JP2021095470A - 粉末状セルロース - Google Patents

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みなみ 川畑
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Abstract

【課題】本発明は、保水性に優れた粉末状セルロースを提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、重合度が1500未満のセルロースを含む粉末状セルロースであって、下記式(1)で算出される有機炭素量が0.45%以上である、粉末状セルロースに関する。式(1):有機炭素量(%)=1%NaOH抽出時の全有機炭素量(%)−純粋抽出時の全有機炭素量(%)【選択図】なし

Description

本発明は、粉末状セルロースに関する。
従来、食品や医薬品等の添加剤として粉末状セルロースが用いられている。粉末状セルロースは、例えば、水系溶媒中において、懸濁安定性や乳化安定性を高める働きをすることが知られている。
特許文献1〜3に開示されているように、粉末状セルロースは、錠剤の賦形剤として用いられる場合がある。特許文献1〜3では、粉末状セルロースの平均重合度、重量平均粒子径及び見掛け密度等を所定の範囲内とすることで、圧縮成形性に優れた粉末状セルロースを得ることを目的としている。
また、特許文献4には、パルプ原料から得られる粉末状セルロースにおいて、該粉末状セルロースの平均粒子径が40〜90μm、平均重合度が700〜2500、結晶化度が60〜90%であることを特徴とする粉末状セルロースが開示されている。ここでは、粉末状セルロースの平均粒子径、平均重合度及び結晶化度を所定の範囲内とすることで吸水性樹脂を用いずとも吸水性に優れた粉末状セルロースを得ることが検討されている。
国際公開第2013/180246号 国際公開第2013/180249号 特開2018−16818号公報 特開2017−66257号公報
粉末状セルロースに求められる物性は用途によって様々であるが、保水剤や保形材、塗料、苗床、セメント混和剤などの用途においては保水性が求められる場合がある。しかしながら、従来の粉末状セルロースにおいては、その保水性が十分ではなく、さらなる改善が求められていた。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、保水性に優れた粉末状セルロースを提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、粉末状セルロースに含まれるセルロースの重合度を所定値未満とし、さらに、所定条件で算出される粉末状セルロースの有機炭素量を所定値以上とすることにより、保水性に優れた粉末状セルロースが得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 重合度が1500未満のセルロースを含む粉末状セルロースであって、
下記式(1)で算出される有機炭素量が0.45%以上である、粉末状セルロース。
式(1):有機炭素量(%)=1%NaOH抽出時の全有機炭素量(%)−純粋抽出時の全有機炭素量(%)
[2] メジアン径が10〜100μmである、[1]に記載の粉末状セルロース。
[3] セルロースの加重平均繊維長が50〜500μmである、[1]又は[2]に記載の粉末状セルロース。
[4] セルロースは、広葉樹由来のセルロースである、[1]〜[3]のいずれかに記載の粉末状セルロース。
[5] 嵩密度が0.05〜0.50g/mlである、[1]〜[4]のいずれかに記載の粉末状セルロース。
[6] タッピング嵩密度が0.10〜0.50g/mlである、[1]〜[5]のいずれかに記載の粉末状セルロース。
本発明によれば、保水性に優れた粉末状セルロースを得ることができる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
(粉末状セルロース)
本発明は、重合度が1500未満のセルロースを含む粉末状セルロースであって、下記式(1)で算出される有機炭素量が0.45%以上である、粉末状セルロースに関する。
式(1):有機炭素量(%)=1%NaOH抽出時の全有機炭素量(%)−純粋抽出時の全有機炭素量(%)
本発明の粉末状セルロースの式(1)で算出される有機炭素量は、0.45%以上であればよく、0.48%以上であることが好ましく、0.50%以上であることがより好ましく、0.55%以上であることがさらに好ましく、0.60%以上であることが特に好ましい。なお、粉末状セルロースの式(1)で算出される有機炭素量は、2.0%以下であることが好ましく、1.2%以下がより好ましく、1.0%以下がさらに好ましい。有機炭素量を2%以下にすることで乾燥時の焦げ付きを抑制することができる。
