JP2012007212A - 粉末冶金用バインダー組成物、粉末冶金用コンパウンドおよび焼結体 - Google Patents

粉末冶金用バインダー組成物、粉末冶金用コンパウンドおよび焼結体 Download PDF

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Abstract

【課題】低温で焼成しても、焼結密度が高く、かつ延性および寸法精度に優れた金属焼結体を製造可能な粉末冶金用バインダー組成物および粉末冶金用コンパウンド、およびかかる粉末冶金用コンパウンドを用いて得られる高密度で延性に優れた焼結体を提供すること。
【解決手段】本発明の粉末冶金用コンパウンドは、粉末冶金用バインダー組成物と金属粉末とを含むものである。このうち、粉末冶金用バインダー組成物は、炭化水素系樹脂とワックスとを含むものであり、炭化水素系樹脂の含有量が、質量比で、前記ワックスの含有量の1倍以上2倍以下であること、および、酸素含有量が20質量%以下であること、という特徴を有するものである。また、バインダー組成物は、さらに環状エーテル基を含む単量体と、この単量体と共重合可能なモノマーとを、共重合してなるコポリマーを含んでいるのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、粉末冶金用バインダー組成物、粉末冶金用コンパウンドおよび焼結体に関するものである。
金属粉末を含む成形体を焼結して金属製品を製造する際に、成形体の製造方法としては、例えば、金属粉末と有機バインダーとを混合、混練し、この混練物(コンパウンド)を用いて射出成形する金属粉末射出成形(MIM:Metal Injection Molding)法が知られている。また、成形体の製造方法(成形方法)としては、MIM法以外に、圧縮成形法、押出成形法等の方法が知られている。
このような各種成形方法により製造された成形体は、脱脂処理(脱バインダー処理)が施されて有機バインダーが除去された後、焼成され、目的とする金属製品(焼結体)となる。このようにして金属焼結体を製造する方法は、特に粉末冶金法と称される。
ところで、粉末冶金法においては、成形体に保形性を与えるなどの種々の目的から、適当な成分の有機バインダーを選定する必要がある。
例えば、特許文献1には、射出成形用バインダーとして、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、各種ワックス、高級脂肪酸、各種アルコール等の各種バインダー組成物が開示されている。
一方、粉末冶金法に用いる金属粉末の粒径が小さくなる(例えば30μm以下)と、金属粉末とバインダーとの相互作用が強くなり、バインダーが焼結体の機械的特性に大きな影響を及ぼすようになる。例えば、チタン、アルミニウムのような活性の高い金属の場合、金属焼結体の焼結密度を十分に高めることができないという問題が知られている。また、金属焼結体の硬度を高めることは比較的容易にできるのに対し、伸びや耐衝撃性といった機械的特性を高めることが難しく、金属焼結体の用途が限られてしまうという問題もある。
特開2008−189981号公報
本発明の目的は、低温で焼成しても、焼結密度が高く、かつ延性および寸法精度に優れた金属焼結体を製造可能な粉末冶金用バインダー組成物および粉末冶金用コンパウンド、およびかかる粉末冶金用コンパウンドを用いて得られる高密度で延性に優れた金属焼結体を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の粉末冶金用バインダー組成物は、炭化水素系樹脂とワックスとを含む粉末冶金用バインダー組成物であって、
前記炭化水素系樹脂の含有量が、質量比で、前記ワックスの含有量の1倍以上2倍以下であり、
当該粉末冶金用バインダー組成物中の酸素含有量が、20質量%以下であることを特徴とする。
これにより、低温で焼成しても、焼結密度が高く、かつ延性および寸法精度に優れた金属焼結体を製造可能な粉末冶金用バインダー組成物が得られる。
本発明の粉末冶金用バインダー組成物では、さらに、環状エーテル基を含む単量体と、この単量体と共重合可能なモノマーとを、共重合してなるコポリマーを含むことが好ましい。
これにより、環状エーテル基を有する単量体が金属粉末に対して優れた密着性を有する一方、この単量体と共重合するモノマーを適宜選択することにより、炭化水素系樹脂やワックスに対する相溶性をも高めることができる。その結果、金属粉末と炭化水素系樹脂およびワックスとの濡れ性を高めることができる。
本発明の粉末冶金用コンパウンドは、炭化水素系樹脂とワックスとを含む粉末冶金用バインダー組成物と、金属粉末と、を含み、
前記炭化水素系樹脂の含有量が、質量比で、前記ワックスの含有量の1倍以上2倍以下であり、
前記粉末冶金用バインダー組成物中の酸素含有量が、20質量%以下であることを特徴とする。
これにより、低温で焼成しても、焼結密度が高く、かつ延性および寸法精度に優れた金属焼結体を製造可能な粉末冶金用コンパウンドが得られる。
本発明の粉末冶金用コンパウンドでは、前記粉末冶金用バインダー組成物は、さらに、環状エーテル基を含む単量体と、この単量体と共重合可能なモノマーとを、共重合してなるコポリマーを含んでおり、
前記粉末冶金用バインダー組成物における前記コポリマーの含有量が、質量比で、前記ワックスの10%以上100%以下であることが好ましい。
これにより、金属粉末と炭化水素系樹脂およびワックスとの濡れ性を特に高めることができる。
本発明の粉末冶金用コンパウンドでは、前記環状エーテル基は、エポキシ基であることが好ましい。
これにより、金属粉末とコポリマーとが高い密着性を示し、バインダー組成物中における金属粉末の分散性がより良好になる。
本発明の粉末冶金用コンパウンドでは、前記モノマーは、エチレンモノマーおよび酢酸ビニルモノマーであることが好ましい。
これにより、エチレンおよび酢酸ビニルが、炭化水素系樹脂やワックスに対して特に優れた相溶性を示すため、コポリマーは、金属粉末の濡れ性を特に高めることができる。
本発明の粉末冶金用コンパウンドでは、前記炭化水素系樹脂の重量平均分子量は、1万以上10万以下であることが好ましい。
これにより、成形体に十分な保形性を付与しつつ、容易かつ確実な脱脂が可能になる。
本発明の粉末冶金用コンパウンドでは、前記炭化水素系樹脂は、ポリオレフィン樹脂およびポリスチレン樹脂であることが好ましい。
これにより、ポリオレフィン樹脂が有する優れた保形性および熱分解性と、ポリスチレン樹脂の軟化温度が比較的広い温度範囲に及ぶという特徴とが、相乗的に作用するため、焼結体の寸法精度の低下を抑制しつつ効率よく脱脂を行うことができる。
