JP2012046821A - ピストンリング - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性と耐スカッフ性に優れ、かつ相手攻撃性の低い溶射積層皮膜が密着性よく形成されてなるピストンリングを提供する。
【解決手段】Mo粉末とNi基自溶性合金粉末とCu又はCu合金粉末とを少なくとも含む混合粉末を溶射してなる溶射下地層3と、Cuを含有する溶射表面層とをその順で摺動面に形成したピストンリングであって、その溶射下地層3は、50〜80質量%のMoと、1〜12質量%のCu又はCu合金と、残部:Ni基自溶性合金とを少なくとも含有し、溶射下地層3の摺動面に現れるCu又はCu合金相の面積率が0.5〜15%であり、溶射表面層は、70〜100質量%のCuを含有するようにして上記課題を解決した。
【選択図】図1

Description

本発明は、ピストンリングに関し、更に詳しくは、耐摩耗性、耐スカッフ性及び初期なじみ性に優れ、かつ相手攻撃性の低い溶射積層皮膜が密着性よく形成されてなるピストンリングに関する。
近年、内燃機関の高出力化と高性能化に伴い、ピストンリング等の摺動部材の使用環境はますます厳しくなっており、良好な耐摩耗性、耐スカッフ性を有する摺動部材が要求されている。
従来、内燃機関用ピストンリング等の摺動部材の耐摩耗性や耐スカッフ性を改善する手段として、例えば自動車用のピストンリングにおいては、その摺動面にPVD皮膜や窒化処理層等の表面処理が施されている。これらの表面処理のうち、特にPVD皮膜は、優れた耐摩耗性を示すことから、過酷な運転条件の下で使用されるピストンリングに対する表面処理として広く実用に供されている。
また、船舶用等の大きいサイズのピストンリングにおいては、その摺動面に硬質クロムめっき皮膜やプラズマ溶射法によるセラミック皮膜等の表面処理が施されている。これらの表面処理のうち、特にプラズマ溶射法により形成した炭化クロム等の硬質セラミック相と金属相とからなるサーメット溶射皮膜は、耐摩耗性と耐焼付き性に優れている。
プラズマ溶射皮膜についての先行技術として、下記の特許文献1〜5を挙げる。特許文献1には、Cr,B,Si,C,Fe,Coを含有するNi基自溶性合金粉末:80〜40重量%と、Mo粉末:20〜60重量%との混合粉末を基材表面にプラズマ溶射して溶射層を設けた摺動部材が、耐摩耗性と耐スカッフ性を要求される摺動部材として提案されている。また、特許文献2には、外周面に形成した耐剥離強度の高い下地溶射皮膜上に耐摩耗性・耐スカッフ性に優れる表層部の溶射皮膜を備えるピストンリングにおいて、下地溶射皮膜が粒度44〜125μm未満のMo60〜80重量%と、粒度10〜64μm未満のNi基自溶性合金20〜40%との溶射材からなり、かつその皮膜厚さが20〜100μmであるピストンリングが提案されている。また、特許文献3には、Mo金属相、もしくは10体積%以上のMo金属相とFe,Ni,Co,Cr,Cu,Znの1種以上を含有する金属相及び/又は合金相とからなる溶射皮膜摺動材料が提案されている。この特許文献3においては、その金属相及び/又は合金相が、密着性、皮膜靭性、緻密性を改善するものとされている。
また、特許文献4には、NiCr合金相と炭化クロムからなる硬質セラミック相とを有し、気孔率が1%以下の溶射膜を摺動面に形成してなるピストンリングが提案されている。この溶射膜は、HVOF溶射法又はHVAF溶射法により気孔率を1%以下にすることによって、硬質セラミック相による相手材への攻撃性を低減させることができるとされている。また、特許文献5には、MoとNiCr合金と炭化クロムからなるサーメット領域とが混在した組織の溶射皮膜を摺動面に形成してなるピストンリングが提案されている。この溶射皮膜は、耐摩耗性・耐スカッフ性に優れ、相手材攻撃性が低いとされている。
特開昭59−150080号公報 特開平3−260474号公報 特開2004−346417号公報 特開2005−155711号公報 特開2007−314839号公報
船舶用等の大きいサイズのピストンリングにおいては、その摺動面に溶射皮膜を形成する場合が多いが、こうしたピストンリングにおいては、自身の摩耗が小さい特性(耐摩耗性)を有することに加え、相手材の摩耗が小さい特性(相手攻撃性が低い)を有することが重要である。特に船舶用のピストンリングでは、定期的にピストンリングを交換しながら運航するため、ピストンリング自身の耐摩耗性よりも、耐スカッフ性や相手材であるボアの摩耗を低減できることに重きがおかれる傾向がある。さらに、交換した後においては、ボアに対する初期なじみ性に優れることが要求されている。
しかしながら、上記特許文献1〜5で提案されたピストンリングは、こうした要求に対して満足できるものではなかった。例えば特許文献1〜3で提案された溶射皮膜では、初期なじみ性及び耐相手攻撃性が十分ではなく、また、特許文献4,5で提案されたピストンリングは、炭化クロム等の硬質セラミック相に基づく耐摩耗性は優れるものの、依然として相手攻撃性が高く、また、耐スカッフ性や初期なじみ性も十分とは言えなかった。そのため、ピストンリングに対する表面処理として、ピストンリングの耐摩耗性、耐スカッフ性及び初期なじみ性に優れ、かつ相手攻撃性の低い溶射皮膜の開発が望まれていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、耐摩耗性と耐スカッフ性に優れ、かつ相手攻撃性の低い溶射積層皮膜が密着性よく形成されてなるピストンリングを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係るピストンリングは、Mo粉末とNi基自溶性合金粉末とCu又はCu合金粉末とを少なくとも含む混合粉末を溶射してなる溶射下地層と、Cuを含有する溶射表面層とをその順で摺動面に形成したピストンリングであって、前記溶射下地層は、50〜80質量%のMoと、1〜12質量%のCu又はCu合金と、残部:Ni基自溶性合金とを少なくとも含有し、該溶射下地層の摺動面に現れるCu又はCu合金相の面積率が、0.5〜15%であり、前記溶射表面層は、70〜100質量%のCuを含有することを特徴とする。ここで、「摺動面に現れる」とは、摺動面側より摺動面自身を研磨した後の面に現れることを指す。
