JP2012040892A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、タイヤの重量をさほど増加させることなく、トレッドゴムに設けた周溝とベルトの配設関係の適正化によって転がり抵抗を有効に低減させた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】トロイド状に延在する一枚以上のカーカスプライからなるカーカス5と、二層以上のベルト層からなるベルト6と、トレッドゴム8とを具え、トレッドゴム8の踏面にタイヤ周方向に沿って延在する少なくとも一本の周溝9を配設し、ベルト6の、前記周溝の溝底位置に対応する部分である第一ベルト部6aは、ベルト層の数が、前記周溝の溝底以外の位置に対応する部分である第二ベルト部6bのベルト層の数よりも多い重ね合わせ部11を有し、タイヤ幅方向断面で見て、重ね合わせ部11の幅方向寸法bが、重ね合わせ部11に対応して位置する周溝9の開口寸法aより大きくしてなることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤ、特には、転がり抵抗を低減できる空気入りタイヤに関するものである。
近年、地球温暖化をはじめとする環境問題を考慮した開発が活発に行われており、その一例として、自動車の燃費の向上が挙げられる。これを達成するための一つの手段として、タイヤの転がり抵抗の低減があり、従来から、様々な技術開発が行われている。
タイヤの転がり抵抗は、トレッドゴム自体の発熱等によって発生することが知られており、この転がり抵抗を低減するため、例えば、トレッド部に使用されるトレッドゴムを損失正接の小さいものに変更することが有効であるとされている。
しかしながら、図1(b)に示すようなタイヤ周方向に延在する周溝を有する従来の空気入りタイヤでは、タイヤの負荷転動に当って、接地面内で、荷重による、圧縮力を受けた周溝の溝壁が、圧縮方向と直角となる鉛直方向(トレッド周方向および/または幅方向)歪に起因して溝壁が膨出変形し、その後、トレッドゴムの踏面が路面を離れる時に、その変形が戻る、いわゆるワイピング現象により、トレッドゴムの変形を生じるとともに、トレッド部踏面の、周溝の開口端縁部は、繰り返し接地面との摩擦により変形して、転がり抵抗が増大するおそれがあった。
また、トレッドゴムのタイヤ径方向内方に、トレッドゴムに対応する位置にわたって剛性の高いベルト層を二層以上配置して、トレッドゴムの剛性を高め、これによりワイピング現象を低減することも可能であるが、タイヤ重量の増加は否めなかった。
そこで、本発明は、タイヤの重量をさほど増加させることなく、トレッドゴムに設けた周溝とベルトの配設関係の適正化によって転がり抵抗を有効に低減させた空気入りタイヤを提供する。
本発明の空気入りタイヤは、トロイド状に延在する一枚以上のカーカスプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン域の外周側に積層して配設した、二層以上のベルト層からなるベルトと、該ベルトの半径方向外方に配設したトレッドゴムとを具え、トレッドゴムの踏面にタイヤ周方向に沿って延在する少なくとも一本の周溝を配設したものであって、前記ベルトの、前記周溝の溝底位置に対応する部分である第一ベルト部は、ベルト層の数が、前記周溝の溝底以外の位置に対応する部分である第二ベルト部のベルト層の数よりも多い重ね合わせ部を有し、タイヤ幅方向断面で見て、前記重ね合わせ部の幅方向寸法bが、前記重ね合わせ部に対応して位置する前記周溝の開口寸法aより大きくしてなることを特徴とするものである。
ここで、周溝は、トレッド周方向に沿って延びる形状であればよく、周溝は直線状の形態のみならず、ジグザグ形状、波線形状、湾曲形状、クランク状等の主溝の形態で延在させることもできる。
「重ね合わせ部の幅方向寸法b」および「周溝の開口寸法a」は、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会) YEAR BOOK、欧州ではETRTO(European Tyre and Rim Technical Organisation) STANDARDS MANUAL、米国ではTRA(THE TIRE and RIM ASSOCIATION INC.)YEAR BOOK等に規定されたリムに組み付けて、最大負荷能力に対応する空気圧を充填したタイヤの自立状態で測定したものとする。
このようなタイヤにおいてより好ましくは、周溝の溝壁を、タイヤ幅方向断面で見て、溝底からタイヤ径方向に対し比較的小さな角度で延びる第一溝壁部と、該第一溝壁部から開口端位置にわたってタイヤ径方向に対して比較的大きな角度で傾斜して延びる第二溝壁部とで構成する。