本発明の粉末冶金用コンパウンドでは、前記粉末冶金用バインダー組成物における前記炭化水素系樹脂の含有量は、15質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
これにより、粉末冶金用バインダー組成物において、炭化水素系樹脂が有する、保形性が高いおよび熱分解性が高いという特性を、必要かつ十分に発現させることができる。
本発明の粉末冶金用コンパウンドでは、前記ワックスの重量平均分子量は、100以上1万未満であることが好ましい。
これにより、成形体を脱脂する際に、炭化水素系樹脂よりも低温域でワックスを確実に溶融させることができ、成形体に炭化水素系樹脂の分解物が放出されるための流路を確実に形成することができる。その結果、焼結体に割れ等が発生するのを防止する。
本発明の粉末冶金用コンパウンドでは、前記ワックスは、パラフィンワックスであることが好ましい。
パラフィンワックスは、炭化水素系樹脂との相溶性に優れているため、均質な粉末冶金用バインダー組成物および粉末冶金用コンパウンドの調製を可能にする。
本発明の粉末冶金用コンパウンドでは、前記粉末冶金用バインダー組成物における前記ワックスの含有量は、10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
これにより、粉末冶金用バインダー組成物および粉末冶金用コンパウンドにおいて、ワックスが有する特性を、必要かつ十分に発現させることができる。
本発明の粉末冶金用コンパウンドでは、前記金属粉末は、チタン粉末またはチタン合金粉末であることが好ましい。
これにより、低温で焼成しても、焼結密度が高く、かつ延性および寸法精度に優れたチタン系焼結体を製造可能な粉末冶金用コンパウンドが得られる。このコンパウンドを用いて製造されたチタン系焼結体は、例えば構造部品や医療用構造体に適用可能である。
本発明の焼結体は、本発明の粉末冶金用コンパウンドが成形され、焼結してなることを特徴とする。
これにより、焼結密度が高く、かつ延性および寸法精度に優れた金属焼結体が得られる。
以下、本発明の粉末冶金用バインダー組成物、粉末冶金用コンパウンドおよび焼結体を詳細に説明する。
<粉末冶金用コンパウンド>
本発明の粉末冶金用コンパウンドは、本発明の粉末冶金用バインダー組成物と、金属粉末とを含み、これらを混練してなるものである。
このうち、粉末冶金用バインダー組成物は、炭化水素系樹脂とワックスとを含むものであり、炭化水素系樹脂の含有量が、質量比で、前記ワックスの含有量の1倍以上2倍以下であることを特徴とするものである。
また、粉末冶金用バインダー組成物は、その酸素含有量が20質量%以下であるという特徴も有する。
このような粉末冶金用バインダー組成物と金属粉末とを混練することにより、酸素含有率が低い金属焼結体を製造可能な粉末冶金用コンパウンドが得られる。すなわち、粉末冶金用コンパウンドを所定の形状に成形して成形体を得た後、脱脂、焼成を経ることにより、金属酸化物の含有量が低い金属焼結体が得られる。
また、このコンパウンドを用いることにより、展性が高く、それゆえ耐衝撃性に優れた金属焼結体を得ることもできる。
以下、本発明の粉末冶金用コンパウンドの各成分について詳述する。
(金属粉末)
金属粉末としては、特に限定されないが、例えば、Mg、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、In、Sn、Sn、Ta、W、またはこれらの合金が挙げられる。
このうち、金属粉末には、ステンレス鋼、ダイス鋼、高速度工具鋼、低炭素鋼、Fe−Ni系合金、Fe−Si系合金、Fe−Co系合金、Fe−Ni−Co系合金等の各種Fe基合金の粉末、Al系合金粉末、Ti系合金粉末が好ましく用いられる。このようなFe基合金は、機械的特性に優れているため、このFe基合金粉末を用いて得られた焼結体は、機械的特性に優れ、広範な用途に用いることができる。
なお、ステンレス鋼としては、例えば、SUS304、SUS316、SUS317、SUS329、SUS410、SUS430、SUS440、SUS630等が挙げられる。
また、Ti系合金としては、例えば、チタン単体、または、チタンと、アルミニウム、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、モリブデン等の金属元素との合金であり、具体的には、純Ti、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−7Nb等が挙げられる。なお、Ti系合金には、これらの金属元素の他に、ホウ素、炭素、窒素、酸素、ケイ素等の非金属元素を含んでいてもよい。
また、本発明の粉末冶金用コンパウンドは、特に金属粉末としてAlやTiのような活性の高い金属の粉末を用いた場合に、その効果がより顕著に発揮される。すなわち、活性の高い金属の粉末は、他の元素と結合し易く、その結果、焼結体の硬度が高くなり易い。一方、それに伴って金属元素特有の延性が犠牲になり易く、耐衝撃性も低下することが問題となっていた。
これに対し、本発明の粉末冶金用コンパウンドを用いることにより、延性や耐衝撃性に優れたAlやTiの金属焼結体が得られる。特にTiまたはTi系合金の金属焼結体は、軽量であり、かつ耐候性にも優れていることから、多方面での応用が可能である。
本発明に用いられる金属粉末の平均粒径は、好ましくは1μm以上30μm以下、より好ましくは3μm以上20μm以下とされ、さらに好ましくは3μm以上10μm以下とされる。このような粒径の金属粉末は、成形時の圧縮性の低下を避けつつ、最終的に十分に緻密な焼結体を製造可能なものとなる。
なお、平均粒径が前記下限値未満である場合、金属粉末が凝集し易くなり、成形時の圧縮性が著しく低下するおそれがある。一方、平均粒径が前記上限値を超える場合、粉末の粒子間の隙間が大きくなり過ぎて、最終的に得られる焼結体の緻密化が不十分になるおそれがある。
また、本発明に用いられる金属粉末のタップ密度は、例えばFe基合金粉末の場合、3.5g/cm以上であるのが好ましく、3.8g/cm以上であるのがより好ましい。このようにタップ密度が大きい金属粉末であれば、造粒粉末を得る際に、粒子間の充填性が特に高くなる。このため、最終的に、特に緻密な焼結体を得ることができる。