この発明では、高融点金属で耐摩耗性と耐スカッフ性に優れたMoをベース金属とし、そこに自溶性のNi基合金をバインダーとし、さらにCu又はCu合金を分散させた溶射下地層としている。この溶射下地層は、Ni基自溶性合金をバインダーとすることでさらに耐摩耗性が向上し、Mo及びNi基自溶性合金の間にCu又はCu合金を分散させることで相手攻撃性を低下させることができる。しかも、その溶射下地層の摺動面には、0.5〜15%の面積率でCu又はCu合金相が必ず現れるので、耐スカッフ性を向上させることができるという効果がある。さらに、この発明では、その溶射下地層上に、70〜100質量%のCuを含有する溶射表面層を設けているので、初期なじみ性を向上させ且つ相手攻撃性をより一層低下させることができるという効果がある。しかも、溶射下地層と溶射表面層の両方がCuを含むので、それらで構成される溶射積層皮膜の密着性(層間密着性)が高まり、上記効果をより持続させることができる。
本発明に係るピストンリングにおいて、前記溶射下地層の断面に現れるCu又はCu合金相の面積率が、0.1〜10%であることが好ましい。
本発明に係るピストンリングが、船舶用ピストンリングであることが好ましい。
本発明に係るピストンリングによれば、耐摩耗性と耐スカッフ性のよいMo金属にNi基自溶性合金をバインダーとすることでさらに耐摩耗性が向上し、Cu又はCu合金を所定の面積率で分散させることで耐スカッフ性を向上させ且つ相手攻撃性を低下させることができる。しかもその溶射下地層上には、Cuを所定量含有する溶射表面層を設けているので、初期なじみ性を向上させ且つ相手攻撃性をより一層低下させることができるとともに、溶射下地層と溶射表面層とで構成される溶射積層皮膜の密着性(層間密着性)が高まり、上記効果をより持続させることができる。こうした本発明に係るピストンリングは、例えば船舶用等の大きいサイズのピストンリングのように交換して用いるピストンリングの摺動面に対して好ましく適用される。
本発明に係るピストンリングの一例を示す断面図である。 本発明を構成する溶射下地層の摺動面を研磨した後の面に現れるCu又はCu合金相の形態を示す説明図である。 本発明を構成する溶射下地層のピストンリング軸方向断面に現れるCu又はCu合金相の形態を示す説明図である。 本発明に係る溶射積層皮膜のピストンリング軸方向断面に現れるCu又はCu合金相の形態を示す説明図である。 摩耗量測定に用いた高負荷型摩耗試験機の構成原理図である。 スカッフ荷重測定に用いた回転式平面滑り摩擦試験機の構成原理図である。
以下、本発明に係るピストンリングについて詳しく説明する。図1は本発明に係るピストンリングの一例を示す断面図である。
本発明に係るピストンリング1は、図1に示すように、ピストンリング母材2の外周摺動面に、溶射下地層3と溶射表面層4とをその順で積層してなる溶射積層皮膜5が形成されている。詳しくは、溶射積層皮膜5は、Mo粉末とNi基自溶性合金粉末とCu又はCu合金粉末とを少なくとも含む混合粉末を溶射してなる溶射下地層3と、Cuを含有する溶射表面層4とで構成されている。そして、その溶射下地層3は、50〜80質量%のMoと、1〜12質量%のCu又はCu合金と、残部:Ni基自溶性合金とを少なくとも含有している。また、溶射表面層4は、70〜100質量%のCuを含有している。
本発明に係るピストンリング1の各構成を説明する。
(ピストンリング母材)
溶射積層皮膜5を形成する対象となるピストンリング母材2としては、各種のものを挙げることができるが、例えば、ボロン鋳鉄、片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、CV鋳鉄、スチール等を挙げることができる。
(溶射下地層)
溶射下地層3は、プラズマ溶射やHVOF溶射によってピストンリング1の摺動面に形成される。プラズマ溶射は、プラズマ溶射ガンで生じるプラズマジェットを用いて溶射材料を加熱・加速し、溶融又はそれに近い状態にして基材に吹き付ける溶射のことである。原理は公知のとおりであるが、陰極と陽極との間に電圧をかけて直流アークを発生させると、後方から送給される作動ガス(アルゴンガス等)が電離し、プラズマを発生する。そのプラズマフレーム中に溶射材料をアルゴンガス等で送給し、基材に吹き付けることによって溶射下地層3がピストンリング母材2上に形成される。一方、HVOF(High Velocity Oxygen Fuelの略)溶射は、酸素と燃料を使用した高速度ジェットフレームの溶射のことである。具体的には、高圧の酸素及び燃料の混合ガスを燃焼室内で燃焼させ、その燃焼炎がノズルにより絞られ、大気に出た瞬間に急激なガス膨張が発生し、超音速のジェットとなる。高い加速エネルギーにより加速された溶射材料は、ほとんど酸化や組成変化せず、高密度の溶射下地層3がピストンリング母材2上に形成される。
