JPH06264147A - ステアリングラック軸の製造方法 - Google Patents

ステアリングラック軸の製造方法

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JPH06264147A
JPH06264147A JP7910393A JP7910393A JPH06264147A JP H06264147 A JPH06264147 A JP H06264147A JP 7910393 A JP7910393 A JP 7910393A JP 7910393 A JP7910393 A JP 7910393A JP H06264147 A JPH06264147 A JP H06264147A
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JP
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rack
shaft
rack tooth
steering
manufacturing
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JP7910393A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Tanaka
利秋 田中
Kenji Hoshino
憲司 星野
Masayoshi Ozawa
正義 小沢
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Yamada Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Yamada Seisakusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ステアリングラック軸の製造方法において、
部分的な調質により歪を低減し、ラック歯等の加工を良
好にし、製造効率を向上させ、製造コストを低廉とし、
且つ剛性,靭性,強度性を高くすること。 【構成】 ステアリングラック軸の製造方法において、
軸本体1のラック歯形成部位1aの少なくとも一部の軸
方向箇所を調質4として熱処理すること。前記ラック歯
形成部位1aにラック歯1a1を成形した後に、該ラック
歯1a1を高周波焼入して歯部焼入層5を形成すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、部分的な調質により歪
を低減し、ラック歯等の加工を良好にし、製造効率を向
上させ、製造コストを低廉とし、且つ剛性,靭性,強度
性を高くできるステアリングラック軸の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、ラック歯を成形する前に、炉
内において軸の全体に調質なる熱処理を行なって、軸の
強度及び靱性を高めることができるステアリングラック
軸の製造方法は存在している。その全体が調質されてい
るステアリングラック軸とは、素材の全体に調質をし
て、ステアリングラック軸を形成するもので、ラック歯
のような耐磨耗性の必要なところには後から焼入の熱処
理がなされ、該焼入れ箇所以外は、そのまま調質されて
いる。
【0003】ここで、調質とは、焼入後、比較的高い温
度(略400℃以上)に焼戻して、トルースタイト組
織、あるいはソルバイト組織にする操作をいう。その調
質における焼入処理は、鋼材の心部まで一様に硬化ある
いは強化することを目的として行うもので、焼入後は約
400℃以上の適当な温度に高温の焼戻を施すのが普通
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のステアリングラ
ック軸の製造方法のように、図19の熱処理の歪線比較
グラフ(従来より製造されたステアリングラック軸とし
て、全体調質で調質硬度HRC20、本発明にて製造さ
れたステアリングラック軸の一実施例として、部分調質
で調質硬度:歯側HRC23、背面側HRC35)の実
線参照〕の従来の点線に示すように、ラック歯を成形す
る前に、全体調質を行なった場合、その調質による軸の
歪(曲がり)は弓形状に大きくなる欠点があった。この
ため、歪取り作業に時間が掛かり、製造効率を低下さ
せ、製造コストを高める弊害があった。さらに、全体調
質によって生じた歪を矯正しても、鋼材(ステアリング
ラック軸の素材)内の残留応力により、その後の熱処理
(ラック歯部、軸部等)のたびに、大きな歪が発生する
欠点があった。また、ラック歯形成部位のラック歯等の
