JP6765217B2 - 粉末状セルロースの製造方法 - Google Patents
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また、非木材由来のパルプを酸加水分解処理することにより粉末状セルロースが得られる(特許文献2)。
しかしながら、酸濃度を調整して酸加水分解処理を行うことにより得られる粉末状セルロースは、通常、平均粒子径が大きくなると嵩高くなるために粉体流動性が低下し、平均粒子径が小さくなると、嵩の低いコンパクトな粉体となるために粉体流動性は向上する。
粉末状セルロースの用途として、錠剤の賦形が知られているが、粉末状セルロースを含む錠剤において、粉末状セルロースの平均粒子径が大きいものほど、錠剤の強度は通常大きくなる。したがって、一定値以上の平均粒子径を有し、且つ粉体流動性が改善された粉末状セルロースが求められている。
[1] 平均粒子径が20〜70μmであり、粉体落下速度が0.7〜2.0g/secである、粉末状セルロース。
[2] 見掛け比重が0.3〜0.9g/mLである、[1]に記載の粉末状セルロース。
[3] 下記(A)〜(C)を含む、平均粒子径が20〜70μmであり粉体落下速度が0.7〜2.0g/secである粉末状セルロースの製造方法。
(A)アルカリ処理パルプを酸加水分解処理して、酸加水分解処理されたパルプを得ること、
(B)酸加水分解処理されたパルプを圧して、圧されたパルプを得ること、
(C)圧されたパルプを乾燥して、乾燥されたパルプを得ること
[4] さらに、
(D)乾燥されたパルプを機械粉砕し、分級すること
を含む、[3]に記載の製造方法。
[5] アルカリ処理パルプが、パルプを45℃以下のアルカリ水溶液中で10〜180分間処理して得られる、[3]又は[4]に記載の製造方法。
[6] アルカリ処理パルプの含水率が50重量%以上である、[3]〜[5]のいずれか1つに記載の製造方法。
[7] パルプを45℃以下のアルカリ水溶液中で10〜180分間処理してアルカリ処理パルプを得ることをさらに含む、上記[3]〜[6]のいずれか1つに記載の製造方法。
本発明の粉末状セルロースは、平均粒子径が20〜70μmであり、粉体落下速度が0.7〜2.0g/secである。
なお、本明細書において、粉末状セルロースには、セルロース原料に機械的処理を施して得られたセルロース、セルロース原料に化学的処理を施して得られたセルロース、セルロース原料に機械的処理及び化学的処理の両方を施して得られたセルロースが含まれる。したがって、本発明の粉末状セルロースは、結晶セルロースであってもよい。
本発明の粉末状セルロースは、平均粒子径が、20〜70μmであり、好ましくは25〜70μmであり、さらに好ましくは25〜60μmである。
平均粒子径が20μm未満であると、セルロース繊維が緊密に絡まった状態にない傾向にあり、粉末状セルロースを錠剤に用いた場合に、錠剤の強度が十分に得られないおそれがある。また平均粒子径が70μmを超えると、粉末状セルロースの密度と平均粒子径との良好なバランスが崩れるため本発明の効果が得られにくい傾向があり、またセルロース繊維の劣化が懸念される。
本発明の粉末状セルロースは、粉体落下速度が0.7〜2.0g/secであり、好ましくは0.7〜1.5g/secであり、より好ましくは0.7〜1.3g/secであり、さらに好ましくは0.8〜1.2g/secである。
粉体落下速度が0.7〜2.0g/secの範囲にあることで、良好な粉体流動性を得ることができ、また作業中の粉舞いが抑制される。
本発明の粉末状セルロースは、見掛け比重が、好ましくは0.3〜0.9g/mLであり、より好ましくは0.3〜0.8g/mLである。
パルプの原料となり得る木材としては、例えば、広葉樹(例、ユーカリ属樹木)、針葉樹(例、エゾマツ、トドマツ、アカマツ、クロマツ、カラマツ、スギ、ヒノキ、西洋カラマツ、ラジアータパイン、ブラックスプルース、ホワイトスプルース、ウェスタンヘムロック、サザンパイン、バルサムファー、ラーチ、ジャックパイン、ダグラスファー)が挙げられる。
パルプの原料となり得る非木材としては、例えば、リンター、ケナフ、稲わら、麦わら、竹、バガス(例、サトウキビバガス)、亜麻、楮、三椏、葦、大麻、マニラ麻が挙げられる。
