本発明の実施形態について図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他色々な形態が実施可能である。
図1は、本発明における特殊潜像模様形成体(以下、「形成体」という。)(1)を示す平面図の一例である。図1(a)は、本発明の形成体が付与された偽造防止印刷物(S)の一例として、商品券を示す平面図である。偽造防止印刷物(S)は、紙、プラスチックカード等の基材(2)上に、店舗名、券種等が、シアン、マゼンタ、イエロー等の一般的に用いられるインキにより付与されている。偽造防止印刷物(S)には、少なくとも一部に形成体(1)が付与されている。形成体(1)は、詳細は後述するが、凸状万線(6)上にカラー画像として一般的に用いられるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)等の印刷万線(7)を配置することにより形成されている。
図1(b)、図1(c)及び図1(d)は、偽造防止印刷物(S)に対して観察角度を変化させながら視認した際の形成体(1)における画像の拡大図である。図1(a)に示した形成体(1)には、図1(b)に示す第一の画像(3)及び図1(c)に示す第二の画像(4)と、更に、図1(d)に示す、第一の画像(3)及び第二の画像(4)を合成した第三の画像(5)が形成されている。
図2は、本発明における形成体(1)が形成された基材(2)を、可視光源下で観察した際の視点(E1、E2、E3)及び基材(2)の位置関係を示す図である。なお、凸状万線(6)(図示せず)は、基材(2)表面上における第一の方向(X)と直交する方向に配置されている。
異なる画像を視認することが可能な観察角度とは、基材(2)に対して、下方、上方及び正面から観察した際の観察角度である。本発明においては、基材(2)に対して、視点が(E1)に示す位置関係にあるとき、第一の観察角度(E1)とし、視点が(E2)に示す位置関係にあるとき、第二の観察角度(E2)で観察したこととする。更に、視点が(E3)に示す位置関係にあるとき、第三の観察角度(E3)とする。
図1(a)に示した形成体(1)を基材(2)に対して第一の観察角度(E1)から観察すると、図1(b)に示す第一の画像(3)が視認でき、また、第二の観察角度(E2)から観察すると図1(c)に示す第二の画像(4)が視認可能である。更に、第三の観察角度(E3)から観察すると、図1(d)に示す第一の画像(3)及び第二の画像(4)を合成した第三の画像(5)を視認することが可能である。
(第1実施形態)
本発明の形成体(1)の第1実施形態について以下説明する。本発明の形成体(1)は、図3に示すように、凸状万線(6)の上に前述したシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)等の印刷万線(7)が印刷されている。この凸状万線(6)を構成している凸画線(8)の一方の斜面(以下、「第一の側部」という。)(9)に印刷万線(7)を構成している第一の要素(16)が配置され、また、凸画線(8)のもう一方(以下、「他方」という。)の斜面(以下、「第二の側部」という。)(10)に第二の要素(17)が印刷されている。なお、印刷万線(7)についての詳細は、後述する。
まず、凸状万線(6)について以下説明する。図4(a)は、本発明における形成体(1)を構成する凸状万線(6)を示す図である。図4(a)に示すように、基材(2)上における少なくとも一部に、凸状万線(6)が形成されている。凸状万線(6)は、第一の方向(X)に第1のピッチ(d)で凸画線(8)が複数配置されている。この凸画線(8)の画線幅については、ピッチとの関係により、200〜800μmの範囲で形成する。凸状万線(6)における第1のピッチ(d)とは、印刷方式、用いる基材(2)等を考慮して適宜設定されるものであるが、例えば、400〜1000μmである。
凸状万線(6)は、印刷万線(7)が重なることで潜像画像の第一の画像(3)及び第二の画像(4)を出現させるものであるが、この潜像画像を構成する潜像部(11)と、その背景となる背景部(12)から構成されている。図4(a)に示すように、凸状万線(6)は、潜像部(11)と背景部(12)に所定の間隔を有する輪郭部(13)を有し、この輪郭部(13)により潜像部(11)と背景部(12)に区分けされている。したがって、凸状万線(6)を構成している複数の凸画線(8)は、輪郭部(13)には形成されていない。
この輪郭部(13)に該当する所定の間隔については、規則的に全てが同じ間隔の幅であってもよいが、必ずしも同じ間隔でなくても構わない。ただし、潜像画像を明瞭に出現させるためには、同じ間隔であることが好ましい。この所定の間隔の範囲については、200〜1000μm程度とする。凸画線(8)同士の間隔が200μm以下では明瞭に輪郭が形成されず、また、1000μm以上では、基材に対して真上からの第三の観察角度(E3)において観察した場合、凸画線(8)の間隔が視認されてしまい、違和感のある画像となってしまうためである。
凸状万線(6)は、基材(2)上に、凹版印刷、スクリーン印刷、エンボス、すき入れ、レーザ加工等により形成することができる。凹版印刷、スクリーン印刷等による凸状万線(6)の形成は、基材(2)に対して、所望の印刷方法に適した版面及びインキを用いて印刷を行い、インキの盛りにより凸形状を形成し、その凸形状を凸画線(8)とする。