また、本発明に用いられる金属粉末の比表面積は、特に限定されないが、0.15m/g以上であるのが好ましく、0.2m/g以上であるのがより好ましく、0.3m/g以上であるのがさらに好ましい。このように比表面積の広い金属粉末であれば、表面の活性(表面エネルギー)が高くなるため、より少ないエネルギーの付与でも容易に焼結することができる。したがって、成形体を焼結する際に、より短時間で焼結することができる。その結果、低温での焼成であっても焼結体の緻密化を図ることができる。
このような金属粉末は、例えば、いかなる方法で製造されたものでもよいが、例えば、アトマイズ法(水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法等)、還元法、カルボニル法、粉砕法等の方法により製造されたものを用いることができる。
このうち、金属粉末には、アトマイズ法により製造されたものを用いるのが好ましい。アトマイズ法によれば、前記したような極めて微小な平均粒径の金属粉末を効率よく製造することができる。また、粒径のバラツキが少なく、粒径の揃った金属粉末を得ることができる。したがって、このような金属粉末を用いることにより、焼結体における気孔の生成を確実に防止することができ、密度の向上を図ることができる。
また、アトマイズ法で製造された金属粉末は、比較的真球に近い球形状をなしているため、バインダーに対する分散性や流動性に優れたものとなる。このため、造粒粉末を成形型に充填して成形する際に、その充填性を高めることができ、最終的により緻密な焼結体を得ることができる。
<粉末冶金用バインダー組成物>
本発明の粉末冶金用バインダー組成物は、前述したように、少なくとも炭化水素系樹脂とワックスとを含むものである。以下、各成分について詳述する。
(炭化水素系樹脂)
炭化水素系樹脂は、炭素原子と水素原子とで構成される高分子化合物である。このような炭化水素系樹脂は、バインダー組成物中において、ワックスよりも熱分解温度が高いものであり、高温時でも成形体の形状を維持することに寄与する。
炭化水素系樹脂は、炭素原子同士の結合状態に応じて、飽和炭化水素系樹脂、不飽和炭化水素系樹脂等に分類される。また、炭素原子の結合形態に応じて、鎖状炭化水素系樹脂、環状炭化水素系樹脂等にも分類される。
具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンのようなポリオレフィン、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体、ポリエチレン−ポリブチレン共重合体のようなポリオレフィン系共重合体、ポリスチレン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上で構成される。
このうち、本発明に用いられる炭化水素系樹脂は、ポリオレフィン樹脂およびポリスチレン樹脂を含んでいるのが好ましい。ポリオレフィン樹脂は、成形体に保形性を付与するとともに、熱分解性が比較的高いため、脱脂の際に成形体中から容易に除去することができる。したがって、ポリオレフィン樹脂は、速やかな脱脂とそれによる焼結性の向上に寄与するものである。また、ポリオレフィン樹脂の融点は、比較的はっきりしており、融点を超えると急激に溶融する。一方、ポリスチレン樹脂は、ポリオレフィン樹脂よりも軟化温度が低く、かつその軟化温度は比較的広い温度範囲に及ぶ。このため、ポリオレフィン樹脂と混合して用いられることにより、バインダー組成物全体が急激に軟化してしまい、成形体の保形性が低下するのを防止することができる。
なお、上記の観点から、炭化水素系樹脂には、ポリオレフィンのような結晶性樹脂と、ポリスチレンのような非結晶性樹脂とを混合して用いるのが好ましい。これにより、成形体の保形性を維持しつつ、比較的広い温度範囲にわたって炭化水素系樹脂が徐々に分解され、外部に放出される。その結果、焼結体の寸法精度の低下を抑制しつつ効率よく脱脂を行うことができる。
結晶性樹脂と非結晶性樹脂との混合比は、特に限定されないが、結晶性樹脂よりも非結晶性樹脂を多くするのが好ましく、具体的には、結晶性樹脂100重量部に対して、非結晶性樹脂101重量部以上300重量部以下とするのが好ましい。
炭化水素系樹脂の重量平均分子量は、1万以上10万以下であるのが好ましく、2万以上8万以下であるのがより好ましい。炭化水素系樹脂の重量平均分子量を前記範囲内とすることにより、成形体に十分な保形性を付与しつつ、容易かつ確実な脱脂が可能になる。なお、炭化水素系樹脂の重量平均分子量が前記下限値を下回ると、成形体に十分な保形性を付与することができないおそれがあり、前記上限値を上回ると、成形体を脱脂する際の炭化水素系樹脂の分解性が低下するおそれがある。
また、粉末冶金用バインダー組成物における炭化水素系樹脂の含有量は、1質量%以上98質量%以下であるのが好ましく、15質量%以上50質量%以下であるのがより好ましく、20質量%以上45質量%以下であるのがさらに好ましい。炭化水素系樹脂の含有量を前記範囲内とすることにより、粉末冶金用バインダー組成物において、炭化水素系樹脂が有する特性を必要かつ十分に発現させることができる。なお、炭化水素系樹脂の含有量が前記下限値を下回ると、成形体に十分な保形性を付与することができないおそれがある。一方、前記上限値を上回ると、相対的にワックス等の炭化水素系樹脂以外の成分が少なくなりすぎるため、成形体を脱脂する際に長い時間を要したり、一度に大量の炭化水素系樹脂が分解することで生じる成形体の割れ等の不具合を招くおそれがある。
なお、炭化水素系樹脂としては、その熱分解温度が300℃以上550℃以下のものが好ましく用いられ、より好ましくは400℃以上500℃以下のものが用いられる。このような炭化水素系樹脂は、バインダー成分としては比較的高温域で熱分解するものに相当するので、成形体を脱脂する際に、脱脂が完了するまで成形体の形状を維持することに寄与する。その結果、最終的に、寸法精度の高い焼結体を得ることができる。
また、炭化水素系樹脂としては、その融点が100℃以上400℃以下のものが好ましく用いられ、200℃以上300℃以下のものがより好ましく用いられる。
(ワックス)
ワックスは、結晶性の高分子を比較的多く含み、その重量平均分子量は樹脂よりも小さいものとされ、好ましくは5000以上、より好ましくは10000以上小さいものとされる。したがって、ワックスは、成形体を脱脂する際には、炭化水素系樹脂よりも低温域で溶融、分解し、成形体に流路を形成する。その後、より高温域に達すると、今度は炭化水素系樹脂の分解が始まり、その分解物は前記流路を介して成形体の外部に放出されることとなる。このようにして流路を介して炭化水素系樹脂を除去すれば、炭化水素系樹脂の分解物が成形体に亀裂を作りつつ外部に放出され、成形体が破損するのを防止することができる。これにより、成形体の形状を確実に維持することができる。
