JP2011256423A - 転動体転動面の熱処理方法と転動体転動面の熱処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、上記レーザー焼き入れを施す前に予めプレヒート処理を施すようにしたものであり、それによって、素材の深部まで焼き入れ温度に加熱することができ、十分な焼き入れ深さを得ることができるものであり、また、レーザー焼き入れを施しているので熱的影響が大幅に軽減し、矯正作業を不要とすることができるものである。
【選択図】 図1
Description
尚、この処理によって硬度は低下するが加熱温度を適宜調整することにより低下の度合いを抑制して必要な硬度を得ることができる。
又、別の問題として処理時間が長くなってしまうという問題があった。すなわち、炉内で素材101を所定温度まで加熱するためには長い時間を要してしまうものである。
尚、高周波焼き入れを開示したものとして、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3等がある。
尚、レーザー焼き入れを開示したものとして、例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9等がある。
又、請求項2による転動体転動面の熱処理方法は、請求項1記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記プレヒート処理をレーザー光の照射により行うようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項3による転動体転動面の熱処理方法は、転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、レーザー焼き入れの対象部位を突出・配置させるようにしたことを特徴とするものでる。
又、請求項4による転動体転動面の熱処理方法は、請求項3記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記転動体転動面の最深部に凹溝を形成して、さらに肩部を除去しておくようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項5による転動体転動面の熱処理方法は、転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、上記レーザー焼き入れを施す前に事前熱処理を施すようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項6による転動体転動面の熱処理方法は、請求項5記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記事前熱処理をレーザー光の照射により行うようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項7による転動体転動面の熱処理方法は、請求項5記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記事前熱処理は焼きならし又は焼き鈍し又は浸炭処理であることを特徴とするものである。
又、請求項8による転動体転動面の熱処理方法は、請求項1〜請求項7の何れかに記載の転動体転動面の熱処理方法おいて、レーザー焼き戻しを行うようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項9による転動体転動面の熱処理方法は、請求項1〜請求項8の何れかに記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記レーザー焼き入れを複数回行うようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項10による転動体転動面の熱処理装置は、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを複数台設置することにより又はレーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台又は複数台設置すると共に分光手段を設けることにより、レーザー焼き入れや他の処理を同時に施すようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項11による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを二台設置し、プレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を同時に施すようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項12による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台設置し、上記一台のレーザー焼き入れ用レーザーヘッドのレーザー光を分光する分光手段を設け、上記一台のレーザー焼き入れ用のレーザーヘッドのレーザー光を上記分光手段により一部分光することにより、プレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を同時に施すようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項13による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを二台設置し、左右両側に配置されている一対の転動体転動面にレーザー焼き入れを同時に施すようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項14による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台設置し、上記一台のレーザー焼き入れ用レーザーヘッドのレーザー光を分光する分光手段を設け、上記一台のレーザー焼き入れ用のレーザーヘッドのレーザー光を上記分光手段により一部分光することにより、左右両側に配置されている一対の転動体転動面にレーザー焼き入れを同時に施すようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項2による転動体転動面の熱処理方法は、請求項1記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記プレヒート処理をレーザー光の照射により行うようにした構成になっているので、例えば、共通のレーザー発振装置によって、プレヒート処理とレーザー焼入れを連続的に行うことができる等の効果を得ることができる。
尚、ここで規定する「プレヒート処理」とは、レーザー焼き入れを施す前の鋼に対して、レーザー光の照射により予備加熱を施し、それによって、レーザー焼き入れの焼き入れ深さを深くするものである。
