JP2012046879A - パネルの目地構造およびその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】定形材を複雑でコスト高な形状とすることなく容易に保持することができるようにし、尚かつ目地の改修の際における定形材の除去に手間を要しないようにする。
【解決手段】2枚のパネル1の連接部に凹状に形成された溝2と、溝2の底面2a側に打設された不定形シーリング材3と、該不定形シーリング材3の表面3aが未硬化のうちに溝2に装填され、当該不定形シーリング材3の表面3aの接着力によって保持された定形材4と、を含む。パネル1がALCからなり、該ALCの表面から溝2の底面2aにかけて、不定形シーリング材3が打設される前に予め塗膜層5が形成されていることが好ましい。
【選択図】図4
【解決手段】2枚のパネル1の連接部に凹状に形成された溝2と、溝2の底面2a側に打設された不定形シーリング材3と、該不定形シーリング材3の表面3aが未硬化のうちに溝2に装填され、当該不定形シーリング材3の表面3aの接着力によって保持された定形材4と、を含む。パネル1がALCからなり、該ALCの表面から溝2の底面2aにかけて、不定形シーリング材3が打設される前に予め塗膜層5が形成されていることが好ましい。
【選択図】図4
Description
本発明は、パネルの目地構造およびその施工方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、建物の外壁等におけるパネルの目地構造およびその施工方法の改良に関する。
建物の外壁パネル間の目地を水密構造とするため、当該目地部に不定形シーリング材を打設したり、定形シーリング材又はガスケットと呼ばれる定形材を装填したりすることが行われている。
また、不定形シーリング材を打設したのちに防水性能を有する定形材若しくは防水性能を有しない定形材を装填した不定形シーリング材と定形材の組み合わせによる目地構造も存在する。このような構成の目地構造の場合、装填された定形材が容易に離脱しないよう、当該定形材に頭部を有する突起部を設けておき、当該突起部を上述した不定形シーリング材内部に差し込み埋設するといったことが一般的に行われている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、定形材に突起部を設けると形状が複雑になり製造に手間やコストがかかるという問題がある。また、定形材の形状が複雑になると、経年後の目地部の改修作業の際、当該定形材の除去に手間がかかるという問題もある。
そこで、本発明は、複雑な形状としなくとも、定形材が安定して保持され、尚かつ目地部の改修時の定形材の除去に手間を要することがないパネルの目地構造およびその施工方法を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するため、本発明にかかるパネルの目地構造は、2枚のパネルの連接部に凹状に形成された溝と、該溝の底面側に打設された不定形シーリング材と、該不定形シーリング材の表面が未硬化のうちに溝に装填され、当該不定形シーリング材の表面の接着力によって保持された定形材と、を含むことを特徴とする。
本発明にかかる目地構造によれば、不定形シーリング材の接着力を利用して定形材を保持することができることから、定形材に従来のごとく突起部などを設ける必要がない。したがって、定形材を、特に複雑な形状とせずとも溝の所定位置に保持することができる。また、改修の際に当該定形材を容易に除去できるようにもなる。
このようなパネルの目地構造においては、パネルがALCからなり、該ALCの表面から溝の底面にかけて、不定形シーリング材が打設される前に予め塗膜層が形成されていることが好ましい。この場合、ALCの素地が露わになっていないので、施工中に飛散することがある粉や塵埃により接着力が低下するのを抑制しやすい。また、溝に泥や油などの異物が付着しにくく、仮に付着しても洗浄しやすいので、定形材を安定に保持した状態を維持することができる。
本発明にかかるパネルの目地構造は、建物の外壁に適用されて好適である。
また、パネルの目地構造は、定形材が溝に装填された後に当該定形材およびパネルの表面に上塗りされた上塗り塗膜層をさらに備えることも好ましい。上塗り塗膜層によって、定形材をさらに堅固かつ永続的に保持することが可能である。
また、本発明にかかる施工方法は、パネルの目地構造の施工方法であって、2枚のパネルの連接部に凹状の溝を形成し、該溝の底面側に不定形シーリング材を打設し、該不定形シーリング材の表面が未硬化のうち定形材を溝に装填し、当該不定形シーリング材の表面の接着力によって定形材を保持する、というものである。
本発明によれば、複雑な形状とせずとも定形材が安定して保持され、尚かつ目地の改修の際における定形材の除去に手間を要しないようにすることができる。
