JP2012040930A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】伝達比可変機構13は、入力軸18に連結される入力サンギヤ54と、出力軸19に連結される出力サンギヤ55と、入力サンギヤ54と出力サンギヤ55の双方に噛み合う遊星ギヤ56と、遊星ギヤ56をこの遊星ギヤ56の中心軸線L2回りに自転可能に支持するキャリア57とを含んでいる。また、車両用操舵装置1には、遊星ギヤ56の自転運動を検出する遊星ギヤセンサ35と、検出された遊星ギヤ56の自転運動に基づいて伝達比θ2/θ1が固定されているか否かを判定する操舵制御部38と、が備えられている。
【選択図】図2
Description
より具体的には、特許文献3の遊星歯車機構は、入力側のサンギヤと、出力側のサンギヤとが、遊星ギヤを介して連結されている。遊星ギヤは、キャリアに支持されている。キャリアの外周には、歯部が形成されており、この歯部にウォームが噛み合っている。ウォームは、モータに連結されている。ロック機構は、ウォームに形成されたスロットにピンを差し込むことで、ウォーム、電動モータのロータおよびキャリアの回転をロックする。これにより、回転伝達比が機械的に固定される。
しかしながら、特許文献1〜3では、遊星ギヤ機構のロックについて、考慮されていない。
この場合、例えば、伝達比制御モータの故障等により伝達比制御を行うことができないモータフェール時において、ロック機構によって伝達比を機械的に固定できる。一方で、モータフェール時であっても、遊星ギヤのロックによって伝達比が固定されている場合には、ロック機構を用いることなく伝達比を固定できているので、ロック機構を用いて伝達比を固定する必要がない。したがって、ロック機構が無用な働きをすることを抑制できる。
この場合、遊星ギヤとともに第1ギヤの中心軸線回りを回転するキャリア自体にセンサを取り付けることにより、センサが、遊星ギヤの自転運動をより精度よく検出できる。また、キャリア自体にセンサを取り付けているので、伝達比可変機構およびセンサが全体として占めるスペースを少なくでき、車両用操舵装置の小型化を達成できる。
この場合、キャリアとともに回転するセンサからの信号を、センサから延びる出力線(電線)を用いることなく判定部に伝達できる。したがって、センサの回転運動を考慮した長い配線をセンサから受信機に延ばす必要がなく、配線スペースの省略を通じて車両用操舵装置の小型化を達成できる。
この場合、伝達比制御モータによって伝達比可変機構が駆動されている状態、すなわち、遊星ギヤの自転がロックされていなければ、伝達比制御モータの駆動によって遊星ギヤが自転可能となっている状態で、遊星ギヤの自転運動を検出することができる。これにより、遊星ギヤの自転がロックされているか否かを、より確実に検出できる。
図1は本発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の概略構成を示す模式図である。
図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結しているステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3に自在継手4を介して連結された中間軸5と、中間軸5に自在継手6を介して連結されたピニオン軸7と、ピニオン軸7の端部近傍に設けられたピニオン7aに噛み合うラック8aを有し、自動車等の車両の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸8とを有している。ピニオン軸7およびラック軸8によりラックアンドピニオン機構からなる転舵機構9が構成されている。
操舵部材2が操作されてステアリングシャフト3が回転されると、この回転がピニオン7aおよびラック8aによって、ラック軸8の軸方向X1の直線運動に変換される。これにより、転舵輪11の転舵が達成される。
入力軸18は、操舵部材2に一体回転可能に連結される第1軸18aと、第1軸18aにトーションバー20を介して連結される第2軸18bとを含む。トーションバー20を介した第1軸18aと第2軸18bの相対回転量は小さく、実質的に第1軸18aと第2軸18bとは一体回転していると考えることができる。入力軸18の回転角度(回転位置)を、操舵角θ1、出力軸19の回転角度(回転位置)を転舵角θ2としたとき、入力軸18から出力軸19への回転の伝達比は、伝達比θ2/θ1として表される。この伝達比θ2/θ1は、伝達比可変機構13によって変更可能となっている。
車両用操舵装置1は、伝達比制御モータ14の回転をロックすることで伝達比θ2/θ1を機械的に固定可能なロック機構25を備えている。ロック機構25によって、伝達比θ2/θ1が固定されるのは、例えば、伝達比制御モータ14に異常が生じたとき(モータフェール時)である。