加工性を良好にして、加工効率、工具寿命を向上させる
ため、調質の硬度を比較的低くする必要があった。これ
がため、ステアリングラック軸の強度及び靱性を向上さ
せ、且つ剛性を高くすることが難しかった。すなわち、
図20(軸内部硬度と曲げ荷重との関係)に示すよう
に、加工性を良好にするために、内部硬度を低減させる
と、今度は、曲げ荷重が弱くなる。また、曲げ荷重に強
くして、ワーク(ステアリングラック軸)が硬くなれば
なるほど(内部硬度が高くなる)、工具損傷が早まり、
加工精度が悪くなったり、切削抵抗が増大して、切削温
度を高め、磨耗の進行を早める重大な欠点があった。
【0005】また、炉内での全体調質は、炉内温度を高
温とし、多数の素材をまとめて熱処理する設備による方
法である。他の機械加工や高周波焼入等の1つ1つ加工
又処理できる物流工程とは大きく異なり、他の場所で特
別な管理を行なって設けられる。このため調質処理によ
り、製造工程が増し物流が煩雑化し、一貫した製造ライ
ンとすることが難かしく、ひいては製造効率の低下や製
造コストを高める欠点があった。
【0006】このように、製造効率、コストから加工性
が良く、かつ軸の強度及び靱性の高いステアリングラッ
ク軸の製作方法が要望されている。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、前記課
題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、その発明
を、軸本体のラック歯形成部位の少なくとも一部の軸方
向箇所を調質として熱処理し、前記ラック歯形成部位に
ラック歯を成形した後に、該ラック歯を高周波焼入して
歯部焼入層を形成してなるステアリングラック軸の製造
方法等としたことにより、部分的な調質により歪が低減
され、ラック歯等の加工を良好にし、製造効率が向上
し、製造コストを低廉にでき、且つ剛性の高いステアリ
ングラック軸の製造方法を提供でき、前記の課題を解決
したものである。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。まず、ステアリングラック軸A及びこの関係部
品について説明すると、図17,図18には、本実施例
により製造されるステアリングラック軸Aの全体が示さ
れている。図17にはノーマルステアリング装置が、図
18にはパワーステアリング装置が示されている。この
ステアリングラック軸Aの軸本体1には、必要に応じて
貫通孔2が形成されている。従って、ステアリングラッ
ク軸Aは断面略円形の中実の場合と、断面略円形の中空
の場合とが存在する。
【0009】また、軸本体1の端部寄りの適宜の箇所に
は、絞り加工又はプレス加工等の塑性加工或いは切削加
工による平坦部3が形成されている。その軸本体1の両
側は、長さの長い軸部1cと短い軸部1cが存在し、こ
の間に、平坦部3を有するラック歯形成部位1aと背面
部1bとが形成されている。ラック歯形成部位1aには
複数のラック歯1a1,1a1,…が形成されている。背面
部1bは、そのラック歯形成部位1aの直径方向の反対
側の半円状部を指し、この軸方向の長さは、前記平坦部
3の長さと同等である。
【0010】前記ラック歯形成部位1aの少なくとも一
部の軸方向箇所が調質4され、該少なくとも一部のラッ
ク歯形成部位1aとその直径方向の背面部1bとを硬度
が異なるように熱処理されている。その調質4なる熱処
理は、400℃以上の高温で焼戻処理が必要である。そ
の一部の軸方向箇所の調質4の実施例及び軸断面の調質
4の実施例は後述する。
【0011】次に、その製造方法を説明すると、まず、
ステアリングラック軸Aの素材なるワークA0 〔図1
(a)参照〕〔材質がS45C材(JIS)の中空のス
テアリングラック加工材(外径約25mm、全長約800
mm、貫通孔径約10mm〕の中間適所に平坦部3をプレス
加工する〔図1(b)参照〕。該平坦部3は必ずしも形
成さるとは限らない。
【0012】次に、そのワークA0 を所定回転速度で回
転させながら、図4,図5及び図6に示すように、高周
波焼入としての誘導コイル19(周波数:200KHz ,
陽極電圧:7kv, 陽極電流:6A,ワークA0 回転速
度:220rpm )の対向部分を加熱温度約800℃乃至
900℃にて数秒乃至十数秒間、そのラック歯形成部位
1aの少なくとも一部の軸方向箇所を加熱する。その図
6の誘導コイル19の場合には、ワークA0 又は誘導コ
イル19を上下させることが必要である。
【0013】このような誘導コイル19中には、コイル
自体の発熱により溶けるのを防止するため、パイプの端
