JP2012028709A - 導電性高分子製造用酸化剤溶液とそれを用いた固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

導電性高分子製造用酸化剤溶液とそれを用いた固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、適切な重合速度を有し、かつ、ドーパントに寄与するアニオンの量を増加させた導電性高分子製造用酸化剤溶液とそれを用いて作製した、優れたESR特性と耐熱性を示す固体電解コンデンサの製造方法を提供すること。
【解決手段】有機スルホン酸第二鉄を溶質としたアルコール溶液中に、スルホン酸エステル化合物を含有させた導電性高分子製造用酸化剤溶液。及び該導電性高分子製造用酸化剤溶液を用いて作製した固体電解コンデンサの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性高分子モノマーを化学酸化重合させる導電性高分子製造用酸化剤溶液と、該酸化剤溶液を用いて化学酸化重合させてなる導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサの製造方法に関する。
近年、π共役系導電性高分子は、多岐分野にわたって研究されており、有機素材の軽量性と、高い導電性を生かして、様々な電子デバイス素子が実用化され、例えば、アルミニウム固体電解コンデンサやタンタル固体電解コンデンサ用の固体電解質として使用されている。
上記導電性高分子は、導電性高分子モノマー、例えば、ピロール、チオフェン、アニリン及びそれらの誘導体を、化学酸化重合させて製造することができる。特許文献1に開示されているように、導電性高分子モノマーとしてチオフェン誘導体である3,4−アルキレンジオキシチオフェンと化学酸化重合用酸化剤として導電性高分子のドーパントとなる有機スルホン酸と、酸化作用を有する遷移金属カチオンとからなる塩が提案されているが、これらの中でもパラトルエンスルホン酸第二鉄が最も一般的に用いられている。
しかしながら、パラトルエンスルホン酸第二鉄は、導電性高分子モノマーの酸化剤として適用した場合、ドーパントとして機能するアニオンの量が十分ではないため、それを用いて作製した固体電解コンデンサは、高温度下にさらされるとコンデンサ容量の低下やコンデンサ抵抗損失の増大を発生しやすいという欠点があった。
特許文献2には、有機スルホン酸遷移金属塩溶液に、溶媒量に対して10質量%以上の有機スルホン酸を添加することで、ドーパントに寄与するアニオン量を増加させる方法が開示されている。しかし、この方法では、酸を添加することになるため、重合速度が増加してしまい、得られる固体電解コンデンサの電気特性に劣る欠点があった。
特開平1−313521号公報 特開2004−107552号公報
本発明の目的は、適切な重合速度有し、かつ、ドーパントに寄与するアニオンの量を増加させた導電性高分子製造用酸化剤とそれを用いて作製した固体電解コンデンサの製造方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、有機スルホン酸第二鉄を溶質としたアルコール溶液中に、スルホン酸エステル化合物を添加した導電性高分子製造用酸化剤溶液及び該導電性高分子製造用酸化剤溶液を用いて作製した固体電解コンデンサの製造方法を用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に示すものである。
第一の発明は、アルコール溶媒中に、有機スルホン酸第二鉄を溶解させた導電性高分子製造用酸化剤溶液であって、導電性高分子製造用酸化剤溶液中にスルホン酸エステル化合物を含有させることを特徴とする導電性高分子製造用酸化剤溶液である。
第二の発明は、導電性高分子製造用酸化剤溶液における有機スルホン酸第二鉄の含有量が、30〜70質量%であることを特徴とする第一の発明に記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液である。
第三の発明は、導電性高分子製造用酸化剤溶液中の含水分量が1〜20質量%であることを特徴とする第一又は第二の発明に記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液である。
第四の発明は、有機スルホン酸第二鉄がパラトルエンスルホン酸第二鉄であることを特徴とする第一から第三の発明のいずれかに記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液である。
第五の発明は、スルホン酸エステル化合物が、下記一般式(1)で表されるスルホン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液である。
Figure 2012028709
(式(1)中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
