JP2012006169A - 特殊潜像模様形成体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、銀行券、旅券、有価証券、商品タグ及び各種証明書等に偽造、複製の防止用として施す特殊潜像模様形成体に関するものである。
【解決手段】 基材上に、所定のピッチで凸状万線を複数配置し、更に凸状万線上に、第一の要素及び第二の要素を配置することで、基材に対して斜めに、例えば、上方から観察すると第一のカラー画像が観察でき、反対に例えば下方から観察すると、第二のカラー画像が観察でき、更に、正面から観察すると、第三のカラー画像が観察可能な特殊潜像模様形成体である。
【選択図】 図1
【解決手段】 基材上に、所定のピッチで凸状万線を複数配置し、更に凸状万線上に、第一の要素及び第二の要素を配置することで、基材に対して斜めに、例えば、上方から観察すると第一のカラー画像が観察でき、反対に例えば下方から観察すると、第二のカラー画像が観察でき、更に、正面から観察すると、第三のカラー画像が観察可能な特殊潜像模様形成体である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、銀行券、旅券、有価証券、商品タグ、各種証明書等に偽造、複製の防止用として施す特殊潜像模様形成体に関するものである。
銀行券、旅券、有価証券等の貴重印刷物は、その性質上、偽造や改竄されにくいことが要求される。この防止策として、貴重印刷物上に印刷により微細な画線や微小文字等を付与し、その有無により真偽判別を行う等の技術が公知である。しかしながら、近年、複写機の高機能化及び高画質化によって、以前は複製が難しかった微細な画線等が複製及び再現された貴重印刷物の偽造製品が出回り、深刻な問題となっている。
このような技術的背景において、本出願人が先に出願した特許文献1には、基材上に所定のピッチで凹凸形状を形成し、凹凸形状の位相を一部異ならせることでレリーフ模様を付与し、更に、その上に印刷万線模様を付与することにより潜像模様が形成された印刷物が開示されている。作製した印刷物は、正面から観察すると一定な間隔を持つ印刷万線模様が視認され、基材を傾けると、レリーフ模様と同じ単色の潜像模様が視認可能となる。
また、特許文献2には、基材上に所定のピッチで部分的に色が変化した二色印刷万線と、色変化の無い一色印刷万線とを隙間なく配置し、更に、印刷万線と同ピッチの背景エンボス領域と、背景エンボス領域とピッチを1/2ピッチ異ならせることで形成した潜像エンボス領域とを付与することにより潜像模様が形成された印刷物が開示されている。作製した印刷物は、正面から観察すると、二色印刷万線の部分的に色が変化した個所で形成された模様が視認され、基材を傾けることで、潜像エンボス領域により形成された潜像模様が視認可能となる。
さらに、本出願人が先に出願した特許文献3には、潜像模様を、濃淡の階調を有するカラー画像として視認可能な印刷物が開示されている。基材上にカラー画像の色要素となる複数の色、例えば、イエロー、マゼンタ及びシアンの単色カラー印刷万線と、各々の印刷万線の色に対応した凹凸形状を形成し、各々凹凸形状を、印刷万線と関連づけて、高さ、形状及び配置を変化させることで潜像模様を付与している。印刷物は、観察角度を変化することによって、印刷万線が凹凸形状の影となり、部分的に欠けて見えることで、カラー画像である潜像模様が視認可能となる。
しかしながら、特許文献1において開示された印刷物は、基材上に形成した凹凸形状の位相を一部異ならせることでレリーフ模様を付与している。そのため、位相を異ならせることが可能な程度に、凹凸形状のピッチを広めに設定する必要があり、緻密なレリーフ模様を表現することができない。また、正面から観察した際には印刷万線模様のみが視認され、潜像画像は隠蔽されているが、傾けることで、印刷万線模様が隠蔽され、潜像画像のみが出現する。そのため、より良い効果を有する印刷物、例えば観察条件を変えることで出現する画像が複数である印刷物が得られるよう、更に改善の余地がある。
また、特許文献2において開示された印刷物は、基材を傾けることで視認可能となる潜像模様を潜像エンボス領域により形成している。そのため、特許文献1と同様に、潜像エンボス領域を形成することが可能な程度に、凹凸形状のピッチを広めに設定する必要があり、緻密な潜像模様を表現することができない。さらに、印刷物は、基材上に所定のピッチで部分的に色が変化した二色印刷万線と、色変化の無い一色印刷万線とを隙間なく配置しており、部分的に色が変化した二色印刷万線のみを用いて形成する構成については、一切記載がない。仮に、二本の万線を二色印刷万線とした場合においては、正面から画像を視認する際や、傾けて潜像画像を視認する際に、双方の画像がノイズとなるため、特許文献2の効果を有する印刷物を得ることができない。
さらに、特許文献3において開示された印刷物は、各々凹凸形状を、印刷万線と関連づけて、高さ、形状及び配置を変化させることで潜像模様を付与している。そのため、複雑な凹凸形状に対して、精密な位置関係で印刷万線を形成する必要があることから複製が極めて困難であり、従来の印刷物と比較して非常に偽造防止効果が高い。反面、更に簡易な作製方法で、同様の効果を有する印刷物、つまり傾けることでカラー画像である潜像模様が得られるよう、更に改善の余地がある。
本発明は、上記課題の解決を目的とするものであり、具体的には、基材上に形成した凹凸形状と、印刷万線を用いて、従来よりも簡易な作製方法により、かつ、緻密な凹凸形状によって、傾けることでカラー画像が三種類以上出現する印刷物を提供することにある。
前述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、基材上における少なくとも一部に凸状万線が形成され、凸状万線の側部に第一の要素及び第二の要素が複数配置されて第一の画像、第二の画像及び第三の画像が形成された潜像模様形成体であって、凸状万線は、各々が第一の側部及び第二の側部を有して配置され、第一の要素は、第一の側部に複数配置され、基材とは異なる第一の色及び第二の色により第一の模様要素部と第一の背景要素部に区分けされ、第一の模様要素部により形成された第一の模様部と第一の背景要素部により形成された第一の背景部から第一の画像が形成され、第二の要素は、第二の側部に複数配置され、第二の色及び第一の色により第二の模様要素部と第二の背景要素部に区分けされ、第二の模様要素部により形成された第二の模様部と第二の背景要素部により形成された第二の背景部から第二の画像が形成され、第一の模様部と第二の模様部により第三の模様部が形成され、第一の背景部と第二の背景部により第三の背景部が形成され、第三の模様部及び第三の背景部により第三の画像が形成され、第一の画像は、基材に対して第一の観察角度から視認可能な画像であり、第二の画像は、基材に対して第二の観察角度から視認可能な画像であり、第三の画像は、基材に対して第三の観察角度から視認可能な画像であることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の特殊潜像模様形成体において、第一の模様要素部及び第二の模様要素部は、少なくとも一部が一つの凸状万線に対応して配置され、対応して配置された第一の模様要素部及び第二の模様要素部により、第一の模様部及び第二の模様部が重複した領域が形成され、重複した領域は、第三の観察角度において、第一の色及び第二の色が混色して視認されることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項2記載の特殊潜像模様形成体において、第一の模様要素部及び第二の模様要素部と、第一の背景要素部及び第二の背景要素部は、各々の凸状万線において、すべて同じ位置及び同じ長さにより対応して配置されたことで、第一の模様部及び第二の模様部と、第一の背景部及び第二の背景部は、すべてが重複した領域に形成され、かつ、第一の画像、第二の画像及び第三の画像は、形状及び大きさが同一であることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項記載の特殊潜像模様形成体において、第一の要素又は第二の要素は、画線、複数の点が同一方向に配置された点群又は複数の画素が同一方向に配置された画素群の少なくとも一つから成ることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項4記載の特殊潜像模様形成体において、第一の要素又は第二の要素が画線の場合、各画線において、直線、波線及び破線の少なくとも一つから成ることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項記載の特殊潜像模様形成体において、一つの要素内において、画線、複数の点又は画素の少なくとも二種類以上を組み合わせて同一方向に配置されたことを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項記載の特殊潜像模様形成体において、一つの要素内において、画線、複数の点又は画素の少なくとも二種類以上を組み合わせて同一方向に配置されたことを特徴とする。
