラス基板、UV洗浄ITO基板、UV洗浄MAM基板上に作成した硬化物を、4wt%の水酸化カリウム水溶液の入ったシャーレに40℃で3分間浸漬した後、純水で洗浄し、水分を拭き取る。更に、太佑機材株式会社製Super Cutter Guideを使用して1mm×1mmの正方形のマス目が100個形成されるように切込みを入れ、マス目の上にセロハンテープ(ニチバン製)を貼ってから剥がすテープ剥離試験を行なった。マス目の中の硬化物全く剥離していない場合は○、マス目の中の硬化物の1/3未満が剥離している場合は△、1/3以上が剥離している場合は×とした。
塗膜硬度1:
ガラス基板上に作成した硬化物を、JIS-K5400の試験法に準じて、鉛筆硬度試験機を用いて荷重1kgをかけた際の塗膜にキズが付かない最も高い鉛筆硬度をもって表示した。使用した鉛筆は「三菱ハイユニ」である。ここで本評価は、塗膜表面の横方向の力(引っかき)に対する耐性の指標として実施した。3H以上は○、2Hは△、1Hとこれより硬度の低い場合は×とした。
塗膜硬度2:
ガラス基板上に作成した硬化物を、微小膜硬度計(フィッシャー・インスツルメンツ製HM2000)を用いて測定した。圧子はビッカース圧子を用いて5mN/μm2の荷重を負荷速度0.25mN/secで負荷し、1秒間保持後に荷重を取り除いてマルテンス硬さ(ISO 14577に準拠)を測定した。ここでいうマルテンス硬さとは、荷重―進入深さ曲線より算出される硬さのことで、マルテンス硬さが65N/mm2以上の場合に○、65N/mm2未満〜60N/mm2以上の場合に△、60N/mm2未満の場合に×と評価した。ここで本評価は、塗膜表面の縦方向の力(押し込み)に対する耐性の指標として実施した。
透過率:
ガラス基板(コーニング社製EAGLE XG)上に作成した硬化物を、透過率計(日本電色工業製 商品名SPECTRO PHOTOMETER SD5000)を用いて透過率測定し、波長400nmでの透過率が95%以上の場合に○、95%未満〜90%以上の場合に△、90%未満の場合は×と評価した。
耐光性:
ガラス基板(コーニング社製EAGLE XG)上に作成した硬化物を、ガラス面側からXeランプ(照射面照度250W/m2)を照射し、温度60℃、湿度50%の条件下に200hr放置した。これを透過率計(日本電色工業製 商品名SPECTRO PHOTOMETER SD5000)を用いて透過率測定し、波長400nmでの透過率が95%以上の場合に◎、95%未満〜90%以上の場合に○、90%未満〜85%以上の場合に△、85%未満の場合は×と評価した。
発ガス性:
ガラス基板(コーニング社製EAGLE XG)上に作成した硬化物をスクレイパー等で削り、得られた粉末状の硬化物4〜6mgの熱重量損失を示差熱熱重量測定装置(TG/ DTA)〔SII(株)製EXSTER6000〕を用いて測定した。測定条件は、大気下、120℃で30分間の前処理を行った後、230℃で2時間保持とした。発ガス性は重量減少率より評価し、重量減少率が小さいほど低発ガス性が良好であるとした。重量減少率は230℃での加熱前後の重量減少から算出し、重量減少率が5%未満の場合は○、5%以上〜15%未満の場合に△、15%以上の場合は×とした。
アルカリ現像性(パターン形成、及び残渣):
表1に示した感光性樹脂組成物を、スピンコーターを用いて125mm×125mmのUV洗浄ガラス基板上に第2段のベーキング後の膜厚が1.5μmとなるように塗布し、ホットプレートを用いて80℃で1分間第1段のベーキングをして塗布板を作成した。次いで、塗膜上に石英ガラスからなるライン&スペース=20μm/100μmのパターン形成用露光マスクをGAPが150μmとなるように設置し、波長365nmの照度が50mW/cm2の高圧水銀ランプで100mJ/cm2の紫外線を照射し感光部分の光硬化反応を行った。次に、この露光済み塗板を23℃の0.04wt%水酸化カリウム水溶液または0.2wt%炭酸ナトリウム水溶液中、ディップ現像にて80秒間現像を行い、さらに水洗を行い、塗膜の未露光部を除去した。その後、熱風乾燥機を用いて230℃、30分間第2段のベーキングを行って、実施例1〜5、及び比較例1に係るパターンを得た。アルカリ現像性(パターン形成)は、20μmラインパターンが形成されている場合を○、20μmラインパターンが剥離しガラス基板上に残っていない場合は×とした。アルカリ現像性(残渣)は、未露光部の塗膜が全て除去されている場合は○、パターンの端面から2μm未満の範囲に塗膜残渣が残っている場合は△、パターンの端面から2μm以上の範囲に塗膜残渣が残っている場合は×とした。
マイグレーション耐性試験:
ガラス基板(コーニング社製EAGLE XG)上に12μm厚、ライン/スペース=50μm/50μmのCu電極を形成した、くし型電極基板(ISO9455-17に規定されているIPC-B-24タイプ)の上に、表1に示した感光性樹脂組成物を用いて膜厚15μmの絶縁膜層を形成してマイグレーション耐性テスト基板を作成した。このテスト基板をくし型基板ラックに設置し、イオンマイグレーション評価システム(エスペック社製、AMI-U)につなぎ込んだ、そして、くし型基板ラックをHAST Chamber(エスペック社製、EHS-211M)に設置し、温度110℃、湿度85%の環境下、6.0Vの電圧を印加し、抵抗値を測定した。300時間抵抗値を測定し続け、抵抗値が1×10以上を維持していた場合は○、途中で1×10を切って抵抗が大きく低下した場合は×とした。
Figure 2016103015
上記表2の結果から明らかなように、実施例1〜5に係る硬化物は各性能に優れており、電気的信頼性も良好である。比較例1は密着性及び塗膜硬度を両立し、更に、高い透過率を有する硬化物を形成でき、また、金属および金属酸化物膜表面においても高い密着性、耐薬品性を示しているが、マイグレーション耐性試験結果から電気的信頼性は確保できていないことがわかる。すなわち、本発明の感光性樹脂組成物では、透明性、耐光性、耐候性、耐熱性、表面硬度、密着性、低発ガス性に加えて、電気的信頼性を有するタッチパネル絶縁膜や保護膜としての要求特性を満たす硬化膜を提供できることが分かった。
本発明の感光性樹脂組成物は、シリカゾルを含有してもアルカリ現像性を損なわず、透明性、耐光性、耐候性、耐熱性、表面硬度、密着性、耐薬品性、信頼性等に優れた硬化物を形成することができる。そのため、タッチパネル絶縁膜や保護膜として好適である。それ以外にも、例えば、カラー液晶表示装置、カラーファクシミリ、イメージセンサー等の各種の表示素子や、カラーフィルター保護膜材料、あるいは、有機半導体等の有機デバイス等の保護層、封止材、接着剤、絶縁膜として好適に使用することができる。
