JP2010115963A - 車両用操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】伝達比可変機構に作用する負荷を少なくでき、且つ、小型化を達成できる車両用操舵装置を提供すること。
【解決手段】車両用操舵装置1のステアリングシャフト3のうち第3のシャフト13と第4のシャフト14との間に伝達比可変機構5が介在している。伝達比可変機構5は、操舵部材2の操舵角θ1に対する転舵輪4L,4Rの転舵角θ2の比である伝達比θ2/θ1を変更可能である。操舵部材2から転舵機構10への動力伝達経路Lにおいて、伝達比可変機構用モータ23および操舵補助用モータ25がこの順に配置されている。また、伝達比可変機構用モータ23および操舵補助用モータ25の双方のロータ中心がステアリングシャフト3と同軸に配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用操舵装置に関する。
車両用操舵装置には、ステアリングホイール等の操舵部材の回転角に対する転舵輪の転舵角の比としての伝達比を変化することのできる伝達比可変機構を備えるものがある(例えば、特許文献1〜4参照)。特許文献4では、伝達比可変機構と、電動モータを含む操舵補助機構とを組み合わせた構成が記載されている。
特開2006−197690号公報 特開2007−302197号公報 特開平10−129510号公報 特開2008−49938号公報
しかしながら、操舵補助機構の電動モータの出力が伝達比可変機構に作用することにより操舵補助機構の負荷は大きくなる。伝達比可変機構の許容トルクを大きくするために伝達比可変機構を大型化することも考えられるが、大型化することは、車室内でのレイアウトの自由度を高める上で好ましくない。そこで、本発明の目的は、伝達比可変機構に作用する負荷を少なくでき、且つ、小型化を達成できる車両用操舵装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、操舵部材(2)に連なる入力軸(13)および転舵機構(10)に連なる出力軸(14)を含む操舵軸(3)と、上記入力軸と出力軸との間に介在し、操舵部材の操舵角(θ1)に対する転舵輪(4L,4R)の転舵角(θ2)の比である伝達比(θ2/θ1)を変更可能な伝達比可変機構(5)と、伝達比可変機構を駆動するための伝達比可変機構用モータ(23)と、転舵機構に操舵補助力を付与するための操舵補助用モータ(25)と、を備え、操舵部材から転舵機構への動力伝達経路(L)において、伝達比可変機構用モータおよび操舵補助用モータがこの順に配置され、且つ伝達比可変機構用モータおよび操舵補助用モータの双方のロータ中心(A2,A3)が操舵軸と同軸に配置されていることを特徴とする(請求項1)。
本発明によれば、操舵補助用モータの出力を、伝達比可変機構を介することなく転舵機構に伝達することができる。これにより、伝達比可変機構に作用するトルクを少なくでき、伝達比可変機構に作用する負荷を少なくできる。したがって、伝達比可変機構の許容トルクを大きくするために伝達比可変機構を大型化する必要がなく、車両用操舵装置の小型化を達成できる。また、伝達比可変機構用モータおよび操舵補助用モータの双方のロータ中心を操舵軸と同軸に配置していることにより、これらのモータが操舵軸に対して操舵軸の径方向に張り出す量を少なくきる。したがって、車両用操舵装置の更なる小型化を達成できる。
また、本発明において、上記伝達比可変機構用モータの複数のコイル(72)同士を結線する第1のバスバー(87)を保持する絶縁性の第1の保持部材(88;88B)と、操舵補助用モータの複数のコイル(83)同士を結線する第2のバスバー(89)を保持する絶縁性の第2の保持部材(90;90B)とが、一体に形成されている場合がある(請求項2)。この場合、第1および第2の保持部材を一部品で構成することができる。これにより、バスバーを保持するための部品点数およびスペースをより少なくでき、装置の更なる製造コスト低減および更なる小型化を達成することができる。
また、本発明において、上記伝達比可変機構の少なくとも一部が、操舵補助用モータのロータ(251)内に配置されている場合がある(請求項3)。この場合、操舵補助用モータのロータの内部を、伝達比可変機構を収容するスペースとして活用できる。したがって、操舵補助用モータの内部のデッドスペースの有効利用を通じて装置をより一層小型化することができる。
さらに、伝達比可変機構用モータの少なくとも一部を操舵補助用モータのロータ内に配置してもよい。