さらに、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか一項記載の特殊潜像模様形成体において、凸状万線は、凹版印刷、スクリーン印刷、エンボス、すき入れ又はレーザ加工により基材上に形成されたことを特徴とする。
以上のような構成の本発明に係る印刷物は、基材に対して斜めに、例えば、上方から観察すると第一のカラー画像が観察でき、反対に、例えば、下方から観察すると、第二のカラー画像が観察でき、更に、正面から観察すると、第三のカラー画像が観察可能となる。また、本発明の基材に形成した凹凸形状は、レリーフ模様を有しないことから、位相を異ならせる必要が無い。そのことから、凹凸形状のピッチを狭く設定することが可能であり、従来よりも緻密な潜像模様をカラー画像として形成することが可能となる。
本発明の実施形態について図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他色々な形態が実施可能である。
図1は、本発明における特殊潜像模様形成体(以下、「形成体」という。)を示す平面図の一例である。図1(a)は、本発明の形成体が付与された偽造防止印刷物(S)の一例として、商品券を示す平面図である。偽造防止印刷物(S)は、紙、プラスチックカード等の基材(2)上に、店舗名、券種等が、シアン、マゼンタ等の一般的に用いられるインキにより付与されている。偽造防止印刷物(S)には、少なくとも一部に形成体(1)が付与されている。形成体(1)は、カラー画像として凸状万線(3)及び一般的に用いられるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)等の印刷万線により形成している。
図1(b)、図1(c)及び図1(d)は、図1(a)に示した形成体(1)における拡大図である。図1(a)に示した形成体(1)には、図1(b)に示す第一の画像(7)及び図1(c)に示す第二の画像(8)と、更に、図1(d)に示す、第一の画像(7)及び第二の画像(8)を合成した第三の画像(9)が形成されている。
図1(b)に示した第一の画像(7)は、第一の模様部(7a)及び第一の背景部(7b)から成る。第一の模様部(7a)は、基材(2)とは異なる第一の色で形成され、第一の背景部(7b)は、基材(2)及び第一の色とは異なる第二の色で形成される。
図1(c)に示した第二の画像(8)は、第二の模様部(8a)及び第二の背景部(7b)から成る。第二の模様部(8a)は、第二の色で形成され、第二の背景部(8b)は、第一の色で形成される。
図1(d)に示した第三の画像(9)は、第三の模様部(9a)及び第三の背景部(9b)から成る。第三の模様部(9a)及び第三の背景部(9b)を形成する色については、後述する。
形成体(1)に各画像を形成することで、一定の観察角度においては、図1(b)、図1(c)及び図1(d)にて示す、いずれか一つの画像しか視認することができないが、観察角度を変化させることで、その観察角度ごとに、異なる画像を視認することが可能となる。
図2は、本発明における形成体(1)が形成された基材(2)を、可視光源下で観察した際の視点(E1、E2、E3)及び基材(2)の位置関係を示す図である。なお、凸状万線(図示せず)は、基材(2)表面上における第一の方向(X)に配置されている。
異なる画像を視認することが可能な観察角度とは、基材(2)に対して、下方、上方及び正面から観察した際の観察角度である。本発明においては、基材(2)に対して、視点が(E1)に示す位置関係にあるとき、下方(以下、「第一の観察角度(E1)」という。)から観察したこととし、視点が(E2)に示す位置関係にあるとき、上方(以下、「第二の観察角度(E2)」という。)から観察したこととし、更に、視点が(E3)に示す位置関係にあるとき、正面(以下、「第三の観察角度(E3)」という。)で観察したこととする。
異なる画像を視認することが可能な観察角度とは、基材(2)に対して、下方、上方及び正面から観察した際の観察角度である。本発明においては、基材(2)に対して、視点が(E1)に示す位置関係にあるとき、下方(以下、「第一の観察角度(E1)」という。)から観察したこととし、視点が(E2)に示す位置関係にあるとき、上方(以下、「第二の観察角度(E2)」という。)から観察したこととし、更に、視点が(E3)に示す位置関係にあるとき、正面(以下、「第三の観察角度(E3)」という。)で観察したこととする。
図1(a)に示した形成体(1)は、基材(2)に対して第一の観察角度(E1)から観察すると、図1(b)に示す、第一の画像(7)が視認でき、また、第二の観察角度(E2)から観察すると、図1(c)に示す第二の画像(8)が視認可能である。更に、第三の観察角度(E3)から観察すると、図1(d)に示す、第一の画像(7)及び第二の画像(8)を合成した第三の画像(9)を視認することが可能である。なお、形成体(1)を構成する要素構成については後述する。
(本発明における本要素構成の第一実施形態)
図3(a)は、本発明における形成体(1)を構成する本要素構成の第一実施形態(以下、「第一要素構成」という。)を示す模式図である。図3(a)に示すように、基材(2)上における少なくとも一部に、凸状万線(3)が形成されている。凸状万線(3)は、第一の方向(X)に第一のピッチ(d)で配置されている。凸状万線(3)における第一のピッチ(d)とは、印刷方式、用いる基材(2)等を考慮して適宜設定されるものであるが、例えば、300〜1000μmである。
図3(a)は、本発明における形成体(1)を構成する本要素構成の第一実施形態(以下、「第一要素構成」という。)を示す模式図である。図3(a)に示すように、基材(2)上における少なくとも一部に、凸状万線(3)が形成されている。凸状万線(3)は、第一の方向(X)に第一のピッチ(d)で配置されている。凸状万線(3)における第一のピッチ(d)とは、印刷方式、用いる基材(2)等を考慮して適宜設定されるものであるが、例えば、300〜1000μmである。
凸状万線(3)は、基材(2)上に、凹版印刷、スクリーン印刷、エンボス、すき入れ、レーザ加工等により形成する。凹版印刷、スクリーン印刷等による凸状万線(3)の形成は、基材(2)に対して、凹版印刷又はスクリーン印刷等、所望の印刷方法に適した版面及びインキを用いて印刷を行い、インキの盛りにより凸形状を形成し、その凸形状を凸状万線(3)とする。
エンボスによる凸状万線(3)の形成は、所望の凸状万線(3)の大きさに合わせた、凹型及び凸型を用いて、基材(2)を、凹型及び凸型で挟み込み圧力を加えることで、基材(2)上に、凹形状(基材(2)に対して、凹ませる)又は凸形状(基材(2)に対して、突起させる)を形成し、その凹形状又は凸形状を凸状万線(3)とする。なお、凹形状においては、前述の通り、基材(2)の一部を凹ませることで凸状万線(3)を形成することとなるが、本発明においては、総称して凸状万線(3)と呼ぶ。
すき入れによる凸状万線(3)の形成は、基材(2)を紙とした際に、製造装置である抄紙機上における、ダンディロール部、円網部、プレスパート部等において、紙の原材料で(紙料)を排除(凹部)又は増加(凸部)することで形成する。なお、凹部においては、前述の通り、紙料を排除することで凸状万線(3)を形成することとなるが、本発明においては、総称して凸状万線(3)と呼ぶ。
レーザ加工等により凸状万線(3)の形成は、基材(2)の一部を、所望のレーザ加工装置を用いて、レーザ除去することにより形成する。つまり、基材(2)の一部に凹部を形成することで凸状万線(3)を形成することとなるが、本発明においては、作製方法に関わらず、総称して凸状万線(3)と呼ぶ。