第六の発明は、導電性高分子製造用酸化剤溶液におけるスルホン酸エステル化合物の含有量が、有機スルホン酸第二鉄1モルに対し、0.01〜20モル%であることを特徴とする第一から第五の発明のいずれかに記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液である。
第七の発明は、アルコール溶媒が、ブタノールとメタノールの混合溶媒であることを特徴とする第一から第六の発明のいずれかに記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液である。
第八の発明は、誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属上に導電性高分子からなる固体電解質を具備した固体電解コンデンサの製造方法において、
第一から第七の発明のいずれかに記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液と、導電性高分子モノマーとを液層にて接触させることにより化学酸化重合し、誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属に導電性高分子を形成する工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法である。
本発明によれば、適切な重合速度を有し、かつ、ドーパントに寄与するアニオンの量を増加させた導電性高分子製造用酸化剤溶液とそれを用いて作製した、優れたESR特性と耐熱性を示す固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
本発明の導電性高分子製造用酸化剤溶液は、アルコール溶媒中に、有機スルホン酸第二鉄と、スルホン酸エステル化合物とを含有させたものである。
スルホン酸エステル化合物を添加すると化学酸化重合時の加熱の際に酸化剤溶液中の残留水分、及び大気中の水分により該スルホン酸エステル化合物の加水分解が生じ、スルホン酸とアルコールが生成する。従って、導電性高分子製造用酸化剤溶液中のドーパントとして機能するスルホン酸量が増大し、導電性高分子に取り込まれるドーパント量が増大する。該導電性高分子を固体電解質として用いることで、優れた等価直列抵抗(ESR)と高い耐熱性を有する固体電解コンデンサを製造することができる。
前記方法を用いることで酸化剤溶液中のドーパント量が増大するため、酸化剤溶液中の含水分量が高くなると、加水分解の進行はより円滑となり、スルホン酸エステル化合物を添加する効果はより高くなる。
酸化剤溶液中の含水分量は1〜20質量%が好ましい。1質量%未満の場合、スルホン酸エステル化合物の添加効果は小さくなり、20質量%超の場合、酸化剤溶液に溶解している有機スルホン酸第二鉄の析出が生じてしまうため、溶液の安定性が低くなる問題点がある。
有機スルホン酸第二鉄塩の構成成分である有機スルホン酸化合物としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、スチレンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、エチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、ノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸等が挙げられ、これらの中でもパラトルエンスルホン酸が特に好ましく挙げられる。
導電性高分子製造用酸化剤溶液における有機スルホン酸第二鉄の含有量は、特に限定されるものではないが、30〜70質量%が好ましく挙げられる。
スルホン酸エステル化合物は、一般式(RSOOR)で表すことができ、Rは、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜18の芳香族炭化水素基を含有してもよく、発明に用いるスルホン酸エステル化合物としては、炭素数1〜18の芳香族炭化水素基を含有するものが好ましく挙げられる。また、Rは、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。
上記スルホン酸エステルの中でも特に下記一般式(1)で表されるスルホン酸エステル化合物が好ましく挙げられる。
Figure 2012028709
上記一般式(1)中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。
