JP6411875B2 - ピストンリング及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ピストンリング及びその製造方法に関し、更に詳しくは、耐摩耗性、耐スカッフ性及び初期なじみ性に優れ、かつ相手攻撃性の低い溶射皮膜が密着性よく形成されてなるピストンリング及びその製造方法に関する。
近年、内燃機関の高出力化と高性能化に伴い、ピストンリング等の摺動部材の使用環境はますます厳しくなっており、良好な耐摩耗性、耐スカッフ性を有する摺動部材が要求されている。
従来、内燃機関用ピストンリング等の摺動部材の耐摩耗性や耐スカッフ性を改善する手段として、例えば自動車用のピストンリングにおいては、その摺動面にPVD皮膜や窒化処理層等の表面処理が施されている。これらの表面処理のうち、特にPVD皮膜は、優れた耐摩耗性を示すことから、過酷な運転条件の下で使用されるピストンリングに対する表面処理として広く実用に供されている。
また、船舶用等の大きいサイズのピストンリングにおいては、その摺動面に硬質クロムめっき皮膜やプラズマ溶射法によるセラミック皮膜等の表面処理が施されている。これらの表面処理のうち、特にプラズマ溶射法により形成した炭化クロム等の硬質セラミック相と金属相とからなるサーメット溶射皮膜は、耐摩耗性と耐焼付き性に優れている。
特許文献1〜3は、耐摩耗性が良好な溶射皮膜についての先行技術である。特許文献1には、ピストンリング1の母材の外周摺動面に、微細クロムカーバイド3〜25重量%、モリブデン30〜80重量%、ニッケル−クロム合金10〜40重量%からなるプラズマ溶射皮膜を形成したピストンリングが提案されている。この技術は、各溶射粉末の粒子を325メッシュの微細粒子にするとともに、各組成を所定の範囲内にすることにより、内燃機関や圧縮機等に用いられるピストンリングの外周面を、耐摩耗性、耐焼付性、初期なじみ性に優れた面とすることができるとされている。
特許文献2には、A粉末としてMo粉末、B粉末としてNi−Cr粉末またはCo−Cr粉末、C粉末としてCrまたはNbの炭化物と金属の硼化物のどちらか一方または両方からなる粉末を、B粉末:10〜30重量%、C粉末:20〜40重量%および残部A粉末の割合で十分混合してなる粒径10〜45μmの溶射材料をプラズマ溶射して、溶射皮膜を摺動部に形成してなる内燃機関用摺動部材が提案されている。この技術は、プラズマ溶射皮膜が緻密で密着性に優れ、耐摩耗性と耐焼付き性に優れたものとされている。
特許文献3には、MoとNiCr合金と炭化クロムからなる造粒焼結粉とMo造粒焼結粉とNiCr合金粉を混合し、溶射原料粉としてHVOF溶射することにより、MoとNiCr合金からなる領域Aと、MoとNiCr合金と炭化クロムからなるサーメット領域Bとが混在した組織からなる溶射皮膜を形成できることが提案されている。この技術は、HVOF溶射して得られた溶射皮膜は、耐摩耗性・耐スカッフ性に優れ、相手材攻撃性が低いとされている。
特開平6−221438号公報 特開2003−105518号公報 特開2007−314839号公報
本発明の目的は、耐摩耗性と耐スカッフ性に優れ、かつ相手攻撃性の低い溶射皮膜が密着性よく形成されてなるピストンリング及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係るピストンリングは、Mo粉末と、Cr粉末及びNiCr粉末の混合粉末とを少なくとも含む原料粉末を溶射してなる溶射皮膜を有するピストンリングであって、前記混合粉末の平均粒径Daが50μm以上であり、前記Mo粉末の平均粒径Dbが前記混合粉末の平均粒径Daよりも小さいことを特徴とする。
この発明によれば、混合粉末の平均粒径Daが50μm以上であり、Mo粉末の平均粒径Dbが混合粉末の平均粒径Daよりも小さい原料粉末を溶射してなる溶射皮膜を有するので、溶射された混合粉末の隙間にMo粉末が入りやすく、その結果、溶射したMo粉末の質量比に比べてMoの面積比が大きくなり、耐摩耗性と耐スカッフ性に優れ、かつ相手攻撃性の低い溶射皮膜が密着性よく形成することができる。
