JP2004035953A - レーザー光を利用した焼入れ方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】互いに熱影響を受ける複数条のボール転走溝を有する軌道部材にレーザー光を照射するのに適したレーザー光を照射するレーザー光を利用した焼入れ装置を提供する。
【解決手段】互いに熱影響を受ける複数条のボール転走溝6a,6bを有する軌道部材6を作業台9に載置する。レーザー発生装置11及び分光系14は、2条のボール転走溝6a,6bに同時に2つのレーザー光を照射する。2つのレーザー光をボール転走溝6a,6bの長手方向に相対的に移動させ、ボール転走溝6a,6bに焼入れを行う。レーザー光の光軸に対して直交する断面において、ボール転走溝6a,6bの長手方向におけるレーザー光の照射形状の長さLが、長手方向と直交する方向の長さWよりも長く設定される。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光を素材の表面に照射して焼入れを行うレーザー光を利用した焼入れ方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザー光を素材の表面に照射すると、その高エネルギ密度の熱源によって局部的に表面層がごく短時間に熱処理温度に到達する。加熱を中断すると、熱は素材内部に伝導し、急速に冷却が進む結果、焼入れが行われる。レーザー光を利用した焼入れ技術は、素材の必要な箇所のみの局部的焼入れができること、冷却のための油、水等が不要であること、熱処理によるひずみが小さい等の利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
互いに熱影響を受ける複数条の被焼入れ部を有する素材にレーザー光を照射する場合がある。例えば素材として、直動案内装置の軌道レールを用い、軌道レールの長手方向に伸びる2条のボール転走面をレーザー光で焼入れすることがある。2条のボール転走面は例えば、軌道レールの断面図である図9に示すように、突条1の両側に背中合わせに近接して形成される。このような場合、一方のボール転走面1aをまず照射して1回目の焼入れを行って1パス目の硬化層を得て、次に残りのボール転走面1bを照射して2回目の焼入れを行って2パス目の硬化層2bを得る方法が採られる。
【0004】
しかしこの方法では、2回に分けてレーザー光を照射しなければいけないので時間がかかったり、1回目で焼入れが行われた一方のボール転走面1aの硬化層2aが2回目のレーザー光の照射によって再び加熱されて軟化された状態3になったり、1パス目により生じたひずみにより、2パス目のワークディスタンスがずれてしまい、焼入れ品質が低下するという問題が生じる。
【0005】
そこで本発明は、互いに熱影響を受ける複数条の被焼入れ部を有する素材にレーザー光を照射するのに適したレーザー光を照射するレーザー光を利用した焼入れ方法及び装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照番号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものでない。
【0007】
上記課題を解決するために本発明では、互いに熱影響を受ける複数条の被焼入れ部を複数のレーザー光で同時に照射する際、レーザー光の光軸に対して直交する断面において、前記被焼入れ部の長手方向におけるレーザー光の照射形状の長さを、長手方向と直交する方向の長さよりも長くした。
【0008】
具体的には本発明は、互いに熱影響を受ける複数条の被焼入れ部(6a,6b,22a,22b,26a,26b)を有する素材(6,21,25)にレーザー光を照射して焼入れを行うレーザー光を利用した焼入れ方法であって、前記複数条の被焼入れ部(6a,6b,22a,22b,26a,26b)に同時に複数のレーザー光を照射する工程と、前記複数条の被焼入れ部に照射された前記複数のレーザー光を、被焼入れ部の長手方向に前記被焼入れ部に対して相対的に移動させる工程とを備え、レーザー光の光軸に対して直交する断面において、被焼入れ部の長手方向におけるレーザー光の照射形状の長さ(L)が、長手方向と直交する方向の長さ(W)よりも長いことを特徴とするレーザー光を利用した焼入れ方法により、上述した課題を解決した。
【0009】
