JP2012001726A - 複合フィルムおよび粘着シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複合フィルムは、ウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとを主成分とする混合物に、放射線を照射して硬化させてなる、100%modが5N/mm2以上、破断伸度が150%以上、応力緩和時間が200秒以下の複合フィルムである。
【選択図】なし
Description
塩化ビニル系フィルムに匹敵する応力緩和性を有する非塩化ビニル系フィルムとして、(メタ)アクリル系ポリマーからなる粘着フィルム基材が特開2000−290622号公報に開示されているが、熱可塑性であるため感温性に劣る。ところで、ポリウレタンは、ポリオールやポリイソシアネートの種類などにより物性を大きく変化させることができるので、工業的に広く利用されている。このため、アクリル系ポリマーとポリウレタンの両ポリマーの特徴を生かした材料の開発が行われている。例えば特開平9−253964号公報には、エステル・ジオールを主骨格とする2官能ウレタンアクリレートであるウレタンアクリレート系オリゴマーと、反応性希釈モノマーとを放射線硬化させて得られる粘着テープ用基材が開示されている。ここでは、ウレタンアクリレート系オリゴマーに反応性希釈モノマーが付加して、架橋構造をとるため、得られたフィルムは強度の高いフィルムとなるが、伸びや応力緩和性が低下し、曲面などへの追従性や、加工性が低下するという問題があった。
ここで、上記複合フィルムは、ラジカル重合性モノマー中で、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンポリマーを形成し、ウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとを含む混合物を、剥離ライナー上に塗布し、放射線を照射して硬化させたフィルムであることができる。
また、ラジカル重合性モノマーは、アクリル系モノマーであることができる。
本発明の粘着シートは、上記複合フィルムを支持体とし、この支持体の少なくとも一方の面に粘着剤層を有することを特徴とする。
本発明の複合フィルムは、曲面追従性が良好であるので、例えば粘着シートとして使用した場合には、被着体が屈曲運動をしたとしても、剥がれ等を生じることがない。また、加工性が良好であるので、プレス加工等の二次加工を容易に行うことができる。
ここで100%modとは、フィルムを100%伸張するのに必要な応力をいう。100%modが5N/mm2より小さいと、タックが生じたり、腰がなくて扱い難いフィルムとなるので、本発明においては、100%modが5N/mm2以上であることが必要であり、望ましくは10N/mm2以上である。
また、応力緩和時間とは、100%伸張状態を維持するときに、応力が最初の値(100%伸張時の応力)の1/e(e=2.7183)に減少するのに要する時間である。応力緩和時間が短いほど応力緩和性が良い。
破断伸度とは、フィルムを破壊するのに必要な伸び率をいう。
ウレタンポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる。イソシアネートとポリオールの水酸基との反応には、触媒を用いても良い。例えば、ジブチルすずジラウレート、オクトエ酸すず、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン等の、ウレタン反応において一般的に使用される触媒を用いることができる。
また、高分子のポリオールとしてはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオールなどがある。これらの中では、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが好ましい。ポリエ−テルポリオールとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては前記の2価のアルコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルコールとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの2塩基酸との重縮合物が挙げられる。その他、ポリカプロラクトンなどのラクトン系開環重合体ポリオールポリカーボネートジオールなどがある。アクリルポリオールとしてはヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有するモノマーの共重合体の他、水酸基含有物とアクリル系モノマーとの共重合体などが挙げられる。エポキシポリオールとしてはアミン変性エポキシ樹脂などがある。
これらのポリオール類は単独あるいは併用して使用することができる。強度を必要とする場合には、トリオールによる架橋構造を導入したり、低分子量ジオールによるウレタンハードセグメント量を増加させると効果的である。伸びを重視する場合には、分子量の大きなジオールを単独で使用することが好ましい。また、ポリエーテルポリオールは、一般的に、安価で耐水性が良好であり、ポリエステルポリオールは、強度が高い。本発明においては、用途や目的に応じて、ポリオールの種類や量を自由に選択することができ、また、ウレタン反応性、アクリルとの相溶性などの観点からもポリオールの種類、分子量や使用量を適宜選択することができる。
これらのポリイソシアネート類は単独あるいは併用で使用することができる。ウレタン反応性、アクリルとの相溶性などの観点から、ポリイソシアネートの種類、組合せ等を適宜選択すればよい。ポリオールとの速やかな反応、および水との反応の抑制の観点からは、脂環族ジイソシアネートを使用することが好ましい。
本発明に好ましく用いられるラジカル重合性モノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、2−エチルアクリレート、i−オクチルアクリレート、i−ノニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマーや、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート等のヒドロキシル基を有するモノマーを用いることができる。また、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエステル、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピリメタクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ε−カプロラクトンアクリレート、モルホリンアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロドデカトリエンアクリレートなどのモノマーを用いてもよい。
本発明においては、必要に応じて、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの多官能モノマーを架橋剤として用いてもよい。これらのモノマーも、本発明に係るラジカル重合性モノマーに含まれる。