溶射材料としては、成膜後の溶射下地層3のMoの含有量が50〜80質量%となるMo粉末と、Cu又はCu合金の含有量が1〜12質量%となるCu粉末又はCu合金粉末と、残部がNi基自溶性合金となるNi基自溶性合金粉末と、を少なくとも含むものが用いられる。溶射下地層3の各金属又は合金の含有量と、溶射材料中の粉末成分の組成割合とは、通常同じであるので、前記の溶射下地層3の各含有量は、溶射材料の成分割合と言うことができる。したがって、溶射下地層3を所望の成分割合とするために、溶射材料を構成する粉末の配合量を調整することができる。
Moは、溶射下地層3中に50〜80質量%含まれる高融点の金属である。このMoを含有する溶射下地層3は、耐摩耗性や耐スカッフ性に優れるので、Moは、ピストンリングに形成する溶射下地層3のベース金属として好ましく用いられる。Moの含有量が50質量%未満では、耐摩耗性と耐スカッフ性が劣る。一方、Moの含有量が80質量%を超えると、コスト高の原因になる。Moの含有量を50質量%以上80質量%以下の範囲とすれば、所望の耐摩耗性と耐スカッフ性を得ることができることは確認済みである。Moの含有量は、後方散乱測定装置を用いて定量した値で表している。溶射材料としてのMo粉末としては、平均粒径10〜63μmのものが好ましく用いられるが、特にその大きさは限定されない。このMo粉末の平均粒径は、粒度分布測定装置で測定したもので表している。
Ni基自溶性合金は、溶射下地層3中に、Mo、Cu又はCu合金、必要に応じて含まれる他の金属又は合金、及び不可避不純物、の残部として含まれる自溶性合金であり、ベース金属であるMoのバインダーとして作用する。さらに、このNi基自溶性合金が自溶性合金であることから、良好な耐摩耗性が得られるという利点がある。Ni基自溶性合金としては、NiCr合金、NiCo合金等を挙げることができ、特にNiCr合金が好ましい。Ni基自溶性合金は溶射下地層3中にMoとCu又はCu合金等の残部として含まれるので、その含有量は一概には言えないが、Ni基自溶性合金の含有量が20質量%未満では、Moのバインダーとしての効果が薄れ、溶射下地層3を構成するMo溶融粒子間の密着力が低下することがある。一方、Ni基自溶性合金の含有量が50質量%を超えると耐スカッフ性が低下することがあるが、本願では例えば50質量%のMoと1質量%のCu又はCu合金を含む溶射下地層3の残部(Ni基自溶性合金)の最大含有量は49質量%となるので、この問題は生じない。ここでのNi基自溶性合金の含有量も上記同様、後方散乱測定装置を用いて定量した値で表している。溶射材料としてのNi基自溶性合金粉末としては、平均粒径10〜68μmのものが好ましく用いられるが、特にその大きさは限定されない。このNi基自溶性合金粉末の平均粒径は、粒度分布測定装置で測定したもので表している。
Cu又はCu合金は、溶射下地層3中に1〜12質量%含まれる。このCu又はCu合金がNi基自溶性合金をバインダーとしたMoベース金属中に含まれることにより、優れた耐摩耗性及び耐スカッフ性を示すとともに、相手攻撃性の低い溶射下地層3となる。
Cu又はCu合金としては、Cu、CuAlFe合金(例えばCu−9Al−1Fe合金)、CuNi合金等を挙げることができる。特に、CuとCuAlFe合金が好ましく、それらの一方を用いてもよいし、両方を混ぜたものであってもよい。両方を混ぜた場合には、Cu及びCu合金の含有量を前記の範囲内とする。Cu又はCu合金の含有量が1質量%未満では、耐スカッフ性に劣ることがある。一方、Cu又はCu合金の含有量が12質量%を超えると、溶射下地層3のビッカース硬度が低下し、耐摩耗性が低下することがある。Cu又はCu合金の含有量を1質量%以上12質量%以下の範囲とすれば、良好な耐スカッフ性及び耐摩耗性を得ることができることは確認済みである。Cu又はCu合金の含有量も上記同様、後方散乱測定装置を用いて定量した値で表している。溶射材料としてのCu粉末又はCu合金粉末としては、平均粒径43〜98μmのものが好ましく用いられるが、特にその大きさは限定されない。この粉末の平均粒径も上記同様、粒度分布測定装置で測定したもので表している。
溶射下地層3は、これら以外の金属粉又は合金粉を配合させた原料粉末を用いて形成してもよい。その際には、本発明の特徴が損なわれないことが前提である。
(Cu又はCu合金相の形態)
図2は、形成した溶射下地層3の摺動面に現れるCu又はCu合金相の形態を示す説明図であり、図3は、形成した溶射下地層3の断面に現れるCu又はCu合金相の形態を示す説明図である。図2の平面図は、摺動面自身を研磨した後に現れる面を観察したものであり、図3の断面図は、溶射下地層を形成した後のピストンリングを摺動面に直交する面で切断した断面(ピストンリング軸方向断面)を研磨した後に現れる面を観察したものである。図2や図3に示す組織形態は、金属顕微鏡を用いて観察した。
溶射下地層3は、図2及び図3に示すように、MoからなるMo金属相、Ni基自溶性合金からなるNi基自溶性合金相、及び、Cu又はCu合金からなるCu又はCu合金相を有している。特にCu又はCu合金相は、図2及び図3に示すように、摺動面の面内方向に伸張され且つ摺動面の法線方向に圧縮された偏平形状を呈している。こうした偏平形状からなるCu又はCu合金相は、溶射下地層3の摺動面に引き延ばされた態様で必ず現れており、しかも溶射下地層3の厚さ方向にMo金属相やNi基自溶性合金相の間に積み重ねられた様相で且つ溶射下地層3内に均一又は略均一に分布(分散)した態様で存在している。
