JP2004351443A - ロール表面の加工方法及び装置並びにエンボスロール - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザービーム強度の不足や回折格子の種類やレーザー光吸収フィルターを複数用意しなくても、レーザーを使用してロール表面に略所望の凸凹パターンを短時間で形成することができる。
【解決手段】パルスレーザーをロール12表面に照射してロール表面の照射スポットを溶融又は蒸散させることにより、ロール表面に凸凹パターンを形成するロール表面の加工方法において、照射スポットを回転するポリゴンミラー22でロール12の軸方向に一定ピッチで走査させると共に、該走査において、ポリゴンミラー22の各面におけるレーザー反射位置が同じになるようにパルスレーザーのパルス間隔とポリゴンミラー22の回転速度を一定に設定しておき、該設定条件下でポリゴンミラー22の各面が定位置にくるたびにパルスレーザーの発振タイミングをパルス間隔を所望に等分したΔt時間ずつ遅らしいく凸凹パターン形成工程を、ロール軸方向とロール周方向に繰り返す。
【選択図】 図1
【解決手段】パルスレーザーをロール12表面に照射してロール表面の照射スポットを溶融又は蒸散させることにより、ロール表面に凸凹パターンを形成するロール表面の加工方法において、照射スポットを回転するポリゴンミラー22でロール12の軸方向に一定ピッチで走査させると共に、該走査において、ポリゴンミラー22の各面におけるレーザー反射位置が同じになるようにパルスレーザーのパルス間隔とポリゴンミラー22の回転速度を一定に設定しておき、該設定条件下でポリゴンミラー22の各面が定位置にくるたびにパルスレーザーの発振タイミングをパルス間隔を所望に等分したΔt時間ずつ遅らしいく凸凹パターン形成工程を、ロール軸方向とロール周方向に繰り返す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロール表面の加工方法及び装置並びにエンボスロールに係り、特に表面に精密な凸凹パターンが形成された機能性フィルムを製造するためのエンボスロール及びそのロール表面の加工方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面に精密な凸凹パターンが形成された機能性フィルムは、例えば半導体素子の絶縁皮膜として、液晶表示装置、EL表示装置、プラズマディスプレイ等の防眩性を有する反射防止フィルムとして、その他電子部品の絶縁皮膜導電膜や誘電膜として広く用いられている。
【0003】
この機能性フィルムを製造する方法として、ロール表面に凹凸を有するエンボスロールとバックアップロールとでベースとなるフィルムをニップすることにより、フィルムの表面にエンボスロールの凹凸形状を転写する方法がある。
【0004】
従来、ロール表面に凸凹パターンを形成する方法としては、ブラストショット法、放電ダル加工法があるが、これらの方法によってロール表面に形成される凸凹パターンは不規則な繰り返しによるため、その凸凹パターン位置が不定となり、上記した類の機能性フィルムとしては不向きである。
【0005】
その為、近年はロールの表面加工にレーザーを利用した装置を使用して上記問題を解消するようにしている。例えば、特許文献1では、レーザー光源から照射されるレーザービームを集光する集光レンズを、ロール表面に沿って移動し、この集光レンズのレーザービーム入射側にレーザー光を複数に分光する回折格子や、レーザー光吸収フィルターを設置し、ロール表面に加工形成する凸凹パターンを、これらの回折格子の種類やレーザー光吸収フィルターの模様を選ぶことにより所望の凸凹パターンを形成することが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、特定部分の凸凹パターンの大小を変更する方法として、レーザー光の光エネルギーそのものを変更する方法が開示され、レーザー光路中又はその近傍にハーフミラーを設け、ハーフミラーをレーザー光路から外したりレーザー光路中に戻したりすることでレーザー光の光エネルギーを変えて、特定部分の凸凹パターンの大小を変更する方法が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−104274号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平5−99283号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の方法では、1本のレーザー光源が複数のビームに分割されてしまい、分割されたレーザービームのエネルギーは元のレーザー光源のエネルギーの数十分の一のエネルギーになってしまうため、ロール表面の加工に長時間を要し、生産性が悪くなるという問題がある。生産性を上げるためには、レーザー光源を非常に強力なパワーにしなくてはならず、大がかりなレーザー照射装置が必要になる。また、凸凹パターン模様は、機能性フィルムを使用する対象物によって異なるため、対象物ごとに回折格子やレーザー光吸収フィルターを複数用意しなくてはならず、そのための経費が増加する。
【0010】
また、特許文献2の方法では、凸凹パターンは予め定められた範囲内での凸凹の大きさを調整できるだけであり、所望の凸凹パターンをロール表面に形成するには十分ではない。
【0011】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたもので、レーザービーム強度の不足や回折格子の種類やレーザー光吸収フィルターを複数用意しなくても、レーザーを使用してロール表面に略所望の凸凹パターンを短時間で形成することができるロール表面の加工方法及び装置並びにその加工方法で製作されたエンボスロールを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決する為の手段】
本発明の請求項1は、前記目的を達成する為に、パルスレーザーをロール表面に照射してロール表面の照射スポットを溶融又は蒸散させることにより、前記ロール表面に凸凹パターンを形成するロール表面の加工方法において、前記照射スポットを回転するポリゴンミラーで前記ロールの軸方向に一定ピッチで走査させると共に、該走査において、前記ポリゴンミラーの各面におけるレーザー反射位置が同じになるように前記パルスレーザーのパルス間隔と前記ポリゴンミラーの回転速度を一定に設定しておき、該設定条件下で前記ポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびに前記パルスレーザーの発振タイミングを前記パルス間隔を所望に等分したΔt時間ずつ遅らせていく凸凹パターン形成工程と、前記凸凹パターン形成工程を前記ロールの軸方向に前記凸凹パターンを形成するロール軸長分だけ移動を繰り返す軸方向繰り返し工程と、前記凸凹パターン形成工程を前記ロールの周方向に前記凸凹パターンを形成するロール周長分だけ移動を繰り返す周方向繰り返し工程と、から成ることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項1によれば、パルスレーザーでロール表面に照射される照射スポットを回転するポリゴンミラーでロールの軸方向に一定ピッチで走査させる。これにより、ロール表面の照射スポットにおいて溶融又は蒸散が行われるので、ロール表面には、ロール軸方法に沿って凹が一定ピッチで配置された凸凹パターンが形成される。ここで、凸凹パターンの凸とは凹が形成されていない部分をいう。
【0014】