エンボスによる凸状万線(6)の形成は、所望の凸状万線(6)の大きさに合わせた凹型及び凸型を用いて、基材(2)を凹型及び凸型で挟み込み圧力を加えることで、基材(2)上に凹形状(基材(2)に対して、凹ませる)又は凸形状(基材(2)に対して、突起させる)を形成し、その凹形状又は凸形状を凸状万線(6)とする。なお、凹形状においては、前述の通り、基材(2)の一部を凹ませることで凸状万線(6)を形成することとなるが、本発明においては、総称して凸状万線(6)と呼ぶ。
すき入れによる凸状万線(6)の形成は、基材(2)を紙とした際に、製造装置である抄紙機上における、ダンディロール部、円網部、プレスパート部等において、紙の原材料(紙料)を排除(凹部)又は増加(凸部)することで形成する。なお、凹部においては、前述の通り、紙料を排除することで凸状万線(6)を形成することとなるが、本発明においては、総称して凸状万線(6)と呼ぶ。
レーザ加工等により凸状万線(6)の形成は、基材(2)の一部を、所望のレーザ加工装置を用いて、レーザ照射により基材の一部を除去することにより形成する。つまり、基材(2)の一部に凹部を形成することで凸状万線(6)を形成することとなるが、本発明においては、作製方法に関わらず、総称して凸状万線(6)と呼ぶ。
凸状万線(6)を印刷により基材(2)に形成する場合において、透明インキを用いることは好ましくない。透明インキを用いると、後述するが、凸画線(8)により各々の要素を遮蔽することで潜像画像が出現するという効果は生じなくなる。しかしながら、顔料、染料等が混入された有色透明インキについては、各々の要素を遮蔽する効果が生じるものもあることから、このような有色透明インキについては、本発明において適宜選択することができるものとする。
なお、図4(a)において、第三の観察角度(E3)から視認した場合の凸状万線(6)の形状は、直線状の直万線としているが、波線状の波万線とすることも可能である。
図4(b)は、本発明における図4(a)に示した基材(2)を、A−A’部分で第一の方向(X)に切断した断面図である。図4(b)に示すように、基材(2)における底部(15)から、垂直する方向に高さを有する凸画線(8)を形成する。第1の方向(X)に第1のピッチ(d)で複数配置された凸画線(8)は、各々が第一の側部(9)、第二の側部(10)及び頂上部(14)を有している。第一の側部(9)及び第二の側部(10)は、第1の方向(X)と垂直する方向に対して、頂上部(14)を中心に対となるように対応した関係である。
前述した第一の観察角度(E1)から観察した場合、凸画線(8)における第一の側部(9)は、隣り合う凸画線(8)の影となることなく観察可能である。一方、第二の側部(10)は、隣り合う凸画線(8)の影となり、視認することができない。また、第二の観察角度(E2)から観察した場合、凸画線(8)における第二の側部(10)は、隣り合う凸画線(8)の影となることなく観察可能である。一方、第一の側部(9)は、隣り合う凸画線(8)の影となり、視認することができない。さらに、第三の観察角度(E3)から観察した場合、凸画線(8)における第一の側部(9)及び第二の側部(10)は、隣り合う凸画線(8)の影となることなく観察可能である。
図5は、本発明における凸画線(8)の形状を示す断面図である。凸画線(8)の断面形状は、図4(b)において示した台形状に限定されず、図5に示した各種の形状とすることが可能である。例えば、図5(a)に示すように、凸画線(8)の断面形状は、図4(b)と同一形状だが、それぞれの凸画線(8)のピッチである第1のピッチ(d)を狭くしても良い。なお、第1のピッチ(d)を狭くすることで、図5(a)及び後述する図5(c)に示すように、基材(2)から凸画線(8)が隆起する際の底部(15)を、面状ではなく点状とすることも可能である。
また、図5(b)に示すように、非対称形状や、図5(c)、図5(d)及び図5(e)に示すように、凸画線(8)における頂上部(14)を、面状ではなく点状とすることも可能であり、更には、図5(f)及び図5(g)に示すように、半円状としても良い。半円状とした場合の第一の側部(9)及び第二の側部(10)は、頂上部(14)を中心として、一方を第一の側部(9)とし、他方を第二の側部(10)とする。
更には、図5(i)に示すように、凸画線(8)の形状は、一つ一つを異なる形状とすることも可能であり、また、図5(j)に示すように、隣り合う一つの凸画線(8)同士のピッチが一定でない構成とすることも可能である。その場合において、一つ一つのピッチは、400〜1000μmの範囲内とする。なお、ピッチを400〜1000μmの範囲内とする点については、後述する。
次に、凸状万線(6)の上に印刷する印刷万線(7)について具体的に説明する。図6(a)は、前述した凸画線(8)の上に第一の要素(16)と第二の要素(17)が印刷されたものであり、図6(b)は、その一部を拡大した図、図6(c)は図6(a)のA−A’断面図、図6(d)は、図6(a)のB−B’断面図である。
第一の要素(16)は、凸画線(8)とは異なる第1の色で形成し、第二の要素(17)は、凸画線(8)及び第一の要素(16)の第1の色とは異なる第2の色で形成する。同じ色では、観察角度を変化させても所望する潜像画像を出現させることができない。
