JP2012031218A - 染料及び着色組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機溶剤に溶解させた溶液での保存安定性に優れる染料を提供する。
【解決手段】式(I)で表される化合物を少なくとも2種含む染料。
Figure 2012031218

[式(I)中、Z、Z及びLは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の2価の脂肪族炭化水素基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜18のアシル基を表す。A及びAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の2価の芳香族炭化水素基を表す。B及びBは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の1価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜14の1価の複素環基を表す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、染料及び該染料と溶剤とを含む着色組成物等に関するものである。
液晶表示パネル、エレクトロルミネッセンス、プラズマディスプレイパネルなどのディスプレイ装置に含まれているカラーフィルタの着色剤として、染料が用いられている。このような染料としては、例えば、式(III−2)で表される化合物、C.I.ソルベントイエロー162(特許文献1)、Valifast Yellow1151(特許文献2)が知られている。
Figure 2012031218
特開2006−124634号公報 特開2003−207887号公報
上記の染料を有機溶剤に溶解させた溶液は、長期に保存すると染料の析出等が発生し、保存安定性について必ずしも十分ではない場合があった。
本発明は以下の[1]〜[7]を提供するものである。
[1]式(I)で表される化合物を少なくとも2種含む染料。
Figure 2012031218
[式(I)中、Z、Z及びLは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の2価の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜18のアシル基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の2価の芳香族炭化水素基を表す。
及びBは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の1価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜14の1価の複素環基を表し、該複素環基に含まれる−CH−は、−CO−で置き換わっていてもよい。]
[2]B及びBが、それぞれ独立に、式(II)で表される基である[1]記載の染料。
Figure 2012031218
[式(II)中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基を表す。]
[3]少なくとも2種の式(I)で表される化合物が、1種以上の式(I−A)で表される化合物と、2種以上の式(I−B’)で表される化合物とを反応させて得られる混合物である[1]又は[2]記載の染料。
Figure 2012031218
[式(I−A)及び式(I−B’)中、R、A、B、Z、及びLは、上記と同じ意味を表す。
及びXは、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表す。]
[4][1]〜[3]のいずれか記載の染料及び溶剤を含む着色組成物。
[5]さらに、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む[4]記載の着色組成物。
[6][4]又は[5]記載の着色組成物を用いて形成されるカラーフィルタ。
[7][6]記載のカラーフィルタを含む表示装置。
本発明の染料は、有機溶剤に溶解させた溶液での保存安定性に優れる。
本発明の染料は、式(I)で表される化合物(以下「化合物(I)」という場合がある)を少なくとも2種含む。
Figure 2012031218
[式(I)中、Z、Z及びLは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の2価の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜18のアシル基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の2価の芳香族炭化水素基を表す。
及びBは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の1価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜14の1価の複素環基を表し、該複素環基に含まれる−CH−は、−CO−で置き換わっていてもよい。]
、Z及びLを表す炭素数1〜16の2価の脂肪族炭化水素基の炭素数には置換基の炭素数は含まれず、その数は、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜8である。
炭素数1〜16の2価の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、へキサンジイル基、ヘプタンジイル基、オクタンジイル基、デカンジイル基、テトラデカンジイル基及びヘキサデカンジイル基等の炭素数1〜16のアルカンジイル基;−CH=CH−、−CH−C(=CH)−、−(CH−C(=CH)−等の炭素数1〜16のアルケンジイル基等が挙げられる。
炭素数1〜16の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよく、炭素数1〜16の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
及びZとしては、−CH−が−O−で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルカンジイル基であることが好ましく、−CH−が−O−で置換されていてもよい炭素数5〜7のアルカンジイル基であることがより好ましい。好ましい基としては、例えば、−(CH−、−(CH−O−(CH−、−(CH−O−(CH−O−(CH−及び−CH−CH(CH)−が挙げられる。
としては、−C(=CH)−を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルカンジイル基であることが好ましく、無置換の炭素数1〜8のアルカンジイル基であることがより好ましく、無置換の炭素数4〜8のアルカンジイル基であることがより好ましい。好ましい基としては、例えば、−(CH−、−(CH−又は−CH−C(=CH)−が挙げられる。
及びRを表す炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれでもよい。該飽和炭化水素基の炭素数には置換基の炭素数は含まれず、その数は、1〜16、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜4である。
炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メチルブチル基(1,1,3,3−テトラメチルブチル基など)、メチルヘキシル基(1,5−ジメチルヘキシル基など)、エチルヘキシル基(2−エチルヘキシル基など)、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基(2−メチルシクロヘキシル基など)、シクロヘキシルアルキル基等が挙げられる。
該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜8のアルコキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。炭素数1〜8のアルコキシ基で置換された該脂肪族炭化水素基としては、プロポキシプロピル基(3−イソプロポキシプロピル基など)、アルコキシプロピル基(3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル基など)等が挙げられる。カルボキシ基で置換された該飽和炭化水素基としては、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、4-カルボキシブチル基などが挙げられる。
及びRを表す炭素数2〜18のアシル基に含まれる水素原子は、カルボキシ基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されていてもよい。該アシル基の炭素数は、置換基の炭素数を含めて数えられ、その数は、2〜18、好ましくは6〜10である。置換基を有していてもよいアシル基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、メトキシベンゾイル基(p−メトキシベンゾイル基など)などが挙げられる。
及びRとしては、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数2〜5のアシル基が好ましく、水素原子、メチル基及びアセチル基がより好ましい。