1:基板
2:X電極
2a:島状電極(X側)
2b:ブリッジ電極(X側)
3:Y電極
3b:ブリッジ電極(Y側)
4:平坦化膜
5:接着層
6:保護基板
7:絶縁膜
8:シールド層(導電膜)

Claims (7)

  1. (i)少なくとも一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物と一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸化合物との共重合体中のカルボキシル基の一部に、一般式(III)で表されるエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させて得られる重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂、
    Figure 2016103015
    (但し、Rは水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、内部にエーテル性酸素原子、又はウレタン結合を含んでいてもよい。)
    Figure 2016103015
    (但し、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
    Figure 2016103015
    (但し、Rは水素原子又はメチル基を示す。Rは炭素数2〜10の2価の炭化水素基を示す。pは0または1の数を表す。)
    (ii)少なくとも1個の重合性二重結合を有する重合性モノマー、
    (iii)一般式(IV)で表される表面処理剤で表面処理され、且つ平均粒子径が10〜300nmのシリカゾル、
    (iv)光重合開始剤、及び
    (v)シランカップリング剤、
    を必須の成分として含有するタッチパネル絶縁膜・保護膜形成用の感光性樹脂組成物であり、固形分中における(i)〜(v)の必須成分の含有量が、(i)重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂10〜60質量%、(iii)シリカゾル10〜50質量%、(v)シランカップリング剤0.1〜20質量%であると共に、(ii)重合性モノマーは(i)/(ii)(質量比)=20/80〜85/15の範囲を満たし、(iv)光重合開始剤は[(iv)/〔(i)+(ii)〕](質量比)=0.005〜0.2の範囲を満たすことを特徴とするタッチパネル絶縁膜・保護膜形成用感光性樹脂組成物。
    Figure 2016103015
    (但し、Rは分子内にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり、かつ不飽和二重結合又はエポキシ基を有する反応性基を含む、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、qは1〜3である)
  2. 前記(i)成分の一部として、(vi)一般式(V)で表される重合性二重結合含有アルカリ可溶性樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル絶縁膜・保護膜形成用感光性樹脂組成物。
    Figure 2016103015
    (但し、R10は水素原子又はメチル基を示す。Xは単結合又は内部にヘテロ元素を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を示し、Yは4価のカルボン酸残基を示し、Zは水素原子又は下記一般式(VI)で表される置換基を示し、Gは水素原子又は下記一般式(VII)で表される置換基を示す。rは1〜20の平均値を示す。)
    Figure 2016103015
    (但し、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12は炭素数2〜10の2価の炭化水素基を示し、Lは2価又は3価のカルボン酸残基を示す。uは0又は1を表す。s及びtは、それぞれ0、1又は2であり、s+tは1又は2である。)
    Figure 2016103015
    (但し、R13は水素原子又はメチル基を示し、R14は炭素数2〜10の2価の炭化水素基を示す。vは0又は1を表す。)
  3. (i)の重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂の重量平均分子量が5,000〜200,000であることを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチパネル絶縁膜・保護膜形成用感光性樹脂組成物。
  4. (vi)の一般式(V)で表される重合性二重結合含有アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が1,000〜100,000であることを特徴とする請求項2又は3に記載のタッチパネル絶縁膜・保護膜形成用感光性樹脂組成物。
  5. (i)重合性二重結合含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレート樹脂中の全構成単位の総和を100とした場合、一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位が10〜80であり、一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸化合物に由来するカルボキシル基を含有する構成単位が10〜50であり、一般式(II)のカルボキシル基と一般式(III)のエポキシ基を反応させて得られる重合性二重結合を含有する構成単位が10〜40であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタッチパネル絶縁膜・保護膜形成用感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を硬化させた硬化膜。
  7. 請求項6に記載の硬化膜を絶縁膜及び/又は保護膜として有するタッチパネル。
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