ワックスとしては、例えば、天然ワックス、合成ワックス等が挙げられる。
このうち、天然ワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油のような植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろうのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンのような鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、合成ワックスとしては、ポリエチレンワックスのような合成炭化水素、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体のような変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体のような水素化ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸のような脂肪酸、ステアリン酸アミドのような酸アミド、無水フタル酸イミドのようなエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、特に、石油系ワックスまたはその変性物が好ましく用いられ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスまたはこれらの誘導体がより好ましく用いられ、パラフィンワックスがさらに好ましく用いられる。これらのワックスは、炭化水素系樹脂との相溶性に優れているため、均質なバインダー組成物およびコンパウンドの調製を可能にする。このため、最終的に均質で機械的特性に優れた焼結体の製造に寄与する。
ワックスの重量平均分子量は、100以上1万未満であるのが好ましく、200以上5000以下であるのがより好ましい。ワックスの重量平均分子量を前記範囲内とすることにより、成形体を脱脂する際に、炭化水素系樹脂よりも低温域でワックスを確実に溶融させることができ、成形体に炭化水素系樹脂の分解物が放出されるための流路を確実に形成することができる。なお、ワックスの重量平均分子量が前記下限値を下回ると、成形体の保形性を低下させるおそれがある。一方、前記上限値を上回ると、ワックスが溶融する温度域と炭化水素系樹脂が溶融する温度域とが近くなり、成形体に割れ等が発生するおそれがある。
また、粉末冶金用バインダー組成物におけるワックスの含有量は、1質量%以上70質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上50質量%以下であるのがより好ましく、15質量%以上40質量%以下であるのがさらに好ましい。炭化水素系樹脂の含有量を前記範囲内とすることにより、粉末冶金用バインダー組成物において、ワックスが有する特性を必要かつ十分に発現させることができる。なお、ワックスの含有量が前記下限値を下回ると、成形体に十分な量の流路を形成することができず、成形体を脱脂する際に割れ等が発生するおそれがある。一方、前記上限値を上回ると、相対的に炭化水素系樹脂の割合が低下するため、成形体の保形性が低下するおそれがある。
また、ワックスとしては、その融点が30℃以上200℃以下のものが好ましく用いられ、50℃以上150℃以下のものがより好ましく用いられる。
(コポリマー)
本発明の粉末冶金用バインダー組成物は、必要に応じて、環状エーテル基を有する単量体と、この単量体と共重合可能なモノマーとを共重合してなるコポリマーを含むのが好ましい。このようなコポリマーを含むことにより、環状エーテル基を有する単量体が金属粉末に対して優れた密着性を有する一方、この単量体と共重合するモノマーを適宜選択することにより、炭化水素系樹脂やワックスに対する相溶性をも高めることができる。すなわち、このようなコポリマーは、金属粉末と炭化水素系樹脂およびワックスとの濡れ性を高め、粉末冶金用コンパウンド中における相互の分散性を高めることに寄与する。このようなコンパウンドは、均質なものとなるため、焼結性の均一な焼結体を得ることにつながる。
環状エーテル基としては、例えば、エポキシ基、オキセニル基等が挙げられる。これらは、粉末冶金用コンパウンドに付与された熱により、開環し、金属粉末表面の水酸基と結合する。その結果、金属粉末とコポリマーとが高い密着性を示し、バインダー組成物中における金属粉末の分散性がより良好になる。また、金属粉末表面との結合が容易である等の観点から、環状エーテル基の中でも特にエポキシ基が好ましい。
また、環状エーテル基を有する単量体としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートのようなグリシジルエステル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルのようなグリシジルエーテル、オキセタンアクリレート、オキセタンメタクリレートのようなオキセタンエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
一方、このような単量体に共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルのような(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエンのようなオレフィン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このうち、エチレンモノマーおよび酢酸ビニルモノマーが好ましく用いられる。エチレンおよび酢酸ビニルは、炭化水素系樹脂やワックスに対して特に優れた相溶性を有する。このため、エチレンモノマーおよび酢酸ビニルモノマーを共重合してなるコポリマーは、金属粉末と炭化水素系樹脂およびワックスとの間に介在し、これらの濡れ性を特に高める機能を有するものとなる。
上述したような環状エーテル基を有する単量体とモノマーとを組み合わせてコポリマーが得られるが、その好ましい組み合わせとしては、グリシジル(メタ)アクリレート(GMA)と酢酸ビニル(VA)、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレン、グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸ビニルとエチレン(E)、グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸ビニルとアクリル酸メチル(MA)等が挙げられる。