この発明によれば、複数条の被焼入れ部を時間差を以って焼入れする場合の問題点、例えば一方の被焼入れ部の硬化層が他方の被焼入れ部の入熱によって軟化する、という不都合が生じない。また複数の被焼入れ部への入熱が互いに影響を及ぼし合い、複数の被焼入れ部の加熱に必要な総エネルギが時間差を以って焼入れする場合より少なくて済む。さらに本発明ではこれに加えて次の効果が奏される。
【0010】
複数の被焼入れ部それぞれに照射されるレーザー光は互いに移動方向の位置ずれが生じないように極力一致させるが、何らかの原因によって位置ずれが発生することがある。被焼入れ部の長手方向におけるレーザー光の照射形状の長さを長手方向と直交する方向の長さよりも長くすることで、焼入れ部に加える総エネルギが同じならば、並行する両レーザー光間のずれた部分のエネルギは少なくなる。このため、複数条の被焼入れ部を時間差を以って焼入れする場合の上述の問題点がより解消される。
【0011】
前記レーザー光はレーザーダイオードから発せられることが望ましい。
【0012】
レーザーダイオードから発せられるレーザー光の照射形状は、細長い矩形になることが多い。このため、被焼入れ部の長手方向におけるレーザー光の照射形状の長さを長手方向と直交する方向の長さよりも長くしやすい。
【0013】
また前記素材は、移動部材が相対的に移動する運動案内装置用の軌道部材(6,21)であり、前記被焼入れ部(6a,6b,22a,22b)は、前記移動部材(7)と前記軌道部材(6)との間に介在された転動体が転走する転動体転走面であってもよい。
【0014】
さらに、前記軌道部材(6,21)は左右対称な断面形状を有し、前記複数条の被焼入れ部(6a,6b,22a,22b)は前記軌道部材(6,21)の断面に左右対称に形成され、左右対称の前記複数条の被焼入れ部に同時に前記複数のレーザー光が照射されてもよい。
【0015】
この発明によれば、焼入れによる軌道部材の曲がりが少なくなる。
【0016】
本発明は、互いに熱影響を受ける複数条の被焼入れ部(6a,6b,22a,22b,26a,26b)を有する素材(6,21,25)が載置される作業台(9)と、複数条の被焼入れ部(6a,6b,22a,22b,26a,26b)に同時に複数のレーザー光を照射する照射手段(11,14)と、前記複数条の被焼入れ部に照射された前記複数のレーザー光を、被焼入れ部(6a,6b,22a,22b,26a,26b)の長手方向に前記被焼入れ部に対して相対的に移動させる駆動手段とを備え、レーザー光の光軸に対して直交する断面において、被焼入れ部の長手方向におけるレーザー光の照射形状の長さ(L)が、長手方向と直交する方向の長さ(W)よりも長いことを特徴とするレーザー光を利用した焼入れ装置としても構成することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のレーザー光を利用した焼入れ方法は、互いに熱影響を受ける複数条の被焼入れ部を有する素材にレーザー光を照射して焼入れを行うのに使用される。素材としては、例えばリニアガイド、ボールスプライン、ボールねじ等の運動案内装置の軌道部材が用いられる。
【0018】
図1はリニアガイドを示す。リニアガイドは細長く伸びる軌道部材6と、軌道部材6に対して相対的に直線運動する移動部材7とを備える。軌道部材6には、軌道部材6の長手方向に細長く伸びる複数条の転動体転走面としての複数条のボール転走溝6a,6a,6b,6bが形成される。移動部材7には、軌道部材6のボール転走溝6a,6a,6b,6bに対向する負荷ボール転走溝を含むボール循環路が形成される。ボール循環路には複数のボールが配列・収納され、複数のボールは軌道部材6のボール転走溝6a,6a,6b,6bと移動部材7の負荷ボール転走溝との間を転がり運動する。
【0019】
軌道部材6の断面形状は左右対称に形成される。複数条のボール転走溝6a,6a,6b,6bも、軌道部材6の断面に左右対称に形成され、具体的には軌道部材6の断面の左側に2条、右側に2条ずつ合計4条形成される。このボール転走溝6a,6a,6b,6bが、レーザー光を利用して焼入れが行われる被焼入れ部となる。左側の2条のボール転走溝6a,6b及び右側の2条のボール転走溝6a,6bは、それぞれ突条8を挟んで背中合わせに配置される。この突条8は肉厚が比較的薄く、一方のボール転走溝6aに照射されたレーザー光による熱が、既に焼入れされている他方のボール転走溝6bの硬度低下を起こさせてしまう程度に、熱容量が小さい。
【0020】