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施の形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる伝達比可変機構を備える車両用操舵装置1の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に付与された操舵トルクを、操舵軸としてのステアリングシャフト3等を介して左右の転舵輪4L,4Rのそれぞれに与えて転舵を行うものである。この車両用操舵装置1は、操舵部材2の操舵角θ1に対する転舵輪の転舵角θ2の比としての伝達比θ2/θ1を変更することのできるVGR(Variable Gear Ratio)機能を有している。
この車両用操舵装置1は、操舵部材2と、操舵部材2に連なるステアリングシャフト3とを有している。ステアリングシャフト3は、互いに同軸に配置された第1〜第5のシャフト11〜15を含んでいる。第1〜第5のシャフト11〜15の中心軸線としての第1の軸線A1は、当該第1〜第5のシャフト11〜15の回転軸線でもある。
なお、以下では、ステアリングシャフト3の軸方向Sを単に軸方向Sといい、ステアリングシャフト3の径方向Rを単に径方向Rといい、ステアリングシャフト3の周方向Cを単に周方向Cという。
第1のシャフト11の一端に操舵部材2が同行回転可能に連結されている。第1のシャフト11の他端11bは、第2のシャフト12の一端12aと同行回転且つ軸方向Sに相対摺動可能に嵌合されている。第2のシャフト12の他端12bは、第3のシャフト13の一端13aと同行回転可能且つ相対摺動不能に嵌合している。
入力軸としての第3のシャフト13と出力軸としての第4のシャフト14とは、差動機構としての伝達比可変機構5を介して差動回転可能に連結されている。第4のシャフト14は、第5のシャフト15の一端とは、トーションバー21を介して所定の範囲内で弾性的に相対回転可能且つ動力伝達可能に連結されている。
第5のシャフト15の他端は、自在継手7、中間軸8、自在継手9および転舵機構10等を介して、転舵輪4L,4Rと連なっている。
転舵機構10は、自在継手9に連なるピニオン軸30と、ピニオン軸30の先端のピニオン30aに噛み合うラック16aを有し車両の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸16とを有している。ラック軸16の一対の端部のそれぞれにタイロッド17L,17Rを介してナックルアーム18L,18Rが連結されている。
上記の構成により、操舵部材2の回転は、ステアリングシャフト3等を介して転舵機構10に伝達される。転舵機構10では、ピニオン30aの回転がラック軸16の軸方向の運動に変換される。ラック軸16の軸方向の運動は、各タイロッド17L,17Rを介して対応するナックルアーム18L,18Rに伝えられ、これらのナックルアーム18L,18Rがそれぞれ回動する。これにより、各ナックルアーム18L,18Rに連結された対応する転舵輪4L,4Rがそれぞれ操向する。
伝達比可変機構5は、ステアリングシャフト3の第3および第4のシャフト13,14間の回転伝達比(伝達比θ2/θ1)を変更するためのものであり、ニューテーションギヤ機構とされている。この伝達比可変機構5は、一対の軸としての上記第3および第4のシャフト13,14と、入力部材20と、出力部材22と、入力部材20と出力部材22との間に介在する軌道輪ユニット39とを含んでいる。
入力部材20は、第3のシャフト13とは同軸に且つ同行回転可能に連結されている。出力部材22は、第4のシャフト14とは同軸に且つ同行回転可能に連結されている。第1の軸線A1は、入力部材20および出力部材22の中心軸線および回転軸線でもある。出力部材22は、第4のシャフト14等を介して転舵機構10に連なっている。
軌道輪ユニット39は、第1の軸線A1に対して傾斜する中心軸線としての第2の軸線Bを有しており、第1の軌道輪としての内輪391と、第2の軌道輪としての外輪392と、内輪391および外輪392間に介在する玉等の転動体393とを含んでいる。
内輪391は、入力部材20と出力部材22とを差動回転可能に連結する中間部材であり、入力部材20と出力部材22のそれぞれと回転伝達可能に係合している。内輪391は、転動体393を介して外輪392に回転可能に支持されていることにより、第2の軸線Bの回りを回転可能である。また、内輪391は、外輪392を駆動するためのアクチュエータとしての電動モータである伝達比可変機構用モータ23が駆動されることに伴い、第1の軸線A1の回りを回転可能である。内輪391および外輪392は、第1の軸線A1回りにコリオリ運動(首振り運動)可能である。