本発明の粉末状セルロースの原料は、2種以上のパルプ原料が混合されたものであってもよい。
本発明の粉末状セルロースの原料は、木材由来であることが好ましい。すなわち、本発明の粉末状セルロースは木材由来の粉末状セルロースであることが好ましい。
パルプは、漂白処理が複数回行われたものであってもよい。
漂白処理は、例えばサルファイト蒸解法より得られた亜硫酸パルプに対して行うことができる。
(A)アルカリ処理パルプを酸加水分解処理して、酸加水分解処理されたパルプを得ること、
(B)酸加水分解処理されたパルプを圧して、圧されたパルプを得ること、
(C)圧されたパルプを乾燥して、乾燥されたパルプを得ること
本発明の粉末状セルロースを製造する方法は、さらに、(C)の後に、
(D)乾燥されたパルプを機械粉砕し、分級することを含む方法であってもよい。
(アルカリ処理パルプ)
アルカリ処理パルプは、パルプにアルカリ処理を行って得られる。アルカリ処理とは、アルカリ性を呈する物質にパルプを接触させる処理をいう。アルカリ処理において、アルカリ性を呈する物質(アルカリ種)は特に限定されず、公知のアルカリ溶液を用いることができ、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、及びアンモニウム水溶液等のアルカリ水溶液が挙げられる。取扱いの点から、アルカリ処理を、アルカリ性を呈する物質として、水酸化ナトリウム水溶液を用いて行うことが好ましい。
アルカリ水溶液の濃度は、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上であり、さらに好ましくは10重量%以上である。上限は、好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは25重量%以下であり、さらに好ましくは15重量%以下である。
アルカリ処理時のパルプ濃度は、1〜20重量%が好ましく、5〜15重量%がより好ましく、8〜10重量%がさらに好ましい。パルプ濃度が1重量%以上であると、生産効率が良好となり好ましい。またパルプ濃度が20重量%以下であると、スラリーの流動性が適度に保たれるため、好ましい。
アルカリ処理の時間は、好ましくは10〜180分間であり、より好ましくは15〜120分間であり、さらに好ましくは30〜100分間である。
アルカリ処理の時間が10分間以上であるとパルプに含まれるヘミセルロースの除去が十分に進行する。またアルカリ処理の時間が180分間以下であると生産性が向上する。
酸加水分解処理は、酸性条件下の加水分解処理であればよく、処理方法に特に限定はなく、公知の酸加水分解処理の方法及び条件を使用してよい。酸加水分解処理の方法として、例えば、アルカリ処理パルプを酸溶液中で処理する方法が挙げられる。
酸溶液の酸濃度は、好ましくは0.05〜2.0N、より好ましくは0.1N〜1.5N、さらに好ましくは0.5〜1.4Nである。
酸としては特に限定されないが、前記酸濃度に調整できるものであることが好ましく、例えば、無機酸(例、塩酸、硫酸)及び有機酸(例、酢酸)が挙げられ、取扱いの簡便性から塩酸が好ましい。
酸加水分解処理時のパルプ濃度(固形分換算)は、好ましくは3重量%以上である。上限は、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは8重量%以下であり、さらに好ましくは7重量%以下である。
酸加水分解処理時のパルプ濃度(固形分換算)は、好ましくは3〜10重量%であり、より好ましくは3〜8重量%であり、さらに好ましくは3〜7重量%である。
酸加水分解処理の温度は、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは85℃以上である。上限は、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは95℃以下である。
酸加水分解処理の温度は、好ましくは80〜100℃であり、より好ましくは85〜100℃であり、さらに好ましくは85〜95℃である。
酸加水分解処理の時間は、好ましくは30分間以上であり、より好ましくは50分間以上であり、さらに好ましくは1時間以上である。上限は、好ましくは3時間以下であり、より好ましくは2時間以下である。