このパルスレーザーのポリゴンミラーによる走査において、ポリゴンミラーの各面におけるレーザー反射位置が同じになるようにパルスレーザーのパルス間隔とポリゴンミラーの回転速度を一定に設定しておき、この設定条件下でポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびにパルスレーザーの発振タイミングをパルス間隔を所望に等分したΔt時間ずつ遅らせていくようにした。これにより、Δt時間を変えるだけで凹同士のピッチを任意に変更した凸凹パターンをロール軸方向に形成することができる。即ち、Δt時間を大きくすれば、凹同士のピッチが大きな凸凹パターンが形成され、Δt時間を小さくすれば、凹同士のピッチが小さく凸凹パターンが形成される。また、Δt時間を極端に短くすると、凹と凹との一部分が重なった複雑な凸凹パターンを形成できる。
【0015】
そして、この凸凹パターン形成工程を、ロールの軸方向に凸凹パターンを形成するロール軸長分だけ移動を繰り返す軸方向繰り返し工程と、凸凹パターン形成工程を前記ロールの周方向に凸凹パターンを形成するロール周長分だけ移動を繰り返す周方向繰り返し工程とを行うことにより、ロール表面の凸凹パターンを形成したい領域に所望の凸凹パターンを形成することができる。この場合、1回の凸凹パターン形成工程によってロールの軸方向に凸凹パターンを形成するロール軸長分の凸凹パターンが形成される場合には、軸方向繰り返し工程の繰り返し数は0回になる。
【0016】
このように、本発明では、パルスレーザーの発振タイミングをポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびにΔT時間遅らすだけで、凹同士のピッチ調整を簡単に行うことができるので、凹同士のピッチ調整のためにポリゴンミラーの回転を複雑なプログラム制御で行う必要がない。また、パルスレーザーの発振周波数も固定値でよいので、発振周波数を変えた場合に生じるレーザー出力のピークパワーが発振周波数に連動して変化してしまうという不都合がない。
【0017】
更には、本発明では、1本のレーザービームを走査することでロール表面に所望の凸凹パターンを形成できるので、従来技術の欠点であった、レーザービームの強度不足を解消でき、短時間で凸凹パターンを形成できる。また、従来のように回折格子やレーザー光吸収フィルターを複数用意しなくてもよく、簡易に凸凹パターンを形成できるので、経費面でも安価になる。
【0018】
本発明の請求項2は請求項1において、前記ポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびに前記パルスレーザーを複数照射することを特徴とする。これにより、加工時間を短縮することができる。この場合、ポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびにパルスレーザーを1回照射する、換言するとポリゴンミラーの1回転ごとにパルスレーザーの発振タイミングをΔT時間ズラしても、同じ凸凹パターンは形成できる。しかし、ポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびにパルスレーザーを複数照射する場合に比べて加工時間が長くなる。
【0019】
本発明の請求項3は、前記目的を達成するために、パルスレーザーをロール表面に照射してロール表面の照射スポットを溶融又は蒸散させることにより、前記ロール表面に凸凹パターンを形成するロール表面の加工装置において、
パルスレーザーを発振するレーザー発振器、前記ロール表面に照射される照射スポットを前記ロールの軸方向に一定ピッチで走査させるポリゴンミラー、該ポリゴンミラーから反射したレーザービームを集光する集光レンズ、前記ポリゴンミラーの各面におけるレーザー反射位置が同じになるように前記パルスレーザーのパルス間隔と前記ポリゴンミラーの回転速度を一定に設定すると共に、該設定条件下で前記ポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびに前記パルスレーザーの発振タイミングを前記パルス間隔を所望に等分したΔt時間ずつ遅らすように制御するレーザー制御部、とを備えたレーザー照射装置と、前記レーザー照射装置又は前記ロールを該ロールの軸方向に移動させる第1の移動手段と、前記レーザー照射装置又は前記ロールを該ロールの周方向に移動させる第2の移動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項3は、請求項1を装置として構成したものである。
【0021】
また本発明の請求項4は、請求項3において集光レンズの位置をレーザー光路に沿って移動可能に構成したものであり、請求項5は請求項3においてパルスレーザーのレーザー光路中にポラライザーを設けたものであり、これにより、前記照射スポットに形成される凹の深さや径を調整することができるので、所望の凸凹パターンを一層形成し易くなる。
【0022】
本発明の請求項6は、前記目的を達成するために、請求項3〜5の何れか1の加工装置でロール表面に凸凹パターンが形成されたエンボスローラを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、ロール表面に所望の凸凹パターンを形成したエンボスロールを製作することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るロール表面の加工方法及び装置並びにエンボスロールの好ましい実施の形態について詳説する。
【0025】
図1は、本発明のロール表面の加工装置10の全体構成を示す概念図であり、主として、一定周波数のパルスレーザーを被加工ロールであるロール12の表面に照射するレーザー照射装置14と、ロール12を回転させるロール回転装置16と、レーザー照射装置14をロール12の軸方向に往復移動させる往復移動装置18と、から構成される。
【0026】
また、ロール表面に凸凹パターンが形成されるロール12の径や材質は、特に限定するものではないが、100〜500φmmの範囲が好ましく、ロール材質はセラミックを好適に使用することができる。
【0027】
レーザー照射装置14は、主として、パルスレーザーを発振するレーザー発振器20と、該レーザー発振器20からのパルスレーザーの照射スポットをロールの軸方向に走査させるポリゴンミラー22と、該ポリゴンミラー22で反射したレーザービームを集光するfθレンズ24(集光レンズ)と、レーザー制御部26及び位置制御部28から成るコントローラ30とで構成される。
【0028】
パルスレーザーのレーザー発振器20としては、熱による溶融加工によってロール表面に凸凹パターンを形成する場合には、パルス周波数が100〜10000HzのCO2 レーザーが好ましく、特にTEA−CO2 レーザーのようなパルス発振に適したCO2 レーザーが好ましい。蒸散による除去加工によってロール表面に凸凹パターンを形成する場合には、YAGレーザーのような短波長レーザーが好ましく、基本波(1064nm)以外でも2倍波(532nm)、3倍波(355nm)といった高調波の使用も効果的である。またレーザー出力はロール表面に形成する凹の大きさにもよるが、パルスレーザーの1パルス(1ショット)ごとにロール表面に溶融又は蒸散による凹(穴)が形成されるように300〜600Wの範囲が好ましい。また、パルスレーザーのパルス幅としては、半円形に近い凹40を得るために1〜100μ秒の範囲が好ましい。
【0029】
