JP5321899B2 - クラッド層形成用樹脂組成物、光導波路及び光モジュール - Google Patents
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Description
機器内部や機器間などの短距離で光信号を伝送するためには、フレキシブルなフィルム光導波路が望まれている。特に、携帯用小型機器の内部に光導波路を配線する場合には、省スペース化のために部品表面を這わせるようにして配線する場合も多く、小さな曲率半径で屈曲可能な、ポリマーフィルム光導波路が求められている。
フレキシブル光導波路の屈曲性、あるいは形状復元する際の界面における追従性を向上させるために、低弾性率材料を用いた光導波路の開発がなされている。例えば、特許文献1では、硬化後の曲げ弾性率が1000MPa以下のエラストマーを光導波路のクラッド層に用いることにより屈曲性が向上することが記載されている。また、特許文献2では、曲げ弾性率が1000MPa以下で前駆体の官能基に水素結合基を含む樹脂を介して、クラッド層どうしが接合されたフィルム光導波路により屈曲あるいは形状復元する際の界面における追従性が向上すること、特に曲げ弾性率200MPaのエラストマーを上クラッド層及び下クラッド層の材料として用い、これらクラッド層どうしを曲げ弾性率が1000MPa以下で前駆体の官能基に水素結合基を含む樹脂を介して接合したフィルム光導波路を携帯電話のヒンジ部に用いた場合、曲率半径1mmまで屈曲させることができ、20万回繰り返し屈曲させても界面の剥離が起こらないことが記載されている。しかしながら、特許文献1及び2では、スタンパを用いて光導波路を作製していることから、設計の自由度が低く、設計の変更がし難しいこという欠点があり、屈曲耐久性に関しても十分な検討がなされていない。
また、特許文献3においては、(メタ)アクリルポリマーとウレタン(メタ)アクリレート化合物を含む感光性樹脂組成物を用い、伝搬損失が0.5dB/cm以下で屈曲抵抗性に優れるフィルム型光導波路が提案されている。特許文献3では、(メタ)アクリルポリマーに関しては、「重量平均分子量が100,000を超えると組成物の粘度が大きくなり、塗工性が悪くなる等の欠点がある」と記載され、実施例では重量平均分子量が18,000〜35,500のものを用いており、屈曲抵抗性に関しては、半径2mmの金属棒に巻きつけた時の光導波路のクラックまたは破断の有無で評価しており、屈曲耐久性に関しての検討がなされていない。携帯電話のヒンジ部に用いる場合には、屈曲耐久性に加えて捻回耐久性が要求される場合もあるが、従来、捻回耐久性に関しての検討はなされてはおらず、屈曲耐久性及び捻回耐久性の要求を満たすものがなかった。
(1)(A)重量平均分子量が10万超、300万以下で、ガラス転移温度(Tg)が−50℃超、20℃以下であるエポキシ基含有アクリルゴム、(B)ウレタン(メタ)アクリレート、(C)分子中にウレタン結合を有しない(メタ)アクリレート及び(D)ラジカル重合開始剤を含む樹脂組成物で、該樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が10℃から50℃の範囲内である、光導波路のクラッド層形成用樹脂組成物。
(2)(A)エポキシ基含有アクリルゴムのガラス転移温度が5℃以下である、(1)に記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
(3)(A)エポキシ基含有アクリルゴムが、(A)エポキシ基含有アクリルゴムを構成する炭素数3以上のアルキル(メタ)アクリレート単位を50重量%以上含む、(1)又は(2)に記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
(4)前記(A)エポキシ基含有アクリルゴム100質量部に対して、(B)成分及び(C)成分の配合量の総量が10〜200質量部であり、(B)成分と(C)成分の配合量が、(B)100質量部に対して、(C)5〜500質量部であり、(D)ラジカル重合開始剤の配合量が(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量100質量部に対して、0.1〜10質量部である、(1)〜(3)のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
(5)前記クラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの、曲げ半径1mmの折り曲げ式屈曲耐久試験を10万回実施後、破断のない(1)〜(4)のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
(6)前記クラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの、捻回耐久試験を10万回実施後、破断のない(1)〜(5)のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
(7)前記クラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの、曲げ半径1mmのスライド式屈曲耐久試験を10万回実施後、破断のない(1)〜(6)のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物を用いて下部クラッド層と上部クラッド層のうち少なくとも一方の層を形成し得られる光導波路。