粉末状セルロースの式(1)で算出される有機炭素量は、具体的には以下の方法で測定及び算出される。まず、5gの粉末状セルロースに、純水または1%水酸化ナトリウム水溶液をそれぞれ80mL加えて5分間攪拌する。その後、吸引ろ過によりろ液を得る。次いで、ろ液に塩酸を加えて酸性(pH2〜3)とし、全有機炭素計(島津製作所製、TOC−L)を用いて全有機炭素量(TOC)を測定する。そして、上記式(1)を用いて有機炭素量を算出する。すなわち、粉末状セルロースの有機炭素量は、粉末状セルロース中に含まれるアルカリ可溶性成分と純粋可溶成分の差分であり、この差分はアルカリに可溶する成分量である。そして、この成分量は、残留不純物由来の有機炭素量に由来する成分量を示すものである。なお。本明細書において粉末状セルロースに残留する不純物としては、例えば、ヘミセルロース、リグニン等を挙げることができる。
従来、粉末状セルロースにおいては、残留不純物の残留は極力少ない方が好ましいとされていた。特に粉末状セルロースを医薬品や食品等の用途に用いる場合には、不純物の残留は問題となる。しかしながら、本発明者らは、敢えて、残留不純物由来の有機炭素量を所定値以上とすることにより、粉末状セルロースの保水性を高め得ることを見出した。このように、本発明は不純物を敢えて残留させることで保水性を高めることに成功したものである。
本発明の粉末状セルロースは、上記構成を有するため、保水性に優れている。とりわけ、式(1)で算出される有機炭素量を所定値以上とすることにより、保水性を効果的に高めることができる。ここで、本明細書において、粉末状セルロースの保水性は、粉末状セルロースの保水度が高いことをもって、優れていると評価できる。粉末状セルロースの保水度は、J.TAPPINo.26に準拠し測定される値である。保水度は74%以上であることが好ましく、76%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。保水度が上記下限値以上である場合に、粉末状セルロースは保水性に優れていると判定できる。
本発明の粉末状セルロースのメジアン径は、1nm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。粉末状セルロースのメジアン径は、1mm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。メジアン径は、累積50%粒子径(D50)であり、粒度分布の積算値が50%となる値の粒子径である。なお、粉末状セルロースのメジアン径は、粒子径分布測定装置を用いて測定する。そして、粒度分布の積算値が50%となる値をメジアン径として算出する。粒子径分布測定装置としては、例えば、マイクロトラック・ベル社製のマイクロトラック MT−3000を用いることができる。粉末状セルロースのメジアン径を上記範囲内とすることにより、より効果的に粉末状セルロースの保水性を高めることができる。
本発明の粉末状セルロースの嵩密度は、0.03g/mL以上であることが好ましく、0.04g/mL以上であることがより好ましく、0.05g/mL以上であることがさらに好ましい。また、粉末状セルロースの嵩密度は、0.50g/mL以下であることが好ましい。粉末状セルロースの嵩密度は、高さ13.5cmから粉末状セルロースを自由落下させて、規定の容器(100cmカップ)に入った試料の重量を測定し、単位体積(1mL)当たりの重量を算出した値である。粉末状セルロースの嵩密度を上記範囲内とすることにより、より効果的に粉末状セルロースの保水性を高めることができる。
本発明の粉末状セルロースのタッピング嵩密度は、0.05g/mL以上であることが好ましく、0.75g/mL以上であることがより好ましく、0.10g/mL以上であることがさらに好ましい。また、粉末状セルロースのタッピング嵩密度は、0.50g/mL以下であることが好ましい。粉末状セルロースのタッピング嵩密度を算出する際には、100mLメスシリンダーに粉末状セルロースを10g投入し、粉末状セルロースの体積が低下しなくなるまでメスシリンダーの底をタッピングした後、平らになった表面の目盛りを読んで体積を測定する。その後、単位体積(1mL)当たりの重量を算出することでタッピング嵩密度が求められる。粉末状セルロースのタッピング嵩密度を上記範囲内とすることにより、より効果的に粉末状セルロースの保水性を高めることができる。
本発明の粉末状セルロース中の水分含有量は、粉末状セルロースの全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。なお、粉末状セルロース中の水分含有量は0質量%であってもよい。