そして、溶射下地層3の摺動面に均一又は略均一に分布(分散)した態様で現れるCu又はCu合金相を面積率で表せば、0.5%以上、15%以下の割合で存在する。Cu又はCu合金相が、相手材と摺動して摩耗した摺動面に、面内方向に伸張された態様で且つ前記の面積率の割合で常に存在することにより、耐スカッフ性が向上する。Cu又はCu合金相の面積率が0.5%未満では、耐スカッフ性が十分ではないことがあり、一方、Cu又はCu合金相の面積率が15%を超えると、ビッカース硬度が低下し、耐摩耗性が不十分となることがある。なお、「摺動面に現れる」とは、摺動面側より摺動面自身を研磨した後の面に現れることを指す。
こうした面積率で摺動面に現れるCu又はCu合金相は、溶射下地層3の断面には、0.1%以上、10%以下の面積率で存在する。図3に示すように、Cu又はCu合金相は、溶射下地層3の厚さ方向に圧縮され、積み重ねられた様相で存在している。本発明の溶射下地層3を主に形成するプラズマ溶射やHVOF溶射においては、溶射材料を溶融又はそれに近い状態にしてピストンリングの摺動面に吹き付けるので、摺動面に溶射された粉末材料は基材上に押し潰れた状態で積み重なり、図2及び図3に示す偏平形状となって摺動面に形成される。したがって、溶射下地層3内に存在するCu又はCu合金相は、摺動面側より平面視したときは0.5〜15%の面積率で存在するものの、断面視したときは0.1〜10%という低い面積率で存在する。
溶射下地層3に存在するCu又はCu合金相の大きさは、観察する方向によって異なる。例えば図2に例示したように摺動面側より平面視した場合の大きさは20μm〜150μmであり、一方、図3に例示したように摺動面を断面視した場合の大きさも20μm〜150μmであった。この大きさは、用いた原料粉末の大きさや溶射条件によっても異なるが、およそ上記範囲内であることが好ましい。なお、平面視したときと断面視したときの大きさは同じであってもその形状は異なり、平面視した場合は比較的平面的に二次元に伸びた偏平形状であり、断面視した場合は厚さ方向に薄く押しつぶされた態様であることがわかる。なお、「大きさ」とは、Cu又はCu合金相を構成する長径と短径のうち長径を測定した値で表したものである。
本発明に係るピストンリングにおいて、溶射下地層3のビッカース硬度が400〜700HV0.3、好ましくは450〜650HV0.3であり、溶射下地層3内に上記の面積率で存在するCu又はCu合金相のビッカース硬度が100〜200HV0.01であることが好ましい。溶射下地層3を構成する各金属成分の含有量を上記範囲とし、Cu又はCu合金相の面積率を上記範囲とすることにより、溶射下地層3のビッカース硬度とCu又はCu合金相のビッカース硬度は上記のビッカース硬度の範囲内となるが、上記ビッカース硬度範囲を有する溶射下地層3は、相手材に対して良好な耐摩耗性を示すとともに、上記ビッカース硬度範囲を有するCu又はCu合金相は、相手材に対して良好な耐スカッフ性を示し、相手攻撃性を低下させる。
溶射下地層3のビッカース硬度は、Cu又はCu合金が溶射下地層3に分散している膜断面の全体の硬度のことであり、その測定はマイクロビッカース硬度計にて荷重0.3kgfの条件で測定した「HV0.3」の単位で評価した。一方、Cu又はCu合金相のビッカース硬度は、Cu又はCu合金が溶射下地層3に分散している膜断面でのCu又はCu合金相の硬度のことであり、その測定はマイクロビッカース硬度計にて荷重0.01kgfで測定した「HV0.01」の単位で評価した。なお、ビッカース硬度の値は、ランダムに5箇所測定して得られた結果の平均値とする。
本発明に係るピストンリングにおいて、溶射下地層3の空孔率は8%(面積%)以下であることが好ましい。本発明では、溶射下地層3がCu又はCu合金相を含むので、Cu又はCu合金相を含まない溶射下地層3に比べて空孔率を8%以下とすることができる。溶射下地層3の空孔率が8%を超えると、空孔を起点として、溶射下地層3とピストンリング母材との界面で又は溶射下地層3内で欠けや剥離が発生することがある。なお、溶射下地層3の緻密性と保油性に基づく耐摩耗性の観点からは空孔率が6%以下であることがより好ましい。また、空孔率の下限は特に限定されないが、例えば0.5%とすることができる。
溶射下地層3の厚さは特に限定しないが、船舶用等の大きいサイズのピストンリングの摺動面に形成する場合には、例えば150μm〜800μmの厚さとすることができる。また、船舶用ほど大きくない自動車用等のピストンリングの場合には、そのピストンリングの大きさ等に応じて、例えば100μm〜300μmの広い範囲で任意の厚さとすることができる。
(溶射表面層)
溶射表面層4は、図4に示すように、70〜100質量%のCuを含有するCu層又はCu合金層であり、上記の溶射下地層3とともに溶射積層皮膜5を構成する。こうした溶射表面層4を溶射下地層3上に設けることによって、初期なじみ性を向上させ且つ相手攻撃性をより一層低下させることができる。溶射表面層4は70〜100質量%のCuを含むが、溶射下地層3も1〜12質量%のCu又はCu合金を含むので、それらで構成される溶射積層皮膜5はいずれもCuを含有する層となっている。その結果、両層の密着性(層間密着性)が高まり、初期なじみ性を向上させ且つ相手攻撃性を低下させるという効果をより持続させることができる。
溶射表面層4も、溶射下地層3と同様のプラズマ溶射やHVOF溶射、さらにはアーク溶射等によって溶射下地層3上に形成することができる。溶射材料としては、成膜後の溶射表面層4のCuの含有量が70〜100質量%となるCu若しくはCu合金の粉末又はワイヤーを用いる。溶射表面層4のCu含有量と、溶射材料中の粉末成分のCu組成割合とは、通常同じであるので、前記の溶射表面層4のCu含有量は、溶射材料の成分割合と言うことができる。したがって、溶射表面層4を所望の成分割合とするために、溶射材料を構成する粉末の配合量を調整することができる。溶射材料としてのCu粉末又はCu合金粉末としては、平均粒径15〜125μmのものが好ましく用いられるが、特にその大きさは限定されない。この粉末の平均粒径も上記同様、粒度分布測定装置で測定したもので表している。
