JP6077837B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
環境への配慮から、近年、低燃費な車輌の開発が進んでいる。車輌には、空気入りタイヤが装着される。空気入りタイヤは、車体を支持するとともに、路面に動力を伝える役割を担っている。タイヤは、車輌の燃費性能に影響する。
車輌の低燃費化の達成の観点から、タイヤの開発も進んでいる。この開発では、タイヤの転がり抵抗に着目した検討がなされている。この検討の一例が、特開2005−219537公報に開示されている。
特開2005−219537公報
タイヤの質量は、前述の、転がり抵抗に影響する。転がり抵抗の低減の観点から、タイヤの軽量化が検討されることがある。
トレッドのボリュームを低減すると、タイヤは軽くなる。この場合、トレッド面の溝は浅くなってしまう。浅い溝は、耐摩耗性に影響する。浅い溝では、排水性能が不足してしまう。
軽量化の観点から、薄いサイドウォールを採用することがある。薄いサイドウォールは、バルジ、デント等の外観不良を招来する恐れがある。
幅狭のベルトを採用すると、タイヤは軽くなる。幅狭のベルトでは、操縦安定性、耐摩耗性等の性能が阻害されてしまう。
本発明の目的は、操縦安定性及び耐摩耗性を損なうことなく、転がり抵抗の低減が達成された空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールとを備えている。このタイヤのプロファイルは、接地面とそれぞれがこの接地面から半径方向略内向きに延びる一対の側面とを備えている。このタイヤでは、軸方向における両側面間距離の最大値がこのタイヤの最大幅である。上記接地面と上記側面との境界が点PBとされ、上記最大幅を示す上記側面上の地点が点PWとされ、上記点PWを通り軸方向に延びる仮想直線が基準線とされ、上記基準線から赤道までの半径方向長さが基準長さとされ、上記点PWよりも半径方向外側に位置し、かつ、上記基準線からの半径方向長さが上記基準長さの1/3に相当する上記側面上の地点が点P1とされ、上記点P1よりも半径方向外側に位置し、かつ、この点P1からの半径方向長さが上記基準長さの1/3に相当する上記側面上の地点が点P2とされ、半径方向における上記点P2と上記点P1との中間位置にある上記側面上の地点が点P3とされ、そして、半径方向における上記点P2と上記点PBとの中間位置にある上記側面上の地点が点P4とされたとき、
上記プロファイルのうち、上記点PBから上記点PWまでのゾーンは、3つの円弧により形成されている。これらの円弧は、第一円弧と、この第一円弧から半径方向略外向きに延びる第二円弧と、この第二円弧からさらに半径方向略外向きに延びる第三円弧とからなる。上記第一円弧は、上記点PW及び上記点P1を通る。上記第二円弧は、上記点P1、上記点P3及び上記点P2を通る。上記第三円弧は、上記点P2、上記点P4及び上記点PBを通る。上記第二円弧の曲率半径R2の上記第一円弧の曲率半径R1に対する比は、1.45以上3.26以下である。上記第三円弧の曲率半径R3の上記第一円弧の曲率半径R1に対する比は、0.45以上0.56以下である。上記第一円弧の延長線は、上記点P1と上記基準線に対して線対称な位置関係にある仮想点を通る。
好ましくは、この空気入りタイヤは、並列された多数のコードを含むベルトを備えている。上記ベルトは、上記トレッドの半径方向内側に位置している。上記ベルトは、内側層と、この内側層の半径方向外側に位置する外側層とを備えている。上記外側層の軸方向幅の、上記タイヤの呼び幅に対する比は、0.66以上0.77以下である。上記外側層の軸方向幅に対する上記第三円弧の曲率半径R3の比は、0.19以上0.23以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤは、上記点PBと上記点P3との間に、上記側面から内向きに窪んだ凹みを備えている。上記点P4に、上記凹みの外縁が位置している。上記凹みの幅は、5mm以上15mm以下である。上記凹みの深さは、0.3mm以上1mm以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記第二円弧の曲率半径R2は80mm以上180mm以下である。上記第三円弧の曲率半径R3は、24mm以上34mm以下である。上記外側層の軸方向幅は、128mm以上150mm以下である。
本発明に係る空気入りタイヤでは、操縦安定性及び耐摩耗性を損なうことなく、転がり抵抗の低減が達成される。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの製造の様子が示された模式図である。 図3は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ2は、リム4に組み込まれている。このリム4は、正規リムである。このタイヤ2には、空気が充填されている。このタイヤ2の内圧は、正規内圧である。本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