この印刷万線(7)は、凸画線(8)に平行に直線状に配列されており、第一の要素(16)は潜像部(11)の第一の側部(9)に沿って配置されている。本発明において「第一の要素(16)が潜像部(11)の第一の側部(9)に沿って配置される」とは、その第一の要素(16)が第一の側部(9)に配置されているのはもちろんのこと、その延長線上まで直線状に配置されていることを言う。したがって、本実施形態1では、第一の要素(16)は、潜像部(11)の第一の側部(9)とその延長線上の輪郭部(13)、更には背景部(12)の第一の側部(9)にも配置されているものである。同様に、第二の要素(17)は、潜像部(11)の第二の側部(10)に沿って配置されている。
第一の要素(16)及び第二の要素(17)は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)等、一般的な公知の印刷材料を用いて、オフセット印刷方式、IJP方式等、公知の印刷方式を用いて印刷する。ただし、凸画線(8)の斜面に印刷することから、凹版印刷方式のように、強圧を用いてそれぞれの要素を印刷すると、凸形状が崩れてしまうため、好ましく無い。
印刷万線(7)の画線幅については、凸画線(8)の側部から底部にかけて配置することが望ましい。そのため凸部の高さにもよるが、本発明では、画線幅を60μm以上とした。また、60μm未満では、印刷万線(7)を印刷することは難しい。適正な画線幅は、凸画線(8)の高さ(測部の長さ)、ピッチ(d)によって決定され、例えば、凸画線(8)のピッチが500μmの場合、画線幅が250μm以上では、第一の要素(16)及び第二の要素(17)が重畳してしまうことになる。したがって、刷合せ精度を考慮すると第一の要素(16)及び第二の要素(17)の間隙を100μmとすると、印刷万線(7)の画線幅は、150μmとなる。
図6(a)は、形成体(1)を第三の観察角度(E3)から観察した図である。図面上では、第一の要素(16)及び第二の要素(17)が区分けして視認されているが、実際の印刷物については、それぞれの要素のピッチは凸画線(8)と同じ400〜1000μmのため、第一の要素(16)の色と第二の要素(17)の色が混色して観察される。
図6(c)は、図6(a)におけるA−A’の断面図であり、図6(d)は、図6(a)におけるB−B’の断面図である。それぞれの図に示すように、凸画線(8)が存在している箇所については、凸画線(8)の第一の側部(9)に第一の要素(16)が印刷され、凸画線(8)の第二の側部(10)に第二の要素(17)が印刷されている。
ただし、本発明の特徴点でもある凸画線(8)が形成されていない輪郭部(13)に該当する箇所については、図6(d)に示すように、第一の要素(16)も第二の要素(17)も底部(15)に形成されることとなる。この輪郭部(13)によって、第一の画像(3)も第二の画像(4)も潜像部(11)と背景部(12)に区分けされることとなる。
本発明において要素とは、画線や、複数の網点が同一方向(以下、「直線状」という。)に配置された網点群又は複数の画素が直線状に配置された画素群のことである。図7は、本発明における画線の一例を示す図である。画線とは、例えば、図7(a)に示す直線、図7(b)に示す破線、図7(c)に示す波線、図7(d)に示す破線状の波線である。画線幅は、一般的に60〜200μmが用いられる。網点とは、網目スクリーン、コンタクトスクリーン等により、印刷物上に構成された点である。網点及び後述する画素は、直線状又は波線状に複数配置されて、網点群又は画素群を形成する。網点群又は画線群となることで、画線状に構成される。網点形状は、円形ドットに限定されるものではなく、ランダムドットや本出願人が先に出願した特開平11−268228号公報で提案している特殊網点生成法を用いて意匠性を加味した入力画像を網点(ハーフトーンスクリーン)から成る連続階調網点に変換した自由度のある特殊網点形状を用いても良い。
また、画素形状としては、例えば、図7(e)に示すような円形状、図示していないが楕円形状、図7(f)に示す長方形等の四角形状、図7(g)に示す三角形状等の多角形状としてもよい。
また、図7(g)に示すように、角度を回転させて配列しても良い。また、図7(h)に示すように文字形状としてもよい。その際には、偽造防止効果を高めるために図7(h)のように、文字書体を異ならせて配列しても良い。図7(h)に示した文字形状は、一般的に微小文字又は特殊網点と呼ばれるが、本発明においては画素とする。更に、図7(i)及び図7(j)に示すように、一つの画素内において、画線、網点などの少なくとも二種類以上を組み合わせて直線状に配置しても良い。なお、以降の実施形態については画素を直線として説明する。
以上のように、凸画線(8)が複数配列された凸状万線(6)の上にそれぞれ色が異なる第一の要素(16)と第二の要素(17)から成る印刷万線(7)を形成した本発明の形成体(1)における各画像の視認原理について、図8を用いて説明する。
本発明の形成体(1)を、第一の観察角度(E1)から観察した場合は、凸画線(8)の第一の側部(9)に印刷された第一の要素(16)は凸画線(8)に遮蔽され、第二の要素(17)を観察することになる。ただし、輪郭部(13)については、凸画線(8)が存在していないため、第一の要素(16)及び第二の要素(17)はいずれも凸画線(8)に遮断されることがなく、第一の要素(16)の第1の色と第二の要素(17)の第2の色が混色した色で視認される。したがって、第二の要素(17)で形成された第2の色の第二の画像(4)が、潜像部(11)(第二の画像(4)において視認できる潜像部(11)を、以下「第二の潜像部(11b)」という。)の輪郭が第1の色と第2の色の混色した状態で視認できるため、第二の潜像部(11b)と背景部(第二の画像(4)において視認できる背景部(12)を、以下「第二の背景部(12b)」という。)が明瞭に区分けされた第二の画像(4)を視認することができる。
