説明であって限定ではない以降の記載では、具体的詳細−たとえば基板処理システム用基板ホルダの具体的形状及び様々な部品や処理−について言及している。しかし本発明は、これらの具体的詳細から逸脱した他の実施例においても実施可能であることに留意して欲しい。
本発明の実施例によると、基板ホルダ20と該基板ホルダ20上で支持されている基板25を有する処理装置10を含む基板処理システム1が図1に図示されている。基板ホルダ20は、基板温度を調節する温度制御素子を供するように備えられている。それに加えて、前記温度制御素子は、均一又は不均一な基板温度を保証するように空間的に配備されて良い。制御装置55は、処理装置10及び基板ホルダ20と結合して、後述するように、基板温度の監視、調節、及び制御を行うように備えられている。
図1に図示された実施例では、基板処理システム1は堆積システムを有して良い。たとえば前記堆積システムは気相堆積処理を助けて良い。気相堆積処理とはたとえば、化学気相成長(CVD)法、プラズマCVD(PECVD)法、原子層堆積(ALD)法、プラズマALD (PE ALD)法、物理気相成長(PVD)法、又はイオン化PVD(iPVD)法である。あるいはその代わりに基板処理システム1はエッチングチャンバを有して良い。たとえば前記エッチングチャンバは乾式プラズマエッチング又は乾式非プラズマエッチングを助けて良い。あるいはその代わりに基板処理システム1は、フォトレジストコーティング用チャンバ−たとえば堆積後ベーキング(PAB)又は露光後ベーキング(PEB)等に利用可能なフォトレジストスピンコーティングシステム内の加熱/冷却モジュール−;たとえばフォトリソグラフィシステムのようなフォトレジストパターニングチャンバ;誘電体コーティングチャンバ−たとえば−スピン・オン・グラス(SOG)又はスピン・オン・誘電体(SOD)システム−;又は、急速熱処理(RTP)チャンバ−たとえば熱アニー輪用RTPシステム−を有する。
ここで図2を参照すると、一の実施例による、基板の高温減圧処理用に備えられた静電チャック100が記載されている。静電チャック100は、静電固定電極118と任意の加熱素子116を有するチャック体110、及び、チャック体110の内側表面114と近接する伝熱表面124を有するヒートシンク体120を含む。静電固定電極118は、チャック体110の外側表面112上に基板(図示されていない)を固定するように備えられている。それに加えてヒートシンク体120は、内面114と伝熱表面124が近接していることによる、ギャップ126を介したチャック体1120からの熱の除去を行うように備えられている。
それに加えて静電チャック100は、チャック体110とヒートシンク120を支持するように備えられたテーブル集合体130を有する。さらに拡張接合部140は、チャック体110とテーブル集合体130との間に設けられ、かつ、熱膨張率の異なるチャック体110とテーブル集合体130を収容しながら、チャック体110とテーブル集合体130とを密閉した状態で接合するように備えられている。
拡張接合部140は、チャック体110に係る第1熱膨張係数とテーブル集合体130に係る第2熱膨張係数との間の中間値をとる熱膨張係数を有する材料を含んで良い。たとえば拡張接合部140は、たとえばKOVAR(登録商標)のようなNi-Co-Fe合金から作られて良い。
図2に図示されているように、拡張接合部140は、チャック体110に取り付けられるように備えられた第1端部144とテーブル集合体130に取り付けられるように備えられた第2端部146を有する輪を含む。この薄い輪の第1端部144は、真鍮接合部142を介してチャック体110に真鍮接合されて良い。それに加えてこの薄い輪の第2端部146は、溶接接合部143を介してマウントされているフランジ148に溶接接合されて良い。マウントされているフランジ148は、封止体132を介してテーブル集合体130に密閉された状態で固定されるように備えられる。たとえば封止体132はエラストマー封止体又は金属ガスケット封止体を有して良い。