このタイヤ2は、トレッド6、サイドウォール8、クリンチ10、ビード12、カーカス14、ベルト16、インナーライナー18及びクッション層20を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
トレッド6は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド6は、路面と接触するトレッド面22を形成する。トレッド面22には、溝24が刻まれている。この溝24により、トレッドパターンが形成されている。図示されていないが、トレッド6は、ベース層とキャップ層とを有している。キャップ層は、ベース層の半径方向外側に位置している。キャップ層は、ベース層に積層されている。ベース層は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。キャップ層は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
サイドウォール8は、トレッド6の端から半径方向略内向きに延びている。サイドウォール8の半径方向外側端は、トレッド6と接合されている。サイドウォール8の半径方向内側端は、クリンチ10と接合されている。サイドウォール8は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。サイドウォール8は、軸方向においてカーカス14よりも外側に位置している。サイドウォール8は、カーカス14の損傷を防止する。
クリンチ10は、サイドウォール8の半径方向略内側に位置している。クリンチ10は、軸方向において、ビード12及びカーカス14よりも外側に位置している。クリンチ10は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。クリンチ10は、リム4のフランジ26と当接する。
ビード12は、クリンチ10の軸方向内側に位置している。ビード12は、コア28と、このコア28から半径方向外向きに延びるエイペックス30とを備えている。コア28はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス30は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス30は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス14は、カーカスプライ32からなる。カーカスプライ32は、両側のビード12の間に架け渡されており、トレッド6及びサイドウォール8に沿っている。カーカスプライ32は、コア28の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ32には、主部32aと折り返し部32bとが形成されている。
カーカスプライ32は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス14はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス14が、2枚以上のカーカスプライ32から形成されてもよい。
ベルト16は、トレッド6の半径方向内側に位置している。ベルト16は、カーカス14と積層されている。ベルト16は、カーカス14を補強する。
このタイヤ2のベルト16は、内側層34a及び外側層34bからなる。図1から明らかなように、外側層34bは内側層34aの半径方向外側に位置している。軸方向において、外側層34bの幅は内側層34aの幅よりも若干小さい。外側層34bの軸方向幅は、通常、内側層34aの軸方向幅の0.85倍以上1.15倍以下である。
図示されていないが、内側層34a及び外側層34bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。言い換えれば、ベルト16は並列された多数のコードを含んでいる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。内側層34aのコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層34bのコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト16が、3以上の層34を備えてもよい。
インナーライナー18は、カーカス14の内側に位置している。インナーライナー18は、カーカス14の内面に接合されている。インナーライナー18は、架橋ゴムからなる。インナーライナー18には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー18の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー18は、タイヤ2の内圧を保持する。
クッション層20は、ベルト16の端の近くにおいて、カーカス14と積層されている。クッション層20は、軟質な架橋ゴムからなる。クッション層20は、ベルト16の端の応力を吸収する。このクッション層20により、ベルト16のリフティングが抑制される。このクッション層20は、トレッドルースケーシング(Tread Loose Casing;TLC)の発生防止に寄与しうる。