溶射表面層4のCu組成又はCu合金組成としては、Cu組成、CuAlFe合金組成、CuNi合金組成等を挙げることができる。特に、Cu組成とCuAlFe合金組成が好ましく、それらの一方を用いてもよいし、両方を混ぜたものであってもよい。また、Cu、Al及びFeの各粉末を適宜配合してCuAlFe合金組成としてもよい。さらに、これら以外の金属成分を含んでいてもよいが、その際には、本発明の特徴が損なわれないことが前提である。なお、CuAlFe合金の組成は特に限定されないが、Alが9〜25質量%、Feが0.7〜5質量%、残部がCuのCuAlFe合金が好ましく用いられる。
溶射表面層4のCu含有量が70質量%未満では、初期なじみ性の向上や相手攻撃性の低下の効果が不十分となることがある。特に、耐スカッフ性と、溶射下地層3との間の層間密着性の観点からは、Cu含有量が85〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましい。Cu含有量は上記同様、後方散乱測定装置を用いて定量した値で表している。
溶射表面層4は溶射下地層3上に溶射手段で形成されるが、溶射表面層4を形成する前の溶射下地層3の表面に対しては、研磨やブラスト等の機械加工を行わない。その理由は、Cuを含有しない従来の溶射下地層は相手攻撃性が高く、それ故に研磨やブラスト等の機械加工を施していたが、本発明では溶射下地層3が所定含量のCu又はCu合金を含むので、図4に示すように、溶射したままの表面が粗い態様であっても良いからである。こうした機械加工を行わない溶射下地層3は加工に因る残留応力を持たないので、その上に溶射表面層4を形成した場合に、その残留応力に起因した溶射表面層4との層間密着性が低下するのを抑制することができる。しかも、溶射下地層3と溶射表面層4の両方がCuを含有するので、両層の相溶性が高まり、層間密着性をより一層高めることができ、溶射積層皮膜5の効果をより持続させることができる点で有利である。
以上説明したように、本発明に係るピストンリングは、高融点金属で耐摩耗性と耐スカッフ性に優れたMo相をベース金属とし、そこにNiCr等のNi基自溶性合金相をバインダーとし、さらに耐スカッフ性が良く且つ相手攻撃性の低いCu又はCu合金相を所定の面積率で分散させた溶射下地層3を設け、さらにその溶射下地層3上には、Cuを所定量含有する溶射表面層を設けているので、初期なじみ性を向上させ且つ相手攻撃性をより一層低下させることができるとともに、溶射下地層と溶射表面層とで構成される溶射積層皮膜の密着性(層間密着性)が高まり、上記効果をより持続させることができる。また、溶射下地層3と溶射表面層4とがいずれも溶射手段で行われ、しかも溶射下地層3には機械加工が不要であるので、工数を削減でき、低コスト化の観点からも有利である。
以下に、実施例と比較例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。先ず、参考例1〜6と実験1〜3では溶射下地層3の構成とその特性について評価した。その後の実施例1〜13では溶射下地層3上に溶射表面層4を形成してなる溶射積層皮膜5の構成とその特性について評価した。
[参考例1]
平均粒径50μmのMo金属粉末と、平均粒径40μmのNiCr合金粉末と、平均粒径70μmのCu粉末とをそれぞれ64質量%、35質量%、1質量%となるように配合して溶射材料を調整した。なお、NiCr合金の成分組成は、Ni:70.5質量%、Cr:17質量%、Fe:4質量%、Si:4質量%、B:3.5質量%、C:1質量%である。
この溶射材料を用い、以下の条件でプラズマ溶射し、ボロン鋳鉄からなるピストンリング母材2の摺動面に厚さ300μmの溶射下地層3を形成した。溶射下地層3の成分組成は、後方散乱測定装置(日新ハイボルテージ株式会社製)を用いて定量し、原料である溶射材料の組成と同じく、Mo:64質量%、NiCr合金:35質量%、Cu:1質量%であった。
[参考例2〜6及び比較参考例1〜4]
参考例1で用いた原料粉末をベースとし、表1に示す成分組成となるように配合量を調整して溶射材料の組成を代え、参考例1と同様の溶射条件で、ピストンリング母材2の摺動面に溶射下地層3を形成した。その溶射下地層3の成分組成を参考例1と同様に測定して表1に示した。なお、表1中、参考例5,6及び比較参考例3,4で表すCuAlは、平均粒径45μm、質量%で90Cu−9Al−1Fe合金粉末を用いた場合を指している。
[従来例1,2]
表1に示す成分組成となるように配合量を調整して、参考例1と同様の溶射条件でピストンリングの摺動面に溶射下地層3を形成した。なお、従来例2のCrは、平均粒径30μmのCr粉末を用いた場合を指している。
[測定と評価]
溶射下地層3について、Cu相又はCu合金相の摺動面面積率と断面面積率とビッカース硬度を以下のように測定した。また、溶射下地層3及びCu又はCu−Al−Fe合金のビッカース硬度と、耐摩耗性指数と、相手材耐摩耗性指数と、耐スカッフ性指数とを、以下のように測定し、それぞれについて評価した。評価結果を表1に示した。
(溶射条件)
プラズマ溶射条件:スルザーメテコ社製9MBプラズマ溶射ガン
電圧60〜70V
電流500A
(面積率)