また、第二の観察角度(E2)から観察した場合は、凸画線(8)の第二の側部(10)に印刷された第二の要素(17)は、凸画線(8)に遮蔽され、第一の要素(16)を観察することになる。ただし、輪郭部(13)については、凸画線(8)が存在していないため、第一の要素(16)及び第二の要素(17)はいずれも凸画線(8)に遮断されることがなく、第一の要素(16)の第1の色と第二の要素(17)の第2の色が混色した色で視認される。したがって、第一の要素(16)で形成された第1の色の第一の画像(3)が、潜像部(11)(第一の画像(3)において視認できる潜像部(11)を、以下「第一の潜像部(11a)」という。)の輪郭が第1の色と第2の色の混色した状態で視認できるため、第一の潜像部(11a)と背景部(第一の画像(3)において視認できる背景部(12)を、(以下,「第二の背景部(12a)」という。)が明瞭に区分けされた第一の画像(3)を視認することができる。
前述したように、輪郭部(13)には凸画線(8)が形成されていないので、第一の観察角度(E1)、第二の観察角度(E2)及び第三の観察角度(E3)のいずれから観察しても第一の要素(16)の色及び第二の要素(17)の色の混色として観察されることとなる。
(第1実施形態の第1変形例)
本発明における形成体(1)の第1の変形例について以下説明するが、前述した第1実施形態と同じ構成については、省略する。第1実施形態では、第一の要素(16)は、第1の色のみで形成されており、第二の要素(17)は、第2の色のみで形成されていたが、第1の変形例では、第一の要素(16)が第1の色と第2の色で形成され、第二の要素(17)も第1の色と第2の色で形成されているものである。
第1の変形例における凸状万線(6)については、前述した第1実施形態と同様のため、説明については省略する。
図9(a)は第1変形例における形成体(1)を第三の観察角度(E3)から見た際の模式図であり、図9(b)は、その一部を拡大した図である。更に、図9(c)〜(e)は、図9のA−A’、B−B’及びC−C’における断面図である。
図9(b)に示すように、第一の要素(16)が部分的に第1の色と第2の色に区分けされ、同様に第二の要素(17)も部分的に第2の色と第1の色に区分けされている。なお、第1変形例では、一つの要素が2色から形成されているため、同じ一つの要素、例えば第一の要素(16)でも、第一の潜像部(11a)と第一の背景部(12a)では、図9(c)と図9(e)に示すように異なった色となっている。
まず、第一の画像(3)を形成する第一の要素(16)について説明する。図9(e)において、第一の潜像部(11a)を形成する第一の要素(16)は、第1の色により第一の側部(9)に配置されている。なお、本第1実施形態の第1変形例でも、第一の要素(16)は第一の側部(9)に沿って直線状に配置されているが、前述のとおり、第一の要素(16)は2色から構成されているため、図9(c)に示す第一の背景部(12a)においては、第一の側部(9)には、第2の色の第一の要素(16)が配置されているものである。したがって、第1の色と第2の色の境界は、図9(d)に示す輪郭部(13)に配置されることとなる。輪郭部(13)は、凸画線(8)が存在していないため、第一の要素(16)も第二の要素(17)も凸画線(8)により遮蔽されることはないため、常にどの観察角度からでも混色した色として視認される。
例えば、第1の色が青色で第2の色が赤色の場合、第一の観察角度(E1)から形成体(1)を観察すると、第一の画像(3)の第一の潜像部(11a)が第1の色の青色で形成され、第一の画像(3)の第一の背景部(12a)が赤色で形成されるため、第一の要素(16)が視認できる第一の観察角度(E1)から形成体(1)を観察すると、青色の第一の潜像部(11a)の輪郭が第1の色の青色と第2の色の赤色が混色した緑色で、その背景が赤色となって視認することができ、輪郭が模様と背景とも異なる色で縁取られたように明瞭に第一の潜像部(11a)と第一の背景部(12a)を区分けして認識することができる。
同様に、第二の要素(17)について説明する。図9(e)において、第二の潜像部(11b)を形成する第二の要素(17)は、第二の側部(10)に、第2の色で第二の側部(10)に沿って直線状に配置されており、図9(c)に示す第二の背景部(12b)においては、第二の側部(10)に第1の色で配置され、第2の色と第1の色の境界は、輪郭部(13)に配置されている。このとき、第二の要素(17)における第2の色と第1の色は、第一の要素(16)における第1の色と第2の色の配置されている部とは対応した関係となって配置されている。
本第1実施形態の第1変形例における第1の色と第2の色が対応した関係とは、前述したように、第一の要素(16)について第一の潜像部(11a)の第一の側部(9)に第1の色が配置され、第一の背景部(12a)の第一の側部(9)に第2の色が配置されているときに、第二の要素(17)については、逆に、第二の潜像部(11b)の第二の側部(10)には第2の色が配置され、第二の背景部(12b)の第二の側部(10)には第1の色が配置されていることである。このように、同じ潜像部(11)又は背景部(12)でも、第一の側部(9)と第二の側部(10)とで、2色の色を互いに異なる色として配置した関係を、対応した関係で配置すると言う。