(セルロース)
本発明の粉末状セルロースはセルロースを含む。セルロースは、パルプ由来原料であることが好ましい。パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを挙げることができる。木材パルプとしては例えば、広葉樹パルプ(広葉樹クラフトパルプ(LBKP))、針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NBKP))、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられるが、特に限定されない。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。パルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中でも、入手のしやすさという観点から、セルロースを含む木材パルプや機械パルプを用いることが好ましい。
中でも、セルロースは、広葉樹及び針葉樹から選択される少なくとも1種に由来するセルロースであることが好ましく、広葉樹に由来するセルロースであることがより好ましい。特に広葉樹クラフトパルプ(LBKP)は好ましく用いられる。
セルロースの平均繊維幅は、1μmよりも大きいことが好ましく、2μm以上であることがより好ましい。また、セルロースの平均繊維幅は、50μm以下であることが好ましい。セルロースの平均繊維幅は、電子顕微鏡観察等によって測定することができる。
また、セルロースの加重平均繊維長は特に限定されないが、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。また、セルロースの加重平均繊維長は500μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがより好ましい。セルロースの加重平均繊維長は、例えば、カヤーニオートメーション社の繊維長測定装置を用い測定することができる。具体的には、0.01質量%以上0.02質量%以下の濃度の繊維分散スラリー10mlに含まれる繊維成分の中心線繊維長を、繊維長測定装置を用いて測定する。
セルロースの平均重合度は1500未満であればよく、1000以下であることが好ましく、900以下であることがより好ましく、800以下であることがさらに好ましく、700以下であることが一層好ましく、690以下であることが特に好ましい。また、セルロースの平均重合度は100以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましく、200以上であることがさらに好ましく、250以上であることが特に好ましい。なお、セルロースの平均重合度は第15改正日本薬局方、結晶セルロースの確認試験(3)に記載された銅エチレンジアミン溶液粘度法により測定した値である。
セルロースはI型結晶構造を有していることが好ましい。ここで、セルロースがI型結晶構造を有することは、グラファイトで単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を用いた広角X線回折写真より得られる回折プロファイルにおいて同定できる。具体的には、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。セルロースに占めるI型結晶構造の割合は、たとえば30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求められる(Segalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
粉末状セルロース中におけるセルロースの含有量は、粉末状セルロースの全質量に対して、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。なお、粉末状セルロース中におけるセルロースの含有量は、粉末状セルロースの全質量に対して、100質量%であってもよい。
(任意成分)
本発明の粉末状セルロースは任意成分を含んでもよい。任意成分としては、例えば、無機充填材を挙げることができる。無機充填材としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、ガラスフィラー、ガラス繊維、ガラスビーズ、酸化チタン、酸化アルミニウム、鉄、亜鉛、アルミニウム等を挙げることができる。