面積率は、溶射下地層3の摺動面を研磨し、現れた面を金属顕微鏡で200倍に拡大した写真を撮影し、その撮影画像を画像解析ソフトで解析してCu相の面積率(「摺動面面積率」という。)を測定した。一方、溶射下地層3の摺動面の法線に平行(又はリング軸方向)に切断した断面を研磨し、その断面を金属顕微鏡で200倍に拡大した写真を撮影し、その撮影画像を画像解析ソフトで解析してCu相の面積率(「断面面積率」という。)を測定した。結果を表1に示した。なお、溶射下地層3の研磨は、180番、240番、320番、600番、800番、1200番と粒度を順次小さくした研磨紙で行い、最後にアルミナ(酸化アルミニウム)の1.0μm粉末を用いて20秒間バフ研磨し、得られた研磨面を面積率の観察試料とした。
(ビッカース硬度)
表1に示すCu又はCu−Al−Feのビッカース硬度は、Cu相又はCu−Al−Fe相の膜断面におけるビッカース硬度の測定結果であり、溶射下地層3のビッカース硬度は、Cu相又はCu−Al−Fe相を含む溶射下地層3の膜断面における全体のビッカース硬度の測定結果である。なお、溶射下地層3には、硬いMo金属相や柔らかいCu相又はCu−Al−Fe相が混在するので、溶射下地層3のビッカース硬度は溶射下地層3全体の平均的な硬度と言うことができる。ビッカース硬度は、マイクロビッカース硬度計(株式会社アカシ製)を用い、Cu又はCu−Al−Feのビッカース硬度は荷重0.01kgfで測定し、溶射下地層3のビッカース硬度は荷重0.3kgfで測定した。なお、ビッカース硬度はランダムに5箇所を測定し、得られた結果の平均値で表した。
(耐摩耗性指数と相手材耐摩耗性指数)
耐摩耗性指数と相手材耐摩耗性指数は、摩耗試験により測定した。摩耗試験は、図5に示す高負荷型摩耗試験機6を使用し、上記参考例1〜6、比較参考例1〜4及び従来例1,2で得られたピストンリングと同じ条件で得た固定片である供試材7を用い、供試材7(固定片)と、回転片である相手材8とを接触させ、荷重Pを負荷して行った。ここでの供試材7は、片状黒鉛鋳鉄からなる3本のピン(φ5mm、58.9mm)と外径40mmの円盤とを一体型とし、円盤は外径40mm、厚さはピンを含め12mmとした。また、相手材8(回転片)は、外径40mm、厚さ12mmのボロン鋳鉄である。摩耗試験条件は、潤滑油:スピンドル油相当品、油温:125℃、周速:1.65m/秒(1050rpm)、接触面圧:76.4MPa、試験時間:8時間の条件下で行った。
耐摩耗性及び相手材耐摩耗性は、参考例1〜6、比較参考例1〜4、従来例2に相当する各供試材の摩耗指数を、従来例1に対応する供試材の摩耗指数に対しての相対比として比較し、耐摩耗性指数とした。従って、各供試材の耐摩耗性指数が100より小さいほど摩耗量が小さいことを表す。耐摩耗性指数の評価は、100以上110未満を「○」、110以上120未満を「△」、120以上を「×」とした。相手材耐摩耗性指数の評価は、80未満を「◎」、80以上100未満を「○」、100以上120未満を「△」、120以上を「×」とした。
(耐スカッフ性指数)
耐スカッフ性指数は、図6に示す回転式平面滑り摩擦試験機10により、各試験片11のスカッフ限界面圧を測定した。摩擦試験機は、一定速度で回転する相手材12の回転面に試験片11を一定時間、所定の面圧(P)で圧接し、スカッフが発生した時の面圧を限界面圧として測定したものである。圧接操作は、初期面圧を2.5MPaとして30分間保持し、その後、面圧を5MPaから5分毎に1MPaずつ漸次増加させていく方法で行った。測定は、周速5m/秒、潤滑油はSAE30:灯油=1:1に混合した油を試験前のみ塗布して行った。なお、試験片11は片状黒鉛鋳鉄であり、相手材12はボロン鋳鉄である。
耐スカッフ性は、従来例1に対応する供試材のスカッフ発生荷重を100とし、参考例1〜6、比較参考例1〜4、従来例2に相当する各供試材のスカッフ発生荷重を従来例1に対応する供試材の結果に対する耐スカッフ性指数として比較した。従って、各供試材の耐スカッフ性指数が100より大きいほど、スカッフ発生荷重が大きくなり、従来例1に対応する供試材よりも耐スカッフ性に優れることとなる。耐スカッフ性指数の評価は、120以上を「◎」、105以上120未満を「○」、95以上105未満を「△」、95未満を「×」とした。
Figure 2012046821
(評価)
表1中の総合評価は、各項目の「◎」を2点とし、「○」を1点とし、「△」を0点として計算し、耐摩耗性指数、相手材耐摩耗性指数及び耐スカッフ性指数の3項目の合計が4点以上を総合評価「◎」とし、2〜3点を総合評価「○」とし、0〜1点を総合評価「△」とし、1項目でも×のついたものは総合評価「×」とした。総合評価が「×」のものは本発明の範囲外である。
各参考例は、耐スカッフ性及び相手材耐摩耗性において従来例及び比較参考例よりも優れていることが確認された。特に耐スカッフ性については、Cu又はCu合金相の含有量が多いものほど良好であることから、Cu又はCu合金相の相手材に対する初期なじみ性が効果的に作用していると考えられる。また、耐摩耗性は、従来例及び比較参考例とほとんど差がないことが確認された。
次に、溶射下地層3の空孔率が、耐摩耗性と相手材耐摩耗性に及ぼす影響、及びピストンリング母材との密着性に及ぼす影響について、下記の実験1〜3により検討した。
[実験1]
溶射下地層3の空孔率が耐摩耗性と相手材耐摩耗性に及ぼす影響について実験した。参考例1等で用いた溶射材料を調整し、64Mo−35NiCr−1Cu及び60Mo−30NiCr−10Cuの溶射下地層3をボロン鋳鉄からなるピストンリングの摺動面に厚さ300μmで作製した。2種の組成の溶射下地層3については、プラズマ溶射条件(電圧は50〜70Vの範囲、電流は450〜500Aの範囲)を変化させ、表2に示す空孔率を持つ溶射下地層3を得た。
(測定と評価)