チャック体110は金属材料又は非金属材料から作られて良い。チャック体110は、たとえばセラミックのような非伝導性材料から作られても良い。チャック体110は、非伝導性ではあるが比較的高い熱伝導性を示す材料から作られても良い。たとえばチャック体110は、アルミニウム又は好適には窒化アルミニウムから作られて良い。しかし他の材料が用いられても良い。
一の実施例によると、静電固定電極118はチャック体110の内部に埋め込まれる。静電固定電極118は2つのセラミック部材の間に設けられて良い。これらは焼成されることで1つの部材を構成する。あるいはその代わりに静電固定電極118は、セラミック部材上に熱的に噴霧され、続いて静電固定電極118全体にわたってセラミック層が熱的に噴霧されても良い。その後噴霧されたセラミック層は、平坦外側表面を形成するように平坦化されて良い。同様の手法を用いることによって、他の電極又は金属層がチャック体110内に挿入されても良い。たとえば、1つ以上の任意の加熱素子116が、複数のセラミック層の間に挿入され、かつ上述した焼成又は噴霧手法を介して形成されても良い。1つ以上の任意の加熱素子116及び静電固定電極118は、同一面内に存在しても良いし、それぞれ別の面内に存在しても良い。1つ以上の任意の加熱素子116及び静電固定電極118は、それぞれ別の電極として実装されても良いし、又は物理的に同一の電極として実装されても良い。
静電固定電極118は、チャック体110内に埋め込まれた1つ以上の固定電極を有して良い。静電固定電極118は、電気的接続を介して高電圧直流(DC)電源(図示されていない)と結合する単極又は双極電極として備えられて良い。そのような固定の設計及び実装は、静電固定システムの当業者には周知である。
1つ以上の任意の加熱素子116は、熱を水へ輸送するようにバイアス印加される、加熱用流体チャネル、抵抗加熱素子、又は熱電素子のうちの少なくとも1つを有して良い。望ましくは1つ以上の任意の加熱素子116は、電源−たとえばDC電源又は交流(AC)電源−と結合した抵抗加熱素子を有する。
さらに1つ以上の任意の加熱素子116は、タングステン、ニッケル−クロム合金、アルミニウム−鉄合金、窒化アルミニウム等を有して良い。抵抗加熱素子を作製するための市販材料の例には、カンタル(Kanthal)、ニクロタル(Nikrothal)、アクロタル(Akrothal)が含まれる。これらはカンタル(Kanthal)社が製造する合金の登録商標である。カンタルファミリーはフェライト系合金(FeCrAl)を有する。ニクロタルファミリーはオーステナイト系合金(FeCrAl)を有する。例として1つ以上の任意の加熱素子116は、基板の実質的に中心領域に設けられた第1加熱素子、及び、基板の実質的に端部領域に設けられた第2加熱素子を有して良い。
加熱素子制御ユニット(図示されていない)は、1つ以上の任意の加熱素子116、チャック体110、若しくは基板、又はこれら2つ以上を組み合わせたものの温度を制御するように構成及び配備されて良い。前記加熱素子制御ユニットは、1つ以上の温度センサ、及び、1つ以上の任意の加熱素子116、チャック体110、若しくは基板、又はこれら2つ以上を組み合わせたものの温度の監視、調節、又は制御のうちの少なくとも1つを実行するために電源と情報をやりとりするように備えられた制御装置を有して良い。前記加熱素子制御ユニットは、各加熱素子の独立的又は従属的制御のいずれかを行うように備えられている。前記加熱素子制御ユニットは、制御システムと結合し、かつ該制御システムと情報をやり取りするように備えられて良い。
ヒートシンク体120は金属材料又は非金属材料から作られて良い。たとえばヒートシンク体120はアルミニウムから作られて良い。それに加えてたとえばヒートシンク体120は、ヒートシンク体120の温度が比較的一定温度に維持できるように、比較的高い熱伝導性を有する材料から作られても良い。好適にはヒートシンク体120の温度は、1つ以上の温度制御素子122−たとえば冷却素子−によって能動的に制御される。しかしヒートシンク体120は、たとえば周囲に接する表面積が増大することで自由対流を改善させるように冷却フィンを用いることで、受動的な冷却を供しても良い。