本発明に係るピストンリングにおいて、前記溶射皮膜を構成するMo相の面積BとCr32−NiCr相の面積Aとの比(B/A)が、前記原料粉末を構成する前記Mo粉末の配合質量bと前記混合粉末の配合質量aとの比(b/a)よりも大きい。この発明によれば、面積比(B/A)の方が配合質量比(b/a)よりも大きいので、耐摩耗性を高める混合粉末の配合質量をMo粉末よりも多く入れることができ、さらに、耐摩耗性と耐スカッフ性を高めるMo相の面積を大きくすることができる。
本発明に係るピストンリングにおいて、前記Mo相の面積比が、溶射皮膜全体の40%以上であるように構成してもよい。この発明によれば、Mo相の面積を溶射皮膜全体の40%以上に高くすることができる。
本発明に係るピストンリングにおいて、溶射皮膜の最表面にCuを含有する溶射表面層を有するように構成してもよい。この発明によれば、相手攻撃性をより一層低下させることができるとともに、初期なじみ性の良い溶射皮膜を有するピストンリングを提供することができる。
本発明に係るピストンリングにおいて、溶射皮膜とピストンリング母材との間に下地層を有するように構成してもよい。この発明によれば、ピストンリング母材との密着性をさらに高めることができる。
上記課題を解決するための本発明に係るピストンリングの製造方法は、Mo粉末と、Cr粉末及びNiCr粉末の混合粉末とを少なくとも含む原料粉末を溶射して溶射皮膜を成膜するピストンリングの製造方法であって、前記混合粉末の平均粒径Daが50μm以上であり、前記Mo粉末の平均粒径Dbが前記混合粉末の平均粒径Daよりも小さいことを特徴とする。
本発明に係るピストンリングの製造方法において、前記溶射皮膜を構成するMo相の面積BとCr−NiCr相の面積Aとの比(B/A)が、前記原料粉末を構成する前記Mo粉末の配合質量bと前記混合粉末の配合質量aとの比(b/a)よりも大きい。
本発明によれば、耐摩耗性と耐スカッフ性に優れ、かつ相手攻撃性の低い溶射皮膜が密着性よく形成されてなるピストンリング及びその製造方法を提供することができる。
詳しくは、本発明によれば、Cr粉末及びNiCr粉末の混合粉末の平均粒径Daが50μm以上であり、Mo粉末の平均粒径Dbが混合粉末の平均粒径Daよりも小さい原料粉末を溶射してなる溶射皮膜を有するので、溶射された混合粉末の隙間にMo粉末が入りやすく、その結果、溶射したMo粉末の質量比に比べてMoの面積比が大きくなるため、通常よりも低コストで成膜可能である。高融点金属で耐摩耗性と耐スカッフ性に優れたMoの面積比が大きくなることは、溶射皮膜の耐摩耗性と耐スカッフ性と相手攻撃性が優れたものとなり、また、原料粉末として含まれるNiCr粉末がバインダーとして機能するので、密着性も優れたものとなる。
本発明に係るピストンリングの一例を示す断面図(A),(B)である。 実施例1で得られた溶射皮膜の断面写真(A)と、比較例1で得られた溶射皮膜の断面写真(B)である。 摩耗量測定に用いた高負荷型摩耗試験機の構成原理図である。
以下、本発明に係るピストンリング及びその製造方法について詳しく説明する。なお、本発明は、その要旨の範囲内であれば、以下の実施形態に限定されない。
[ピストンリング]
本発明に係るピストンリング1は、図1(A)に示すように、ピストンリング母材2の少なくとも摺動面に、特徴的な溶射皮膜3を有するものである。また、図1(B)は、溶射皮膜3の上に溶射表面層4を被覆したものである。この溶射皮膜3は、Mo粉末と、Cr粉末及びNiCr粉末の混合粉末とを少なくとも含む原料粉末を溶射してなるものであって、その混合粉末の平均粒径Daが50μm以上であり、そのMo粉末の平均粒径Dbが混合粉末の平均粒径Daよりも小さい、すなわちDa>Db、であることに特徴がある。
本発明に係るピストンリング1の各構成を説明する。
(ピストンリング母材)