溶射下地層3の空孔率は、摺動面の法線に平行(又はリング軸方向)に切断した断面を研磨し、その断面を金属顕微鏡で200倍に拡大した写真を撮影し、その撮影画像を画像解析ソフトで解析して求めた。なお、溶射下地層3の断面の研磨は、180番、240番、320番、600番、800番、1200番と粒度を順次小さくした研磨紙で行い、最後にアルミナ(酸化アルミニウム)の1.0μm粉末を用いて20秒間バフ研磨した。得られた断面を空孔率の観察試料とした。空孔率は、ランダムに5箇所を撮影し、その画像解析結果の平均値で評価した(実験2,3でも同じ)。
実験に供した溶射下地層3の耐摩耗性と相手材耐摩耗性は、上記参考例1等と同じ方法で測定し、それぞれ耐摩耗性指数と相手材耐摩耗性指数として評価した。各試料の個別の評価と総合評価の基準も同じである。表2の結果からわかるように、空孔率が0.62%〜7.71%の範囲で良好な評価が得られた。この結果は、好ましい空孔率の範囲を0.5%〜8%とした既述の範囲を裏付けるものである。なお、空孔率が0.5%〜6%で特に好ましい耐摩耗性指数と相手材耐摩耗性指数が得られるといえる。
なお、表2中の総合評価は、各項目の「◎」を2点とし、「○」を1点とし、「△」を0点として計算し、耐摩耗性指数と相手材耐摩耗性指数の2項目の合計が2〜4点を総合評価「○」とし、0〜1点を総合評価「△」とした。
Figure 2012046821
[実験2]
次に、溶射下地層3の空孔率が密着力に及ぼす影響について実験した。実験1と同様に、参考例1等で用いた溶射材料を調整し、60Mo−30NiCr−10Cuの溶射下地層3をボロン鋳鉄からなるピストンリングの摺動面に厚さ300μmで作製した。比較試料として、Cuを含有させない65Mo−35NiCrの溶射下地層3(上記従来例1)を、密着力測定用の円筒試験片(外径25mm、長さ40mm)の端面に厚さ300μmで作製した。溶射下地層3については、プラズマ溶射条件(電圧は50〜70Vの範囲、電流は450〜500Aの範囲)を変化させ、表3に示す5段階の空孔率を持つ溶射下地層3を得た。
(測定と評価)
溶射下地層3の空孔率の測定は、溶射下地層3を形成した円筒試験片の断面を研磨し、実験1と同様に行った。一方、密着力の測定は、JIS H 8667に準拠し、溶射下地層3を形成した円筒試験片の端面と、溶射下地層3を形成していない円筒試験片の端面とを熱硬化性樹脂で接着して一体化し、その筒の両端を引張試験機の上下のチャックで固定して引張試験を行った。引張試験は、引張速度を1mm/minとし、溶射下地層3がボロン鋳鉄の界面から剥がれたとき又は溶射下地層3内で層間剥離したときの荷重を測定し、その荷重を円筒端面の面積で除した値を求めた。65Mo−35NiCrの溶射下地層3の値を1(基準)とし、5段階の空孔率を持つ試験試料の密着力と対比した。その結果を表3に示す。なお、硬化性樹脂との界面での剥離や硬化性樹脂層内での層間剥離は評価から除外した。
表3の結果からわかるように、実験に供した溶射下地層3の密着力は、空孔率が0.71%〜7.52%の範囲で良好な評価が得られた。この結果は、好ましい空孔率の範囲を0.5%〜8%とした既述の範囲を裏付けるものである。なお、空孔率が3%〜8%で好ましい密着力が得られるといえる。
Figure 2012046821
[実験3]
次に、空孔率によって、耐摩耗性と相手材耐摩耗性に優れる領域(0.5%〜6%)と、密着力に優れる領域(3%〜8%)とがあったことから、母材であるボロン鋳鉄上に先ず5.43%の空孔率を持つ60Mo−35NiCr−5Cuの厚さ100μmの溶射下地層3を形成し、その上に2.46%の空孔率を持つ60Mo−35NiCr−5Cuの厚さ200μmの溶射下地層3を形成した。上記実験2と同様に評価したところ、密着力が1.5であった。同様な実験を行い、下層として、空孔率3%〜8%の溶射下地層3を形成し、表層として、空孔率0.5%〜6%の溶射下地層3を形成すれば、耐摩耗性、相手材耐摩耗性及び密着力が良好になることを確認した。
次に、下記の実施例1〜13、比較例1、従来例1及び参考例2を挙げて、溶射下地層3上に溶射表面層4を形成してなる溶射積層皮膜5の構成とその特性について評価した。なお、以下においては、溶射下地層3は研磨やブラスト等の機械加工を施さないで溶射表面層4を形成している。
[実施例1〜5及び比較例1]
参考例2の溶射下地層3(厚さ300μm)上に、表4に示す各溶射表面層4の組成と同じ組成のCuAlFe合金粉末(平均粒径45μm)又はCu粉末(平均粒径70μm)を溶射材料としてプラズマ溶射し、同一組成からなる実施例1〜5及び比較例1の各溶射表面層4(厚さ300μm)を形成した。溶射材料と溶射表面層4の成分組成は、後方散乱測定装置(日新ハイボルテージ株式会社製)を用いて定量した。プラズマ溶射条件は、参考例1と同様、スルザーメテコ社製9MBプラズマ溶射ガンを使用し、電圧50〜70V、電流450〜500Aの範囲内で行った。
[従来例1及び参考例2]
表4に示す従来例1及び参考例2の溶射下地層3(厚さ300μm)は、表1に示す従来例1及び参考例2と同じである。この従来例1と参考例2は溶射表面層を設けていない。
[測定と評価]
耐スカッフ性指数は、上記表1に示す耐スカッフ指数の測定と同様、図6に示す回転式平面滑り摩擦試験機10を用いて測定した。また、従来例1に対する相対評価も、表1での評価と同様にして行った。得られた結果を表4に示す。
Figure 2012046821
溶射下地層3上に溶射表面層4を設けた実施例1〜5は、耐スカッフ性が比較例1、従来例1及び参考例2よりも優れていることが確認された。特にCu含有量が85〜100質量%のものは耐スカッフ性が良好で、90〜100質量%のものはより良好であった。