レーザー発振器20から発振されたパルスレーザーは、固定ミラー32を介して回転するポリゴンミラー22に導かれて反射された後、fθレンズ24で集光されてローラ表面に照射される。このように、パルスレーザーを回転するポリゴンミラー22で走査して照射スポットを一定ピッチでロール12の軸方向に移動させることにより、ロール表面のロール軸方向には一定ピッチで複数の凹40(図6参照)がレーザー加工される。これにより、ロール表面の軸方向には凹40と凸(凹40が形成されない部分)とが交互に形成された凸凹パターンが形成される。ポリゴンミラー22の1回転分のパルスレーザーの走査によるロール表面へのレーザー加工を「走査1軸分加工」と称することにする。この場合、fθレンズ24はレーザー光路に沿ってA−B方向に移動可能であり、fθレンズ24を移動させてロール表面からの距離を可変することにより、凹40の径や深さを変えることができるように構成される。fθレンズ24の移動機構については、カメラ等で用いられるレンズの繰り出し機構を使用することができる。凹40の径や深さを可変する手段としては、パルスレーザーのレーザー光路中にポラライザーを設けるようにしてもよい。尚、ポリゴンミラー22の1回転による走査距離が、レーザー照射装置14を固定した状態、即ち往復移動装置18で移動しない状態で、ロール軸方向に凸凹パターンをレーザー加工できる領域範囲であり、以下「単位加工領域」と称する。
【0030】
このパルスレーザーのポリゴンミラー22による走査において、レーザー制御部26は、ポリゴンミラー22の各面におけるレーザー反射位置が同じになるようにパルスレーザーのパルス間隔とポリゴンミラー22の回転速度を一定に設定する。そして、回転するポリゴンミラー22の各面が定位置にくるたびに、複数のパルスレーザーを照射して走査すると共に、その時の発振タイミングをパルス間隔を所望に等分したΔt時間ずつ遅らせていくように制御する。この場合、パルスレーザーの1パルス(単パルス)がポリゴンミラー22の1つの面に当たるようにすることも可能であるが、ポリゴンミラー22の各面に複数のパルスレーザーを照射する方が加工時間を短くできる。
【0031】
また、パルスレーザーの発振タイミングをΔt時間ずつ遅らすには、レーザー制御部26にシステムクロックを設けて、該システムクロックに基づいてポリゴンミラー22の各面が定位置にくるたびにパルスレーザーの発振タイミングをΔt時間ずつ遅らすように制御すればよい。尚、ポリゴンミラー22の面数を図1に示す8面体の例で以下に説明するが、この面数に限定されるものではない。
【0032】
図2は、パルス間隔をn等分したΔt時間ずつ発振タイミングを遅らす場合であり、発振タイミングにおける1回目とは、8面体のポリゴンミラー22の1面目によって走査されたパルスレーザーのローラ表面への照射を意味する。そして、例えばポリゴンミラー22の各面当たり9本のパルスレーザーを照射するとした場合、1面当たり9パルスのパルスレーザーが8面のポリゴンミラー22によって走査されるので、ポリゴンミラー22が1回転すると、ローラ表面にはローラ軸方向に一定のピッチで9×8=72個の凹が形成される。同様に、n回目とは、n面目によって走査されたパルスレーザーのローラ表面への照射を意味する。このn面目は8面体のポリゴンミラー22の8面目ではなく、パルス間隔をn等分したことによるn面目である。また、ポリゴンミラー22の各面が定位置にくるたびに発振タイミングがΔt時間ずつ遅れるので、図2に示すように、1面目の発振タイミング時刻T=T1とすると、2面目の発振タイミング時刻T2=T1+Δtとなり、3面目の発振タイミング時刻T3=T2+Δtとなり、n面目の発振タイミング時刻Tn=Tn−1 +Δtとなる。
【0033】
レーザー制御部26での上記した制御によって、図3に示すように、1回目の照射によって、ロール表面の軸方向に9個の凹40(図の黒丸)が一定ピッチで形成される。尚、図3では図面のスペースの関係から凹40を3個のみ記載してあり、2回目の照射〜n回目の照射については凹40を2個のみ記載した。この場合、仮に、パルスレーザーの発振タイミングをポリゴンミラー22の各面が定位置にくるたびにΔt時間遅らさないで2回目の照射を行うと、1回目の照射で形成された凹の上に再び照射されるが、本発明では、ポリゴンミラー22の各面が定位置にくるたびにパルスレーザーの発振タイミングをΔt時間ずつ遅らすようにした。これにより、2回目の照射によって、図3に示すように、1回目の照射で形成された凹40に対してΔt時間だけズレた位置にパルスレーザーが照射されて9個の凹40が形成される。同様に、3回目の照射によって、2回目の照射で形成された凹40に対してΔt時間だけズレた位置にパルスレーザーが照射されて9個の凹40が形成される。従って、Δt時間がパルス間隔をn等分した時間であるので、n回目の照射によって、1回目の照射で形成された凹40と凹40との間には、等間隔で9×(n−1)面分の照射に相当する数の凹が形成される。これにより、図3の「ロール面の加工形状」に示したように、ロール表面には、ロール軸方向に一定のピッチで凹40が形成される。この場合、図3から分かるように、n回目の照射によって最終的に形成される凹40同士のピッチは、Δt時間の発振タイミングのズレによって生じる照射スポットのズレ距離に一致する。
【0034】
そして、凹40同士のピッチ寸法を変えた凸凹パターンを形成する場合には次のように行う。例えば図3でのΔt時間を100μsec (μ秒)とした場合、ロール表面に形成する凸凹パターンの凹40と凹40とのピッチを図3よりも大きくしたい場合には図4に示すように、Δt時間を100μsec よりも大きくすればよい。これにより、図4のロール面の加工形状に示すように、ロール表面には、ロール軸方向に図3でのピッチよりも大きなピッチで凹40が形成される。逆に、ロール表面に形成する凸凹パターンの凹40と凹40とのピッチを図3よりも小さくしたい場合には、図5に示すようにΔt時間を100μsec より短くすればよい。
【0035】
このように本発明では、凹40同士のピッチを任意に変えた凸凹パターンを形成することができ、図5のように、Δt時間を極端に短くして、凹40と凹40との一部分が重なるようにすれば、複雑な凸凹パターンを形成することができる。
【0036】
図6(A)は、本発明によるパルスレーザーの照射によって形成される凸凹パターンの凹形状であり、半球状の凹40が形成される。また、図6(B)は、凹40同士のピッチ及び凹40の深さの一例を示したものであり、一般的な機能性フィルムの場合、ピッチは10〜15μmの範囲、凹の深さは0.5〜1μmの範囲が好ましい。しかし、機能性フィルムでも、用途によって異なるので、所望の凸凹パターンを形成できることが大切であり、Δt時間に加えてfθレンズ24の移動を適宜加味するとよい。
【0037】
ロール回転装置16は、図1に示すように、ロール12両端の回転軸12A,12Aを回転自在に支持する一対の軸受34と、回転軸12Aを回転駆動する正逆回転可能なサーボモータ36と、サーボモータ36の回転速度を減速して回転軸12Aに伝達する減速機42と、減速機42で減速された回転を回転軸12Aに伝達するタイミングベルト44とで構成され、減速機42とサーボモータ36との間はカップリンブ部材46を介して連結される。そして、このロール回転装置16は、レーザー照射装置14の位置制御部28からの指令によって駆動される。これにより、ロール12を指定ピッチ分だけ回転させることにより、レーザー照射装置14によるパルスレーザーの照射スポットをロール12の周方向に移動させる。
【0038】
往復移動装置18は、レーザー照射装置14を精密級なボールネジ機構で移動させるように構成され、レーザー照射装置14の位置制御部28からの指令によって駆動される。即ち、装置基台48上には、ロール12の軸方向に沿って一対のリニアガイド50、50が敷設され、このリニアガイド50上をレーザー照射装置14を載せたヘッドテーブル52がスライド自在に支持される。また、一対のリニアガイド50の間の中央位置には、精密級のボールネジ54がリニアガイド50に平行に配設されると共に、このボールネジ54がヘッドテーブル52の下面に設けられたナット部材(図示せず)に螺合される。そして、ボールネジ54の一端がカップリング部材56を介して正逆回転可能なサーボモータ38に連結される。これにより、レーザー照射装置14を載せたヘッドテーブル52をボールネジ52によりロール軸方向に移動させることにより、上述した凸凹パターンを形成する単位加工領域を、次の単位加工領域に移動させることができる。
