本発明の実施形態について図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他色々な形態が実施可能である。
図1は、本発明における特殊潜像模様形成体(以下、「形成体」という。)を示す平面図及び模式図の一例であり、図1(a)は、形成体(S)の平面図である。形成体(S)は、例えば、紙幣、証券、パスポート、身分証明書等の貴重印刷物である。形成体(S)は、紙、プラスチックカード等の基材(1)上における少なくとも一部の領域(Z)に、潜像模様(2)が付与されている。
図1(b)及び図1(c)は、図1(a)に示した形成体(S)の領域(Z)を拡大した模式図である。図1(a)に示した形成体(S)は、観察角度を変化させることで視認可能な、図1(b)に示す、第一の模様部(7a)及び第一の背景部(7b)から成る第一の画像(7)と、図1(c)に示す、第二の模様部(8a)及び第二の背景部(8b)から成る第二の画像(8)が形成されている。
図2は、図1(a)に示した形成体(S)における要部の構成を示す模式図である。図2(a)は、図1(a)に示した形成体(S)の要部である領域(Z)を拡大した模式図であり、図2(b)は、図2(a)におけるA−A’を切断した断面図であり、図2(c)は、図2(c)におけるB−B’を切断した断面図である。本発明では、図2(b)及び図2(c)に示すように、基材(1)上に複数形成された凸画線(3)における、一方の側部である第一の側部(4)に第一の要素(9)が複数配置され、図2(c)に示すように、第一の要素(9)を配置した側部と同一側部である第一の側部(4)の下方に、第一の要素(9)と重ならないように、第二の要素(10)が複数配置される。なお、基材(1)及び各要素(9、10)についての詳細は後述する。
形成体(S)は、基材(1)上に形成した凸画線(3)と、少なくとも二種類の印刷要素を組み合わせて配置することで、観察角度を変化させて観察した場合に、複数の第一の要素(9)のみが視認可能となる観察角度と、複数の第一の要素(9)及び複数の第二の要素(10)が視認可能となる観察角度が存在する。それにより、第一の画像(7)又は第二の画像(8)が観察可能となる観察角度が存在する。以下、形成体(S)を構成する、基材(1)、各要素(9、10)及び各画像(7、8)の構成について詳細に説明する。
図3(a)は、凸画線(3)が複数形成された基材(1)を説明する平面図である。図3(a)に示すように、少なくとも基材(1)上の一部の領域(Z)に、凸画線(3)が形成される。凸画線(3)は、基材(1)上に複数配置されることで凸状万線(3a)となる(以下、複数の凸画線(3)を「凸状万線」という。)。凸画線(3)は、第一の方向(X)にピッチ(d)で配置される。ピッチ(d)は、印刷方式、用いる基材(1)及び後述する凸画線(3)上に付与する印刷要素の画線幅を考慮し、300〜1000μmの範囲内で適宜設定される。
ピッチ(d)が、300μm未満である場合には、凸画線(3)上に、印刷要素を付与する際に、必要な面積を充分に得られない。反対に、ピッチ(d)が、1000μm以上である場合には、凸画線(3)上に付与する印刷要素が、その一つ一つを肉眼で識別することが可能となり、複数の印刷要素により形成された第一の画像(7)及び第二の画像(8)を、一様な濃度として視認することができないという問題点がある。
図3(a)において、ピッチ(d)は、同一ピッチとして図示しているが、前述した300〜1000μmの範囲内であれば、適宜設定することが可能である。本発明の凸画線(3)は、前述した引用文献1及び引用文献2とは異なり、レリーフ模様を有しないことから、ピッチ(d)を狭くすることが可能となる。よって、凸画線(3)は、一つ一つが非常に緻密となり、仮に、ピッチ(d)を一つ一つ異なるピッチとした場合でも、肉眼ではピッチの差を識別することができない。そのことから、本発明における凸画線(3)のピッチ(d)は、300〜1000μmの範囲内であれば、適宜設定することが可能となる。なお、凸画線(3)の形状は、直線状の万線としているが、それに限らず波線状、破線状等公知の形状とすることが可能である。
凸画線(3)は、基材(1)上に、凹版印刷、スクリーン印刷、エンボス加工、すき入れ又はレーザ加工により形成する。凹版印刷、スクリーン印刷による凸画線(3)の形成は、基材(1)に対して公知の凹版印刷方法又は公知のスクリーン印刷方法に適した版面及びインキを用いて印刷を行うことで、インキの盛りにより形成する。
エンボス加工による凸画線(3)の形成は、所望の凸画線(3)の幅及び高さに合わせた、凹型及び凸型を用いて、エンボス加工を行うことが可能な公知のエンボス加工機を用いて形成する。すき入れによる凸画線(3)の形成は、基材(1)を紙とした際に、すき入れを施すことが可能な公知の抄紙機を用いて形成する。エンボス加工及びすき入れにより凸画線(3)を形成した際には、図2(b)に示すように、断面形状が台形状の凸画線(3)を容易に形成することが可能となる。凸画線(3)を台形状とすることで、後述する、印刷要素をその凸画線(3)における側部上に付与することが容易となる。よって、凸画線(3)は、エンボス加工又はすき入れにより形成することが、本発明においては好ましい。
レーザ加工による凸画線(3)の形成は、基材(1)の一部を、レーザ加工を行うことが可能な公知のレーザ加工装置を用いて形成する。なお、形成方法によっては、基材(1)を凹ませることで凸画線(3)を形成する場合もあるが、本発明においては、総称して凸画線(3)と呼ぶ。
基材(1)上に形成した凸画線(3)が、透過性を有することは好ましくない。透過性を有する凸画線(3)においては、その凸画線(3)により印刷要素が影となり画像が出現するという本発明の効果が生じなくなるからである。このため、基材(1)に透明度の高い材料を用いて凸画線(3)を形成する際には、凸画線(3)に、印刷要素を遮断する効果のある材料をあらかじめ付与しておく必要がある。なお、本発明における透過過性を有する基材(1)及び凸画線(3)とは、不透明度(%)が、ハンター反射率計で90%以上と成るものを指す。
図3(b)は、図3(a)におけるA−A’を切断した断面図である。図3(b)に示すように、凸画線(3)は、各々が第一の側部(4)、第二の側部(5)及び頂上部(6)を有している。また、二つの凸画線(3)の間には、底部(11)が形成される。
凸画線(3)における画線幅(W)及び高さ(h)は、それぞれ、凸画線(3)のピッチ及び後述する凸画線(3)上に付与する印刷要素の画線幅を考慮し、画線幅(W)0.1〜1.0mm、及び高さ(h)0.03〜0.10mmの範囲内で適宜設定される。凸画線(3)における画線幅(W)を0.1mm未満とすると、凸画線(3)上に印刷要素を付与するため、高さ(h)を高く設定する必要が生じるが、この場合、形成体(S)を傾けることで視認可能な潜像画像を、明瞭に視認することが困難となることから、好ましくない。
図4は、凸画線(3)の形状を示す断面図である。なお、図4においては、図3(b)と同様に、基材(1)を第一の方向(X)に対して、垂直する方向に切断した際の断面図である。凸画線(3)の断面形状は、図3(b)に示した台形状に限定されず、図4に示した各種形状とすることが可能である。図4(a)に示すように、凸画線(3)の断面形状は、図3(b)と同一だが、それぞれの凸画線(3)のピッチを狭くすることで、底部(11)を、面状ではなく線状とすることも可能である。
また、図4(b)、図4(c)、図4(d)及び図4(e)に示すように、断面形状は三角形状又は半円形状とすることも可能である。さらには、図4(f)、図4(g)及び図4(h)に示すように、断面形状は非対称形状や、図4(i)に示すように、凸状万線(3a)の形状は、一つ一つが異なる形状とすることも可能である。なお、非対称形状とした場合は、図4(f)に示すように、頂上部(6)は必ずしも凸画線(3)の中心に位置するとは限らない。
(第一の要素)
次に、凸画線(3)上に配置する二種類の印刷要素について説明する。図5は、第一の要素(9)を説明する模式図である。第一の要素(9)は、図1(b)に示した第一の画像(7)を形成する要素である。第一の要素(9)は、凸画線(3)とは異なる第一の色の色材から成る第一の模様要素部(9b)と、凸画線(3)及び第一の色とは異なる第二の色の色材から成る第一の背景要素部(9c)に区分される。
なお、第一の模様要素部(9b)及び第一の背景要素部(9c)を、異なる版面を用いて凸画線(3)上に形成した場合においては、各版面同士の刷り合わせにより、第一の模様要素部(9b)及び第一の背景要素部(9c)が、多少離れる又は重なる場合がある。同様に、各要素内における、模様要素部及び背景要素部においても、同じ事が言える。それらの場合においても、本発明の範囲に含まれることとし、以下説明を省略する。
第一の要素(9)は、凸画線(3)上に複数配置されることで、第一の要素群(9a)と成る。なお、凸画線(3)上に第一の要素(9)をどのように付与するかについては後述する。
本発明において要素とは、画線、点、画素の少なくとも一つ又はそれぞれの組合せである。図6は、要素の一例を示す図である。画線とは、図6(a)、図6(b)、図6(c)及び図6(d)に示すような、直線、破線、波線又は破線状の波線のことである。要素を画線とした場合、画線幅は、60〜200μmとする。点とは、網目スクリーン、コンタクトスクリーン等により、印刷物上に構成された点である。点及び後述する画素は、直線状又は波線状に複数配置されて、点群又は画素群を形成する。要素は、点群又は画線群と成ることで、画線状に構成される。点形状は、円形ドットに限定されるものではなく、ランダムドットや本出願人が先に出願した特開平11−268228号公報で提案している特殊網点生成法を用いて意匠性を加味した入力画像を網点(ハーフトーンスクリーン)から成る連続階調網点に変換した、自由度のある特殊網点形状を用いてもよい。
本発明において、画素とは、図形、文字等の二次元画像を縦横の線で分割した、その最小単位のことである。画素形状は、図6(e)、図6(f)、図6(g)、図6(h)、図6(i)及び図6(j)に示すような、円形状、楕円形状、多角形状、文字形状のことである。図6(h)に示した文字形状は、一般的に微小文字又は特殊網点と呼ばれるが、本発明においては画素とする。さらに、図6(i)及び図6(j)に示すように、要素は、画線、点、画素をそれぞれ組み合せてもよい。なお、本実施形態については要素を、図6(a)に示す直線状の画線として説明する。