例えば、第1の色が青色で第2の色が赤色の場合、第二の観察角度(E2)から形成体(1)を観察すると、第二の画像(4)の第二の潜像部(11b)が第2の色の赤色で形成され、第二の画像(4)の第二の背景部(12b)が青色で形成されるため、第二の要素(17)が視認できる第二の観察角度(E2)から形成体(1)を観察すると、赤色の第二の潜像部(11b)の輪郭が第1の色の青色と第2の色の赤色が混色した緑色で、その背景が青色となって視認することができ、輪郭が模様と背景とも異なる色で縁取られたように明瞭に第二の潜像部(11b)と第二の背景部(12b)を区分けして認識することができる。
(第1実施形態の第2変形例)
次に、本発明における形成体(1)の第2変形例について図10を用いて説明するが、前述した第1実施形態及び第1変形例と同じ構成については省略する。第2変形例では、異なる構成として、凸状万線(6)において、図10(a)及びそのA−A’断面図、B−B’断面図に示すように、凸画線(8)の一部の位相が異なって配置されているものである。位相が異なる箇所は、輪郭部(13)を境として異なっている。
第2変形例は、図10(b)及び図10(c)に示すように、凸状万線(6)のピッチ及び画線幅については、潜像部(11)も背景部(12)も同じであるが、潜像部(11)を構成している凸画線(8)と背景部(12)を構成している凸画線(8)は、略1/2ピッチ位相が異なっている。
凸状万線(6)の上に配置される第一の要素(16)と第二の要素(17)は、第1実施形態及び第1変形例と同様、それぞれ直線状であり、第一の要素(16)は潜像部(11)の第二の側部(10)に配置され、その延長線上の輪郭部(13)及び背景部(12)にも配置されている。ただし、第2変形例では、前述のとおり、潜像部(11)と背景部(12)を構成している凸画線(8)は、位相が略1/2ピッチが異なっているため、図11(a)の模式図及びそのA−A’断面図並びにB−B’断面図に示すように、背景部(12)においては、凸画線(8)の第一の側部(9)に第一の要素(16)が配置されることとなる。
同様に、第二の要素(17)は、潜像部(11)の第一の側部(9)に配置されているが、背景部(12)では、凸画線(8)の第二の側部(10)に配置されることとなる。
なお、凸画線(8)の形成されていない輪郭部(13)は図11(a)のC−C’断面図にあたる図11(d)に示すように、前述した第1実施形態及び第1変形例と同様、底部(15)に二つの要素(16、17)が形成されている。
具体的な例として、例えば、潜像部(11)を形成する凸画線(8)においては、第一の要素(16)を赤色の第1の色で形成し、第二の要素(17)を青色の第2の色で形成した場合、第一の観察角度(E1)から形成体(1)を観察すると、第一の背景部(12a)が、第一の側部(9)に配置されている赤色の第一の要素(16)から成り、凸画線(8)が存在しない輪郭部(13)は、第1の色の赤色と第2の色の青色が混色して視認でき、第一の潜像部(11a)は、第一の側部(9)に配置されている青色の第二の要素(17)から成る。
また、第二の観察角度(E2)から形成体(1)を観察すると、第二の背景部(12b)が、第二の側部(10)に配置されている青色の第二の要素(17)から成り、凸画線(8)が存在しない輪郭部(13)は、第1の色の赤色と第2の色の青色が混色して視認でき、第二の潜像部(11b)は、第二の側部(10)に配置されている赤色の第一の要素(16)から成る。
したがって、この場合の第2の変形例では、第一の観察角度(E1)から視認できる第一の画像(3)は、第一の潜像部(11a)が青色で、その輪郭が赤色と青色の混色で縁取りがされたように視認され、その背景となる第一の背景部(12a)が赤色で視認できる。また、第二の観察角度(E2)から視認できる第二の画像(4)は、第二の潜像部(11b)が赤色で、その輪郭が赤色と青色の混色で縁取りがされたように視認され、その背景となる第二の背景部(12b)が青色で視認できる。
(第2実施形態)
次に、本発明における形成体(1)の第2実施形態について以下説明するが、前述した第1実施形態、第1変形例及び第2変形例と同様の構成については説明を省略する。
第2実施形態は、凸状万線(6)を構成している凸画線(8)の一部が重複している構成である。以下、第2実施形態について説明する。
図12は、第2実施形態を説明するための模式図である。図12(a)に点線囲みにて示すように、潜像部(11)を構成する凸画線(8)と背景部(12)を構成する凸画線(8)の一部が重複した領域(18)(以下、「重複領域」という。)を有している。本第2実施形態では、この重複領域(18)が、本発明の特徴点である輪郭部(13)となる。
前述した第1実施形態における第2の変形例では、潜像部(11)を構成している凸画線(8)と背景部(12)を構成している凸画線(8)が略1/2ピッチ位相が異なっていたが、本第2実施形態でも、略1/2ピッチ位相が異なっていることとなる。したがって、潜像部(11)を構成する凸画線(8)と背景部(12)を構成する凸画線(8)は、輪郭部(13)において図12(a)に示すように接している。
