JP2912521B2 - ステアリングラック軸 - Google Patents

ステアリングラック軸

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JP2912521B2
JP2912521B2 JP5079102A JP7910293A JP2912521B2 JP 2912521 B2 JP2912521 B2 JP 2912521B2 JP 5079102 A JP5079102 A JP 5079102A JP 7910293 A JP7910293 A JP 7910293A JP 2912521 B2 JP2912521 B2 JP 2912521B2
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秀二 坂本
正義 小沢
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、部分的な調質により歪
を低減し、ラック歯等の加工を良好にし、製造効率を向
上させ、製造コストを低廉とし、且つ剛性,靱性,強度
性を高くした製品としてのステアリングラック軸に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、炉内において軸の全体に調質
なる熱処理を行なって、軸の強度及び靭性を高めたステ
アリングラック軸は存在している。その全体が調質され
ているステアリングラック軸とは、素材の全体に調質を
して、ステアリングラック軸を形成するもので、ラック
歯のような耐磨耗性の必要なところには後から焼入の熱
処理がなされ、該焼入れ箇所以外は、そのまま調質され
ている。
【0003】ここで、調質とは、焼入後、比較的高い温
度(略400℃以上)に焼戻して、トルースタイト組
織、あるいはソルバイト組織にする操作をいう。その調
質における焼入処理は、鋼材の心部まで一様に硬化ある
いは強化することを目的として行うもので、焼入後は約
400℃以上の適当な温度に高温の焼戻を施すのが普通
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のステアリングラ
ック軸のように、全体調質を行なった場合、図21の熱
処理の歪線比較グラフの従来の点線に示すように、その
調質による軸の歪(曲がり)は弓形状に大きくなる欠点
があった。このため、歪取り作業に時間が掛かり、製造
効率を低下させ、製造コストを高める弊害があった。さ
らに、全体調質によって生じた歪を矯正しても、鋼材
(ステアリングラック軸の素材)内の残留応力により、
その後の熱処理(ラック歯部、軸部等)のたびに、大き
な歪が発生する欠点があった。
【0005】また、ラック歯等の加工性を良好にして、
加工効率、工具寿命を向上させるため、調質の硬度を比
較的低くする必要があった。これがため、ステアリング
ラック軸の強度及び靭性を向上させ、且つ剛性を高くす
ることが難しかった。すなわち、図22(軸内部硬度と
曲げ荷重との関係)に示すように、加工性を良好にする
ために、内部硬度を減少させると、今度は、負荷に対す
る曲げ荷重が弱くなる。また、曲げ荷重に強くして、工
作物(ステアリングラック軸)が硬くなればなるほど
(内部硬度が高くなる)、工具損傷が早まり、加工精度
が悪くなったり、切削抵抗が増大して、切削温度を高
め、磨耗の進行を早める欠点があった。
【0006】このように、製造効率、コストから加工性
が良く、且つ軸の強度及び靭性の高い製品としてのステ
アリングラック軸を製作することが要望されている。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、前記課
題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、その発明
を、中実又は貫通孔が設けられている軸本体にラック歯
と軸部とを設け、前記ラック歯の軸方向間において少な
くとも一部の軸方向箇所に誘導加熱によって調質された
ラック歯と、前記軸部に非調質状態の軸部とを有してな
るステアリングラック軸等としたことにより、部分的な
調質によって歪が低減され、ラック歯等の加工を良好に
し、製造効率が向上し、製造コストを低廉にでき、且つ
剛性の高い製品としてのステアリングラック軸を提供で
き、前記の課題を解決したものである。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明すると、図1,図2には、本実施例に係るステアリン