第一の模様要素部(9b)は、複数配置されることで、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)を形成する。また、第一の背景要素部(9c)は、複数配置されることで、第一の画像(7)における第一の背景部(7b)を形成する。なお、凸画線(3)上に第一の要素(9)をどのように配置するかについては後述する。
第一の要素(9)における第一の模様要素部(9b)及び第一の背景要素部(9c)は、それぞれ凸画線(3)と異なる色で形成する。第一の色及び第二の色が、凸画線(3)と同じ色である場合、凸画線(3)上に付与した第一の色の色材及び/又は第二の色の色材を、肉眼で視認することができない。なお、第一の色及び第二の色は、凸画線(3)の色と同じ色相で濃度が異なる色としてもよく、例えば、第一の色を淡い赤色とし、凸画線(3)の色を濃い赤色とすることも可能である。その場合でも、本発明において第一の色は、凸画線(3)の色と異なる色とする。
なお、本発明における、凸画線(3)とは異なる第一の色とは、通常の観察条件下においては凸画線(3)の色と第一の色が同じ色であるが、所定の観察条件下において異なる色となる場合も含む。例えば、第一の模様要素部(9b)を白色の赤外励起可視発光インキを用いて、白色の凸画線(3)上に付与した場合、通常の観察条件下である可視光源下(又は自然光下)においては、凸画線(3)と第一の模様要素部(9b)は同じ色で視認される。よって、第一の模様要素部(9b)と凸画線(3)を肉眼で区別して視認することができない。しかしながら、赤外線光源下においては、第一の模様要素部(9b)が可視発光することから、凸画線(3)と第一の模様要素部(9b)を区別して視認することが可能となる。このように、本発明における、凸画線(3)とは異なる第一の色とは、通常の観察条件下においては凸画線(3)の色と第一の色が同じ色であるが、所定の観察条件下において異なる色となる場合も含む。
通常の観察条件下と、所定の観察条件下において色が異なる色材は、通常の色材に、機能性材料を含有することで作製することが可能である。機能性材料は特に限定するものではなく、赤外線吸収剤、発光剤として、例えば紫外線励起可視発光剤、紫外線励起赤外発光剤、赤外線励起可視発光剤、赤外線励起赤外発光剤、可視光励起赤外発光剤又は可視光励起可視発光剤等の発光剤、示温インキに用いられるコレステリック液晶等の公知の機能性材料を使用することができる。
なお、本発明において、後述する各要素部を形成する色材についても、その要素部を形成する色材の色と凸画線(3)の色との関係及び異なる色の定義については、第一の色と同様であることから、以下説明を省略する。
また、第一の模様要素部(9b)は、第一の背景要素部(9c)と、異なる色の色材により形成する。第一の模様要素部(9b)及び第一の背景要素部(9c)を同じ色の色材とした場合、第一の要素(9)は、第一の模様要素部(9b)及び第一の背景要素部(9c)を区分けすることができない。
なお、本発明において、後述する各要素を形成する、模様要素部及び背景要素部の色材は、いずれの要素も、第一の要素(9)と同様に、異なる色の色材とする。各模様要素部及び背景要素部の色材については、以下説明を省略する。
第一の要素(9)は、第一の色及び第二の色の色材を用いて、凸画線(3)上に公知の印刷方式により複数配置することで、第一の要素群(9a)となる。第一の要素(9)の印刷方式は、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式、ザンメル印刷方式、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ等、特に限定されるものではないが、本発明においては凸画線(3)の側部に印刷要素を付与することから、刷り合わせ精度が要求される。よって、特にオフセット印刷方式が好ましい。また、形成体(S)を作製する場合、ほとんどの印刷方式は、印刷物と版面間ではドットゲインによる画線面積率又は網点面積率の上昇が見込まれることから、版面作製に当たり、あらかじめそれを見込んだ画線面積率又は網点面積率にする必要があることはいうまでもない。
第一の要素(9)を印刷する際に用いるインキについても、印刷方式に適したインキを各種用いることが可能であり、例えば、オフセットインキ、グラビアインキ、スクリーンインキ、フレキソインキ、トナー等を用いることが可能である。また、インキは単色インキに限らず、複数のインキを混色することで第一の色及び第二の色のインキを作製し、そのインキを用いることも可能である。
なお、詳細な構成については後述するが、本発明の形成体(S)は、凸画線(3)における一方の側部の上方に一つ目の要素を配置し、その下方に二つ目の要素を配置し、更に、二つの要素を一部重複して配置する場合がある。その際、上方に配置した要素を、凹版インキ、発泡インキ、スクリーンインキ等、印刷画線が盛りを有する印刷インキを用いて形成した場合には、形成体(S)を傾けて潜像画像を視認する際に、下方に配置した要素が、上方に配置した要素の影となり一部が視認できず、それにより潜像画像が一部欠けて視認される場合がある。よって、第一の要素(9)を印刷する際には、潜像画像の視認性を考慮し、適宜印刷方式及び印刷インキを選択する必要がある。
(第二の要素)
次に、凸画線(3)に付与するもう一つの印刷要素について説明する。図7は、第二の要素(10)を説明する模式図である。第二の要素(10)は、凸画線(3)上に複数配置されることで、第二の要素群(10a)となる。第二の要素群(10a)は、前述した図5に示した第一の要素群(9a)と合成されることで、図1(c)に示した第二の画像(8)を形成する。
第二の要素(10)は、凸画線(3)とは異なる色である第三の色の色材から成る第二の模様要素部(10b)と、凸画線(3)及び第二の模様要素部(10b)とは異なる色の色材から成る第二の背景要素部(10c)に区分される。詳細な構成については後述するが、複数の第一の模様要素部(9b)及び複数の第二の模様要素部(10b)と、複数の第一の背景要素部(9c)及び複数の第二の背景要素部(10c)を、各々形状及び大きさを同一とし、領域(Z)内における同じ位置に配置した場合、第一の色と他の模様要素部の色、又は、第二の色と他の背景要素部の色は、異なる色とする。なお、第一の模様要素部(9b)及び第二の模様要素部(10b)と、第一の背景要素部(9c)及び第二の背景要素部(10c)に限らず、本発明において、基材(1)上における同じ位置に、少なくとも二つの複数の模様要素部又は複数の背景要素部を配置する場合、各模様要素部又は各背景要素部の色は、各々異なる色とする。
第三の色及び第四の色は、第一の色と同様に、凸画線(3)の色と同じ色相で濃度が異なる色としてもよい。第二の要素(10)は、第三の色及び第四の色の色材を用いて、凸画線(3)上に公知の印刷方式により複数配置することで、第二の要素群(10a)と成る。第二の要素(10)の印刷方式及び印刷に用いるインキについては、第一の要素(9)と同様に、各種公知の印刷方式及びインキを用いることが可能である。
以上、本発明の形成体(S)は、図3(a)に示した、複数の凸画線(3)の一方の側部である第一の側部(4)に、図5に示した第一の要素(9)が複数配置され、さらに、第一の要素(9)を配置した側部と同一側部である第一の側部(4)において、第一の要素(9)の下方に、第一の要素(9)と重ならないように、図7に示した第二の要素(10)を複数配置した構成となる。例えば、第一の側部(4)をその中心で、基材(1)と平行する直線で二分割し、頂上部(6)と接する方を上方とし、底部(11)と接する方を下方とした場合、第一の要素(9)は上方に配置され、第二の要素(10)は、下方に配置される。それにより、複数の第一の要素(9)及び複数の第二の要素(10)は、領域(Z)内における異なる位置に配置される。
(第一の要素及び第二の要素の視認原理)
次に、領域(Z)内に配置した第一の要素(9)及び第二の要素(10)が、視認可能となる視認原理について説明する。図8(a)は、基材(1)を第一の観察角度(E1)であるθ1から視認した際の模式図であり、図8(b)は、基材(1)を第二の観察角度(E2)であるθ2から視認した際の模式図である。第一の観察角度(E1)であるθ1は、第一の方向(X)をX軸とし、そのX軸と垂直する軸をY軸としたXY軸と定義した際に、基準軸をX軸、基準点をPとした際の、それに対する視点(E1)の方向を角度としたものを、第一の観察角度(E1)とする。以下、本発明における各観察角度は、基準軸をX軸、基準点をPとした際の、それに対する各視点の方向を角度としたものであり、以下説明を省略する。
第一の観察角度(E1)及び第二の観察角度(E2)は、それぞれ、凸画線(3)の高さによりその観察角度が変化するが、本発明において、第一の観察角度(E1)とは、図8(a)に示すように、第一の要素(9)を配置した第一の側部(4)の上方が視認可能となり、第二の要素(10)を配置した第一の側部(4)における下方及び第二の側部(5)が、第一の死角(G1)となり視認できない角度のことである。また、第二の観察角度(E2)とは、図8(b)に示すように、第一の要素(9)を配置した第一の側部(4)の上方及び第二の要素(10)を配置した第一の側部(4)における下方が視認可能となり、第二の側部(5)が、第二の死角(G2)となり視認できない角度のことである。
図8(a)に示すように、基材(1)を第一の観察角度(E1)から視認した場合、凸画線(3)における第一の側部(4)の上方は、隣り合う凸画線(3’)の影となることなく視認可能である。一方、第一の側部(4)における下方及び第二の側部(5)は、第一の死角(G1)となり視認することができない。また、図8(b)に示すように、基材(1)を、第一の観察角度(E1)とは異なる第二の観察角度(E2)から視認した場合、凸画線(3)における第一の側部(4)は、すべて隣り合う凸画線(3’)の影となることなく視認可能である。一方、第二の側部(5)は、第二の死角(G2)となり視認することができない。
なお、図8(c)に示すように、凸画線(3)における長辺方向(X2)と、凸画線(3)上に配置した第一の要素(9)における長辺方向(X3)とは、若干の角度を有して配置することも可能である。若干の角度を有して配置した場合においても、前述のとおり、第一の要素(9)は、第一の側部(4)上方に配置され、第二の要素(10)は、第一の側部(4)の下方に配置される。また、第一の要素(9)及び第二の要素(10)においても、若干の角度を有して配置することは可能であるが、その場合は、第一の要素(9)及び第二の要素(10)が、第一の側部(4)上において、交わらないように配置する必要がある。交わって配置した場合においては、前述した、第一の観察角度(E1)から視認した際に、第二の要素(10)の一部が視認されることから、第一の画像(7)の画像の視認性を低下し、好ましくない。なお、本発明において、後述する各要素において、同じ側部に配置する要素同士の位置関係、及び、各要素と凸画線(3)の位置関係については、第一の要素(9)と同様であることから、以下説明を省略する。