溶射皮膜3を形成する対象となるピストンリング母材2としては、各種のものを挙げることができるが、例えば、各種の鋼材、ステンレス鋼材、鋳物材、鋳鋼材等を適用することができる。これらのうち、マルテンサイト系ステンレス鋼;ばね鋼であるクロムマンガン鋼(SUP9材)やクロムバナジウム鋼(SUP10材);シリコンクロム鋼(SWOSC−V材)、等を好ましく挙げることができる。また、鋳物材としては、ボロン鋳鉄、片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、CV鋳鉄等を好ましく挙げることができる。ピストンリング母材2は、一般的なピストンリングを製造する手段によって作製される。
ピストンリング母材2には、必要に応じて前処理を行ってもよい。前処理としては、表面研磨して表面粗さを調整する処理を挙げることができる。この表面粗さの調整は、例えばピストンリング母材2の表面をダイヤモンド砥粒でラッピング加工して表面研磨する方法等を例示できる。
(下地層)
下地層(図示しない)を溶射皮膜3の下に任意に設けてもよい。この下地層としては、窒化処理層や金属下地層等を挙げることができる。下地層は、ピストンリング1がシリンダライナー(図示しない)に接触して摺動する外周摺動面に少なくとも形成されることが好ましいが、その他の面、例えばピストンリングの上面、下面に形成されていてもよいし、さらに必要に応じて内周面に形成されていてもよい。こうした下地層を設けることにより、ピストンリング母材に対する溶射皮膜3の密着性を向上させ、剥離等をより一層防ぐことができる。
窒化処理層は、例えばピストンリング母材2としてステンレス鋼を適用した場合、そのステンレス鋼の表面に窒素を拡散浸炭させ、硬質の窒化層を下地層として形成したものである。窒化処理層は、ピストンリングの下地層として好んで用いられる。なお、窒化処理は、従来公知の方法で行なうことができる。窒化処理層の厚さは特に限定されないが、10μm以上、50μm以下の範囲内であることが好ましい。
金属下地層としては、チタン又はクロム等の金属層を挙げることができる。チタン又はクロム等の下地金属層は、各種の成膜手段で形成することができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の成膜手段を適用することができる。金属下地層の厚さは特に限定されないが、0.1μm以上、2μm以下の範囲内であることが好ましい。
(溶射皮膜)
溶射皮膜3は、ピストンリング母材2の少なくとも摺動面に設けられる。この溶射皮膜3は、Mo粉末と、Cr粉末及びNiCr粉末の混合粉末とを少なくとも含む原料粉末を溶射してなるものである。そして、その混合粉末の平均粒径Daが50μm以上であり、そのMo粉末の平均粒径Dbが混合粉末の平均粒径Daよりも小さい。すなわち、Da>Dbとなっている。平均粒径Da,Dbの測定方法は、特に限定されないが、本願では、粒子径分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックHRA)によって測定した値で示している。
原料粉末で溶射してなる溶射皮膜3は、Mo相の面積BとCr−NiCr相の面積Aとの比(B/A)が、原料粉末を構成するMo粉末の配合質量bと混合粉末の配合質量aとの比(b/a)よりも大きくなっている。その理由は、溶射された混合粉末の隙間にMo粉末が入り込んで形成されていることが考えられ、その結果として、Mo相の面積BとCr−NiCr相の面積Aとの比(B/A)においては、原料粉末を構成するMo粉末の配合質量bと混合粉末の配合質量aとの比(b/a)よりも大きいものとなる。面積比(B/A)の方が配合質量比(b/a)よりも大きくなるということは、溶射皮膜3には、耐摩耗性を高める混合粉末の配合質量がMo粉末よりも多く入っていることを意味し、さらに、耐摩耗性と耐スカッフ性を高めるMo相の面積が大きくなっていることを意味している。したがって、この溶射皮膜3は、高融点金属で耐摩耗性と耐スカッフ性に優れたMoの面積比が大きく、通常よりも低コストで溶射皮膜3の耐摩耗性と耐スカッフ性と相手攻撃性が優れたものとなり、また、原料粉末として含まれるNiCr粉末がバインダーとして機能して密着性も優れたものとなっている。