図2は本発明の一実施形態におけるレーザー光を利用した焼入れ装置を示す。この焼入れ装置は、軌道部材6が載置される作業台9と、軌道部材6の複数条のボール転走溝6a,6a,6b,6bに複数のレーザー光を照射する照射手段としての一対のレーザー発生装置11,11及び分光系14,14と、複数条のボール転走溝6a,6a,6b,6bに照射された複数のレーザー光をボール転走溝6a,6a,6b,6bの長手方向に相対的に移動させる駆動手段としての駆動機構(図示せず)とを備える。
【0021】
一対のレーザー発生装置11,11及び分光系14,14は、軌道部材6の左右に一つずつ配置される。それぞれのレーザー発生装置11及び分光系14が、2条のボール転走溝6a,6bに同時に2つのレーザー光を照射する。また左右一対のレーザー発生装置11,11及び分光系14,14が、左右対称の合計4条のボール転走溝6a,6a,6b,6bに同時に4つのレーザー光を照射する。
【0022】
本実施形態ではレーザー発生装置11として、レーザーダイオードを使用している。レーザーダイオードを使用すると、レーザーの素材への吸収率が高く且つ発振効率が高くなるので、低エネルギで焼入れを行うことができる。またこの他、設置面積が小さくなる、メンテナンスが容易になる等の利点がある。レーザーの種類としてはこの他、炭酸ガス(CO)レーザー、YAGレーザー等を用いてもよい。
【0023】
分光系14は、レーザー発生装置11から発せられるレーザー光を2つに分光する分光ミラー12と、レーザー光が2条のボール転走溝6a,6bそれぞれを照射するように分光されたレーザー光を反射する一対の反射ミラー13,13とを備える。
【0024】
分光ミラー12は稜線12aを境界にして反射面12b,12bを有している。反射面12b,12bのなす角度は約90°であり、レーザー発生装置11から水平方向に発せられるレーザー光を上下方向に2分割する。勿論、分光ミラー12の反射面12b,12bのなす角度、反射面13aの角度等は焼入れする軌道部材6の形状によって変化する。
【0025】
反射ミラー13はレーザー光を軌道部材6のボール転走溝6a,6bに照射することができるように、その反射面13aの角度を調整できるようになっている。またボール転走溝6a,6bの焼入れ幅を広げることができるように、反射ミラー13を振動させ、ボール転走溝6a,6bに照射されたレーザー光をボール転走溝6a,6bの幅方向に所定の振動数及び振幅で振動させてもよい。
【0026】
これらレーザー発生装置11,11及び分光系14,14は支持台18,18に支持される。図示しない駆動モータ及びボールねじ機構、あるいはリニアモータ等の駆動機構は、作業台9に対して支持台18を相対的にボール転走溝6a,6bの長手方向に移動させる。
【0027】
図3は軌道部材6の2条のボール転走溝6a,6bそれぞれに照射されるレーザー光の照射形状を示す。レーザー光の光軸に対して直交する断面において、レーザー光の照射形状は矩形状に形成され、ボール転走溝6a,6bの長手方向の長さLが長手方向と直交する方向の幅Wよりも長く設定される。この結果、軌道部材6の2条のボール転走溝6a,6bそれぞれに照射されるレーザー光の照射形状も図3に示すような細長い矩形状になる。レーザー発生装置11としてレーザーダイオードを用いると、このような矩形状の照射形状が通常得られる。2条のボール転走溝6a,6bそれぞれのレーザー光の照射形状の面積は略等しく、またエネルギ密度も略等しい。
【0028】
2条のボール転走溝6a,6bそれぞれに照射されるレーザー光はボール転走溝6a,6bの長手方向に相対的に移動される。これにより、図4に示すようにボール転走溝6a,6bの輪郭に沿った表面層のみに焼入れが行なわれる。焼入れされた硬化層16a,16bの深さはレーザー発生装置11の出力と駆動機構の送り速度によって決められる。ボール転走溝6a,6bは凹凸形状をしているので、レーザー発生装置11からワークまでの距離、すなわちワークディスタンスが違いやすくなる。ワークディスタンスの違いによってレーザー光のエネルギ密度が変わる。本実施形態ではレーザー光を分光してボール転走溝6a,6bを照射するので、レーザー光を分光しないでボール転走溝6a,6bに対して斜めの方向からボール転走溝6a,6bを同時に照射する場合に比べ、ワークディスタンスの違いを少なくすることができ、焼入れ品質も均一にすることができる。
【0029】