また好ましくは、第二溝壁部を、タイヤ幅方向に沿って測定したときの寸法がタイヤ径方向に測定したときの寸法よりも大きく、かつ、前記傾斜角度をタイヤ径方向に対し45°よりも大きくする。
本発明では、前記ベルトの、前記周溝の溝底位置に対応する部分である第一ベルト部は、ベルト層の数が、前記周溝の溝底以外の位置に対応する部分である第二ベルト部のベルト層の数よりも多い重ね合わせ部を有し、タイヤ幅方向断面で見て、前記重ね合わせ部の幅方向寸法bが、前記重ね合わせ部に対応して位置する前記周溝の開口寸法aより大きくすることで、図1(a)に本発明の空気入りタイヤの周溝とベルトの配置関係をタイヤ幅方向断面図で示すように、特に周溝の溝底のみを二層以上のベルト層で剛性を向上させて、ワイピング現象およびトレッドゴムの動きを低減させることができる。その結果、転がり抵抗を減少させることができる。
また、本発明では周溝の溝底に対応するタイヤ径方向内方の位置のみの必要な部分に、少なくとも二層のベルト層を配置するため、タイヤ重量の増加を最小限に抑えることができる。
(a)は本発明に従う空気入りタイヤの周溝とベルトの配置関係を説明するための図であり、(b)は従来の空気入りタイヤの周溝とベルトの配置関係を説明するための図である。 本発明に従う空気入りタイヤの一の実施形態を示すタイヤ幅方向断面図である。 本発明に従う空気入りタイヤの他の実施形態のタイヤ幅方向断面図であって、トレッドゴムとベルトの要部を抜き出して示す図である。 本発明に従う空気入りタイヤの他の実施形態のうち、一本の周溝を抜き出して示した拡大断面図である。
以下に、図面を参照しながら本発明の空気入りタイヤを詳細に説明する。
図2は本発明の空気入りタイヤの実施形態を示す幅方向断面図であり、1はトレッド部を、2はトレッド部1の側部に連続してタイヤ径方向内方に延びる一対のサイドウォール部を、3は各サイドウォール部2のタイヤ径方向内周側に連続させて設けたビード部をそれぞれ示す。
ここに示すタイヤは、一対のビード部3内にそれぞれ埋設した、図で断面が円形状のビードコア4間に、カーカス5の本体部5aをトロイド状に延在させるとともに、各側部部分をビードコア4の周りで、タイヤ幅方向内側から外側に向けて折り返された折返し部5bを有する。
カーカス5のクラウン域の外周側には、二層以上のベルト層、図では複数のベルト層をタイヤ幅方向にずらして部分的に積層配置したベルトが配設されており、このベルト6は、例えば、一本若しくは複数本のコードを、タイヤ周方向への延在姿勢で、螺旋状に連続的に巻き付けた、いわゆるスパイラルベルトの周方向ベルト層7とすることができる。またこのベルト層は広幅ベルト層を一周巻きとした構成とすることもできる。
ここで、カーカス5と周方向ベルト層7との間には、タイヤ赤道面Eに対して、例えば10〜60°の角度で傾斜して延びる、例えばスチールコードの複数本を整列させて配置することによって形成したコードゴム被覆層である複数層の傾斜ベルト層を、コードがタイヤ赤道面に対して互いに交差するように積層してなる交錯ベルト層を配置することができる。
ベルト6のさらに外周側には、タイヤの最大幅位置まで弧状に延びてトレッド部1の接地域を形成するトレッドゴム8が設けられている。このトレッドゴム8の踏面には、タイヤ周方向に沿って延びる複数本の周溝、図2では四本の周溝9を形成する。またトレッド部1には周溝9の他にラグ溝やサイプ等を必要に応じて適宜形成することができる。
ここで、周溝9の溝幅は2〜20mm、溝深さを3〜16mmの範囲とすることができる。
また、トレッドゴム8の両側には、サイド部を形成するサイドゴム10が設けられている。
そして、ベルト6の、周溝9の溝底位置に対応する部分である第一ベルト部6aは、ベルト層の数が、前記周溝の溝底以外の位置に対応する部分である第二ベルト部6bのベルト層の数よりも多い重ね合わせ部11を有し、この重ね合わせ部10の幅方向寸法bが、重ね合わせ部11に対応して位置する周溝9の開口寸法aより大きくする。
好ましくは、重ね合わせ部11の幅方向寸法bを周溝9の開口寸法aに対する比b/aが1〜1.5とする。
すなわち、b/aが1未満では、周溝付近の剛性を高める作用が小さくなるおそれがあり、一方1.5を超えると、タイヤ重量増加を招く傾向がある。
図3は、本発明の空気入りタイヤの他の実施形態の一部を示すタイヤ幅方向断面図である。
なお、先の図2に示したタイヤと同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態では、ベルト層の外周側であってタイヤ幅方向外側の端部部分に、コードがタイヤ周方向に延在する一層のベルト端部補強層12を配置する。