酸加水分解処理の時間は、好ましくは30分間〜3時間であり、より好ましくは50分間〜2時間であり、さらに好ましくは1時間〜2時間である。
中和を行った後に、得られたパルプを洗浄及び/又は脱水してもよい。
工程(B)では、酸加水分解処理されたパルプを圧して、圧されたパルプを得る。酸加水分解されたパルプを圧することにより、パルプに含有されるセルロース繊維が緊密に絡まった状態(圧密化状態)になることが期待される。圧する方法としては、特に限定はなく、例えばローラーやプレス機などによる圧縮、練り処理、捏ねり処理、押し出し圧縮、及び手捏ね処理等が挙げられる。パルプを圧する際の圧力は特に制限されるものではないが、0.1〜10MPaが好ましく、0.1〜5MPaがより好ましく、0.1〜1MPaが更に好ましい。パルプを圧する際の圧力が0.1MPa以上であると、良好な圧密化状態となり、10MPa以下であると、セルロース繊維の劣化を抑制し得る。
工程(C)では、圧されたパルプを乾燥して、乾燥されたパルプを得る。乾燥方法としては公知の方法を用いることができ、特に制限されるものではない。乾燥方法として、例えば、熱風乾燥、遠赤外線加熱乾燥、送風乾燥、除湿空気乾燥、スプレー乾燥、及び凍結乾燥が挙げられ、スプレー乾燥、送風乾燥が好ましい。
工程(D)では、乾燥されたパルプを、機械粉砕し、分級する。
機械粉砕の方法には特に限定はないが、例えば、機械粉砕に用いられる粉砕機としては、カッティング式ミル:メッシュミル(株式会社ホーライ製)、アトムズ(株式会社山本百馬製作所製)、ナイフミル(パルマン社製)、カッターミル(東京アトマイザー製造株式会社製)、CSカッタ(三井鉱山株式会社製)、ロータリーカッターミル(株式会社奈良機械製作所製)、ターボカッター(フロイント産業株式会社製)、パルプ粗砕機(株式会社瑞光製)、シュレッダー(神鋼パンテック株式会社製等、ハンマー式ミル:ジョークラッシャー(株式会社マキノ製)、ハンマークラッシャー(槇野産業株式会社製)、衝撃式ミル:パルベライザ(ホソカワミクロン株式会社製)、ファインインパクトミル(ホソカワミクロン株式会社製)、スーパーミクロンミル(ホソカワミクロン株式会社製)、イノマイザ(ホソカワミクロン株式会社製)、ファインミル(日本ニューマチック工業株式会社製)、CUM型遠心ミル(三井鉱山株式会社製)、イクシードミル(槇野産業株式会社製)、ウルトラプレックス(槇野産業株式会社製)、コントラプレックス(槇野産業株式会社製)、コロプレックス(槇野産業株式会社製)、サンプルミル(株式会社セイシン製)、バンタムミル(株式会社セイシン製)、アトマイザー(株式会社セイシン製)、トルネードミル(日機装株式会社製)、ネアミル(株式会社ダルトン製)、HT形微粉砕機(株式会社ホーライ製)、自由粉砕機(株式会社奈良機械製作所製)、ニューコスモマイザー(株式会社奈良機械製作所製)、ターボミル(フロイント産業株式会社製)、ギャザーミル(株式会社西村機械製作所製)、スパーパウダーミル(株式会社西村機械製作所製)、ブレードミル(日清エンジニアリング株式会社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング株式会社製)、Npaクラッシャー(三庄インダストリー株式会社製)、ウイレー粉砕機(株式会社三喜製作所製)、パルプ粉砕機(株式会社瑞光製)、ヤコブソン微粉砕機(神鋼パンテック株式会社製)、ユニバーサルミル(株式会社徳寿工作所製)、気流式ミル:CGS型ジェットミル(三井鉱山株式会社製)、ミクロンジェット(ホソカワミクロン株式会社製)、カウンタジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製)、クロスジェットミル(株式会社栗本鐵工所製)、超音速ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製)、カレントジェット(日清エンジニアリング株式会社製)、ジェットミル(三庄インダストリー株式会社製)、エバラジェットマイクロナイザ(株式会社荏原製作所製)、エバラトリアードジェット(株式会社荏原製作所製)、セレンミラー(増幸産業株式会社製)、ニューミクロシクトマット(株式会社増野製作所製)、クリプトロン(川崎重工業株式会社製)、竪型ローラーミル:竪型ローラーミル(シニオン株式会社製)、縦型ローラーミル(シェフラージャパン株式会社製)、ローラーミル(コトブキ技研工業株式会社製)、VXミル(株式会社栗本鐵工所製)、KVM型竪形ミル(株式会社アーステクニカ製)、ISミル(株式会社IHIプラントエンジニアリング製)等が例示される。