また、任意成分としては、例えば、吸湿剤を挙げることができる。吸湿剤としては、例えば、シリカゲル、ゼオライト、アルミナ、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール水溶性酢酸セルロース、ポリエチレングリコール、セピオライト、酸化カルシウム、ケイソウ土、活性炭、活性白土、ホワイトカーボン、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム及び吸水性ポリマー等が挙げられる。
さらに、任意成分としては、界面活性剤、有機イオン、カップリング剤、レベリング剤、防腐剤、消泡剤、有機系粒子、潤滑剤、帯電防止剤、紫外線防御剤、染料、顔料、安定剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、分散剤、架橋剤等を挙げることができる。
粉末状セルロース中に含まれる任意成分の含有量は、粉末状セルロース中に含まれる固形分の全質量に対して、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
(粉末状セルロースの製造方法)
本発明の粉末状セルロースの製造方法は、パルプを粉砕処理する工程を含む。例えば、パルプを、ロールミル、ボールミル、ロッドミル、チューブミル、容器駆動媒体ミル、塔式粉砕機、攪拌槽式ミル、媒体攪拌式ミル、圧密せん断ミル、ナイフミル、ピンミル、カッターミル等の機械式粉砕機、気流式粉砕機又は媒体式粉砕機で処理することで粉末状セルロースを得てもよい。
中でも、本発明の粉末状セルロースの製造方法は、パルプを粉砕処理する工程の前にパルプを酸処理する工程と、酸処理後のパルプを乾燥させる工程とを含むことが好ましい。なお、酸処理工程と乾燥工程の間には、中和処理工程が設けられてもよい。本発明においては、後述するような条件でパルプに酸処理を施すことにより、所望の有機炭素量を有する粉末状セルロースが得られやすくなる。これにより、保水性に優れた粉末状セルロースを得ることができる。
パルプを酸処理する工程では、パルプを酸性溶液中に分散させ、さらに撹拌をすることで酸処理を施す。酸処理工程では、パルプを加水分解することでセルロースの重合を切断する。酸処理工程で用いられる酸性溶液としては、例えば、塩酸溶液、硫酸溶液、硝酸溶液、クエン酸溶液、酢酸溶液等を挙げることができる。なお、酸性溶液としては、塩酸溶液又は硫酸溶液が好ましく用いられ、硫酸溶液は特に好ましく用いられる。
パルプを酸処理する工程で用いられる酸性溶液の濃度は、0.01N以上であることが好ましく、0.05N以上であることがより好ましく、0.1N以上であることがさらに好ましい。また、酸性溶液の濃度は5N以下であることが好ましく、3N以下であることがより好ましく、2N以下であることがさらに好ましく、1Nより低いことが特に好ましく、0.5N以下であることが最も好ましい。酸性溶液の濃度を上記範囲内とすることにより、中和工程時の使用アルカリ量及び中和熱量を抑制することができる。また、酸性溶液の濃度を上記範囲内とすることにより、不純物由来の有機炭素量を所望の範囲とすることが容易となる。また、酸性溶液の濃度を上記範囲内とすることにより、セルロースの重合度を所望の範囲にコントロールすることができ、得られる粉末状セルロースの粉体流動性を高めることができる。
酸処理工程では、酸性溶液に分散するパルプ濃度を1質量%以上10質量%以下となるようにパルプを酸性溶液に分散させることが好ましい。また、パルプを分散した酸性溶液を加熱することで、パルプの加水分解を促進することが好ましい。この場合、加熱温度は、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがさらに好ましく、90℃以上であることが一層好ましく、95℃以上であることが特に好ましい。また、加熱温度は200℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることがさらに好ましい。酸処理工程における加熱温度を上記範囲内とすることにより、不純物由来の有機炭素量を所望の範囲とすることが容易となり、その結果粉末状セルロースの保水性をより効果的に高めることができる。
酸処理工程では、酸処理時間は0.1時間以上であることが好ましく、0.5時間以上であることがより好ましく、1時間以上であることがさらに好ましい。また、酸処理時間は20時間以下であることが好ましく、10時間以下であることがより好ましい。なお、酸処理工程における加水分解条件を上記条件とすることにより、不純物由来の有機炭素量を所望の範囲とすることが容易となり、その結果粉末状セルロースの保水性をより効果的に高めることができる。また、加水分解条件を上記条件とすることにより、セルロースの平均重合度を好ましい範囲に調整しやすくなる。