このタイヤ2は、次のようにして製造される。図示されていないが、このタイヤ2の製造方法では、フォーマーのドラム上で、トレッド6、サイドウォール8等の部材が組み合わされる。これにより、ローカバーが得られる。ローカバーは、未架橋のタイヤ2である。ローカバーが組み立てられる工程は、成形工程とも称されている。
ローカバーは、モールドに投入される。このとき、ブラダーはローカバーの内側に位置している。ブラダーにガスが充填されると、ブラダーは膨張する。これにより、ローカバーは変形する。モールドが締められ、ブラダーの内圧が高められる。図2に模式的に示されているのは、このときの様子である。なお、ブラダーに代えて中子が用いられてもよい。中子は、トロイダル状の外面を備える。この外面は、空気が充填されその内圧が正規内圧の5%に保持された状態にあるタイヤ2の内面の形状に近似される。
図2に示されているのは、モールド36が締められたときの様子である。モールド36が締められると、ローカバー38はモールド36とブラダー40とに挟まれて加圧される。ローカバー38は、モールド36及びブラダー40からの熱伝導により、加熱される。加圧と加熱とにより、ローカバー38のゴム組成物が流動する。加熱によりゴム組成物が架橋反応を起こし、図1に示されたタイヤ2が得られる。ローカバー38が加圧及び加熱される工程は、架橋工程とも称されている。
架橋工程では、膨張したブラダー40がモールド36のキャビティ面42にローカバー38を押し付ける。ゴムは、流動し、キャビティ面42にめり込む。これにより、タイヤ2の外面が形成される。この外面には、前述のトレッド面22の溝24が含まれる。サイドウォール8に文字、記号等の装飾物が設けられている場合は、この装飾物もこの外面に含まれる。
本発明では、外面の輪郭はプロファイルと称される。このプロファイルは、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定された寸法に基づいて決められる。なお、この外面の一部をなすトレッド面22に溝24がある場合は、この溝24がないと仮定して得られる仮想トレッド面を用いてプロファイルは表される。サイドウォール8に装飾物が設けられている場合は、この装飾物がないと仮定して得られる、サイドウォール8の仮想外面を用いて、このプロファイルは表される。
図1において、このタイヤ2のプロファイルが実線OLで表されている。このプロファイルOLは、接地面44と、この接地面44から半径方向略内向きに延びる側面46とを備えている。図1中、点PBは接地面44と側面46との境界を表している。この点PBは、正規内圧の状態にあるタイヤ2に正規荷重を付加したときにこのタイヤ2が路面と接触している部分のうち、軸方向において最も外側に位置する端により表される。本発明では、プロファイルOLのうち、左側の点PB(図示されず)から右側の点PBまでのゾーンが接地面44とされる。
このタイヤ2は、軸方向における左右の側面46の間において最大幅を有する。言い換えれば、軸方向における両側面46の間の距離の最大値が、このタイヤ2の最大幅である。図1では、最大幅を示す側面46上の地点が点PWで表されている。実線LBは、この点PWを通り軸方向に延びる仮想直線である。本発明では、この実線LBは基準線と称される。
図中、符号PEで示されているのは接地面44と赤道面との交点である。本発明において、この交点PEは赤道と称される。実線LEは、この赤道PEを通り軸方向に延びる仮想直線を表している。このタイヤ2の外径は、この実線LEにより規定される。
図1において、両矢印HAは基準線LBから実線LEまでの半径方向長さを表している。この長さHAは、基準線LBから赤道PEまでの半径方向長さである。本発明では、この長さHAは基準長さと称される。
点P1は、点PWよりも半径方向外側に位置する側面46上の地点である。両矢印H1は、基準線LBからこの点P1までの半径方向長さを表している。このタイヤ2では、長さH1は、基準長さHAの1/3である。点P1は、点PWよりも半径方向外側に位置し、かつ、基準線LBからの半径方向長さが基準長さHAの1/3に相当する側面46上の地点である。
点P2は、点P1よりも半径方向外側に位置する側面46上の地点である。両矢印H2は、点P1からこの点P2までの半径方向長さを表している。このタイヤ2では、長さH2は、基準長さHAの1/3である。点P2は、点P1よりも半径方向外側に位置し、かつ、この点P1からの半径方向長さが基準長さHAの1/3に相当する側面46上の地点である。
図1において、点P3は、半径方向における点P2と点P1との中間位置にある側面46上の地点である。点P4は、半径方向における点P2と点PBとの中間位置にある側面46上の地点である。
このタイヤ2では、外面のプロファイルOLのうち、点PBから点PWまでのゾーンは3つの円弧により形成されている。これらの円弧は、第一円弧と、第二円弧と、第三円弧とからなる。
第一円弧は、点PWから半径方向略外向きに延びている。第一円弧は、点PW及び点P1を通る。図1において、矢印R1で示されているのは、この第一円弧の曲率半径である。