この重複領域(18)について、図12(b)、図12(c)及び図12(d)の断面図を用いて更に詳細に説明する。図12(b)及び図12(d)に示すように、背景部(12)のみの凸画線(8)と潜像部(11)のみの凸画線(8)は、前述までと同様、各凸画線(8)に二つの側部を有している。しかし、図12(c)に示す重複領域(18)は、潜像部(11)を構成する凸画線(8)と背景部(12)を構成する凸画線(12)の頂上部(14)が連結した状態であるため、それぞれの凸画線(8)自体には側部を有しておらず、重複領域(18)の一方の端の凸画線(8)に第一の側部(9)を有し、他方の端の凸画線(8)に第二の側部(10)を有し、その間に存在する重複領域(18)は、底部(15)を有しておらず、頂上部(14)のみの構成となっている。
この重複領域(18)について、凸画線(8)の長手方向に対する範囲は、200〜1000μmの範囲で形成する。200μm以下の範囲では明瞭な輪郭が形成されず、また、1000μm以上では、基材に対して真上からの第三の観察角度(E3)において観察した場合、凸画線(8)の間隔が視認されてしまい、違和感のある画像となってしまうため
好ましくない。
図13のように、潜像部(11)を構成する凸画線(8)と背景部(12)を構成する凸画線(8)を、重複領域(18)を有するように形成した凸状万線(6)の上に、第1実施形態と同様、印刷万線(7)を形成する。
本第2実施形態でも、第一の要素(16)は、図13(a)、(b)及び(d)に示すように、潜像部(11)の第二の側部(10)に沿って直線状に配置されている。ただし、潜像部(11)を構成している凸画線(8)と背景部(12)を構成している凸画線(8)は、位相が略1/2ピッチ異なっているため、延長線上の背景部(12)については、第一の側部(9)に配置されている。
同様に、第二の要素(17)は、潜像部(11)の第一の側部(9)に沿って配置されており、その延長線上の背景部(12)については、第二の側部(10)に配置されている。
前述した第1実施形態の全ての形態では、輪郭部(13)は凸画線(13)が存在しない部であったことから、第一の要素(16)及び第二の要素(17)は、輪郭部(13)においては、底部(15)に配置されていたが、本第2実施形態では、重複領域(18)における凸画線(8)上では、図13(c)に示すように、頂上部(14)に配置されることとなる。重複領域(18)における頂上部(14)に第一の要素(16)及び第二の要素(17)が配置されることで、どの観察角度から観察しても、第一の要素(16)の色と第二の要素(17)の色が混色した状態の輪郭部(13)となって視認できることとなる。
以上の構成のように、凸状万線(6)及び印刷万線(7)を配置することで、形成体(1)を第一の観察角度(E1)から観察すると、潜像部(11)の第一の側部(9)に配置されている第二の要素(17)が第2の色で視認され、背景部(12)の第二の側部(10)に配置されている第二の要素(17)は、背景部(12)を構成する凸画線(8)に遮蔽されて視認できない。
逆に、潜像部(11)の第二の側部(10)に配置されている第一の要素(16)は、潜像部(11)を構成する凸画線(8)に遮蔽されて視認できず、背景部(12)の第一の側部(9)に配置されている第一の要素(16)が第1の色で視認できる。
更に、重複領域(18)については、頂上部(14)に形成されているため、何も遮蔽されないため、第一の要素(16)の第1の色と第二の要素(17)の第2の色の混色となった輪郭部(13)として視認される。
したがって、形成体(1)を第一の観察角度(E1)から観察すると、第1の色の潜像部(11)と第1の色と第2の色の混色した輪郭部(13)及び第2の色の背景部(12)から成る第一の画像(3)が視認できるものである。
逆に、第二の観察角度(E2)から形成体(1)を観察すると、輪郭部(13)は第一の画像(3)と同様、第1の色と第2の色の混色で視認され、潜像部(11)は第1の色で、背景部(12)は第2の色の第二の画像(4)が視認できる。
第三の観察角度(E3)から形成体(1)を視認すると、第一の要素(16)の第1の色と第二の要素(17)の第2の色が混色した一様の模様の第三の画像(5)が視認される。
(第2実施形態の第1変形例)
次に、本発明における形成体(1)の第2実施形態の第1変形例について以下説明するが、前述した第1実施形態、第1変形例、第2変形例及び第2実施形態と同様の構成については説明を省略する。
第2実施形態の第1の変形例については、第2実施形態と同様、凸状万線(6)に重複領域(18)を有している。ただし、重複領域(18)を構成する凸画線(8)同士は連結しておらず、隣接している。
第2実施形態の第1の変形例を、図14を用いて以下説明する。
図14(a)に示すように、潜像部(11)を構成する凸画線(8)と背景部(12)を構成する凸画線(8)は、重複領域(18)を有している。本第1の変形例における重複領域(18)は、図14(a)の重複領域(18)を示す点線囲いのB−B’断面図である。図14(b)に示すように、各々の凸画線(8)に第一の側部(9)及び第二の側部(10)を備えている。併せて、底部(15)が各凸画線(8)同士の間に存在する。この底部(15)については、図14(c)に示すような面でも良いが、第一の側部(9)と第二の側部(10)が点で接しているものでも良い。ただし、どちらの場合でも、後述するように、印刷万線(7)が両側部に跨るように配置可能な幅の範囲でなければならない。
この重複領域(18)の凸画線(8)の長手方向における範囲は、前述の第2実施形態と同様、200〜1000μmの範囲で形成する。200μm以下の範囲では明瞭な輪郭が形成されず、また、1000μm以上では、基材に対して真上からの第三の観察角度(E3)において観察した場合、凸画線(8)の間隔が視認されてしまい、違和感のある画像となってしまうため好ましくない。