からコイルの中にと冷却水を流す。このような加熱後、
ワークA0 の外側と、貫通孔2を有している場合にはこ
の内側とを同時に冷却する。具体的には、ワークA0 の
外側はウォータージャケットによりシャワー状(この場
合3方向から)に冷却水(エチレングリコール系焼割防
止剤10%水溶液)をかけ、内側は冷却水を流通させる。
貫通孔2のない中実なワークA0 の場合には外側のみを
冷却する。これらの一連の作業にて焼入を完了する。こ
の焼入にて金属組織をマルテンサイト組織とする。
【0014】次いで、焼入後に、図2(a)及び図3に
示すように、ワークA0 のラック歯形成部位1aに、高
周波による調質用誘導コイル20を位置させ、加熱時間
を数秒乃至十数秒として加熱温度約500℃乃至約70
0℃で加熱する。特に、ワークA0 にラック歯形成部位
1aの平坦部3を有するものは、その形状に合った形状
の調質用誘導コイル20を用意する(図3参照)。この
ような加熱後に徐冷して焼戻を完了する。この焼戻にて
調質4なる熱処理を施し、金属組織を調質組織(トルー
スタイト、ソルバイト組織)とする〔図1(c)参
照〕。この調質4の軸方向の範囲をSとする。
【0015】この焼戻方法で重要なる点は、ステアリン
グラック軸Aの平坦部3を含んだ略断面半円部のみを加
熱する調質用誘導コイル20にて、ワークA0 を固定状
態として〔図2(a)及び図3(b)参照〕、そのラッ
ク歯形成部位1a側のみを所定時間加熱することで、背
面部1b側は、その熱影響による焼戻によりラック歯形
成部位1a側よりも焼戻温度が低くなる。これによって
硬度が異なるようになる。けだし、調質4は400℃以
上の高温で焼戻処理を行なうが、焼戻温度が高ければ高
い程、硬度は低くなるためである。
【0016】このように、ラック歯形成部位1aと背面
部1bとの硬度が異なるように調質4することで、背面
部1bは使用時における強度性を保持でき、他面、ラッ
ク歯形成部位1aにラック歯1a1を成形するときに著し
く加工性を良好にできるものである。上記実験例での調
質4では、例えば、ラック歯形成部位1aの調質硬度を
HRC約15〜約28として、その背面部1bの調質硬
度がHRC約30〜約50と高くできた。
【0017】前記調質4の熱処理完了後に、ラック歯形
成部位1aにラック歯1a1を形成し〔図1(d)参
照〕、該ラック歯1a1を有するラック歯形成部位1aを
高周波焼入にて歯部焼入層5を形成する〔図1(e)参
照〕。具体的には、ラック歯形成部位1aを誘導加熱に
より歯面の適宜深さを加熱する。該加熱後に、ラック歯
1a1の表面から冷却液により冷却して焼入処理を完了
し、ステアリングラック軸Aを形成する。
【0018】その高周波焼入にての歯部焼入層5は、耐
衝撃性を持たせ、表面層のみを硬化あるいは強化して、
耐磨耗性あるいは耐疲労性を付与する焼入れ硬化法によ
るものである。該焼入れ硬化法なる表面硬化処理として
高周波焼入が存在する。
【0019】なお、高周波焼入れ法の適用に際しては、
とくに鋼材に対する前熱処理が重要で、予め調質や焼な
らしを行って組織を微細にしておいたほうがよい結果が
得られる。これは心部の靱性を高めると同時に表面層の
オーステナイト化を容易にするという両方の効果がある
ためである。
【0020】また、ステアリングラック軸Aの製造方法
の他の実施例としては、調質4の態様を変化させたもの
であり、そのラック歯形成部位1aの一部の軸方向箇所
を調質4として熱処理する。すなわち、この熱処理は、
ラック歯形成部位1aと背面部1bとが調質4の焼戻温
度が400℃以上で、この温度の近傍(400℃〜約5
00℃)であり、しかも、硬度及び加工性の両方を満足
したものである。この場合のラック歯形成部位1aと背
面部1bとの硬度は同一である。このように同一硬度に
するには、図2(b)に示すように、ステアリングラッ
ク加工材A0 の断面半円部のみを加熱する焼入用誘導コ
イル19にて、ステアリングラック加工材A0 を回転状
態として、軸全体を加熱して調質4処理を行なう。
【0021】さらに、ステアリングラック軸Aの製造方
法の他の実施例としては、ラック歯1a1側を調質4と
し、その背面部1bは焼戻処理とした態様であり、ラッ
ク歯形成部位1aの少なくとも一部の軸方向箇所を焼
入,焼戻処理し、そのラック歯形成部位1aのみを調質
4し、該調質4された少なくとも一部のラック歯形成部
位1aとその直径方向の背面部1bとを硬度が異なるよ
うに熱処理する。この熱処理は、焼戻工程の場合に、第
1実施例と同様に、ステアリングラック軸Aの断面半円
部のみを加熱する構成の調質用誘導コイル20にて、ス