図1において、符号P5で示されているのは、点P1と基準線LBに対して線対称な位置関係にある仮想点である。二点鎖線L1で示されているのは、第一円弧の延長線である。図から明らかなように、この第一円弧の延長線L1は仮想点P5を通る。前述したように、第一円弧は点PW及び点P1を通る。このタイヤ2では、第一円弧の中心は基準線LB上に存在している。
第二円弧は、第一円弧から半径方向略外向きに延びている。第二円弧は、点P1、点P3及び点P2を通る。図1において、矢印R2で示されているのは、この第二円弧の曲率半径である。このタイヤ2では、第二円弧の中心は点P1と第一円弧の中心とを通る直線上に存在している。言い換えれば、第二円弧は第一円弧と点P1において接している。点P1は、第一円弧と第二円弧との接点である。点P1は、第一円弧と第二円弧との境界でもある。
第三円弧は、第二円弧から半径方向略外向きに延びている。第三円弧は、点P2、点P4及び点PBを通る。図1において、矢印R3で示されているのは、この第三円弧の曲率半径である。このタイヤ2では、第三円弧の中心は点P2と第二円弧の中心とを通る直線上に存在している。言い換えれば、第三円弧は第二円弧と点P2において接している。点P2は、第二円弧と第三円弧との接点である。点P2は、第二円弧と第三円弧との境界でもある。
このタイヤ2では、接地面44と第一円弧との間には第三円弧及び第二円弧が存在している。従来のタイヤでは、接地面と第一円弧とが直線で繋げられる。このため、従来のタイヤでは、荷重がかけられたとき、第一円弧と直線との境界において歪みが集中する。従来のタイヤの撓みは特異である。これに対して、本発明のタイヤ2では、接地面44は、第三円弧及び第二円弧を介して第一円弧と繋げられている。このタイヤ2は、荷重がかけられたとき、適正に撓む。このタイヤ2では、サイドウォール8が撓むことにより、変形に伴って生じるエネルギーが十分に吸収される。このタイヤ2では、転がり抵抗が低減される。
さらにこのタイヤ2では、点PBから点P1までのゾーンにおいて、カーカス14からプロファイルOLまでの距離が、従来のタイヤに比べて、適切に維持されている。このタイヤ2では、カーカス14はプロファイルOLに急激に近づくことなく、徐々に近づいていく。このタイヤ2では、点PBから点P1までのゾーン、言い換えれば、このタイヤ2のショルダーからバットレスまでの部分に、特異な剛性を有する部分はない。このタイヤ2では、この部分における屈曲の繰り返しが抑制されている。このタイヤ2の転がり抵抗は、従来のタイヤの転がり抵抗に比べて小さい。
このタイヤ2では、プロファイルOLの最適化により転がり抵抗の低減が達成される。このため、転がり抵抗の低減の観点から、トレッド6、サイドウォール8、ベルト16等のボリュームを減らす必要はない。適正な仕様を有するベルト16を有することができるので、操縦安定性及び耐摩耗性が適切に維持される。このタイヤ2では、操縦安定性及び耐摩耗性を損なうことなく、転がり抵抗の低減が達成される。
このタイヤ2では、第二円弧の曲率半径R2の第一円弧の曲率半径R1に対する比は1.45以上3.26以下である。この比が1.45以上に設定されることにより、サイドウォール8の撓みが適正にコントロールされる。この比が3.26以下に設定されることにより、点PBから点P1までのゾーンにおける、カーカス14からプロファイルOLまでの距離が適正とされたタイヤ2が得られる。このタイヤ2では、そのショルダーからバットレスまでの部分に特異な剛性を有する部分がないので、このショルダーからバットレスまでの部分における屈曲の繰り返しが抑制される。このタイヤ2では、サイドウォール8の撓みが適正にコントロールされるとともに、そのショルダーからバットレスまでの部分における屈曲の繰り返しが抑制される。このタイヤ2では、プロファイルOLが転がり抵抗の低減に有効に機能しうる。
このタイヤ2では、第三円弧の曲率半径R3の第一円弧の曲率半径R1に対する比は0.45以上0.56以下である。このタイヤ2では、ショルダーが一様な接地圧で路面と接触する。しかも前述したように、適正な仕様を有するベルト16を有することができる。このプロファイルOLは、肩落ち摩耗のような偏摩耗の発生防止に寄与しうる。
図1において、両矢印BW/2は外側層34bの軸方向幅の半分を表している。したがって、この外側層34bの軸方向幅はBWで表される。
このタイヤ2では、その呼び幅をRWで表したとき、軸方向幅BWの呼び幅RWに対する比は0.66以上0.77以下が好ましい。この比が0.66以上に設定されることにより、ベルト16の軸方向幅が十分に確保される。このベルト16は、操縦安定性及び耐摩耗性に寄与しうる。この比が0.77以下に設定されることにより、ベルト16の軸方向幅が適切に維持される。このタイヤ2では、ベルト16の端に起因して生じるクラックの発生が効果的に防止される。このタイヤ2は、耐久性に優れる。しかもこのタイヤ2では、ベルト16による質量への影響が効果的に抑えられる。
本発明では、タイヤ2のサイズに表される、幅の呼びが、呼び幅RWと称されている。例えば、タイヤ2のサイズが195/65R15で表される場合には、「195」がこのタイヤ2の呼び幅RWである。