凸状万線(3)を印刷により基材(2)に形成する場合において、透明インキを用いることは好ましくない。透明インキを用いると、後述するが、凸状万線(3)により各々の要素が遮蔽することで画像が出現するという効果は生じなくなる。しかしながら、顔料、染料等が混入された有色透明インキについては、各々の要素を遮蔽する効果が生じるものもあることから、適宜選択するものとする。
なお、図3(a)において、第一の観察角度(E1)から視認した場合の凸状万線(3)の形状は、直線状の直万線としているが、波線状の波万線とすることも可能である。
図3(b)は、本発明における図3(a)に示した基材(2)を、D−D’部分で第一の方向(X)に切断した断面図である。図3(b)に示すように、基材(2)における底部(12)から、垂直する方向に高さを有する凸状万線(3)を形成する。第一の方向(X)に第一のピッチ(d)で複数配置された凸状万線(3)は、各々が第一の側部(4)、第二の側部(5)及び頂上部(6)を有している。第一の側部(4)及び第二の側部(5)は、第一の方向(X)と垂直する方向に対して、頂上部(6)を中心に対となるように対応した関係である。
前述した第一の観察角度(E1)から観察した場合、凸状万線(3)における第一の側部(4)は、隣り合う凸状万線(3)の影となることなく観察可能である。一方、第二の側部(5)は、隣り合う凸状万線(3)の影となり、視認することができない。また、第二の観察角度(E2)から観察した場合、凸状万線(3)における第二の側部(5)は、隣り合う凸状万線(3)の影となることなく観察可能である。一方、第一の側部(4)は、隣り合う凸状万線(3)の影となり、視認することができない。さらに、第三の観察角度(E3)から観察した場合、凸状万線(3)における第一の側部(4)及び第二の側部(5)は、隣り合う凸状万線(3)の影となることなく観察可能である。
図4は、本発明における凸状万線(3)の形状を示す断面図である。凸状万線(3)の断面形状は、図3(b)において示した台形状に限定されず、図4に示した各種の形状とすることが可能である。例えば、図4(a)に示すように、凸状万線(3)の断面形状は、図3(b)と同一形状だが、それぞれの凸状万線(3)のピッチである第一のピッチ(d)を狭くしても良い。なお、第一のピッチ(d)を狭くすることで、図4(a)及び後述する図4(c)に示すように、基材(2)から凸状万線(3)が隆起する際の底部(12)を、面状ではなく点状とすることも可能である。
また、図4(b)に示すように、非対称形状や、図4(c)、図4(d)及び図4(e)に示すように、凸状万線(3)における頂上部(6)を、面状ではなく点状とすることも可能であり、更には、図4(f)及び図4(g)に示すように、半円状としても良い。半円状とした場合の第一の側部(4)及び第二の側部(5)は、頂上部(6)を中心として、一方を第一の側部(4)とし、他方を第二の側部(5)とする。
更には、図4(i)に示すように、凸状万線(3)の形状は、一つ一つが異なる形状とすることも可能であり、また、図4(j)に示すように、隣り合う一つの凸状万線(3)のピッチが一定でない構成とすることも可能である。その場合において、一つ一つのピッチは、300〜1000μmの範囲内とする。なお、ピッチを300〜1000μmの範囲内とする点については、後述する。
図5は、本発明における第一要素構成における形成体(1)を第一の方向(X)に切断した断面図であり、A−A’断面を示す図である。図5に示すように、基材(2)上において、凸状万線(3)における第一の側部(4)には、第一の要素(10)が複数配置される。第一の要素(10)は、第一の側部(4)に複数配置されることで、第一の画像(7)を形成する。前述の通り、第一の画像(7)とは、第一の観察角度(E1)において視認可能な画像である。そのことから、第一の要素(10)は、第一の観察角度(E1)において、隣り合う凸状万線(3)の影となることなく観察可能な、第一の側部(4)に複数配置する。
凸状万線(3)における第二の側部(5)には、第二の要素(11)が複数配置される。第二の要素(11)は、第二の側部(5)に複数配置されることで、第二の画像(8)を形成する。前述の通り、第二の画像とは、第二の観察角度(E2)において視認可能な画像である。そのことから、第二の要素(11)は、第二の観察角度(E2)において、隣り合う凸状万線(3)の影となることなく観察可能な、第二の側部(5)に複数配置する。
図6は、本発明における第一要素構成における第一の要素(10)を示す図である。図6(a)は、第一の画像(7)を示す平面図であり、図6(b)は、第一の要素(10)が付与された、一つの凸状万線(3)を拡大した模式図である。図6(b)において、実際には、第二の側部(5)に第二の要素(11)が配置されているが、本発明を詳細に説明する為に、省略している。なお、第二の要素(11)については、後述する。図6(b)に示す位置関係は、図6(c)に示すように、凸状万線(3)に付与した第一の要素(10)を、第三の観察角度(E3)から観察した際の拡大図である。
図6(b)に示すように、本発明における第一の要素(10)は、第一の模様要素部(10a)及び第一の背景要素部(10b)から成る。第一の模様要素部(10a)及び第一の背景要素部(10b)は、第一の要素(10)内において、各々の要素部(10a、10b)の色を変化させることで、区分けされる。
第一の模様要素部(10a)は、基材(2)とは異なる第一の色により形成する。第一の模様要素部(10a)は、第一の側部(4)に配置されることで、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)を形成する。第一の背景要素部(10b)は、基材(2)及び第一の模様部(10a)を形成した第一の色とは異なる第二の色により形成する。第一の背景要素部(10b)は、第一の側部(4)に配置されることで、第一の画像(7)における第一の背景部(7b)を形成する。
図7は、本発明における第一の要素(10)を、第一の模様要素部(10a)及び第一の背景要素部(10b)に区分けする模式図である。前述した図6(b)において、第一の模様要素部(10a)及び第一の背景要素部(10b)は、隣接して配置されているが、図7(a)に示すように、第一の模様要素部(10a)及び第一の背景要素部(10b)が、離れた領域を有する形態でも良い。また、図(7b)に示すように、第一の模様要素部(10a)及び第一の背景要素部(10b)が、一部重なった領域を有する形態でも良い。なお、図7(a)及び図7(b)いずれの形態とした場合においても、後述する第三の観察角度(E3)から観察可能な第三の画像(9)の視認性を低下させることのない範囲で、適宜離れた領域又は一部重なった領域の大きさを適宜設定する必要がある。
図8は、本発明における第一要素構成における第二の要素(11)を示す図である。図8(a)は、第二の画像(8)を示す平面図であり、図8(b)は、第二の要素(11)が付与された、一つの凸状万線(3)を拡大した模式図である。図8(b)において、実際には、第一の側部(4)に第一の要素(10)が配置されているが、本発明を詳細に説明する為に、省略している。図8(b)に示す位置関係は、図8(c)に示すように、凸状万線(3)に付与した第二の要素(11)を、第三の観察角度(E3)から観察した際の拡大図である。
図8(b)に示すように、本発明における第二の要素(11)は、第二の模様要素部(11a)及び第二の背景要素部(11b)から成る。第二の模様要素部(11a)及び第二の背景要素部(11b)は、第二の要素(11)内において、各々の要素部(11a、11b)の色を変化させることで、区分けされる。
第二の模様要素部(11a)は、第二の色により形成する。第二の模様要素部(11a)は、第二の側部(5)に配置されることで、第二の画像(8)における第二の模様部(8a)を形成する。第二の背景要素部(11b)は、第一の色により形成する。第二の背景要素部(11b)は、第二の側部(5)に配置されることで、第二の画像(8)における第二の背景部(8b)を形成する。