以上のように、本発明に用いる基材(1)は、第一の観察角度(E1)から視認すると、凸画線(3)における第一の側部(4)の上方のみが視認可能となり、第二の観察角度(E2)から視認すると、凸画線(3)における第一の側部(4)がすべて視認可能となる。よって、図8(a)に示すように、第一の観察角度(E1)からのみ視認可能な第一の側部(4)における上方に第一の要素(9)を配置し、図8(b)に示すように、第二観察角度(E2)からのみ視認可能な第一の側部(4)における下方に第二の要素(10)を配置する。各要素(9、10)を上方又は下方に配置したことで、第一の要素(9)と第二の要素(10)は、重なることなく凸画線(3)に配置される。それにより、形成体(S)を第一の観察角度(E1)から視認した際には、第一の要素群(9a)のみが視認され、第二の観察角度(E2)から視認した際には、第一の要素群(9a)及び第二の要素群(10a)が視認される。
(各画像の視認原理)
次に、形成体(S)を、観察角度を変化させて視認した際の、視認原理について説明する。
(第一の観察角度(E1)から視認)
図9(a)は、形成体(S)を、第一の観察角度(E1)から視認した際の模式図である。なお、この形成体(S)を、第一の観察角度(E1)から視認した際の観察角度と、基材(1)を、第一の観察角度(E1)から視認した際の観察角度は、同一の観察角度から視認したことであるため、以下、基材(1)は省略し、形成体(S)を第一の観察角度(E1)から視認した際という。後述する形成体(S1、S2、S3、S4、S5)及び各観察角度においても、第一の観察角度(E1)と同様であることから、以下説明を省略する。
形成体(S)を、第一の観察角度(E1)から視認した際には、前述のとおり、第一の要素群(9a)のみ視認可能となる。よって、図9(a)に示す、第一の画像(7)のみが視認可能となる。第一の画像(7)は、複数の第一の模様要素部(9b)で形成された第一の模様部(7a)と、複数の第一の背景要素部(9c)で形成された第一の背景部(7b)から成る。
なお、本発明において凸画線(3)のピッチは300〜1000μmと狭いことから、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)及び第一の背景部(7b)は、それぞれが、一様な濃度を有する領域として視認される。つまり、第一の模様部(7a)は、第一の色の色材で形成された画像のように視認され、第一の背景部(7b)は、第二の色の色材で形成された画像のように視認される。なお、本発明において、特定の観察角度から視認可能な画像を形成する各模様部及び各背景部は、いずれも、凸画線(3)のピッチが狭いことから一様な濃度として視認される。以下、特定の観察角度から視認可能な画像の濃度については、説明を省略する。
また、第一の要素(9)は、図2(a)においては、領域(Z)内における連続するすべての凸画線(3)の第一の側部(4)に配置しているが、領域(Z)内におけるすべての凸画線(3)の第一の側部(4)に、必ず、第一の要素(9)及び第二の要素(10)があることではない。なお、連続してすべての凸画線(3)に配置することが、本発明の本質ではないので、ここでは説明を省略する。これは、後述する、第二の側部(5)に、第三の要素(14)及び/又は第四の要素(16)を配置する場合も同様である。
(第二の観察角度(E2)から視認)
図9(b)は、形成体(S)を、第二の観察角度(E2)から視認した際の模式図である。形成体(S)を、第二の観察角度(E2)から視認した際には、前述のとおり、第一の要素群(9a)及び第二の要素群(10a)が視認可能となる。よって、図9(b)に示す、第二の画像(8)が視認可能となる。第二の画像(8)は、複数の第一の模様要素部(9b)及び複数の第二の模様要素部(10b)で形成された第二の模様部(8a)と、複数の第一の背景要素部(9c)及び複数の第二の背景要素部(10c)で形成された第二の背景部(8b)から成る。よって第二の画像(8)は、第一の色の色材、第二の色の色材、第三の色の色材及び第四の色の色材により形成された画像のように視認される。
以上のように、形成体(S)は、図2に示すように、凸状万線(3a)における第一の側部(4)に第一の要素(9)を配置し、その第一の要素(9)の下方に第二の要素(10)を配置し、さらに、複数の第一の要素(9)及び複数の第二の要素(10)を領域(Z)内の異なる位置に配置することで、前述した第一の観察角度(E1)から視認した際には複数の第一の要素(9)から成る第一の画像(7)が視認される。また、前述した第二の観察角度(E2)から視認した際には、領域(Z)内における第一の画像(7)が視認された位置とは異なる位置で、新たに複数の第二の要素(10)が視認される。よって、複数の第一の要素(9)及び複数の第二の要素(10)から成る第二の画像(8)が視認される。
(第一変形例)
図10(a)は、第一変形例の形成体(S1)を示す平面図である。なお、前述した形成体(S)と重複する箇所については、説明を一部省略する。
図10(b)、図10(c)、図10(d)及び図10(e)は、図10(a)に示した形成体(S1)の要部である領域(Z)を示す模式図である。前述した図2(a)に示した形成体(S)は、領域(Z)内に形成した凸画線(3)における同一側部に、二種類の印刷要素を上下に付与することで、形成体(S)に対する観察角度を変化させた場合に視認可能な画像を二つ形成していた。第一変形例では、領域(Z)内に、三種類の印刷要素を組み合わせて、凸画線(3)の側部に付与することにより、観察角度を変化させることで視認可能な、図10(d)に示す第三の画像(12)及び図10(e)に示す合成画像(13)を、更に形成する。
なお、第一の画像(7)及び第二の画像(8)については、各画像を形成する印刷要素及び各画像の視認原理が第一変形例でも前述した実施形態と同様であることから、以下説明を省略する。また、基材(1)及び凸画線(3)についても、前述した実施形態と同様であることから、以下説明を省略する。
図11は、図10(a)に示した形成体(S)の要部である領域(Z)を示す模式図である。図11(a)は、図10(a)に示した形成体(S1)における領域(Z)を拡大した模式図であり、図11(b)は、図11(a)におけるA−A’を切断した断面図である。第一変形例では、図11(b)に示すように、凸画線(3)における第一の要素(9)及び第二の要素(10)を配置した側部とは異なる他方の側部、例えば図10(b)では、第二の側部(5)に、新たに第三の要素(14)を複数配置する。
それにより、形成体(S1)に対する観察角度を変化させて観察した場合に、前述した複数の第一の要素(9)のみが視認可能となる観察角度と、複数の第一の要素(9)及び複数の第二の要素(10)が視認可能となる観察角度に加え、さらに、複数の第三の要素(14)のみが視認可能となる観察角度が新たに存在する。それにより、第一の画像(7)のみが視認可能となる観察角度と、第二の画像(8)のみが観察可能となる観察角度に加え、さらに、第三の画像(12)のみが観察可能となる観察角度と、合成画像(13)のみが観察可能となる観察角度が新たに存在する。以下、第一変形例における各要素及び各画像の視認原理について詳細に説明する。
(第三の要素)
前述した二種類の印刷要素に加え、更に付与する三種類目の印刷要素について説明する。図12は、第三の要素(14)を説明する模式図である。第三の要素(14)は、図10(d)に示した第三の画像(12)を形成する要素である。第三の要素(14)は、凸画線(3)上に複数配置されることで、第三の要素群(14a)となる。
第三の要素(14)は、凸画線(3)とは異なる第五の色の色材から成る第三の模様要素部(14b)と、凸画線(3)及び第五の色とは異なる第六の色の色材から成る第三の背景要素部(14c)に区分されて複数配置される。
第三の模様要素部(14b)は、複数配置されることで、第三の画像(12)における第三の模様部(12a)を形成する。また、第三の背景要素部(14c)は、複数配置されることで、第三の画像(12)における第三の背景部(12b)を形成する。
第三の要素(14)は、第五の色及び第六の色の色材を用いて、凸画線(3)上に公知の印刷方式により複数配置することで、第三の要素群(14a)となる。第三の要素(14)の印刷方式及び印刷に用いるインキについては、第一の要素(9)及び第二の要素(10)と同様に、各種公知の印刷方式及びインキを用いることが可能である。
以上、第一変形例は、図2(a)に示した、複数の凸画線(3)の一方の側部である第一の側部(4)に、第一の要素(9)及び第二の要素(10)が複数配置された形成体(S)の他方の側部である第二の側部(5)に、更に、図12に示した、複数の第三の要素(14)を配置した構成となる。なお、図11に示したように、複数の第一の要素(9)、複数の第二の要素(10)及び複数の第三の要素(14)は、各々重ならないように配置する。それにより、複数の第一の要素(9)、複数の第二の要素(10)及び複数の第三の要素(14)は、領域(Z)内における異なる位置に配置される。次に、第一変形例の形成体(S1)を、観察角度を変化させて視認した際の、視認原理について説明する。
(第三の要素の視認原理)
次に、凸画線(3)上に配置した第三の要素(14)が、視認可能となる視認原理について説明する。図13(a)は、基材(1)を第三の観察角度(E3)であるθ3から視認した際の模式図である。基材(1)を、第一の観察角度(E1)及び第二の観察角度(E2)とは異なる、第三の観察角度(E3)から視認した場合、凸画線(3)における第二の側部(5)の上方は、隣り合う凸画線(3’’)の影となることなく視認可能である。一方、第二の側部(5)における下方及び第一の側部(4)は、第三の死角(G3)となり視認することができない。
図13(b)は、基材(1)を第四の観察角度(E4)から視認した際の模式図である。基材(1)を、第一の観察角度(E1)、第二の観察角度(E2)及び第三の観察角度(E3)とは異なる第四の観察角度(E4)であるθ4から視認した場合、凸画線(3)における第一の側部(4)及び第二の側部(5)は、すべて隣り合う凸画線(3’、3’’)の影となることなく視認可能である。