テアリングラック軸Aを固定状態として〔図2(a)参
照〕、そのラック歯形成部位1a側のみを所定時間加熱
するものであり、このときのラック歯形成部位1a側を
焼戻温度が400℃以上で、この温度の近傍(400℃
〜約500℃)とすると、ラック歯形成部位1aは調質
4処理ができ、背面部1bの加熱温度は400℃よりも
低く、例えば300℃の低温で焼戻すると、マルテンサ
イト組織のままで、あまり硬度を下げないで、組織の安
定化ができる。これによって、背面部1bは単なる焼戻
処理となる。
【0022】次に、前述した軸本体1のラック歯形成部
位1aの少なくとも一部の軸方向箇所を調質4した熱処
理において、その一部の軸方向箇所の調質4の実施例及
び軸断面の調質4の実施例を詳述すると、まず、その軸
方向の一部の例としては、図7に示すように、ステアリ
ングラック軸A(ワークA0 )のギヤボックス10から
最大突出時に、該ギヤボックス10の端部10aからラ
ック支持部11との間の対応箇所を指す。該対応箇所の
範囲をSとして表す。図8も図7と調質4の一部の範囲
Sは同一である。
【0023】また、ステアリングラック軸A(ワークA
0 )のギヤボックス10から最大突出時に、該ギヤボッ
クス10の端部10aからラック支持弾発装置12との
間の対応箇所を指す場合もあり、これは図7と略同一で
ある。この構成を言い換えると、ステアリングラック軸
Aのギヤボックス10から最大突出時に、該ギヤボック
ス10の端部10aからラック支持部材(ラックガイ
ド)11aとの間の対応箇所を指すものである。
【0024】また、図9に示すように、ステアリングラ
ック軸A(ワークA0 )のギヤボックス10から最大突
出時に、該ギヤボックス10の端部10aとラック支持
部11との対応箇所を指す。この場合の対応箇所は2箇
所存在し、範囲S1 ,S2 として表す。この構成を言い
換えると、ステアリングラック軸Aのギヤボックス10
から最大突出時に、該ギヤボックス10の端部10aと
ラック支持部材(ラックガイド)11aとの対応箇所を
指す。図10も図9と調質4の一部の範囲S1,S2 は
同一である。
【0025】また、図11に示したのは、ステアリング
ラック軸A(ワークA0 )のギヤボックス10から最大
突出時に、ラック支持部材(ラックガイド)11a箇所
付近の支持部を対応箇所として一部の調質4として形成
されている。その対応箇所の範囲をSとして表す。図1
2も図11と調質4の一部の範囲Sは同一である。
【0026】また、図13に示したのは、ステアリング
ラック軸A(ワークA0 )のラック歯形成部位1aの全
体(ラック軸の長手方向の長さの一部)に亘って調質4
が形成されている。この範囲をSとして表す。図14も
図13と調質4の一部の範囲Sは同一である。
【0027】次に、そのラック歯形成部位1a(硬度低
い)と背面部1b(硬度高い)との硬度が異なる断面と
しては、図7,図9,図11及び図13に示されてお
り、何れも、歯面側の組織は背面側よりも密度が高くな
っており、密度が高いと硬度は低くなる。その図7,図
9,図11及び図13における(b)が調質4を施した
状態の断面である。
【0028】また、そのラック歯形成部位1aと背面部
1bとの硬度が同じになる断面としては、図8,図1
0,図12,図14に示されており、何れも、断面全体
の組織の密度は均一に構成されている。その図8,図1
0,図12,図14における(b)が調質4を施した状
態の断面である。
【0029】さらに、他のステアリングラック軸A(ワ
ークA0 )の実施例としては、ラック歯形成部位1aの
少なくとも一部の軸方向箇所が焼入,焼戻され、該ラッ
ク歯形成部位1aのみが調質4され、該調質4された少
なくとも一部のラック歯形成部位1aとその直径方向の
背面部1b(焼戻のみ)とを硬度が異なるように熱処理
されることもある。
【0030】また、図15(a)〜(f)に示したもの
は、さらに他の中空のワークA0 (ステアリングラック
軸A)の実施例の断面図であり、(a)はラック歯形成
部位1aが非調質部(生材状態等)で、その背面部1b
が調質4されたものである。(b)は、その(a)の状
態を保持しつつ、その後に形成されたラック歯1a1が最
終的に高周波焼入されて歯部焼入層5として形成された
断面を示す。
【0031】さらに(c)はラック歯形成部位1a及び
背面部1b全体、すなわち、軸本体1の断面の外周のみ
が調質4され、且つラック歯形成部位1a(硬度低い)
と背面部1b(硬度高い)との硬度が異なるように形成
されたものである。その中心部は非調質部(生材状態
等)である。(d)は、その(c)の状態を保持しつ