(9)(8)に記載の光導波路を用いて得られる光モジュール。
本発明のクラッド層形成用樹脂組成物としては、(A)エポキシ基含有アクリルゴム、(B)ウレタン(メタ)アクリレート、(C)分子中にウレタン結合を有しない(メタ)アクリレート、及び(D)ラジカル重合開始剤を含有してなるものである。
以下、各成分についてより具体的に説明する。
(A)エポキシ基含有アクリルゴムのガラス転移温度(以下「Tg」という)は、−50℃超かつ20℃以下であることが好ましく、−40℃超かつ15℃以下であることがさらに好ましく、−30℃超かつ5℃以下であることが特に好ましい。Tgが−50℃超であれば、十分なフィルム状での強度が得られる。一方、20℃以下であれば、樹脂組成物の硬化物のTgを50℃以下にすることが可能となる。
共重合体モノマーとしては、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル等を挙げることができる。
このようなエポキシ基含有アクリルゴムは、上記モノマーから適宜モノマーを選択して製造することもできるし、市販品(例えばナガセケムテックス株式会社製HTR−860P−3、HTR−860P−5等)もある。
その場合の混合比率は、エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーのガラス転移温度(以下「Tg」という)を考慮して決定し、Tgは−30℃以上であることが好ましい。Tgが−30℃以上であると、クラッド層形成用樹脂フィルムのタック性が適当であり、取り扱い性に問題を生じないからである。
エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)スクシネート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)テレフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロイソフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロテレフタレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、o−ビニル安息香酸、m−ビニル安息香酸、p−ビニル安息香酸などのエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。この中で、合成の容易性、架橋性の観点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。(メタ)アクリロイル基の含有率は、0.5〜20質量%が好ましく、0.5〜18質量%がより好ましく、0.8〜15質量%が特に好ましい。(メタ)アクリロイル基含有繰り返し単位の量がこの範囲にあると、エポキシ基の緩やかな架橋が起こるため、折り曲げ式屈曲耐久試験、捻回耐久試験及びスライド式屈曲耐久試験などに耐えられる適度な弾性率の硬化フィルムを得ることができる。
なお、ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを示す。アクリレートとはアクリロイル基を有する化合物を意味し、メタクリレートとはメタクリロイル基を有する化合物を意味する。
ポリエーテルジオールには、脂肪族、脂環族、芳香族の種類がある。
これらのポリオールは、単独でまたは二種以上を併用して用いることもできる。
ポリオールとしてはジオール類とポリイソシアネートとの反応によって合成される2価以上のポリオールも用いることができる。
これらのポリオールにおける各構造単位の重合様式は特に制限されず、ランダム重合、ブロック重合、グラフト重合のいずれであってもよい。
上記イオン重合性環状化合物としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステルなどの環状エーテル類が挙げられる。
また、上記イオン重合性環状化合物と、エチレンイミンなどの環状イミン類;β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチドなどの環状ラクトン酸;あるいはジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させたポリエーテルジオールを使用することもできる。
脂環族ポリエーテルジオールとしては、例えば水添ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加ジオール、水添ビスフェノールFのアルキレンオキシド付加ジオール、1,4−シクロヘキサンジオールのアルキレンオキシド付加ジオールなどが挙げられる。
ここで、上記のエトキシ化体、プロポキシ化体、エトキシ化プロポキシ化体とは、それぞれ、アルコール又はフェノール類の水酸基にエチレンオキシドを付加したアルコールを原料に用いて得られる(メタ)アクリレート、アルコール又はフェノール類の水酸基にプロピレンオキシドを付加したアルコールを原料に用いて得られる(メタ)アクリレート、アルコール又はフェノール類の水酸基にエチレンオキシド及びプロピレンオキシドを付加したアルコールを原料に用いて得られる(メタ)アクリレートを示す。例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレートのエトキシ化体とは、フェノキシエチルアルコールにエチレンオキシドを付加したアルコールと、アクリル酸又はメタクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートを意味する。