原料粉末は、プラズマ溶射に用いる粉末であり、Mo粉末と、Cr粉末及びNiCr粉末の混合粉末とを少なくとも含んでいる。溶射材料となる原料粉末は、Mo、Cr、NiCrのそれぞれの粉末の他、本発明の奏する効果を阻害しない範囲内で、例えば、Co,B,Si,Cu,Al,Fe等を任意に含んでいてもよい。なお、溶射皮膜3を構成する各成分の含有量と原料粉末中の組成割合とは通常同じであるので、溶射皮膜3の各成分の含有量は、原料粉末の成分割合と言うことができる。したがって、溶射皮膜3を所望の成分割合とするために、原料粉末を構成する各粉末の配合量を調整することができる。
Mo粉末は、その平均粒径Dbが混合粉末(Cr粉末及びNiCr粉末)の平均粒径Daよりも小さい。具体的には、混合粉末の平均粒径Daよりも小さければよく、プラズマ溶射条件や入手の容易さを考慮すれば、Mo粉末の平均粒径Dbは、10μm以上、53μm以下の範囲内であることが好ましい。Mo粉末の平均粒径Dbが混合粉末の平均粒径Daよりも大きいと、溶射された混合粉末の隙間にMo粉末が入り込み難くなり、本発明の効果を奏し難くなる。このMo粉末の平均粒径Dbは、粒子径分布測定装置(例えば、日機装株式会社製、マイクロトラックHRA)で測定したもので表している。なお、Mo粉末の形状等は特に限定されない。
Mo粉末の原料粉末中の含有量は、20質量%以上、60質量%以下の範囲内で配合されていることが好ましい。なお、上記のように、原料粉末中の含有量と形成された溶射皮膜3中のMo含有量とはほぼ同じである。Mo粉末の含有量がこの範囲内であることにより、得られた溶射皮膜3中に含まれた高融点金属であるMoは、溶射皮膜3に良好な耐摩耗性や耐スカッフ性を付与することができる。Mo粉末の含有量が20質量%未満では、得られた溶射皮膜3の耐摩耗性と耐スカッフ性が劣ることがある。一方、Mo粉末の含有量が60質量%を超えると、コスト高の原因になる。Mo粉末の含有量は、配合時に秤量して算出でき、溶射皮膜3中のMo含有量は、後方散乱測定装置を用いて定量して得ることができる。
混合粉末は、Cr粉末及びNiCr粉末で主に構成された粉末である。混合粉末の平均粒径Daは、50μm以上であり、且つ上記したMo粉末の平均粒径Dbよりも大きい。具体的には、50μm以上であって、且つMo粉末の平均粒径Dbよりも大きければよく、プラズマ溶射条件や入手の容易さを考慮すれば、混合粉末の平均粒径Daは、50μm以上、70μm以下の範囲内であることが好ましい。混合粉末の平均粒径DaがMo粉末の平均粒径Dbよりも小さいと、溶射された混合粉末の隙間にMo粉末が入り込み難くなり、本発明の効果を奏し難くなる。この混合粉末の平均粒径Daは、粒子径分布測定装置で測定したもので表している。なお、混合粉末の形状等は特に限定されない。
混合粉末は、通常、Cr粉末とNiCr粉末とが混ざったものが多く、その平均粒径Daは、Cr粉末の平均粒径とNiCr粉末の平均粒径とを特に分離していないが、平均粒径がわかっているCr粉末とNiCr粉末とをそれぞれ混ぜて混合粉末としてもよい。この場合におけるCr粉末の平均粒径とNiCr粉末の平均粒径とは、いずれも上記した50μm以上、70μm以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、50μm以上、70μm以下の範囲内でそれぞれ異なる平均粒径としてもよい。通常は、NiCr粉末よりもCr粉末の方が平均粒径が大きい傾向にあるので、そうしたCr粉末とNiCr粉末とを混ぜ、結果として上記の平均粒径Daの範囲を満たせばよい。
混合粉末の原料粉末中の含有量は、40質量%以上、80質量%以下の範囲内で配合されていることが好ましい。なお、上記のように、原料粉末中の含有量と形成された溶射皮膜3中の混合粉末成分(CrとNiCr)の含有量とはほぼ同じである。混合粉末の含有量がこの範囲内であることにより、得られた溶射皮膜3中に含まれた混合粉末成分(CrとNiCr)は、溶射皮膜3に良好な耐摩耗性や密着性を付与することができる。混合粉末の含有量が40質量%未満では、得られた溶射皮膜3の耐摩耗性と密着性が劣ることがある。一方、混合粉末の含有量が80質量%を超えると、相手攻撃性が大きくなるおそれがある。混合粉末の含有量は、配合時に秤量して算出でき、溶射皮膜3中の混合粉末成分の含有量は、後方散乱測定装置を用いて定量して得ることができる。