【0039】
これら、レーザー照射装置14、ロール回転装置16、及び往復移動装置18は、コントローラ30に搭載された制御プログラムによって図7のフローチャートのように制御される。
【0040】
図7に示すように、ステップ1の加工処理がスタートすると、レーザー照射装置14からロール表面へのパルスレーザーの発振前に、オペレータによってロール表面に所望の凸凹パターンを形成するための各種の設定がなされる。即ち、ステップ2ではローラ表面にレーザー加工する凸凹パターンが設定され、ステップ3ではパルスレーザーにおける1パルスの照射時間であるレーザーパルス幅が設定され、ステップ4ではパルスレーザーの周波数が設定され、ステップ5ではヘッドテーブル52の原点位置が設定される。凸凹パターンの設定では、凹40同士のピッチ、凹の深さ及び径を少なくとも設定し、凹40同士のピッチは上述したΔTを設定することにより行い、凹40の深さ及び径はfθレンズ24のレーザー光路でのロール面からの距離を設定することにより行う。また、ヘッドテーブル52の原点位置の設定は、例えば図1のロール左端から距離Lだけ離れた位置がロール軸方向の照射開始の原点位置とする場合には、最初の単位加工領域に走査されたパルスレーザーの最初の照射が原点位置に一致するようにレーザー照射装置14を載せたヘッドテーブル52の位置決めがなされる。
【0041】
ステップ1〜5が終了したら、レーザー制御部26は、ステップ6によりレーザー発振器20からの発振タイミングに合わせてポリゴンミラー22を回転する。これにより、パルスレーザーのロール表面への照射が開始されるので、レーザー制御部26は、ポリゴンミラー22の各面におけるレーザー反射位置が同じになるようにパルスレーザーのパルス間隔とポリゴンミラー22の回転速度を一定に設定すると共に、ポリゴンミラー22の各面が定位置にくるたびにパルスレーザーを複数照射すると共に、その時の発振タイミングをパルス間隔を所望に等分したΔt時間ずつ遅らせていくように制御する。例えば、パルス間隔をn等分したΔt時間ずつ発振タイミングを遅らす場合には、ステップ7において走査1軸分加工がn回完了したか否かが判断され、完了していない場合にはステップ6に戻り、完了した場合にはステップ8によりパルスレーザーの発振を停止する。
【0042】
次に、ステップ9により、位置制御部28がロール回転装置16のサーボモータ36を制御して、ロール12を指定ピッチだけ回転させる。この指定ピッチとは凹40同士のロール周方向のピッチであり、ロール軸方向のピッチと同じになるようにする。尚、ロール軸方向とロール周方向の凹同士のピッチを同じにしない場合には、ステップ2の凸凹パターン設定において、そのように設定する。ステップ10では、指定ピッチの指定回数(回転ピッチ指定数)が判断され、回転ピッチ指定数によるロール回転距離がロール周長分(ロール1周分)に達するまでステップ6に戻ってステップ6〜9を繰り返し、ロール周長分に達したらステップ11に移る。ステップ11では、位置制御部28が往復移動装置18のサーボモータ38を制御して、ヘッドテーブル52を所定ピッチだけロール軸方向、即ち図1の右方向に横移動させる。ここで横移動の所定ピッチとは、次の単位加工領域において前の単位領域で既に形成された凸凹パターンに連続した状態で凸凹パターンを形成できるレーザー照射装置14の位置であり、その位置までヘッドテーブル52を移動させる。そして、ステップ12では、所定ピッチの指定回数(横移動ピッチ指定数)が判断され、横移動ピッチ指定数によるロール軸方向距離が凸凹パターンを形成するロール軸方向距離分に達するまでステップ6に戻ってステップ6からステップ11を繰り返し、達したならステップ13に移ってレーザー加工処理が完了する。
【0043】
これにより、レーザービーム強度の不足や回折格子の種類やレーザー光吸収フィルターを複数用意しなくても、レーザーを使用してロール表面に略所望の凸凹パターンを短時間で形成したエンボスロールを製作することができる。
【0044】
尚、本実施の形態では、ロール回転装置16と往復移動装置18を使用したが、ロール回転装置16の代わりにレーザー照射装置をロール周方向に移動させる装置を使用し、レーザー照射装置の往復移動装置18の代わりにロール自体をロール軸方向に移動する装置を使用することも可能である。
【0045】
また、本実施の形態では1台のレーザー照射装置14を使用したが、ロールの軸長に応じて複数台のレーザー照射装置14をリニアガイド50上に配置してもよい。また、パルスレーザーが照射される照射スポットにおいて飛散する蒸発物等のゴミを除去するエアブロー装置や吸引除去装置を設けることも好ましい。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のロール表面の加工方法及び装置並びにエンボスロールによれば、レーザービーム強度の不足や回折格子の種類やレーザー光吸収フィルターを複数用意しなくても、レーザーを使用してロール表面に略所望の凸凹パターンを短時間で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロール表面の加工装置の構成を説明する概略図
【図2】本発明のロール表面の加工方法を行うポリゴンミラーとパルスレーザーの発振タイミングとの関係を説明する説明図
【図3】本発明のロール表面の加工方法によってロール表面に形成される凹の形成位置を説明する説明図
【図4】ロール表面に形成される凹同士のピッチを大きくする方法を説明する説明図
【図5】ロール表面に形成される凹同士のピッチを小さくする方法を説明する説明図
【図6】ロール表面に形成される凹の好適な一例を説明する説明図
【図7】本発明のロール表面の加工方法を行うフローチャートを説明する説明図
【符号の説明】
10…ロール表面の加工装置、12…ロール、14…レーザー照射装置、16…ロール回転装置、18…往復移動装置、20…パルスレーザーの発振器、22…ポリゴンミラー、24…fθレンズ、26…レーザー制御部、28…位置制御部、30…コントローラ、32…固定ミラー、34…軸受、36…ローラ回転装置のサーボモータ、38…往復移動装置のサーボモータ、40…凹、42…減速機、44…タイミングベルト、46…カップリング部材、48…装置基台、50…リニアガイド、52…ヘッドテーブル、54…精密級ボールネジ、56…カップリング部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロール表面の加工方法及び装置並びにエンボスロールに係り、特に表面に精密な凸凹パターンが形成された機能性フィルムを製造するためのエンボスロール及びそのロール表面の加工方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面に精密な凸凹パターンが形成された機能性フィルムは、例えば半導体素子の絶縁皮膜として、液晶表示装置、EL表示装置、プラズマディスプレイ等の防眩性を有する反射防止フィルムとして、その他電子部品の絶縁皮膜導電膜や誘電膜として広く用いられている。
【0003】
この機能性フィルムを製造する方法として、ロール表面に凹凸を有するエンボスロールとバックアップロールとでベースとなるフィルムをニップすることにより、フィルムの表面にエンボスロールの凹凸形状を転写する方法がある。
【0004】