以上の化合物は、単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
(B)及び(C)成分の配合量としては、(B)成分100質量部に対して、(C)成分5〜500質量部が好ましい。(C)成分を適量加えることで、耐溶剤性が向上し、(A)成分との相溶性が高くなり透明性が向上する傾向がある。以上の観点から、(B)成分100質量部に対して、(C)成分10〜400質量部がより好ましく、20〜300質量部が特に好ましい。
熱ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキサノンパーオキシドなどのケトンパーオキシド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキシケタール;p−メンタンヒドロパーオキシドなどのヒドロパーオキシド;α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシドなどのジアルキルパーオキシド;オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシカーボネートなどのパーオキシカーボネート;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテートなどのパーオキシエステル;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2’−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。
これらの中で、硬化性及び透明性の観点から、ジアシルパーオキシド、パーオキシエステル、及びアゾ化合物であることが好ましい。
また、前記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つのトリアリールイミダゾール部位のアリール基の置換基は、同一で対称な化合物を与えてもよく、相違して非対称な化合物を与えてもよい。
これらの中で、硬化性及び透明性の観点から、上記α−ヒドロキシケトン;上記グリオキシエステル;上記オキシムエステル;上記ホスフィンオキシドであることが好ましい。
以上の熱及び光ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。さらに、適切な増感剤と組み合わせて用いることもできる。
硬化促進剤としては、各種イミダゾール類を使用することが好ましい。イミダゾールとしては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4メチルイミダゾール、1-シアノエチル−2−フェニルイミダゾール等が挙げられ、具体的には2E4MZ、2PZ、2PZ−CN、2PZ−CNS(四国化成工業株式会社製)等がある。
これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、樹脂ワニス中の固形分濃度は、通常10〜80質量%であることが好ましい。
撹拌時間には特に制限はないが、1〜24時間であることが好ましい。攪拌時間が1時間以上であれば、各成分が十分に混合され、24時間以下であれば、ワニス調合時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。
本発明のクラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムのTgは、10℃から50℃の範囲内であるが、15℃から50℃であることが好ましく、20℃から50℃であることがさらに好ましい。硬化フィルムのTgが50℃以下では、折り曲げ式屈曲耐久試験、捻回耐久試験及びスライド式屈曲耐久試験を行ったときに、十分な柔軟性を発現するためにフィルムの破断がおこらず良好な結果を得ることができる。また、Tgが10℃より小さいと、フィルムのタック性が上昇し、取り扱いが困難となる。
本発明のクラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの25℃での引張り弾性率は、1〜2000MPaであることが好ましく、10〜1500MPaがより好ましく、20〜1000MPaがさらに好ましい。硬化フィルムの25℃での引張り弾性率が2000MPa以下であると、フィルムを厚み方向に曲げた場合、小さな曲率半径で曲げることができる。一方、1MPa以上であれば、折り曲げ式屈曲耐久試験、捻回耐久試験及びスライド式屈曲耐久試験を行ったときに、硬化フィルムが伸びきることなく、もとの形状に戻るため、好適である。このクラッド層形成用樹脂硬化フィルムを用いたフィルム光導波路は機械的な引張り力が加わっても上下クラッド層で吸収されるため、コアの変形を小さくすることができ、フィルム導波路の伝送特性の劣化を抑制することができる。
このクラッド層形成用樹脂硬化フィルムを光導波路に用いれば、機械的な引張り力が加わっても、上下クラッド層で吸収されるため、コアの変形を小さくすることができ、フィルム光導波路の伝送特性の劣化を抑制することができる。