重複領域(18)における潜像部(11)の凸画線(8)と背景部(12)の凸画線の底部(15)の幅については、その上に配置する各要素(16、17)が両側部(9、10)に跨るように配置できなければならないため、各要素(16,17)の画線幅以上の範囲となる。具体的には、400〜700μmとなる。
第2実施形態の第1の変形例では、凸状万線(6)のピッチは、前述した全ての形態と同様400〜1000μmの範囲内であれば良いが、重複領域(18)を構成する潜像部(11)の凸画線(8)と背景部(11)を構成する凸画線(8)にそれぞれ側部を有する構成のため、ピッチが前述した第2実施形態よりも広く形成される。
図15のように、潜像部(11)を構成する凸画線(8)と背景部(12)を構成する凸画線(8)を、重複領域(18)を有するように形成した凸状万線(6)の上に印刷万線(7)を形成する。印刷万線(7)のピッチについても、凸状万線(6)同様400〜1000μmの範囲内であれば良いが、凸状万線(6)のピッチが他の実施形態よりも広くなっていることに対応し、印刷万線(7)のピッチも広くなっている。
印刷万線(7)の配置については、直線状の第一の要素(16)を、潜像部(11)を構成する凸画線(8)の第一の側部(9)と、背景部(12)を構成する凸画線(8)の第二の側部(10)の両方に跨るように配置し、第二の要素(17)を、潜像部(11)を構成する凸画線(8)の第二の側部(9)と、背景部(12)を構成する凸画線(8)の第一の側部(9)の両方に跨るように配置する。
具体的には、図15(b)又は(d)の断面図に示すように、背景部(12)又は潜像部(11)を構成する凸画線(8)に対しては、各々の凸画線(8)に対して各要素(16、17)を側部(9、10)と底部(15)に跨るように配置し、図15(c)に示すように、重複領域(18)の輪郭部(13)を構成する凸画線(8)に対しては、潜像部(11)と背景部(12)の両方の側部(9、10)に跨るように配置する。
なお、図14(a)及び(c)では、重複領域(18)の凸画線(8)同士の間に底部(15)を有するように図示しているが、前述のとおり、底部(15)が面ではなく、点であっても良い。配置する印刷万線(7)の画線幅次第によるところであるが、底部(15)が点の場合には、比較的画線幅の狭い印刷万線(7)を配置することが可能であり、底部(15)が面の場合には、比較的画線幅の広い印刷万線(7)を配置しなければ、両方の凸画線(8)の側部(9、10)に配置することができず、第一の観察角度(E1)及び第2の観察角度(E2)から第一の画像(3)及び第二の画像(4)を視認することができなくなってしまう。
以上の構成のように、凸状万線(6)及び印刷万線(7)を配置することで、形成体(1)を第一の観察角度(E1)から観察すると、潜像部(11)の第一の側部(9)に配置されている第一の要素(16)が第1の色で視認され、背景部(12)の第二の側部(10)に配置されている第一の要素(16)は、背景部(12)を構成する凸画線(8)に遮蔽されて視認できない。
逆に、潜像部(11)の第二の側部(10)に配置されている第二の要素(17)は、潜像部(11)を構成する凸画線(8)に遮蔽されて視認できず、背景部(12)の第一の側部(9)に配置されている第二の要素(17)が第2の色で視認できる。
更に重複領域(18)については、第一の要素(16)は背景部(12)を構成する凸画線(8)に遮蔽されて視認できず、併せて、第二の要素(17)は潜像部(11)を構成する凸画線(8)に遮蔽されて視認できない。したがって、重複領域(18)は、印刷万線(7)は何も視認できない。この印刷万線(7)が何も視認できず、基材(2)の色として視認できるのが、本第2実施形態の第1の変形例における輪郭部(13)である。
したがって、形成体(1)を第一の観察角度(E1)から観察すると、第1の色の潜像部(11)と基材(2)の色の輪郭部(13)及び第2の色の背景部(12)から成る第一の画像(3)が視認できるものである。
逆に、第二の観察角度(E2)から形成体(1)を観察すると、輪郭部(13)は第一の画像(3)と同様、基材(2)の色で視認され、潜像部(11)は第2の色で、背景部(12)は第1の色の第二の画像が視認できる。
第三の観察角度(E3)から形成体(1)を視認すると、第一の要素(16)の第1の色と第二の要素(17)の第2の色が混色した一様の模様の第三の画像(5)が視認される。
なお、本第2実施形態の第1の変形例では、印刷万線(7)のピッチが前述した他の実施形態よりも広くなっているため、基材(2)の露出面積が大きくなることから、第一の観察角度(E1)及び第二の観察角度(E2)から観察した場合、他の実施形態よりも淡い色として第一の画像(3)又は第二の画像(4)が視認されることとなる。
また、印刷万線(7)のピッチは一定とし、背景部(12)を構成する凸状万線(6)のピッチを部分的又は全体的に異ならせることで、背景部をグラデーションとすることができる。
また、本発明の特徴点である輪郭部(13)について、前述までは出現する各模様において、配列されている凸画線(8)の長手方向(第一の方向(X)と垂直方向)における潜像部(11)と背景部(13)の境界となる両側に輪郭部(13)を同じ幅で設けていたが、本発明はこれに限定されず、潜像部(11)に対して、両側で幅を異ならせても良い。