スルホン酸エステル化合物は、例えば、硫酸メチル、硫酸エチル、硫酸プロピル、硫酸イソプロピル、硫酸ブチル、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸ネオペンチル、トルエンスルホン酸メチル、トルエンスルホン酸エチル、トルエンスルホン酸プロピル、トルエンスルホン酸ブチル、トルエンスルホン酸メトキシエチル、トルエンスルホン酸ヘキシル、トルエンスルホン酸ヘプチル、トルエンスルホン酸オクチル、トルエンスルホン酸ドデシル、トルエンスルホン酸フェニル、トルエンスルホン酸フェネチル、トルエンスルホン酸オクタデシル、トルエンスルホン酸ナフチル等が挙げられ、トルエンスルホン酸メチル、トルエンスルホン酸エチル、トルエンスルホン酸プロピル、トルエンスルホン酸ブチルがより好ましく挙げられる。
導電性高分子製造用酸化剤にスルホン酸エステル化合物を含有させることで、重合速度を上げることなく、ドーパントに寄与するアニオンの量を増加させることができる。
導電性高分子製造用酸化剤溶液におけるスルホン酸エステル化合物の含有量は、有機スルホン酸第二鉄1モルに対し、0.01〜20モル%が好ましく挙げられ、0.1〜10モル%が特に好ましく挙げられる。
本発明に用いられる導電性高分子製造用酸化剤溶液に用いるアルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられ、これらは単独、若しくは混合して用いることができる。
これらの中でも、ブタノール、メタノールがより好ましく挙げられ、ブタノールとメタノールの混合溶媒が特に好ましく挙げられる。
次に、本発明の導電性高分子製造用酸化剤溶液の製造方法について例を挙げて説明する。
有機スルホン酸化合物の水溶液を調製して、該水溶液に酸化第二鉄を加えて加熱還流を行う。これをフィルター濾過操作により、有機スルホン酸化合物をアニオンとした第二鉄塩の水溶液を得る。該水溶液を溶媒除去して、有機スルホン酸第二鉄を得る。
アルコール溶媒中に、得られた有機スルホン酸第二鉄とスルホン酸エステル化合物と水を添加して、本願発明の導電性高分子製造用酸化剤溶液を製造することができる。
本発明に用いられる導電性高分子モノマーとしては、ピロール、チオフェン又はそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
導電性高分子モノマーの具体例としては、例えば、ピロール、チオフェン、1−アルキル−3−アルキルピロール、3−アルキルチオフェン、1−アルキル−3,4−アルキレンジオキシピロール、3,4−アルキレンジオキシチオフェン等が挙げられる。これらの中でも、3,4−アルキレンジオキシチオフェン、ピロールが好ましく挙げられる。前記導電性高分子モノマーは一種又は二種以上を同時に含有することができる。
本発明に用いる導電性高分子は、上記の導電性高分子製造用酸化剤溶液と導電性高分子モノマーを接触、混合させることで製造することができる。
本発明において、重合速度とは、以下の方法で測定して得られた時間として評価した。
導電性高分子製造用酸化剤溶液と3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)をそれぞれスクリュー管に入れ、20℃サーモプレート上に10分以上保持した。該酸化剤溶液とEDOTを5:1(質量比)で混合し、10秒撹拌した。その後、1mm以上のポリマーの塊が析出するまでの時間を計測し、これを重合速度とした。
本発明における適切な重合速度とは、導電性高分子モノマーとしてEDOTを用いた場合、70〜160秒である。より適切な重合速度は70〜130秒である。
70秒未満の場合、重合速度が速すぎ、多孔質の弁作用金属酸化皮膜の奥まで入りこまないで重合してしまうため、得られる固体電解コンデンサのESRが劣る結果となる。
160秒超の場合、重合速度が遅すぎ、重合しにくくなる欠点がある。
導電性高分子製造用酸化剤溶液に含有する水分量を1〜20質量%に調節することで、上記重合速度に容易に調整することができ、優れた電気特性の固体電解コンデンサを得ることができる。
次に本発明の固体電解コンデンサの製造方法について以下に説明する。
誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属上に導電性高分子からなる固体電解質を具備した固体電解コンデンサの製造方法において、本願発明の導電性高分子製造用酸化剤溶液と、導電性高分子モノマーとを液層にて接触させることにより化学酸化重合し、誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属に導電性高分子を形成する工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法である。
より詳細には、誘電体酸化皮膜を形成させたアルミニウム、タンタル及びニオブ等の弁作用金属表面に、本発明に用いられる導電性高分子製造用酸化剤溶液を塗布し、導電性高分子モノマーの溶液内に浸漬するか、導電性高分子モノマーの溶液を塗布し、導電性高分子製造用酸化剤溶液に浸漬するか、または該酸化剤溶液と該モノマーを混合して1液とした溶液に浸漬して、導電性高分子皮膜を形成させる。この導電性高分子皮膜は、固体電解コンデンサの固体電解質となる。