このタイヤ2では、第三円弧の曲率半径R3の軸方向幅BWに対する比は0.19以上0.23以下が好ましい。この比が0.19以上に設定されることにより、ベルト16の端に起因して生じるクラックの発生が効果的に防止される。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この比が0.23以下に設定されることにより、曲率半径R3の第三円弧を有するプロファイルOLからベルト16の端までの距離が適正に維持される。このタイヤ2では、プロファイルOLによるタイヤ2の質量への影響が効果的に抑えられている。しかもベルト16が適正な位置に配置されるので、このベルト16が操縦安定性及び耐摩耗性に効果的に寄与しうる。
操縦安定性及び耐摩耗性を損なうことなく、転がり抵抗の低減が達成されるとの観点から、特に、このタイヤ2のサイズが195/65R15で表される場合においては、第二円弧の曲率半径R2は80mm以上180mm以下が好ましい。第三円弧の曲率半径R3は25mm以上31mm以下が好ましい。軸方向幅BWは128mm以上150mm以下が好ましい。
図3に示されているのは、このタイヤ2のバットレスの部分である。このタイヤ2は、プロファイルOLにおける、点PBと点P3との間に、凹み48を備えている。凹み48は、側面46から内向きに窪んでいる。凹み48は、周方向に延在している。言い換えれば、凹み48はリング状を呈している。図から明らかなように、この凹み48の外縁は側面46における点P4の地点に位置している。この凹み48の内縁は、側面46における点P2の地点に位置している。この凹み48の内縁が、半径方向において点P2よりも外側に位置してもよい。この凹み48の内縁が、半径方向において点P2よりも内側に位置してもよい。
前述したように、このタイヤ2には、TLCの発生防止の観点から、クッション層20が設けられている。クッション層20は、このタイヤ2のバットレスの部分の厚みに影響する。大きな厚みはタイヤ2の質量に影響するため、図示されているように、バットレスの部分に凹み48が設けられるのが好ましい。言い換えれば、凹み48はタイヤ2の軽量化に寄与しうる。
図3において、両矢印DWは凹み48の幅を表している。この幅DWは、側面46に沿って計測される。両矢印DDは、凹み48の深さを表している。この深さDDは、側面46からこの凹み48の底までの長さにより表される。
凹み48がタイヤ2の軽量化に効果的に寄与しうるとの観点から、幅DWは5mm以上が好ましく、15mm以下が好ましい。同様の観点から、深さDDは0.3mm以上が好ましく、1mm以下が好ましい。
このタイヤ2では、凹み48にローレット加工が施されるのが好ましい。これにより、外観不良の発生が防止される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示された基本構成を備え、下記の表1に示された実施例1の空気入りタイヤを得た。タイヤのサイズは、195/65R15とされた。したがって、このタイヤの呼び幅RWは、195mmである。この実施例1では、第一円弧の曲率半径R1は55mmとされた。第二円弧の曲率半径R2は、130mmとされた。第三円弧の曲率半径R3は、28mmとされた。ベルトの一部をなす外側層の軸方向幅BWは、140mmとされた。この実施例1では、バットレスの部分に凹みが設けられている。この凹みの幅DWは、10mmとされた。この凹みの深さDDは、0.5mmとされた。この実施例1では、半径R2の半径R1に対する比(R2/R1)は2.35であった。半径R3の半径R1に対する比(R3/R1)は、0.51であった。幅BWの呼び幅RWに対する比(BW/RW)は、0.72であった。半径R3の幅BWに対する比(R3/BW)は、0.20であった。
[実施例2−15及び比較例1−4]
半径R1、半径R2、半径R3及び幅BWを変えて、比(R2/R1)、比(R3/R1)、比(BW/RW)及び比(R3/BW)を下記の表1から表4の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−15及び比較例1−4のタイヤを得た。
[実施例16]
凹みを設けなかった他は実施例1と同様にして、実施例16のタイヤを得た。
[実施例17−20]
凹みの深さDDを下記の表5の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例17−20のタイヤを得た。
[実施例21−24]
凹みの幅DWを下記の表6の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例21−24のタイヤを得た。
[比較例5]
第一円弧と第三円弧とを円弧ではなく直線で繋げ、半径R1、半径R3及び幅BWを下記の表6の通りとするとともに、凹みを設けなかった他は実施例1と同様にして、比較例5のタイヤを得た。
[比較例6]
幅BWを変えて比(BW/RW)及び比(R3/BW)を下記の表6の通りとした他は比較例5と同様にして、比較例6のタイヤを得た。
[質量及び転がり抵抗]