従来、ロール表面に凸凹パターンを形成する方法としては、ブラストショット法、放電ダル加工法があるが、これらの方法によってロール表面に形成される凸凹パターンは不規則な繰り返しによるため、その凸凹パターン位置が不定となり、上記した類の機能性フィルムとしては不向きである。
【0005】
その為、近年はロールの表面加工にレーザーを利用した装置を使用して上記問題を解消するようにしている。例えば、特許文献1では、レーザー光源から照射されるレーザービームを集光する集光レンズを、ロール表面に沿って移動し、この集光レンズのレーザービーム入射側にレーザー光を複数に分光する回折格子や、レーザー光吸収フィルターを設置し、ロール表面に加工形成する凸凹パターンを、これらの回折格子の種類やレーザー光吸収フィルターの模様を選ぶことにより所望の凸凹パターンを形成することが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、特定部分の凸凹パターンの大小を変更する方法として、レーザー光の光エネルギーそのものを変更する方法が開示され、レーザー光路中又はその近傍にハーフミラーを設け、ハーフミラーをレーザー光路から外したりレーザー光路中に戻したりすることでレーザー光の光エネルギーを変えて、特定部分の凸凹パターンの大小を変更する方法が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−104274号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平5−99283号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の方法では、1本のレーザー光源が複数のビームに分割されてしまい、分割されたレーザービームのエネルギーは元のレーザー光源のエネルギーの数十分の一のエネルギーになってしまうため、ロール表面の加工に長時間を要し、生産性が悪くなるという問題がある。生産性を上げるためには、レーザー光源を非常に強力なパワーにしなくてはならず、大がかりなレーザー照射装置が必要になる。また、凸凹パターン模様は、機能性フィルムを使用する対象物によって異なるため、対象物ごとに回折格子やレーザー光吸収フィルターを複数用意しなくてはならず、そのための経費が増加する。
【0010】
また、特許文献2の方法では、凸凹パターンは予め定められた範囲内での凸凹の大きさを調整できるだけであり、所望の凸凹パターンをロール表面に形成するには十分ではない。
【0011】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたもので、レーザービーム強度の不足や回折格子の種類やレーザー光吸収フィルターを複数用意しなくても、レーザーを使用してロール表面に略所望の凸凹パターンを短時間で形成することができるロール表面の加工方法及び装置並びにその加工方法で製作されたエンボスロールを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決する為の手段】
本発明の請求項1は、前記目的を達成する為に、パルスレーザーをロール表面に照射してロール表面の照射スポットを溶融又は蒸散させることにより、前記ロール表面に凸凹パターンを形成するロール表面の加工方法において、前記照射スポットを回転するポリゴンミラーで前記ロールの軸方向に一定ピッチで走査させると共に、該走査において、前記ポリゴンミラーの各面におけるレーザー反射位置が同じになるように前記パルスレーザーのパルス間隔と前記ポリゴンミラーの回転速度を一定に設定しておき、該設定条件下で前記ポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびに前記パルスレーザーの発振タイミングを前記パルス間隔を所望に等分したΔt時間ずつ遅らせていく凸凹パターン形成工程と、前記凸凹パターン形成工程を前記ロールの軸方向に前記凸凹パターンを形成するロール軸長分だけ移動を繰り返す軸方向繰り返し工程と、前記凸凹パターン形成工程を前記ロールの周方向に前記凸凹パターンを形成するロール周長分だけ移動を繰り返す周方向繰り返し工程と、から成ることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項1によれば、パルスレーザーでロール表面に照射される照射スポットを回転するポリゴンミラーでロールの軸方向に一定ピッチで走査させる。これにより、ロール表面の照射スポットにおいて溶融又は蒸散が行われるので、ロール表面には、ロール軸方法に沿って凹が一定ピッチで配置された凸凹パターンが形成される。ここで、凸凹パターンの凸とは凹が形成されていない部分をいう。
【0014】
このパルスレーザーのポリゴンミラーによる走査において、ポリゴンミラーの各面におけるレーザー反射位置が同じになるようにパルスレーザーのパルス間隔とポリゴンミラーの回転速度を一定に設定しておき、この設定条件下でポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびにパルスレーザーの発振タイミングをパルス間隔を所望に等分したΔt時間ずつ遅らせていくようにした。これにより、Δt時間を変えるだけで凹同士のピッチを任意に変更した凸凹パターンをロール軸方向に形成することができる。即ち、Δt時間を大きくすれば、凹同士のピッチが大きな凸凹パターンが形成され、Δt時間を小さくすれば、凹同士のピッチが小さく凸凹パターンが形成される。また、Δt時間を極端に短くすると、凹と凹との一部分が重なった複雑な凸凹パターンを形成できる。
【0015】
そして、この凸凹パターン形成工程を、ロールの軸方向に凸凹パターンを形成するロール軸長分だけ移動を繰り返す軸方向繰り返し工程と、凸凹パターン形成工程を前記ロールの周方向に凸凹パターンを形成するロール周長分だけ移動を繰り返す周方向繰り返し工程とを行うことにより、ロール表面の凸凹パターンを形成したい領域に所望の凸凹パターンを形成することができる。この場合、1回の凸凹パターン形成工程によってロールの軸方向に凸凹パターンを形成するロール軸長分の凸凹パターンが形成される場合には、軸方向繰り返し工程の繰り返し数は0回になる。
【0016】
このように、本発明では、パルスレーザーの発振タイミングをポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびにΔT時間遅らすだけで、凹同士のピッチ調整を簡単に行うことができるので、凹同士のピッチ調整のためにポリゴンミラーの回転を複雑なプログラム制御で行う必要がない。また、パルスレーザーの発振周波数も固定値でよいので、発振周波数を変えた場合に生じるレーザー出力のピークパワーが発振周波数に連動して変化してしまうという不都合がない。
【0017】
更には、本発明では、1本のレーザービームを走査することでロール表面に所望の凸凹パターンを形成できるので、従来技術の欠点であった、レーザービームの強度不足を解消でき、短時間で凸凹パターンを形成できる。また、従来のように回折格子やレーザー光吸収フィルターを複数用意しなくてもよく、簡易に凸凹パターンを形成できるので、経費面でも安価になる。
【0018】
本発明の請求項2は請求項1において、前記ポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびに前記パルスレーザーを複数照射することを特徴とする。これにより、加工時間を短縮することができる。この場合、ポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびにパルスレーザーを1回照射する、換言するとポリゴンミラーの1回転ごとにパルスレーザーの発振タイミングをΔT時間ズラしても、同じ凸凹パターンは形成できる。しかし、ポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびにパルスレーザーを複数照射する場合に比べて加工時間が長くなる。