例えば、図16に示すように、第一の画像(3)を「H」とした場合、潜像部(11)に対して左側に該当する輪郭部(13)の幅を狭く、逆に、右側に該当する輪郭部(13)を広くする。その場合、出現する画像において、輪郭部(13)が模様の影のように視認され、立体的な効果を奏することとなる。
さらに、今まで説明した第1実施形態、その第1変形例、第2変形例、第2実施形態及びその第1変形例の五つの実施形態については、一つの画像を形成する際に、それぞれ組み合わせて構成することも可能であることは言うまでもない。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
実施例1として、図9に示した第1実施形態の第1変形例により形成体(1)を作製した。形成体(1)は、基材(2)として上質紙(日本製紙製 NPI上質紙 81.4g/m2)を用いた。基材(2)上に、スクリーン印刷機(RANAS製 MF−250)を用いて、スクリーン印刷用UV硬化型インキにより、凸状万線(6)を形成した。凸状万線(6)は、300μmの画線であり、ピッチ(d)を500μmとした。
図9(a)に示したように、第一の要素(16)を120μmの一定幅の画線として形成し、第二の要素(17)を120μmの一定幅の画線として形成した。また、第一の潜像部(11a)及び第二の背景部(12b)は、共に第1の色として、同じ色のオフセットインキ(T&K TOKA製 ベストキュア 紅)を用いて印刷し、第一の背景部(12a)及び第二の潜像部(11b)は、共に第2の色として、同じ色のオフセットインキ(T&K TOKA製 ベストキュア 藍)を用いて印刷した。なお、第一の要素(16)及び第二の要素(17)は、各々オフセット印刷機(下垣鉄工所製 EP−60)により基材(2)上に形成した。
実施例1にて作製した形成体(1)を、第一の観察角度(E1)から肉眼で観察したところ、第一の画像(3)における第一の潜像部(11a)がマゼンタ色で視認でき、第一の背景部(12a)がシアン色で視認できた。一方、第二の画像(4)及び第三の画像(5)は視認できなかった。次に、形成体(1)を第二の観察角度(E2)から観察したところ、第二の画像(4)における第二の潜像部(11b)がシアン色で視認でき、第二の背景部(12b)がマゼンタ色で視認できた。一方、第一の画像(3)及び第三の画像(5)は視認できなかった。更に、形成体(1)を第三の観察角度(E3)から観察したところ、マゼンタ色及びシアン色の混色した紫色の第三の画像(5)が視認できた。
(実施例2)
実施例2として、図11に示した第1実施形態の第2変形例により形成体(1)を作製した。形成体(1)は、基材(2)としてフォーム紙(日本製紙製 NPIフォーム紙 81.4g/m2)を用いた。基材(2)上に、スクリーン印刷機(RANAS製 MF―250)を用いて、スクリーン印刷用UV硬化型インキにより、凸状万線(6)を形成した。凸状万線(6)は、300μmの画線であり、ピッチ(d)を500μmとした。
図11(a)に示すように、第一の要素(16)を120μmの一定幅の画線として形成し、第二の要素(17)を120μmの一定幅の画線として形成した。また、第一の潜像部(11a)及び第二の背景部(12b)は、共に第1の色として同じ色のオフセットインキ(T&K TOKA製 BO特練PANTONE紫)を用いて印刷し、第一の背景部(12a)及び第二の潜像部(11b)は、共に第2の色として同じ色のオフセットインキ(T&K TOKA製 BO特練PANTONE緑)を用いて印刷した。なお、第一の要素(16)及び第二の要素(17)は、各々オフセット印刷機(下垣鉄工所製 EP―60)により基材(2)上に形成した。
実施例2にて作製した形成体(1)を、第一の観察角度(E1)から肉眼で観察したとこと、第一の画像(3)における第一の潜像部(11a)が紫色で視認でき、第一の背景部(12a)が緑色で視認できた。
次に、形成体(1)を、基材(2)に対して視点を第一の観察角度(E1)から第三の観察角度(E3)へと徐々に変化させたところ、その観察角度の変化に伴い、第一の潜像部(11a)においては、紫色に対して緑色が混色する比率が徐々に多くなり、第一の背景部(12a)においては、緑色に対して紫色が混色する比率が徐々に多くなった。つまり、第一の潜像部(11a)は、紫色から、緑成分の多い茶色へと変化し、第一の背景部(12a)は、緑色から紫成分の多い茶色へと変化した。そして、視点が基材(2)に対して第三の観察角度(E3)となるとき、第一の画像(3)及び第二の画像(4)と同一の第三の画像(5)が紫色と緑色が同じ比率で混色した茶色として視認できた。
更に、形成体(1)を、基材(2)に対して視点を第三の観察角度(E3)から第二の観察角度(E2)へと徐々に変化させたところ、その観察角度の変化に伴い、第一の潜像部(11a)においては、紫色に対して緑色が混色する比率が徐々に多くなり、第一の背景部(12a)においては、緑色に対して紫色が混色する比率が徐々に多くなった。つまり、第一の潜像部(11a)は、茶色から緑色へと徐々に変化し、第一の背景部(12a)は、茶色から紫色へと徐々に変化した。そして、視点が基材(2)に対して第二の観察角度(E2)となるとき、第一の潜像部(11a)と同一である第二の潜像部(11b)が緑色で視認でき、第一の背景部(12a)と同一である第二の背景部(12b)が紫色で視認できた。
以上、本発明に係る実施例1〜2に基づいて実施の形態を説明したが、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲記載の技術的思想の範囲内で、更にいろいろな実施例があることは言うまでもない。