つ、その後に形成されたラック歯1a1が最終的に高周波
焼入されて歯部焼入層5として形成された断面を示す。
【0032】また、(e)はラック歯形成部位1a及び
背面部1b全体、すなわち、軸本体1の断面の外周のみ
が調質4され、且つラック歯形成部位1aと背面部1b
との硬度が同じになるように形成されたものである。そ
の中心部は非調質部(生材状態等)である。(f)は、
その(e)の状態を保持しつつ、その後に形成されたラ
ック歯1a1が最終的に高周波焼入されて歯部焼入層5と
して形成された断面を示す。
【0033】また、図16(a)〜(f)に示したもの
は、さらに他の中実のワークA0 (ステアリングラック
軸A)の実施例の断面図であり、その具体的態様は、図
15の(a)〜(f)と同一である。
【0034】なお、図17及び図18において、13は
ピニオン、14は継手、15はタイロット、16は蛇
腹、17はピストン、18はポートである。
【0035】
【発明の効果】請求項1の発明においては、軸本体1の
ラック歯形成部位1aの少なくとも一部の軸方向箇所を
調質4として熱処理し、前記ラック歯形成部位1aにラ
ック歯1a1を成形した後に、該ラック歯1a1を高周波焼
入して歯部焼入層5を形成してなるステアリングラック
軸の製造方法としたことにより、従来のように、全体を
調質させたものではなく、一部に調質4を施したもので
あり、ステアリングラック軸Aの調質4後の歪(曲が
り)を大幅に低減させることができる。これによって、
矯正工程の時間が低減される。さらに、一部を調質4処
理した後に、ラック歯1a1を形成するのは、従来のよう
な炉内とは異なり、一貫した製造ラインにて処理でき、
極めてスムーズな工程管理ができ、能率的にでき、ひい
ては製造効率を向上させ、コストを格安にできる。
【0036】また、請求項2の発明においては、ラック
歯形成部位1aの少なくとも一部の軸方向箇所を調質4
し、該少なくとも一部のラック歯形成部位1aとその直
径方向の背面部1bとの硬度が異なるように熱処理した
ことにより、調質4後にラック歯1a1の加工を行なう場
合、そのラック歯形成部位1a箇所は、比較的硬度が低
くなり、ラック歯1a1成形の加工しやすくなり、他面、
背面部1bは、硬度が高く、使用時における曲げ荷重等
の負荷に充分に耐えうる剛性と靱性,強度性を得ること
ができる利点がある。
【0037】また、請求項3の発明では、請求項2の発
明と略同等の効果を発揮しうる。
【0038】また、請求項4の発明においては、貫通孔
2を有する軸本体1として中空とした場合には、焼入,
焼戻の際において冷却するのにその貫通孔2を利用で
き、高周波焼入でも充分なる冷却ができ、良好なる焼
入,焼戻,調質4等の熱処理ができる利点がある。ま
た、一般に、軸が中空の場合、断面積が小さく中実より
軸剛性が劣ってしまうが、調質4の硬度によっては、ラ
ック歯形成部位1a箇所を強固にでき、軸径を最小限に
できる。
【0039】また、請求項5の場合には、請求項4の効
果を奏する外に、特に、ラック歯形成部位1aよりも背
面部1bの調質硬度を高くできるので、軸径を大きくす
ることなく、より効果的に軽量化した中空のステアリン
グラック軸Aを提供できる利点がある。
【0040】さらに、請求項6の場合は、前記請求項5
の発明と略同等の効果を奏する。
【0041】
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は本発明品を製造するための工
程略示図
【図2】(a)はワークの非回転状態の調質処理の略示
図 (b)はワークの回転状態の調質処理の略示図
【図3】(a)は調質用誘導コイルの斜視図 (b)は(a)の調質用誘導コイルにて調質処理してい
る状態図
【図4】焼入用誘導コイルにて焼入なる熱処理している
断面図
【図5】(a)は焼入れ処理する焼入用誘導コイルの斜
視図 (b)は(a)の焼入用誘導コイルにて焼入れ処理して
いる断面図
【図6】(a)は焼入れ処理する焼入用誘導コイルの別
の実施例の斜視図 (b)は(a)の焼入用誘導コイルにて焼入れ処理して
いる断面図
【図7】(a)は本発明にて製造途中のステアリングラ
ック軸の要部側面図 (b)は(a)のP7 矢視拡大断面図
【図8】(a)は本発明にて製造途中のステアリングラ
ック軸の要部側面図 (b)は(a)のP8 矢視拡大断面図
【図9】(a)は本発明にて製造途中のステアリングラ
ック軸の要部側面図 (b)は(a)のP9 矢視拡大断面図
【図10】(a)は本発明にて製造途中のステアリング
ラック軸の要部側面図 (b)は(a)のP10矢視拡大断面図
【図11】(a)は本発明にて製造途中のステアリング