【0019】
本発明の請求項3は、前記目的を達成するために、パルスレーザーをロール表面に照射してロール表面の照射スポットを溶融又は蒸散させることにより、前記ロール表面に凸凹パターンを形成するロール表面の加工装置において、
パルスレーザーを発振するレーザー発振器、前記ロール表面に照射される照射スポットを前記ロールの軸方向に一定ピッチで走査させるポリゴンミラー、該ポリゴンミラーから反射したレーザービームを集光する集光レンズ、前記ポリゴンミラーの各面におけるレーザー反射位置が同じになるように前記パルスレーザーのパルス間隔と前記ポリゴンミラーの回転速度を一定に設定すると共に、該設定条件下で前記ポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびに前記パルスレーザーの発振タイミングを前記パルス間隔を所望に等分したΔt時間ずつ遅らすように制御するレーザー制御部、とを備えたレーザー照射装置と、前記レーザー照射装置又は前記ロールを該ロールの軸方向に移動させる第1の移動手段と、前記レーザー照射装置又は前記ロールを該ロールの周方向に移動させる第2の移動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項3は、請求項1を装置として構成したものである。
【0021】
また本発明の請求項4は、請求項3において集光レンズの位置をレーザー光路に沿って移動可能に構成したものであり、請求項5は請求項3においてパルスレーザーのレーザー光路中にポラライザーを設けたものであり、これにより、前記照射スポットに形成される凹の深さや径を調整することができるので、所望の凸凹パターンを一層形成し易くなる。
【0022】
本発明の請求項6は、前記目的を達成するために、請求項3〜5の何れか1の加工装置でロール表面に凸凹パターンが形成されたエンボスローラを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、ロール表面に所望の凸凹パターンを形成したエンボスロールを製作することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るロール表面の加工方法及び装置並びにエンボスロールの好ましい実施の形態について詳説する。
【0025】
図1は、本発明のロール表面の加工装置10の全体構成を示す概念図であり、主として、一定周波数のパルスレーザーを被加工ロールであるロール12の表面に照射するレーザー照射装置14と、ロール12を回転させるロール回転装置16と、レーザー照射装置14をロール12の軸方向に往復移動させる往復移動装置18と、から構成される。
【0026】
また、ロール表面に凸凹パターンが形成されるロール12の径や材質は、特に限定するものではないが、100〜500φmmの範囲が好ましく、ロール材質はセラミックを好適に使用することができる。
【0027】
レーザー照射装置14は、主として、パルスレーザーを発振するレーザー発振器20と、該レーザー発振器20からのパルスレーザーの照射スポットをロールの軸方向に走査させるポリゴンミラー22と、該ポリゴンミラー22で反射したレーザービームを集光するfθレンズ24(集光レンズ)と、レーザー制御部26及び位置制御部28から成るコントローラ30とで構成される。
【0028】
パルスレーザーのレーザー発振器20としては、熱による溶融加工によってロール表面に凸凹パターンを形成する場合には、パルス周波数が100〜10000HzのCO2 レーザーが好ましく、特にTEA−CO2 レーザーのようなパルス発振に適したCO2 レーザーが好ましい。蒸散による除去加工によってロール表面に凸凹パターンを形成する場合には、YAGレーザーのような短波長レーザーが好ましく、基本波(1064nm)以外でも2倍波(532nm)、3倍波(355nm)といった高調波の使用も効果的である。またレーザー出力はロール表面に形成する凹の大きさにもよるが、パルスレーザーの1パルス(1ショット)ごとにロール表面に溶融又は蒸散による凹(穴)が形成されるように300〜600Wの範囲が好ましい。また、パルスレーザーのパルス幅としては、半円形に近い凹40を得るために1〜100μ秒の範囲が好ましい。
【0029】
レーザー発振器20から発振されたパルスレーザーは、固定ミラー32を介して回転するポリゴンミラー22に導かれて反射された後、fθレンズ24で集光されてローラ表面に照射される。このように、パルスレーザーを回転するポリゴンミラー22で走査して照射スポットを一定ピッチでロール12の軸方向に移動させることにより、ロール表面のロール軸方向には一定ピッチで複数の凹40(図6参照)がレーザー加工される。これにより、ロール表面の軸方向には凹40と凸(凹40が形成されない部分)とが交互に形成された凸凹パターンが形成される。ポリゴンミラー22の1回転分のパルスレーザーの走査によるロール表面へのレーザー加工を「走査1軸分加工」と称することにする。この場合、fθレンズ24はレーザー光路に沿ってA−B方向に移動可能であり、fθレンズ24を移動させてロール表面からの距離を可変することにより、凹40の径や深さを変えることができるように構成される。fθレンズ24の移動機構については、カメラ等で用いられるレンズの繰り出し機構を使用することができる。凹40の径や深さを可変する手段としては、パルスレーザーのレーザー光路中にポラライザーを設けるようにしてもよい。尚、ポリゴンミラー22の1回転による走査距離が、レーザー照射装置14を固定した状態、即ち往復移動装置18で移動しない状態で、ロール軸方向に凸凹パターンをレーザー加工できる領域範囲であり、以下「単位加工領域」と称する。
【0030】
このパルスレーザーのポリゴンミラー22による走査において、レーザー制御部26は、ポリゴンミラー22の各面におけるレーザー反射位置が同じになるようにパルスレーザーのパルス間隔とポリゴンミラー22の回転速度を一定に設定する。そして、回転するポリゴンミラー22の各面が定位置にくるたびに、複数のパルスレーザーを照射して走査すると共に、その時の発振タイミングをパルス間隔を所望に等分したΔt時間ずつ遅らせていくように制御する。この場合、パルスレーザーの1パルス(単パルス)がポリゴンミラー22の1つの面に当たるようにすることも可能であるが、ポリゴンミラー22の各面に複数のパルスレーザーを照射する方が加工時間を短くできる。
【0031】
また、パルスレーザーの発振タイミングをΔt時間ずつ遅らすには、レーザー制御部26にシステムクロックを設けて、該システムクロックに基づいてポリゴンミラー22の各面が定位置にくるたびにパルスレーザーの発振タイミングをΔt時間ずつ遅らすように制御すればよい。尚、ポリゴンミラー22の面数を図1に示す8面体の例で以下に説明するが、この面数に限定されるものではない。
【0032】
図2は、パルス間隔をn等分したΔt時間ずつ発振タイミングを遅らす場合であり、発振タイミングにおける1回目とは、8面体のポリゴンミラー22の1面目によって走査されたパルスレーザーのローラ表面への照射を意味する。そして、例えばポリゴンミラー22の各面当たり9本のパルスレーザーを照射するとした場合、1面当たり9パルスのパルスレーザーが8面のポリゴンミラー22によって走査されるので、ポリゴンミラー22が1回転すると、ローラ表面にはローラ軸方向に一定のピッチで9×8=72個の凹が形成される。同様に、n回目とは、n面目によって走査されたパルスレーザーのローラ表面への照射を意味する。このn面目は8面体のポリゴンミラー22の8面目ではなく、パルス間隔をn等分したことによるn面目である。また、ポリゴンミラー22の各面が定位置にくるたびに発振タイミングがΔt時間ずつ遅れるので、図2に示すように、1面目の発振タイミング時刻T=T1とすると、2面目の発振タイミング時刻T2=T1+Δtとなり、3面目の発振タイミング時刻T3=T2+Δtとなり、n面目の発振タイミング時刻Tn=Tn−1 +Δtとなる。