トルクセンサ30は、トーションバー20に隣接して配置されており、トーションバー20のねじれに伴う第1軸18aと第2軸18bとの相対回転量を検出することで、操舵部材2に負荷される操舵トルクを検出する。
第2レゾルバ32は、反力補償モータ15の後述するロータ15aの回転位置を検出するレゾルバであり、反力補償モータ15に隣接して配置されている。反力補償モータ15は、第2レゾルバ32の検出値を用いるフィードバック制御により駆動制御される。反力補償モータ15は、伝達比可変機構13の動作による操舵部材2の操舵反力(操舵反力の変化)を補償するためのモータである。
遊星ギヤセンサ35は、伝達比可変機構13の後述する遊星ギヤ56の自転運動を検出するために設けられている。遊星ギヤセンサ35の詳細な構成は、後述する。
車両用操舵装置1は、制御部37を備えている。制御部37は、操舵制御部38と、操舵補助制御部39とを含んでいる。操舵制御部38は、伝達比制御モータ14、反力補償モータ15、およびロック機構25の動作を制御することにより、操舵を制御する。操舵補助制御部39は、操舵補助モータ21の動作を制御することにより、操舵部材2の操舵を補助するための操舵補助力を制御する。
操舵制御部38には、トルクセンサ30、第1レゾルバ31、第2レゾルバ32、第3レゾルバ33、モータ電流センサ34、遊星ギヤセンサ35、および走行状態センサ36がそれぞれ接続されており、各センサ30〜36からの検出信号が、操舵制御部38に入力されるようになっている。
操舵制御部38は、所定のプログラムを実行することによってソフトウェア的に実現される機能処理部として、伝達比制御部46と、反力制御部47と、ロック制御部48と、判定手段としての伝達比判定部49と、を含んでいる。また、操舵制御部38は、ROM(Read Only Memory)50を含んでいる。
ロック制御部48は、ロック機構25の駆動を制御するようになっている。
伝達比判定部49は、伝達比θ2/θ1が所定値(例えば、1)に固定されているか否かを判定するために設けられている。
図2は、伝達比可変機構13の概略構成を示す一部断面図である。図2に示すように、入力軸18の第2軸18bおよび出力軸19は、互いの先端を相対向させて同軸上に配置されている。
遊星ギヤ56は、入力サンギヤ54および出力サンギヤ55を互いに関連付けるための一体成形品であり、中心軸線L1回りに複数(本実施の形態において、2つ)配置されている。入力サンギヤ54、出力サンギヤ55および遊星ギヤ56は、キャリア57の回転がロックされているときに、伝達比θ2/θ1が例えば1になるように設計されている。
第1部分57aは、第1軸受71を介してハウジング53に回転可能に支持されている。この第1部分57aには、第1支軸挿通孔57dが形成されている。第1支軸挿通孔57dには、各遊星ギヤ56の支軸56aの一端56bが挿通されている。この一端56bは、第2軸受72を介して第1支軸挿通孔57dの内周面に回転可能に支持されている。
キャリア57の第2部分57bを取り囲むようにして、伝達比制御モータ14が配置されている。伝達比制御モータ14は、第2部分57bの外周に一体回転可能に連結されたロータ14aと、ロータ14aを取り囲みハウジング53に固定されたステータ14bとを含んでいる。伝達比制御モータ14の駆動によって、キャリア57および各遊星ギヤ56が中心軸線L1回りを回転するようになっている。これにより、伝達比θ2/θ1を変更可能となっている。
遊星ギヤセンサ35は、キャリア57の第2部分57bに取り付けられている。この遊星ギヤセンサ35は、第2支軸挿通孔57eに隣接して配置されており、且つ、遊星ギヤ56の歯部56dとは、中心軸線L2と平行な対向方向F1に隣接している。遊星ギヤセンサ35は、センサ本体35aと、信号送信機35bとを含んでいる。
図2、図3および図4を参照して、センサ本体35aは、遊星ギヤ56の歯56eには接触しない非接触式の近接センサである。このようなセンサとして、電磁誘導現象を用いる高周波発振センサ、磁石を用いる磁気センサ、または静電容量の変化を用いる静電容量センサを例示することができる。
一方、センサ本体35aは、センサ本体35aと歯56eとが対向方向F1に対向していないとき、センサ出力Cとして、低出力信号(オフ信号)を出力する。したがって、遊星ギヤ56が中心軸線L2回りを自転しているとき、高出力信号と低出力信号とが交互に出力され、センサ本体35aの出力信号は、図4に示すようなパルス信号となる。
信号受信機80は、ハウジング53に固定されており、キャリア57の第2部分57bとはキャリア57の径方向に隣接して配置されている。信号受信機80は、キャリア57の周方向に関して、例えば1箇所に配置されており、信号送信機35bがキャリア57の径方向に相対向したときに、信号送信機35bからの電波を受信できるようになっている。信号受信機80は、電線81等を介して操舵制御部38に電気的に接続されている。信号受信機80が信号送信機35bからの電波を受信することで、センサ本体35aの検出信号が操舵制御部38に入力される。