グラック軸Aの全体が示されている。図1にはノーマル
ステアリング装置が、図2にはパワーステアリング装置
が示されている。このステアリングラック軸Aの軸本体
1には、必要に応じて貫通孔2が形成されている。従っ
て、ステアリングラック軸Aは断面略円形の中実の場合
と、断面略円形の中空の場合とが存在する。
【0009】また、軸本体1の端部寄りの適宜の箇所に
は、絞り加工又はプレス加工等の塑性加工或いは切削加
工による平坦部3が形成されている。その軸本体1の両
側は、長さの長い軸部1cと短い軸部1cとされ、この
間に、平坦部3を有するラック歯1aと背面部1bとが
形成されている。ラック歯1aには複数の単位ラック歯
1a1,1a1,…が形成されている。背面部1bは、
そのラック歯1aの直径方向の反対側の半円状部を指
し、この軸方向の長さは、前記平坦部3の長さと同等で
ある。
【0010】前記ラック歯1aの少なくとも一部の軸方
向箇所(前記軸部1cとは異なりラック歯1a箇所を含
む軸箇所)が調質4され、該少なくとも一部の調質4さ
れたラック歯1aとその直径方向の背面部1bとを硬度
が異なるように熱処理されている。
【0011】その一部の調質4とは、図3に示すよう
に、ステアリングラック軸Aのギヤボックス10から最
大突出時に、該ギヤボックス10の端部10aからラッ
ク支持部11との間の対応箇所を指す。該対応箇所の範
囲をSとして表す。図4も図3と調質4の一部の範囲S
は同一である。
【0012】また、ステアリングラック軸Aのギヤボッ
クス10から最大突出時に、該ギヤボックス10の端部
10aからラック支持弾発装置12との間の対応箇所を
指す場合もあり、これは図3と略同一である。この構成
を言い換えると、ステアリングラック軸Aのギヤボック
ス10から最大突出時に、該ギヤボックス10の端部1
0aからラック支持部材(ラックガイド)11aとの間
の対応箇所を指すものである。
【0013】図5に示すように、ステアリングラック軸
Aのギヤボックス10から最大突出時に、該ギヤボック
ス10の端部10aとラック支持部11との対応箇所を
指す。この場合の対応箇所は2箇所存在し、範囲S1,
S2として表す。この構成を言い換えると、ステアリン
グラック軸Aのギヤボックス10から最大突出時に、該
ギヤボックス10の端部10aとラック支持部材(ラッ
クガイド)11aとの対応箇所を指す。図6も図5と調
質4の一部の範囲S1,S2は同一である。
【0014】また、図7に示したのは、ステアリングラ
ック軸Aのギヤボックス10から最大突出時に、ラック
支持部材(ラックガイド)11a箇所付近の支持部を対
応箇所として一部の調質4として形成されている。その
対応箇所の範囲をSとして表す。図8も図7と調質4の
一部の範囲Sは同一である。
【0015】また、図9に示したのは、ラック歯1aの
全体(ラック軸の長手方向の長さの一部)に亘って調質
4が形成されている。この範囲をSとして表す。図10
も図9と調質4の一部の範囲Sは同一である。
【0016】なお、図1及び図2において、13はピニ
オン、14は継手、15はタイロット、16は蛇腹、1
7はピストン、18はポートである。
【0017】その調質4なる熱処理をする場合には、4
00℃以上の高温で焼戻処理を行なう必要がある。
【0018】その調質4の実験例としては、材質がS4
5C材(JIS)の中空のステアリングラック加工材A
0(外径約25mm、全長約800mm、貫通孔径約1
0mm)を、高周波焼入装置の焼入用誘導コイル19に
て、焼入時の加熱温度、即ち、焼入温度約800℃乃至
900℃で、数秒乃至十数秒間加熱して冷却し、焼入
し、そのとき金属組織をマルテンサイト組織とする。そ
の後に、ラック歯(加工箇所部)を高周波による調質用
誘導コイル20にて焼戻温度を約500℃乃至約700
℃で、加熱時間を数秒乃至十数秒として焼戻処理を行
い、これによって、調質4を形成し、金属組織を調質組
織(トルースタイト、ソルバイト組織)とする。
【0019】前記ラック歯1aとその直径方向の背面部
1bとを硬度が異なるように調質4をすることとは、図
16(a)及び図17に示すように、焼戻工程の場合
に、ステアリングラック加工材A0の断面半円部のみを
加熱する調質用誘導コイル20にて、ステアリングラッ
ク加工材A0を固定状態として、そのラック歯1a側の
みを所定時間加熱することで、背面部1b側は、その熱