又、請求項3による転動体転動面の熱処理方法は、転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、レーザー焼き入れの対象部位を突出・配置させるように構成しているので、対象部位に熱が溜まり易くなり、この場合にも十分な焼き入れ深さを得ることができるものである。また、この場合にも対象部位以外の箇所への熱的影響が軽減し、矯正作業を不要とすることができるものである。
又、請求項4による転動体転動面の熱処理方法は、請求項3記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記転動体転動面の最深部に凹溝を形成して、さらに肩部(符号)を除去しておくように構成したので、比較的簡単な構成で上記効果を得ることができる。
又、請求項5による転動体転動面の熱処理方法は、転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、上記レーザー焼き入れを施す前に事前熱処理を施すように構成しているので、硬度むらがなくなり均一な焼き入れが可能になる。またこの場合には不完全焼き入れ部の発生が低減されるうえ、十分な焼き入れ深さを得ることができるものである。
又、請求項6による転動体転動面の熱処理方法は、請求項5記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記事前熱処理をレーザー光の照射により行うようにした構成になっているので、例えば、共通のレーザー発振装置によって、事前熱処理とレーザー焼入れを連続的に行うことができる等の効果を得ることができる。
又、請求項7による転動体転動面の熱処理方法は、請求項5記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記事前熱処理は焼きならし又は焼き鈍し又は浸炭処理であるので、上記効果を確実に得ることができる。
又、請求項8による転動体転動面の熱処理方法は、請求項1〜請求項7の何れかに記載の転動体転動面の熱処理方法おいて、レーザー焼き戻しを行うように構成しているので、比較的簡単な構成で組織が安定化し、且つ、じん性が高く機械的特性に優れた組織を得ることができる。
尚、ここで規定する「レーザー焼き戻し」とは、レーザー焼き入れした鋼をレーザー光の照射によってA1変態点以下の温度に再加熱して、主に硬さを下げて粘り強さを増大させる処理を意味するものである。
又、請求項9による転動体転動面の熱処理方法は、請求項1〜請求項8の何れかに記載の転動体転動面の熱処理方法において、上記レーザー焼き入れを複数回行うように構成しているので、事前処理を行うことなく、硬度むらがなくなり均一な焼き入れが可能になる。
又、請求項10による転動体転動面の熱処理装置は、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを複数台設置することにより又はレーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台又は複数台設置すると共に分光手段を設けることにより、レーザー焼き入れや他の処理を同時に施すように構成しているので、一連の熱処理に要する時間を短縮させて労力の軽減を図ることができる。
又、請求項11による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを二台設置し、プレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を同時に施すように構成しているので、一連の熱処理に要する時間を短縮させて労力の軽減を図ることができる。
又、請求項12による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台設置し、上記一台のレーザー焼き入れ用レーザーヘッドのレーザー光を分光する分光手段を設け、上記一台のレーザー焼き入れ用のレーザーヘッドのレーザー光を上記分光手段により一部分光することにより、プレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を同時に施すように構成しているので、装置を安価に構成でき、且つ、小型化が可能である。
又、請求項13による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを二台設置し、左右両側に配置されている一対の転動体転動面にレーザー焼き入れを同時に施すように構成しているので、一連の熱処理に要する時間を短縮させて労力の軽減を図ることができる。
又、請求項14による転動体転動面の熱処理装置は、請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台設置し、上記一台のレーザー焼き入れ用レーザーヘッドのレーザー光を分光する分光手段を設け、上記一台のレーザー焼き入れ用のレーザーヘッドのレーザー光を上記分光手段により一部分光することにより、左右両側に配置されている一対の転動体転動面にレーザー焼き入れを同時に施すように構成しているので、一連の熱処理に要する時間を短縮させて労力の軽減を図ることができる。
図1は熱処理を行っている状態を示す正断面であり、まず、レーザー発振装置1がある。このレーザー発振装置1は、ヘッド3と、このヘッド3の先端に取り付けられたガスフード5等から構成されている。上記ガスフード5はコーン形状をなしていて、先端に向かって縮径されるように形成されていて、圧縮空気を先端に向かって吹き付ける構成となっている。又、上記ガスフード5の先端部であって内側の所定位置には反射鏡7が内装にされている。この反射鏡7を介してレーザー光9を90°屈曲させて反射させるものである。
まず、ボール転動面13の粗加工を行う。次いで、レーザー焼き入れを行う。その際、レーザー出力、走査速度、ワークディスタンス(WD)は適切な条件とする。
次に、サブゼロ処理(深冷処理、0℃以下の温度に冷やす処理)を行う。
次に、レーザー焼き戻しを行う。
尚、この焼き入れ深さは当初目標としていた焼き入れ深さ、例えば、0.8mmに対してそれを下回るものである。
尚、その他の構成は前記比較例の場合と同じである。
まず、焼き入れによる熱的影響を大幅に軽減させることができる。これはレーザー焼き入れを行っているからである。すなわち、レーザー焼き入れの場合には、局所的に焼き入れをするからである。このように、熱的影響が大幅に軽減されたことにより、ベース11の反りや捩れを防止することができ、その結果、従来必要とされていた矯正作業を不要とすることができる。
又、この実施の形態の場合には、ボール転動面13側の最深部に溝31を形成し、さらに肩部12を除去し、焼き入れ対象部位13a、13bを突出・配置させるようにしているので、上記効果をより確実なものとすることができ、焼き入れ対象部位13a、13bに熱が溜まり易くなり、所望の焼き入れ深さを確実に確保することができるものである。
又、この実施の形態の場合には、プレヒート処理を行うようにしているので、それによっても、上記効果をより確実なものとしている。
又、この実施の形態の場合には、レーザー焼き戻しを行うようにしているので、比較的簡単な構成で組織が安定化し、且つ、じん性が高く機械的特性に優れた組織を得ることができる。
尚、図8において、硬度測定痕51a、51b,51cに該当する部位にそれぞれ符号51a、51b,51cを付しておく。