及びAを表す置換基を有していてもよい炭素数6〜14の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基及びナフタレンジイル基等が挙げられ、好ましくはフェニレン基である。該芳香族炭化水素基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
該芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲノ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ニトロ基、スルホ基、スルファモイル基及びN−置換スルファモイル基などが挙げられる。
ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基等が挙げられ、フルオロ基、クロロ基及びブロモ基が好ましい。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
炭素数1〜8のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基及びヘキシルオキシ基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
N−置換スルファモイル基としては、−SO2NHR基、又は−SO2NR基が挙げられる。R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の飽和炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜16のアシル基を表す。置換基を有していてもよい炭素数1〜16の飽和炭化水素基及び置換基を有していてもよい炭素数2〜16のアシル基としては、上記と同じものが挙げられる。
及びBを表す炭素数6〜14の1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。該芳香族炭化水素基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
及びBを表す置換基を有していてもよい炭素数3〜14の1価の複素環基としては、下記式で表される基等が挙げられる。
Figure 2012031218
[Rは、水素原子又は有機基を表す。]
該有機基としては、例えば、後述のRと同様の基が挙げられる。
炭素数6〜14の1価の芳香族炭化水素基及び炭素数3〜14の1価の複素環基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、シアノ基、アミノ基又はN−置換アミノ基で置換されていてもよい。また、前記の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、オキソ基でで置換されていてもよい。前記の複素環基に含まれる−CH−は、−CO−で置き換わっていてもよい。
N−置換アミノ基として、−NHR基及び−SO2NR基が挙げられる。R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1価の炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい1価の炭素数3〜14の複素環基を表す。置換基を有していてもよい1価の炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基及び置換基を有していてもよい1価の炭素数3〜14の複素環基としては、上記の複素環基として挙げた基と同じものが挙げられる。
及びBは、式(II)で表される基であることが好ましい。
Figure 2012031218

[式(II)中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基を表す。]
式(II)で表される基のピリドン環は、ケト型であってもエノール型であってもよい。
及びRを表す炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基としては、上記と同じものが挙げられる。
としては、メチルブチル基(1,1,3,3−テトラメチルブチル基など)、メチルへキシル基(1,5−ジメチルへキシル基など)、エチルへキシル基(2−エチルヘキシル基など)、メチルシクロへキシル基(2−メチルシクロヘキシル基など)、アルコキシプロピル基(3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル基など)などの分枝鎖状飽和炭化水素基が好ましい。
としては、メチル基が好ましい。
化合物(I)としては、式(I−1)〜式(I−18)で表される化合物が挙げられる。表中のA、A、Z及びZは、右側の結合手がLに近い方の結合手を表す。
Figure 2012031218
Figure 2012031218
Figure 2012031218
Figure 2012031218
Figure 2012031218
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Figure 2012031218
Figure 2012031218
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及びBが同じ種類の基であることが好ましく、さらに、A及びA、R及びR、Z及びZがそれぞれ同じ種類の基であることがより好ましい。これらの基であると、化合物(I)の製造が容易である。
本発明の染料に含まれる、少なくとも2種の化合物(I)としては、式(I)においてA、A、R、R、Z、Z及びLからなる群から選ばれる少なくとも1種が互いに異なる構造である化合物2種以上からなる混合物であることが好ましく、Z、Z及びLからなる群から選ばれる少なくとも1種が互いに異なる構造である化合物2種以上からなる混合物であることがより好ましく、Lのみが互いに異なる構造である化合物2種以上からなる混合物であることがさらに好ましい。
中でも、式(I−6)で表される化合物と式(I−7)で表される化合物との混合物であることが好ましい。式(I−6)で表される化合物と式(I−7)で表される化合物との含有量の比は、10:90〜89:11が好ましく、30:70〜70:30がより好ましい。含有量の比が上記の範囲内であると、有機溶剤への溶解性に優れる。
化合物(I)は、溶媒中で、式(I−A)で表される化合物及び式(I−A’)で表される化合物と、式(I−B)で表される化合物とを、0〜150℃で反応させることにより製造できる。
Figure 2012031218
[式(I−A)、式(I−A’)及び式(I−B)中、Z、Z、Z、R、R、A、A、B及びBは上記と同じ意味を表す。
31及びR32は、それぞれ独立に、−OR33又はハロゲン原子を表す。R33は、炭素数1〜16の1価の脂肪族炭化水素基を表す。]
31及びR32は、ハロゲン原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。
式(I−B)で表される化合物としては、マロン酸ジメチル、コハク酸イソブチル、アジピン酸ジメチル、及びスベリン酸ジエチル、マロン酸クロライド、コハク酸クロライド、アジピン酸クロライド、スベリン酸クロライド及びセバシン酸クロライドなどが挙げられる。
式(I−B)で表される化合物の使用量は、式(I−A)で表される化合物及び式(I−A’)で表される化合物との合計量1モルに対して、例えば、0.5〜3モルであることが好ましく、0.5〜1モルがより好ましい。なお溶媒中に水が含まれる場合、式(I−B)で表される化合物の使用量は、式(I−A)で表される化合物及び式(I−A’)で表される化合物との合計量1モルに対して、0.6〜3モルであることが好ましい。
式(I−B)で表される化合物のR31及びR32が、−OR33である場合には、公知の酸触媒を添加することが好ましい。酸触媒としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸などが挙げられる。酸触媒の使用量は、式(I−A)で表される化合物及び式(I−A’)で表される化合物との合計量1モルに対して、例えば、0.01〜2モルであることが好ましい。
式(I−A)で表される化合物及び式(I−A’)で表される化合物と、式(I−B)で表される化合物との反応は、溶媒中で行われる。溶媒としては、例えば、水;1,4−ジオキサンなどのエーテル類(特に環状エーテル類);クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、ジクロロプロパン、塩化アミル、1,2−ジブロモエタンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭素系芳香族類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアルキルアミド類などが好ましく、2種類以上の溶媒を併用してもよい。溶媒の使用量は、式(I−A)で表される化合物及び式(I−A’)で表される化合物との合計量1質量部に対して、例えば、1〜20質量部が好ましく、より好ましくは2〜10質量部である。
式(I−A)で表される化合物及び式(I−A’)で表される化合物と、式(I−B)で表される化合物との反応は、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下で行われることが好ましく、塩化カルシウムなどで乾燥した空気下で反応を行ってもよい。