影響により焼戻作用によりラック歯1a側よりも焼戻温
度が低くなる。これによって硬度が異なるようになる。
けだし、調質4は400℃以上の高温で焼戻処理を行な
うが、焼戻温度が高ければ高い程、硬度は低くなるため
である。
【0020】実施例において、そのラック歯1a(硬度
低い)と背面部1b(硬度高い)との硬度が異なる断面
としては、図3,図5,図7,図9に示されており、何
れも、歯面側の組織は背面側よりも密度が高くなってお
り、密度が高いと硬度は低くなる。その図3,図5,図
7,図9における(b)が調質4を施した状態の断面で
あり、図3(c)及び図5(c)は、その(b)の状態
を保持しつつ単位ラック歯1a1が高周波焼入されて歯
部焼入層5として形成された断面を示す。
【0021】以上のように、ラック歯1aと背面部1b
との硬度が異なるように調質4されたことで、背面部1
bは使用時における強度性を保持でき、他面、ラック歯
1aに単位ラック歯1a1を成形するときに著しく加工
性を良好にできるものである。
【0022】上記実験例での調質4では、例えば、ラッ
ク歯1aの調質硬度をHRC約15〜約28として、そ
の背面部1bの調質硬度がHRC約30〜約50と高く
できた。この場合の実験例として、ステアリングラック
軸Aの全体を固定状態とし、単位ラック歯1a1を有す
る側の一端を押し曲げたときに、ラック歯1aの一部に
部分調質4を設け、調質硬度の歯側でHRC23、背面
側でHRC35で、従来のステアリングラック軸を全体
調質とし、この調質硬度がHRC21の条件にて、部分
調質の場合が従来の全体調質よりも曲げ荷重が約5割増
加した。
【0023】他のステアリングラック軸Aの実施例とし
ては、そのラック歯1aの一部の軸方向箇所が調質4と
して熱処理されている。すなわち、この熱処理は、ラッ
ク歯1aと背面部1bとが調質4の焼戻温度が400℃
以上で、この温度の近傍(400℃〜約500℃)であ
り、しかも、硬度及び加工性の両方を満足したものであ
る。この場合のラック歯1aと背面部1bとの硬度は同
一である。このように同一硬度にするには、図16
(b)に示すように、ステアリングラック加工材A0の
断面半円部のみを加熱する焼入用誘導コイル19にて、
ステアリングラック加工材A0を回転状態として、軸全
体を加熱して調質4処理を行なう。
【0024】実施例において、そのラック歯1aと背面
部1bとの硬度が同じになる断面としては、図4,図
6,図8,図10に示されており、何れも、断面全体の
組織の密度は均一に構成されている。その図4,図6,
図8,図10における(b)が調質4を施した状態の断
面であり、図4(c)及び図6(c)は、その(b)の
状態を保持しつつ単位ラック歯1a1が高周波焼入され
て歯部焼入層5として形成された断面を示す。
【0025】さらに、他のステアリングラック軸Aの実
施例としては、ラック歯1aの少なくとも一部の軸方向
箇所が焼入,焼戻され、該ラック歯1aのみが調質4さ
れ、該調質4された少なくとも一部のラック歯1aとそ
の直径方向の背面部1b(焼戻のみ)との硬度が異なる
ように熱処理されている。この熱処理は、焼戻工程の場
合に、図3,図5,図7,図9の実施例と同様に、ステ
アリングラック軸Aの断面半円部のみを加熱する調質用
誘導コイル20にて、ステアリングラック軸Aを固定状
態として、そのラック歯1a側のみを所定時間加熱する
ものであり、このときのラック歯1a側を焼戻温度が4
00℃以上で、この温度の近傍(400℃〜約500
℃)とすると、ラック歯1aは調質4され、背面部1b
の加熱温度は400℃よりも低く、例えば300℃の低
温度で焼戻すると、マルテンサイト組織のままで、あま
り硬度を下げないで、組織の安定化ができる。これによ
って、背面部1bは単なる焼戻処理となる。
【0026】また、図11(a)〜(f)に示したもの
は、さらに他の中空のステアリングラック軸Aの実施例
の断面図であり、(a)はラック歯1aが非調質部(生
材状態等)で、その背面部1bが調質4されたものであ
る。(b)は、その(a)の状態を保持しつつ単位ラッ
ク歯1a1が高周波焼入されて歯部焼入層5として形成
された断面を示す。さらに(c)はラック歯1a及び背
面部1b全体、すなわち、軸本体1の断面の外周のみが
調質4され、且つラック歯1a(硬度低い)と背面部1
b(硬度高い)との硬度が異なるように形成されたもの
である。その中心部は非調質部(生材状態等)である。