以上のように、本発明に用いる基材(1)は、第三の観察角度(E3)から視認すると、凸画線(3)における第二の側部(5)の上方のみが視認可能となり、第四の観察角度(E4)から視認すると、凸画線(3)における第一の側部(4)及び第二の側部(5)がすべて視認可能となる。よって、図13(a)に示すように、第三の観察角度(E3)からのみ視認可能な第二の側部(5)における上方に第三の要素(14)を配置する。また、第一の要素(9)、第二の要素(10)及び第三の要素(14)は、重なることなく凸画線(3)に配置される。形成体(S1)を第三の観察角度(E3)から視認した際には、第三の要素群(14a)のみが視認され、図13(b)に示す第四の観察角度(E4)から視認した際には、図11に示した、複数の第一の要素群(9a)、第二の要素群(10a)及び第三の要素群(14a)が視認される。
なお、第三の要素(14)は、図13(a)において、第二の側部(5)の上方に配置していたが、第一変形例、つまり第二の側部(5)に第三の要素(14)のみを配置する場合は、それに限定されず、第二の側部(5)であれば配置個所は限定されない。例えば、図13(c)に示すように、第二の側部(5)の下方に配置することも可能である。つまり、第一変形例における第三の観察角度(E3)とは、第三の要素(14)のみが視認可能となる角度であればよく、第三の要素(14)を第二の側部(5)の下方に配置した場合には、図13(c)に示す観察角度(E3’)であるθ3’が、第三の観察角度(E3)となる。なお、第二の側部(5)に、他の印刷要素が配置されるときには、第三の観察角度(E3)は変化していくが、それについては後述する。
(第三の画像及び合成画像の視認原理)
第一変形例の形成体(S1)を、観察角度を変化させて視認した際の、視認原理について説明する。
(第三の観察角度(E3)から視認)
図14(a)は、形成体(S1)を、第三の観察角度(E3)から視認した際の模式図である。形成体(S1)を、第三の観察角度(E3)から視認した際には、前述のとおり、第三の要素群(14a)のみ視認可能となる。よって、図14(a)に示す、第三の画像(12)のみが視認可能となる。第三の画像(12)は、複数の第三の模様要素部(14b)で形成された第三の模様部(12a)と、複数の第三の背景要素部(14c)で形成された第三の背景部(12b)から成る。第三の模様部(12a)は、第五の色の色材により形成された領域のように視認され、第三の背景部(12b)は、第六の色の色材により形成された領域のように視認される。
(第四の観察角度(E4)から視認)
図14(b)は、形成体(S1)を、第四の観察角度(E4)から視認した際の模式図である。形成体(S1)を、第四の観察角度(E4)から視認した際には、前述のとおり、第一の要素群(9a)、第二の要素群(10a)及び第三の要素群(14a)が視認可能となる。よって、図14(b)に示す、合成画像(13)が視認可能となる。合成画像(13)は、複数の第一の模様要素部(9b)、複数の第二の模様要素部(10b)及び複数の第三の模様要素部(14b)により形成された、合成模様部(13a)と、複数の第一の背景要素部(9c)、複数の第二の背景要素部(10c)及び複数の第三の背景要素部(14c)で形成された、合成背景部(13b)から成る。よって、合成画像(13)は、第一の色、第二の色、第三の色、第四の色、第五の色及び第六の色の色材により形成された画像のように視認される。
以上のように、第一変形例の形成体(S1)は、図2を用いて前述した形成体(S)の第二の側部(5)に、更に、第三の要素(14)を配置し、第一の要素群(9a)、第二の要素群(10a)及び第三の要素群(14a)を、領域(Z)内の異なる位置に配置することで、前述した第一の画像(7)及び第二の画像(8)に加え、図13(a)に示す、第三の観察角度(E3)から視認した際には、領域(Z)内における第一の画像(7)及び第二の画像(8)が視認された位置とは異なる位置に、新たに第三の要素群(14a)から成る第三の画像(12)が視認され、図13(b)に示す、第四の観察角度(E4)から視認した際には第一の要素群(9a)、第二の要素群(10a)及び第三の要素群(14a)から成る合成画像(13)が視認される。
(第二変形例)
図15(a)は、第二変形例の形成体(S2)の平面図である。なお、前述した形成体(S、S1)と重複する箇所については、説明を一部省略する。
図15(b)、図15(c)、図15(d)、図15(e)及び図15(f)は、図15(a)に示した形成体(S2)の要部である領域(Z)を示す模式図である。第一変形例として前述した形成体(S1)は、基材(1)上に形成した凸画線(3)と、三種類の印刷要素を組み合わせて付与することにより、形成体(S1)に対する観察角度を変化させることで視認可能な四つの画像を形成していた。第二変形例では、凸画線(3)上に、更にもう一種類印刷要素を配置し、四種類の印刷要素を組み合わせて付与することにより、観察角度を変化させることで視認可能な、図15(e)に示す第四の画像(15)を更に形成する。
なお、第一の画像(7)、第二の画像(8)及び第三の画像(12)については、各画像を形成する印刷要素及び各画像の視認原理が第二変形例でも前述した実施形態及び第一変形例と同様であることから、以下説明を省略する。また、基材(1)及び凸画線(3)についても、前述した実施形態及び第一変形例と同様であることから、以下説明を省略する。
図16(a)は、図15(a)に示した形成体(S2)の要部である領域(Z)を拡大した模式図であり、図16(b)は、図16(a)におけるA−A’を切断した断面図であり、図16(c)は、図16(b)におけるB−B’を切断した断面図である。図16(b)に示すように、第一変形例と同様に、第二の側部(5)に、第三の要素(14)が複数配置される。第二変形例では、図15(c)に示すように、凸画線(3)における第三の要素(14)を配置した側部と同一側部である第二の側部(5)の下方に、新たに第四の要素(16)を複数配置する。
それにより、形成体(S2)に対する観察角度を変化させて視認した際に、前述した、第一の要素群(9a)のみが視認可能となる観察角度と、第一の要素群(9a)及び第二の要素群(10a)が視認可能となる観察角度と、第三の要素群(14a)のみが視認可能となる観察角度に加え、さらに、複数の第三の要素(14)及び複数の第四の要素(14)が視認可能となる観察角度が新たに存在する。よって、第一の画像(7)のみが視認可能となる観察角度と、第二の画像(8)のみが観察可能となる観察角度と、第三の画像(12)のみが観察可能となる観察角度に加え、さらに、第四の画像(15)のみが観察可能となる観察角度が新たに存在する。以下、第二変形例における各要素及び各画像の視認原理について詳細に説明する。
(第四の要素)
前述した三種類の印刷要素に加え、更に付与する四種類目の印刷要素について説明する。図17は、第四の要素(16)を説明する模式図である。第四の要素(16)は、凸画線(3)とは異なる第四の色の色材により複数配置することで、第四の要素群(16a)となる(以下、複数の第四の要素を「第四の要素群」という。)。第四の要素群(16a)は、前述した図12に示す、第三の要素群(14a)と合成されることで、図15(e)に示す、第四の画像(15)を形成する。
第四の要素(16)は、凸画線(3)とは異なる第七の色の色材から成る第四の模様要素部(16b)と、凸画線(3)及び第七の色とは異なる第八の色の色材から成る第四の背景要素部(16c)に区分けされて複数配置される。
第四の要素(16)は、第七の色及び第八の色の色材を用いて、凸画線(3)上に公知の印刷方式により複数配置することで、第四の要素群(16a)となる。第四の要素(16)の印刷方式及び印刷に用いるインキについては、第一の要素(9)、第二の要素(10)及び第三の要素(14)と同様に、各種公知の印刷方式及びインキを用いることが可能である。
以上、第二変形例の形成体(S2)は、図11(a)に示した、複数の凸画線(3)の一方の側部である第一の側部(4)に、第一の要素(9)及び第二の要素(10)が複数配置され、他方の側部である第二の側部(5)に、第三の要素(14)が複数配置された形成体(S2)に、さらに、第三の要素(14)と同じ側部へ、図17に示した第四の要素(16)を複数配置した構成となる。第一の要素(9)、第二の要素(10)、第三の要素(14)及び第四の要素(16)は、各々重ならないように配置する。それにより、第一の要素群(9a)、第二の要素群(10a)、第三の要素群(14a)及び第四の要素群(16a)は、領域(Z)内における異なる位置に配置される。次に、第二変形例の形成体(S2)を、観察角度を変化させて視認した際の、視認原理について説明する。
(第四の要素の視認原理)
次に、凸画線(3)上に配置した第四の要素(16)が、視認可能となる視認原理について説明する。図18(a)は、基材(1)を第三の観察角度(E3)であるθ3から視認した際の模式図であり、図18(b)は、基材(1)を第五の観察角度(E5)であるθ5から視認した際の模式図である。
第三の観察角度(E3)及び第四の観察角度(E4)も、前述した第一の観察角度(E1)及び第二の観察角度(E2)と同様に、それぞれ、凸画線(3)の高さによりその観察角度が変化するが、第二変形例、つまり、第二の側部(5)に二つの異なる印刷要素が配置された場合の、第三の観察角度(E3)とは、図18(a)に示すように、第三の要素(14)を配置した第二の側部(5)の上方が視認可能となり、第四の要素(16)を配置した第二の側部(5)における下方及び第一の側部(4)が、第三の死角(G3)となり視認できない角度のことである。また、第五の観察角度(E5)とは、図18(b)に示すように、第三の要素(14)を配置した第二の側部(5)の上方及び第四の要素(16)を配置した第二の側部(5)における下方が視認可能となり、第一の側部(4)が、第四の死角(G4)となり視認できない角度のことである。
基材(1)を第三の観察角度(E3)から視認した場合、凸画線(3)における第二の側部(5)の上方は、隣り合う凸画線(3’’)の影となることなく視認可能である。一方、第二の側部(5)における下方及び第一の側部(4)は、第三の死角(G3)となり視認することができない。また、基材(1)を、第一の観察角度(E1)、第二の観察角度(E2)、第三の観察角度(E3)及び第四の観察角度(E4)とは異なる第五の観察角度(E5)から視認した場合、凸画線(3)における第二の側部(5)は、すべて隣り合う凸画線(3’’)の影となることなく視認可能である。一方、第一の側部(4)は、第四の死角(G4)となり視認することができない。