以下、本発明の好適な実施形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1〜図4に、本発明にかかるパネルの目地構造およびその施工方法を建物の外壁を構成する外壁パネルに適用した場合の一例を示す。本実施形態における外壁パネル1の目地構造は、外壁パネル1,1の連接部に凹状に形成された溝2の底面2a側に不定形シーリング材3を打設し、該不定形シーリング材3の表面が未硬化のうちに溝2に定形材4を装填してなる水密の構造である。
外壁パネル1は、例えば一般的に流通しているALC(Autoclaved Light-weight Concrete;軽量気泡コンクリート)からなる板状部材であり、例えば鉄骨造建物の外周部に取り付けられて外壁を構成する。なお、外壁パネル1の他の具体例としては、PCa板、GRC、押出し成形セメント板、窯業系サイディング、金属サイディング、塗装鋼板、金属パネル、ガラス、石材等が挙げられる。
外壁パネル1の表面側の端縁部は切り欠かれており、2枚の外壁パネル1を連接することによって、その連接部に凹状の溝2が形成されている(図1等参照)。なお、特に図示していないが、この溝2は深くなるにつれ幅狭となるように、溝2の側面が傾斜したものや階段状に段差が設けられたものであってもよい。
不定形シーリング材3は、溝2に打設されて外壁パネル1間の連接部(目地)を水密構造とするものである(図3等参照)。不定形シーリング材3としては、外壁パネルの材質等に応じて一般的に流通している湿式シーリング材を適宜選択して用いることができ、特にALCからなる外壁パネルに対しては、柔軟性に富み、地震等の外力により変形した際に母材の破壊を生じさせにくい変成シリコーン系、アクリルウレタン系、ポリウレタン系等のシーリング材が好ましい。また、具体例として、JIS A 5758:1997に規定されるシリコーン系、変性シリコーン系、ポリサルファイド系、アクリルウレタン系、ポリウレタン系、変性ポリサルファイド系、アクリル系、SBR系、ブチルゴム系、ポリイソブチレン系のものなどが挙げられる。ペースト状の不定形シーリング材3は、例えばシーリングガンを用いて溝2に打設され、その後、へらを用いてその表面3aを加圧することで溝2の底面2a側に密実に充填されると同時に表面3aが平滑に仕上げられる。
定形材4は、不定形シーリング材3が耐用年数に達した際に、溝2に新たな不定形シーリング材を打設する為の打設しろを予め確保しておく為のものであり、溝2の幅寸法に対応した幅寸法を有し、上述の不定形シーリング材3に重ね合わされるように溝2に装填される。
定形材4は、上述した不定形シーリング材3の表面3aが硬化するまでの間に溝2に装填され、当該不定形シーリング材3の表面3aの接着力によって保持される(図4参照)。より具体的には、不定形シーリング材3が未硬化で表面3aに粘着性がある状態で、当該不定形シーリング材3の表面3aと定形材4とが密着するように定形材4を溝2へ装填され、不定形シーリング材3が未硬化の状態では該不定形シーリング材3の粘着性による接着力によって保持され、また不定形シーリング材3が硬化するにつれて化学的な接着力によって保持される。このように不定形シーリング材3が有する接着力を利用して定形材4を保持することとすれば、接着材などを別途使用する必要がない。なお、定形材4は、一般的に建築用ガスケット材として流通しているプラスチック系や合成ゴム系の材料で形成することができるが、このように不定形シーリング材3の接着力によって保持されることからすれば、当該不定形シーリング材3との接着性能が良好な塩化ビニルやTPU(熱可塑性ポリウレタン)や天然ゴムなどであることが好ましい。
このような不定形シーリング材3と定形材4の組み合わせによる目地構造において、建物の新築当初から所定年数(不定形シーリング材3の耐用年数)が経過して改修が必要となった際に、一般的には、不定形シーリング材3を除去したうえで新たな不定形シーリング材を打設するものであるところを、不定形シーリング材3を除去することなく定形材4のみを除去し、このとき溝2に形成される空隙に新規な不定形シーリング材を打設することを可能としている。この点を考慮すると、定形材4の厚さは改修後に求められる性能(耐用年数)に応じたものとしておくことが好ましい。例えば、新築当初に溝2に打設された不定形シーリング材3と同等の性能を有する新規な不定形シーリング材を改修時に当該空隙に打設し、次回の改修までの期間を新築から最初の改修までの期間と同等とすることを意図する場合には、定形材4の厚さを、不定形シーリング材3の厚さとほぼ等しい厚さに確保しておくことが好ましい。また、改修時、当初打設された不定形シーリング材3よりも高性能な不定形シーリング材を用いることが想定される場合は、その性能の度合いに応じて定形材4の厚さを小さくすることもできる。