本発明において要素とは、画線や、複数の網点が同一方向に配置された網点群又は複数の画素が同一方向に配置された画素群のことである。図9は、本発明における要素の一例を示す図である。画線とは、例えば図9(a)に示す直線、図9(b)に示す破線、図9(c)に示す波線、図9(d)に示す破線状の波線である。画線幅は、一般的に60〜200μmが用いられる。網点とは、網目スクリーン、コンタクトスクリーン等により、印刷物上に構成された点である。網点及び後述する画素は、直線状又は波線状に複数配置されて、網点群又は画素群を形成する。網点群及びは画線群となることで、画線状に構成される。網点形状は、円形ドットに限定されるものではなく、ランダムドットや本出願人が先に出願した特開平11−268228号公報で提案している特殊網点生成法を用いて意匠性を加味した入力画像を網点(ハーフトーンスクリーン)から成る連続階調網点に変換した自由度のある特殊網点形状を用いても良い。
画素とは、図形、文字等の二次元画像を縦横の線で分割し、分割した最小単位のことである。画素形状としては、例えば、図9(e)に示すような円形状、図示していないが楕円形状、図9(f)に示す長方形等の四角形状、図9(g)に示す三角形状等の多角形状としてもよい。
画素は、図9(g)に示すように、角度を回転させて配列しても良い。また、図9(h)に示すように文字形状としてもよい。その際には、偽造防止効果を高めるために図9(h)のように、文字書体を異ならせて配列しても良い。図9(h)に示した文字形状は、一般的に微小文字又は特殊網点と呼ばれるが、本発明においては画素とする。更に、図9(i)及び図9(j)に示すように、一つの要素内において、画線、網点又は画素の少なくとも二種類以上を組み合わせて同一方向に配置しても良い。なお、第一実施形態については要素を画線として説明する。
図10は、本発明における第一要素構成における第一の要素(10)及び第二の要素(11)を示す図である。図10(a)は、第一の画像(7)及び第二の画像(8)の合成画像である第三の画像(9)を示す平面図であり、図10(b)は、第一の要素(10)及び第二の要素(11)が付与された、一つの凸状万線(3)を拡大した模式図である。図10(b)に示す位置関係は、図10(c)に示すように、凸状万線(3)に付与した第一の要素(10)及び第二の要素(11)を、第三の観察角度(E3)から観察した際の拡大図である。
前述の通り、第三の画像(9)は、第一の画像(7)及び第二の画像(8)の合成画像である。第一の画像(7)における第一の模様部(7a)及び第二の画像(8)における第二の模様部(8a)により、第三の画像(9)における第三の模様部(9a)が形成され、第一の画像(7)における第一の背景部(7b)及び第二の画像(8)における第二の背景部(8b)により、第三の画像(9)における第三の背景部(9b)が形成される。
つまり、第三の画像(9)においては、第一の画像(7)を形成する第一の模様部(7a)及び第一の背景部(7b)と、第二の画像(8)を形成する第二の模様部(8a)及び第二の背景部(8b)とが、それぞれ一部重複された領域を含んでいる。第一の要素構成における一部重複された領域は、図10(b)に示すように、少なくとも一部の各模様要素部同士又は各背景要素部同士が、一つの凸状万線(3)に対応して配置される。
図11は、本発明における第一の要素(10)、第二の要素(11)及び凸状万線(3)の位置関係を示す模式図である。図11(a)、図11(b)、図11(c)及び図11(d)に示す位置関係は、図11(e)に示すように、凸状万線(3)に付与した第一の要素(10)及び第二の要素(11)を、第三の観察角度(E3)から観察した際の拡大図である。本発明における対応して配置とは、一つの凸状万線(3)に、各模様要素部同士及び/又は各背景要素部同士が、凸状万線(3)の長手方向における中心に対して、向かい合うように配置していることを指す。
例として、第一の模様要素部(10a)及び第二の模様要素部(11a)が対応していた場合、図11(a)に示すように、一つの凸状万線(3)に配置した、第一の模様要素部(10a)及び第二の模様要素部(11a)が、凸状万線(3)の長手方向における中心に対して、向かい合うように配置している。図11(b)に示すように、向かい合う部分が一部であっても、本発明においては、対応して配置しているとする。
なお、図11(c)は、第一の模様要素部(10a)及び第二の模様要素部(11a)が、一つの凸状万線(3)において、すべて同じ位置及び同じ長さにより対応して配置した場合を示す模式図である。第一の模様要素部(10a)及び第二の模様要素部(11a)は、凸状万線(3)において、すべて同じ位置及び同じ長さにより対応して配置されたことで、前述した第一の模様部(7a)及び第二の模様部(8a)と、第一の背景部(7b)及び第二の背景部(8b)は、すべてが重複した領域に形成される。それにより、第一の画像(7)と、第二の画像(8)と、第一の画像(7)及び第二の画像(8)の合成画像である第三の画像(9)は、形状及び大きさが同一となる。
図11(d)は、第一の模様要素部(10a)及び第二の模様要素部(11a)が対応して配置していない場合を示す模式図である。
(本発明における第一実施形態の第一変形例)
図12は、本発明における形成体(1)を構成する第一実施形態の第一変形例を示す平面図である。図12(b)、図12(c)及び図12(d)は、図12(a)に示した形成体(1)における拡大図である。図12(a)に示した形成体(1)には、前述した第一実施形態と同様に、図12(b)に示す第一の画像(7)、図12(c)に示す第二の画像(8)と、更に、図12(d)に示す、第一の画像(7)及び第二の画像(8)を合成した第三の画像(9)が形成されている。
図12は、本発明における形成体(1)を構成する第一実施形態の第一変形例を示す平面図である。図12(b)、図12(c)及び図12(d)は、図12(a)に示した形成体(1)における拡大図である。図12(a)に示した形成体(1)には、前述した第一実施形態と同様に、図12(b)に示す第一の画像(7)、図12(c)に示す第二の画像(8)と、更に、図12(d)に示す、第一の画像(7)及び第二の画像(8)を合成した第三の画像(9)が形成されている。
図12(a)に示すように、第一の模様部(7a)及び第二の模様部(8a)を少なくとも一部重複することも可能である。
第一変形例における一部重複した領域も、図11において前述した第一実施形態と同様に、少なくとも一部の各模様要素部同士が、一つの凸状万線(3)に対応して配置される。つまり、第一の模様要素部(10a)及び第二の模様要素部(11a)は、少なくとも一部が一つの凸状万線(3)に対応して配置され、更に、対応して配置された第一の模様要素部(10a)及び第二の模様要素部(11a)により、第一の模様部(7a)及び第二の模様部(8a)が重複した領域が形成される。
図12(b)に示す第一の画像(7)における第一の模様部(7a)と、図12(c)に示す第二の画像(8)における第二の模様部(8a)が、少なくとも一部重複して形成された場合にも、前述の第一実施形態と同様に、第三の観察角度(E3)においては、第一の画像(7)及び第二の画像(8)の合成画像である図12(d)に示した第三の画像(9)が観察される。なお、視認原理については、後述する。
図12(d)に示した、第三の画像(9)内における、第一の模様部(7a)及び第二の模様部(8a)が重複している領域は、第一の模様部(7a)、第二の模様部(8a)及び、十字状の第三の模様部(9a)とは異なる四角形状の第一の色と第二の色が混色した模様領域(9c)が新たに視認可能となる。
なお、第三の画像(9)内における、第一の模様部(7a)及び第二の模様部(8a)が重複している模様領域(9c)は、第三の模様部(9a)又は第三の背景部(9b)と異なる形状の模様領域(9c)とすることが可能だが、第三の模様部(9a)又は第三の背景部(9b)の一部とすることも可能である。
(本発明における第一実施形態の第二変形例)
図13は、本発明における形成体(1)を構成する第一実施形態の第二変形例を示す平面図である。図13(b)、図13(c)及び図13(d)は、図13(a)に示した形成体(1)における平面図である。図13(a)に示した形成体(1)には、前述した第一実施形態及び第一実施形態の第一変形例と同様に、図13(b)に示す第一の画像(7)、図13(c)に示す第二の画像(8)と、更に、図13(d)に示す、第一の画像(7)及び第二の画像(8)を合成した第三の画像(9)が形成されている。