ラック軸の要部側面図 (b)は(a)のP11矢視拡大断面図
【図12】(a)は本発明にて製造途中のステアリング
ラック軸の要部側面図 (b)は(a)のP12矢視拡大断面図
【図13】(a)は本発明にて製造途中のステアリング
ラック軸の要部側面図 (b)は(a)のP13矢視拡大断面図
【図14】(a)は本発明にて製造途中のステアリング
ラック軸の要部側面図 (b)は(a)のP14矢視拡大断面図
【図15】(a)は本発明にて製造途中の中空のステア
リングラック軸の他の実施例の拡大断面図 (b)は(a)において、その後に形成されたラック歯
が高周波焼入された拡大断面図 (c)は本発明にて製造途中の中空のステアリングラッ
ク軸の他の実施例の拡大断面図 (d)は(c)において、その後に形成されたラック歯
が高周波焼入された拡大断面図 (e)は本発明にて製造途中の中空のステアリングラッ
ク軸の他の実施例の拡大断面図 (f)は(e)において、その後に形成されたラック歯
が高周波焼入された拡大断面図
【図16】(a)は本発明にて製造途中の中実のステア
リングラック軸の他の実施例の拡大断面図 (b)は(a)において、その後に形成されたラック歯
が高周波焼入された拡大断面図 (c)は本発明にて製造途中の中実のステアリングラッ
ク軸の他の実施例の拡大断面図 (d)は(c)において、その後に形成されたラック歯
が高周波焼入された拡大断面図 (e)は本発明にて製造途中の中実のステアリングラッ
ク軸の他の実施例の拡大断面図 (f)は(e)において、その後に形成されたラック歯
が高周波焼入された拡大断面図
【図17】本発明にて製造したステアリングラック軸を
設けたノーマルステアリングラック舵取装置の要部断面
【図18】本発明にて製造したステアリングラック軸を
設けたパワーステアリングラック舵取装置の要部断面図
【図19】熱処理による歪線比較グラフ
【図20】軸内部硬度と曲げ荷重との関係グラフ
【符号の説明】
A…ステアリングラック軸 1…軸本体 1a…ラック歯形成部位 1a1…ラック歯 1b…背面部 2…貫通孔 4…調質 5…歯部焼入層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年1月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図18
【補正方法】変更
【補正内容】
【図18】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸本体のラック歯形成部位の少なくとも
    一部の軸方向箇所を調質として熱処理し、前記ラック歯
    形成部位にラック歯を成形した後に、該ラック歯を高周
    波焼入して歯部焼入層を形成してなることを特徴とした
    ステアリングラック軸の製造方法。
  2. 【請求項2】 ラック歯形成部位の少なくとも一部の軸
    方向箇所を調質し、該少なくとも一部のラック歯形成部
    位とその直径方向の背面部との硬度が異なるように熱処
    理し、前記ラック歯形成部位にラック歯を成形した後
    に、該ラック歯を高周波焼入して歯部焼入層を形成して
    なることを特徴としたステアリングラック軸の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 ラック歯形成部位の少なくとも一部の軸
    方向箇所を焼入,焼戻し、そのラック歯形成部位のみを
    調質させ、該調質した少なくとも一部のラック歯形成部
    位とその直径方向の背面部との硬度が異なるように熱処
    理し、前記ラック歯形成部位にラック歯を成形した後
    に、該ラック歯を高周波焼入して歯部焼入層を形成して
    なることを特徴としたステアリングラック軸の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 貫通孔を有する軸本体であることを特徴
    とする請求項1記載のステアリングラック軸の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 貫通孔を有する軸本体であることを特徴
    とする請求項2記載のステアリングラック軸の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 貫通孔を有する軸本体であることを特徴
    とする請求項3記載のステアリングラック軸の製造方
    法。
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