反応温度は、例えば、0〜150℃が好ましく、より好ましくは10〜130℃である。反応時間は、例えば、1〜25時間が好ましく、より好ましくは3〜15時間である。
式(I−A)で表される化合物、式(I−A’)で表される化合物、式(I−B)で表される化合物及び溶媒の添加順は特に限定されないが、式(I−A)で表される化合物、式(I−A’)で表される化合物及び溶媒からなる溶液に、式(I−B)で表される化合物を添加(滴下)することが好ましい。酸触媒を用いる場合には、式(I−A)で表される化合物、式(I−A’)で表される化合物、酸触媒及び溶媒からなる溶液に、式(I−B)で表される化合物を添加(滴下)することが好ましい。
上記のようにして得られた反応混合物から目的化合物である化合物(I)を取得する方法は特に限定されず、公知の種々の手法が採用できるが、例えば、反応混合物を有機溶媒で抽出することで精製することができる。例えば、反応混合物と有機溶媒と水とを混合し、化合物(I)を有機相へ溶出させ、分液ロートなどで分取した有機相を溶媒留去することで、化合物(I)を得ることができる。抽出温度は、10〜50℃が好ましく、より好ましくは20〜30℃である。また抽出は、前記の温度で0.5〜4時間攪拌することが好ましい。抽出後の化合物(I)は、アルカリ性水溶液、酸性水溶液などで洗浄され、次いで乾燥される。また必要に応じて、再結晶などの公知の手法によって、さらに精製してもよい。
アルカリ性水溶液としては、公知のアルカリ性物質を水に溶解させたものを用いることができる。アルカリ性水溶液の水素イオン濃度の範囲は、pH=8〜12が好ましく、より好ましくは9〜11である。アルカリ性物質としては特に限定されず、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、アンモニアなどが挙げられる。
酸性水溶液としては、公知の酸性物質を水に溶解させたものを用いることができる。酸性水溶液の水素イオン濃度の範囲は、pH=0〜6が好ましく、より好ましくは1〜5である。酸性物質としては特に限定されず、例えば塩化アンモニウム、シュウ酸、酢酸、塩酸、硫酸などが挙げられる。
本発明の染料は、1種以上の式(I−A)で表される化合物と、2種以上の式(I−B’)で表される化合物とを反応させて得られる混合物であることが好ましく、1種の式(I−A)で表される化合物と、2種以上の式(I−B’)で表される化合物とを混合し、攪拌して得られる混合物であることがより好ましい。
Figure 2012031218
[式(I−A)及び式(I−B’)中、R、A、B、Z、及びLは、上記と同じ意味を表す。
及びXは、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表す。]
式(I−B’)で表される化合物としては、マロン酸クロライド、コハク酸クロライド、アジピン酸クロライド、スベリン酸クロライド及びセバシン酸クロライドなどが挙げられる。
2種以上用いられる式(I−B’)で表される化合物の組合せとしては、マロン酸クロライドとアジピン酸クロライド、コハク酸クロライドとアジピン酸クロライド、コハク酸クロライドとスベリン酸クロライド、コハク酸クロライドとセバシン酸クロライド、アジピン酸クロライドとスベリン酸クロライド、アジピン酸クロライドとセバシン酸クロライド等が挙げられ、好ましくはアジピン酸クロライドとセバシン酸クロライドである。
2種以上の式(I−B’)で表される化合物の合計使用量は、1種以上の式(I−A)で表される化合物の合計量1モルに対して、0.5〜3モルであることが好ましく、0.5〜1モルがより好ましい。なお溶媒中に水が含まれる場合、2種以上の式(I−B’)で表される化合物の合計使用量は、1種以上の式(I−A)で表される化合物の合計量1モルに対して、0.6〜3モルであることが好ましい。
1種以上の式(I−A)で表される化合物と、2種以上の式(I−B’)で表される化合物との反応は、溶媒中で行われる。溶媒としては、上記と同じものが挙げられる。溶媒の使用量は、1種以上の式(I−A)で表される化合物の合計量1質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、より好ましくは2〜10質量部である。
1種以上の式(I−A)で表される化合物と、2種以上の式(I−B’)で表される化合物との反応は、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下で行われることが好ましく、塩化カルシウムなどで乾燥した空気下で反応を行ってもよい。
反応温度は、0〜150℃が好ましく、より好ましくは10〜130℃である。反応時間は、1〜25時間が好ましく、より好ましくは3〜15時間である。
1種以上の式(I−A)で表される化合物、2種以上の式(I−B’)で表される化合物及び溶媒の添加順は特に限定されないが、1種以上の式(I−A)で表される化合物及び溶媒からなる溶液に、2種以上の式(I−B’)で表される化合物を添加(滴下)することが好ましい。
上記のようにして得られた反応混合物から本発明の染料を取得する方法は特に限定されず、公知の種々の手法が採用できるが、例えば、本発明の染料を有機溶媒で抽出することで精製することができる。例えば、反応混合物と有機溶媒と水とを混合し、本発明の染料を有機相へ溶出させ、分液ロートなどで分取した有機相を溶媒留去することで、精製された本発明の染料を得ることができる。有機相へ溶出させる際には、好ましくは10〜50℃、より好ましくは20〜30℃で、0.5〜4時間程度攪拌することが好ましい。抽出後の精製された本発明の染料は、アルカリ性水溶液、酸性水溶液などで洗浄され、次いで乾燥される。また必要に応じて、再結晶などの公知の手法によって、さらに精製してもよい。
前記のアルカリ性水溶液としては、公知のアルカリ性物質を水に溶解させたものを用いることができる。アルカリ性水溶液の水素イオン濃度の範囲は、好ましくはpH=8〜12、より好ましくは9〜11である。アルカリ性物質としては特に限定されず、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、アンモニアなどが挙げられる。
前記の酸性水溶液としては、公知の酸性物質を水に溶解させたものを用いることができる。酸性水溶液の水素イオン濃度の範囲は、好ましくはpH=0〜6、より好ましくは1〜5である。酸性物質としては特に限定されず、例えば塩化アンモニウム、シュウ酸、酢酸、塩酸、硫酸などが挙げられる。
また、化合物(I)は、式(I−C)で表される化合物と、式(I−D)で表される化合物及び式(I−D’)で表される化合物とを、カップリング反応させることにより製造できる。式(I−C)で表される化合物の塩と、式(I−D)で表される化合物及び式(I−D’)で表される化合物とを、例えば水性溶媒中20〜60℃で反応させることにより、化合物(I)を製造することができる。
Figure 2012031218
[式(I−C)及び式(I−D)中、Z、Z、L1、R、R、A、A、B及びBは上記と同じ意味を表す。
は、無機アニオン又は有機アニオンを表す。]
前記の無機アニオン又は有機アニオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、CH−COO、Ph−COOなどが挙げられ、好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、CH−COOが挙げられる。
本発明の染料は、高い溶解性及び高い分光濃度を示すので、反射光又は透過光を利用して色表示する、繊維材料、液晶表示装置などに用いることができる。また、本発明の染料は、吸収スペクトルを測定したときに、400〜450nmの波長域に極大吸収をもつので、黄色染料として用いることが好ましい。
本発明の着色組成物は、本発明の染料を含む着色剤(以下「着色剤(A)」という場合がある)及び溶剤(E)を含み、さらに、樹脂(B)、重合性化合物(C)及び重合開始剤(D)を含むことが好ましい。
着色剤(A)は、少なくとも2種の化合物(I)のほかに、さらに化合物(I)とは異なる染料及び/又は顔料(A−2)を含んでいてもよい。
化合物(I)とは異なる染料としては、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ソルベント(Solvent)、アシッド(Acid)、ベ
ーシック(Basic)、リアクティブ(reactive)、ダイレクト(Direct)、ディスパース(Disperse)、またはバット(Vat)に分類されている化合物等が挙げられる。より具体的
には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の染料が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
C.I.ソルベントイエロー25,79,81,82、83,89;
C.I.アシッドイエロー7,23,25,42,65,76;
C.I.リアクティブイエロー2,76,116;
C.I.ダイレクトイエロー4,28,44,86,132;
C.I.ディスパースイエロー54,76;
C.I.ソルベントオレンジ41,54,56,99;
C.I.アシッドオレンジ56,74,95,108,149,162;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.ダイレクトオレンジ26;
C.I.ソルベントレッド24,49,90,91,118,119,122,124,125,127,130,132,160,218;
C.I.アシッドレッド73,91,92,97,138,151,211,274,289;
C.I.アシッドバイオレット102;