図13は、本発明における形成体(1)を構成する第一実施形態の第二変形例を示す平面図である。図13(b)、図13(c)及び図13(d)は、図13(a)に示した形成体(1)における平面図である。図13(a)に示した形成体(1)には、前述した第一実施形態及び第一実施形態の第一変形例と同様に、図13(b)に示す第一の画像(7)、図13(c)に示す第二の画像(8)と、更に、図13(d)に示す、第一の画像(7)及び第二の画像(8)を合成した第三の画像(9)が形成されている。
図13(a)に示すように、第一の模様部(7a)及び第二の模様部(8a)と、第一の背景部(7b)及び第二の背景部(b)を、各々すべて重複した領域に形成することも可能である。
第二変形例における、第一の模様部(7a)及び第二の模様部(8a)と、第一の背景部(7b)及び第二の背景部(b)を、すべて重複した領域とは、図11(c)において前述した第一実施形態と同様に、各模様要素部同士及び各背景要素部同士が、一つの凸状万線(3)に対応して配置される。
つまり、第一の模様要素部(10a)及び第二の模様要素部(11a)と、第一の背景要素部(10b)及び第二の背景要素部(11b)は、各々凸状万線(3)において、すべて同じ位置及び同じ長さにより対応して配置され、更に、各模様要素部同士及び各背景要素部同士がすべて対応して配置されたことで、図13(d)に示す、第一の模様部(7a)及び第二の模様部(8a)と、第一の背景部(7b)及び第二の背景部(8b)が、すべてが重複した領域が形成された領域が形成される。なお、その際には、第一の画像(7)、第二の画像(8)及び第三の画像(9)は、形状及び大きさが同一となる。図13(a)に示した形成体(1)は、観察角度を変化させた際に、その観察角度ごとに異なる色で同一画像を視認することが可能となる。なお、視認原理については、後述する。
図13(a)に示す形成体(1)を、前述した第一の観察角度(E1)から観察した際には、図13(b)に示すように、第一の画像(7)は、第一の模様部(7a)が、第一の色によって形成されたベタ画像として視認され、第一の背景部(7b)が、第二の色によって形成されたベタ画像として視認される。
次に、図13(a)に示す形成体(1)を、前述した第二の観察角度(E2)から観察した際には、図13(c)に示すように、第一の模様部(7a)と同一形状、かつ、同じ大きさの第二の模様部(8a)が、第二の色によって形成されたベタ画像として視認され、第一の背景部(7b)と同一形状、かつ、同じ大きさの第二の背景部(8b)が視認される。そのことから、第一の観察角度(E1)から第二の観察角度(E2)へと変化させることで、肉眼では、第一の模様部(7a)の色が第一の色から第二の色へと変化し、第一の背景部(7b)の色が第二の色から第一の色へと変化して視認される。
さらに、図13(a)に示す形成体(1)を、前述した第三の観察角度(E3)から観察した際には、第一の模様部(7a)及び第二の模様部(8a)が重複した領域は、第一の色及び第二の色が混色した色によって形成されたベタ画像として視認される。また、第一の背景部(7b)及び第二の背景部(8b)が重複した領域も、第一の色及び第二の色が混色した色によって形成されたベタ画像として視認される。つまり、第三の画像(9)は、各模様部及び各背景部は、それぞれ識別することができなく、濃度が一様なベタ画像として視認される。
(第一要素構成における各画像の視認原理)
本発明に関わる形成体(1)を、観察角度を変化させ観察した際の、視認原理について説明する。まず、本発明に関わる第一要素構成における形成体(1)を、第一の観察角度(E1)から観察した際の視認原理について説明する。図14は、本発明における第一要素構成における形成体(1)が形成された基材(2)を、第一の観察角度(E1)から観察した際の平面図及び断面図を示す図である。
本発明に関わる形成体(1)を、観察角度を変化させ観察した際の、視認原理について説明する。まず、本発明に関わる第一要素構成における形成体(1)を、第一の観察角度(E1)から観察した際の視認原理について説明する。図14は、本発明における第一要素構成における形成体(1)が形成された基材(2)を、第一の観察角度(E1)から観察した際の平面図及び断面図を示す図である。
(第一の観察角度(E1)から観察)
本発明に関わる第一要素構成における形成体(1)を、第一の観察角度(E1)から観察した際の視認原理について説明する。図14(a)に示すように、基材(2)を第一の観察角度(E1)から観察した際には、第一の画像(7)は観察可能だが、第二の画像(8)及び第三の画像(9)は観察することができない。
本発明に関わる第一要素構成における形成体(1)を、第一の観察角度(E1)から観察した際の視認原理について説明する。図14(a)に示すように、基材(2)を第一の観察角度(E1)から観察した際には、第一の画像(7)は観察可能だが、第二の画像(8)及び第三の画像(9)は観察することができない。
図14(b)は、本発明にかかわる形成体(1)を、第一の方向(X)に切断した断面図であり、図14(a)に示した形成体(1)におけるA−A’断面図である。第一の観察角度(E1)から観察した場合、凸状万線(3)における第一の側部(4)は、隣り合う凸状万線(3)の影となることなく観察可能である。図14(a)に示した形成体(1)は、図14(b)に示すように、凸状万線(3)における第一の側部(4)に、第一の要素(10)が付与されている。
よって、複数配置された第一の要素(10)は観察可能であり、第一の模様要素部(10a)を第一の色で、第一の背景要素部(10b)を第二の色で各々視認することができることから、第一の模様要素部(10a)により形成された第一の模様部(7a)と、第一の背景要素部(10b)により形成された第一の背景部(7b)から形成された第一の画像(7)が視認可能となる。
一方、第一の観察角度(E1)から観察した場合、前述の通り、凸状万線(3)における第二の側部(5)は、隣り合う凸状万線(3)の影となり、視認することができない。よって、図14(a)に示した形成体(1)は、図14(b)に示すように、凸状万線(3)における第二の側部(5)に、第二の要素(11)が付与されているが、複数配置された第二の要素(11)は観察することができず、複数の第二の要素(11)により形成された第二の画像(8)も視認することができない。
このように、形成体(1)を第一の観察角度(E1)から観察した際には、第一の側部(4)のみが観察可能となり、第一の側部(4)に付与した第一の要素(10)のみが視認可能となる。なお、前述の通り、本発明においては凸状万線(3)のピッチは300〜1000μmと狭いことから、第一の要素(10)は、一様な濃度として視認される。つまり、肉眼では、第一の画像(7)は、第一の模様部(7a)が第一の色によって形成されたベタ画像として視認され、第一の背景部(7b)が第二の色によって形成されたベタ画像として視認される。
(第二の観察角度(E2)から観察)
次に、本発明に関わる第一要素構成における形成体(1)を、第二の観察角度(E2)から観察した際の視認原理について説明する。図15は、本発明における第一要素構成における形成体(1)が形成された基材(2)を、第二の観察角度(E2)から観察した際の平面図及び断面図である。図15(a)に示すように、基材(2)を第二の観察角度(E2)から観察した際には、第二の画像(8)は観察可能だが、第一の画像(7)及び第三の画像(9)は観察することができない。
次に、本発明に関わる第一要素構成における形成体(1)を、第二の観察角度(E2)から観察した際の視認原理について説明する。図15は、本発明における第一要素構成における形成体(1)が形成された基材(2)を、第二の観察角度(E2)から観察した際の平面図及び断面図である。図15(a)に示すように、基材(2)を第二の観察角度(E2)から観察した際には、第二の画像(8)は観察可能だが、第一の画像(7)及び第三の画像(9)は観察することができない。
図15(b)は、本発明にかかわる形成体(1)を、第一の方向(X)に切断した断面図であり、図15(a)に示した形成体(1)におけるA−A’断面図である。第二の観察角度(E2)から観察した場合、凸状万線(3)における第二の側部(5)は、隣り合う凸状万線(3)の影となることなく観察可能である。図15(a)に示した形成体(1)は、図15(b)に示すように、凸状万線(3)における第二の側部(5)に、第二の要素(11)が付与されている。
