JP2011505428A - アルカリセルロースまたはセルロース誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
木材および他のリグノセルロース,例えばわらまたは他の1年生植物は、多くの種々の細胞種からなり、これはセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンが主な化学成分である。水性の化学的消化液との接触で、リグニン(これは主に木材繊維間にバインダーとして、そして外側の細胞壁層中に埋まっている)およびヘミセルロースは大部分が繊維マトリクスの外に溶け出す。構造要素の結束はこのプロセスで損なわれる。消化後に得られる繊維状物質は、主にセルロースからなり、パルプと呼ばれる。得られる水性繊維懸濁液を洗浄し、スクリーニングし、任意に漂白し、脱水し、そして乾燥させる。従来の脱水および乾燥のプロセスにおいては、単相シートのパルプを形成し、乾燥させ、そして典型的にはロール形状で出荷する。パルプ化プロセスは、Ullmann’s encyclopedia of Industrial Chemistry,Copyright(c)2002(Wiley− VCH Verlag GmbH&Co.KGaAによる) DOI:10.1002/14356007.al8_545,オンライン論文”Paper and Pulp”(投稿日2000年6月15日)第14−35頁に詳細に記載されている。有用なパルプ化プロセスは、例えば、アルカリパルプ化法、クラフトパルプ化、またはサルファイト法である。
本発明の一側面において、驚くべきことに、粒状化された(granulated)セルロース系物質をセルロース誘導体の製造のために用いる場合に、高品質のセルロース誘導体を得ることができることを見出した。予期しないことに、粒状化されたセルロース系物質を、アルカリ化および誘導体化のために粉末化セルロース系物質を用いる公知のプロセスでのように用いる場合に、本質的に同じ品質のセルロース誘導体を製造できる。
図面の簡単な説明
本発明の一側面においては、粉末形状のセルロース系物質を出発物質として用いて、本発明の方法において使用される粒状化されたセルロース系物質を得る。本明細書で用いる用語「セルロース系物質」は、物質の主要部がセルロースからなるが、少量の他の物質,例えばヘミセルロースまたはリグニンを含んでもよいものを意味する。好ましくは、精製セルロースを用い、これは更なる物質が少量であるかまたは全くないセルロース繊維、特に針葉樹、広葉樹、コットンまたはバクテリア起源のセルロース、より好ましくは少なくとも85パーセント、最も好ましくは少なくとも90パーセントの純度に精製されているセルロース、または精製セルロースと任意の非精製セルロースまたは多糖との任意の混合物であって、少なくとも60質量パーセントのセルロース、好ましくは少なくとも70質量パーセント、より好ましくは少なくとも80質量パーセントおよび最も好ましくは少なくとも90質量パーセントのセルロースを含む混合物を意味する。好ましくはセルロースの結晶性は低いが、部分的に結晶領域がセルロース含有物質中に含まれることができる。特に好ましい出発物質は、例えば公知のサルファイト法またはクラフト法によって得られる木材セルロースである。他の好ましい出発物質は、破砕コットンリンターであり、好ましくは精製コットンリンターである。粉末形状のセルロース系物質の嵩密度は、セルロースの種類に左右されるが、粉末が容器内にいかなる振動もなしで充填されて自動的に非沈降嵩密度(unsettled bulk density)を示す場合、一般的にはセルロース粉末の嵩密度は60〜170g/lである。これは、追加の沈降法(振動)を用いることによって評価できる100〜300g/lの「沈降嵩密度」(settled bulk density)に対応する。
450gの粉末状セルロース(非沈降嵩密度110g/lを有するもの)を、横型スチール反応器に充填し、空気を全て窒素で置換する。この粉末状セルロースによる反応器の充填度は、81パーセントである。図1は、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影される粉末状セルロースの像を示している。次いで、987gの50パーセント苛性水溶液および200gのジメチルエーテル(不活性懸濁助剤として)を、セルロースの活性化のために撹拌下で添加する。40℃での15分間のアルカリ化の後、115gのプロピレンオキサイドおよび900gのクロロメタンを撹拌下で供給する。温度を80℃に上昇させ、全反応時間は240分間である。次いで、反応器圧を解放して、内容物を90℃の熱水でスラリー化し、適当量の酢酸で中和する。スラリーをフィルターろ過して、追加の熱水で洗浄する。次いでフィルターケークを乾燥させてミル挽きする。置換をエーテル開裂法(Zeiselによる)で評価する。置換は29.5パーセントメトキシル(MeO)および4.0パーセントヒドロキシプロポキシル(HpO)である。粘度3850cps(=3850mPa.s)は、ブルックフィールド粘度計で、1質量パーセント水性溶液中でスピンドル4にて測定される。生成されるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の分析結果を表1に記録する。
粉末状セルロースを、ローラー圧縮機内で、比(specific)プレス力20kN/cmを適用して圧縮セルロースシート(スリップ)に圧縮してシートを生成する。続いて、圧縮されたシートをばらばらにして、粒状化されたセルロース系物質を形成する。図2は、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影される粒状化されたセルロース系物質の像を示している。450gの粒状化されたセルロース系物質(非沈降嵩密度249g/lを有するもの)を反応器内に充填し、空気を全て窒素で置換する。次いで、974gの50パーセント苛性水溶液および200gのジメチルエーテル(不活性懸濁助剤として)を、セルロースの活性化のために撹拌下で添加する。40℃での15分間のアルカリ化の後、115gのプロピレンオキサイドおよび900gのクロロメタンを撹拌下で供給する。温度を80℃に上昇させ、全反応時間は241分間である。次いで、反応器圧を解放して、内容物を90℃の熱水でスラリー化し、適当量の酢酸で中和する。スラリーをフィルターろ過して、追加の熱水で洗浄する。次いでフィルターケークを乾燥させてミル挽きする。置換をエーテル開裂法(Zeiselによる)で評価する。置換は30.5パーセントメトキシル(MeO)および4.0パーセントヒドロキシプロポキシル(HpO)である。粘度3760cps(=3760mPa.s)は、ブルックフィールド粘度計で、1質量パーセント水性溶液中でスピンドル4にて測定される。生成されるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の分析結果を表1に記録する。