以上のように、本発明に用いる基材(1)は、第三の観察角度(E3)から視認すると、凸画線(3)における第二の側部(5)の上方のみが視認可能となり、第五の観察角度(E5)から視認すると、凸画線(3)における第二の側部(4)がすべて視認可能となる。よって、図18(a)に示すように、第三の観察角度(E3)からのみ視認可能な第二の側部(5)における上方に第三の要素(14)を配置し、図18(b)に示すように、第五の観察角度(E5)からのみ視認可能な第二の側部(5)における下方に第四の要素(16)を配置する。また、第一の要素(9)、第二の要素(10)、第三の要素(14)及び第四の要素(16)は、重なることなく凸画線(3)に配置される。形成体(S2)を第三の観察角度(E3)から視認した際には、第三の要素群(14a)のみが視認され、第五の観察角度(E5)から視認した際には、第三の要素群(14a)及び第四の要素群(16a)が視認される。
(第四の画像及び合成画像の視認原理)
次に形成体(S2)を、観察角度を変化させて視認した際の、視認原理について説明する。
(第五の観察角度(E5)から視認)
図19(a)は、第二変形例の形成体(S2)を、第五の観察角度(E5)から視認した際の平面図である。形成体(S2)を、第五の観察角度(E5)から視認した際には、前述のとおり、第三の要素群(14a)及び第四の要素群(16a)が視認可能となる。よって、図19(a)に示す、第四の画像(15)が視認可能となる。第四の画像(15)は、複数の第三の模様要素部(14b)及び複数の第四の模様要素部(16b)で形成された第四の模様部(15a)と、複数の第三の背景要素部(14c)及び複数の第四の背景要素部(16c)で形成された第四の背景部(15b)から成る。よって、第四の画像(15)は、第五の色、第六の色、第七の色及び第八の色の色材により形成された画像のように視認される。
(第四の観察角度(E4)から視認)
図19(b)は、第二変形例の形成体(S2)を、第四の観察角度(E4)から視認した際の模式図である。形成体(S2)を、第四の観察角度(E4)から視認した際には、前述のとおり、第一の側部(4)及び第二の側部(5)がすべて視認可能となることから、第一の要素群(9a)、第二の要素群(10a)、第三の要素群(14a)及び第四の要素群(16a)が視認可能となる。よって、図19(b)に示す、合成画像(13’)が、視認可能となる。合成画像(13’)は、複数の第一の模様要素部(9b)、複数の第二の模様要素部(10b)、複数の第三の模様要素部(14b)及び複数の第四の模様要素部(16b)で形成された、合成模様部(13a’)と、複数の第一の背景要素部(9c)、複数の第二の背景要素部(10c)、複数の第三の背景要素部(14c)及び複数の第四の背景要素部(16c)で形成された、合成背景部(13b’)から成る。よって、合成画像(13’)は、第一の色、第二の色、第三の色、第四の色、第五の色、第六の色、第七の色及び第八の色の色材により形成された画像のように視認される。
以上のように、第二変形例の形成体(S2)は、図11を用いて前述した第一変形例の形成体(S1)の第二の側部(5)に配置した第三の要素(14)の下方に、更に、図12に示した第四の要素(16)を配置し、第一の要素群(9a)、第二の要素群(10a)、第三の要素群(14a)及び第四の要素群(16a)を、領域(Z)内の異なる位置に配置することで、前述した第一の画像(7)、第二の画像(8)及び第三の画像(12)に加え、図13(a)に示す、第三の観察角度(E3)から視認した際には、領域(Z)内における第一の画像(7)、第二の画像(8)及び第三の画像(12)が視認された位置とは異なる位置に、第三の要素群(14a)から成る第三の画像(12)が視認され、図13(b)に示す、第四の観察角度(E4)から視認した際には第一の要素群(9a)、第二の要素群(10a)、第三の要素群(14a)及び第四の要素群(16a)から成る合成画像(13’)が視認される。
(第三変形例)
図20(a)は、第三変形例の形成体(S3)の平面図である。なお、前述した形成体(S)、第一変形例及び第二変形例と重複する箇所については、説明を一部省略する。
図20(b)及び図20(c)は、図20(a)に示した形成体(S)の要部である領域(Z)を示す模式図である。先に説明した実施形態で、形成体(S)は、第一の画像(7)及び第二の画像(8)を、領域(Z)内における異なる位置に配置していた。第三変形例では、図20(c)に示すように、第一の画像(7)及び第二の画像(8)が、少なくとも一部、領域(Z)内における同じ位置に配置されることで、第一の重複部(Y1)を新たに形成する。
前述のとおり、本発明における凸画線(3)のピッチは300〜1000μmと狭い。そのことから、第一の重複部(Y1)における、第一の要素(9)及び第二の要素(10)は、肉眼で一つ一つを識別することができず、第二の観察角度(E2)から視認した場合に、各要素を形成する色が混色して視認される。例えば、第一の重複部(Y1)内に、第一の色で形成された複数の第一の模様要素部(9b)と、第三の色で形成された複数の第二の模様要素部(10b)が配置していたとする。その際。第一の色が赤色で、第三の色が青色ならば、第一の重複部(Y1)は、紫色により視認される。つまり、第一の要素群(9a)及び第二の要素群(10a)から成る第二の画像(8)は、第一の色と、第二の色と、第三の色と、第四の色と、第一の色及び第三の色が混色した色により表現される。なお、前述のとおり、第一の色及び第三の色を同色とすることも可能である。以下、各模様要素部同士の色及び各背景要素部同士の色を、それぞれ異ならせて形成したものとして説明する。
なお、第一の画像(7)及び第二の画像(8)については、各画像を形成する印刷要素及び各画像の視認原理が第三変形例も、前述した実施形態と同様であることから、以下説明を省略する。また、基材(1)及び凸画線(3)についても、前述した実施形態と同様であることから、以下説明を省略し、第三変形例については、前述した実施形態とは異なる、第一の重複部(Y1)における第一の要素(9)及び第二の要素(10)を配置する個所について以下説明する。
図21(a)は、図20(a)に示した第三変形例における形成体(S3)の要部である領域(Z)を拡大した模式図であり、図21(b)は、断面A−A’を示す図である。図21(b)に示すように、第一の側部(4)には、第一の要素(9)及び第二の要素(10)が配置されている。第一の重複部(Y1)において、凸画線(3)における第一の側部(4)に配置した第一の要素(9)及び第二の要素(10)は、少なくとも一部が第一の対応関係により配置される。なお、第三変形例においては、第一の要素(9)における第一の模様要素部(9b)と、第二の要素(10)における第二の模様要素部(10b)が、第一の対応関係により配置されている。
図22は、第一の対応関係を説明する模式図であり、図22(a)、図22(b)及び図22(c)は、図22(d)に示すように、凸画線(3)における一方の側部に配置した二つの要素、例えば図22は、第一の側部(4)に配置した第一の要素(9)及び第二の要素(10)を第二の観察角度(E2)から視認した際の模式図である。
第一の対応関係により配置とは、図22(a)に示すように、凸画線(3)における第一の側部(4)に平行に配置した、第一の要素(9)及び第二の要素(10)が、一部が重複して向かい合う区域(T1)を有して配置されることである。図22(b)に示すように、重複する部分が一部であっても、本発明においては、第一の対応関係により配置しているとする。なお、図22(c)は、第一の要素(9)及び第二の要素(10)が第一の対応関係により配置していない場合を示す模式図である。
以上のように、第一の要素群(9a)及び第二の要素群(10a)が、少なくとも一部、領域(Z)内における同じ位置に配置されることで形成した、第一の重複部(Y1)は、第一の要素(9)及び第二の要素(10)が、第一の対応関係により配置されている。つまり、第一の要素群(9a)及び第二の要素群(10a)の一部は、ともに、一部が領域(Z)内における同じ位置である第一の重複部(Y1)内に配置されているが、その第一の重複部(Y1)内は、各要素(9、10)は、同じ位置に重なって配置されているのではなく、重なることなく、つまり、第一の要素(9)は、第一の観察角度(E1)から視認可能な位置に配置され、第二の要素(10)は、第一の観察角度(E1)からは視認できず、第二の観察角度(E2)からは、視認可能な位置に配置されている。
なお、図20(c)では、第一の要素群(9a)及び第二の要素群(10a)を、少なくとも一部、領域(Z)内における同じ位置に配置させることで、第一の重複部(Y1)を形成していたが、一つの第一の要素(9)及び一つの第二の要素(10)を第一の対応関係により配置することでも、第一の重複部(Y1)を形成することは可能である。また、図22では、第一の要素(9)及び第二の要素(10)が、第一の対応関係により配置された場合について説明したが、同様に、第三の要素(14)及び第四の要素(16)も第一の対応関係により配置することは可能である。さらには、凸画線(3)における両方の側部において、それぞれ同じ側部に配置された二つの要素を、第一の対応関係により配置することも可能である。
(第二の画像の視認原理)
次に、第三変形例における形成体(S3)を、第二の観察角度(E2)から視認した際の、視認原理について説明する。なお、第一の観察角度(E1)から視認した際の観察原理については、前述した実施形態と同様であることから説明を省略する。
(第二の観察角度(E2)から視認)
図23は、第三変形例の形成体(S3)を、第二の観察角度(E2)から視認した際の平面図である。形成体(S3)を第二の観察角度(E2)から視認した際には、前述のとおり、第一の要素群(9a)及び第二の要素群(10a)が視認可能となり、肉眼では、第二の画像(8)を視認することが可能である。また、第二の画像(8)における第一の重複部(Y1)は、第一の色及び第三の色が混色した色の色材により形成されたように視認される。
なお、図24(a)及び図24(b)に示すように、複数の第一の模様要素部(9b)及び複数の第二の模様要素部(10b)と、複数の第一の背景要素部(9c)及び複数の第二の背景要素部(10c)を、それぞれ領域(Z)内における同じ位置に配置した場合、図24(c)に示すように、複数の第一の模様要素部(9b)である第一の模様部(7a)及び複数の第二の模様要素部(10b)と、複数の第一の背景要素部(9c)である第一の背景部(7b)及び複数の第二の背景要素部(10c)は、各々形状及び大きさを同一として、領域(Z)内における同じ位置に形成される。