伝達比可変機構用モータ23は、伝達比可変機構5を駆動するためのものであり、第3および第4のシャフト13,14とは同軸に配置されており、中心軸線A2を有している。第1の軸線A1と中心軸線A2は合致している。伝達比可変機構用モータ23は、第1の軸線A1回りに関する外輪392の回転数を変更することにより、伝達比θ2/θ1を変更する。
伝達比可変機構用モータ23は、ステアリングシャフト3とは同軸に配置されたブラシレスモータからなり、軌道輪ユニット39を保持する筒状のロータ231と、ロータ231を取り囲むとともにハウジング24に固定されたステータ232とを含んでいる。
この車両用操舵装置1は、転舵機構10に操舵補助力を付与するための操舵補助力付与機構19を備えている。操舵補助力付与機構19は、伝達比可変機構5の出力部材22に連なる入力軸としての上記第4のシャフト14と、転舵機構10に連なる出力軸としての上記第5のシャフト15と、第4のシャフト14と第5のシャフト15との間に伝達されるトルクを検出するトルクセンサ44と、操舵補助用のアクチュエータとしての操舵補助用モータ25とを含んでいる。
操舵補助用モータ25は、ステアリングシャフト3とは同軸に配置されたブラシレスモータからなり、第5のシャフト15と同行回転可能なロータ251と、ロータ251を取り囲むとともにハウジング24に固定されたステータ252とを含んでいる。操舵補助用モータ25の出力が減速機構を介することなく、直接第5のシャフト15に伝達される、いわゆるダイレクトドライブ方式が採用されている。
上記伝達比可変機構5および伝達比可変機構用モータ23は、ハウジング24内に収容されている。ハウジング24は、車両の乗員室(キャビン)内に配置されている。なお、ハウジング24を、中間軸8を取り囲むように配置してもよいし、車両のエンジンルーム内に配置してもよい。
上記伝達比可変機構用モータ23および操舵補助用モータ25の駆動は、それぞれ、CPU、RAMおよびROMを含む制御部29によって制御される。制御部29は、駆動回路40を介して伝達比可変機構用モータ23に接続されているとともに、駆動回路41を介して操舵補助用モータ25に接続されている。
制御部29には、操舵角センサ42、伝達比可変機構用モータ23のロータ231の回転角を検出する回転角検出センサとしてのモータレゾルバ43、トルクセンサ44、転舵角センサ45、車速センサ46およびヨーレートセンサ47がそれぞれ接続されている。
制御部29に、操舵角センサ42からは、操舵部材2の直進位置からの操作量である操舵角θ1に対応する値として、例えば第1のシャフト11の回転角についての信号が入力される。
モータレゾルバ43からは、伝達比可変機構用モータ23のロータ231の回転角θrについての信号が入力される。伝達比可変機構用モータ23は、回転角θrに基づき制御される。
トルクセンサ44からは、第4および第5のシャフト14,15間に作用するトルクTについての信号が入力される。
転舵角センサ45からは、転舵角θ2に対応する値として、第5のシャフト15の回転角についての信号が入力される。転舵角θ2は、操舵補助用モータ25の回転角でもあり、操舵補助用モータ25は、転舵角θ2に基づき制御される。
車速センサ46からは、車速Vについての信号が入力される。
ヨーレートセンサ47からは、車両のヨーレートγについての信号が入力される。
制御部29は、各上記センサ42〜47の信号等に基づいて、伝達比可変機構用モータ23および操舵補助用モータ25の駆動を制御する。
上記の構成により、操舵部材2に入力された操舵トルクは、第1〜第3のシャフト11〜13を介して伝達比可変機構5の入力部材20に入力され、入力部材20から内輪391に入力される。内輪391には、操舵部材2からのトルクに加え、外輪392および転動体393を介して内輪391に伝わった伝達比可変機構用モータ25からのトルクが伝達され、これらのトルクが、出力部材22に伝達される。出力部材22に伝達されたトルクは、トーションバー21および第5のシャフト15に伝わり、操舵補助用モータ25の出力と合わさって、自在継手7、中間軸8、および自在継手9を介して、転舵機構10に伝達される。
上記の構成により、操舵部材2から転舵機構10への動力伝達経路Lは、第1〜第3のシャフト11〜13、伝達比可変機構5、第4および第5のシャフト14,15、自在継手7、中間軸8および自在継手9によって形成されている。この動力伝達経路Lにおいて、伝達比可変機構用モータ23が相対的に上流に配置され、操舵補助用モータ25が相対的に下流に配置されている。