また、コポリマーにおける前記単量体の含有率は、特に限定されないが、0.1質量%以上50質量%以下程度であるのが好ましく、1質量%以上30質量%以下程度であるのがより好ましい。これにより、単量体と金属粉末との密着性が確実に得られるため、コポリマーを用いたときの前述した効果がより確実に発揮される。
コポリマーの重量平均分子量は、1万以上40万以下であるのが好ましく、3万以上30万以下であるのがより好ましい。コポリマーの重量平均分子量を前記範囲内とすることにより、コポリマーの熱分解性が著しく低下するのを防止しつつ、粉末冶金用コンパウンドの流動性と成形体の保形性とを高度に両立することができる。
また、コポリマーにおける単量体とモノマーの配列は、特に限定されず、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等のいずれの配列であってもよい。
また、コポリマーの含有量は、質量比で、ワックスの含有量の10%以上100%以下程度であるのが好ましく、15%以上80%以下程度であるのがより好ましく、20%以上50%以下程度であるのがさらに好ましい。コポリマーの含有量を前記範囲内とすることにより、金属粉末と炭化水素系樹脂およびワックスとの濡れ性を特に高めることができる。その結果、粉末冶金用コンパウンド中における金属粉末およびバインダー組成物の分散性を特に高めることに寄与する。
また、コポリマーとしては、その融点が30℃以上150℃以下のものが好ましく用いられ、50℃以上100℃以下のものがより好ましく用いられる。
(バインダー)
本発明者は、低温で焼成しても、焼結密度が高く、かつ機械的特性および寸法精度に優れた金属焼結体を製造可能な粉末冶金用バインダー組成物について鋭意検討を重ねた。そして、焼結の挙動がバインダー組成物中に含まれる酸素の含有量に左右されること、さらに、低温で焼成しても焼結密度と寸法精度とを高めるためには、バインダーの成分を最適化するとともに、酸素含有量を併せて最適化することが必要であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の粉末冶金用バインダー組成物は、上述した炭化水素系樹脂の含有量が、質量比で、ワックスの含有量の1倍以上2倍以下となるよう、これらの成分を含み、かつ、粉末冶金用バインダー組成物中に含まれる酸素の含有量が20質量%以下であることを特徴とするものである。
このような粉末冶金用バインダー組成物を用いることにより、特に平均粒径が30μm以下の微細な金属粉末を用いた場合、金属粉末の比表面積が相対的に非常に大きくなり、表面に生成される金属酸化物の相対的な量も非常に多くなるにもかかわらず、酸素含有量の低い金属焼結体を製造することができる。
これは、バインダー組成物中の酸素含有量を低く抑えたために、バインダーから金属粉末に移動する酸素の量が抑えられたことに起因すると考えられる。すなわち、バインダーが酸素供給源になることが防止される。
一方、比較的高温で分解する炭化水素系樹脂を一定量含んでいるため、この樹脂から供給される炭素が、金属粉末の表面を覆っている金属酸化物の還元に寄与する。これにより、金属酸化物が還元されるとともに、酸素と炭素とが反応して気体となって成形体の外部に放出される。その結果、より酸素含有量の低い金属焼結体を製造することができる。
また、バインダー組成物中の酸素含有量を低く抑えたこと、および、金属酸化物が還元されることにより、金属粉末が焼結に至る温度を低くすることができる。これは、焼結を阻害する要因である金属酸化物が除去され、金属粉末の母材同士が直接に原子拡散するためであると考えられる。その結果、より焼成温度を低くすることができ、これにより金属酸化物の生成をさらに抑えることができるという好循環が生まれる。以上のようにして、酸素含有量の特に低い金属焼結体を製造することができる。
なお、バインダー組成物中の酸素含有量が前記上限値を上回ると、金属粉末に特に多くの酸素が供給されることとなり、金属粉末の酸化を招くこととなる。そして、金属焼結体の機械的特性を著しく低下させることとなる。
一方、バインダー組成物中の酸素含有量の下限値は、特に設定されないが、金属粉末とバインダーとの濡れ性の観点から、好ましくは0.1質量%程度、より好ましくは1質量%程度、さらに好ましくは2質量%程度に設定される。
バインダー組成物中の酸素含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィーにより測定することができる。
また、バインダー組成物中の酸素含有量を低く抑えたこと、および、金属酸化物が還元されることにより、酸素含有量の特に低い金属焼結体が得られるとともに、金属焼結体の伸びが向上する。その結果、金属焼結体には延性が付与されることとなり、例えば耐衝撃性に富んだ構造部品、医療用構造体への応用が可能になる。
このようにして得られた金属焼結体は、酸素含有量の低いものとなるが、具体的には、重量濃度で3000ppm(0.3質量%)以下、好ましくは2000ppm以下の酸素含有量のものになると期待される。このような金属焼結体は、焼結密度も特に高くなることが考えられ、また、耐候性、耐薬品性等の化学的特性にも優れたものになると考えられる。
さらには、本発明の粉末冶金用バインダー組成物を用いることにより、窒素含有量および炭素含有量も低く抑えることができる。具体的には、窒素含有量は1000ppm以下、好ましくは500ppm以下になることが期待され、炭素含有量は1500ppm以下、好ましくは800ppm以下になることが期待される。このような金属焼結体は、化学的特性が特に優れたものとなる。
なお、金属焼結体中の酸素含有量は、例えば、原子吸光分析装置、ICP発光分光分析装置、酸素窒素同時分析装置、炭素硫黄同時分析装置等により測定することができる。
また、炭化水素系樹脂の含有量が多過ぎると、成形体を脱脂する際に、一度に多量の炭化水素系樹脂が分解されることとなり、成形体に割れ等が発生する。そこで、本発明では、ワックスと炭化水素系樹脂の存在比を上記の範囲に最適化した。これにより、脱脂の際の昇温過程において、ワックスと炭化水素系樹脂とが順次溶融、分解されるため、成形体に割れ等を発生させることなく、これらの成分を効率よく除去することができる。その結果、割れ等の発生を防止して寸法精度の高い焼結体を製造することができる。