図24(c)に示した形成体(S3)を、第一の観察角度(E1)から視認すると、第一の画像(7)の第一の模様部(7a)が第一の色で視認され、第一の背景部(7b)が第二の色で視認される。また、第二の観察角度(E2)から視認すると、第一の画像(7)と形状及び大きさが同一の第二の画像(8)が、視認される。第二の画像(8)における第二の模様部(8a)は、第一の色及び第三の色が混色した色で視認され、第二の背景部(8b)は、第二の色及び第四の色が混色した色で視認される。つまり、肉眼においては、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)の色が、第一の色から第一の色及び第三の色が混色した色へと変化して視認され、第一の背景部(7b)の色が、第二の色から、第二の色及び第四の色が混色した色へと変化して視認される。
例えば、図24(c)に示した形成体(S3)において、第一の色を赤色とし、第二の色を青色とし、第三の色を青色とし、第四の色を赤色とした場合においては、第一の観察角度(E1)から視認すると、第一の画像(7)の第一の模様部(7a)が赤色で視認され、第一の背景部(7b)が青色で視認される。また、第二の観察角度(E2)から視認すると、第一の画像(7)と同一形状、かつ、同じ大きさで第二の画像(8)が、視認される。第二の画像(8)における第二の模様部(8a)は、赤色及び青色が混色して紫色で視認され、第二の背景部(8b)は、青色及び赤色が混色して紫色で視認される。つまり、肉眼においては、第一の観察角度(E1)から第二の観察角度(E2)へと変化させることで、第一の模様部(7a)と第一の背景部(7b)を肉眼で区別することができなくなり、ベタ画像である第二の画像(8)が視認される。なお、第一の色、第二の色、第三の色及び第四の色を、すべて異なる色とした場合においては、各模様部及び背景部においては、適宜混色した色により視認される。
このように、図24に示す形態とした際には、第一の模様要素部(9b)の色である第一の色及び第二の模様要素部(10b)の色である第三の色と、第一の背景要素部(9c)の色である第二の色及び第二の背景要素部(10c)の色である第四の色は、各々同じ色とすることが好ましい。模様要素部同士及び背景要素部同士をそれぞれ同じ色とすることで、前述の通り、第一の観察角度(E1)から第二の観察角度(E2)へ観察角度を変化させた場合に、潜像模様である第一の模様部(7a)が消失したように視認される。
第一の模様要素部(9b)の色である第一の色及び第二の模様要素部(10b)の色である第三の色と、第一の背景要素部(9c)の色である第二の色及び第二の背景要素部(10c)の色である第四の色は、すべて異なる色とすることも可能である。すべてを異なる色とすることで、形成体(S3)の観察角度を変化させて視認した場合に、肉眼では、形状及び大きさが同一の画像の色が徐々に変化しているように視認される。つまり、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)及び第一の背景部(7b)の色が、徐々に変化しているように視認される。
以上のように、第三変形例の形成体(S3)は、図21(a)に示すように、第一の側部(4)に配置した第一の要素(9)及び第二の要素(10)を第一の対応関係により配置することで、第一の重複部(Y1)を形成することが可能となる。第一の重複部(Y1)は、第二の観察角度(E2)から視認した際に、第一の重複部(Y1)内に配置された、各模様要素部又は背景要素部を形成する色が混色した色で視認される。
(第四変形例)
図25(a)は、第四変形例の形成体(S4)における平面図である。なお、前述した形成体(S、S1、S2、S3)と重複する箇所については、説明を一部省略する。
図25(b)、図25(c)、図25(d)及び図25(e)は、図25(a)に示した形成体(S4)の要部である領域(Z)を示す模式図である。先に説明した第三変形例において形成体(S3)は、同一側部に配置した二つの要素群を、少なくとも一部、領域(Z)内における同じ位置に配置させることで、第一の重複部(Y1)を形成した。第四変形例では、異なる側部に配置した二つの要素群を、少なくとも一部、領域(Z)内における同じ位置に配置させることで、図25(e)に示すように第二の重複部(Y2)を新たに形成する。
第一の画像(7)、第二の画像(8)、第三の画像(12)及び合成画像(13)については、各画像を形成する印刷要素及び各画像の視認原理が第四変形例においても、前述した実施形態、第一変形例、第二変形例及び第三変形例と同様であることから、以下説明を省略する。また、用いる基材(1)についても、前述した実施形態、第一変形例、第二変形例及び第三変形例と同様であることから、以下説明を省略し、第三変形例については、前述した実施形態、第一変形例、第二変形例及び第三変形例とは異なる、第二の重複部(Y2)における第一の要素(9)及び第三の要素(14)を配置する個所について以下説明する。
図26(a)は、図25(a)に示した第四変形例における形成体(S4)の要部である領域(Z)を拡大した模式図であり、図26(b)は、断面A−A’を示す図である。図26(b)に示すように、第一の側部(4)には、第一の要素(9)及び第二の要素(10)が配置され、第二の側部(5)には、第三の要素(14)が配置されている。第二の重複部(Y2)において、凸画線(3)における第一の側部(4)に配置した第一の要素(9)と、第二の側部(5)に配置した第三の要素(14)は、少なくとも一部が第二の対応関係により配置される。なお、第四変形例においては、第一の要素(9)における第一の模様要素部(9b)及び第三の要素(14)における第三の模様要素部(14b)と、第一の要素(9)における第一の背景要素部(9c)及び第三の背景要素部(14c)が、それぞれ第一の対応関係により配置されている。
図27は、第二の対応関係を説明する模式図であり、図27(a)、図27(b)及び図27(c)は、図27(d)に示すように、凸画線(3)における一方の側部に配置した一つの要素と、他方の側部に配置した一つの要素、例えば図27においては、第一の側部(4)に配置した第一の要素(9)と、第二の側部(5)に配置した第三の要素(14)を第四の観察角度(E4)から視認した際の模式図である。なお、図25においては、詳細に説明するために、第一の側部(4)に、第一の要素(9)と平行に配置された第二の要素(図示せず)を図示していないが、実際には、配置されているものとする。
第二の対応関係により配置とは、図27(a)に示すように、凸画線(3)における第一の側部(4)に配置した第一の要素(9)と、第二の側部(5)に配置した第三の要素(14)が、凸画線(3)における頂上部(6)を繋げた直線を中心として向かい合う区域(T2)を有して配置されることである。図27(b)に示すように、重複する部分が一部であっても、本発明においては、第二の対応関係により配置しているとする。なお、図27(c)は、第一の要素(9)及び第三の要素(14)が第二の対応関係により配置していない場合を示す模式図である。
前述のとおり、本発明における凸画線(3)のピッチは300〜1000μmと狭い。そのことから、図26における第二の重複部(Y2)においては、第一の要素(9)及び第三の要素(14)は、肉眼で一つ一つを識別することができず、第四の観察角度(E4)から視認した場合に、第二の重複部(Y2)に配置された第一の要素(9)及び第二の要素(10)における各模様部及び各背景部を形成する色が、混色して視認される。つまり、複数の第一の要素(9)、複数の第二の要素(10)及び複数の第三の要素(14)から成る合成画像(13)は、第一の色、第二の色、第三の色、第四の色、第五の色及び第六の色と、第二の対応関係により配置された各要素の色が混色した色の色材で形成された画像のように視認される。なお、前述のとおり、第一の色、第二の色、第三の色、第四の色、第五の色及び第六の色を同色とすることも可能である。その場合においては、第一の画像(7)、第二の画像(8)、第三の画像(12)及び合成画像(13)は、すべて同色の色材により形成された画像のように視認される。
以上のように、複数の第一の要素(9)及び複数の第三の要素(14)が、少なくとも一部、領域(Z)内における同じ位置に配置されることで形成した、第二の重複部(Y2)においては、第一の要素(9)及び第三の要素(14)が、第二の対応関係により配置されている。つまり、第一の要素群(9a)及び第三の要素群(14a)の一部は、ともに、一部が領域(Z)内における同じ位置である、第二の重複部(Y2)内に配置されているが、その第二の重複部(Y2)内においては、各要素(9、14)は、同じ位置に重なって配置されているのではなく、第一の要素(9)は、第一の観察角度(E1)から視認可能な位置に配置され、第三の要素(10)は、第三の観察角度(E3)から、視認可能な位置に配置されている。
なお、図27においては、第一の要素(9)及び第三の要素(14)が、第二の対応関係により配置された場合について説明したが、同様に、第一の要素(9)と第四の要素(16)、第二の要素(10)と第三の要素(14)、第二の要素(10)と第四の要素(16)においても、第二の対応関係により配置することも可能である。
(合成画像の視認原理)
次に、第四変形例における形成体(S4)を、第四の観察角度(E4)から視認した際の、視認原理について説明する。なお、第一の観察角度(E1)、第二の観察角度(E2)及び第三の観察角度(E3)から視認した際の観察原理については、前述した第一実施形態及び第二の実施形態と同様であることから省略する。
(第四の観察角度(E4)から視認)
図28は、第四変形例における形成体(S4)を第四の観察角度(E4)から視認した際の模式図である。形成体(S4)を第四の観察角度(E4)から視認した際には、前述のとおり、第一の要素群(9a)及び第三の要素群(14a)が視認可能となり、肉眼では、合成画像(13)を視認することが可能である。また、合成画像(13)における第二の重複部(Y2)は、第一の色及び第五の色が混色した色と、第二の色及び第六の色が混色した色により視認される。