C.I.ソルベントブルー35,37,38,44,59,64、67,70;
C.I.アシッドブルー40,45,78,80,83,90,100,171,185;
C.I.ベーシックブルー65,140;
C.I.リアクティブブルー15,38;
C.I.ディスパースブルー143;
C.I.ダイレクトブルー86,87;
C.I.ソルベントグリーン1,5;
C.I.アシッドグリーン3,5,9,25,28;
C.I.ベーシックグリーン1;
C.I.バットグリーン1;
C.I.アシッドブラック58,60,107;
C.I.ソルベントブラック27など。
顔料(A−2)としては、顔料分散レジストに通常用いられる有機顔料及び無機顔料が挙げられる。無機顔料としては、金属酸化物や金属錯塩のような金属化合物が挙げられ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモンなどの金属の酸化物または複合金属酸化物が挙げられる。
また有機顔料および無機顔料として具体的には、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられる。より具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.
)番号の顔料が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
C.I.ピグメントイエロー20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173および180;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65および71;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、215、216、224、242、254、255および、264;
C.I.ピグメントバイオレット14、19、23、29、32、33、36、37および38;
C.I.ピグメントブルー15(15:3、15:4、15:6など)、21、28、60、64および76;
C.I.ピグメントグリーン7、10、15、25、36および47;
C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1および7など。
着色剤(A)の含有量は、着色組成物の固形分に対して、好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは8〜55質量%であり、さらに好ましくは10〜50質量%である。ここで、固形分とは、着色組成物から溶剤を除いた成分の合計をいう。
着色剤(A)がさらに化合物(I)とは異なる染料及び/又は顔料(A−2)を含む場合、化合物(I)群から選ばれる少なくとも2種の合計の含有量は、着色剤(A)に対して、3〜80質量%であり、好ましくは3〜70質量%であり、より好ましくは3〜50質量%である。
顔料(A−2)の含有量は、着色剤(A)に対して、20〜97質量%であり、好ましくは30〜97質量%であり、より好ましくは50〜97質量%である。
本発明の着色組成物は、樹脂(B)を含むことが好ましい。樹脂(B)としては、特に限定されるものではないが、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。例えば、アルカリ可溶性樹脂は、(メタ)アクリル酸から導かれる構造単位を含有する。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
[K1]炭素数2〜4の環状エーテルを有する単量体(a)(以下「(a)」という場合がある)と、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(b)(以下「(b)」という場合がある)との共重合体。
[K2](a)と(b)と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下「(c)」という場合がある)との共重合体
[K3](b)と(c)との共重合体
[K4](b)と(c)との共重合体に(a)を反応させて得られる樹脂。
樹脂(B)としては、(a)に由来する構造単位を含む樹脂が好ましい。樹脂(B)が(a)に由来する構造単位を含むことにより、得られる着色パターンの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる。
(a)は、例えば、炭素数2〜4の環状エーテル(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環(オキソラン環)からなる群から選ばれる少なくとも1種)と環状エーテル以外の重合性基とを有する重合性化合物をいう。(a)は、炭素数2〜4の環状エーテルとエチレン性炭素−炭素二重結合とを有する単量体であることが好ましく、炭素数2〜4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
(a)としては、例えば、オキシラニル基を有する単量体(a1)(以下「(a1)」という場合がある)、オキセタニル基を有する単量体(a2)(以下「(a2)」という場合がある)、テトラヒドロフリル基を有する単量体(a3)(以下「(a3)」という場合がある)等が挙げられる。
オキシラニル基を有する単量体(a1)とは、オキシラニル基とオキシラニル基以外の重合性基とを有する重合性化合物を指す。(a1)は、例えば、アルケンをエポキシ化した構造を有する単量体(a1−1)(以下「(a1−1)」という場合がある)、シクロアルケンをエポキシ化した構造を有する単量体(a1−2)(以下「(a1−2)」という場合がある)が挙げられる。
(a1)としては、オキシラニル基とエチレン性炭素−炭素二重結合とを有する単量体であることが好ましく、オキシラニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。
(a1−1)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
(a1−2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100;ダイセル化学工業(株)製)、式(B1−1)で表される化合物及び式(B1−2)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2012031218
[式(B1−1)及び式(B1−2)において、R及びRは、互いに独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい
及びXは、互いに独立に、単結合、−R−、*−R−O−、*−R−S−、*−R−NH−を表す。
は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
及びRとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基等が挙げられる。
及びXとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*−CH−O−(*はOとの結合手を表す)基、*−CHCH−O−基が挙げられ、より好ましくは単結合、*−CHCH−O−基が挙げられる。
式(B1−1)で表される化合物としては、式(B1−1−1)〜式(B1−1−15)で表される化合物などが挙げられ、好ましくは式(B1−1−1)、式(B1−1−3)、式(B1−1−5)、式(B1−1−7)、式(B1−1−9)、式(B1−1−11)〜式(B1−1−15)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(B1−1−1)、式(B1−1−7)、式(B1−1−9)又は式(B1−1−15)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2012031218
式(B1−2)で表される化合物としては、式(B1−2−1)〜式(B1−2−15)で表される化合物などが挙げられ、好ましくは式(B1−2−1)、式(B1−2−3)、式(B1−2−5)、式(B1−2−7)、式(B1−2−9)、式(B1−2−11)〜式(B1−2−15)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(B1−2−1)、式(B1−2−7)、式(B1−2−9)又は式(B1−2−15)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2012031218
式(B1−1)で表される化合物及び式(B1−2)で表される化合物は、それぞれ単独で用いることができる。また、それらは、任意の比率で混合することができる。混合する場合、その混合比率はモル比で、好ましくは式(B1−1):式(B1−2)で、5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、とりわけ好ましくは20:80〜80:20である。
オキセタニル基を有する単量体(a2)とは、オキセタニル基とオキセタニル基以外の重合性基とを有する重合性化合物を指す。(a2)としては、オキセタニル基とエチレン性炭素−炭素二重結合とを有する単量体であることが好ましく、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(a2)としては、3−メチル−3−メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