硬化フィルムに破断が発生しない場合、このフィルムをクラッド層に用いた光導波路は長期間安定した光伝送を行うことができ、例えば携帯電話のヒンジ部など、常に可動する部分に適用することができる。機器の小型化のためには、より小さい曲率半径においても光導波路に破断が発生しないことが求められ、この観点から、曲率半径0.5mmで破断が発生しないことがより好ましい。破断は、拡大鏡下、顕微鏡下、又は目視での観察で確認することができる。
硬化フィルムに破断が発生しないと、このフィルムをクラッド層に用いた光導波路は長期間安定した光伝送を行うことができ、例えば携帯電話のヒンジ部など、常に可動する部分に適用することができる。破断は、拡大鏡下、顕微鏡下、又は目視での観察で確認することができる。
本発明のクラッド層形成用樹脂フィルムは、前記クラッド層形成用樹脂組成物を用いており、前記(A)、(B)、(C)及び(D)成分を含有するクラッド層形成用樹脂組成物を好適な支持フィルムに塗布することにより容易に製造することができる。また、前記クラッド層形成用樹脂組成物が前記有機溶剤で希釈されている場合、樹脂組成物を支持フィルムに塗布し、有機溶剤を除去することにより製造することができる。
なお、樹脂層との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、含フッ素化合物などにより離型処理が施されたフィルムを必要に応じて用いてもよい。
本発明のクラッド層形成用樹脂フィルムは、光導波路の下部クラッド、上部クラッドの少なくとも1つに用いることが好ましい。
次に、本発明の光導波路に使用するコア部形成用樹脂組成物は、コア部がクラッド層より高屈折率であるように設計され、活性光線によりコアパターンを形成し得る樹脂組成物を用いることができ、感光性樹脂組成物が好適である。
コア部形成用樹脂フィルムは、クラッド層形成用樹脂フィルムと同様の方法によって、コア部形成用樹脂組成物を用いて製造することができる。なお、コア部形成用樹脂フィルムの製造過程で用いる支持フィルムとしては、コアパターン形成に用いる露光用活性光線が透過するものであれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、液晶ポリマーなどが挙げられる。
これらの中で、露光用活性光線の透過率、柔軟性、及び強靭性の観点から、上記ポリエステル及び上記ポリオレフィンであることが好ましい。さらに、露光用活性光線の透過率向上及びコアパターンの側壁荒れ低減の観点から、高透明タイプな支持フィルムを用いることがさらに好ましい。このような高透明タイプの支持フィルムとして、東洋紡績株式会社製コスモシャインA1517、コスモシャインA4100が挙げられる。
なお、樹脂層との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、含フッ素化合物などにより離型処理が施されたフィルムを必要に応じて用いてもよい。
図1の(a)に光導波路の断面図を示す。光導波路1は基材5上に形成され、高屈折率であるコア部形成用樹脂組成物からなるコア部2、並びに低屈折率であるクラッド層形成用樹脂組成物からなる下部クラッド層4及び上部クラッド層3で構成されている。
本発明のクラッド層形成用樹脂組成物及びクラッド層形成用樹脂フィルムは、光導波路1の下部クラッド層4、及び上部クラッド層3のうち、少なくとも1つに用いることが好ましい。
以上の観点から、図1の(b)のように上部クラッド層3の外側に保護フィルムとしての機能を有する基材5が配置されていたり、図1の(c)のように下部クラッド層4及び上部クラッド層3の両方の外側に保護フィルムとしての機能を有する基材5が配置されていたりしてもよい。
なお、光導波路1に柔軟性や強靭性が十分に備わっているならば、図1の(d)のように、保護フィルムとしての機能を有する基材5が配置されていなくてもよい。
下部クラッド層形成用樹脂フィルムの厚みについては特に制限はないが、硬化後の下部クラッド層4の厚みが上記の範囲となるように厚みが調整される。
なお、光電気複合基板において、複合化するプリント配線板として、特に制限はなく、例えば、ガラスエポキシ基板、セラミック基板などのリジッド基板、ポリイミド基板、ポリエチレンテレフタレート基板などのフレキシブル基板などが挙げられる。
本発明の光導波路1を製造する方法として、特に制限はなく、例えば、光導波路形成用樹脂組成物又は光導波路形成用樹脂フィルムを用いて、基材上に光導波路形成用樹脂層を形成して製造する方法などが挙げられる。
光導波路形成用樹脂組成物が、好適な有機溶剤で希釈されている場合、必要に応じて樹脂層を形成後に、乾燥する工程を入れてもよい。乾燥方法としては、加熱乾燥、減圧乾燥などが挙げられる。また、必要に応じてこれらを併用してもよい。
これらの中で、平坦性に優れ、線幅や線間の小さい微細パターンを有する光導波路が形成可能という観点から、光導波路形成用樹脂フィルムを用いて積層法により製造する方法が好ましい。