1つ以上の温度制御素子122は、ヒートシンク体120の加熱及び/又は冷却を行うように備えられて良い。たとえばヒートシンク体120は、再循環する伝熱流体流が通過する1つ以上の流体チャネルを有して良い。冷却時には、前記伝熱流体流はヒートシンク体120から熱を受け取り、かつ熱交換器システム(図示されていない)へ熱を輸送する。あるいはその代わりに加熱時には、前記伝熱流体流は前記熱交換器システムから熱を受け取り、かつヒートシンク体120へ熱を輸送する。前記伝熱流体は、水、フルオリナート(Fluorinert)、ガルデン(Galden)HT-135等を有して良い。他の実施例では、温度制御素子122は、抵抗加熱素子又は熱電加熱器/冷却器を有して良い。
流体熱制御ユニット(図示されていない)は、前記伝熱流体の温度を制御するように構築及び配備されて良い。前記流体熱制御ユニットは、流体貯蔵タンク、加熱器、冷却器、及び流体温度センサを有して良い。それに加えて前記流体熱制御ユニットは、1つ以上の温度センサ、並びに、前記伝熱流体及び/若しくはヒートシンク体120の温度の監視、調節、又は制御のうちの少なくとも1つを実行するように備えられた制御装置を有して良い。前記流体熱制御ユニットは、制御システムと結合して、該制御システムと情報をやり取りするように備えられて良い。
テーブル集合体130は、チャック体110の1つ以上の任意の加熱素子116と電力との結合、静電固定電極118と電力との結合、基板(図示されていない)の背面と伝熱ガスとの空気結合等を可能にするように貫通する1つ以上の通路134をさらに有して良い。
テーブル集合体130はたとえば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルなどの伝導性かつ伝熱性の材料から作られて良い。
それに加えて静電チャック100は、伝熱ガス−たとえばHe、Ar、Xe、Krを含む不活性ガス−、処理ガス、又は、酸素、窒素、若しくは水素を含む他のガスを、少なくとも1つのガス供給ライン並びに複数のオリフィス及びチャネル(図示されていない)を介して基板背面へ供給する背面ガス供給システム(図示されていない)を有して良い。前記背面ガス供給システムはたとえば、2領域(中心/端部)系又は3領域(中心/半径の中間部分/端部)系のような多領域供給システムであって良い。背面圧力は、中心から端部へ半径方向に変化して良い。さらに前記背面ガス供給システムは、制御システムと結合して、該制御システムと情報をやり取りするように備えられて良い。
前記基板背面への伝熱ガスの供給に加えて、チャック体110の外側表面112は、前記基板とチャック体110との間での熱輸送にさらに影響を及ぼすように適合されて良い。外側表面112は、ミクロな粗さ素子(たとえば平均粗さRaで特徴付けられる表面仕上げ)及び/又はマクロな粗さ素子(たとえば外側表面11内に作製されるチャネル、凹み、突出物、柱状体等)を有して良い。それに加えてサイズ、形状、若しくは表面密度、又はこれら2つ以上を組み合わせたものは、チャック体110の外側表面112全体にわたって変化して良い。表面粗さの熱輸送への影響に関するさらなる詳細は特許文献1で与えられている。
さらに静電チャック100は、温度監視システム(図示されていない)と結合する1つ以上の温度センサ(図示されていない)を有して良い。前記1つ以上の温度センサは前記基板及び/又はヒートシンク体120の温度を測定するように備えられて良い。たとえば、前記温度がチャック体110の下側表面で測定されるように、又は、前記基板の底面の温度が測定されるように、前記1つ以上の温度センサは設けられて良い。
前記温度センサは、光ファイバ温度計、光パイロメータ、特許文献2に記載されているようなバンド端温度測定システム、又は熱電対−K型熱電対のような−を有して良い。光温度計の例には、アドバンストエネルギー(Advanced Energies)社から市販されているOR2000F型光ファイバ温度計、レクストロン(Luxtron)社から市販されているM600型光ファイバ温度計、又は高岡電機から市販されているFT-1420型光ファイバ温度計が含まれる。
前記温度監視システムは、加熱素子、冷却素子、背面ガス供給システム、又は、処理前、中、若しくは後に静電固定を行うためのHV DC電源のうちのすくなくとも1つを調節するため、制御システムへセンサ情報を提供して良い。
