JP2012004021A - 負極材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、粉末X線回折装置(XRD)により測定した2θが7.45〜9.18°の範囲内にピークを有するスメクタイト族を含むケイ酸塩負極材料、および原料のモンモリロナイトを焼成し、得られた粉末についてX線回折装置(XRD)により測定した2θが7.45〜9.18°の範囲内にピークを有するスメクタイト族ケイ酸塩を用いる負極材料の製造方法。
【選択図】なし
Description
例えば、負極についても種々の材料が検討され、炭素材料やアルミニウム合金等が実用電池の負極材料として実用化されている。しかし、炭素材料は高容量を与え得ることから広く用いられているが、比重が小さいため電池内部での占有体積の割合が大きくなる。また、炭素材料については既にこれ以上の改善が困難なレベルにまで性能の向上が図られていることが知られている。このため、電池の性能向上には炭素材料以外の負極材料による高容量化が不可欠である。
一方、電池を構成する材料として地球上に多く産出し得る材料を用いることも求められている。
例えば、特許文献1には、主成分となるモンモリロナイトに水溶性リチウム塩が含有されてリチウムイオン伝導性が付与されてなる固体電解質が記載されている。
また、特許文献2には、モンモリロナイト等の層状の結晶構造を有する粘土鉱物の層間に炭素材料の前駆体を挿入し、真空下又は非反応性ガス雰囲気下にて約1500℃〜約2000℃で焼成して炭素材料を粘土鉱物の層間に生成せしめた後、粘土鉱物をフッ酸等の無機酸にて溶解除去した炭素材料が使用されているリチウム二次電池が記載されている。
従って、本発明の目的は、炭素材料以外の地球上に多く産出し得る材料を用いて高い容量を与え得る負極材料およびその製造方法を提供することである。
また、本発明は、原料のモンモリロナイトを焼成し、得られた粉末についてX線回折装置(XRD)により測定した2θが7.45〜9.18°の範囲内にピークを有する焼成モンモリロナイトであるスメクタイト族ケイ酸塩を用いる負極材料の製造方法に関する。
また、本発明によれば、炭素材料以外の地球上に多く産出し得る材料を用いて高い容量を与え得る負極材料を容易に得ることができる。
また、本発明においては、原料のモンモリロナイトを焼成し、得られた粉末についてXRDにより測定した2θが7.45〜9.18°の範囲内にピークを有するスメクタイト族を用いることによって、炭素材料以外の地球上に多く産出し得る材料を用いて高い容量を与え得る負極材料を容易に得ることができる。
図1および図2に示すように、公知の負極材料用のモンモリロナイトは、XRDにより測定した2θ=6〜7°付近にピークを有するものである。
これに対して、図3に示すように、本発明におけるスメクタイト族は、XRDにより測定した2θ=7.45〜9.18°の範囲内にピークを有するケイ酸塩である。
本発明の負極材料によれば、図4と図5との比較から明らかなように、公知のモンモリロナイトを含む負極材料を用いた負極に比べて対極リチウム評価における充放電時の容量が大きく、特にリチウム塩の加熱処理物を含むものは前記充放電の容量が顕著に大きい。
本発明の方法において、リチウム塩の添加と焼成を組み合わせることによって、層間に含まれる結晶水を除去し得て、その層間又は別の層にリチウムイオンを注入し得る。
前記の原料のモンモリロナイトは、図1〜図3に示すように、通常XRDにより測定した2θが単位格子のサイズと一致する6〜7°付近にピークを有し、前記のように結晶水を含むものであり得る。
また、リチウム塩の添加量は、モンモリロナイト1モルに対して0.001〜5モル、特に0.01〜2.5モル、その中でも0.01〜1モルの割合が好適である。
または、本発明の前記負極材料を用いて負極を得る方法として、前記負極材料を含むペーストを基材上に塗布した後、乾燥させて基材上に負極材料層を形成する塗布法が挙げられる。
前記の塗布法における負極材料層は、前記負極材料と、例えば、炭素材料等の導電剤およびカルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等の結着剤で構成され得る。
以下の実施例は単に説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
以下の各例において、モンモリロナイトのXRD測定は以下の装置を用いて行った。
XRD測定装置:リガク製
また、以下の各例では、原料のモンモリロナイトとして以下のものを用いた。
原料のモンモリロナイト:Alfa Aesar社製から購入(XRDにより測定した2θ=7.05°にピークを有する。)
原料のモンモリロナイトに硝酸リチウムを、モンモリロナイト:LiNO3=1:0.4(モル比)で混粉し、空気中、600℃で2時間焼成した。得られた焼成モンモリロナイトについてXRD測定を行って2θ=6〜10°の範囲のピーク位置を求め、2θとして表示する。得られた結果を他の結果とまとめて表1に示す。
[電極作製]
得られたモンモリロナイト3gを用いて、モンモリロナイト:導電材(炭素材料):カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレンブタジエンゴム(SBR)=88:10:1:1(質量比)となるように水に加えて混合して水溶液を調製し、厚さ10μmの銅箔(日本製箔社製)上に塗布し、乾燥した。電極密度が0.9g/cm3になるようにプレスし、φ16mmの円形に打ち抜き、負極電極を得た。
[電池作製]