また、ワックスの含有量に対する炭化水素系樹脂の含有量について、前記下限値を下回ると、ワックスに対して炭化水素系樹脂の量が少なくなり、やはり焼結体の寸法精度が低下する。
なお、炭化水素系樹脂の含有量は、前述したように、質量比で、ワックスの含有量の1倍以上2倍以下とされるが、好ましくは1.2倍以上1.8倍以下とされる。
また、粉末冶金用バインダー組成物には、上述した成分の他に、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸のような高級脂肪酸、ステアリン酸アミド、スパルミン酸アミド、オレイン酸アミドのような高級脂肪酸アミド、ステアリンアルコール、エチレングリコールのような高級アルコール、パーム油のような脂肪酸エステル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルのようなフタル酸エステル、アジピン酸ジブチルのようなアジピン酸エステル、セバシン酸ジブチルのようなセバシン酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリプロピレンカーボネート、エチレンビスステアロアミド、アルギン酸ソーダ、寒天、アラビアゴム、レジン、しょ糖、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等を含んでいてもよい。
このうち、例えばフタル酸エステル、アジピン酸エステルまたはセバシン酸エステルの含有量は、質量比で、ワックスの含有量の20%以上80%以下であるのが好ましく、30%以上70%以下であるのがより好ましい。このようなエステルを前記範囲内で含むことにより、粉末冶金用バインダー組成物の粘度を確実に下げることができる。その結果、特に粉末冶金用コンパウンドを射出成形する際に、コンパウンドの流動性および充填性が向上し、寸法精度の高い成形体を製造することができる。
また、粉末冶金用バインダー組成物中におけるこれらのエステルの含有量は、5質量%以上40質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上30質量%以下であるのがより好ましい。
さらに、粉末冶金用バインダー組成物中には、必要に応じて、酸化防止剤等の添加物を添加するようにしてもよい。
(コンパウンド)
本発明の粉末冶金用コンパウンドは、金属粉末と、本発明の粉末冶金用バインダー組成物とを混練してなるものであるが、金属粉末とバインダー組成物との混合比は、金属粉末100重量部に対して、バインダー組成物1重量部以上30重量部以下程度とするのが好ましく、3重量部以上20重量部以下程度とするのがより好ましい。これにより、コンパウンドには十分な流動性が付与され、成形型の形状が確実に転写されるとともに、得られた成形体には十分な保形性が付与されるので、転写された形状を確実に保持することができる。その結果、最終的には、焼結密度が高くかつ寸法精度の高い焼結体が得られる。
金属粉末と本発明の粉末冶金用バインダー組成物との混練には、例えば、加圧または双腕ニーダー式混練機、ロール式混練機、バンバリー型混練機、1軸または2軸押出機等の各種混練機を用いることができる。
混練条件は、用いる金属粉末の粒径、金属粉末とバインダー組成物との混合比等の諸条件により異なるが、その一例を挙げると、混練温度:50〜200℃、混練時間:15〜210分とすることができる。
<焼結体の製造方法>
以下、焼結体の製造方法の一例について説明する。
焼結体の製造方法は、本発明の粉末冶金用コンパウンドを所望の形状に成形する成形工程と、得られた成形体を脱脂する脱脂工程と、得られた脱脂体を焼成する焼成工程とを有する。以下、各工程について順次説明する。
(成形工程)
まず、上述したような本発明の粉末冶金用コンパウンドを用いて、成形を行う。これにより、所望の形状、寸法の成形体を製造する。
成形方法としては、例えば、射出成形、圧縮成形、押出成形等が挙げられるが、ここでは、射出成形法により成形体を製造する場合について説明する。
成形に先立って、粉末冶金用コンパウンドには、必要に応じてペレット化処理を施すようにしてもよい。ペレット化処理は、ペレタイザー等の粉砕装置を用い、コンパウンドを粉砕する処理である。これにより得られたペレットは、平均粒径が1mm以上10mm以下程度とされる。
次いで、得られたペレットを射出成形機に投入し、成形型に射出して成形する。これにより、成形型の形状が転写された成形体が得られる。
なお、製造される成形体の形状寸法は、以後の脱脂および焼結による収縮分を見込んで決定される。
また、得られた成形体に対して、必要に応じ、機械加工、レーザー加工等の後加工を施すようにしてもよい。
(脱脂工程)
次に、得られた成形体に対して脱脂処理を施す。これにより、成形体中に含まれる粉末冶金用バインダー組成物を除去(脱脂)して、脱脂体が得られる。
この脱脂処理は、特に限定されないが、非酸化性雰囲気中、例えば真空または減圧状態下(例えば1×10−6Torr以上1×10−1Torr以下(1.33×10−4Pa以上13.3Pa以下))、または、窒素ガス、アルゴンガス等のガス中で、熱処理を行うことによりなされる。
また、脱脂工程(熱処理)における処理温度は、特に限定されないが、100℃以上750℃以下であるのが好ましく、150℃以上700℃以下であるのがより好ましい。
また、脱脂工程(熱処理)における処理時間(熱処理時間)は、0.5時間以上20時間以下であるのが好ましく、1時間以上10時間以下であるのがより好ましい。
また、このような熱処理による脱脂は、種々の目的(例えば、脱脂時間の短縮等の目的)で、複数の工程(段階)に分けて行ってもよい。この場合、例えば、前半を低温で、後半を高温で脱脂するような方法や、低温と高温を繰り返し行う方法等が挙げられる。
また、上記のような脱脂処理後に、得られた脱脂体に対して、例えば、ばり取りや、溝等の微小構造の形成等の目的で、各種後加工を施してもよい。
なお、粉末冶金用バインダー組成物は、脱脂処理によって成形体から完全に除去されなくてもよく、例えば、脱脂処理の完了時点で、その一部が残存していてもよい。
(焼成工程)
次に、脱脂処理が施された脱脂体を焼成する。これにより、脱脂体が焼結し、焼結体(本発明の焼結体)が得られる。
焼成条件は、特に限定されないが、非酸化性雰囲気中、例えば真空または減圧状態下(例えば1×10−6Torr以上1×10−2Torr以下(1.33×10−4Pa以上133Pa以下))、または、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス中で、熱処理を行うことによりなされる。これにより、金属粉末が酸化してしまうのを防止することができる。