前記制御システムは、マイクロプロセッサ、メモリ、及びデジタルI/Oポート(場合によってはD/A及び/又はA/Dコンバータも含まれる)を有する。そのデジタルI/Oポートは、静電チャック100からの出力を監視するだけではなく、静電チャック100の入力とのやり取りや起動を行うのに十分な制御電圧を発生させることができる。しかも前記制御システムは、前記加熱素子制御ユニット、前記流体熱制御ユニット、前記HV DC電源、前記背面ガス供給システム、及び温度監視システムと結合して、これらと情報のやり取りを行って良い。メモリ内に記憶されたプログラムは、記憶されたプロセスレシピに従って上述の基板ホルダの構成部品との相互作用を行うのに利用される。
前記制御システムは、汎用コンピュータ、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ等で実装されても良い。前記制御システムは、基板ホルダに、コンピュータによる読み取りが可能な媒体から制御装置に格納されている1以上の命令に係る1以上のシーケンスを実行する前記制御システムに応答して、本発明に係る処理工程の一部又は全部を実行させる。コンピュータによる読み取りが可能な媒体又はメモリは、本発明の教示に従ってプログラミングされた命令を保持し、かつ本明細書に記載されたデータ構造、テーブル、レコード又は他のデータを有する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体の例には、コンパクトディスク(たとえばCD-ROM)若しくは他の光学式媒体、ハードディスク、フロッピーディスク、テープ、磁気光学ディスク、PROMs(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM若しくは他の磁気媒体、パンチカード、紙テープ若しくは穴のパターンを有する他の物理媒体、又は搬送波(後述)若しくはコンピュータによる読み取りが可能な他の媒体がある。
前記制御システムは、静電チャック100に対して局所的に設置されても良いし、又はインターネット又はイントラネットを介して静電チャック100に対して離れた場所に設置されても良い。よって前記制御システムは、直接接続、イントラネット、インターネット及びワイヤレス接続のうちの少なくとも1を用いることによって静電チャック100とのデータのやり取りをして良い。前記制御システムは、たとえば顧客側(つまりデバイスメーカー等)のイントラネットと結合して良いし、又はたとえば売り手側(つまり装置製造者等)のイントラネットと結合しても良い。さらに別なコンピュータ(つまり制御装置、サーバー等)が、たとえば制御装置とアクセスすることで、直接接続、イントラネット及びインターネットのうちの少なくとも1つを介してデータのやり取りをして良い。
任意で静電チャック100はRF電極をさらに有して良い。RF出力は、前記RF電極を介して前記基板上方の処理領域内のプラズマと結合する。たとえば前記RF電極は静電固定電極118を有して良い。しかし前記RF電極は静電固定電極118から独立して良い。それに加えてたとえば静電固定電極118は、RF発生装置からインピーダンス整合ネットワークを介した静電チャック100へのRF出力の伝送により、RF電圧で電気的にバイアス印加されて良い。前記RFバイアスは、電子を加熱してプラズマを生成及び維持し、かつ/又は、前記基板へ入射するイオンエネルギーを制御するために前記基板へバイアス印加するように機能して良い。この構成では、前記システムは、反応性イオンエッチング(RIE)反応装置として動作して良い。前記チャンバと上側ガス注入電極は接地面として機能する。RFバイアスの典型的な周波数は約0.1MHz〜約100MHzの範囲であって良く、好適には13.56MHzである。
あるいはその代わりにRF出力は、複数の周波数で前記基板ホルダに印加されて良い。さらにインピーダンス整合ネットワークは、反射出力を最小限に抑制することによって、前記処理チャンバ内でのプラズマへのRF出力の移送を最大にするように機能して良い。様々な整合ネットワーク形態(たとえばL型、π型、T型等)及び自動制御方法が利用されて良い。