テトラヒドロフリル基を有する単量体(a3)とは、テトラヒドロフリル基とテトラヒドロフリル基以外の重合性基とを有する重合性化合物を指す。(a3)としては、テトラヒドロフリル基とエチレン性炭素−炭素二重結合とを有する単量体であることが好ましく、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。
(a3)としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
(a)としては、得られる着色パターンの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、(a1)であることが好ましい。さらに、着色組成物の保存安定性が優れるという点で、(a1−2)がより好ましい。
(b)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3‐ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物(ハイミック酸無水物)等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点やアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートといわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が好ましい。
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;60〜98モル%(より好ましくは65〜95モル%)
(b)に由来する構造単位;2〜40モル%(より好ましくは5〜35モル%)
樹脂[K1]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、保存安定性、現像性、硬化パターンの耐溶剤性が良好になる傾向がある。
樹脂[K1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
具体的には、(a)及び(b)の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に仕込んで、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素で、攪拌、加熱、保温する方法が例示される。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているもののいずれをも使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4− ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、感光性樹脂組成物の溶剤として後述する溶剤等を用いることができる。
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、後述する溶剤(D)を使用することにより、反応後の溶液をそのまま使用することができ、製造工程を簡略化することができる。
樹脂[K2]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;2〜95モル%(より好ましくは5〜80モル%)
(b)に由来する構造単位;2〜40モル%(より好ましくは5〜35モル%)
(c)に由来する構造単位;1〜65モル%(より好ましくは1〜60モル%)
樹脂[K2]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、保存安定性、現像性、硬化パターンの耐溶剤性、耐熱性及び機械強度が良好になる傾向がある。
樹脂[K2]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
具体的には、(a)、(b)及び(c)の所定量、重合開始剤及び溶剤を反応容器中に仕込んで、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素下で、攪拌、加熱、保温する方法が挙げられる。得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
樹脂[K3]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(b)2〜40モル%、より好ましくは5〜35モル%
(c)60〜98モル%、より好ましくは65〜95モル%
樹脂[K3]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
樹脂[K4]は、(b)と(c)との共重合体を得て、(a)が有する炭素数2〜4の環状エーテルに(c)が有するカルボキシ基を付加させることにより得ることができる。
まず(b)と(c)との共重合体を、[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、(b)と(c)との共重合体を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(b)5〜50モル%、より好ましくは10〜45モル%
(c)50〜95モル%、より好ましくは55〜90モル%
次に、前記共重合体中の(c)に由来する構造単位に含まれるカルボキシ基及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(a)が有する炭素数2〜4の環状エーテルを反応させる。
(b)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(a)、カルボキシ基と環状エーテルとの反応触媒(例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)を(a)〜(c)の合計量に対して0.001〜5質量%、及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)等を(a)〜(c)の合計量に対して0.001〜5質量%をフラスコ内に入れて、例えば、60〜130℃で、1〜10時間反応することにより、樹脂[K4]を得ることができる。仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
この場合の(a)の使用量は、(b)に対して、5〜80モル%が好ましく、より好ましくは10〜75モル%であり、より好ましくは15〜70モル%である。この範囲とすることにより、保存安定性、現像性、耐溶剤性、耐熱性、機械強度及び感度のバランスが良好になる傾向がある。
樹脂(B)としては、具体的に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N−シクロヘキシルマレイミド共重合体、3−メチル−3−(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K3];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K4]等が挙げられる。中でも、樹脂[K1]及び樹脂[K2]が好ましく、樹脂[K1]がより好ましく、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体がさらに好ましい。
樹脂(B)のポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは5,000〜35,000であり、より好ましくは6,000〜30,000であり、さらに好ましくは7,000〜28,000である。分子量が前記の範囲にあると、塗膜硬度が向上し、残膜率も高く、未露光部の現像液に対する溶解性が良好で、解像度が向上する傾向がある。
樹脂(B)の酸価は、好ましくは50〜150であり、より好ましくは60〜135、さらに好ましくは70〜135である。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
樹脂(B)の含有量は、着色組成物の固形分に対して、好ましくは7〜65質量%であり、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。樹脂(B)の含有量が、前記の範囲にあると、パターンが形成でき、また解像度及び残膜率が向上する傾向がある。
本発明の着色組成物は、重合性化合物(C)を含むことが好ましい。重合性化合物(C)は、光を照射されることによって重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル、酸などによって重合しうる化合物であれば、特に限定されるものではない。例えば、重合性の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物などが挙げられる。
前記の重合性化合物(C)としては、3以上の重合性基を有する化合物であることが好ましく、3以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物であることがより好ましい。重合性化合物(C)としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートなどが挙げられる。前記の重合性化合物(C)は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性化合物(C)の含有量は、着色組成物の固形分に対して、5〜65質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜60質量%である。