図2は、車両用操舵装置1の要部の構成を示す一部断面図である。図2を参照して、ハウジング24は、筒状のジャケット50に結合されている。これらハウジング24およびジャケット50によって、ステアリングコラム49が形成されている。ステアリングコラム49には、操舵部材2の位置を調節するためのチルト機構およびテレスコピック機構の双方が設けられている。
ジャケット50は、アッパジャケット51、中間ジャケット52およびロアジャケット53を含んでいる。アッパジャケット51の一端51aは、第1の軸受31を介して、第1のシャフト11の一端を回転可能に且つ軸方向Sに同行移動可能に支持している。
中間ジャケット52の一端52aの内周面は、アッパジャケット51の他端51b側の外周面と軸方向Sに相対摺動可能に嵌合されている。中間ジャケット52によって、第1のシャフト11の他端および第2のシャフト12の中間部が取り囲まれている。
ロアジャケット53に中間ジャケット52が嵌め入れられている。ロアジャケット53の中間部には、係止部材54,55が取り付けられており、これらの係止部材54,55が、中間ジャケット52の外周面に係合している。上記の構成により、中間ジャケット52は、ロアジャケット53に係止されている。
ロアジャケット53のうち、ハウジング24との対向端部としての他端53bには、環状のフランジ53cが形成されている。フランジ53cとハウジング24とは、固定部材としてのねじ部材56を用いて互いに固定されている。
第1のシャフト11の他端11bは棒状に形成されており、筒状に形成された第2のシャフト12の一端12aに嵌合している。第2のシャフト12の他端12bは、棒状の第3のシャフト13の一端13aの外周に嵌合している。第2のシャフト12の他端12bの外周には、盗難防止用のリング部材57が嵌合されている。このリング部材57の外周は凹凸形状に形成されており、リング部材57の凹部に図示しないピン部材が係合することで、ステアリングシャフト3の回転を規制し、操舵部材2によるステアリングシャフト3の回転を規制することができる。
また、車両の衝突(一次衝突)に伴い運転者が操舵部材2に衝突する二次衝突が生じたときには、第1のシャフト11およびアッパジャケット51が、対応する第2のシャフト12および中間ジャケット52に対して軸方向Sに摺動し車両前方側に移動できるようになっている。
前述のように、第1のシャフト11は、第2のシャフト12の内側に嵌合されている。これにより、二次衝突の際には、第1のシャフト11は、第2のシャフト12のうち、リング部材57が嵌合されている部分よりもさらにロア側の、第3のシャフト13の一端13aに当接する位置まで移動することができる。例えば、第1のシャフトを第2のシャフトの外周に嵌合した構成と比べて、本実施の形態では、第1のシャフト11が盗難防止用のリング部材57に接触することが無い分、二次衝突のときの衝撃吸収ストロークを十分に長くできる。
ステアリングコラム49には、操舵部材2の位置を軸方向Sに沿って駆動するための駆動機構58が設けられている。
駆動機構58は、電動モータ59と、電動モータ59の出力回転を直線運動に変換するための変換部60とを含んでいる。電動モータ59は、例えば3相ブラシレスモータからなり、制御部29によって駆動制御される。電動モータ59のハウジング59aは、ロアジャケット53に固定されている。
変換部60は、例えばねじ機構を含んでおり、雄ねじ部材61と、雌ねじ部材62とを含んでいる。雄ねじ部材61と電動モータ59の出力軸59bとは、単一の材料を用いて一体に形成されており、両者が同行回転可能とされている。雌ねじ部材62は、雄ねじ部材61に嵌合している。この雌ねじ部材62は、アッパジャケット51とは軸方向Sに同行移動可能に連結されている。
上記の構成により、電動モータ59が駆動され出力軸59bおよび雄ねじ部材61が回転すると、雌ねじ部材62が軸方向Sの一方S1または他方S2に移動する。この雌ねじ部材62に同伴してアッパジャケット51および第1のシャフト11が軸方向Sに移動する。これにより、テレスコピック調節が達成される。また、テレスコピック調節が完了すると、制御部29の制御により、出力軸59bの回転がロックされる。具体的には、図3に示すように、制御部29の制御により、電動モータ59のステータ59cのU相、V相、W相の各相のコイルの一端および他端の双方が短絡される。