まず、第1の工程として下部クラッド層形成用樹脂フィルムを基材5上に積層する。第1の工程における積層方法としては、特に制限はなく、例えば、ロールラミネータ又は平板型ラミネータを用いて加熱しながら圧着することにより積層する方法などが挙げられる。なお、本発明における平板型ラミネータとは、積層材料を一対の平板の間に挟み、平板を加圧することにより圧着させるラミネータのことを指し、例えば、真空加圧式ラミネータを好適に用いることができる。ここでの加熱温度は、20〜130℃であることが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPaであることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。下部クラッド層形成用樹脂フィルムに保護フィルムが存在する場合、保護フィルムを除去した後に積層する。
下部クラッド層形成用樹脂層を光により硬化する際の活性光線の照射量は、0.1〜5J/cm2とすることが好ましいが、この条件には特に制限はない。また、活性光線が基材を透過する場合、効率的に硬化させるために、両面から同時に活性光線を照射可能な両面露光機を使用することができる。また、加熱をしながら活性光線を照射してもよい。なお、光硬化前後の処理として、必要に応じて50〜200℃の加熱処理を行ってもよい。
下部クラッド層形成用樹脂層を熱により硬化する際の加熱温度は、50〜200℃とすることが好ましいが、この条件には特に制限はない。
なお、下部クラッド層形成用樹脂フィルムの保護フィルムは、硬化前に除去しても、硬化後に除去してもよい。
活性光線の光源として、例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、水銀蒸気アークランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプなどの紫外線を有効に放射する光源が挙げられる。また、他にも写真用フラッド電球、太陽ランプなどの可視光線を有効に放射する光源が挙げられる。
コア部2の露光は、コア部形成用樹脂フィルムの支持フィルムを介して行ってもよいし、また支持フィルムを除去してから行ってもよい。
現像方法としては、特に制限はないが、例えば、スプレー法、ディップ法、パドル法、スピン法、ブラッシング法、スクラッピング法などが挙げられる。また、必要に応じてこれらの現像方法を併用してもよい。
現像液としては、特に制限はなく、有機溶剤又は有機溶剤と水からなる準水系現像液などの有機溶剤系現像液;アルカリ性水溶液、アルカリ性水溶液と1種類以上の有機溶剤からなるアルカリ性準水系現像液などのアルカリ性現像液などが挙げられる。また、現像温度は、コア部形成用樹脂層の現像性に合わせて調節される。
これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、有機溶剤中には、表面活性剤、消泡剤などを混入させてもよい。
有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%であることが好ましい。また、準水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤などを少量混入させてもよい。
これらの塩基は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは9〜14であることが好ましい。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤などを混入させてもよい。
有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%であることが好ましい。また、アルカリ性準水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤などを少量混入させてもよい。
洗浄方法として、特に制限はないが、例えば、スプレー法、ディップ法、パドル法、スピン法、ブラッシング法、スクラッピング法などが挙げられる。また、必要に応じてこれらの洗浄方法を併用してもよい。
前記有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。準水系洗浄液において、有機溶剤の濃度は通常、2〜90質量%とすることが好ましい。また、洗浄温度はコア部形成用樹脂層の現像性に合わせて調節される。
上部クラッド層形成用樹脂層を光により硬化する際の活性光線の照射量は、0.1〜30J/cm2とすることが好ましいが、この条件には特に制限はない。また、活性光線が基材を透過する場合、効率的に硬化させるために、両面から同時に活性光線を照射可能な両面露光機を使用することができる。また、必要に応じて加熱をしながら活性光線を照射してもよく、光硬化前後の処理として加熱処理を行ってもよい。活性光線照射中及び/又は照射後の加熱温度は50〜200℃であることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
上部クラッド層形成用樹脂層を熱により硬化する際の加熱温度は、50〜200℃とすることが好ましいが、この条件には特に制限はない。
なお、上部クラッド層形成用樹脂フィルムの支持フィルムの除去が必要な場合、硬化前に除去しても、硬化後に除去してもよい。
以上の工程で、光導波路1を作製することができる。
合成例1
[ウレタンアクリレートAの合成]