さらに図2を参照すると、静電チャック100は、集束輪150、第1絶縁輪152、及び第2絶縁輪154をさらに有して良い。それに加えて静電チャック100は、チャック体110の外側表面112に対して前記基板を運搬するように備えられたリフトピン集合体(図示されていない)をさらに有して良い。
ここで図3を参照すると、静電チャックの拡大断面図が表されている。当該静電チャックはチャック体210及びヒートシンク体220を有する。図3はさらに、チャック体210と接した状態である任意の伝熱部材240を図示している。任意の伝熱部材240がチャック体210と接した状態であることで、ギャップ226は、ヒートシンク体220上の伝熱表面221を、任意の伝熱部材240上の内側表面241から隔離する。あるいはその代わりに伝熱部材240は省略されても良い。Q=hAΔTの関係に従って、熱(ワット(W)で測定される)はギャップ226を介して、内側表面241と伝熱表面221との間にやり取りされる。ここで、hはギャップ226を介した熱流の伝熱係数で、Aは、熱がやり取りされる内側表面241と伝熱表面221の表面積を表し、かつ、ΔTは、伝熱部材240とヒートシンク体220との間での温度差である。伝熱量Qを増大させるため、ギャップ226の厚さを減少させるか、かつ/あるいは、表面積Aを増大させて良い。
ここで図4を参照すると、静電チャックの拡大断面図が表されている。当該静電チャックはチャック体310及びヒートシンク体320を有する。図4はさらに、チャック体310と接した状態である任意の伝熱部材340を図示している。任意の伝熱部材340がチャック体310と接した状態であることで、ギャップ326は、ヒートシンク体320上の伝熱表面321を、任意の伝熱部材340上の内側表面341から隔離する。あるいはその代わりに伝熱部材340は省略されても良い。チャック体310の内側表面341又は伝熱部材340は、内側表面341から外側へ延びる突出物342からなる第1アレイを有する。それに加えてヒートシンク体320の伝熱表面321は、伝熱表面321から外側へ延びる突出物322からなる第2アレイを有する。熱のやり取りが可能な表面積を増大させるため、突出物342からなる第1アレイは、突出物322からなる第2アレイと接触せずに交錯するように備えられる。
たとえば図5A及び図5Bに図示されているように、突出物342’からなる第1アレイ(たとえば上述の伝熱部材又はチャック体に相当する)は1つ以上の同心円状のフィン342A、342B、342Cからなるアレイを有して良く、かつ、突出物322’からなる第2アレイ(たとえば上述のヒートシンク体に相当する)は1つ以上の同心円状のフィン322A、322B、322Cからなるアレイを有して良い。前記の1つ以上の同心円状のフィン342A、342B、342Cからなる第1アレイ中の各同心円状のフィン及び前記の1つ以上の同心円状のフィン322A、322B、322Cからなる第2アレイ中の各同心円状のフィンは、内径(ri)と外径(ro)によって定義されて良い。
それに加えてたとえば、前記の1つ以上の同心円状のフィン342A、342B、342Cからなる第1アレイ中の各同心円状のフィン及び前記の1つ以上の同心円状のフィン322A、322B、322Cからなる第2アレイ中の各同心円状のフィンは、熱膨張の異なる前記チャック体と前記ヒートシンク体を収容するように間隔を空けて設けられて良い。たとえば突出物342’からなる第1アレイ中の各同心円状のフィンの内径(ri)が突出物322’からなる第2アレイ中の各同心円状のフィンの外径(ro)に対して半径方向に設けられている間隔は、突出物342’からなる第1アレイ中の各同心円状のフィンの外径が突出物322’からなる第2アレイ中の各同心円状のフィンの内径に対して設けられている間隔よりも狭くて良い。図5Aに図示されたこの初期間隔はたとえば、室温に対応して良い。図5Bに図示されているように、前記チャック体の温度が初期温度(たとえば室温)よりも高い温度にまで上昇するとき、前記チャック体は、前記(低温)ヒートシンク体の半径方向長さよりも長く延びる。一旦前記チャック体が設計温度に到達すると、最終的な半径(ri’及びro’)は、突出物342’からなる第1アレイと突出物322’からなる第2アレイが、半径方向において実質的に均等な間隔を設けるような値となる。