次いで、導電性高分子皮膜上に、カーボンペースト、銀ペーストを塗布、乾燥させて、陰極層を形成し、コンデンサ素子を得、該コンデンサ素子の弁作用金属を陽極端子に、また、陰極層を陰極端子に接続後、樹脂により外装を施して本発明の固体電解コンデンサを得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。なお、本発明は本実施例によりなんら限定されない。実施例中の「%」は「質量%」を表す。
(導電性高分子製造用酸化剤溶液の評価)
(実施例1)
純水50mlにパラトルエンスルホン酸1水和物15.5g(8.4×10−2mol)を溶解した溶液に酸化第二鉄4.45g(2.8×10−2mol)を加えて、12時間加熱還流を行った。
反応溶液をフィルター濾過操作することでパラトルエンスルホン酸第二鉄の水溶液を得た。その後、溶媒を除去し、パラトルエンスルホン酸第二鉄を得た。
次いで、1−ブタノールとメタノールの混合溶媒(質量比1:1)100g中に、得られたパラトルエンスルホン酸第二鉄と、パラトルエンスルホン酸メチル0.051g(2.8×10−4mol)加えた後、含水分量が6%となるように水を添加し、濃度60%パラトルエンスルホン酸第二鉄の1−ブタノールとメタノールの混合溶液である導電性高分子製造用酸化剤溶液(酸化剤溶液(1))を得た。(有機スルホン酸第二鉄1モルに対するスルホン酸エステル化合物の含有量は1モル%である。)
なお、含水分量はカールフィッシャー水分計(KF−100、三菱ケミカル社製)を用いて測定した。
(実施例2)
実施例1のパラトルエンスルホン酸メチルの含有量を1モル%から5モル%に代えた以外は実施例1と同様にして、導電性高分子製造用酸化剤溶液(酸化剤溶液(2))を得た。
(実施例3)
実施例1のパラトルエンスルホン酸メチルの含有量を1モル%から10モル%に代えた以外は実施例1と同様にして、導電性高分子製造用酸化剤溶液(酸化剤溶液(3))を得た。
(実施例4)
実施例1のパラトルエンスルホン酸メチルの含有量を1モル%から20モル%に代えた以外は実施例1と同様にして、導電性高分子製造用酸化剤溶液(酸化剤溶液(4))を得た。
(実施例5)
実施例1のパラトルエンスルホン酸メチルの含有量を1モル%から30モル%に代えた以外は実施例1と同様にして、導電性高分子製造用酸化剤溶液(酸化剤溶液(5))を得た。
(実施例6)
実施例1のパラトルエンスルホン酸メチルの含有量を1モル%から50モル%に代えた以外は実施例1と同様にして、導電性高分子製造用酸化剤溶液(酸化剤溶液(6))を得た。
(比較例1)
実施例1のパラトルエンスルホン酸メチルを含有させなかった以外は実施例1と同様にして、導電性高分子製造用酸化剤溶液(酸化剤溶液(7))を得た。
(比較例2)
純水50mlにパラトルエンスルホン酸1水和物15.5g(8.4×10−2mol)を溶解した溶液に酸化第二鉄4.45g(2.8×10−2mol)を加えて、12時間加熱還流を行った。
反応溶液をフィルター濾過操作することでパラトルエンスルホン酸第二鉄の水溶液を得た。その後、溶媒を除去し、パラトルエンスルホン酸第二鉄を得た。
次いで、1−ブタノールとメタノールの混合溶媒(質量比1:1)100g中に、得られたパラトルエンスルホン酸第二鉄と、パラトルエンスルホン酸を酸化剤溶媒に対し、10質量%となるように加えた後、含水分量が6%となるように水を加え、濃度60%パラトルエンスルホン酸第二鉄の1−ブタノールとメタノールの混合溶液である導電性高分子製造用酸化剤溶液(酸化剤溶液(8))を得た。
上記工程で得られた酸化剤溶液(1)〜(8)を準備し、重合速度の評価を行った。なお、重合速度は、各酸化剤溶液と3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)をそれぞれスクリュー管に入れ、20℃サーモプレート上に10分以上保持した。該酸化剤溶液とEDOTを5:1(重量比)混合し、10秒保持撹拌した。その後、直径1mm以上のポリマーの塊が析出するまでの時間を計測し、これを重合速度とした。測定結果を表1に示す。
Figure 2012028709
表中の略語
PTS:パラトルエンスルホン酸
表1より、酸化剤溶液(1)〜(6)は、適切な重合速度を有していることがわかる。
(固体電解コンデンサの評価)
(実施例7)
陽極リードを備えたタンタル焼結体素子に、リン酸水溶液中、25Vの電圧を印加させて化成処理を施し、誘電体酸化皮膜を形成させた。該素子の硫酸水溶液中における静電容量は300μFであった。
次に、実施例1に記載の酸化剤溶液(1)及び導電性高分子モノマーとしてEDOTをモル比で1:1になるように混合し、1液の化学酸化重合液として容器に準備した。
タンタル焼結体素子を、上記の化学酸化重合液に室温で5分間浸漬させて、素子を引上げて50℃で1時間熱処理し化学酸化重合を進行させて、素子表面に導電性高分子層を形成させた。