攪拌器、温度計、冷却管および空気ガス導入管を2Lの三口フラスコに取り付け、空気ガスを導入した後、ポリテトラメチレングリコール(保土ヶ谷化学株式会社製 商品名PTG850SN)520.8g、ジエチレングリコール1.06g、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン(ラクトン変性(メタ)アクリレート;ダイセル化学工業株式会社製 商品名FA2D)275.2g、重合禁止剤としてp−メトキシキノン0.5g、触媒としてジブチルチ錫ジラウレート(東京ファインケミカル株式会社製、商品名L101)0.3gをいれ、70℃に昇温後、70〜75℃で攪拌しつつイソホロンジイソシアネート(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名デスモジュールI)222gを2時間かけて均一滴下し、反応を行った。滴下終了後、約5時間反応させたところで反応を終了した。得られた生成物の重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)を、GPC(東ソー株式会社製SD−8022/DP−8020/RI−8020)を用いて測定した結果、重量平均分子量10,000のウレタンアクリレートAを得た。
実施例1
[クラッド層形成用樹脂ワニス1の調合]
(A)エポキシ基含有アクリルゴムとして、エポキシ基含有アクリルゴムのシクロヘキサノン溶液(ナガセケムテックス株式会社製HTR−860P−3―50CHN、重量平均分子量90万、固形分12質量%、Tg;−3℃)500質量部(固形分60質量部)、(B)ウレタン(メタ)アクリレートとして、合成例1で合成したウレタンアクリレートA20質量部、(C)(メタ)アクリレートとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学株式会社製DPE−6A)20質量部、(D)光ラジカル重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)1質量部、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)1質量部を攪拌混合した後に、減圧脱泡し、クラッド層形成用樹脂ワニス1を得た。
クラッド層形成用樹脂ワニス1を、表面離型処理PETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製A4100、厚み50μm)の非処理面上に塗工機(株式会社ヒラノテクシード製マルチコーターTM−MC)を用いて塗布し、100℃で20分乾燥し、次いで保護フィルムとして表面離型処理PETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製A31、厚み25μm)を貼付け、クラッド層形成用樹脂フィルム1Fを得た。このとき樹脂層の厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能であるが、本実施例では硬化後の膜厚が、下部クラッド層形成用樹脂フィルムでは20μm、上部クラッド層形成用樹脂フィルムでは90μm、及び屈折率測定用硬化フィルムでは55μmとなるように調節した。
[Tgの測定]
硬化フィルムのガラス転移温度を、動的粘弾性測定装置(Rheometric Scientific Rheometric社製、Solids Analyzer RSA−II)を使用し、試料サイズ:長さ20mm、幅5mm、膜厚90μm、昇温速度5℃/min、引張りモード、10Hz、自動静荷重で測定した。損失正接(Tanδ)のピークをガラス転移温度とした。
ロールラミネータ(日立化成テクノプラント株式会社製HLM−1500)を用い、保護フィルム(A31)を除去した下部クラッド層形成用樹脂フィルム1Fを、保護フィルム(A31)を除去した上部クラッド層形成用樹脂フィルム1F上に、圧力0.4MPa、温度80℃、速度0.4m/minの条件で積層した。次いで、紫外線露光機(大日本スクリーン株式会社製MAP−1200−L)を用い、紫外線(波長365nm)を4000mJ/cm2照射した。160℃で1時間硬化させた後、支持フィルム(A4100)を除去して厚み110μmの硬化フィルムを得た。
得られた硬化フィルム(幅10mm、長さ70mm)の引張り試験(つかみ具間距離50mm)を、引張り試験機(株式会社オリエンテック製 RTM−100)を用いて、温度25℃、引張り速度50mm/min、で、JIS K 7127に準拠して行った。
(1)引張り弾性率
引張り弾性率は、引張り応力−ひずみ曲線の初めの直線部分を用いて、以下に示す式により算出した。
引張り弾性率(MPa)=直線上の2点間の応力の差(N)÷硬化フィルムの元の平均断面積(mm2)÷同じ2点間のひずみの差
(2)引張り破断伸び率
引張り破断伸び率は、以下に示す式により算出した。
引張り破断伸び率(%)=(破断時のつかみ具間距離(mm)−初期のつかみ具間距離(mm))÷初期のつかみ具間距離(mm)×100
得られた硬化フィルム(幅5mm、長さ10mm)の屈曲耐久試験を、屈曲耐久試験機(株式会社大昌電子製)を用い、曲げ角度0〜180°、曲げ半径1mm、曲げ速度2回/秒の条件で屈曲耐久試験を行い、硬化フィルムの破断の有無を観察した。評価については、1万回毎に破断の有無を観察して破断しない最大回数を求めた。なお、「X回後に破断なし」という表記は、最大行った試験回数X回後に破断していなかったことを表し、それ以降は試験を行っていない。