図3に示すように、2条のボール転走溝6a,6bそれぞれに照射されるレーザー光は、互いに移動方向の位置ずれが生じないように極力一致させられる。しかし何らかの原因によって、ずれeが発生することがある。ボール転走溝6a,6bの長手方向におけるレーザー光の照射形状の長さLを長手方向と直交する方向の幅Wよりも長くすることで、照射形状の全体の面積W*Lに対するずれた部分の面積e*Wの割合を小さくすることができる。このためボール転走溝に加える総エネルギが同じならば、並行する両レーザー光間のずれeの部分のエネルギを小さくなる。したがって、一方のボール転走溝の硬化層が他方のボール転走溝への入熱によって軟化するという不都合が生じにくくなる。
【0030】
図5はレーザー光の照射形状の比較例を示す。この比較例ではレーザー光の照射形状が円形に設定されている。並行するレーザー光間に位置ずれeが生じたとすると、照射形状の全体の面積に対するずれた部分の面積の割合が大きくなり、並行する両レーザー光間のずれeの部分のエネルギが大きくなってしまう。このため図6に示すように、一方のボール転走溝6aの硬化層16aが他方のボール転走溝6bへの入熱による軟化部17が生じ易くなってしまう。
【0031】
なおレーザー光の照射形状は、ボール転走溝6a,6bの長手方向の長さLが長手方向と直交する方向の幅Wよりも長ければ矩形形状に限られることはなく、楕円、方形の両端に半円を組み合わせた形状等種々の形状を採用することができる。またレーザー光は炭酸レーザーやYAGレーザーであってもよいが、炭酸レーザーやYAGレーザーでは通常円形の照射形状になるので、スリットあるいは特殊なミラーが必要になることもある。
【0032】
本実施形態では、左右に2条ずつ合計4条のボール転走溝6a,6a,6b,6bに対して同時に4つのレーザー光を照射している。左右いずれか一方の2条のみのボール転走溝6a,6bのみを照射すると、レーザー光の照射により軌道部材6が曲がってしまうおそれがある。軌道部材6が曲がると、ワークディスタンスが変わって焼入れ品質が低下したり、後で曲がりを矯正する必要が生じたりするという問題が生じる。合計4条のボール転走溝6a,6a,6b,6bに対して同時に4つのレーザー光を照射することで、軌道部材6の曲がりも防止することができる。
【0033】
図7は運動案内装置の軌道部材として、ボールスプラインのスプライン軸21を焼入れする例を示す。スプライン軸21には周方向に均等間隔を開けて軸線方向に伸びる3つの突条22,22,22が形成され、突条22,22,22それぞれには背中合わせに一対のボール転走溝22が形成されている。スプライン軸21は左右対称な断面形状を有し、6条のボール転走溝22a…,22b…はスプライン軸21の断面に左右対称に形成されている。レーザー発生装置及び分光系は突条に合わせて3組設けられ、各レーザー発生装置及び分光系が同時に一対のボール転走溝22a,22bを照射する。また3組のレーザー発生装置及び分光系は同時に6条のボール転走溝22a…,22b…を照射する。レーザー発生装置及び分光系の構成は上記実施形態と略同様なので同一の符号を附してその説明を省略する。
【0034】
この例でも、ボール転走溝22a,22bに照射されたレーザー光はボール転走溝22a,22bの長手方向に相対的に移動させられ、レーザー光の光軸に対して直交する断面において、ボール転走溝22a,22bの長手方向におけるレーザー光の照射形状の長さが、長手方向と直交する方向の長さよりも長く設定される。
【0035】
図8は運動案内装置の軌道部材として、ボールねじのねじ軸25を焼入れする例を示す。ねじ軸25には螺旋状のボール転走溝26が形成される。1/4円弧のボール転走溝26a,26bは螺旋状のねじ山27(突条)に背中合わせに形成される。レーザー発生装置及び分光系は、ねじ山27の両側に位置する1対の1/4円弧のボール転走溝26a,26bに同時にレーザー光を照射する。
【0036】
この例でも、ボール転走溝26a,26bに照射されたレーザー光はボール転走溝26a,26bの長手方向、すなわち螺旋に沿って相対的に移動させられる。具体的にはねじ軸25を回転させながら軸線方向に移動させることで、レーザー光を螺旋に沿って相対的に移動させることができる。またレーザー光の光軸に対して直交する断面において、ボール転走溝26a,26bの長手方向におけるレーザー光の照射形状の長さが、長手方向と直交する方向の長さよりも長く設定される。
【0037】
ところで多条ねじのねじ軸に焼入れする場合は、ねじ軸の条数に合わせて複数のレーザー発生装置及び分光系が設けられる。ねじ軸の曲がりを防止するためには、複数のレーザー発生装置及び分光系はねじ軸の周方向に均等間隔を開けて配置されるのが望ましい。
【0038】