反力補償モータ15に隣接して、第2レゾルバ32が配置されている。第2レゾルバ32は、第2軸18bの外周に連結されたロータ32aと、ロータ32aを取り囲みハウジング53に固定されたステータ32bとを含んでいる。第2軸18bに反力補償モータ15のロータ15aおよび第2レゾルバ32のロータ32aの双方が連結されていることにより、第2レゾルバ32は、入力軸18の回転位置(転舵角)および反力補償モータ15のロータ15aの回転位置を検出することが可能である。
図5(A)は、ロック機構25の主要部の断面図であり、ロック部材62が第2位置P2にある状態を示している。図2および図5(A)を参照して、ロック機構25は、キャリア57の第3部分57cに一体回転可能に連結されたリング部材60と、このリング部材60に係合可能な軸状のロック部材62と、ロック部材62が一端に固定されたロッド61aを有するソレノイド61と、を含んでいる。本実施形態において、ロック部材62は、ロッド61aとは単一の材料を用いて一体に形成されている。
まず、伝達比判定部49は、伝達比制御モータ14に流す電流の指示値としての指示電流Aを読み込む(ステップS1)。なお、指示電流Aは、伝達比制御部46がドライバ41に出力する信号の値である。ドライバ41は、指示電流Aと同じ値の電流を伝達比制御モータ14に流すようになっている。
演算された遊星ギヤ56の回転速度ωが所定のしきい速度ω1以上であるとき(ステップS7でNO)、伝達比判定部49は、遊星ギヤ56が中心軸線L2回りを抵抗なくスムーズに回転しており、伝達比θ2/θ1が可変であると判定する。このとき、操舵制御部38は、前述した通常制御を行う(ステップS3)。
例えば、伝達比制御モータ14の故障等により伝達比制御を行うことができないモータフェール時等において、ロック機構25によって伝達比θ2/θ1を機械的に固定できる。一方で、モータフェール時であっても、遊星ギヤ56のロックによって伝達比θ2/θ1が固定されている場合(遊星ギヤ56の実質的なロックによって伝達比θ2/θ1が実質的に固定されている場合を含む)には、ロック機構25を用いることなく伝達比θ2/θ1を固定できている。したがって、ロック機構25を用いて伝達比θ2/θ1を固定する必要がない。このときの、ロック機構25の無用な動作を抑制できる。
例えば、遊星ギヤセンサ35の出力信号を、電波を用いて信号受信機80に伝達する構成を説明したけれども、これに限定されない。遊星ギヤセンサ35の出力信号を、電線を用いて信号受信機80に伝達してもよい。
Claims (5)
- 操舵部材の操舵に応じて回転する入力軸と転舵機構の動作に連動して回転する出力軸との間の伝達比を変更可能な車両用操舵装置において、
前記入力軸に連結される第1ギヤ、前記出力軸に連結される第2ギヤ、前記第1ギヤと前記第2ギヤの双方に噛み合う遊星ギヤ、およびこの遊星ギヤをこの遊星ギヤの中心軸線回りに自転可能に支持するキャリアを含み、前記伝達比を変更可能な伝達比可変機構と、
前記伝達比を制御するための伝達比制御モータと、
前記遊星ギヤの自転運動を検出するセンサと、
検出された前記遊星ギヤの自転運動に基づいて前記伝達比が固定されているか否かを判定する判定手段と、を備えることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1において、前記伝達比を固定するためのロック機構と、このロック機構を制御する制御部とをさらに備え、
前記制御部は、検出された前記遊星ギヤの自転運動に基づいて前記伝達比が固定されていると判定されたときに、前記ロック機構による前記伝達比の固定を禁止することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1または2において、前記キャリアおよび前記遊星ギヤは、前記第1ギヤの中心軸線回りに一体回転可能に連結されており、
前記センサは、前記キャリアに取り付けられていることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項3において、前記伝達比可変機構を収容するハウジングと、前記ハウジングに取り付けられた受信機とをさらに備え、
前記センサの無線信号を前記受信機で受信可能とされていることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1〜4の何れか1項において、前記センサは、前記伝達比制御モータが駆動しているときの前記遊星ギヤの自転運動を検出することを特徴とする車両用操舵装置。
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