作製した電極を負極として、対極リチウムを正極とし、1MのLiPF6を含むエチレンカーボネート(EC):ジエチルカーボネート(DEC)=3:7(vol比)混合溶媒を電解液とし、ポリエチレン製のセパレータを用いて2032型のコインセルを作製した。
[電気化学特性評価]
得られたコインセルを用いて、0.1C(1C=1時間に満充放電できる電流値)で0.01VまでLiを挿入(充電)し、その後3VまでLiを脱離(放電)する操作を行って、活物質質量当りの充(放)電容量を算出式:セルの充(放)電容量÷活物質質量より求めた。得られた結果を他の結果とまとめて表1に示す。
原料のモンモリロナイトと硝酸リチウムとの割合を、モンモリロナイト:LiNO3=1:0.01(モル比)に変えた他は実施例1と同様にして、焼成モンモリロナイトを得た。XRD測定を行った結果を他の結果とまとめて表1に示す。
この焼成モンモリロナイトを用いた他は実施例1と同様にして、電極作製、電池作製を行い、電気化学特性評価を行った。得られた結果を他の結果とまとめて表1に示す。
原料のモンモリロナイトと硝酸リチウムとの割合を、モンモリロナイト:LiNO3=1:0(モル比)に変えた他は実施例1と同様にして、焼成モンモリロナイトを得た。XRD測定を行った結果を他の結果とまとめて表1に示す。
この焼成モンモリロナイトを用いた他は実施例1と同様にして、電極作製、電池作製を行い、電気化学特性評価を行った。得られた結果を他の結果とまとめて表1に示す。
原料のモンモリロナイトと硝酸リチウムとの割合を、モンモリロナイト:LiNO3=1:1(モル比)に変えた他は実施例1と同様にして、焼成モンモリロナイトを得た。XRD測定を行った結果を他の結果とまとめて表1に示す。
この焼成モンモリロナイトを用いた他は実施例1と同様にして、電極作製、電池作製を行い、電気化学特性評価を行った。得られた結果を他の結果とまとめて表1に示す。
原料のモンモリロナイトと硝酸リチウムとの割合を、モンモリロナイト:LiNO3=1:5(モル比)に変えた他は実施例1と同様にして、焼成モンモリロナイトを得た。XRD測定を行った結果を他の結果とまとめて表1に示す。
この焼成モンモリロナイトを用いた他は実施例1と同様にして、電極作製、電池作製を行い、電気化学特性評価を行った。得られた結果を他の結果とまとめて表1に示す。
硝酸リチウムを添加せず、焼成を行わないで原料のモンモリロナイトを焼成モンモリロナイトに代えて用いた。XRD測定を行った結果を他の結果とまとめて表1に示す。
この原料モンモリロナイトを用いた他は実施例1と同様にして、電極作製、電池作製を行い、電気化学特性評価を行った。得られた結果を他の結果とまとめて表1に示す。
原料のモンモリロナイトと塩化リチウムとの割合を、モンモリロナイト:LiCl=1:13(モル比)に変え、600℃での焼成に代えて72時間程還流し、還流後、超純水で洗浄し、300℃で2時間乾燥させた他は実施例1と同様にして、還流モンモリロナイトを得た。XRD測定を行った結果を他の結果とまとめて表1に示す。
この還流モンモリロナイトを用いた他は実施例1と同様にして、電極作製、電池作製を行い、電気化学特性評価を行った。得られた結果を他の結果とまとめて表1に示す。
また、表1の結果から、600℃で焼成したリチウムを含むスメクタイト族を含む負極材料は、スメクタイト族のXRDにより測定した2θが7.95〜9.18°の範囲内にピークを有し、負極の対極リチウム評価における充電容量が550.4〜763.7mAh/g、放電容量が115.6〜158.4mAh/gであり、顕著に大きい充放電電容量を有していることを示している。
Claims (8)
- 粉末X線回折装置(XRD)により測定した2θが7.45〜9.18°の範囲内にピークを有するスメクタイト族を含むケイ酸塩負極材料。
- 前記スメクタイト族が、前記2θが7.95〜9.18°の範囲内にピークを有する請求項1に記載の負極材料。
- さらに、リチウム塩の加熱処理物を含む請求項1又は2に記載の負極材料。
- 原料のモンモリロナイトを焼成し、得られた粉末についてX線回折装置(XRD)により測定した2θが7.45〜9.18°の範囲内にピークを有するスメクタイト族ケイ酸塩を用いる負極材料の製造方法。
- 前記原料のモンモリロナイトにリチウム塩を添加する請求項4に記載の負極材料の製造方法。
- 前記リチウム塩が、原料のモンモリロナイト1モルに対して0.001〜5モルの割合で添加される請求項4又は5に記載の製造方法。
- 前記焼成が300℃を超える温度で行われる請求項4〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記リチウム塩が、炭酸リチウム、硝酸リチウム、リン酸リチウム、硫酸リチウム、亜硫酸リチウム、ホウ酸リチウム、メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、メタリン酸リチウム、ヨウ素酸リチウム、酢酸リチウム、安息香酸リチウム、乳酸リチウム、シュウ酸リチウム、テトラフェニルホウ酸リチウム、ステアリン酸リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウム、リチウム過塩素酸塩、6フッ化リン酸リチウム、4フッ化ホウ酸リチウム、オルトケイ酸リチウム又はメタケイ酸リチウムである請求項4〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
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