よって、複数配置された第二の要素(11)は観察可能であり、第二の模様要素部(11a)を第二の色で、第二の背景要素部(11b)を第一の色で各々視認することができることから、第二の模様要素部(11a)により形成された第二の模様部(8a)と、第一の背景要素部(11b)により形成された第二の背景部(8b)から形成された第二の画像(8)が視認可能となる。
一方、第二の観察角度(E2)から観察した場合、前述の通り、凸状万線(3)における第一の側部(4)は、隣り合う凸状万線(3)の影となり、視認することができない。よって、図15(a)に示した形成体(1)は、図15(b)に示すように、凸状万線(3)における第一の側部(4)に、第一の要素(10)が付与されているが、複数配置された第一の要素(10)は観察することができず、複数の第一の要素(10)により形成された第一の画像(7)も視認することができない。
このように、形成体(1)を第二の観察角度(E2)から観察した際には、第二の側部(5)のみが観察可能となり、第二の側部(5)に付与した第二の要素(11)のみが視認可能となる。なお、前述の通り、本発明においては凸状万線(3)のピッチは300〜1000μmと狭いことから、第二の要素(11)は、一様な濃度として視認される。つまり、肉眼では、第二の画像(11)は、第二の模様部(11a)が第二の色によって形成されたベタ画像として視認され、第二の背景部(11b)が第一の色によって形成されたベタ画像として視認される。
(第三の観察角度(E3)から観察)
次に、本発明に関わる第一要素構成における形成体(1)を、第三の観察角度(E3)から観察した際の、視認原理について説明する。図16は、本発明における第一要素構成における形成体(1)が形成された基材(2)を、第三の観察角度(E3)から観察した際の平面図及び断面図である。図16(a)に示すように、基材(2)を第三の観察角度(E3)から観察した際には、第一の画像(7)と第二の画像(8)を同時に観察でき、更に、第一の画像(7)及び第二の画像(8)が合成されることで形成された第三の画像(9)を新たに視認することが可能である。
次に、本発明に関わる第一要素構成における形成体(1)を、第三の観察角度(E3)から観察した際の、視認原理について説明する。図16は、本発明における第一要素構成における形成体(1)が形成された基材(2)を、第三の観察角度(E3)から観察した際の平面図及び断面図である。図16(a)に示すように、基材(2)を第三の観察角度(E3)から観察した際には、第一の画像(7)と第二の画像(8)を同時に観察でき、更に、第一の画像(7)及び第二の画像(8)が合成されることで形成された第三の画像(9)を新たに視認することが可能である。
図16(b)は、本発明にかかわる形成体(1)を、第一の方向(X)に切断した断面図であり、図16(a)に示した形成体(1)におけるA−A’断面図である。第三の観察角度(E3)から観察した場合、凸状万線(3)における第一の側部(4)及び第二の側部(5)は、いずれも隣り合う凸状万線(3)の影となることなく観察可能である。
図16(b)に示した形成体(1)は、図16(b)に示すように、凸状万線(3)における第一の側部(4)に第一の要素(10)が付与され、第二の側部(5)に第二の要素(11)が付与されている。つまり、複数配置された第一の要素(10)は観察可能であり、第一の模様要素部(10a)を第一の色で、第一の背景要素部(10b)を第二の色で各々視認することができる。さらに、複数配置された第二の要素(11)も、第一の要素(10)と同様に観察可能であり、第二の模様要素部(11a)を第二の色で、第二の背景要素部(11b)を第一の色で各々視認することができる。
第一の模様要素部(10a)又は第一の背景要素部(10b)と、第二の模様要素部(11a)又は第二の背景要素部(11b)が、対応して配置した際には、それぞれを形成する要素の色が混色して視認される。例えば、図16(b)に示した領域(i)、領域(iii)及び領域(v)は、第一の側部(4)に、第一の背景要素部(10b)が第二の色で付与されている。また、第二の側部(5)には、第二の背景要素部(11b)が、第一の色で付与されている。
前述のとおり、本発明における凸状万線(3)は、ピッチが300〜1000μmと狭い。そのことから、形成体(1)を第三の観察角度(E3)から観察した際に、肉眼では第一の背景要素部(10b)及び第二の背景要素部(11b)は、それぞれを区別することができず、一つの要素として視認される。それにより、それぞれの要素部を形成する色が混色して視認される。つまり、領域(i)においては、第一の色及び第二の色が混色した領域として視認される。
前述の通り、対応して配置された、第一の背景要素部(10b)及び第二の背景要素部(11b)により、第一の画像(7)における第一の背景部(7b)及び第二の画像(8)における第二の背景部(8b)が重複した領域が形成される。よって、第三の観察角度(E3)において、第一の画像(7)における第一の背景部(7b)及び第二の画像(8)における第二の背景部(8b)が重複した領域は、第一の色及び第二の色が混色した領域として視認される。
同様に、図16(b)に示した領域(ii)は、第一の側部(4)に、第一の模様要素部(10a)が第一の色で付与されて、第二の側部(5)には、第二の背景要素部(11a)が、第一の色で付与されている。よって、第三の観察角度(E3)において、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)及び第二の画像(8)における第二の背景部(8b)が重複した領域は、第一の色として視認される。
さらに、図16(b)に示した領域(iv)は、第一の側部(4)に、第一の背景要素部(10b)が第二の色で付与されて、第二の側部(5)には、第二の模様要素部(11b)が、第二の色で付与されている。よって、第三の観察角度(E3)において、第一の画像(7)における第一の背景部(7b)及び第二の画像(8)における第二の模様部(8a)が重複した領域は、第二の色として視認される。
第一の色及び第二の色が混色した領域においては、例えば、第一の色が赤色で、第二の色が青色ならば、紫色の領域として視認される。つまり、第一の画像(7)及び第二の画像(8)との合成画像である第三の画像(9)は、第一の色のみ、第二の色のみ及び第一の色と第二の色が混色した色により表現される。
前述した第一実施形態においては、形成体(1)を第一の観察角度(E1)から観察した際には、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)は視認され、第二の観察角度(E2)から観察した際には、形成体(1)内における、第一の模様部(7a)が出現した領域とは異なる領域に、第一の模様部(7a)とは異なる第二の画像(8)における第二の模様部(8a)が視認され、さらに、第三の観察角度(E3)から観察した際には、第一の模様部(7a)及び第二の模様部(8a)とは異なる第三の模様部(9a)が合成画像として視認可能となる。
例えば、第一の色をピンク色とし、第二の色を白色とした場合には、図1において示した形成体(1)は、第一の観察角度(E1)から観察した際には、第一の模様部(7a)である二枚の花びらがピンク色で視認され、第二の観察角度(E2)から観察した際には、第一の画像部(7a)である二枚の花びらが出現した領域とは異なる領域に、第二の模様部(8a)である三枚の花びらが白色で視認され、さらに、第三の観察角度(E3)から観察した際には、五枚の花びらからなる一輪の花が、第三の模様部(9a)として視認可能となる。
なお、前述した第一要素構成及び第二要素構成の説明においては、説明を簡潔にするために、重複した領域において、例えば、第一要素構成における第一の背景部(7b)及び第二の背景部(8b)は、基材(2)に対して、視点が第一の観察角度(E1)にあるとき、第一の色で視認され、視点が第二の観察角度(E2)にあるとき、第二の色で視認され、更に、視点が第三の観察角度(E3)にあるとき、第一の色と第二の色が混色した色で視認されるとした。
例えば、第一の背景部(7a)を表現する第一の色を赤色とし、第二の色を青色とした場合においては、基材(2)に対して視点を第三の観察角度(E3)から第一の観察角度(E1)へと徐々に変化させていく中で、それに伴い、第一の色(赤色)及び第二の色(青色)が混色する比率が徐々に少なくなる。つまり、第一の背景部(7a)は、紫色から、赤紫色へ、更に赤成分の多い紫色と変化して視認される。そして、視点が基材(2)に対して第一の観察角度(E1)となるときに、第一の要素(10)のみが観察可能となることから、第一の背景部(7a)は、第一の色(赤色)のみで形成された画像として観察される。更に、基材(2)を第一の観察角度(E1)より大きな角度で傾けた場合においても、同様に第一の背景部(7a)は第一の色(赤色)のみで形成された画像として観察される。
