JP2007302197A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】伝達比可変機構8は、遊星ギヤ機構17と、遊星ギヤ機構17を駆動する遊星ギヤ機構用モータ18とを含んでいる。また、伝達比可変機構8の動作に関連して操舵部材の操舵反力を補償するための反力補償用モータ23が設けられている。反力補償用モータ23および遊星ギヤ機構用モータ18の双方が、ステアリングシャフト3と同軸に配置されている。
【選択図】図2
Description
特許文献1では、ステアリングホイールに連結された第1シャフトと、車輪に連結された第2シャフトと、第1および第2シャフトを回転伝達可能に連結する遊星歯車機構とを備える構成が示されている。遊星歯車機構は、第1シャフトに固定された第1サンギヤと、第2シャフトに固定された第2サンギヤと、第1および第2シャフトの周囲に配置された複数のピニオンと、ピニオンを取り囲むリング部材とを有している。操舵部材の回転は、第1シャフト、第1サンギヤ、ピニオン、第2サンギヤ、第2シャフトの順に伝わり、最終的に車輪に伝わる。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、装置を小型化することのできる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、差動機構用モータおよび反力補償用モータの双方を、操舵軸と同心の環状に形成できる。これにより、上記各モータを、操舵軸を挟んで対向して配置しなくて済み、操舵軸の径方向に関してこれらのモータが占有するスペースを少なくできる。装置の小型化を達成できる。
また、本発明において、上記キャリア(22)が差動機構用モータ(18)によって回転駆動される場合がある(請求項4)。この場合、キャリアの回転速度を変化させることにより、第1のサンギヤと第2のサンギヤとの回転伝達比を変更することができる。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる車両用操舵装置1の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に付与された操舵トルクを、操舵軸としてのステアリングシャフト3等を介して左右の転舵輪4L,4Rのそれぞれに与えて転舵を行うものであり、操舵部材2の操舵角θ1(回転角)に対する転舵輪の転舵角θ2の比(伝達比θ2/θ1)を変更することのできるVGR(Variable Gear Ratio)機能を有している。
第1のシャフト5は、操舵部材2に連結される入力軸5aと、入力軸5aとトーションバー7を介して相対回転可能に連結される出力軸5bとを有している。
舵取り機構12は、自在継手11に連なるピニオン軸13と、ピニオン軸13の先端のピニオン13aに噛み合うラック14aを有し車両の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸14と、ラック軸14の一対の端部のそれぞれにタイロッド15R,15Lを介して連結されるナックルアーム16R,16Lとを有している。
遊星ギヤ機構17は、遊星伝達機構として設けられており、第1のシャフト5の出力軸5bと一体回転可能な第1の要素としての第1のサンギヤ19と、第1のサンギヤ19と相対向して配置され第2のシャフト6と一体回転可能な第2の要素としての第2のサンギヤ20と、第1および第2のサンギヤ19,20の双方に噛み合う第3の要素としての遊星ギヤ21と、遊星ギヤ21をその軸線回りに自転可能且つ第1および第2のサンギヤ19,20の回りに公転可能に保持するキャリア22と、を有している。
遊星ギヤ21は、第1および第2の要素としての上記第1および第2のサンギヤ19,20を互いに関連付けるためのものであり、ステアリングシャフト3の周方向に複数(本実施の形態において、2つ)配置されている。各遊星ギヤ21の軸線は、ステアリングシャフト3の軸線Lと平行に延びている。キャリア22は、ステアリングシャフト3の軸線Lの回りに回転可能である。遊星ギヤ21は、第1のサンギヤ19に噛み合う部分の歯数と、第2のサンギヤ20に噛み合う部分の歯数とが同一である。