混合粉末の含有量は上記のとおりであるが、混合粉末成分であるCrとNiCrそれぞれの含有量としては、原料粉末全体の含有量に対して、Crの含有量が30質量%以上、60質量%以下の範囲内であることが好ましく、NiCrの含有量が10質量%以上、40質量%以下の範囲内であることが好ましい。Crの含有量を前記範囲内にすることにより、溶射皮膜3に良好な耐摩耗性を付与することができる。Crの含有量が30質量%未満では、得られた溶射皮膜3の耐摩耗性が劣ることがある。一方、Crの含有量が60質量%を超えると、相手攻撃性が大きくなるおそれがある。NiCrの含有量が10質量%未満では、得られた溶射皮膜3の密着性や耐食性が劣ることがある。一方、NiCrの含有量が40質量%を超えると、相対的にCrの含有量が低下して耐摩耗性が低下したり耐スカッフ性が低下することがあり、さらにコスト高になる。
(溶射皮膜の成膜手段)
溶射皮膜3は、プラズマ溶射によってピストンリング1の摺動面に形成されている。プラズマ溶射は、プラズマ溶射ガンで生じるプラズマジェットを用いて上記した原料粉末を用い、その原料粉末を加熱・加速し、溶融又はそれに近い状態にして基材に吹き付ける溶射のことである。原理は公知のとおりであるが、陰極と陽極との間に電圧をかけて直流アークを発生させると、後方から送給される作動ガス(アルゴンガス等)が電離し、プラズマを発生する。そのプラズマフレーム中に原料粉末をアルゴンガス等で送給し、ピストンリング母材2に吹き付けることによって溶射皮膜3がピストンリング母材2上に形成される。本発明に係る溶射皮膜3はこうしたプラズマ溶射で形成されたものであり、下記のHVOF溶射に比べて原料粉末が溶融又はそれに近い温度で溶射するので、原料粉末の平均粒径Da,Dbを上記範囲内とすることにより、本発明特有の効果を奏することができる。摺動面としては、ピストンリング1がシリンダライナ(図示しない)に接触して摺動する外周摺動面を挙げることができるが、その他の面に設けられていてもよい。
なお、本発明を構成する溶射皮膜の形成手段ではないが、HVOF(High Velocity Oxygen Fuelの略)溶射は、酸素と燃料を使用した高速度ジェットフレームの溶射のことである。具体的には、高圧の酸素及び燃料の混合ガスを燃焼室内で燃焼させ、その燃焼炎がノズルにより絞られ、大気に出た瞬間に急激なガス膨張が発生し、超音速のジェットとなる。高い加速エネルギーにより加速された原料粉末は、ほとんど酸化や組成変化せず、高密度の溶射皮膜がピストンリング母材上に形成される。このHVOF溶射は、例えば特許文献3で適用されている手段であり、成膜スピードは速いものの、温度を高くしないので、原料粉末はあまり溶融せずに溶射される。そのため、原料粉末としては、小さな微細粒が用いられている。
溶射皮膜3の厚さは特に限定されないが、例えば図2に示す単一層である場合には、200μm以上、600μm以下の範囲内であることが好ましい。また、図3に示す2層又はそれ以上で構成される場合には、その層構成によっても異なるが、本発明での特徴的な溶射皮膜3については、150μm以上、550μm以下の範囲内であることが好ましい。これらの厚さ範囲を有することにより、本発明特有の効果を奏することができる。
(溶射皮膜の面積比)
溶射皮膜3は、Mo相の面積Bと混合粉末成分であるCr−NiCr相の面積Aとの比(B/A)が、原料粉末を構成するMo粉末の配合質量bと混合粉末の配合質量aとの比(b/a)よりも大きくなっている。これは、溶射された混合粉末の隙間にMo粉末が入り込んで形成されていることを意味していると考えられる。面積比(B/A)の方が配合質量比(b/a)よりも大きいので、耐摩耗性を高めるために必要量の混合粉末を配合した場合において、さらに多くの混合粉末を配合したのと同程度のMo相の面積比とすることができることから、耐摩耗性と耐スカッフ性を効果的に高めることができる。よって、この溶射皮膜3は、高融点金属で耐摩耗性と耐スカッフ性に優れたMoの面積比が大きく、通常よりも低コストで溶射皮膜3の耐摩耗性と耐スカッフ性と相手攻撃性が優れたものとなる。