次いで、上記素子の陰極層に、カーボンペースト及び銀ペーストを塗布して導電性塗膜を形成し、その一部から対極を取り出した後、エポキシ樹脂でモールドさせ、その後、8Vの電圧を印加させてエージングを行い、定格電圧6.3V、定格静電容量250μFの固体電解コンデンサを完成させた。
(実施例8)
実施例7の酸化剤溶液(1)の代わりに、酸化剤溶液(2)を用いた以外は実施例7と同様の方法で固体電解コンデンサを完成させた。
(実施例9)
実施例7の酸化剤溶液(1)の代わりに、酸化剤溶液(3)を用いた以外は実施例7と同様の方法で固体電解コンデンサを完成させた。
(実施例10)
実施例7の酸化剤溶液(1)の代わりに、酸化剤溶液(4)を用いた以外は実施例7と同様の方法で固体電解コンデンサを完成させた。
(実施例11)
実施例7の酸化剤溶液(1)の代わりに、酸化剤溶液(5)を用いた以外は実施例7と同様の方法で固体電解コンデンサを完成させた。
(実施例12)
実施例7の酸化剤溶液(1)の代わりに、酸化剤溶液(6)を用いた以外は実施例7と同様の方法で固体電解コンデンサを完成させた。
(比較例3)
実施例7の酸化剤溶液(1)の代わりに、酸化剤溶液(7)を用いた以外は実施例7と同様の方法で固体電解コンデンサを完成させた。
(比較例4)
実施例7の酸化剤溶液(1)の代わりに、酸化剤溶液(8)を用いた以外は実施例7と同様の方法で固体電解コンデンサを完成させた。
実施例7〜12及び比較例3、4より得られた固体電解コンデンサについて、120Hzでの静電容量(以下、Csと略記する。)、120Hzでの誘電損失(以下、tanδと略記する。)、100kHzでの等価直列抵抗(以下、ESRと略記する。)を測定した。また、高温負荷試験(温度260℃の雰囲気に3分間保持)を実施した。測定結果を表2に示す。
Figure 2012028709
表2に示すように、実施例7〜12は、比較例3、4よりもESR特性と耐熱性に優れていることがわかる。
特に有機スルホン酸第二鉄1モルに対し、スルホン酸エステル化合物を5モル%含有させた酸化剤溶液を用いて製造した固体電解コンデンサにおいては、ESR特性に優れていることがわかった。
本発明の導電性高分子製造用酸化剤溶液を用いて製造した固体電解コンデンサは、優れた電気特性を有するため、高周波数のデジタル機器等に適用できる。

Claims (8)

  1. アルコール溶媒中に、有機スルホン酸第二鉄を溶解させた導電性高分子製造用酸化剤溶液であって、導電性高分子製造用酸化剤溶液中にスルホン酸エステル化合物を含有させることを特徴とする導電性高分子製造用酸化剤溶液。
  2. 導電性高分子製造用酸化剤溶液における有機スルホン酸第二鉄の含有量が、30〜70質量%であることを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液。
  3. 導電性高分子製造用酸化剤溶液中の含水分量が1〜20質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液。
  4. 有機スルホン酸第二鉄がパラトルエンスルホン酸第二鉄であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液。
  5. スルホン酸エステル化合物が、下記一般式(1)で表されるスルホン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液。
    Figure 2012028709
    (式(1)中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
  6. 導電性高分子製造用酸化剤溶液におけるスルホン酸エステル化合物の含有量が、有機スルホン酸第二鉄1モルに対し、0.01〜20モル%であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液。
  7. アルコール溶媒が、ブタノールとメタノールの混合溶媒であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液。
  8. 誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属上に導電性高分子からなる固体電解質を具備した固体電解コンデンサの製造方法において、
    請求項1から7のいずれかに記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液と、導電性高分子モノマーとを液層にて接触させることにより化学酸化重合し、誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属に導電性高分子を形成する工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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