この第2の実施の形態の場合には、材料として焼きならし処理をしている炭素鋼を使用しているものである。又、この実施の形態の場合にも、既に説明したように、上記材料に対してプレヒート処理を施しているものである。その温度は第1の実施の形態の場合と同様に適切な条件としているものである。又、レーザー出力、走査速度、ワークディスタンス(WD)は適切な条件とするものである。
その他構成は前記第1の実施の形態の場合と同様である。
尚、その他の構成は前記第1、第2の実施の形態の場合と同様である。
尚、その他の構成は前記第1〜第3の実施の形態の場合と同様である。
例えば、レーザー焼き入れの各種条件はこれを特に限定するものではない。
又、前記各実施の形態の場合には、レーザー焼き入れに関しては1回とした場合を例に挙げて説明しているが、これを二回以上とすることも考えられる。
又、レーザー焼き戻しについては、これを複数回繰り返すようにしてもよい。
又、サブゼロ(深冷処理)とレーザー焼き戻しを行わないものについても本願発明の範囲である。
又、前記第1、第2の実施の形態の場合には、焼き入れ対象部位を突出・配置させる構成とプレヒート処理を施す構成の組み合わせ、それにさらに事前熱処理(例えば、焼きならし)を施す構成を組み合わせた場合を例に挙げて説明したが、プレヒート処理、焼き入れ対象部位の突出・配置、事前熱処理を単独で又は任意の組み合わせで実施することが考えられ、何れも本願発明の範囲である。
前記第1〜第7の実施の形態の場合には、ベースのボール転動面を例に挙げて説明しているが、その他の部材、部位についても同様に適用可能である。
その他、図示したものはあくまで一例である。
3 ヘッド
5 ガスフード
7 反射鏡
9 レーザー光
11 ベース
13 ボール転動面
15 ボール
21 焼き入れ部位
31 溝
41 焼き入れ部位
61 焼き入れ部位
Claims (14)
- 転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、
上記レーザー焼き入れを施す前に予めプレヒート処理を施すようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。 - 請求項1記載の転動体転動面の熱処理方法において、
上記プレヒート処理をレーザー光の照射により行うようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。 - 転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、
レーザー焼き入れの対象部位を突出・配置させるようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。 - 請求項3記載の転動体転動面の熱処理方法において、
上記転動体転動面の最深部に凹溝を形成して、さらに肩部(符号)を除去しておくようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。 - 転動体転動面に対する焼き入れをレーザー焼き入れによって行うようにした転動体転動面の熱処理方法において、
上記レーザー焼き入れを施す前に事前熱処理を施すようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。 - 請求項5記載の転動体転動面の熱処理方法において、
上記事前熱処理をレーザー光の照射により行うようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。 - 請求項5記載の転動体転動面の熱処理方法において、
上記事前熱処理は浸炭処理又は焼きならし又は焼き鈍しであることを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。 - 請求項1〜請求項7の何れかに記載の転動体転動面の熱処理方法において、
レーザー焼き戻しを行うようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。 - 請求項1〜請求項8の何れかに記載の転動体転動面の熱処理方法において、
上記レーザー焼き入れを複数回行うようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理方法。 - レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを複数台設置することにより又はレーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台又は複数台設置すると共に分光手段を設けることにより、レーザー焼き入れや他の処理を同時に施すようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理装置。
- 請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、
レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを二台設置し、プレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を同時に施すようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理装置。 - 請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、
レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台設置し、上記一台のレーザー焼き入れ用レーザーヘッドのレーザー光を分光する分光手段を設け、上記一台のレーザー焼き入れ用のレーザーヘッドのレーザー光を上記分光手段により一部分光することにより、プレヒート処理とレーザー焼き入れ処理を同時に施すようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理装置。 - 請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、
レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを二台設置し、左右両側に配置されている一対の転動体転動面にレーザー焼き入れを同時に施すようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理装置。 - 請求項10記載の転動体転動面の熱処理装置において、
レーザー焼き入れ用レーザーヘッドを一台設置し、上記一台のレーザー焼き入れ用レーザーヘッドのレーザー光を分光する分光手段を設け、上記一台のレーザー焼き入れ用のレーザーヘッドのレーザー光を上記分光手段により一部分光することにより、左右両側に配置されている一対の転動体転動面にレーザー焼き入れを同時に施すようにしたことを特徴とする転動体転動面の熱処理装置。
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