本発明の着色組成物は、重合開始剤(D)を含むことが好ましい。重合開始剤(D)は、光又は熱の作用により、活性ラジカル、酸などを発生し重合性化合物(C)の重合を開始しうる化合物である。重合開始剤(D)としては、紫外線でラジカルを発生する化合物であることが好ましい。活性ラジカル発生剤としては、アセトフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、トリアジン化合物、オキシム化合物等が挙げられる。
前記のアセトフェノン化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられ、好ましくは2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オンなどが挙げられる。
前記のベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
前記のベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記のチオキサントン化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
前記のトリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記のオキシム化合物としては、例えば、O−アシルオキシム系化合物が挙げられ、その具体例としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン等が挙げられる。
上記とは異なる活性ラジカル発生剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。
酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類などを挙げることができる。
また、前記の活性ラジカル発生剤として上記した化合物の中には、活性ラジカルと同時に酸を発生する化合物もあり、例えば、トリアジン化合物は、酸発生剤としても使用される。
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量に対して、好ましくは0.1〜30質量%であり、より好ましくは1〜20質量%である。重合開始剤の含有量が、前記の範囲にあると、高感度化して露光時間が短縮され生産性が向上する。
本発明の着色組成物は、さらに重合開始助剤(F)を含んでいてもよい。
重合開始助剤(F)は、通常、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられ、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、又は光増感剤である。
重合開始助剤(F)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物などが挙げられる。
前記のアミン化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。例えば、商品名「EAB−F」(保土谷化学工業(株)製)など市販のが重合開始助剤を用いてもよい。
前記のアルコキシアントラセン化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセンなどが挙げられる。
前記のチオキサントン化合物は、重合開始助剤(F)としても用いられ、具体的には、上記と同じものが挙げられる。
これらの重合開始助剤(F)を用いる場合、その使用量は、重合開始剤(D)1モルあたり、好ましくは0.01〜10モル、より好ましくは0.01〜5モルである。
本発明の着色組成物は、溶剤(E)を含む。
溶剤(E)としては、エステル溶剤(−COO−を有する溶剤)、エステル溶剤以外のエーテル溶剤(−O−を有し、−COO−を有さない溶剤)、エーテルエステル溶剤(−COO−と−O−とを有する溶剤)、エステル溶剤以外のケトン溶剤(−CO−を有し、−COO−を有さない溶剤)、アルコール溶剤(OHを有し、−COO−、−O−及び−CO−を有さない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどが挙げられる。
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロンなどが挙げられる。
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
これらの溶剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の溶剤のうち、着色組成物の塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。
着色組成物における溶剤(E)の含有量は、着色組成物に対して、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜90質量%である。
本発明の着色組成物は、さらに、界面活性剤(G)を含んでいてもよい。界面活性剤(G)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
前記のシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、ポリエーテル変性シリコンオイルSH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)などが挙げられる。
前記のフッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、フロラード(商品名)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(商品名)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同R30(DIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(商品名)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)などが挙げられる。
前記のフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477、同F443(DIC(株)製)などがあげられる。
これらの界面活性剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤(G)の含有量は、着色組成物に対して、好ましくは0.0001質量%以上0.2質量%以下であり、より好ましくは0.001〜0.1質量%である。界面活性剤(G)の含有量が、前記の範囲にあると、着色組成物を塗布した膜の平坦性が良好になる傾向がある。
本発明の着色組成物が本発明の染料及び溶剤(E)のみからなる場合、本発明の染料と溶剤(E)とを混合して溶解させることにより製造することができる。混合した後、フィルターを用いて濾過することにより不溶分を取り除くことが好ましい。該フィルターの孔径は、3μm以下、好ましくは0.1〜2μmであることが好ましい。
本発明の着色組成物が、本発明の染料及び溶剤(E)以外の成分を含む場合、前記の方法で製造した本発明の染料及び溶剤(E)のみからなる着色組成物に、本発明の染料以外の成分を混合することにより製造することが好ましい。混合する際、さらに溶剤(E)を加えてもよい。本発明の染料以外の成分は、それぞれ溶剤(E)に溶解又は分散させた後に混合してもよい。前記の各成分を溶解するために用いる溶剤(E)は、同一でもよいし、相溶するものであれば、異なっていてもよい。混合した後、フィルターを用いて濾過することにより不溶分を取り除くことが好ましい。該フィルターの孔径は、着色剤(A)が顔料を含む場合、10μm以下、好ましくは5〜1μmであり、着色剤(A)が顔料を含まない場合、は3μm以下、好ましくは0.1〜2μmである。
本発明の着色組成物を用いてカラーフィルタ又はそのパターンを形成する方法としては、例えば、本発明の着色組成物を、基板又は別の樹脂層(例えば、基板の上に先に形成された別の着色組成物層など)の上に塗布し、溶剤など揮発成分を除去/乾燥して着色層を形成し、フォトマスクを介して該着色層を露光して、現像する方法、フォトリソ法が不要なインクジェット機器を用いる方法などが挙げられる。
この場合の塗膜の膜厚は、特に限定されず、用いる材料、用途等によって適宜調整することができ、0.1〜30μmが好ましく、より好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜6μmである。
着色組成物の塗布方法は、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法、ダイコーティング法などが挙げられる。また、ディップコーター、バーコーター、スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター(ダイコーター、カーテンフローコーター、スピンレスコーターとも呼ばれることがある)などのコーターを用いて塗布してもよい。
溶媒の除去や乾燥には、例えば、自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥などが挙げられる。具体的な乾燥温度は、10〜120℃が好ましく、25〜100℃がより好ましい。