図2を参照して、上記の構成により、電動モータ59の出力は、ウォーム機構等の減速機構を介することなく、変換部60に伝達される。したがって、電動モータ59の回転数は小さく、電動モータ59の駆動音も小さい。
また、電動モータ59の出力軸59bが変換部60の雄ねじ部材61と同軸に配置されている。これにより、電動モータ59がロアジャケット53から張り出す量を少なくでき、車両用操舵装置1の小型化を達成できる。また、電動モータ59と変換部60との間に減速機構を設けないので、部品点数の低減を通じて製造コストを低減することができる。
図4は、車両用操舵装置1の要部の構成を示す一部断面図である。なお、図4では、ステアリングシャフト3が水平となるようにした状態を示している。図4を参照して、ハウジング24は、例えば、アルミニウム合金等の金属を用いて形成したものであり、筒状部63と、筒状部63の一端を塞ぐ第1の端壁64と、筒状部63の他端を塞ぐ第2の端壁65とを含んでいる。
筒状部63は、差動機構としての伝達比可変機構5を収容する差動機構ハウジング、伝達比可変機構用モータ23のモータハウジング、および操舵補助用モータ25のモータハウジングとしてのそれぞれの機能を有している。
第1の端壁64は、環状の板部材である。第1の端壁64の内側面の外径部には、環状の鍔部66が形成されている。この鍔部66の外周に、筒状部63の一端の内周が嵌合されている。また、第1の端壁64からは、筒状の延設部67が突出しており、筒状部63内に向けて延びている。また、第1の端壁64の内径部64aは、第2の軸受32を介して第3のシャフト13を回転可能に支持している。
第2の端壁65は、環状の板部材である。第2の端壁65の内側面の外径部には、環状の鍔部68が形成されている。この鍔部68の外周に、筒状部63の他端の内周が嵌合されている。第2の端壁65の内径部65aは、第3の軸受33を介して第5のシャフト15の中間部を回転可能に支持している。
伝達比可変機構5は、延設部67内に収容されている。伝達比可変機構5の入力部材20と内輪391との互いの対向面の一方には、周方向Cの全域に亘って複数の凹部が形成されており、他方には周方向Cの全域に亘って複数の凸部が形成されている。これらの凹部および凸部の一部同士が互いに凹凸係合するようになっている。これにより、入力部材20と内輪391とは動力伝達可能とされている。上記凸部の数と凹部の数とは異なっている。
同様に、出力部材22と内輪391との互いの対向面の一方には、周方向Cの全域に亘って複数の凹部が形成されており、他方には周方向Cの全域に亘って複数の凸部が形成されている。これらの凹部および凸部の一部同士が互いに凹凸係合するようになっている。これにより、出力部材22と内輪391とは動力伝達可能とされている。上記凸部の数と凹部の数とは異なっている。
伝達比可変機構用モータ23のロータ231は筒状をなしている。このロータ231の内周面には、外輪392が固定されている。ロータ231の一端は、第4の軸受34を介して第3のシャフト13に回転可能に支持されている。ロータ231の他端は、第5の軸受35を介して第4のシャフト14に回転可能に支持されている。ロータ231のロータ中心は、中心軸線A2である。
伝達比可変機構用モータ23のステータ232は、ロータ231を取り囲んでいる。このステータ232は、電磁鋼板を複数積層してなるステータコア71と、電磁コイル72とを含んでいる。ステータコア71は、延設部67の内周に固定された環状のヨーク73と、周方向Cに等間隔に配置されヨーク73から径方向内方に突出する複数のティース74とを含んでいる。各ティース74のそれぞれに電磁コイル72が巻回されている。各電磁コイル72は、後述する第1のバスバー87に接続されている。
伝達比可変機構用モータ23に隣接してモータレゾルバ43が配置されている。モータレゾルバ43は、伝達比可変機構用モータ23のロータ231と同行回転可能なレゾルバロータ75と、レゾルバロータ75に近接するように延設部67に固定されたレゾルバステータ76とを含んでいる。レゾルバステータ76は、延設部67の先端の環状壁67aに固定されている。
トルクセンサ44は、延設部67の内側に配置されている。延設部67の環状壁67aは、第6の軸受36を介して第5のシャフト15を回転可能に支持している。
操舵補助用モータ25のロータ251は、伝達比可変機構5の少なくとも一部(本実施の形態において、全部)を収容するように構成されている。
操舵補助用モータ25のロータ251の中心は、中心軸線A3である。すなわち、操舵補助用モータ25のロータ中心は、中心軸線A3であり、伝達比可変機構用モータ23のロータ中心としての中心軸線A2とともに、ステアリングシャフト3と同軸に配置されている。