得られた硬化フィルム(幅2mm、長さ40mm)の捻回耐久試験を、屈曲耐久試験機(株式会社大昌電子製)を用い、捻り角度±180°、つかみ具間距離20mm、捻り速度0.5回/秒の条件で捻回耐久試験を行い、硬化フィルムの破断の有無を観察した。評価については、1万回毎に破断の有無を観察して破断しない最大回数を求めた。なお、「X回後に破断なし」という表記は、最大行った試験回数X回後に破断していなかったことを表し、それ以降は試験を行っていない。
得られた硬化フィルム(幅2mm、長さ50mm)について、図2に示すようなスライド式の屈曲耐久試験機(株式会社大昌電子製)を用いて、スライド式屈曲耐久試験を行った。試験は硬化フィルム6(幅2mm、長さ50mm)を、屈曲軸(仮想軸)7に沿うように配置して行った。また、曲げ半径(R)については、1mmの条件で行い、スライド速度80mm/秒、X1〜X2間の距離20mmの条件で試験を行った。評価については、1万回毎に破断の有無を観察して破断しない最大回数を求めた。なお、「X回後に破断なし」という表記は、最大行った試験回数X回後に破断していなかったことを表し、それ以降は試験を行っていない。
[透過率の測定]
得られた硬化フィルムの全光線透過率及びヘイズを分色度・濁度測定器(日本電色工業株式会社製COH 400)を用いて測定した。以下の基準で評価した。
(1)全光線透過率
◎:90%以上
○:70%以上、90%未満
△:50%以上、70%未満
×:50%未満
(2)ヘイズ
◎:10%以下
○:10%より大きく、20%以下
△:20%より大きく、30%以下
×:30%より大きい
得られた硬化フィルムの温度25℃における波長830nmでの屈折率をプリズムカプラ(SAIRON TECHNOLOGY社製、SPA−4000)を用いて測定した。
バインダポリマーとして、フェノキシ樹脂のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(東都化成株式会社製YP−70、固形分40質量%)63質量部(固形分25質量部)、重合性化合物として、エトキシ化フルオレン型ジアクリレートのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(新中村化学工業株式会社A−BPEF/PGMAC70、固形分70質量%)54質量部(固形分38質量部)、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(新中村化学工業株式会社EA−1020)38質量部、光ラジカル重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)1質量部、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)1質量部を秤量し、攪拌混合した後に、減圧脱泡し、コア部形成用樹脂ワニスCOV−1を得た。
コア部形成用樹脂ワニスCOV−1を、PETフィルム(東洋紡績株式会社製A1517、厚み16μm)の非処理面上に、クラッド層形成用樹脂フィルムと同様な方法で塗布乾燥し、次いで保護フィルムとして表面離型処理PETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、A31、厚み25μm)を貼付け、コア部形成用樹脂フィルムCOF−1を得た。このとき樹脂層の厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能であるが、本実施例では硬化後の膜厚が、70μmとなるように調節した。
コア部形成用樹脂フィルムCOF−1に、紫外線露光機(大日本スクリーン株式会社製MAP−1200−L)を用い、紫外線(波長365nm)を2000mJ/cm2照射した。保護フィルム(A31)を除去し、160℃で1時間加熱処理後、支持フィルム(A1517)を除去して厚み50μmの硬化フィルム(温度25℃における波長830nmでの屈折率1.586)を得た。なお、屈折率は上記と同様の方法で測定した。
前記紫外線露光機を用い、下部クラッド層形成用樹脂フィルム1Fに紫外線(波長365nm)を4000mJ/cm2照射した。保護フィルム(A31)を除去して、下部クラッド層を形成した。
次いで、幅50μmのネガ型フォトマスクを介し、上記紫外線露光機で紫外線(波長365nm)を500mJ/cm2照射し、次いで80℃で5分間露光後加熱を行った。支持フィルム(A1517)を除去し、現像液(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/N,N−ジメチルアセトアミド=70/30質量比)を用い、コア部を現像した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル、次いでイソプロパノールを用いて洗浄し、100℃で10分加熱乾燥した。
続いて、上部及び下部クラッド層形成用樹脂フィルム1Fの支持フィルム(A4100)を除去し、光導波路を得た。その後、ダイシングソー(株式会社ディスコ製DAD−341)を用いて導波路長10cmの光導波路を切り出した。
表に示す配合比に従ってクラッド層形成用樹脂ワニス2〜5を調合し、実施例1と同様な方法で、クラッド層形成用樹脂フィルム2F〜5Fを作製した。硬化フィルムのTg測定、引張り試験、折り曲げ式屈曲耐久試験、スライド式屈曲耐久試験、屈折率、及び捻回耐久試験、並びに全光線透過率及びヘイズ測定を実施した結果を表1に示す。
続いて、これらのクラッド層形成用樹脂フィルム2F〜5Fを用いて、実施例1と同様な方法で、光導波路を作製した。