そして、ベルト6の、周溝9の溝底位置に対応する部分である第一ベルト部6a、図では周方向ベルト層7とベルト端部補強層12が積層された重ね合わせ部10は、ベルト層の数が、周溝9の溝底以外の位置に対応する部分である第二ベルト部6bのベルト層の数よりも多い重ね合わせ部11を有し、この重ね合わせ部11の幅方向寸法bが、重ね合わせ部11に対応して位置する周溝9の開口寸法aより大きくする。
このようなタイヤにおいてより好ましくは、図4に周溝9のタイヤ幅方向断面拡大図に示すように、周溝9の溝壁を、溝底からタイヤ径方向に対し比較的小さな角度θ2、好ましくは0〜30°で延びる第一溝壁部9aと、第一溝壁部9aから開口端位置にわたってタイヤ径方向に対して比較的大きな角度θ1、好ましくは45〜80°で傾斜して延びる第二溝壁部9bとで構成する。
この構成により、周溝9の溝壁の路面接地付近で溝壁の角度θ1を大きくすることになり、周溝9の縁部が路面との摩擦による局所的な変形を抑制することができる。
また好ましくは、第二溝壁部9bは、タイヤ幅方向に沿って測定した時の寸法xがタイヤ径方向に測定したとき寸法yよりも大きく、かつ、傾斜角度θ1をタイヤ径方向に対し45°よりも大きくする。
この構成により、溝壁部9bの接地面付近での、ワイピング時のタイヤ幅方向による変形を抑制することができる。
次に、図3に示すような構造を有し、サイズが195/65R15の実施例タイヤおよび、ベルトが一層のベルト層よりなるサイズが195/65R15の比較例タイヤを試作して、表1にそれぞれの開口寸法a、幅方向寸法b、角度θ1、θ2、幅方向寸法xおよび径方向寸法yについて示す。
なお、比較例タイヤでは、いずれも他の構成は実施例タイヤに準ずるものとした。
Figure 2012040892
上記各供試タイヤについて、転がり抵抗およびタイヤ重量を評価した。
(転がり抵抗)
実施例タイヤ、比較例タイヤとのそれぞれにつき、JATMAに準拠する、タイヤを6.0J×15のリムに組み付けて、内圧を210kPa、負荷荷重0.8×タイヤの最大負荷能力とし、時速80km/hで、タイヤを転動させ、IS018164に準拠し、スムースドラム、フォース式にて、転がり抵抗を測定して評価した。その結果を表2に指数で示す。
なお、表2中の数値は、比較例タイヤ1の値を100としたときの指数として求めたものであり、指数が大きいほど、転がり抵抗が優れていることを示す。
(タイヤ重量)
実施例タイヤおよび比較例タイヤとのそれぞれにつき、適用リムに組み付けることなく、タイヤ重量を測定し、その評価結果を表2に示す。
Figure 2012040892
表2の結果から、実施例タイヤは、比較例タイヤに対し、タイヤ重量を大幅に増加することなく、転がり抵抗が低減した。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ビードコア
5 カーカス
5a 本体部
5b 折返し部
6 ベルト
6a 第一ベルト部
6b 第二ベルト部
7 周方向ベルト層
8 トレッドゴム
9 周溝
9a 第一溝壁部
9b 第二溝壁部
10 サイドゴム
11 重ね合わせ部
12 ベルト端部補強層

Claims (3)

  1. トロイド状に延在する一枚以上のカーカスプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン域の外周側に積層して配設した、二層以上のベルト層からなるベルトと、該ベルトの半径方向外方に配設したトレッドゴムとを具え、トレッドゴムの踏面にタイヤ周方向に沿って延在する少なくとも一本の周溝を配設した空気入りタイヤにおいて、
    前記ベルトの、前記周溝の溝底位置に対応する部分である第一ベルト部は、ベルト層の数が、前記周溝の溝底以外の位置に対応する部分である第二ベルト部のベルト層の数よりも多い重ね合わせ部を有し、
    タイヤ幅方向断面で見て、前記重ね合わせ部の幅方向寸法bが、前記重ね合わせ部に対応して位置する前記周溝の開口寸法aより大きくしてなることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 周溝の溝壁は、タイヤ幅方向断面で見て、溝底からタイヤ径方向に対し比較的小さな角度で延びる第一溝壁部と、該第一溝壁部から開口端位置にわたってタイヤ径方向に対して比較的大きな角度で傾斜して延びる第二溝壁部とで構成してなる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 第二溝壁部は、タイヤ幅方向に沿って測定したときの寸法がタイヤ径方向に測定したときの寸法よりも大きく、かつ、前記傾斜角度がタイヤ径方向に対し45°よりも大きい請求項2に記載の空気入りタイヤ。
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