これらの中では、微粉砕性に優れる、トルネードミル(日機装株式会社製)、ブレードミル(日清エンジニアリング株式会社製)、自由粉砕機(株式会社奈良機械製作所製)を用いることが好ましい。
本発明は、(A)〜(C)を含む、平均粒子径が20〜70μmであり粉体落下速度が0.7〜2.0g/secである粉末状セルロースの製造方法を提供する。
本発明の粉末状セルロースの製造方法は、(A)〜(C)の他に、任意の工程を含んでいてもよい。
本発明の粉末状セルロースの製造方法は、さらに、(D)を含むことが好ましい。
粉末状セルロース、平均粒子径、粉体落下速度、工程(A)〜(D)については、上記項目1.において既に説明したとおりである。
マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社製)を用いて測定した。測定原理としてはレーザー散乱法を用いており、粒度分布の積算値が50%となる値を平均粒子径とした。
常法に従い、100mLメスシリンダーに試料を10g投入し、メスシリンダーの底を試料の高さが低下しなくなるまでたたき続けた後、平らになった表面の目盛を読んで試料10g当たりの体積を測定し、単位体積(1mL)当たりの重量を算出して見掛け比重(g/mL)を得た。見掛け比重が高いほど、粉体は嵩が小さく、コンパクトであることを意味する。
5gの試料を、パウダテスタ(PT−N型、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて振動落下させ、全粉体が落下するのに必要な時間を測定した。単位時間(1秒)当たりに落下した粉体量(g)を算出し、粉体落下速度(g/sec)を得た。粉体落下速度が大きいほど、粉体流動性が良好であることを意味する。
<パルプの調製>
針葉樹チップ(オーストラリア産ラジアータパイン)を用いて、亜硫酸による蒸解を行った。蒸解液は水酸化マグネシウムと亜硫酸を含む。総酸量(添加した亜硫酸イオンの総量)と化合酸量(Mgイオンと結合した亜硫酸イオンの量)とをチップに対し適宜調整し、蒸解液比/対チップが重量比2.5倍となるようにした。蒸解反応は圧力0.6〜1.0MPaに保った密閉容器内で行い、1次通気(室温からの昇温/60分間)、浸透(110℃/60分間)、2次通気(110℃から昇温/140分間)、保持(139℃/210分間)を行うことにより、亜硫酸パルプを得た。
得られた亜硫酸パルプを水洗し、以下の精製工程、漂白工程に用いた。
精製工程では、亜硫酸パルプに水酸化ナトリウム3重量%(対パルプ)、濃調水を加えてパルプ濃度が12重量%となるよう調整して亜硫酸パルプのスラリーを得て、このスラリーを85℃に加熱、100分間保持して精製した。
漂白工程では、精製工程後の亜硫酸パルプを洗浄し、次いで、二酸化塩素処理、アルカリ抽出処理、ハイポ漂白処理、二酸化塩素漂白処理の順に処理を繰り返す、多段漂白により漂白を実施した。なお各処理においてはパルプ漂白における公知の条件を適宜調整し行った。
漂白工程が終了した亜硫酸パルプを水洗し、適宜脱水して漂白パルプスラリー(パルプ濃度20重量%程度)を得た。
得られた漂白パルプスラリーを水で洗浄し、次いで、水酸化ナトリウムを用いて公知の方法でパルプ濃度10重量%であり水酸化ナトリウム濃度10重量%であるスラリーに調整し、30℃で90分間撹拌しながらアルカリ処理を行い、アルカリ処理パルプを得た。次いで、アルカリ処理パルプをスラリー状のまま水で洗浄し、次いでパルプ濃度5重量%であり塩酸濃度1.2Nであるスラリーに調整し、95℃で2時間酸加水分解処理した(工程(A))。次いで、水酸化ナトリウムを添加してスラリーを中和し、中和後のパルプの一部はその含まれるセルロース微粒子の平均粒子径を湿式により測定し、その他のパルプを十分水洗し、濾過脱水し、酸加水分解処理されたパルプ(含水率50重量%以上)を得た。