また、焼成する際には、金属粉末と同種の金属材料で構成された容器内に脱脂体を入れ、その状態で焼成するのが好ましい。これにより、脱脂体中の金属成分が揮発し難くなるため、最終的に得られる焼結体の金属組成が目的とする組成から変化してしまうのを防止することができる。これは、容器からも、脱脂体中の金属成分と同種の金属成分が揮発するため、脱脂体の周囲の金属成分の濃度が高くなり、脱脂体中の金属成分が揮発し難くなるからであると推察される。
用いる容器は、密閉構造のものではなく、適度な孔または隙間を有するものが好ましい。これにより、容器内と容器外の雰囲気を同一にして、容器内の雰囲気が意図しないものに変化するのを防止することができる。
また、容器と脱脂体との間は、できるだけ密着することなく、十分な隙間を有しているのが好ましい。
なお、焼成工程を行う雰囲気は、工程の途中で変化してもよい。例えば、最初に減圧雰囲気とし、途中で不活性雰囲気に切り替えるようにしてもよい。
焼成工程は、2段階またはそれ以上に分けて行ってもよい。これにより、焼結の効率が向上し、より短い焼成時間で焼成を行うことができる。
また、焼成工程は、前述の脱脂工程と連続して行うのが好ましい。これにより、脱脂工程は、焼結前工程を兼ねることができ、脱脂体に予熱を与えて、脱脂体をより確実に焼結させることができる。
焼成温度は、金属粉末の種類に応じて適宜設定されるが、チタン合金粉末の場合、1000〜1400℃であるのが好ましく、1050〜1260℃であるのがより好ましい。本発明の粉末冶金用コンパウンドを用いることにより、上述したような比較的低温の焼成温度であっても、十分に高密度の焼結体を得ることができる。
また、焼成時間は、0.5時間以上20時間以下であるのが好ましく、1時間以上15時間以下であるのがより好ましい。
また、このような焼成工程は、種々の目的(例えば、焼成時間の短縮等の目的)で、複数の工程(段階)に分けて行ってもよい。この場合、例えば、前半を低温で、後半を高温で焼成するような方法や、低温と高温を繰り返し行う方法等が挙げられる。
また、上記のような焼成工程後に、得られた焼結体に対して、例えば、ばり取りや、溝等の微小構造の形成等の目的で、機械加工、放電加工、レーザー加工、エッチング等を施してもよい。
なお、得られた焼結体には、必要に応じて、HIP処理(熱間等方加圧処理)等を施すようにしてもよい。これにより、焼結体のさらなる高密度化を図ることができる。
HIP処理の条件としては、例えば、温度が850℃以上1100℃以下、時間が1時間以上10時間以下とされる。
また、加圧圧力は、50MPa以上であるのが好ましく、100MPa以上であるのがより好ましい。
上記のようにして得られた焼結体は、いかなる目的で用いられるものであってもよく、その用途としては、各種構造部品、各種医療用構造体等が挙げられる。このうち、医療用構造体としては、例えば、人工骨、人工歯根等の補填材が挙げられる。医療用構造体に用いる場合、金属粉末としては特にチタン系粉末が好ましく用いられる。チタンは、生体親和性が高いため、骨細胞との癒着が容易に行える。その結果、医療用構造体を適用した患部の早期の機能回復が期待できる。
また、焼結体の焼結密度および延性を高めるとともに、酸素含有量を抑えることは、構造部品や医療用構造体のように長期にわたって荷重が加わる用途において、疲労強度の向上に寄与する。
加えて、焼結体が高い延性を有していると、例えば医療用構造体を患部に適用する際に、施術者が患部の形状に合わせて医療用構造体の形状を手で調整することも可能になるため、施術が容易になるという利点もある。
また、得られる焼結体の相対密度は、例えば、95%以上、好ましくは96%以上となることが期待される。このような焼結体は、焼結密度が高く、かつ延性および寸法精度に優れたものとなる。
また、焼結体の引張強度は、例えば金属粉末としてチタン合金粉末を用いた場合、900MPa以上になることが期待される。さらには、焼結体の0.2%耐力は、例えば金属粉末としてチタン合金粉末を用いた場合、750MPa以上になることが期待される。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.焼結体の製造
(実施例1)
まず、ガスアトマイズ法により製造された平均粒径17μmのTi合金粉末(粉末No.1)を用意した。なお、用いたTi合金粉末の組成は、Ti−6Al−4Vである。また、Ti合金粉末の粒径の体積基準の累積分布における小径側から10%累積時の粒径D10、50%累積時の粒径D50(平均粒径)、および90%累積時の粒径D90を、レーザー回折方式の粒度分布測定装置(マイクロトラック、日機装株式会社製、HRA9320−X100)により測定した。測定値を表1に示す。
Figure 2012007212
次いで、表2に示す組成の粉末冶金用バインダー組成物と、Ti合金粉末とを混合し、加圧ニーダー(混練機)にて100℃×60分の条件で混練した。この混練は、窒素雰囲気中で行った。なお、バインダー組成物とTi合金粉末との混合比を表1に示す。
次に、得られた混練物をペレタイザーにより粉砕して、平均粒径5mmのペレットを得た。
次いで、得られたペレットを用い、材料温度:130℃、射出圧力:10.8MPa(110kgf/cm)という成形条件で、射出成形機にて成形を行った。これにより、成形体を得た。なお、成形体の形状は、焼結後に20mm×20mmの立方体となる形状とした。
次に、成形体に対して、温度:450℃、時間:1時間、雰囲気:窒素ガス(大気圧)という脱脂条件で脱脂処理を施した。これにより、脱脂体を得た。
次に、脱脂体に対して、温度:600℃で昇温を開始し1100℃まで昇温、時間:3時間、雰囲気:アルゴン減圧という焼成条件で焼成処理を施した。これにより、焼結体を得た。
(実施例2〜13)
粉末冶金用バインダー組成物として、表2に示す組成のものを用いるようにした以外は、それぞれ実施例1と同様にして焼結体を得た。
(実施例14〜16)
ガスアトマイズ法により製造された平均粒径24μmのTi合金粉末(粉末No.2)を用い、粉末冶金用バインダー組成物として表3に示す組成のものを用いるようにした以外は、それぞれ実施例1と同様にして焼結体を得た。なお、用いたTi合金粉末の粒径の体積基準の累積分布における小径側から10%累積時の粒径D10、50%累積時の粒径D50(平均粒径)、および90%累積時の粒径D90の測定値をそれぞれ表1に示す。