【0033】
レーザー制御部26での上記した制御によって、図3に示すように、1回目の照射によって、ロール表面の軸方向に9個の凹40(図の黒丸)が一定ピッチで形成される。尚、図3では図面のスペースの関係から凹40を3個のみ記載してあり、2回目の照射〜n回目の照射については凹40を2個のみ記載した。この場合、仮に、パルスレーザーの発振タイミングをポリゴンミラー22の各面が定位置にくるたびにΔt時間遅らさないで2回目の照射を行うと、1回目の照射で形成された凹の上に再び照射されるが、本発明では、ポリゴンミラー22の各面が定位置にくるたびにパルスレーザーの発振タイミングをΔt時間ずつ遅らすようにした。これにより、2回目の照射によって、図3に示すように、1回目の照射で形成された凹40に対してΔt時間だけズレた位置にパルスレーザーが照射されて9個の凹40が形成される。同様に、3回目の照射によって、2回目の照射で形成された凹40に対してΔt時間だけズレた位置にパルスレーザーが照射されて9個の凹40が形成される。従って、Δt時間がパルス間隔をn等分した時間であるので、n回目の照射によって、1回目の照射で形成された凹40と凹40との間には、等間隔で9×(n−1)面分の照射に相当する数の凹が形成される。これにより、図3の「ロール面の加工形状」に示したように、ロール表面には、ロール軸方向に一定のピッチで凹40が形成される。この場合、図3から分かるように、n回目の照射によって最終的に形成される凹40同士のピッチは、Δt時間の発振タイミングのズレによって生じる照射スポットのズレ距離に一致する。
【0034】
そして、凹40同士のピッチ寸法を変えた凸凹パターンを形成する場合には次のように行う。例えば図3でのΔt時間を100μsec (μ秒)とした場合、ロール表面に形成する凸凹パターンの凹40と凹40とのピッチを図3よりも大きくしたい場合には図4に示すように、Δt時間を100μsec よりも大きくすればよい。これにより、図4のロール面の加工形状に示すように、ロール表面には、ロール軸方向に図3でのピッチよりも大きなピッチで凹40が形成される。逆に、ロール表面に形成する凸凹パターンの凹40と凹40とのピッチを図3よりも小さくしたい場合には、図5に示すようにΔt時間を100μsec より短くすればよい。
【0035】
このように本発明では、凹40同士のピッチを任意に変えた凸凹パターンを形成することができ、図5のように、Δt時間を極端に短くして、凹40と凹40との一部分が重なるようにすれば、複雑な凸凹パターンを形成することができる。
【0036】
図6(A)は、本発明によるパルスレーザーの照射によって形成される凸凹パターンの凹形状であり、半球状の凹40が形成される。また、図6(B)は、凹40同士のピッチ及び凹40の深さの一例を示したものであり、一般的な機能性フィルムの場合、ピッチは10〜15μmの範囲、凹の深さは0.5〜1μmの範囲が好ましい。しかし、機能性フィルムでも、用途によって異なるので、所望の凸凹パターンを形成できることが大切であり、Δt時間に加えてfθレンズ24の移動を適宜加味するとよい。
【0037】
ロール回転装置16は、図1に示すように、ロール12両端の回転軸12A,12Aを回転自在に支持する一対の軸受34と、回転軸12Aを回転駆動する正逆回転可能なサーボモータ36と、サーボモータ36の回転速度を減速して回転軸12Aに伝達する減速機42と、減速機42で減速された回転を回転軸12Aに伝達するタイミングベルト44とで構成され、減速機42とサーボモータ36との間はカップリンブ部材46を介して連結される。そして、このロール回転装置16は、レーザー照射装置14の位置制御部28からの指令によって駆動される。これにより、ロール12を指定ピッチ分だけ回転させることにより、レーザー照射装置14によるパルスレーザーの照射スポットをロール12の周方向に移動させる。
【0038】
往復移動装置18は、レーザー照射装置14を精密級なボールネジ機構で移動させるように構成され、レーザー照射装置14の位置制御部28からの指令によって駆動される。即ち、装置基台48上には、ロール12の軸方向に沿って一対のリニアガイド50、50が敷設され、このリニアガイド50上をレーザー照射装置14を載せたヘッドテーブル52がスライド自在に支持される。また、一対のリニアガイド50の間の中央位置には、精密級のボールネジ54がリニアガイド50に平行に配設されると共に、このボールネジ54がヘッドテーブル52の下面に設けられたナット部材(図示せず)に螺合される。そして、ボールネジ54の一端がカップリング部材56を介して正逆回転可能なサーボモータ38に連結される。これにより、レーザー照射装置14を載せたヘッドテーブル52をボールネジ52によりロール軸方向に移動させることにより、上述した凸凹パターンを形成する単位加工領域を、次の単位加工領域に移動させることができる。
【0039】
これら、レーザー照射装置14、ロール回転装置16、及び往復移動装置18は、コントローラ30に搭載された制御プログラムによって図7のフローチャートのように制御される。
【0040】
図7に示すように、ステップ1の加工処理がスタートすると、レーザー照射装置14からロール表面へのパルスレーザーの発振前に、オペレータによってロール表面に所望の凸凹パターンを形成するための各種の設定がなされる。即ち、ステップ2ではローラ表面にレーザー加工する凸凹パターンが設定され、ステップ3ではパルスレーザーにおける1パルスの照射時間であるレーザーパルス幅が設定され、ステップ4ではパルスレーザーの周波数が設定され、ステップ5ではヘッドテーブル52の原点位置が設定される。凸凹パターンの設定では、凹40同士のピッチ、凹の深さ及び径を少なくとも設定し、凹40同士のピッチは上述したΔTを設定することにより行い、凹40の深さ及び径はfθレンズ24のレーザー光路でのロール面からの距離を設定することにより行う。また、ヘッドテーブル52の原点位置の設定は、例えば図1のロール左端から距離Lだけ離れた位置がロール軸方向の照射開始の原点位置とする場合には、最初の単位加工領域に走査されたパルスレーザーの最初の照射が原点位置に一致するようにレーザー照射装置14を載せたヘッドテーブル52の位置決めがなされる。
【0041】
ステップ1〜5が終了したら、レーザー制御部26は、ステップ6によりレーザー発振器20からの発振タイミングに合わせてポリゴンミラー22を回転する。これにより、パルスレーザーのロール表面への照射が開始されるので、レーザー制御部26は、ポリゴンミラー22の各面におけるレーザー反射位置が同じになるようにパルスレーザーのパルス間隔とポリゴンミラー22の回転速度を一定に設定すると共に、ポリゴンミラー22の各面が定位置にくるたびにパルスレーザーを複数照射すると共に、その時の発振タイミングをパルス間隔を所望に等分したΔt時間ずつ遅らせていくように制御する。例えば、パルス間隔をn等分したΔt時間ずつ発振タイミングを遅らす場合には、ステップ7において走査1軸分加工がn回完了したか否かが判断され、完了していない場合にはステップ6に戻り、完了した場合にはステップ8によりパルスレーザーの発振を停止する。
【0042】