得られた酸加水分解処理されたパルプを、手で3回ほぐし、次いで小型プレス機(機種AH−2003、アズワン製)にて常温で1MPaで1分間圧し、圧されたパルプを得た(工程(B))。その後、圧されたパルプを80℃の温度条件下で約1日、送風乾燥して乾燥されたパルプを得た(工程(C))。乾燥されたパルプを、トルネードミル(日機装株式会社製)を用いて機械的に粉砕し、次いで分級を行い(工程(D))、平均粒子径60.4μm、見掛け比重0.73g/mL、粉体落下速度1.2g/secの粉末状セルロースを得た。中和後のパルプに含まれるセルロース微粒子の平均粒子径は、12.5μmであった。結果を表1に示す。
実施例1の工程(B)において、酸加水分解処理されたパルプを手で3回ほぐし、次いでプレス機にて0.5MPaで1分間圧した以外は、実施例1と同様にして平均粒子径40.1μm、見掛け比重0.76g/mL、粉体落下速度1.05g/secの粉末状セルロースを得た。中和後のパルプに含まれるセルロース微粒子の平均粒子径は、14.0μmであった。結果を表1に示す。
実施例1の工程(B)において、酸加水分解処理されたパルプを手で3回ほぐし、次いで両手で適量を5回強く揉み捏ねた以外は、実施例1と同様にして平均粒子径53.3μm、見掛け比重0.78g/mL、粉体落下速度1.19g/secの粉末状セルロースを得た。中和後のパルプに含まれるセルロース微粒子の平均粒子径は、14.0μmであった。結果を表1に示す。
実施例1の針葉樹チップの代わりに、広葉樹チップ(中国山地産)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして平均粒子径64.0μm、見掛け比重0.71g/mL、粉体落下速度1.0g/secの粉末状セルロースを得た。中和後のパルプに含まれるセルロース微粒子の平均粒子径は、13.5μmであった。結果を表1に示す。
実施例1の工程(B)において、酸加水分解処理されたパルプを、手で3回ほぐした後に圧する処理をしなかったこと以外は、実施例1と同様にして平均粒子径24.1μm、見掛け比重0.64g/mL、粉体落下速度0.57g/secの粉末状セルロースを得た。中和後のパルプに含まれるセルロース微粒子の平均粒子径は、12.1μmであった。結果を表1に示す。
実施例1の漂白パルプスラリーを、アルカリ処理しなかったこと以外は、実施例1と同様にして平均粒子径31.1μm、見掛け比重0.48g/mL、粉体落下速度0.36g/secの粉末状セルロースを得た。中和後のパルプに含まれるセルロース微粒子の平均粒子径は、21.2μmであった。結果を表1に示す。
以上の結果は、本発明が、平均粒子径が20〜70μmであり、粉体落下速度が0.7〜2.0g/secである、平均粒子径が一定値以上でありながら、粉体流動性に優れ、粉末状セルロースを提供することができることを示している。
Claims (5)
- 下記(A)〜(C)を含む、平均粒子径が20〜70μmであり、粉体落下速度が0.7〜2.0g/secである、粉末状セルロースの製造方法。
(A)アルカリ処理パルプを酸加水分解処理して、酸加水分解処理されたパルプを得ること、
(B)酸加水分解処理されたパルプを圧して、圧されたパルプを得ること、
(C)圧されたパルプを乾燥して、乾燥されたパルプを得ること - 粉末状セルロースの見掛け比重が0.3〜0.9g/mLである、請求項1に記載の製造方法。
- さらに、
(D)乾燥されたパルプを機械粉砕し、分級すること
を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。 - アルカリ処理パルプが、パルプを45℃以下のアルカリ水溶液中で10〜180分間処理して得られる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- アルカリ処理パルプの含水率が50重量%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
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