塗膜層5は、外壁パネル1の表面から溝2の底面2aにかけて塗布された塗料によって形成されている。塗料は、例えば合成樹脂エマルジョンあるいは溶液形合成樹脂などであり、塗装範囲は、少なくとも当該外壁パネル1の表面から溝2の底面2a(を構成する切り欠き面)に至るまでの範囲である。本実施形態では、建物の躯体に取り付けられる前の段階、例えば外壁パネル1の製造工場等において、外壁パネル1の表面に塗料を予め塗布して塗膜層5を形成しているが、外壁パネル1を建物の躯体に取り付けた後に塗料を塗布して塗膜層5を形成することもできる(図2等参照)。
続いて、外壁パネル1の目地構造の施工手順について以下に説明する(図1等参照)。
まず、予め工場において表面及び溝2の底面2aに塗装を施して塗膜層5が形成された外壁パネル1を、建物の外周部に連接するように取り付ける。このとき、隣接する外壁パネル1の間の連接部(目地)に溝2が形成される(図1参照)。
続いて、溝2の不定形シーリング材3が接触する面に適宜プライマーを塗布したのち、溝2にシーリングガンを用いて不定形シーリング材3を打設し(図3参照)、その後、へらを用いて加圧することで、当該不定形シーリング材3を溝2に密実に打設しながらその表面3aを平滑に仕上げる。この際、溝2の表面側には定形材4の装填しろを確保しておく。
次に、この不定形シーリング材3の表面3aが硬化する前に、定形材4を溝2に装填し、該不定形シーリング材3の表面3aの接着力によって保持させる(図4参照)。具体的には、作業者らが定形材4を溝2に押し込むといった動作により、定形材4を不定形シーリング材3の表面3aに密着させてその粘着力によって接着させることができる。
その後、外壁パネル1と定形材4の表面に同時に上塗り塗料を吹き付けて上塗り塗膜層6を形成する(図4参照)。
ここまで説明したように、本実施形態における外壁パネル1の目地構造によれば、不定形シーリング材3の接着力を利用して定形材4を保持させるため該定形材4に突起部等を設ける必要がなく、低コスト化を図ることが可能である。
また、不定形シーリング材3を打設した後、直ちに定形材4を装填することができるうえ、その際に不定形シーリング材3には美観的性能が要求されないため仕上げ工事が簡略化でき、工期短縮、費用削減を図ることが可能である。
さらに、定形材4の形状を複雑にする必要がないので、経年後の目地の改修時、当該定形材4を除去する際に従来ほどの手間を要しないという利点もある。
上述した実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、上述した実施形態では、外壁パネル1は予め塗装が施されて塗膜層5が形成された状態で施工現場へと搬入され、建物の外周部に取り付けられた後に上塗り塗料を塗装して上塗り塗膜層6が形成されるものであるが、例えば、外壁パネル1に予め上塗り塗膜層6も形成して建設現場で上塗り塗膜層6を形成する工程を省略し、溝2には予め仕上げを施した定形材4を装填するようにすることもできる(図4参照)。
また、上述した実施形態では、不定形シーリング材3の接着力を利用して定形材4を保持するようにしたが、場合によっては、不定形シーリング材3の接着力によって定形材4を一時的に保持し、別手段(例えば上塗り塗料6)で当該定形材4を更に安定して保持することも可能である(図4参照)。
1…外壁パネル(パネル)、2…溝、2a…溝の底面、3…不定形シーリング材、3a…不定形シーリング材の表面、4…定形材、5…塗膜層、6…上塗り塗膜層
Claims (4)
- 2枚のパネルの連接部に凹状に形成された溝と、
該溝の底面側に打設された不定形シーリング材と、
該不定形シーリング材の表面が未硬化のうちに前記溝に装填され、当該不定形シーリング材の表面の接着力によって保持された定形材と、を含むことを特徴とするパネルの目地構造。 - 前記パネルがALCからなり、該ALCの表面から前記溝の底面にかけて、前記不定形シーリング材が打設される前に予め塗膜層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパネルの目地構造。
- 前記定形材が前記溝に装填された後に当該定形材および前記パネルの表面に上塗りされた上塗り塗膜層をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のパネルの目地構造。
- パネルの目地構造の施工方法であって、
2枚のパネルの連接部に形成された凹状の溝の底面側に不定形シーリング材を打設し、
該不定形シーリング材の表面が未硬化のうち前記定形材を前記溝に装填し、
当該不定形シーリング材の表面の接着力によって前記定形材を保持する、パネルの目地構造の施工方法。
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