遊星ギヤ機構用モータ18は、キャリア22を回転駆動するためのものである。軸線L回りに関するキャリア22の回転数を変更することで、伝達比θ2/θ1を変更することができる。遊星ギヤ機構用モータ18は、例えばブラシレスモータからなり、ステアリングシャフト3と同軸に配置されている。この遊星ギヤ機構用モータ18は、キャリア22に一体回転可能に固定されたロータ18aと、このロータ18aを取り囲むステータ18bとを含んでいる。これらロータ18aおよびステータ18bの軸線は、それぞれ、ステアリングシャフト3の軸線Lと一致している。
上記遊星ギヤ機構用モータ18および反力補償用モータ23は、それぞれ、CPU、RAMおよびROMを含む制御部24によって制御される。制御部24は、駆動回路25aを介して遊星ギヤ機構用モータ18と接続され、駆動回路25bを介して反力補償用モータ23と接続されている。
操舵角センサ26からは、操舵部材2の直進位置からの操作量である操舵角θ1に対応する値として第1のシャフト5の回転角についての信号が入力される。トルクセンサ27からは、操舵部材2の操舵トルクTに対応する値として第1のシャフト5における伝達トルクについての信号が入力される。転舵角センサ28からは、転舵角θ2に対応する値として第2のシャフト6の回転角についての信号が入力される。車速センサ29からは、車速Vについての信号が入力される。ヨーレートセンサ30からは、車両のヨーレートγについての信号が入力される。
判定値Aが零で、検出ヨーレートγと目標ヨーレートγTが等しく、車両がニュートラルステア状態にある場合、制御部24は、キャリア22の回転速度が第1のシャフト5の出力軸5bの回転速度と一致するように、遊星ギヤ機構用モータ18を駆動する。これにより、伝達比θ2/θ1は1とされ、変化しない。
一方、判定値Aが負、すなわち検出ヨーレートγが目標ヨーレートγTを超えていることから車両がオーバーステア状態であるか、または、判定値Aが正、すなわち検出ヨーレートγが目標ヨーレートγTを下回っていることから車両がアンダーステア状態である場合、制御部24は、キャリア22の回転速度が第1のシャフト5の回転速度と異なるように、遊星ギヤ機構用モータ18を駆動する。これにより、伝達比θ2/θ1が変化する。
第1のシャフト5の入力軸5aは、ハウジング31内に挿入されており、ころ軸受等からなる第1の軸受33を介してハウジング31の支持孔34aに回転自在に支持されている。第1のシャフト5の出力軸5bは、筒状をなして入力軸5aの一部を取り囲んでいる。
出力軸5bは、円筒状の保持筒36に取り囲まれており、この保持筒36の中間部と出力軸5bの中間部とが連結部37を介して一体回転可能に連結されている。連結部37は環状をなしていてもよいし、複数のスポークを出力軸5bの周方向に並べた形状をなしていてもよい。
反力補償用モータ23のステータ23bは、ハウジング31の第1の溝38内に収容されており、ハウジング31が反力補償用モータ23のハウジングを兼ねている。反力補償用モータ23のステータ23bは、円環状のベース部39と、ベース部39から内側に突出した複数個の(例えば、6個)のティース40(図2において、2つのティース40を図示)とを含むステータコア41、および各ティース40に巻回された電磁コイル42を備えている。
第2のシャフト6の中間部は、単列アンギュラ玉軸受等の転がり軸受からなる第3の軸受44を介して、ハウジング31の支持孔34cに回転自在に支持されている。第3の軸受44は、内輪44aが第2のシャフト6に外嵌されており、外輪44bがハウジング31の支持孔34cに内嵌されている。
各遊星ギヤ21は、第1および第2のサンギヤ19,20の双方に噛み合う歯部21aと、歯部21aの一対の端部のそれぞれから延びる支軸21b,21cとを有している。
図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。図2および図3を参照して、キャリア22の一端部45は、第1のシャフト5の出力軸5bおよびトーションバー7が挿通される挿通孔48を有している。挿通孔48の周面は、ころ軸受等の転がり軸受からなる第4の軸受49を介して、出力軸5bの外周面を回転自在に支持している。
キャリア22の他端部46には、環状の鍔部56が形成されている。鍔部56は、単列アンギュラ玉軸受等からなる第8の軸受57を介して、ハウジング31の支持孔34eに回転自在に支持されている。第8の軸受57は、内輪57aが鍔部56に外嵌されており、外輪57bがハウジング31の支持孔34eに内嵌されている。