Mo相の面積比は、溶射皮膜全体の40%以上であることが好ましい。40%以上のMo相の面積比とすることにより、耐摩耗性と耐スカッフ性をより高めることができる。なお、その上限は特に限定されないが、70%とすることができる。なお、溶射皮膜3は、図2に示すように、MoからなるMo相、CrとNiCrからなるCr−NiCr相を有している。本願において、面積比は、金属顕微鏡で200倍に拡大した写真を撮影し、その撮影画像を画像解析ソフトで解析した値で示している。
溶射皮膜3の空孔率については、面積%で8%以下であることが好ましい。なお、溶射皮膜3の緻密性と保油性に基づく耐摩耗性の観点からは空孔率が6%以下であることがより好ましい。また、空孔率の下限は特に限定されないが、例えば0.5%とすることができる。空孔率の測定は、例えば、画像解析ソフトで解析することができる。
(応用例)
応用例としては、ピストンリング母材2側から、第1の溶射皮膜と第2の溶射皮膜とがその順で設けられている例を挙げることができる。第1の溶射皮膜は、混合粉末の平均粒径Daが50μm以上であり、Mo粉末の平均粒径Dbが混合粉末の平均粒径Daよりも大きい第1の原料粉末を溶射してなる皮膜である。一方、第2の溶射皮膜は、混合粉末の平均粒径Daが50μm以上であり、Mo粉末の平均粒径Dbが混合粉末の平均粒径Daよりも小さい第2の原料粉末を溶射してなる皮膜である。
こうした構成により、面積比と質量比が異なる2層又はそれ以上の複合溶射皮膜を有するピストンリングとすることができる。こうした第1の溶射皮膜と第2の溶射皮膜とが繰り返し設けられていてもよい。最表面側にいずれの溶射皮膜を設けるかは任意であるが、耐摩耗性と耐スカッフ性の観点からは、第2の溶射皮膜を設けることが好ましい。
(溶射表面層)
溶射表面層4を、図1(B)に示すように、溶射皮膜3の上に任意に設けてもよい。溶射表面層4は、Cuを含有する層であることが好ましく、相手攻撃性をより一層低下させることができるとともに、初期なじみ性の良い溶射皮膜を有するピストンリングとすることができる。
溶射表面層4は、70質量%以上、100質量%以下のCuを含有するCu層又はCu合金層である。溶射表面層4は70〜100質量%のCuを含むが、溶射皮膜3も1〜10質量%のCu又はCu合金を任意に含む場合があるので、それらで構成される溶射皮膜3と溶射表面層4はいずれもCuを含有する層となっている。その結果、両層の密着性(層間密着性)が高まり、初期なじみ性を向上させ且つ相手攻撃性を低下させるという効果をより持続させることができる。
溶射表面層4も、溶射皮膜3と同様のプラズマ溶射やアーク溶射、ガス溶射等によって溶射皮膜3上に形成することができる。原料粉末としては、成膜後の溶射表面層4のCuの含有量が70〜100質量%となるCu若しくはCu合金の粉末又はワイヤーを用いる。溶射表面層4のCu含有量と、原料粉末中の粉末成分のCu組成割合とは、通常同じであるので、前記の溶射表面層4のCu含有量は、原料粉末の成分割合と言うことができる。したがって、溶射表面層4を所望の成分割合とするために、原料粉末を構成する粉末の配合量を調整することができる。原料粉末としてのCu粉末又はCu合金粉末としては、平均粒径15〜125μmのものが好ましく用いられるが、特にその大きさは限定されない。この粉末の平均粒径も上記同様、粒子径分布測定装置で測定したもので表している。
溶射表面層4のCu組成又はCu合金組成としては、Cu組成、CuAlFe合金組成、CuNi合金組成等を挙げることができる。特に、Cu組成とCuAlFe合金組成が好ましく、それらの一方を用いてもよいし、両方を混ぜたものであってもよい。また、Cu、Al及びFeの各粉末を適宜配合してCuAlFe合金組成としてもよい。さらに、これら以外の金属成分を含んでいてもよいが、その際には、本発明の特徴が損なわれないことが前提である。なお、CuAlFe合金の組成は特に限定されないが、Alが9〜25質量%、Feが0.7〜5質量%、残部がCuのCuAlFe合金が好ましく用いられる。