乾燥時間は、10秒間〜60分間が好ましく、30秒間〜30分間がより好ましい。減圧乾燥を行う場合、50〜150Paの圧力下、20〜25℃の温度範囲で行うことが好ましい。
乾燥後の塗膜は、目的のパターンを形成するためのフォトマスクを介して、露光する。この際のフォトマスク上のパターン形状は特に限定されず、目的とする用途に応じたパターン形状が用いられる。
露光に用いられる光源としては、250〜450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられ、特定波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、特定波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりして露光してもよい。
露光面全体に均一に平行光線を照射したり、マスクと基材との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ、ステッパ等の装置を使用することが好ましい。
露光後、現像液に接触させて所定部分、例えば、未露光部を溶解させ、現像することにより、パターンを得ることができる。現像液としては、界面活性剤を含んでいてもよいアルカリ性化合物(水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等)の水溶液等が挙げられる。
現像方法は、パドル法、ディッピング法、スプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。現像後は、水洗することが好ましい。
さらに必要に応じて、ポストベークを行ってもよい。ポストベークは、例えば、150〜230℃、10〜240分間の範囲が好ましい。
本発明の着色組成物は、カラーフィルタ又は着色パターンを形成するために好適に利用することができる。本発明の着色組成物によれば、異物が少なく、色濃度、明度、コントラスト、感度、解像度、耐熱性等に優れる着色パターン及びカラーフィルタを得ることが可能となる。また、これらのカラーフィルタ又は着色パターンは、光学フィルム、アレイ基板、カラーフィルタ基板等の構成部品の一部として利用することができる。さらに、これらの光学フィルム、アレイ基板及びカラーフィルタ基板からなる群から選ばれる少なくとも1種等は、液晶表示装置、有機EL装置等の表示装置;固体撮像素子等の機器に、公知の態様で、利用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお実施例及び比較例中の「%」及び「部」は、特記されない限り、質量%及び質量部である。
実施例1
m−トルイジン−4−スルホン酸(式(a−2)で表される化合物)10部に水200部を加えた後、氷冷下、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7〜8に調節した。以下の操作は氷冷下で行った。亜硝酸ナトリウムを11.1部加えて30分攪拌した。35%塩酸39部を少量ずつ加えて褐色溶液とした後、2時間攪拌した。アミド硫酸10.1部を水101部に溶解した水溶液を反応溶液に加えて攪拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。
Figure 2012031218
1−(2−エチルヘキシル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシピリド−2−オン(式(c−2)で表される化合物)14部に水125部とN−メチルピロリドン25部を加えた後、氷冷下、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH8〜9に調節した。
Figure 2012031218
以下の操作は氷冷下で行った。前記ピリドン水溶液を攪拌して無色溶液とした後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH8〜9に調節しながら、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を2時間かけてポンプで滴下した。滴下終了後、さらに2時間攪拌することで黄色懸濁液を得た。濾過して得た黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(d−3)で表される化合物を21.4部(収率87%)得た。
Figure 2012031218
化合物(d−3)0.35gをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmを水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=433nmで吸光度2.9(任意単位)を示した。
冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、化合物(d−3)を5.0部、アセトニトリル35部及びN,N−ジメチルホルムアミド1.6部を投入し、攪拌下20℃以下を維持しながら、塩化チオニル2.4部を滴下して加えた。滴下終了後、40℃に昇温し、同温度で2時間維持して反応させ、その後20℃に冷却した。冷却後の反応溶液を氷水150部に攪拌しながら注いだ後、30分攪拌した。析出した黄色結晶を濾別し、水道水でよく洗浄し、60℃で2時間減圧乾燥した。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコを別途用意し、1−アミノ−2−プロパノール2.0部とN−メチルピロリドン20部とを投入し、攪拌下20℃以下を維持しながら、先に調整した黄色結晶を1時間かけて投入した。黄色結晶を投入した後、液温を室温まで昇温してから、反応溶液を30分攪拌した。反応溶液にメタノール40部を加えて攪拌した後、この混合溶液を、酢酸29部及びイオン交換水300部の混合液中に攪拌しながら加えて、結晶を析出させた。析出した結晶を濾別し、イオン交換水でよく洗浄し、60℃で減圧乾燥して、式(III−3)で表される化合物3.9部(収率69%)を得た。
Figure 2012031218
化合物(III−3)0.35gを乳酸エチルに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=431nmで吸光度2.3(任意単位)を示した。
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。化合物(III−3)49.9部にN−メチルピロリドン150部を加えた後、30分攪拌して反応溶液を調整した。室温下、反応溶液を攪拌しながら、セバシン酸クロライド6.8部を滴下した。滴下終了後、さらに8時間攪拌した。アジピン酸クロライド7.8部を滴下した。滴下終了後、さらに8時間攪拌した。反応溶液を水300部の中に注いだ後、酢酸エチル80部を加えて30分攪拌した。分液ロートを用いて有機相を分取した後、さらに水500部、10%炭酸ナトリウム水溶液3000部、10%酢酸水溶液1000部、及びイオン交換水1000部で洗浄した。分取した有機相を溶媒留去して、式(I−6)で表される化合物と式(I−7)で表される化合物との混合物である染料(イ)を2.0部得た。収率85%。
Figure 2012031218
染料(イ)0.35gを乳酸エチルに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=431nmで吸光度2.2(任意単位)を示した。
<混合物中の含有量比の測定>
染料(イ)中の、式(I−6)で表される化合物及び式(I−7)で表される化合物の含有量比は、液晶クロマトグラフィー(HPLC)を用いて検量線法により測定した。検量線法とは、溶液中の物質濃度を決定するに際して,既知濃度の標準液列の濃度-吸光度関係から未知濃度を決定する方法である
HPLC装置 Prominence(島津製作所製)
送液ユニット:LC-20AT 二台
オートサンプラ:SIL-20A 一台
カラムオーブン:CTO-20A 一台
UV検出器:SPD-20A 一台
オンラインデガッサ:DGU-20A 一台
カラム Wakosil II 3C18HG(3μm、3mmφ×150mm)
移動相 A液;0.1%TBAB/水:アセトニトリル(9:1)
B液;0.1%TBAB/水:アセトニトリル(1:9)
グラジエント(B液)
B初期濃度 25%
25%→(30分)→100%(20分間保持)
検出波長 254nm
カラム温度 40℃
流量 0.5mL/min
注入量 5μL
TBAB:テトラブチルアンモニウムブロマイド
式(I−6)で表される化合物及び式(I−7)で表される化合物を、それぞれアセトニトリルに溶解して、表22に記載される濃度の溶液を調整した。該溶液について、上記の条件で液晶クロマトグラフィー分析を行い、溶出時間及びピーク面積を測定した。結果を表22に示す。
Figure 2012031218
溶液の濃度及び測定されたピーク面積から、検量線は下記の式として求められた。
式(I−6)で表される化合物の検量線:(ピーク面積)=72.2×(濃度)
式(I−7)で表される化合物の検量線:(ピーク面積)=76.0×(濃度)
染料(イ)13.9mgをアセトニトリルに溶解して体積を50cmとして(濃度:0.278g/L)、上記の条件で液晶クロマトグラフィー分析を行い、溶出時間及びピーク面積を測定した。溶出時間35.9分で式(I−7)で表される化合物が溶出され、そのピーク面積は944436であった。溶出時間37.9分で式(I−6)で表される化合物が溶出され、そのピーク面積は1108707であった。