同様に、第二の背景部(8b)を表現する第二の色(青色)は、視点を第三の観察角度(E3)から第二の観察角度(E2)へ徐々に変化させていく中で、それに伴い、第一の色(赤色)及び第二の色(青色)が混色する比率が徐々に少なくなる。つまり、第二の背景部(8b)は、紫色から、青紫色へ、更に青成分の多い紫色と変化して視認される。そして、視点が第二の観察角度(E2)を示す位置関係にあるとき、第二の要素(11)のみが観察可能となることから、第二の背景部(8b)は、第二の色(青色)のみで形成された画像として観察される。つまり、基材(2)に対して徐々に観察角度を変化させることにより、それに伴い、徐々に各画像の色変化を確認することができる。
なお、第一の色及び第二の色は、同じ色相で濃度が異なる色としてもよく、例えば、第一の色を淡い赤色とし、第二の色を濃い赤色とすることも可能である。第一の色を淡い赤色とし、第二の色を濃い赤色とした場合において、第一の色は、第二の色と異なる色であるとする。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
実施例1として、図12(a)に示した第一実施形態の第一変形例により形成体(1)を作製した。形成体(1)は、基材(2)として上質紙(日本製紙製 NPI上質紙 81.4g/m2)を用いた。基材(2)上に、スクリーン印刷機(RANAS製 MF―250)を用いて、スクリーン印刷用UV硬化型インキにより、凸状万線(3)を形成した。凸状万線(3)は、250μmの画線であり、ピッチ(d)を500μmとした。
実施例1として、図12(a)に示した第一実施形態の第一変形例により形成体(1)を作製した。形成体(1)は、基材(2)として上質紙(日本製紙製 NPI上質紙 81.4g/m2)を用いた。基材(2)上に、スクリーン印刷機(RANAS製 MF―250)を用いて、スクリーン印刷用UV硬化型インキにより、凸状万線(3)を形成した。凸状万線(3)は、250μmの画線であり、ピッチ(d)を500μmとした。
第一の要素(10)を、図9(a)に示した80μmの一定幅の画線として形成し、第二の要素(11)を、図9(a)に示した80μmの一定幅の画線として形成した。また、第一の模様要素部(10a)及び第二の背景要素部(11b)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 ベストキュア 藍)を用いて印刷し、第一の背景要素部(10b)及び第二の模様要素部(11a)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 ベストキュア 紅)を用いて印刷した。なお、第一の要素(10)及び第二の要素(11)は、各々オフセット印刷機(下垣鉄工所製 EP―60)により基材(2)上に形成した。
実施例1にて作製した形成体(1)を、第一の観察角度(E1)から肉眼で観察したところ、第一の画像(7)における、第一の模様部(7a)がシアン色で視認でき、第一の背景部(7b)がマゼンタ色で視認できた。一方、第二の画像(8)及び第三の画像(9)は視認できなかった。次に、形成体(1)を、第二の観察角度(E2)から観察したところ、第二の画像(8)における、第二の模様部(8a)がマゼンタ色で視認でき、第二の背景部(8b)がシアン色で視認できた。一方、第一の画像(7)及び第三の画像(9)は視認できなかった。更に、形成体(1)を第三の観察角度(E3)から観察したところ、第三の画像(9)における第三の模様部(9a)が、マゼンタ色、シアン色及び紫色の三色で形成された画像として視認でき、第三の背景部(9b)が紫色で視認できた。
(実施例2)
実施例2として、図13(a)に示した第一実施形態の第二変形例により形成体(1)を作製した。形成体(1)は、基材(2)としてフォーム紙(日本製紙製 NPIフォーム紙 81.4g/m2)を用いた。基材(2)上に、スクリーン印刷機(RANAS製 MF―250)を用いて、スクリーン印刷用UV硬化型インキにより、凸状万線(3)を形成した。凸状万線(3)は、200μmの画線であり、ピッチ(d)を500μmとした。
実施例2として、図13(a)に示した第一実施形態の第二変形例により形成体(1)を作製した。形成体(1)は、基材(2)としてフォーム紙(日本製紙製 NPIフォーム紙 81.4g/m2)を用いた。基材(2)上に、スクリーン印刷機(RANAS製 MF―250)を用いて、スクリーン印刷用UV硬化型インキにより、凸状万線(3)を形成した。凸状万線(3)は、200μmの画線であり、ピッチ(d)を500μmとした。
第一の要素(10)を、図9(a)に示した70μmの一定幅の画線として形成し、第二の要素(11)を、図9(a)に示した70μmの一定幅の画線として形成した。また、第一の模様要素部(10a)及び第二の背景要素部(11b)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 BO特練PANTONE紫)を用いて印刷し、第一の背景要素部(10b)及び第二の模様要素部(11a)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 BO特練PANTONE緑)を用いて印刷した。なお、第一の要素(10)及び第二の要素(11)は、各々オフセット印刷機(下垣鉄工所製 EP―60)により基材(2)上に形成した。
実施例2にて作製した形成体(1)を、第一の観察角度(E1)から肉眼で観察したとこと、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)が紫色で視認でき、第一の背景部(7b)が緑色で視認できた。
次に、形成体(1)を、基材(2)に対して視点を第一の観察角度(E1)から第三の観察角度(E3)へと徐々に変化させたところ、その観察角度の変化に伴い、第一の模様部(7a)においては、紫色に対して緑色が混色する比率が徐々に多くなり、第一の背景部(7b)においては、緑色に対して紫色が混色する比率が徐々に多くなった。つまり、第一の模様部(7a)は、紫色から、緑成分の多い茶色へと変化し、第一の背景部(7b)は、緑色から、紫成分の多い茶色へと変化した。そして、視点が基材(2)に対して第三の観察角度(E3)となるとき、第一の画像(7)及び第二の画像(8)と同一の第三の画像(9)が紫色と緑色が同じ比率で混色した茶色として視認できた。
更に、形成体(1)を、基材(2)に対して視点を第三の観察角度(E3)から第二の観察角度(E2)へと徐々に変化させたところ、その観察角度の変化に伴ない、第一の模様部(7a)においては、紫色に対して緑色が混色する比率が徐々に多くなり、第一の背景部(7b)においては、緑色に対して紫色が混色する比率が徐々に多くなった。つまり、第一の模様部(7a)は、茶色から緑色へと徐々に変化し、第一の背景部(7b)は、茶色から紫色へと徐々に変化した。そして、視点が基材(2)に対して第二の観察角度(E2)となるとき、第一の模様部(7a)と同一である第二の模様部(8a)が緑色で視認でき、第一の背景部(7b)と同一である第二の背景部(8b)が紫色で視認できた。
以上、本発明に係る実施例1〜2に基づいて実施の形態を説明したが、上記実施例に限定されることなく特許請求の範囲記載の技術思想の範囲内で、更にいろいろな実施例があることは言うまでもない。
1 形成体
2 基材
3 凸状万線
4 第一の側部
5 第二の側部
6 頂上部
7 第一の画像
7a 第一の模様部
7b 第一の背景部
8 第二の画像
8a 第二の模様部
8b 第二の背景部
9 第三の画像
9a 第三の模様部
9b 第三の背景部
10 第一の要素
10a 第一の模様要素部
10b 第一の背景要素部
11 第二の要素
11a 第二の模様要素部
11b 第二の背景要素部
12 隆起面
S 偽造防止印刷物
X 第一の方向
E1 第一の観察角度
E2 第二の観察角度
E3 第三の観察角度
2 基材
3 凸状万線
4 第一の側部
5 第二の側部
6 頂上部
7 第一の画像
7a 第一の模様部