[製造方法]
本発明に係るピストンリング1の製造方法は、Mo粉末と、Cr粉末及びNiCr粉末の混合粉末とを少なくとも含む原料粉末を溶射して溶射皮膜3を成膜するピストンリングの製造方法であって、混合粉末の平均粒径Daが50μm以上であり、Mo粉末の平均粒径Dbが混合粉末の平均粒径Daよりも小さい(Da>Db)ことを特徴とする。この溶射皮膜3を構成するMo相の面積BとCr−NiCr相の面積Aとの比(B/A)が、原料粉末を構成するMo粉末の配合質量bと混合粉末の配合質量aとの比(b/a)よりも大きい。
この製造方法については、上記したピストンリングの説明欄、特に溶射皮膜3の形成についての説明欄で詳細に説明したのでここではその説明を省略する。
実施例と比較例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。
[実施例1]
平均粒径Dbが30.65μmのMo粉末と、平均粒径Daが66.1μmの混合粉末(Cr粉末及びNiCr粉末の混合)とをそれぞれ33質量%、67質量%となるように配合して原料粉末を調整した。なお、混合粉末を構成するCr粉末及びNiCr粉末の配合比は、組成分析の結果、原料粉末67質量%中、Cr粉末が50.2質量%であり、NiCr粉末が16.8質量%であった。なお、NiCr粉末の成分組成は、Ni:78.5質量%、Cr:20.1質量%、Fe:0.3質量%、Si:0.92質量%、残:その他の不可避不純物であった。
この原料粉末を用い、以下の条件でプラズマ溶射し、ボロン鋳鉄からなるピストンリング母材2の摺動面に厚さ300μmの溶射皮膜3を形成した。プラズマ溶射は、スルザーメテコ社製の9MBプラズマ溶射ガンを用いて行い、電圧60〜70V、電流500Aで溶射した。溶射皮膜3の成分組成は、後方散乱測定装置(日新ハイボルテージ株式会社製)を用いて定量し、原料である原料粉末の組成と同じく、Mo:33質量%、Cr:48質量%、NiCr:17質量%、その他:2質量%であった。
[実施例2]
実施例1において、平均粒径Dbが40.09μmのMo粉末と、平均粒径Daが66.1μmの混合粉末(Cr粉末及びNiCr粉末の混合)とを用いた他は、実施例1と同様にして、厚さ300μmの溶射皮膜3を形成した。溶射皮膜3の溶射皮膜3の成分組成も実施例1と同様であった。
[実施例3]
実施例1において、平均粒径Dbが30.65μmのMo粉末と、平均粒径Daが75.65μmの混合粉末(Cr粉末及びNiCr粉末の混合)とを用いた他は、実施例1と同様にして、厚さ300μmの溶射皮膜3を形成した。溶射皮膜3の溶射皮膜3の成分組成も実施例1と同様であった。
[参考例1]
実施例1において、平均粒径Dbが75.64μmのMo粉末と、平均粒径Daが54.21μmの混合粉末(Cr粉末及びNiCr粉末の混合)とを用いた他は、実施例1と同様にして、厚さ300μmの溶射皮膜を形成した。溶射皮膜の溶射皮膜3の成分組成も実施例1と同様であった。
[比較例1]
実施例1において、平均粒径Dbが30.65μmのMo粉末と、平均粒径Daが21.72μmの混合粉末(Cr粉末及びNiCr粉末の混合)とを用いた他は、実施例1と同様にして、厚さ300μmの溶射皮膜を形成した。溶射皮膜の溶射皮膜3の成分組成も実施例1と同様であった。
[比較例2]
実施例1において、平均粒径Dbが33.50μmのMo粉末と、平均粒径Daが33.10μmの混合粉末(Cr粉末及びNiCr粉末の混合)とを用いた他は、実施例1と同様にして、厚さ300μmの溶射皮膜を形成した。溶射皮膜の溶射皮膜3の成分組成も実施例1と同様であった。
[測定方法及び測定結果]
得られた各溶射皮膜について、質量(%)、平均粒径(μm)、面積(%)、耐摩耗性指数をそれぞれ測定した。以下の結果は表1にまとめた。
(耐摩耗性指数と相手材耐摩耗性指数)