本発明においては、必要に応じて、通常、フィルムに通常使用される添加剤、例えば紫外線吸収剤、老化防止剤、充填剤、顔料、着色剤、難燃剤、帯電防止剤などを添加することができる。これらの添加剤は、その種類に応じて通常の量で用いられる。これらの添加剤は、ポリイソシアネートとポリオールとの重合反応前に、あらかじめ加えておいてもよいし、ウレタンポリマーと反応性モノマーとを重合させる前に、添加してもよい。
また、塗工の粘度調整のため、少量の溶剤を加えてもよい。溶剤としては、通常使用される溶剤の中から適宜選択することができるが、例えば、酢酸エチル、トルエン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
この際、酸素による重合阻害を避けるために、剥離ライナー上に塗布したウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとの混合物の上に、剥離処理したシートをのせて、酸素を遮断してもよいし、不活性ガスを充填した容器内に剥離ライナーを入れて、酸素濃度を下げてもよい。
紫外線などの照射量は、要求されるフィルムの特性に応じて、任意に設定することができる。一般的には、紫外線の照射量は、100〜5,000mJ/cm2、好ましくは1,000〜4,000mJ/cm2、更に好ましくは2,000〜3,000mJ/cm2である。紫外線の照射量が100mJ/cm2より少ないと、十分な重合率が得られないことがあり、5,000mJ/cm2より多いと、劣化の原因となることがある。
(実施例1)
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリルモノマーとして、イソボルニルアクリレート49.7部、アクリル酸49.7部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.5部と、光重合開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.1部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(分子量650、三菱化学(株)製)73.4部と、ウレタン反応触媒として、ジブチルすずジラウレート0.5部とを投入し、攪拌しながら、キシリレンジイソシアネート26.6部を滴下し、65℃で2時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を、剥離処理したポリエステルフィルム(38μm厚)上に、硬化後の厚みが70μmになるように塗布した。これに、紫外線を2700mJ/cm2照射して硬化させることにより、ウレタン−アクリル複合フィルムを作製した。
実施例1において、ポリオールの種類と使用量を、ポリカーボネートジオール(商品名「ニッポラン983」、日本触媒(株)製)80.7部に変更し、ポリイソシアネートの種類と使用量を、トリレンジイソシアネート19.3部に変更した以外は実施例1と同様にして、ウレタン−アクリル複合フィルムを作製した。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。
実施例1において、アクリル系モノマーの種類と使用量を、t−ブチルアクリレート99.4部に変更した以外は実施例1と同様にして、ウレタン−アクリル複合フィルムを作製した。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。
実施例1において、イソシアネートの種類と使用量を、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(商品名「タケネート600」、タケダ薬品(株)製)27.4部に変更した以外は実施例1と同様にして、ウレタン−アクリル複合フィルムを作製した。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。
実施例1において、ポリオールとしてのポリテトラメチレングリコールと、ポリイソシアネートとしてのキシリレンジイソシアネートを使用しなかった以外は実施例1と同様にして、アクリルフィルムを作製した。
実施例1において、アクリル系モノマーの種類と使用量を、ブチルアクリレート99.4部(Tg=−54℃)に変更した以外は実施例1と同様にして、ウレタン−アクリル複合フィルムを作製した。
100%mod=15N/mm、応力緩和時間>300秒、破断伸度300%である、ポリプロピレンフィルムを比較例3とした。
実施例1〜3、比較例1〜3で得られたフィルムについて、下記の試験を行った。
(1) 100%mod、破断伸度
20mm幅に切断したフィルムを、引張試験機として「オートグラフAGS−50D型」(島津製作所製)を用い、試験サンプルを、チャック間10mm、300mm/分の引張り速度で引張試験を行い、応力−歪み曲線を求めた。フィルムの100%伸張時における単位面積当りの応力を100%modとし、破断時の歪み量を破断伸度として得た。
(2) 応力緩和時間
上記と同様のサンプルを、同じ装置を用いて、チャック間10mm、300mm/分の引張り速度で引っ張り、100%伸張時点で、引張試験機を止め、その後の応力の変化を読み、100%伸張時点の応力に対して1/e(e=2.7183)の応力に減少するまでに要する時間を応力緩和時間とした。
(3) 加工性試験
フィルムにアクリル系粘着剤(エチルアクリレート60部、2−エチルヘキシルアクリレート40部、ヒドロキシエチルアクリレート5部、トリレンジイソシアネート5部からなる粘着剤)を、厚みが5μmとなるように塗布して粘着シートを作製した。この粘着シートを、被着体として、0.4mm厚のSUS304BAに貼付し、60tプレスで15mm絞り加工(20mm角筒絞り)を行った。3時間後の粘着テープの浮きの状態を目視観察して、評価を行った。粘着シートの浮きが全く見られなかった場合を「○」、僅かに浮きが認められた場合を「△」、浮きが明瞭に認められた場合を「×」と評価した。
比較例1のフィルムは、破断伸度が10%であり、ほとんど伸びない脆いフィルムであって、100%mod、応力緩和時間を測定することができなかった。比較例2のフィルムは、100%modが小さいので、タックが発生し、作業性が悪く、また、粘着シートの浮きがやや発生した。比較例3のフィルムは、応力緩和時間が長く、弾性に劣っていた。
Claims (4)
- ウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとを主成分とする混合物に、放射線を照射して硬化させてなる、100%モジュラスが5N/mm2以上、破断伸度が150%以上、応力緩和時間が200秒以下の複合フィルム。
- ラジカル重合性モノマー中で、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンポリマーを形成し、該ウレタンポリマーと該ラジカル重合性モノマーとを含む混合物を、剥離ライナー上に塗布し、放射線を照射して硬化させたことを特徴とする請求項1記載の複合フィルム。
- 前記ラジカル重合性モノマーがアクリル系モノマーであることを特徴とする請求項1又は2記載の複合フィルム。
- 請求項1から3のいずれかに記載の複合フィルムを支持体とし、該支持体の少なくとも一方の面に粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
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