(d)は、その(c)の状態を保持しつつ単位ラック歯
1a1が高周波焼入されて歯部焼入層5として形成され
た断面を示す。また、(e)はラック歯1a及び背面部
1b全体、すなわち、軸本体1の断面の外周のみが調質
4され、且つラック歯1aと背面部1bとの硬度が同じ
になるように形成されたものである。その中心部は非調
質部(生材状態等)である。(f)は、その(e)の状
態を保持しつつ単位ラック歯1a1が高周波焼入されて
歯部焼入層5として形成された断面を示す。
【0027】また、図12(a)〜(f)に示したもの
は、さらに他の中実のステアリングラック軸Aの実施例
の断面図であり、その具体的態様は、図11の(a)〜
(f)と同一である。
【0028】図18,図20に示すように、軸本体1の
軸部1cの適宜の箇所に部分的な調質4を行なうことも
ある。すなわち、ステアリングラック軸Aのギヤボック
ス10から最大突出時に、該ギヤボックス10の端部1
0a箇所の支持対応箇所であり、該対応箇所の範囲をS
として表す。図19は図18おける調質4を一部の範囲
S1,S2を2つに分けたものである。
【0029】軸部1cにおける調質4についても、断面
的にみて2分の1ずつの硬度が異なる場合〔図18
(b)参照〕と、全体が同一硬度の場合〔図19(b)
及び図20(b)参照〕とがある。
【0030】なお、図2のパワーステアリング装置の場
合には、単位ラック歯1a1側と、軸部1c側とがあ
り、両方に調質4が設けられるものである。
【0031】また、ステアリングラック軸Aの製造方法
について簡単に述べると、図13に示すように、まず、
ステアリングラック加工材A0〔図13(a)参照〕に
対して、その適宜の箇所に平坦部3をプレス加工し〔図
13(b)参照〕、次いで、ステアリング加工材A0
を、高周波焼入装置の焼入用誘導コイル19にて、加熱
し、冷却して焼入し、次いでラック歯1a(加工箇所
部)を高周波による調質用誘導コイル20にて加熱温度
500℃乃至約700℃にて焼戻す。これによって調質
4を形成する〔図13(c)参照〕。その後に、単位ラ
ック歯1a1を加工し〔図13(d)参照〕、最後に、
その単位ラック歯1a1箇所のみを高周波焼入装置にて
焼入して〔図13(e)参照〕ステアリングラック軸A
を製造するものである。
【0032】また、図14に示したステアリングラック
軸Aの別の製造方法は、単位ラック歯1a1を加工し
〔図14(c)参照〕た後に、ラック歯1a(加工箇所
部)に単位ラック歯1a1を有した箇所を調質用誘導コ
イル20にて加熱温度500℃乃至約700℃にて焼戻
して調質4を形成する〔図14(d)参照〕。すなわ
ち、図13の順序とは一部において逆であるがその他は
図13と同様の工程によってステアリングラック軸Aを
製造する。
【0033】
【発明の効果】請求項1の発明においては、中実又は貫
通孔2が設けられている軸本体1にラック歯1aと軸部
1cとを設け、前記ラック歯1aの軸方向間において少
なくとも一部の軸方向箇所に誘導加熱によって調質4さ
れたラック歯1aと、前記軸部1cに非調質状態の軸部
1cとを有してなるステアリングラック軸としたことに
より、まず、ステアリングラック軸Aの調質4された後
の歪(曲がり)を大幅に低減させることができる。これ
によって、調質4の硬度を高めると(加熱温度を400
℃に近づけること)一般に軸に歪が大きくなるが、本発
明では、部分的な調質4であるため、調質4の硬度を高
めても軸の歪(曲がり)を低減させることができる。す
なわち、従来のラック軸全体の調質よりも高い調質硬度
とすることができ、所望位置を極めて強固にできる。
【0034】また、一部の調質4であるために、従来の
全体調質とは異なり、歪取りが容易となり、製造効率を
向上させ、ひいては製造コストの低廉化ができる。
【0035】また、請求項2の発明においては、請求項
1において、前記調質4されたラック歯1aは、前記軸
方向箇所のラック歯1aとその背面部1bとが異なる硬
度で、且つラック歯1aより背面部1bの硬度が高く形
成されてなるステアリングラック軸としたことにより、
調質4された後の単位ラック歯1a1の加工を行なう場
合、そのラック歯1a箇所は、比較的硬度が低くなり、
加工性が良好となり、他面、背面部1bは、硬度が高
く、使用時における曲げ荷重等の負荷に充分に耐えうる
剛性と靭性,強度性を得ることができる利点がある〔図
21の熱処理の歪線比較グラフ(従来品として、全体調