(実施例17、18)
焼成時の最高温度を、1300℃および1450℃にそれぞれ変更し、粉末冶金用バインダー組成物として、表4に示す組成のものを用いるようにした以外は、それぞれ実施例2と同様にして焼結体を得た。
(実施例19)
焼成時に、脱脂体を収納する容器(脱脂体収納容器)を使用しなかった以外は、実施例2と同様にして焼結体を得た。
(比較例1〜4)
Ti合金粉末として粉末No.1を用い、粉末冶金用バインダー組成物として表2に示す組成のものを用いるようにした以外は、それぞれ実施例1と同様にして焼結体を得た。
(比較例5〜7)
Ti合金粉末として粉末No.2を用い、粉末冶金用バインダー組成物として表3に示す組成のものを用いるようにした以外は、それぞれ実施例1と同様にして焼結体を得た。
2.焼結体の評価
2.1 焼結密度の評価
各実施例および各比較例で得られた焼結体について、アルキメデス法(JIS Z 2501に規定)に準じた方法により密度を測定した。また、測定された焼結密度と、金属粉末の真密度から、焼結体の相対密度を算出した。
2.2 伸びの評価
各実施例および各比較例で得られた焼結体について、その伸びを測定した。なお、伸びの測定は、JIS Z 2241に規定の金属材料引張試験方法に準じて行った。
2.3 酸素含有量の測定
各実施例および各比較例で得られた焼結体について、その酸素含有量および窒素含有量を酸素窒素同時分析装置(LECO社製、TC−136)により測定し、炭素含有量を炭素硫黄同時分析装置(LECO社製、CS−200)により測定した。
2.4 寸法精度の評価
各実施例および各比較例で得られた焼結体について、その幅寸法をマイクロメーターで測定した。そして、測定値について、JIS B 0411(金属焼結品の普通許容差)に規定の「幅の普通許容差」に基づき、以下の評価基準に基づいて評価した。
なお、焼結体の幅とは、プレス成形時の圧縮方向と直交する方向の寸法である。
<評価基準>
◎:等級が精級である(許容差±0.1mm以下)
○:等級が中級である(許容差±0.1mm超±0.2mm以下)
△:等級が並級である(許容差±0.2mm超±0.5mm以下)
×:許容外である
以上、2.1〜2.4の評価結果を表2〜4に示す。
Figure 2012007212
Figure 2012007212
表2、3から明らかなように、各実施例で得られた焼結体は、いずれも、各比較例で得られた焼結体に比べて、酸素含有量が低く、焼結密度が高いことが認められた。また、各実施例で得られた焼結体は、いずれも、各比較例で得られた焼結体に比べて伸びが大きいことも認められた。このことから、各実施例で得られた焼結体は、機械的特性、とりわけ延性に優れていることが認められた。
また、各実施例および各比較例で得られた焼結体について寸法精度を比較したところ、各実施例で得られた焼結体は高い寸法精度を有することが認められた。
Figure 2012007212
また、表4から明らかなように、焼成温度1100℃まで下げても十分に高密度の焼結体を製造可能であることが認められた。また、低温で焼成することにより、酸素含有量を下げることもできた。
さらには、脱脂体収納容器を用いることで、焼結密度を高めるとともに、酸素含有量が抑えられることも認められた。
なお、表には示していないが、Ti合金粉末に代えてステンレス鋼粉末(SUS316L粉末)についても、上記各実施例および各比較例と同様にして焼結体を製造した。その結果、Ti合金粉末の場合と同様、各実施例で得られた焼結体では、酸素含有量が低く、焼結密度が高いことが認められ、さらには、延性および寸法精度の向上も認められた。

Claims (14)

  1. 炭化水素系樹脂とワックスとを含む粉末冶金用バインダー組成物であって、
    前記炭化水素系樹脂の含有量が、質量比で、前記ワックスの含有量の1倍以上2倍以下であり、
    当該粉末冶金用バインダー組成物中の酸素含有量が、20質量%以下であることを特徴とする粉末冶金用バインダー組成物。
  2. さらに、環状エーテル基を含む単量体と、この単量体と共重合可能なモノマーとを、共重合してなるコポリマーを含む請求項1に記載の粉末冶金用バインダー組成物。
  3. 炭化水素系樹脂とワックスとを含む粉末冶金用バインダー組成物と、金属粉末と、を含み、
    前記炭化水素系樹脂の含有量が、質量比で、前記ワックスの含有量の1倍以上2倍以下であり、
    前記粉末冶金用バインダー組成物中の酸素含有量が、20質量%以下であることを特徴とする粉末冶金用コンパウンド。
  4. 前記粉末冶金用バインダー組成物は、さらに、環状エーテル基を含む単量体と、この単量体と共重合可能なモノマーとを、共重合してなるコポリマーを含んでおり、
    前記粉末冶金用バインダー組成物における前記コポリマーの含有量が、質量比で、前記ワックスの10%以上100%以下である請求項3に記載の粉末冶金用コンパウンド。
  5. 前記環状エーテル基は、エポキシ基である請求項4に記載の粉末冶金用コンパウンド。
  6. 前記モノマーは、エチレンモノマーおよび酢酸ビニルモノマーである請求項4または5に記載の粉末冶金用コンパウンド。
  7. 前記炭化水素系樹脂の重量平均分子量は、1万以上10万以下である請求項3ないし6のいずれかに記載の粉末冶金用コンパウンド。
  8. 前記炭化水素系樹脂は、ポリオレフィン樹脂およびポリスチレン樹脂である請求項3ないし7のいずれかに記載の粉末冶金用コンパウンド。
  9. 前記粉末冶金用バインダー組成物における前記炭化水素系樹脂の含有量は、15質量%以上50質量%以下である請求項3ないし8のいずれかに記載の粉末冶金用コンパウンド。
  10. 前記ワックスの重量平均分子量は、100以上1万未満である請求項3ないし9のいずれかに記載の粉末冶金用コンパウンド。
  11. 前記ワックスは、パラフィンワックスである請求項3ないし10のいずれかに記載の粉末冶金用コンパウンド。
  12. 前記粉末冶金用バインダー組成物における前記ワックスの含有量は、10質量%以上50質量%以下である請求項3ないし11のいずれかに記載の粉末冶金用コンパウンド。
  13. 前記金属粉末は、チタン粉末またはチタン合金粉末である請求項3ないし12のいずれかに記載の粉末冶金用コンパウンド。
  14. 請求項3ないし13のいずれかに記載の粉末冶金用コンパウンドが成形され、焼結してなることを特徴とする焼結体。
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