このロータ251は、軸方向Sに延びる筒状のロータコア78と、ロータコア78の外周面に固定された永久磁石79とを含んでいる。ロータコア78は、有底円筒状に形成されており、第5のシャフト15に連結された底壁80と、底壁80の外径部から軸方向Sの一方S1に延びる周壁81とを含んでいる。底壁80と周壁81とで区画された空間に伝達比可変機構5が収容されている。
底壁80は、円板状に形成されており、第5のシャフト15と同行回転可能である。底壁80と第5のシャフト15とは、単一の材料を用いて一体に形成されていてもよいし、別部材を用いてスプライン嵌合等により連結されていてもよい。
周壁81は、伝達比可変機構5および伝達比可変機構用モータ23を取り囲んでいる。永久磁石79は、周方向Cに交互に異なる磁極を有しており、周方向Cに関して、N極とS極とが交互に等間隔に配置されている。
操舵補助用モータ25のステータ252は、電磁鋼板を複数積層してなるステータコア82と、電磁コイル83とを含んでいる。
ステータコア82は、軸方向Sに関する位置が永久磁石79と重なるように配置されている。ステータコア82は、ハウジング24の筒状部63の内周に固定される環状のヨーク84と、周方向Cに等間隔に配置されヨーク84から径方向内方に突出する複数のティース85とを含んでいる。各ティース85に電磁コイル83が巻回されている。各電磁コイル83は、後述する第2のバスバー89に接続されている。
ハウジング24の筒状部63内には、操舵補助用モータ25に隣接するバスバーユニット86が設けられている。バスバーユニット86は、操舵補助用モータ25に対して軸方向Sの一方S1側に配置されており、全体として延設部67を取り囲む環状をなしている。
バスバーユニット86は、伝達比可変機構用モータ23の各電磁コイル72に電力を供給するための第1のバスバー87と、第1のバスバー87を保持する絶縁性の第1の保持部材88と、操舵補助用モータ25の各電磁コイル83に電力を供給するための第2のバスバー89と、第2のバスバー89を保持する絶縁性の第2の保持部材90と、を含んでいる。
第1のバスバー87は、U相用バスバー87U、V相用バスバー87VおよびW相用バスバー87Wを有しており、これら各バスバー87U,87V,87Wは、軸方向Sに沿って並んで配置されている。
伝達比可変機構用モータ23の各電磁コイル72は、延設部67に形成された挿通孔91を通って延設部67の外側へ延び、対応するバスバー87U,87V,88Wにそれぞれ電気的に接続されている。これにより、伝達比可変機構用モータ23の各電磁コイル72の対応する一端同士が結線されている。
第2のバスバー89は、U相用バスバー89U、V相用バスバー89VおよびW相用バスバー89Wを有している。これらのバスバー89U,89V,89Wは、軸方向Sに沿って並んで配置されている。
操舵補助用モータ25の各電磁コイル83は、対応するバスバー89U,89V,89Wにそれぞれ電気的に接続されている。これにより、操舵補助用モータ25の各電磁コイル83の対応する一端同士が結線されている。
第1のバスバー87の各バスバー87U,87V,87Wのうち、径方向Rに関する内側の端部が、伝達比可変機構用モータ23の電磁コイル72と接続されている。一方、第2のバスバー89の各バスバー89U,89V,89Wのうち、径方向Rに関する外側の端部が、操舵補助用モータ25の電磁コイル83と接続されている。
第1の保持部材88は、例えば合成樹脂等の絶縁性の材料を用いて環状に形成されており、第1のバスバー87の各バスバー87U,87V,87Wの一部をモールドしている。
第2の保持部材90は、第1の保持部材88とは単一の材料を用いて一体に形成された環状の部材である。第2の保持部材90は、第2のバスバー89の各バスバー89U,89V,89Wの一部をモールドしている。
第1および第2の保持部材88,90は、図示しないブラケット等を用いて、ハウジング24の例えば筒状部63に固定される。なお、第1および第2の保持部材88,90は、別部材で形成された後に、接着剤等の固定手段を用いて一体に形成されてもよい。
ハウジング24内には、操舵補助用モータ25およびバスバーユニット86を収容する収容室92が区画されている。この収容室92は、外部に対する液密性が保たれているとともに、粘性体としてのグリースが充填されている。
具体的には、収容室92は、筒状部63、第1の端壁64、延設部67、第2の端壁65、第3の軸受33、第6の軸受36、第5のシャフト15およびシール部材93によって区画された環状の空間である。