上記の検量線を用いて、混合物(イ)中における各化合物の含有量比を求めた結果、式(I−6)で表される化合物/式(I−7)で表される化合物=44.7/55.3であった。
実施例2
式(I−6)で表される化合物101部と式(I−7)で表される化合物101部とをメノウ乳鉢で混合し、染料(ロ)を調整した。
染料(ロ)12.9mgをアセトニトリルに溶解し、体積を50cmの溶液(濃度:0.258g/L)を調整した。実施例1と同様にして、溶出時間及びピーク面積を測定した。溶出時間37.6分で式(I−7)で表される化合物が溶出され、そのピーク面積は964928であった。溶出時間39.8分で式(I−6)で表される化合物が溶出され、そのピーク面積は902508であった。上記の検量線を用いて、染料(ロ)中における各化合物の含有量比を求めた結果、式(I−6)で表される化合物/式(I−7)で表される化合物=49.9/50.1であった。
実施例3
式(I−6)で表される化合物141部と式(I−7)で表される化合物60部とをメノウ乳鉢で混合し、染料(ハ)を調整した。
染料(ハ)11.5mgをアセトニトリルに溶解し、体積を50cmの溶液(濃度:0.230g/L)を調整した。実施例1と同様にして、溶出時間及びピーク面積を測定した。溶出時間37.6分に式(I−7)で表される化合物が溶出され、そのピーク面積は512173であった。溶出時間39.9分に式(I−6)で表される化合物が溶出され、そのピーク面積は1152000であった。上記の検量線を用いて、染料(ハ)中における各化合物の含有量比を求めた結果、式(I−6)で表される化合物/式(I−7)で表される化合物=70.3/49.9であった。
実施例4
式(I−6)で表される化合物180部と式(I−7)で表される化合物20部とをメノウ乳鉢で混合し、染料(ニ)を調整した。
染料(ニ)10.9mgをアセトニトリルに溶解し、体積を50cmの溶液(濃度:0.218g/L)を調整した。実施例1と同様にして、溶出時間及びピーク面積を測定した。溶出時間37.6分に式(I−7)で表される化合物が溶出され、ピーク面積は173668であった。溶出時間39.8分に式(I−6)で表される化合物が溶出され、ピーク面積は1336073であった。上記の検量線を用いて、染料(ニ)中における各化合物の含有量比を求めた結果、式(I−6)で表される化合物/式(I−7)で表される化合物=89.9/10.1であった。
実施例5
<着色組成物の調整>
サンプル管中、染料(イ)5部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート95部とを混合し、密栓後40℃で10分間超音波振とう機で振とうさせた。ついで室温で30分間放置後、孔径0.45μmのメンブランフィルター(HLC−DISK 13:関東化学製)で濾過し、着色組成物を得た。濾過した際のフィルタ上には、不溶物がないことを目視で確認した。
合成例1
特許文献1に記載の方法で、下記の化合物(III−2)を合成した。化合物(III−2)0.35gを乳酸エチルに溶解して体積を250cm3とし、そのうちの2cm3をイオン交換水で希釈して体積を100cm3として(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=425nmで吸光度2.2(任意単位)を示した。
Figure 2012031218
実施例6〜8及び比較例1〜3
表23に記載された染料と溶剤とを混合し、実施例5と同様にして着色組成物を得た。
Figure 2012031218

表23中、PGMEAはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを表す。
<保存安定性の評価>
着色組成物を封入したサンプル管をインキュベーター(三洋電機製:MIR−553)にて5℃で保存した。
保存後の着色組成物について、析出物の有無を目視で確認した。10日間保存後、不溶物が認められる場合は×、10日間保存後の着色組成物には不溶物が認められず、20日間保存後の着色組成物には不溶物が認められる場合は△、20日間保存後の着色組成物には不溶物が認められず、30日間保存後の着色組成物には不溶物が認められ場合は○、30日間保存後の着色組成物に不溶物が認められない場合は◎とした。結果を表24に示す。
Figure 2012031218
実施例9
〔着色組成物の調製〕
(A)着色剤:染料(イ) 0.30質量部
(B)樹脂:メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体(モル比30/70、平均分子量10700、酸価70mgKOH/g)(HN−123;田岡化学工業社製)33.8%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 1.67質量部
(C): 1.48質量部
(D)重合開始剤:N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュアOXE01(BASFジャパン社製) 0.22質量部
(G)界面活性剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レ・ダウコーニング(株)製)の1%プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液 0.10質量部
(E)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.23質量部
を混合して着色組成物を得た。
<保存安定性の評価>
着色組成物を封入したサンプル管をインキュベーター(三洋電機製:MIR−553)にて5℃で30日間保存した。
〔カラーフィルタの作製〕
ガラス(#1737;コーニング)上に、保存後の着色組成物をスピンコート法で塗布し、100℃3分間でベークして揮発成分を揮発させた。着色組成物を塗布したガラスを室温まで冷却後、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、150mJ/cmの露光量(365nm基準)で光照射した。次いでオーブン中220℃で2時間ベークしてカラーフィルタ(膜厚2.2μm)を作製した。
〔異物評価〕
得られたカラーフィルタについてを表面形状測定顕微鏡(VF−7510;キーエンス製)を用いて倍率250倍で観察し、視野内の黒点状または白点状の異物個数を調べた。この異物個数が20個以下の場合、染料が析出することに由来する異物は少ないと判断して○とし、異物個数が20個を超える場合は×とした。結果を表25に示す。
実施例10
染料(イ)を染料(ロ)に変更する以外は、実施例9と同様にして着色組成物を得た。実施例9と同様にして、保存安定性の評価を行った。結果を表25に示す。
Figure 2012031218
表24及び25の結果から、本発明の染料と有機溶剤とを含む着色組成物は、析出物の発生が抑えられ、保存安定性に優れることが確認された。
本発明の染料は、有機溶剤に溶解させた溶液での保存安定性に優れる。

Claims (7)

  1. 式(I)で表される化合物を少なくとも2種含む染料。
    Figure 2012031218
    [式(I)中、Z、Z及びLは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の2価の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。
    及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜18のアシル基を表す。
    及びAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の2価の芳香族炭化水素基を表す。
    及びBは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の1価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜14の1価の複素環基を表し、該複素環基に含まれる−CH−は、−CO−で置き換わっていてもよい。]
  2. 及びBが、それぞれ独立に、式(II)で表される基である請求項1記載の染料。
    Figure 2012031218
    [式(II)中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基を表す。
    は、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基を表す。]
  3. 少なくとも2種の式(I)で表される化合物が、1種以上の式(I−A)で表される化合物と、2種以上の式(I−B’)で表される化合物とを反応させて得られる混合物である請求項1又は2記載の染料。
    Figure 2012031218
    [式(I−A)及び式(I−B’)中、R、A、B、Z、及びLは、上記と同じ意味を表す。
    及びXは、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表す。]
  4. 請求項1〜3のいずれか記載の染料及び溶剤を含む着色組成物。
  5. さらに、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項4記載の着色組成物。
  6. 請求項4又は5記載の着色組成物を用いて形成されるカラーフィルタ。
  7. 請求項6記載のカラーフィルタを含む表示装置。
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