質で調質硬度HRC20、本発明の一実施例として、部
分調質で調質硬度:歯側HRC23、背面側HRC3
5)の実線参照〕。
【0036】請求項3の発明においては、中実又は貫通
孔2が設けられている軸本体1にラック歯1aと軸部1
cとを設け、前記ラック歯1aの軸方向間において少な
くとも一部の直径方向の背面部1bに誘導加熱によって
調質4された背面部1bと、前記軸部1cに非調質状態
の軸部1cとを有し、前記ラック歯1aに高周波焼入さ
れた歯部焼入層5を有してなるステアリングラック軸と
したことにより、軸の歪(曲がり)をより一層低減さ
せ、歪取りが容易となり、製造効率を向上させ、ひいて
は製造コストの低廉化ができるものである。歯としての
対磨耗性に優れたものにでき、且つ前記の請求項1の効
果をも有する。
【0037】また、請求項4の発明においては、前記請
求項2と前記請求項3との効果を併用したものであり、
特に、歯としての対磨耗性に優れたものにできる。
【0038】次に、請求項5については、中実又は貫通
孔2が設けられてい軸本体1にラック歯1aと軸部1c
とを設け、該軸部1cの少なくとも一部に誘導加熱によ
って調質4された軸部1cと、他の部分の軸本体1に非
調質状態の軸部1cとを有するステアリングラック軸と
したとことにより、ラック歯1a箇所又はラック歯1a
箇所以外の軸部1cであるが、軸全体としての軸の歪
(曲がり)を低減させ、歪取りが容易となり、これによ
って、従来のラック軸全体の調質よりも高い調質硬度と
することができ、所望位置を強固にできるし、更には、
製造コストが低廉となる等の効果を奏する。
【0039】請求項6については、中実又は貫通孔が設
けられている軸本体1にラック歯1aと軸部1cとを設
け、前記ラック歯1aの軸方向間において少なくとも一
部の軸方向箇所に誘導加熱によって調質されたラック歯
1aと、該ラック歯1aの軸方向間において少なくとも
一部の直径方向の背面部1bに焼入焼戻された背面部1
bとが異なる硬度で、且つラック歯1aより背面部1b
の硬度が高く形成されているステアリングラック軸とし
たとことにより、ラック歯1aは調質4され、背面部1
bの加熱温度を低温度で焼戻すると、マルテンサイト組
織のままで、あまり硬度を下げないで、組織の安定化が
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を設けたノーマルステアリング装置の要
部断面図
【図2】本発明を設けたパワーステアリング装置の要部
断面図
【図3】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP3矢視拡大断面図 (c)は(a)のP3矢視箇所でラック歯を高周波焼入
した拡大断面図
【図4】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP4矢視拡大断面図 (c)は(a)のP4矢視箇所でラック歯を高周波焼入
した拡大断面図
【図5】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP5矢視拡大断面図 (c)は(a)のP5矢視箇所でラック歯を高周波焼入
した拡大断面図
【図6】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP6矢視拡大断面図 (c)は(a)のP6矢視箇所でラック歯を高周波焼入
した拡大断面図
【図7】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP7矢視拡大断面図
【図8】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP8矢視拡大断面図
【図9】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP9矢視拡大断面図
【図10】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP10矢視拡大断面図
【図11】(a)は中空のステアリングラック軸の他の
実施例の拡大断面図 (b)は(a)でラック歯を高周波焼入した拡大断面図 (c)は中空のステアリングラック軸の他の実施例の拡
大断面図 (d)は(c)でラック歯を高周波焼入した拡大断面図 (e)は中空のステアリングラック軸の他の実施例の拡
大断面図 (f)は(e)でラック歯を高周波焼入した拡大断面図