なお本発明は上記実施形態に限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々変更可能である。例えば素材は互いに熱影響を受ける複数条の被焼入れ部を有すれば、運動案内装置の軌道部材に限られることはない。また運動案内装置の転動体転走面はボールが転走するボール転走溝に限られることはなく、ローラが転走するローラ転走面であってもよい。さらにレーザー光を軌道部材に対して移動させるのに限られず、軌道部材をレーザー光に対して移動させてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、互いに熱影響を受ける複数条の被焼入れ部を複数のレーザー光で同時に照射する際、レーザー光の光軸に対して直交する断面において、前記被焼入れ部の長手方向におけるレーザー光の照射形状の長さを、長手方向と直交する方向の長さよりも長くしている。このため、複数の被焼入れ部それぞれに照射されるレーザー光に互いに移動方向の位置ずれが生じても、被焼入れ部に加える総エネルギは変えないで、並行する両レーザー光間のずれた部分のエネルギを小さくすることができる。したがって、複数条の被焼入れ部を時間差を以って焼入れする場合の問題点が解消される。
【図面の簡単な説明】
【図1】リニアガイドを示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態におけるレーザー光を利用した焼入れ装置を示す図(軌道部材の長手方向と直交する方向の断面図)。
【図3】軌道部材の2条のボール転走溝それぞれに照射されるレーザー光の照射形状を示す図。
【図4】ボール転走溝の焼入れ層を示す断面図。
【図5】レーザー光の照射形状の比較例を示す図。
【図6】ボール転走溝の焼入れ層の比較例を示す断面図。
【図7】ボールスプラインのスプライン軸を焼入れする例を示す図。
【図8】ボールねじのねじ軸を焼入れする例を示す図。
【図9】従来の焼入れ方法を使用した軌道レールの断面図。
【符号の説明】
6a,6b,22a,22b,26a,26b…ボール転走溝
6,21,25…軌道部材
7…移動部材
9…作業台
11…レーザー発生装置(レーザー照射手段)
14…分光系(レーザー照射手段)

Claims (6)

  1. 互いに熱影響を受ける複数条の被焼入れ部を有する素材にレーザー光を照射して焼入れを行うレーザー光を利用した焼入れ方法であって、
    前記複数条の被焼入れ部に同時に複数のレーザー光を照射する工程と、
    前記複数条の被焼入れ部に照射された前記複数のレーザー光を、被焼入れ部の長手方向に前記被焼入れ部に対して相対的に移動させる工程とを備え、
    レーザー光の光軸に対して直交する断面において、被焼入れ部の長手方向におけるレーザー光の照射形状の長さが、長手方向と直交する方向の長さよりも長いことを特徴とするレーザー光を利用した焼入れ方法。
  2. 前記レーザー光はレーザーダイオードから発せられることを特徴とする請求項1に記載のレーザー光を利用した焼入れ方法。
  3. 前記素材は、移動部材が相対的に移動する運動案内装置用の軌道部材であり、
    前記被焼入れ部は、前記移動部材と前記軌道部材との間に介在された転動体が転走する転動体転走面であることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザー光を利用した焼入れ方法。
  4. 前記軌道部材は左右対称な断面形状を有し、
    前記複数条の被焼入れ部は前記軌道部材の断面に左右対称に形成され、
    左右対称の前記複数条の被焼入れ部に同時に前記複数のレーザー光が照射されることを特徴とする請求項3に記載のレーザー光を利用した焼入れ方法。
  5. 互いに熱影響を受ける複数条の被焼入れ部を有する素材が載置される作業台と、
    複数条の被焼入れ部に同時に複数のレーザー光を照射する照射手段と、
    前記複数条の被焼入れ部に照射された前記複数のレーザー光を、被焼入れ部の長手方向に前記被焼入れ部に対して相対的に移動させる駆動手段とを備え、
    レーザー光の光軸に対して直交する断面において、被焼入れ部の長手方向におけるレーザー光の照射形状の長さが、長手方向と直交する方向の長さよりも長いことを特徴とするレーザー光を利用した焼入れ装置。
  6. 前記レーザー光はレーザーダイオードから発せられることを特徴とする請求項5に記載のレーザー光を利用した焼入れ装置。
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