7b 第一の背景部
8 第二の画像
8a 第二の模様部
8b 第二の背景部
9 第三の画像
9a 第三の模様部
9b 第三の背景部
10 第一の要素
10a 第一の模様要素部
10b 第一の背景要素部
11 第二の要素
11a 第二の模様要素部
11b 第二の背景要素部
12 隆起面
S 偽造防止印刷物
X 第一の方向
E1 第一の観察角度
E2 第二の観察角度
E3 第三の観察角度
前述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、基材上における少なくとも一部に凸状万線が形成され、凸状万線の側部に第一の要素及び第二の要素が複数配置されて第一の画像、第二の画像及び第三の画像が形成された潜像模様形成体であって、凸状万線は、各々が第一の側部及び第二の側部を有して配置され、第一の要素は、第一の側部に複数配置され、基材とは異なる第一の色のインキ及び第二の色のインキにより第一の模様要素部と第一の背景要素部に区分けされ、第一の模様要素部により形成された第一の模様部と第一の背景要素部により形成された第一の背景部から第一の画像が形成され、第二の要素は、第二の側部に複数配置され、第二の色のインキ及び第一の色のインキにより第二の模様要素部と第二の背景要素部に区分けされ、第二の模様要素部により形成された第二の模様部と第二の背景要素部により形成された第二の背景部から第二の画像が形成され、第一の模様部と第二の模様部により第三の模様部が形成され、第一の背景部と第二の背景部により第三の背景部が形成され、第三の模様部及び第三の背景部により第三の画像が形成され、第一の画像は、基材に対して第一の観察角度から視認可能な画像であり、第二の画像は、基材に対して第二の観察角度から視認可能な画像であり、第三の画像は、基材に対して第三の観察角度から視認可能な画像であることを特徴とする。
図1(b)に示した第一の画像(7)は、第一の模様部(7a)及び第一の背景部(7b)から成る。第一の模様部(7a)は、基材(2)とは異なる第一の色のインキで形成され、第一の背景部(7b)は、基材(2)及び第一の色とは異なる第二の色のインキで形成される。
第一の模様要素部(10a)は、基材(2)とは異なる第一の色のインキにより形成する。第一の模様要素部(10a)は、第一の側部(4)に配置されることで、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)を形成する。第一の背景要素部(10b)は、基材(2)及び第一の模様部(10a)を形成した第一の色とは異なる第二の色のインキにより形成する。第一の背景要素部(10b)は、第一の側部(4)に配置されることで、第一の画像(7)における第一の背景部(7b)を形成する。
第二の模様要素部(11a)は、第二の色のインキにより形成する。第二の模様要素部(11a)は、第二の側部(5)に配置されることで、第二の画像(8)における第二の模様部(8a)を形成する。第二の背景要素部(11b)は、第一の色のインキにより形成する。第二の背景要素部(11b)は、第二の側部(5)に配置されることで、第二の画像(8)における第二の背景部(8b)を形成する。
第一の模様要素部(10a)又は第一の背景要素部(10b)と、第二の模様要素部(11a)又は第二の背景要素部(11b)が、対応して配置した際には、それぞれを形成する要素の色が混色して視認される。例えば、図16(b)に示した領域(i)、領域(iii)及び領域(v)は、第一の側部(4)に、第一の背景要素部(10b)が第二の色のインキで付与されている。また、第二の側部(5)には、第二の背景要素部(11b)が、第一の色のインキで付与されている。
同様に、図16(b)に示した領域(ii)は、第一の側部(4)に、第一の模様要素部(10a)が第一の色のインキで付与されて、第二の側部(5)には、第二の背景要素部(11a)が、第一の色のインキで付与されている。よって、第三の観察角度(E3)において、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)及び第二の画像(8)における第二の背景部(8b)が重複した領域は、第一の色として視認される。
さらに、図16(b)に示した領域(iv)は、第一の側部(4)に、第一の背景要素部(10b)が第二の色のインキで付与されて、第二の側部(5)には、第二の模様要素部(11b)が、第二の色のインキで付与されている。よって、第三の観察角度(E3)において、第一の画像(7)における第一の背景部(7b)及び第二の画像(8)における第二の模様部(8a)が重複した領域は、第二の色として視認される。
Claims (8)
- 基材上における少なくとも一部に凸状万線が形成され、前記凸状万線の側部に第一の要素及び第二の要素が複数配置されて第一の画像、第二の画像及び第三の画像が形成された潜像模様形成体であって、
前記凸状万線は、各々が第一の側部及び第二の側部を有して配置され、
前記第一の要素は、前記第一の側部に複数配置され、前記基材とは異なる第一の色及び第二の色により第一の模様要素部と第一の背景要素部に区分けされ、前記第一の模様要素部により形成された第一の模様部と前記第一の背景要素部により形成された第一の背景部から前記第一の画像が形成され、
前記第二の要素は、前記第二の側部に複数配置され、前記第二の色及び前記第一の色により第二の模様要素部と前記第二の背景要素部に区分けされ、前記第二の模様要素部により形成された第二の模様部と前記第二の背景要素部により形成された第二の背景部から前記第二の画像が形成され、
前記第一の模様部と前記第二の模様部により第三の模様部が形成され、前記第一の背景部と前記第二の背景部により第三の背景部が形成され、前記第三の模様部及び前記第三の背景部により前記第三の画像が形成され、
前記第一の画像は、前記基材に対して第一の観察角度から視認可能な画像であり、前記第二の画像は、前記基材に対して第二の観察角度から視認可能な画像であり、前記第三の画像は、前記基材に対して第三の観察角度から視認可能な画像であることを特徴とする特殊潜像模様形成体。 - 前記第一の模様要素部及び前記第二の模様要素部は、少なくとも一部が一つの凸状万線に対応して配置され、
前記対応して配置された前記第一の模様要素部及び前記第二の模様要素部により、前記第一の模様部及び前記第二の模様部が一部重複した領域が形成され、
前記重複した領域は、前記第三の観察角度において、前記第一の色及び前記第二の色が混色して視認されることを特徴とする請求項1記載の特殊潜像模様形成体。 - 前記第一の模様要素部及び前記第二の模様要素部と、前記第一の背景要素部及び前記第二の背景要素部は、各々前記凸状万線において、すべて同じ位置及び同じ長さにより対応して配置されたことで、前記第一の模様部及び前記第二の模様部と、前記第一の背景部及び前記第二の背景部は、すべてが重複した領域に形成され、かつ、前記第一の画像、前記第二の画像及び前記第三の画像は、形状及び大きさが同一であることを特徴とする請求項2記載の特殊潜像模様形成体。
- 前記第一の要素又は前記第二の要素は、画線、複数の点が同一方向に配置された点群又は複数の画素が同一方向に配置された画素群の少なくとも一つから成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の特殊潜像模様形成体。
- 前記第一の要素又は前記第二の要素が画線の場合、各画線において、直線、波線及び破線の少なくとも一つから成ることを特徴とする請求項4記載の特殊潜像模様形成体。
- 前記第一の要素又は前記第二の要素は、一つの要素内において、画線、複数の点又は画素の少なくとも二種類以上を組み合わせて同一方向に配置されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の特殊潜像模様形成体。
- 前記凸状万線は、第一の方向に第一のピッチで配置されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の特殊潜像模様形成体。
- 前記凸状万線は、凹版印刷、スクリーン印刷、エンボス、すき入れ又はレーザ加工により基材上に形成されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載の特殊潜像模様形成体。
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