ここで図6を参照すると、静電チャックの拡大断面図が図示されている。当該静電チャックはチャック体410及びヒートシンク体420を有する。図6はさらに、チャック体410と接した状態である任意の伝熱部材440を図示している。任意の伝熱部材440がチャック体410と接した状態であることで、ギャップ426は、ヒートシンク体420上の伝熱表面421を任意の伝熱部材440上の内側表面441から隔離する。伝熱部材440は、ファスナーを含む従来手段により、チャック体410と結合して良い。あるいはその代わりに伝熱部材440は、接触部材450を用いることによって、チャック体410に抗するように押される。
図6に図示されているように、接触部材450はバネ集合体451を有して良い。バネ集合体451は、伝熱部材440と接触するように備えられた第1端部と該第1端部の反対側に位置する第2端部464を有する内側柱状部材460を有する。それに加えてバネ集合体451は内側柱状部材460に対して同心円状であるカップ部材470を有する。カップ部材470は開口端部472を有する。開口474及び末端476は、内側柱状部材460の第2端部464を受けるように備えられている。さらにバネ集合体451は、カップ部材470上の開口474とヒートシンク体420上の支持表面425との間に設けられたバネ480を有する。チャック体410、伝熱部材440、及びヒートシンク体420の配置は、バネ480が圧縮され、バネの力が断熱部材440に印加されることで、断熱部材440がチャック体410に対向するように押されるようになされる。その結果、チャック体410と伝熱部材440との間での界面412での機械的な接触が改善される。
接触部材450は、該接触部材450を介したチャック体410とヒートシンク体420との間での熱流に対して適切な熱抵抗を与えるように設計されて良い。それに加えて接触部材450は、バネ480が比較的冷却された状態で維持できるように設計されて良い。たとえば図6に図示されているように、カップ部材470の下部477は、ヒートシンク体420に近接するように設けられている。このように近接して設けられているので、好適な伝熱経路は、チャック体410から内側柱状体460とカップ部材470の下部477を介してヒートシンク体420へ向かう熱流を有する(チャック体410から内側柱状体460を介してカップ部材470の下部477へ向かい、上方へ向かってカップ部材を介して開口端部472へ向かい、バネ480を介してヒートシンク体420へ向かう熱流とは対照的である)。その結果、バネ480における過剰に温度が上がる可能性を抑制することができる。
さらに内側柱状体460は熱抵抗性の材料(つまり熱コンダクタンスが低い)を有して良い。内側柱状体460が熱抵抗性の材料を有する目的は、伝熱部材440又はチャック体410上の「冷たい」点を減少又は防止すること、及び、伝熱部材440又はチャック体410から接触部材450を介したヒートシンク体420への伝熱を制限することである(たとえば内側柱状体460はその長さに沿って比較的大きな温度差を維持して良い)。例として、内側柱状体460はジルコニアから作られて良く、かつバネ480及びカップ部材470はステンレス鋼から作られて良い。
接触部材450は、チャック体410と伝熱部材440との間の特定の接触熱抵抗(TCR)(つまり伝熱係数hの逆数に等しい)を供するように設計されて良い。TCRは多数の変数によって影響を受けると考えられる。そのような変数には、チャック体410の材料組成、伝熱部材440の材料組成、チャック体410の接触表面特性(たとえば表面仕上げ)、伝熱部材440の接触表面特性(たとえば表面仕上げ)、チャック体410と伝熱部材440との間の気体環境(たとえば気体の組成、圧力等)、及び、1つ以上の接触集合体450によって供される固定圧力(たとえば固定圧力は、接触集合体450の個数、各接触集合体450のバネの力等によって影響を受けると考えられる)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