下記の実施例6〜13及び比較例2,3では、溶射表面層4の形成を、プラズマ溶射に代えてアーク溶射で行った。以下のアーク溶射は、アーク溶射装置にて、直径1.6mmのCuAlFe合金ワイヤー又はCuワイヤーを溶射材料として用い、電流:200A、電圧:30V、エアー圧:20〜40PSI、の範囲を溶射条件として行った。
[実施例6]
参考例1の溶射下地層3(厚さ300μm)上に、表5に示す溶射表面層の組成と同じ組成のCuAlFe合金ワイヤーを溶射材料としてアーク溶射し、同一組成の溶射表面層4(厚さ300μm)を形成した。溶射材料と溶射表面層4の成分組成は、後方散乱測定装置(日新ハイボルテージ株式会社製)を用いて定量した。
[実施例7〜9]
実施例7〜9の溶射下地層3(厚さ300μm)上に、実施例6と同様にして、表5に示す各溶射表面層の組成と同じ組成のCuAlFe合金ワイヤーを溶射材料としてアーク溶射し、同一組成の溶射表面層4(厚さ300μm)をそれぞれ形成した。
[実施例10]
参考例5の溶射下地層3(厚さ300μm)上に、実施例6と同様にして、表5に示す溶射表面層の組成と同じ組成のCuAlFe合金ワイヤーを溶射材料としてアーク溶射し、同一組成の溶射表面層4(厚さ300μm)を形成した。
[実施例11〜13]
参考例3,4の溶射下地層3(厚さ300μm)上に、実施例6と同様にして、表5に示す各溶射表面層の組成と同じ組成のCuAlFe合金ワイヤーを溶射材料としてアーク溶射し、同一組成の溶射表面層4(厚さ300μm)をそれぞれ形成した。なお、実施例13は、溶射下地層3のCu含有量を実施例12よりも1質量%増したものである。
[比較例2,3]
表1及び表4に示す従来例1の溶射下地層3(厚さ300μm)上に、実施例6と同様にして、表5に示す各溶射表面層の組成と同じ組成のCuAlFe合金ワイヤー又はCuワイヤーを溶射材料としてアーク溶射し、同一組成の溶射表面層4(厚さ300μm)をそれぞれ形成した。
[測定と評価]
密着力は、上記表3に示す密着力の測定方法と同じ方法で測定した。なお、その評価は、比較例2の密着力データを100とし、得られた密着力データを相対評価して密着力指数とした。測定した密着力は、主に、溶射下地層3と溶射表面層4との間の層間密着力を表している。得られた結果を表5に示す。
なお、表5中、溶射下地層3のCu相又はCu合金層の摺動面面積率は表1で求めたのと同じ方法で測定したものである。また、溶射表面層4の酸化物量(面積割合:%)は、摺動面の法線に平行(又はピストンリング軸方向)に切断した断面を研磨し、その断面を金属顕微鏡で200倍に拡大した写真を撮影し、その撮影画像を画像解析ソフトで解析して求めた。なお、断面の研磨は、180番、240番、320番、600番、800番、1200番と粒度を順次小さくした研磨紙で行い、最後にアルミナ(酸化アルミニウム)の1.0μm粉末を用いて20秒間バフ研磨した。得られた断面を酸化物量の観察試料とした。酸化物量は、ランダムに5箇所を撮影し、その画像解析結果の平均値で評価した。
Figure 2012046821
実施例6〜13では、溶射表面層4のCu含有量が85〜100質量%の範囲内である。こうした溶射表面層4を有する溶射積層皮膜5は、表5に示すように、溶射下地層3のCu含有量及びCu相面積率が増すほど密着力が高まっている。具体的には、溶射下地層3のCu含有量が、1質量%、5質量%、10質量%、12質量%、13質量%の順に密着力指数が増している。このときのCu相面積率は、0.5〜15%である。特にCu含有量が5質量%を超えてCu相面積率が5%を超えた場合(具体的には、Cu含有量が10質量%以上でCu相面積率が10〜15%)では、高い密着力指数を示した。
また、溶射表面層4の酸化物量(面積率:%)は5%〜20%の範囲内であり、この範囲の酸化物量を有する溶射積層皮膜5を溶射下地層3上に設けた溶射積層皮膜5は、表5に示すように、良好な密着力指数を示していた。
上記各実施例のピストンリング1は、初期なじみ性を向上させ且つビッカース硬さも低いために相手攻撃性をより一層低下させることができる。また、溶射下地層3と溶射表面層4とで構成される溶射積層皮膜5の密着性(層間密着性)が高まり、初期なじみ性と相手攻撃性についての上記効果をより持続させることができる。また、溶射下地層3と溶射表面層4とがいずれも溶射手段で行われ、しかも溶射下地層3には機械加工が不要であるので、工数を削減でき、低コスト化の観点からも有利である。
1 ピストンリング
2 ピストンリング母材
3 溶射下地層
4 溶射表面層
5 溶射積層皮膜
6 高負荷型摩耗試験機
7 供試材
8 回転片
10 回転式平面滑り摩擦試験機
11 試験片
12 相手材
P 荷重

Claims (3)

  1. Mo粉末とNi基自溶性合金粉末とCu又はCu合金粉末とを少なくとも含む混合粉末を溶射してなる溶射下地層と、Cuを含有する溶射表面層とをその順で摺動面に形成したピストンリングであって、
    前記溶射下地層は、50〜80質量%のMoと、1〜12質量%のCu又はCu合金と、残部:Ni基自溶性合金とを少なくとも含有し、該溶射下地層の摺動面に現れるCu又はCu合金相の面積率が、0.5〜15%であり、
    前記溶射表面層は、70〜100質量%のCuを含有することを特徴とするピストンリング。
  2. 前記溶射下地層の断面に現れるCu又はCu合金相の面積率が、0.1〜10%である、請求項1に記載のピストンリング。
  3. 船舶用ピストンリングである、請求項1又は2に記載のピストンリング。
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