酸処理工程の後には中和工程が設けられることが好ましい。中和工程では、上述した酸性溶液中にアルカリ溶液を添加することで行われる。アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、特に限定されず、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。本実施形態においては、汎用性が高いことから、たとえば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムをアルカリ化合物として用いることが好ましい。また、アルカリ溶液に含まれる溶媒は、水または有機溶媒のいずれであってもよい。中でも、アルカリ溶液に含まれる溶媒は、水、またはアルコールに例示される極性有機溶媒などを含む極性溶媒であることが好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒であることがより好ましい。アルカリ溶液としては、汎用性が高いことから、たとえば水酸化ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液が好ましい。
中和工程の後には、洗浄工程が設けられてもよい。洗浄工程は、たとえば水等の溶媒によりセルロースを洗浄することにより行われる。
乾燥工程では、セルロースの分散液から溶媒を除き、セルロース含有固形分を得る。乾燥工程では、例えば、セルロースの分散液をろ過し、固形分(脱水ケーキ)を得た後に、固形分をさらに乾燥させる工程を含んでもよい。また、蒸散等の方法により、セルロースの分散液から溶媒を除いてもよい。このような乾燥工程を経て得られる乾燥後固形分は、その後に設けられる粉砕工程で粉末状化されることが好ましい。粉砕工程では、機械式粉砕機、気流式粉砕機、媒体式粉砕機等を用いて粉砕処理を行い、粉末状セルロースが所望の平均粒子径となるまで粉砕を行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、噴霧乾燥方法を採用してもよい。この場合、セルロースと平板状無機化合物の分散液を噴霧し、瞬時に乾燥させることにより、粉末状セルロースが得られる。このような場合、噴霧乾燥はスプレードライヤー等を用いて行うことが好ましい。
なお、粉末状セルロースがセルロースの他に任意成分を含む場合は、セルロースの分散液中に任意成分を混合してもよく、粉末状セルロースを得た後に任意成分を混合してもよい。
(用途)
本発明の粉末状セルロースは、塗料、苗床、セメント混和剤、化粧品、建材、保水剤、保形剤、化学工業用品等に用いられる。また、本発明の粉末状セルロースは、粉末、顆粒又は錠剤等に混合されるものであってもよく、水系溶媒といった溶液に分散して用いられるものであってもよい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
ドライパルプシート(広葉樹由来LBKP(広葉樹クラフトパルプ))を原料として、0.1Nの硫酸水溶液中に分散させた。この際、パルプ濃度が3.5質量%となるようにパルプシートを0.1Nの硫酸水溶液中に添加し、撹拌しながら120℃、1時間で酸処理を実施した。反応後、懸濁液を水酸化ナトリウム溶液で中和し濾過した。その後、中和処理中に生成した塩を除去するために、固形分である粉末セルロースケーキを脱イオン水で洗浄した。その際、洗浄時の溶出液の誘電率が100μS以下になるまで洗浄を繰り返した。その後、洗浄した粉末セルロースケーキを105℃の送風乾燥機中で乾燥させ、得られた乾燥物をワンダーブレンダーで粉砕することで粉末状セルロースを得た。
(実施例2)
酸処理における反応時間を2.5時間とした以外は実施例1と同様にして粉末状セルロースを得た。
(実施例3)
酸処理における反応時間を4時間とした以外は実施例1と同様にして粉末状セルロースを得た。
(実施例4)
酸処理の溶液として0.2Nの塩酸溶液を用い、さらに酸処理条件を95℃、2時間に変更した以外は実施例1と同様にして粉末状セルロースを得た。
(実施例5)
酸処理の溶液を0.3Nの塩酸溶液に変更した以外は実施例4と同様にして粉末状セルロースを得た。
(実施例6)
酸処理の溶液を0.5Nの塩酸溶液に変更した以外は実施例4と同様にして粉末状セルロースを得た。
(実施例7)
セルロース原料としてサーモメカニカルパルプ(TMP)を用い、酸処理の溶液を1.0Nの塩酸溶液に変更した以外は実施例4と同様にして粉末状セルロースを得た。
(実施例8)
ドライパルプシート(広葉樹由来LBKP(広葉樹クラフトパルプ))を原料として、ナイフミル(パルマン社製)を用いて機械的に粉砕することで粉末状セルロースを得た。
(実施例9)