チャック体410と伝熱部材440との間のTCRは、とりわけ、基板の温度均一性(たとえば基板全体にわたる中心と端部との間での温度差)に影響を及ぼすと考えられる。例として、チャック体410と伝熱部材440との間のTCRは約0.001Km2/Wであって良い。あるいはその代わりにたとえば、チャック体410と伝熱部材440との間のTCRは約0.002Km2/Wであって良い。あるいはその代わりにたとえば、チャック体410と伝熱部材440との間のTCRは約0.01Km2/Wであって良い。
TCRが増大することで、チャック体410の中心と端部との間の温度差は減少する。さらにTCRが増大することで、ギャップ426を介したチャック体410とヒートシンク体420との間での熱伝達の割合は増大する。従ってTCRは、基板上での標的温度の均一性を実現するように選択及び/又は調節されて良い。
熱接触は、チャック体410と伝熱部材440との間に伝熱材料を設けることによってさらに改善されて良い。たとえば前記伝熱材料はグラファイトが注入されたポリマーを有して良い。
ここで図7を参照すると、他の実施例による処理システム内の静電チャック基板ホルダ上の基板温度を制御する方法600を表すフローチャートが与えられている。たとえば温度制御法は、たとえば図2〜6のいずれかに記載された静電チャックを有する処理システム内での処理に係る複数の処理工程に関する。方法600は、基板処理システム内で用いられる静電チャックを準備する工程610で開始される。当該静電チャックは、チャック体、ヒートシンク体、前記チャック体と前記ヒートシンク体を支持するように備えられたテーブル集合体、及び、前記チャック体と前記テーブル集合体との間に設けられた拡張接合部であって、熱膨張率の異なる前記チャック体と前記テーブル集合体を収容しながら、前記チャック体と前記テーブル集合体とを密閉した状態で接合するように備えられている拡張接合部を有する。
工程620では、前記静電チャック上に基板が設けられる。
工程630では、前記チャック体内部に形成された静電固定電極と電圧とを結合することによって、前記静電チャックの外側表面に基板が固定される。
工程640では、前記チャック体内部に形成された1つ以上の加熱素子と電力とを結合することによって、前記基板の温度が昇温する。
一旦前記基板温度が昇温すると、前記基板は前記チャック体に固定されて良い。そのようにすることによって、前記基板を固定した後に加熱することによって前記基板にかかる意図しない応力を解放することができる。しかし別な実施例では、前記基板は固定された後に加熱されても良い。
工程650では、前記ヒートシンク体の温度を前記基板温度未満に維持し、かつ前記ヒートシンク体の伝熱表面を前記チャック体の内側表面に近接するように設けることによって、前記基板の温度が制御される。たとえば前記基板温度は最大約450℃の温度で制御されて良い。あるいはその代わりにたとえば、前記基板温度は最大約400℃の温度で制御されて良い。あるいはその代わりにたとえば、前記基板温度は最大約300℃の温度で制御されて良い。あるいはその代わりにたとえば、前記基板温度は最大約200℃の温度で制御されて良い。あるいはその代わりにたとえば、前記基板温度は最大約100℃の温度で制御されて良い。
それに加えて前記基板の温度均一性が制御されて良い。たとえば温度均一性(%)(Tunif=[(Tmax-Tmin)/Taverage]×100%)は約1%以下であって良い。あるいはその代わりに前記温度均一性は約5%以下であって良い。あるいはその代わりに前記温度均一性は約10%以下であって良い。あるいはその代わりに前記温度均一性は約25%以下であって良い。さらにたとえば中心と端部との間の温度差は調節及び/又は制御されて良い。
その後前記基板は固定を外され、冷却され、続いて前記チャック体から取り外されて良い。前記基板温度を昇温させながら前記基板の固定を外しても良い。そのようにすることによって、前記基板を固定した後に加熱することによって前記基板にかかる意図しない応力を解放することができる。しかし別な実施例では、前記基板は冷却された後に固定を外されても良い。