下記の条件にて、有限要素法(Finite Element Method;FEM)による解析を行い、タイヤの質量及び転がり抵抗を算出した。この結果が、比較例5を100とした指数で下記の表1から表6に示されている。質量の指数は、数値が小さいほど軽いことを表している。転がり抵抗の指数は、数値が小さいほど転がり抵抗が小さいことを表している。したがって、転がり抵抗については、数値が小さいほど好ましい。
リム:6.0JJ
内圧:230kPa
荷重:4.24kN
[操縦安定性及び耐摩耗性]
タイヤを6.0JJのリムに組み込み、このタイヤに内圧が230kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを、排気量が1800ccである前輪駆動の国産乗用車に装着した。ドライバーに、この乗用車をレーシングサーキットで運転させて、操縦安定性及び耐摩耗性を評価させた。この結果が、5点が満点とされた指数として下記の表1から表6に示されている。数値が大きいほど好ましい。
Figure 0006077837
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表1から表6に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明されたタイヤは、種々の車輌にも適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・リム
6・・・トレッド
8・・・サイドウォール
22・・・トレッド面
24・・・溝
36・・・モールド
42・・・キャビティ面
44・・・接地面
46・・・側面
48・・・凹み

Claims (4)

  1. トレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、並列された多数のコードを含むベルトとを備えた空気入りタイヤであって、
    このタイヤのプロファイルが、接地面とそれぞれがこの接地面から半径方向略内向きに延びる一対の側面とを備えており、
    軸方向における両側面間距離の最大値がこのタイヤの最大幅であり、
    上記接地面と上記側面との境界が点PBとされ、上記最大幅を示す上記側面上の地点が点PWとされ、上記点PWを通り軸方向に延びる仮想直線が基準線とされ、上記基準線から赤道までの半径方向長さが基準長さとされ、上記点PWよりも半径方向外側に位置し、かつ、上記基準線からの半径方向長さが上記基準長さの1/3に相当する上記側面上の地点が点P1とされ、上記点P1よりも半径方向外側に位置し、かつ、この点P1からの半径方向長さが上記基準長さの1/3に相当する上記側面上の地点が点P2とされ、半径方向における上記点P2と上記点P1との中間位置にある上記側面上の地点が点P3とされ、そして、半径方向における上記点P2と上記点PBとの中間位置にある上記側面上の地点が点P4とされたとき、
    上記プロファイルのうち、上記点PBから上記点PWまでのゾーンが3つの円弧により形成されており、
    これらの円弧が、第一円弧と、この第一円弧から半径方向略外向きに延びる第二円弧と、この第二円弧からさらに半径方向略外向きに延びる第三円弧とからなり、
    上記第一円弧が、上記点PW及び上記点P1を通り、
    上記第二円弧が、上記点P1、上記点P3及び上記点P2を通り、
    上記第三円弧が、上記点P2、上記点P4及び上記点PBを通り、
    上記第二円弧の曲率半径R2の上記第一円弧の曲率半径R1に対する比が2.26以上2.54以下であり、
    上記第三円弧の曲率半径R3の上記第一円弧の曲率半径R1に対する比が0.45以上0.56以下であり、
    上記第一円弧の延長線が、上記点P1と上記基準線に対して線対称な位置関係にある仮想点を通り、
    上記ベルトが上記トレッドの半径方向内側に位置しており、
    上記ベルトが、内側層と、この内側層の半径方向外側に位置する外側層とを備えており、
    上記外側層の軸方向幅の、上記タイヤの呼び幅に対する比が、0.72以上0.73以下である、空気入りタイヤ。
  2. 記外側層の軸方向幅に対する上記第三円弧の曲率半径R3の比が、0.19以上0.23以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記点PBと上記点P3との間に、上記側面から内向きに窪んだ凹みを備えており、
    上記点P4に、上記凹みの外縁が位置しており、
    上記凹みの幅が、5mm以上15mm以下であり、
    上記凹みの深さが、0.3mm以上1mm以下である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 上記第二円弧の曲率半径R2が、80mm以上180mm以下であり、
    上記第三円弧の曲率半径R3が、24mm以上34mm以下であり、
    上記外側層の軸方向幅が、128mm以上150mm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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