以上のように、本発明における第四変形例の形成体(S4)は、図26(a)に示すように、第一の側部(4)に配置した第一の要素(9)と、第二の側部(5)に配置した第三の要素(14)を第二の対応関係により配置することで、第二の重複部(Y2)を形成することが可能となる。第二の重複部(Y2)は、第四の観察角度(E4)から視認した際に、第二の重複部(Y2)内に配置された、各模様要素部又は背景要素部を形成する色が混色した色で視認される。
(第五変形例)
図29(a)は、第五変形例の形成体(S5)を示す平面図である。なお、前述した形成体(S、S1、S2、S3、S4)と重複する箇所については、説明を一部省略する。
図29(b)、図29(c)、図29(d)、図29(e)及び図29(f)は、図29(a)に示した形成体(S5)の要部である領域(Z)を示す図である。先に説明した第三変形例及び第四変形例において形成体(S3、S4)は、異なる二つの要素群を、少なくとも一部領域(Z)内における同じ位置に配置させることで、第一の重複部(Y1)及び第二の重複部(Y2)を形成した。第五変形例の形成体(S5)においては、凸画線(3)に配置した、すべての要素群を、領域(Z)内における同じ位置に配置させることで、第三の重複部(Y3)を新たに形成する。
なお、第一の画像(7)、第二の画像(8)、第三の画像(12)及び第四の画像(15)については、各画像を形成する印刷要素及び各画像の視認原理が第五変形例においても、前述した実施形態、第三の変形例及び第四変形例と同様であることから、以下説明を省略する。また、基材(1)及び凸画線(3)についても、前述した実施形態と同様であることから、以下説明を省略し、第五変形例については、前述した実施形態、第一変形例、第二変形例、第三変形例及び第四変形例とは異なる、すべて重複した第三の重複部(Y3)における第一の要素(9)、第二の要素(10)、第三の要素(14)及び第四の要素(16)を配置する個所について以下説明する。
図30(a)は、図29(a)に示した第五変形例における形成体(S5)の要部である領域(Z)を拡大した模式図であり、図30(b)は、断面A−A’を示す図である。図29(b)に示すように、第一の側部(4)には、第一の要素(9)及び第二の要素(10)が配置され、第二の側部(5)には、第三の要素(14)及び第四の要素(16)が配置されている。
第三の重複部(Y3)において、第一の模様要素部(9b)、第二の模様要素部(10b)、第三の模様要素部(14b)及び第四の模様要素部(16b)と、第一の背景要素部(9c)、第二の背景要素部(10c)、第三の背景要素部(14c)及び第四の背景要素部(16c)は、各模様要素部及び各背景要素部が各々すべて同じ位置及び同じ長さにより第一の対応関係、かつ、第二の対応関係で配置される。
つまり、第一の模様要素部(9b)及び第二の模様要素部(10b)と、第一の背景要素部(9c)及び第二の背景要素部(10c)と、第三の模様要素部(14b)及び第四の模様要素部(16b)と、第三の背景要素部(14c)及び第四の背景要素部(16c)は、第一の側部(4)又は第二の側部(5)に、すべて同じ位置及び同じ長さにより第一の対応関係で配置され、さらに、第一の模様要素部(9b)及び第三の模様要素部(14b)と、第一の模様要素部(9b)及び第四の模様要素部(16b)と、第二の模様要素部(10b)及び第三の模様要素部(14b)と、第二の模様要素部(10b)及び第四の模様要素部(16b)と、第一の背景要素部(9c)及び第三の背景要素部(14c)と、第一の背景要素部(9c)及び第四の背景要素部(16c)と、第二の背景要素部(10c)及び第三の背景要素部(14c)と、第二の背景要素部(10c)及び第四の背景要素部(16c)は、凸画線(3)上に、各々すべて同じ位置及び同じ長さにより第二の対応関係で配置される。
すべて同じ位置及び同じ長さにより第一の対応関係で配置とは、前述した図21(a)に示すように、凸画線(3)における第一の側部(4)に平行に配置した、第一の模様要素部(9b)及び第二の模様要素部(10b)と、第一の背景要素部(9c)及び第二の背景要素部(10c)が、それぞれ同じ長さであり、各模様要素部又は各背景要素部が、すべてが重複して向かい合うように配置することである。それにより、各模様要素部又は背景要素部の長さと、重複して向かい合う区域(T1)の長さは同じ長さとなる。なお、すべて同じ位置及び同じ長さにより第一の対応関係で配置することは、第一の要素(9)及び第二の要素(10)に限らず、同一の側部に配置した、二つの要素であれば、同様に配置することが可能である。
また、すべて同じ位置及び同じ長さにより第二の対応関係で配置とは、前述した図25(a)に示すように、凸画線(3)における第一の側部(4)に配置した第一の模様要素部(9b)及び第一の背景要素部(9c)と、第二の側部(5)に配置した第三の模様要素部(14b)及び第三の背景要素部(14c)において、各模様要素部同士又は各背景模様部同士とが、各々同じ長さであり、すべてが重複して凸画線(3)における頂上部(6)を繋げた直線を中心として向かい合うように配置することである。それにより、各要素(9、10、14、16)の長さと、重複して向かい合う区域(T2)の長さは同じとなる。なお、すべて同じ位置及び同じ長さにより第二の対応関係で配置することは、第一の要素(9)及び第三の要素(10)に限らず、一方の側部に配置した一つの要素と、他方の側部に配置した一つの要素であれば、同様に配置することが可能である。
つまり、第三の重複部(Y3)において、複数の第一の模様要素部(9b)、複数の第二の模様要素部(10b)、複数の第三の模様要素部(14b)及び複数の第四の模様要素部(16b)と、複数の第一の背景要素部(9c)、複数の第二の背景要素部(10c)、複数の第三の背景要素部(14c)及び複数の第四の背景要素部(16c)は、各々がすべて領域(Z)内における同じ位置に配置される。それにより、図29(a)に示した形成体(S5)には、第一の画像(7)、第二の画像(8)、第三の画像(12)、第四の画像(15)及び合成画像(13’)が形状及び大きさを同一として、領域(Z)内における同じ位置に形成される。
以上のように、第五変形例における形成体(S5)は、第一の観察角度(E1)から視認すると、第一の模様部(7a)が第一の色で視認され、第一の背景部(7b)が第二の色で視認される。また、第二の観察角度(E2)から視認すると、第一の模様部(7a)と同一形状である第二の模様部(8a)が、第一の色及び第三の色が混色した色で視認され、第一の背景部(7b)と同一形状である第二の背景部(8b)が、第二の色及び第四の色が混色した色で視認される。また、第三の観察角度(E3)から視認すると、第一の模様部(7a)と同一形状である第三の模様部(12a)が、第五の色で視認され、第一の背景部(7b)と同一形状である第三の背景部(12b)が、第六の色で視認される。また、第五の観察角度(E5)から視認すると、第一の模様部(7a)と同一形状の第四の模様部(15a)が、第五の色及び第七の色が混色した色で視認され、第一の背景部(7b)と同一形状の第五の背景部(15b)が、第六の色及び第八の色が混色した色で視認される。さらに、第四の観察角度(E4)から視認すると、第一の模様部(7a)と同一形状である合成模様部(13a’)が、第一の色、第三の色、第五の色及び第七の色が混色した色で視認され、第一の背景部(7b)と同一形状である合成背景部(13b’)が、第二の色、第四の色、第六の色及び第八の色が混色した色で視認することが可能となる。なお、前述のとおり、各模様部同士及び各背景部同士は、それぞれが領域(Z)内における同じ位置に形成されている。つまり、肉眼においては、観察角度を変化させることで、それに伴い、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)及び第一の背景部(7b)の色が変化しているように視認される。
例えば、第五変形例において、第一の模様要素部(9b)を黄色の色材、第一の背景要素部(9c)を青色の色材、第二の模様要素部(10b)を赤色の色材、第二の背景要素部(10c)を緑色の色材、第三の模様要素部(14b)を青色の色材、第三の背景要素部(14c)を赤色の色材、第四の模様要素部(16b)を緑色の色材、第四の背景要素部(16c)を黄色の色材でそれぞれ形成する。
その場合、形成体(S5)に対し、視点を第一の観察角度(E1)から第二の観察角度(E2)へと徐々に変化させたところ、その観察角度の変化に伴い、第一の模様部(7a)は、黄色に対して赤色が混色する比率が徐々に多くなり、第一の背景部(7b)は、青色に対して緑色の混色する比率が徐々に多くなる。つまり、肉眼において、第一の模様部(7a)は黄色からオレンジ色へと徐々に変化したように視認され、第一の背景部(7b)は青色から青緑色へと徐々に変化したように視認される。そして、視点が形成体(S5)に対して第二の観察角度(E2)となるとき、第一の模様部(7a)と同一形状である第二の模様部(8a)が、黄色と赤色が同じ比率で混色したオレンジ色として視認され、第一の背景部(7b)と同一形状である第二の背景部(8b)が、青色と緑色が同じ比率で混色した青緑色として視認される。
また、形成体(S5)に対し、視点を第二の観察角度(E2)から第四の観察角度(E4)へと徐々に変化させたところ、その観察角度の変化に伴い、第二の模様部(8a)は、オレンジ色に対して青色及び緑色が混色する比率が徐々に多くなり、第二の背景部(7b)は、青緑色に対して赤色及び黄色が混色する比率が徐々に多くなる。つまり、肉眼においては、第一の模様部(7a)が、オレンジ色から、オレンジ色と、青色及び緑色が混色した色へと徐々に変化したように視認され、第一の背景部(7b)が、青緑色から、青緑色と、赤色及び黄色が混色した色へと徐々に変化したように視認される。そして、視点が形成体(S5)に対して第四の観察角度(E4)となるとき、第一の模様部(7a)と同一形状である合成模様部(13a’)が、黄色、赤色、青色及び緑色が混色した色で視認され、第一の背景部(7b)と同一形状である合成背景部(13b’)が、青色、緑色、赤色及び黄色が混色した色で視認される。つまり、合成模様部(13a’)及び合成背景部(13b’)は、同じ色で視認されることから、各々を肉眼で識別することができない。よって、この場合においては、合成画像(13’)は、濃度が一様なベタの画像として視認される。