耐摩耗性指数と相手材耐摩耗性指数は、摩耗試験により測定した。摩耗試験は、図3に示す高負荷型摩耗試験機6を使用し、実施例1〜3、参考例1及び従来例1,2で得られたピストンリングと同じ条件で得た固定片である供試材7を用い、供試材7(固定片)と、回転片である相手材8とを接触させ、荷重Pを負荷して行った。ここでの供試材7は、片状黒鉛鋳鉄からなる3本のピン(φ5mm、58.9mm)と外径40mmの円盤とを一体型とし、円盤は外径40mm、厚さはピンを含め12mmとした。また、相手材8(回転片)は、外径40mm、厚さ12mmのボロン鋳鉄である。摩耗試験条件は、潤滑油:スピンドル油相当品、油温:125℃、周速:1.65m/秒(1050rpm)、接触面圧:76.4MPa、試験時間:8時間の条件下で行った。
耐摩耗性及び相手材耐摩耗性は、実施例1〜3と比較例1,2に相当する各供試材の摩耗指数を、参考例1に対応する供試材の摩耗指数に対しての相対比として比較し、耐摩耗性指数とした。したがって、各供試材の耐摩耗性指数が100より小さいほど摩耗量が小さいことを表す。
(面積率)
面積率は、溶射皮膜3の摺動面の法線に平行(又はリング軸方向)に切断した断面を研磨し、現れた面を金属顕微鏡で200倍に拡大した写真を撮影し、その撮影画像を画像解析ソフトで解析してMo相の断面面積Bと、Cr−NiCr相の断面面積Aとを測定した。なお、溶射皮膜3の研磨は、180番、240番、320番、600番、800番、1200番と粒度を順次小さくした研磨紙で行い、最後にアルミナ(酸化アルミニウム)の1.0μm粉末を用いて20秒間バフ研磨し、得られた研磨面を村上試薬で2秒間又は3秒間腐食し、面積率の観察試料とした。
(評価)
各実施例は溶射皮膜耐摩耗性指数及び相手材耐摩耗性指数において、参考例1及び比較例1,2よりも優れていることが確認された。
1 ピストンリング
2 ピストンリング母材
3 溶射皮膜
4 溶射表面層
6 高負荷型摩耗試験機
7 供試材
8 回転片
P 荷重

Claims (5)

  1. Mo粉末と、Cr粉末及びNiCr粉末の混合粉末とを少なくとも含む原料粉末を摺動面にプラズマ溶射してなる溶射皮膜を有するピストンリングであって、
    前記混合粉末の平均粒径Daが50μm以上であり、前記Mo粉末の平均粒径Dbが前記混合粉末の平均粒径Daよりも小さく、
    前記溶射皮膜中のMo、Cr 及びNiCrの各含有量は、多い順からCr >Mo>NiCrであり、
    前記摺動面の法線に平行に切断した前記溶射皮膜の断面において、該溶射皮膜を構成するMo相の面積BとCr −NiCr相の面積Aとの比(B/A)が、前記溶射皮膜を構成する前記Mo含有量bと前記Cr 及び前記NiCrの含有量aとの比(b/a)よりも大きい、ことを特徴とするピストンリング。
  2. 前記Mo相の面積比が、溶射皮膜全体の40%以上である、請求項に記載のピストンリング。
  3. 前記溶射皮膜の最表面にCuを含有する溶射表面層を有する、請求項1又は2に記載のピストンリング。
  4. 前記溶射皮膜とピストンリング母材との間に下地層を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のピストンリング。
  5. Mo粉末と、Cr粉末及びNiCr粉末の混合粉末とを少なくとも含む原料粉末を摺動面にプラズマ溶射して溶射皮膜を成膜するピストンリングの製造方法であって、
    前記混合粉末の平均粒径Daが50μm以上であり、前記Mo粉末の平均粒径Dbが前記混合粉末の平均粒径Daよりも小さく、
    前記溶射皮膜中のMo、Cr 及びNiCrの各含有量は、多い順からCr >Mo>NiCrであり、
    前記摺動面の法線に平行に切断した前記溶射皮膜の断面において、前記溶射皮膜を構成するMo相の面積BとCr −NiCr相の面積Aとの比(B/A)が、前記原料粉末を構成する前記Mo粉末の配合質量bと前記混合粉末の配合質量aとの比(b/a)よりも大きい、ことを特徴とするピストンリングの製造方法。
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