次に、ステップ9により、位置制御部28がロール回転装置16のサーボモータ36を制御して、ロール12を指定ピッチだけ回転させる。この指定ピッチとは凹40同士のロール周方向のピッチであり、ロール軸方向のピッチと同じになるようにする。尚、ロール軸方向とロール周方向の凹同士のピッチを同じにしない場合には、ステップ2の凸凹パターン設定において、そのように設定する。ステップ10では、指定ピッチの指定回数(回転ピッチ指定数)が判断され、回転ピッチ指定数によるロール回転距離がロール周長分(ロール1周分)に達するまでステップ6に戻ってステップ6〜9を繰り返し、ロール周長分に達したらステップ11に移る。ステップ11では、位置制御部28が往復移動装置18のサーボモータ38を制御して、ヘッドテーブル52を所定ピッチだけロール軸方向、即ち図1の右方向に横移動させる。ここで横移動の所定ピッチとは、次の単位加工領域において前の単位領域で既に形成された凸凹パターンに連続した状態で凸凹パターンを形成できるレーザー照射装置14の位置であり、その位置までヘッドテーブル52を移動させる。そして、ステップ12では、所定ピッチの指定回数(横移動ピッチ指定数)が判断され、横移動ピッチ指定数によるロール軸方向距離が凸凹パターンを形成するロール軸方向距離分に達するまでステップ6に戻ってステップ6からステップ11を繰り返し、達したならステップ13に移ってレーザー加工処理が完了する。
【0043】
これにより、レーザービーム強度の不足や回折格子の種類やレーザー光吸収フィルターを複数用意しなくても、レーザーを使用してロール表面に略所望の凸凹パターンを短時間で形成したエンボスロールを製作することができる。
【0044】
尚、本実施の形態では、ロール回転装置16と往復移動装置18を使用したが、ロール回転装置16の代わりにレーザー照射装置をロール周方向に移動させる装置を使用し、レーザー照射装置の往復移動装置18の代わりにロール自体をロール軸方向に移動する装置を使用することも可能である。
【0045】
また、本実施の形態では1台のレーザー照射装置14を使用したが、ロールの軸長に応じて複数台のレーザー照射装置14をリニアガイド50上に配置してもよい。また、パルスレーザーが照射される照射スポットにおいて飛散する蒸発物等のゴミを除去するエアブロー装置や吸引除去装置を設けることも好ましい。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のロール表面の加工方法及び装置並びにエンボスロールによれば、レーザービーム強度の不足や回折格子の種類やレーザー光吸収フィルターを複数用意しなくても、レーザーを使用してロール表面に略所望の凸凹パターンを短時間で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロール表面の加工装置の構成を説明する概略図
【図2】本発明のロール表面の加工方法を行うポリゴンミラーとパルスレーザーの発振タイミングとの関係を説明する説明図
【図3】本発明のロール表面の加工方法によってロール表面に形成される凹の形成位置を説明する説明図
【図4】ロール表面に形成される凹同士のピッチを大きくする方法を説明する説明図
【図5】ロール表面に形成される凹同士のピッチを小さくする方法を説明する説明図
【図6】ロール表面に形成される凹の好適な一例を説明する説明図
【図7】本発明のロール表面の加工方法を行うフローチャートを説明する説明図
【符号の説明】
10…ロール表面の加工装置、12…ロール、14…レーザー照射装置、16…ロール回転装置、18…往復移動装置、20…パルスレーザーの発振器、22…ポリゴンミラー、24…fθレンズ、26…レーザー制御部、28…位置制御部、30…コントローラ、32…固定ミラー、34…軸受、36…ローラ回転装置のサーボモータ、38…往復移動装置のサーボモータ、40…凹、42…減速機、44…タイミングベルト、46…カップリング部材、48…装置基台、50…リニアガイド、52…ヘッドテーブル、54…精密級ボールネジ、56…カップリング部材
Claims (6)
- パルスレーザーをロール表面に照射してロール表面の照射スポットを溶融又は蒸散させることにより、前記ロール表面に凸凹パターンを形成するロール表面の加工方法において、
前記照射スポットを回転するポリゴンミラーで前記ロールの軸方向に一定ピッチで走査させると共に、該走査において、前記ポリゴンミラーの各面におけるレーザー反射位置が同じになるように前記パルスレーザーのパルス間隔と前記ポリゴンミラーの回転速度を一定に設定しておき、該設定条件下で前記ポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびに前記パルスレーザーの発振タイミングを前記パルス間隔を所望に等分したΔt時間ずつ遅らせていく凸凹パターン形成工程と、
前記凸凹パターン形成工程を前記ロールの軸方向に前記凸凹パターンを形成するロール軸長分だけ移動を繰り返す軸方向繰り返し工程と、
前記凸凹パターン形成工程を前記ロールの周方向に前記凸凹パターンを形成するロール周長分だけ移動を繰り返す周方向繰り返し工程と、から成ることを特徴とするロール表面の加工方法。 - 前記ポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびに前記パルスレーザーを複数照射することを特徴とする請求項1のロール表面の加工方法。
- パルスレーザーをロール表面に照射してロール表面の照射スポットを溶融又は蒸散させることにより、前記ロール表面に凸凹パターンを形成するロール表面の加工装置において、
パルスレーザーを発振するレーザー発振器、前記ロール表面に照射される照射スポットを前記ロールの軸方向に一定ピッチで走査させるポリゴンミラー、該ポリゴンミラーから反射したレーザービームを集光する集光レンズ、前記ポリゴンミラーの各面におけるレーザー反射位置が同じになるように前記パルスレーザーのパルス間隔と前記ポリゴンミラーの回転速度を一定に設定すると共に、該設定条件下で前記ポリゴンミラーの各面が定位置にくるたびに前記パルスレーザーの発振タイミングを前記パルス間隔を所望に等分したΔt時間ずつ遅らすように制御するレーザー制御部、とを備えたレーザー照射装置と、
前記レーザー照射装置又は前記ロールを該ロールの軸方向に移動させる第1の移動手段と、
前記レーザー照射装置又は前記ロールを該ロールの周方向に移動させる第2の移動手段と、
を備えたことを特徴とするロール表面の加工装置。 - 前記集光レンズはレーザー光路に沿って移動可能であることを特徴とする請求項3のロール表面の加工装置。
- 前記パルスレーザーのレーザー光路中にポラライザーを設けたことを特徴とする請求項3のロール表面の加工装置。
- 請求項3〜5の何れか1のロール表面の加工装置でロール表面に凸凹パターンが形成されたことを特徴とするエンボスロール。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012521892A (ja) * | 2009-03-30 | 2012-09-20 | ボエグリ − グラビュル ソシエテ アノニム | 硬質材料をコーティングした物体の表面をレーザーによって構造化する方法及び装置 |
CN103639592A (zh) * | 2013-11-29 | 2014-03-19 | 武汉钢铁(集团)公司 | 基于光纤激光器的轧辊无序毛化处理方法 |
KR101856052B1 (ko) * | 2016-12-22 | 2018-05-09 | 한국기계연구원 | 미세 패턴 금형 가공 시스템 |
JP2019042767A (ja) * | 2017-09-01 | 2019-03-22 | 東芝機械株式会社 | レーザ加工装置、及び、レーザ加工方法 |
-
2003
- 2003-05-28 JP JP2003150330A patent/JP2004351443A/ja active Pending
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