【図12】(a)は中実のステアリングラック軸の他の
実施例の拡大断面図 (b)は(a)でラック歯を高周波焼入した拡大断面図 (c)は中実のステアリングラック軸の他の実施例の拡
大断面図 (d)は(c)でラック歯を高周波焼入した拡大断面図 (e)は中実のステアリングラック軸の他の実施例の拡
大断面図 (f)は(e)でラック歯を高周波焼入した拡大断面図
【図13】(a)〜(e)は本発明品を製造するための
工程略示図
【図14】(a)〜(e)は本発明品を製造するための
別の実施例の工程略示図
【図15】(a)は焼入用誘導コイルの斜視図 (b)は焼入用誘導コイルにて焼入処理している状態図
【図16】(a)はワークが非回転状態の調質処理の略
示図 (b)はワークが回転状態の調質処理の略示図
【図17】(a)は調質用誘導コイルの斜視図 (b)は調質用誘導コイルにて調質処理している状態図
【図18】(a)はステアリングラック軸の要部側面図 (b)は(a)のP18矢視拡大断面図
【図19】(a)はステアリングラック軸の要部側面図 (b)は(a)のP19矢視拡大断面図
【図20】(a)はステアリングラック軸を設けた別の
実施例のパワーステアリング装置の要部断面図 (b)
は(a)のP20矢視拡大断面図
【図21】熱処理による歪線比較グラフ
【図22】軸内部硬度と曲げ荷重との関係グラフ
【符号の説明】
A…ステアリングラック軸 1…軸本体 1a…ラック歯 1a1…単位ラック歯 1b…背面部 1c…軸部 2…貫通孔 4…調質 5…歯部焼入層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 星野 憲司 群馬県桐生市広沢町1丁目2757番地 株 式会社山田製作所内 (56)参考文献 特開 平6−264147(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16H 55/26 B62D 3/12 C21D 9/00 - 9/44 C21D 9/50

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中実又は貫通孔が設けられている軸本体
    にラック歯と軸部とを設け、前記ラック歯の軸方向間に
    おいて少なくとも一部の軸方向箇所に誘導加熱によって
    調質されたラック歯と、前記軸部に非調質状態の軸部
    を有してなることを特徴としたステアリングラック軸。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記調質されたラッ
    ク歯は、前記軸方向箇所のラック歯とその背面部とが異
    なる硬度で、且つラック歯より背面部の硬度が高く形成
    されてなることを特徴とするステアリングラック軸。
  3. 【請求項3】 中実又は貫通孔が設けられている軸本体
    にラック歯と軸部とを設け、前記ラック歯の軸方向間に
    おいて少なくとも一部の直径方向の背面部に誘導加熱に
    よって調質された背面部と、前記軸部に非調質状態の軸
    とを有し、前記ラック歯に高周波焼入された歯部焼入
    層を有してなることを特徴としたステアリングラック
    軸。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記調質された背面
    は、前記軸方向箇所のラック歯とその背面部とが異な
    る硬度で、且つラック歯より背面部の硬度が高く形成さ
    れてなることを特徴とするステアリングラック軸。
  5. 【請求項5】 中実又は貫通孔が設けられている軸本体
    にラック歯と軸部とを設け、該軸部の少なくとも一部に
    誘導加熱によって調質された軸部と、他の部分の軸本体
    に非調質状態の軸部とを有することを特徴とするステア
    リングラック軸。
  6. 【請求項6】 中実又は貫通孔が設けられている軸本体
    にラック歯と軸部とを設け、前記ラック歯の軸方向間に
    おいて少なくとも一部の軸方向箇所に誘導加熱によって
    調質されたラック歯と、該ラック歯の軸方向間において
    少なくとも一部の直径方向の背面部に焼入焼戻された背
    面部とが異なる硬度で、且つラック歯より背面部の硬度
    が高く形成されていることを特徴とするステアリングラ
    ック軸。
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