キャリア22の他端部46の外周面46aに、上記遊星ギヤ機構用モータ18のロータ18aが固定されている。ロータ18aは、複数個の永久磁石を周方向に沿って並べて配置したものである。各永久磁石は、それぞれ内径側と外径側とを結ぶ方向に着磁されており、互いに隣接するもの同士はその磁化の向きが反対となっている。
上記の構成により、第1の付勢部材66からの付勢力は、第3の軸受44、止め輪67、第2のシャフト6、摩擦部材68および第1のシャフト5の出力軸5bを介して、第2の軸受35に伝わり、ハウジング31の段部70で受けられる。
第8の軸受57の内輪57aは、キャリア22の他端部46に形成された環状の段部73に受けられて、第5の軸受51側への移動が規制されている。第5の軸受51の内輪51aは、キャリア22の一端部45の鍔部50の外周面に圧入固定されている。第5の軸受51の外輪51bは、ハウジング31の環状の溝に嵌め込まれた止め輪74に受けられており、軸方向S関して第8の軸受57から遠ざかる方向への移動が規制されている。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。すなわち、遊星ギヤ機構用モータ18および反力補償用モータ23の双方を、ステアリングシャフト3と同心の環状に形成している。これにより、上記各モータ18,23を、ステアリングシャフト3を挟んで対向して配置しなくて済み、ステアリングシャフト3の径方向Rに関してこれらのモータ18,23が占有するスペースを少なくできる。車両用操舵装置1の小型化を達成できる。
また、遊星ギヤ機構17を収容するハウジング31が、遊星ギヤ機構用モータ18のハウジングを兼ねている。遊星ギヤ機構用モータ18のハウジングを別途設ける必要がなく、車両用操舵装置1の更なる小型化を達成できる。
また、キャリア22を、ステアリングシャフト3の径方向Rに関して遊星ギヤ21よりも突出しないように形成していることにより、径方向Rに関する遊星ギヤ機構17の占有するスペースを少なくできる。遊星ギヤを取り囲むリング状の内歯歯車を用いていないので、車両用操舵装置1の一層の小型化を達成できる。
本発明は、以上の実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
Claims (6)
- 操舵部材に連なる第1の部分および転舵輪に連なる第2の部分を含む操舵軸と、
操舵部材の操舵角に対する転舵輪の転舵角の比を変更可能な伝達比可変機構と、
伝達比可変機構の動作による操舵部材の操舵反力を補償するための反力補償用モータとを備え、
上記伝達比可変機構は、第1および第2の部分を差動回転可能に連結する差動機構ならびに差動機構を駆動する差動機構用モータを含み、
差動機構用モータおよび反力補償用モータの双方が操舵軸と同軸に配置されていることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1において、上記差動機構は遊星伝達機構を含み、
遊星伝達機構は、第1の部分に連なる第1の要素と、第2の部分に連なる第2の要素と、第1および第2の要素を互いに関連付ける第3の要素とを有していることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項2において、上記遊星伝達機構は遊星ギヤ機構を含み、
遊星ギヤ機構は、第1の要素としての第1のサンギヤと、第2の要素としての第2のサンギヤと、第1および第2のサンギヤの双方に噛み合う第3の要素としての遊星ギヤと、遊星ギヤを自転可能且つ第1および第2のサンギヤの回りに公転可能に保持するキャリアとを有していることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項3において、上記キャリアが差動機構用モータによって回転駆動されることを特徴とする車両用操舵装置。
- 請求項4において、上記差動機構を収容するハウジングを備え、
上記差動機構用モータは、キャリアと一体回転可能なロータと、このロータを取り囲み上記ハウジングに収容されたステータとを有していることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1〜5の何れか1項において、上記差動機構を収容するハウジングを備え、
上記反力補償用モータは、上記操舵軸の第1の部分と一体回転可能なロータと、このロータを取り囲み上記ハウジングに収容されたステータとを有していることを特徴とする車両用操舵装置。
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