第3の軸受33はシール軸受であり、第2の端壁65と第5のシャフト15との間を封止している。第6の軸受36はシール軸受であり、延設部67と第5のシャフト15との間を封止している。また、シール部材93は、ゴム等の弾性部材を用いて形成されており、挿通孔91を封止している。第6の軸受36およびシール部材93により、収容室92からトルクセンサ44へのグリースの漏出が防止されている。グリースは、例えば電気的に不活性のものを用いることができる。
また、操舵補助用モータ25のロータコア78の周壁81の内周には、羽根部材94が固定されている。羽根部材94は、ロータコア78の回転に伴い、収容室92内のグリースを攪拌することで回転抵抗を受ける。
これにより、第5のシャフト15に回転抵抗が付与されるので、路面から転舵輪4L,4R(図1参照)や第5のシャフト15等を介して操舵部材2に伝わる反力を抑制できる。その結果、運転者が得る操舵フィーリングを悪化させないようにすることができる。
また、収容室92内にグリースが充填されていることにより、操舵補助用モータ25が発した熱をグリースを介して効率よくハウジング24に伝達することができ、操舵補助用モータ25を冷却する効果を発揮することができる。また、羽根部材94の形状や数を変更することにより、羽根部材94の受ける抵抗力を容易に変更でき、その結果、所望の操舵フィーリングを達成できる。
また、第3の軸受33および第6の軸受36は、転がり軸受であり、内輪と外輪との間に、グリースが充填されている。これらの軸受33,36内に充填されるグリースは、車両用操舵装置1の使用が想定される温度範囲において、粘性係数が約0.3(N・m・s/rad)となるようにされている。このような粘性係数のグリースを各軸受33,36内に充填することにより、第5のシャフト15に適度な回転抵抗を付与でき、路面から転舵輪4L,4R等を介して操舵部材2に伝わる力をより確実に抑制できる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、操舵部材2から転舵機構10への動力伝達経路Lにおいて、伝達比可変機構用モータ23および操舵補助用モータ25がこの順に配置されている。これにより、操舵補助用モータ25の出力を、伝達比可変機構5を介することなく転舵機構10に伝達することができる。したがって、伝達比可変機構5に作用するトルクを少なくでき、伝達比可変機構5に作用する負荷を少なくできる。これにより、伝達比可変機構5の許容トルクを大きくするために伝達比可変機構5を大型にする必要がなく、車両用操舵装置1の小型化を達成できる。
また、伝達比可変機構用モータ23および操舵補助用モータ25の双方のロータ中心としての中心軸線A2,A3をステアリングシャフト3の第1の軸線A1と合致させている。これにより、これらのモータ23,25がステアリングシャフト3に対して径方向Rに張り出す量を少なくきる。したがって、車両用操舵装置1の更なる小型化を達成できる。
さらに、バスバーユニット86の第1および第2の保持部材88,90が、単一の材料を用いて一体に形成されている。これにより、第1および第2の保持部材88,90を一部品で構成できる。したがって、第1および第2のバスバー87,89を保持するための部品点数およびスペースをより少なくでき、車両用操舵装置1の製造コスト低減および更なる小型化を達成することができる。
また、伝達比可変機構5が、操舵補助用モータ25のロータ251内に配置されている。これにより、操舵補助用モータ25のロータ251の内部を、伝達比可変機構5を収容するスペースとして活用できる。したがって、操舵補助用モータ25の内部のデッドスペースの有効利用を通じて車両用操舵装置1をより一層小型化することができる。
さらに、操舵補助用モータ25の出力を、減速機構を介することなく第5のシャフト15に伝達するようにしている。これにより、上記減速機構を設けた場合と比べて部品点数をより少なくでき、さらなる軽量化を達成できる。
本発明は、以上の実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
なお、以下では、上記実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成には図に同様の符号を付してその説明を省略する。
例えば、図5に示すように、収容室92内に制御部29Aを設けてもよい。制御部29Aは、CPU,RAMおよびROMが実装された環状の制御基板101と、MOSFET等の駆動素子等が実装されたパワー基板102とを含んでいる。