粉末状セルロースを、ローラー圧縮機内で、比プレス力20kN/cmを用いて圧縮セルロースシート(スリップ)に圧縮してシートを生成する。続いて、圧縮されたシートをばらばらにして、圧縮された、粒状化されたセルロース系物質を形成する。675gの粒状化されたセルロース系物質(非沈降嵩密度249g/lを有するもの)を反応器内に充填し、空気を全て窒素で置換する。次いで、1451gの50パーセント苛性水溶液および300gのジメチルエーテル(不活性懸濁助剤として)を、セルロースの活性化のために撹拌下で添加する。室温での15分間のアルカリ化の後、173gのプロピレンオキサイドおよび1350gのクロロメタンを撹拌下で供給し、そして温度を80℃に上昇させ、全反応時間は262分間である。次いで、反応器圧を解放して、内容物を熱水でスラリー化し、中和し、そして実験2におけるように更に加工する。生成されるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の分析結果を表1に記録する。
Claims (15)
- アルカリセルロースおよび/またはセルロース誘導体の製造のための、粒状化されたセルロース系物質の使用。
- アルカリセルロースおよび/またはセルロース誘導体の製造のための、凝集繊維を含むセルロース系物質の使用。
- セルロース系物質が、x(10パーセント)が少なくとも60マイクロメートルであり、x(16パーセント)が少なくとも70マイクロメートルであり、x(50パーセント)が少なくとも200マイクロメートルであり、x(84パーセント)が少なくとも300マイクロメートルであり、そしてx(90パーセント)が少なくとも400マイクロメートルであるような粒子サイズ分布を有し、x(nパーセント)は、粒子のn質量パーセントがより小さい等価径を有し、かつ100−n質量パーセントがより大きい等価径を有する径であり、該等価粒子径xは、既知粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径である、請求項1または2に記載の使用。
- セルロース系物質が、非沈降嵩密度120〜450g/lの範囲、または沈降嵩密度200〜650g/lの範囲を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
- アルカリセルロースおよび/またはセルロース誘導体を製造する方法であって、
粒状化されたセルロース系物質を反応器内に充填するステップ、および
該粒状化されたセルロース系物質をアルカリ溶液と接触させるステップ
を含む、方法。 - パルプを、シート形状のセルロース系物質に加工するステップ、
生成したセルロース系物質を破砕するステップ、
破砕したセルロース系物質を粒状化してその嵩密度を増大させるステップ、
粒状化されたセルロース系物質を反応器内に充填するステップ、および
該粒状化されたセルロース系物質をアルカリ溶液と接触させるステップ
を含む、請求項5に記載の方法。 - パルプをセルロース系物質に破砕するステップ、および該セルロース系物質をアルカリ溶液と接触させるステップを含み、パルプをシートに加工するステップを伴わない、請求項5に記載の方法。
- 粒状化されたセルロース系物質を、アルカリ溶液およびエーテル化剤またはエステル化剤と接触させる、請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
- 粒状化されたセルロース系物質が凝集繊維を含む、請求項5〜8のいずれかに記載の方法。
- 粒状化されたセルロース系物質が、x(10パーセント)が少なくとも60マイクロメートルであり、x(16パーセント)が少なくとも70マイクロメートルであり、x(50パーセント)が少なくとも200マイクロメートルであり、x(84パーセント)が少なくとも300マイクロメートルであり、そしてx(90パーセント)が少なくとも400マイクロメートルであるような粒子サイズ分布を有し、x(nパーセント)は、粒子のn質量パーセントがより小さい等価径を有し、かつ100−n質量パーセントがより大きい等価径を有する径であり、該等価粒子径xは、既知粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径である、請求項5〜9のいずれかに記載の方法。
- 粒状化された物質が、非沈降嵩密度120〜450g/lの範囲、または沈降嵩密度200〜650g/lの範囲を有する、請求項5〜10のいずれかに記載の方法。
- アルカリセルロースおよび/またはセルロース誘導体を製造する方法であって、パルプをセルロース系物質に破砕するステップ、および該セルロース系物質をアルカリ溶液と接触させるステップを含み、パルプをシートに加工するステップを伴わない、方法。
- セルロース系物質を、アルカリ溶液およびエーテル化剤またはエステル化剤と接触させる、請求項12に記載の方法。
- セルロース系物質が、x(10パーセント)が少なくとも60マイクロメートルであり、x(16パーセント)が少なくとも70マイクロメートルであり、x(50パーセント)が少なくとも200マイクロメートルであり、x(84パーセント)が少なくとも300マイクロメートルであり、そしてx(90パーセント)が少なくとも400マイクロメートルであるような粒子サイズ分布を有し、x(nパーセント)は、粒子のn質量パーセントがより小さい等価径を有し、かつ100−n質量パーセントがより大きい等価径を有する径であり、該等価粒子径xは、既知粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径である、請求項12または13に記載の方法。
- 粒状化された物質が、非沈降嵩密度120〜450g/lの範囲、または沈降嵩密度200〜650g/lの範囲を有する、請求項12〜14のいずれかに記載の方法。
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