ドライパルプシート(広葉樹由来NBKP(針葉樹クラフトパルプ))を原料として用いた以外は実施例8と同様にして粉末状セルロースを得た。
(比較例1)
ドライパルプシート(広葉樹由来LBDP(広葉樹溶解パルプ))を原料とし、酸処理の溶液を0.05Nの塩酸溶液に変更した以外は実施例4と同様にして粉末状セルロースを得た。
(比較例2)
ドライパルプシート(広葉樹由来LBDP(広葉樹溶解パルプ))を原料とし、酸処理の溶液を0.1Nの塩酸溶液に変更した以外は実施例4と同様にして粉末状セルロースを得た。
(比較例3)
ドライパルプシート(広葉樹由来LBDP(広葉樹溶解パルプ))を原料とし、酸処理の溶液を0.5Nの塩酸溶液に変更した以外は実施例4と同様にして粉末状セルロースを得た。
(比較例4)
ドライパルプシート(広葉樹由来LBDP(広葉樹溶解パルプ))を原料とした以外は実施例8と同様にして粉末状セルロースを得た。
(測定)
<メジアン径(累積50%粒子径(D50))の測定方法>
粒子径分布測定装置(マイクロトラック MT−3000、マイクロトラック・ベル社製)を用いて粉末状セルロースのメジアン径(累積50%粒子径(D50))(粒度分布の積算値が50%となる値)を測定した。
<繊維長の測定方法>
粉末状セルロース中に含まれるセルロースの繊維長は、以下の測定方法により算出した。まず、粉末状セルロース1gを100mlの水に離解させて繊維分散スラリーを作製した。繊維分散スラリーを作製する際には、紙パルプ技術協会Tappi Standard 205に準じた溶解器を使用し、十分に離解するまでダッシャーを上下に動かした。得られた繊維分散スラリーを0.01質量%以上0.02質量%以下の濃度になるように希釈し、希釈液を作製した。この希釈液10mlに含まれる繊維成分の中心線繊維長を、繊維長測定装置(metso automation株式会社製、カヤーニファイバーラボVer4.0)を用いて測定した。
<有機炭素量の測定方法>
5gの粉末状セルロースに、純水または1%水酸化ナトリウム水溶液をそれぞれ80mL加えて5分間攪拌した。その後、吸引ろ過によりろ液を得た。次いで、ろ液に塩酸を加えて酸性(pH2〜3)とし、全有機炭素計(島津製作所製、TOC−L)を用いて全有機炭素量(TOC)を測定した。そして、以下の式を用いて有機炭素量を算出した。
有機炭素量(%)=1%NaOH抽出時の全有機炭素量(%)−純粋抽出時の全有機炭素量(%)
<保水度(%)の測定方法>
粉末状セルロースの保水度(%)は、J.TAPPINo.26に準拠し測定した。
<重合度の測定方法>
粉末状セルロース中に含まれるセルロースの平均重合度は、第15改正日本薬局方、結晶セルロースの確認試験(3)に記載された銅エチレンジアミン溶液粘度法により準拠し測定した。
<嵩密度の測定方法>
高さ13.5cmから粉末状セルロースを自由落下させて、規定の容器(100cmカップ)に入った試料の重量を測定し、単位体積(1mL)当たりの重量を算出し、嵩密度を求めた。
<タッピング嵩密度の測定方法>
100mLメスシリンダーに粉末状セルロースを10g投入し、粉末状セルロースの体積が低下しなくなるまでメスシリンダーの底をタッピングした後、平らになった表面の目盛りを読んで体積を測定し、単位体積(1mL)当たりの重量を算出し、タッピング嵩密度を求めた。
Figure 2021095470
実施例では、保水度の高い粉末状セルロースが得られていた。

Claims (6)

  1. 重合度が1500未満のセルロースを含む粉末状セルロースであって、
    下記式(1)で算出される有機炭素量が0.45%以上である、粉末状セルロース。
    式(1):有機炭素量(%)=1%NaOH抽出時の全有機炭素量(%)−純粋抽出時の全有機炭素量(%)
  2. メジアン径が10〜100μmである、請求項1に記載の粉末状セルロース。
  3. 前記セルロースの加重平均繊維長が50〜500μmである、請求項1又は2に記載の粉末状セルロース。
  4. 前記セルロースは、広葉樹由来のセルロースである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末状セルロース。
  5. 嵩密度が0.05〜0.50g/mlである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉末状セルロース。
  6. タッピング嵩密度が0.10〜0.50g/mlである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉末状セルロース。
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