制御基板101は、環状に形成されてステアリングシャフト3と同軸に配置されており、第1の端壁64の延設部67を取り囲んでいる。この制御基板101は、図示しないブラケット等を介して、ハウジング24の例えば筒状部63に固定されている。パワー基板102は、制御基板101とは軸方向Sに隣接して配置されており、例えば筒状部63に支持されている。パワー基板102には、制御基板101が接続されているとともに、伝達比可変機構用モータ23の各電磁コイル72、および操舵補助用モータ25の各電磁コイル83がそれぞれ接続されている。上記の構成により、伝達比可変機構用モータ23、および操舵補助用モータ25の双方について、バスバーを省略することができ、部品点数の低減を通じて製造コストをより低減することができる。
制御基板101およびパワー基板102のそれぞれの外周縁部は、筒状部63に当接している。これにより、これらの基板101,102からの熱が筒状部63に伝わるようにされており、筒状部63をヒートシンクとして機能させている。
本実施の形態によれば、制御部29Aをハウジング24内に収容することができるので、制御部29Aのための専用のハウジングを別途設ける必要がなく、車両用操舵装置1をより小型化することができる。その結果、車両の車室内での車両用操舵装置1のレイアウトの自由度が大幅に増し、車室内での搭載性を格段に向上できる。また、パワー基板102と各モータ23,25の電磁コイル72,83とを近接して配置できる。これにより、パワー基板102の駆動素子と各電磁コイル72,83との間の電気抵抗の低減を通じてモータ効率をより高くできる。
また、図6に示すように、バスバーユニット86Bの第1のバスバー87と第2のバスバー89とを、径方向Rに並べて配置してもよい。この場合、第1および第2の保持部材88B,90Bは、径方向Rに並べられる。その結果、軸方向Sに関する車両用操舵装置1の全長をより短くすることができる。
さらに、伝達比可変機構として、各上記実施の形態のものに限らず、遊星歯車機構や波動歯車機構等、他の伝達比可変機構を用いてもよい。
本発明の一実施の形態にかかる伝達比可変機構を備える車両用操舵装置の概略構成を示す模式図である。 車両用操舵装置の要部の構成を示す一部断面図である。 テレスコピック調節用の電動モータをロックさせているときの電気的な構成を示す要部の回路図である。 車両用操舵装置の要部の構成を示す一部断面図である。 本発明の別の実施の形態の要部の断面図である。 本発明のさらに別の実施の形態の要部の断面図である。
符号の説明
1…車両用操舵装置、2…操舵部材、3…ステアリングシャフト(操舵軸)、4L,4R…転舵輪、5…伝達比可変機構、10…転舵機構、13…第3のシャフト(入力軸)、14…第4のシャフト(出力軸)、23…伝達比可変機構用モータ、25…操舵補助用モータ、72…(伝達比可変機構用モータの)コイル、83…(操舵補助用モータの)コイル、87…第1のバスバー、88,88B…第1の保持部材、89…第2のバスバー、90,90B…第2の保持部材、251…(操舵補助用モータの)ロータ、A2,A3…中心軸線(ロータ中心)、L…動力伝達経路、θ1…操舵角、θ2…転舵角、θ2/θ1…伝達比。

Claims (3)

  1. 操舵部材に連なる入力軸および転舵機構に連なる出力軸を含む操舵軸と、
    上記入力軸と出力軸との間に介在し、操舵部材の操舵角に対する転舵輪の転舵角の比である伝達比を変更可能な伝達比可変機構と、
    伝達比可変機構を駆動するための伝達比可変機構用モータと、
    転舵機構に操舵補助力を付与するための操舵補助用モータと、を備え、
    操舵部材から転舵機構への動力伝達経路において、伝達比可変機構用モータおよび操舵補助用モータがこの順に配置され、且つ伝達比可変機構用モータおよび操舵補助用モータの双方のロータ中心が操舵軸と同軸に配置されていることを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 請求項1において、上記伝達比可変機構用モータの複数のコイル同士を結線する第1のバスバーを保持する絶縁性の第1の保持部材と、操舵補助用モータの複数のコイル同士を結線する第2のバスバーを保持する絶縁性の第2の保持部材とが、一体に形成されていることを特徴とする車両用操舵装置。
  3. 請求項1または2において、上記伝達比可変機構の少なくとも一部が、操舵補助用モータのロータ内に配置されていることを特徴とする車両用操舵装置。
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