また、形成体(S5)に対し、視点を第四の観察角度(E4)から第五の観察角度(E5)へと徐々に変化させたところ、その観察角度の変化に伴い、合成模様部(13a’)は、黄色、赤色、青色及び緑色が混色した色に対して黄色及び赤色が混色する比率が徐々に少なくなる。また、合成背景部(13b’)では、青色、緑色、赤色及び黄色が混色した色に対して青色及び緑色が混色する比率が徐々に少なくなる。つまり、肉眼においては、第一の模様部(7a)が、黄色、赤色、青色及び緑色が混色した色から青緑色へと徐々に変化したように視認され、第一の背景部(7b)が、青色、緑色、赤色及び黄色が混色した色からオレンジ色へと徐々に変化したように視認される。そして、視点が形成体(S5)に対して第三の観察角度(E3)となるとき、第一の模様部(7a)と同一形状である第四の模様部(15a)が、青色及び緑色が同じ比率で混色した青緑色として視認され、第一の背景部(7b)と同一形状である第四の背景部(15b)が、赤色及び黄色が同じ比率で混色したオレンジ色として視認される。
さらに、形成体(S5)に対し、視点を第五の観察角度(E5)から第三の観察角度(E3)へと徐々に変化させたところ、その観察角度の変化に伴い、第四の模様部(15a)は、青緑色に対して緑色が混色する比率が徐々に少なくなり、第一の背景部(7b)では、オレンジ色に対して黄色が混色する比率が徐々に少なくなる。つまり、肉眼においては、第一の模様部(7a)が、青緑色から青色へと徐々に変化したように視認され、第一の背景部(7b)が、オレンジ色から赤色へ徐々に変化したように視認される。そして、視点が形成体(S5)に対して第三の観察角度(E3)となるとき、第一の模様部(7a)と同一形状である第三の模様部(12a)が青色で視認され、第一の背景部(7b)と同一形状である第三の背景部(12b)が赤色で視認される。つまり、形成体(S5)に対して徐々に観察角度を変化させることにより、それに伴い、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)及び第一の背景部(7b)の色が、それぞれ徐々に変化しているように視認される。なお、各要素の幅(要素が画線でる場合には、画線幅)により、混色して視認される際の各色の混色比率は、その幅に伴い適宜変化することは、いうまでもない。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
実施例1として、図1(a)に示した構成により形成体(S)を作製した。形成体(S)は、基材(1)として上質紙(日本製紙製 NPI上質紙 81.4g/m2)を用いた。基材(1)上に、スクリーン印刷機(RANAS製 MF―250)を用いて、スクリーン印刷用UV硬化型インキにより、複数の凸画線(3)を形成した。複数の凸画線(3)は、250μmの画線であり、ピッチ(d)をすべて500μmとした。
第一の要素(9)を、図7(a)に示した80μmの一定幅の画線として形成し、第二の要素(10)を、図7(a)に示した80μmの一定幅の画線として形成した。また、第一の要素(9)における第一の模様要素部(9b)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 UV LP−365 グリーン)を用いて印刷し、第一の背景要素部(9c)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 UV Lパントン126U 黄土)を用いて印刷した。第二の要素(10)における第二の模様要素部(10b)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 UV LカートンP182C ピンク)を用いて印刷し、第二の背景要素部(10c)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 UV Lパントン364U 草)を用いて印刷した。なお、第一の要素(9)及び第二の要素(10)は、各々オフセット印刷機(下垣鉄工所製 EP―60)により凸画線(3)上に形成した。
実施例1にて作製した形成体(S)を、第一の観察角度(E1)から肉眼で視認したところ、第一の画像(7)が視認できた。第一の画像(7)における第一の模様部(7a)はグリーン色で視認でき、第一の背景部(7b)は黄土色で視認できた。なお、第二の画像(8)は視認できなかった。次に、形成体(S)を、第二の観察角度(E2)から視認したところ、第二の画像(8)が視認できた。第二の画像(8)における第二の模様部(8a)はグリーン色及びピンク色が混色した色で視認でき、第二の背景部(8b)は黄土色及び草色が混色した色で視認できた。
(実施例2)
実施例2として、図29に示した第五変形例の形成体(S5)を作製した。形成体(S5)は、基材(1)としてフォーム紙(日本製紙製 NPIフォーム紙 81.4g/m2)を用いた。基材(1)上に、スクリーン印刷機(RANAS製 MF―250)を用いて、スクリーン印刷用UV硬化型インキにより、複数の凸画線(3)を形成した。複数の凸画線(3)は、200μmの画線であり、ピッチ(d)をすべて500μmとした。
第一の要素(9)を、図7(a)に示した70μmの一定幅の画線として形成し、第二の要素(10)を、図7(a)に示した70μmの一定幅の画線として形成し、第三の要素(14)を、図7(a)に示した60μmの一定幅の画線として形成し、第四の要素(16)を、図7(a)に示した50μmの一定幅の画線として形成した。
また、第一の要素(9)における第一の模様要素部(9b)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 UV LP−365 グリーン)を用いて印刷し、第一の背景要素部(9c)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 UV Lパントン126U 黄土)を用いて印刷した。第二の要素(10)における第二の模様要素部(10b)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 UV LカートンP182C ピンク)を用いて印刷し、第二の背景要素部(10c)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 UV Lパントン364U 草)を用いて印刷し、第三の要素(14)における第三の模様要素部(14b)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 UV Lパントン700U 淡赤)を用いて印刷し、第三の背景要素部(14c)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 UV Lパントン113 黄)を用いて印刷した。第四の要素(16)における第四の模様要素部(16b)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 UV Lパントン277 水色)を用いて印刷し、第四の背景要素部(16c)は、オフセットインキ(T&K TOKA製 UV Lパントン2365 淡ピンク)を用いて印刷した。
なお、第一の要素(9)、第二の要素(10)、第三の要素(14)及び第四の要素(16)は、各々オフセット印刷機(下垣鉄工所製 EP―60)により凸画線(3)上に形成した。
実施例2にて作製した形成体(S5)を、第一の観察角度(E1)から肉眼で視認したところ、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)がグリーン色で視認でき、第一の背景部(7b)が黄土色で視認できた。次に、形成体(S5)を、第一の観察角度(E1)から第二の観察角度(E2)へと徐々に変化させたところ、その観察角度の変化に伴い、第一の画像(7)においては、第一の模様部(7a)が、グリーン色から、グリーン色及びピンク色が混色した色へと徐々に変化して視認され、第一の背景部(7b)が、黄土色から、黄土色及び草色が混色した色へと徐々に変化して視認された。そして、視点が形成体(S5)に対して第二の観察角度(E2)となるとき、第一の画像(7)と形状及び大きさが同一である第二の画像(8)の第二の模様部(8a)が、グリーン色及びピンク色が混色した色で視認され、第二の背景部(8b)が黄土色及び草色が混色した色で視認された。
次に、形成体(S5)に対して視点を第二の観察角度(E2)から第四の観察角度(E4)へと徐々に変化させたところ、その観察角度の変化に伴い、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)は、グリーン色及びピンク色の混色した色から、更に、淡赤色及び水色が加わった色へと徐々に変化して視認され、第一の背景部(7b)は、黄土色及び草色の混色した色から、黄色及び淡ピンク色が加わった色へと徐々に変化して視認された。そして、視点が形成体(S5)に対して第四の観察角度(E4)となるとき、第一の画像(7)と形状及び大きさが同一である合成画像(13’)の合成模様部(13a’)が、グリーン色、ピンク色、淡赤色及び水色の四色が混色した色で視認でき、合成背景部(13b’)が、黄土色、草色、黄色及び淡ピンク色の四色が混色した色で視認できた。
次に、形成体(S5)に対して視点を、第四の観察角度(E4)から第五の観察角度(E5)へと徐々に変化させたところ、その観察角度の変化に伴い、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)は、肉眼において、グリーン色、ピンク色、淡赤色及び水色の四色が混色した色から、淡赤色及び水色が混色した色へと徐々に変化して視認され、第一の背景部(7b)は、黄土色、草色、黄色及び淡ピンク色の四色が混色した色から、黄色及び淡ピンク色が混色した色へと徐々に変化して視認された。そして、視点が形成体(S5)に対して第三の観察角度(E3)となるとき、第一の画像(7)と形状及び大きさが同一である第四の画像(15)の第四の模様部(15a)が淡赤色で視認でき、第四の背景部(15b)が黄色で視認できた。
さらに、形成体(S5)を、第五の観察角度(E5)から第三の観察角度(E3)へと徐々に変化させたところ、その観察角度の変化に伴い、第一の画像(7)における第一の模様部(7a)は、肉眼において、淡赤色及び水色が混色した色から、淡赤色へと徐々に変化して視認され、第一の背景部(7b)は、黄色及び淡ピンク色が混色した色から、黄色へと徐々に変化して視認された。そして、視点が形成体(S5)に対して第三の観察角度(E3)となるとき、第一の画像(7)と形状及び大きさが同一である第三の画像(12)の第三の模様部(12a)が淡赤色で視認でき、第三の背景部(12b)が黄色で視認できた。
以上、本発明に係る実施例1〜2に基づいて実施の形態を説明したが、上記実施例に限定されることなく特許請求の範囲記載の技術思想の範囲内で、更にいろいろな実施例があることは言うまでもない。