*2:エポキシ基含有アクリルゴムのシクロヘキサノン溶液(日立化成工業株式会社製、重量平均分子量94万、エポキシ基含有量2質量%)
*3:エポキシ基含有アクリルゴムのシクロヘキサノン溶液(日立化成株式会社製、重量平均分子量77万、エポキシ基含有量2質量%)
*4:エポキシ基含有アクリルゴムのシクロヘキサノン溶液(ナガセケムテックス株式会社製、重量平均分子量90万、エポキシ基含有量6質量%)
*5:エポキシ基含有アクリルゴムのシクロヘキサノン溶液(ナガセケムテックス株式会社製、重量平均分子量84万、エポキシ基含有量5質量%)
*6:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学株式会社製DPE−6A)
*7:カルボン酸含有アクリレート(新中村化学株式会社製CBX−0)
*8:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、
*9:1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)
*10:◎:90%以上 ○:70%以上、90%未満 △:50%以上、70%未満、×:50%未満、フィルム厚み110μmの条件で測定
*11:◎:10%以下、○:10%より大きく、20%以下、△:20%より大きく、30%以下、×:30%より大きい、フィルム厚み110μmの条件で測定
表1に示す配合比に従ってクラッド層形成用樹脂ワニスを調合し、実施例1と同様な方法で、クラッド層形成用樹脂フィルム6Fを作製した。硬化フィルムのTg測定、引張り試験、折り曲げ式屈曲耐久試験、スライド式屈曲耐久試験、屈折率、及び捻回耐久試験、並びに全光線透過率及びヘイズ測定を実施した結果を表1に示す。
続いて、これらのクラッド層形成用樹脂フィルム6Fを用いて、実施例1と同様な方法で、光導波路を作製した
実施例1〜5の光導波路は折り曲げ式屈曲耐久試験、捻回耐久試験、スライド式屈曲耐久試験を10万回以上行ってもクラックや破断のない、屈曲耐久性、捻回耐久性に優れるものであった。
これに対して、比較例の光導波路は、硬化物のTgが50℃以上であるため、屈曲耐久性、捻回耐久性に劣るものであった。
2.コア部
3.上部クラッド層(第2のクラッド層)
4.下部クラッド層(第1のクラッド層)
5.基材
6.クラッド層形成用樹脂組成物の硬化フィルム
7.屈曲軸(仮想軸)
Claims (9)
- (A)重量平均分子量が10万超、300万以下で、ガラス転移温度(Tg)が−50℃超、20℃以下であるエポキシ基含有アクリルゴム、(B)ウレタン(メタ)アクリレート、(C)分子中にウレタン結合を有しない(メタ)アクリレート及び(D)ラジカル重合開始剤を含む樹脂組成物で、該樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が10℃から50℃の範囲内である、光導波路のクラッド層形成用樹脂組成物。
- (A)エポキシ基含有アクリルゴムのガラス転移温度が5℃以下である、請求項1に記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
- (A)エポキシ基含有アクリルゴムが、(A)エポキシ基含有アクリルゴムを構成する炭素数3以上のアルキル(メタ)アクリレート単位を50重量%以上含む、請求項1又は2に記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
- 前記(A)エポキシ基含有アクリルゴム100質量部に対して、(B)成分及び(C)成分の配合量の総量が10〜200質量部であり、(B)成分と(C)成分の配合量が、(B)100質量部に対して、(C)5〜500質量部であり、(D)ラジカル重合開始剤の配合量が(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量100質量部に対して、0.1〜10質量部である、請求項1〜3のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
- 前記クラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの、曲げ半径1mmの折り曲げ式屈曲耐久試験を10万回実施後、破断のない請求項1〜4のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
- 前記クラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの、捻回耐久試験を10万回実施後、破断のない請求項1〜5のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
- 前記クラッド層形成用樹脂組成物を硬化してなる硬化フィルムの、曲げ半径1mmのスライド式屈曲耐久試験を10万回実施後、破断のない請求項1〜6のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のクラッド層形成用樹脂組成物を用いて下部クラッド層と上部クラッド層のうち少なくとも一方の層を形成し得られる光導波路。
- 請求項8に記載の光導波路を用いて得られる光モジュール。
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