JP2001098326A - 履帯用ブッシングとその製造方法 - Google Patents

履帯用ブッシングとその製造方法

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JP2001098326A
JP2001098326A JP27303699A JP27303699A JP2001098326A JP 2001098326 A JP2001098326 A JP 2001098326A JP 27303699 A JP27303699 A JP 27303699A JP 27303699 A JP27303699 A JP 27303699A JP 2001098326 A JP2001098326 A JP 2001098326A
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inner peripheral
bushing
peripheral portion
heating
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JP27303699A
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English (en)
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Kiyokazu Niwa
清和 丹羽
Kenzo Uchida
健三 内田
Hiroyuki Takeno
裕之 竹野
Isao Yoshida
功 吉田
Masahiro Nakajima
正弘 中島
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Topy Industries Ltd
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Topy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸方向端面の耐摩耗性を向上させた履帯用ブ
ッシングとその製造方法の提供。 【解決手段】 素材11の外周部11aと内周部11b
が焼入れ硬化され肉厚芯部が焼入れ焼もどしされて焼も
どし域11cとされている履帯用ブッシングの焼もどし
域11cを素材軸方向端部11d近傍において肉厚方向
に曲げて形成し、素材軸方向端面11gが焼入れ硬化の
まま残されている履帯用ブッシング11とその製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、履帯用ブッシング
とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】履帯用ブッシングのような円筒状素材の
熱処理方法としては、従来、特願平7−299997
号の方法と、特願平11−1010号の方法とがあ
る。 特願平7−299997号の方法は、図3、図
4、図12に示すように、第1工程で素材11の外周面
11eから内周面11fまで誘導加熱、冷却を施して、
肉厚全体の焼入れを行った後、第2工程で内周面11f
から誘導加熱および冷却して内周部11bの焼入れを行
いつつ、外周部11aおよび内周部11bの間である肉
厚芯部11cに焼もどしを施した後、ブッシング全体の
焼もどしを行う方法である。特願平7−299997号
の方法で熱処理された素材11は、第1工程後、第2工
程後、第2工程後の焼もどし後の各段階で、図4の各段
階に示す硬さ分布を有する。また、素材11は、第2工
程の熱処理において軸方向一端から他端まで均一に誘導
加熱するので肉厚芯部である焼もどし域11cが素材全
長にわたってストレートに延び、図12に示すように、
焼もどし域11cの端面が素材の軸方向端面11gに露
出する。 特願平11−1010号の方法は、図7〜
図11、図12に示すように、第1工程で素材11の外
周面11eから内周面11fまで誘導加熱、冷却を施し
て、肉厚全体の焼入れを行った後、第2工程で外周面1
1eから誘導加熱および冷却して外周部11eの焼入れ
を行いつつ、外周部11aおよび内周部11bの間であ
る肉厚芯部11cに焼もどしを施した後、ブッシング全
体の焼もどしを行う方法である。特願平11−1010
号の方法で熱処理された素材11は、第1工程後、第2
工程後、第2工程後の焼もどし後の各段階で、図11の
各段階に示す硬さ分布を有する。また、素材11は、第
2工程の熱処理において軸方向一端から他端まで均一に
誘導加熱するので肉厚芯部である焼もどし域11cが素
材全長にわたってストレートに延び、図12に示すよう
に、焼もどし域11cの端面が素材の軸方向端面11g
に露出する。
【0003】図13、図14はパワーショベルに代表さ
れる建設機械用履帯を示す。図中、11がブッシング、
101がブッシングを貫通するピンであり、ピン101
はリンク103のピン孔に圧入される。履板104はボ
ルト105でリンク103に締結される。近年、ピン1
01とブッシング11の摩耗を防ぐために、ウレタンの
シール102を用いて潤滑油をピン101とブッシング
11の隙間106に封入するのが一般的となっている。
この場合、シール102はリンク103のカウンター部
103aに挿入され、組立時の圧入によりブッシング端
面11gに押し付けられる。ここで、稼働時に、リンク
の摺動によりブッシング11とシール102の接触面が
摺動することにより、ブッシング端面11gとシール1
02が摩耗する。両者の摩耗が進むと、シール性が損な
われ、ピン101、ブッシング11の摩耗が促進され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の特願平7−2
99997号の方法と特願平11−1010号の方法
により製造されたブッシング11は、軸方向端面11g
に焼もどし域11cからなる軟化域が露出するので、ブ
ッシング端面11gとシール102が摺動した時に、ブ
ッシング端面11gが著しく摩耗される。摩耗によって
シール性が損なわれると、潤滑油が抜けたり、汚泥、水
が侵入して、ピン101、ブッシング11の摩耗がさら
に進み、履帯全体の寿命が短くなるという問題がある。
本発明の目的は、内、外周部が焼入れ硬化され肉厚芯部
が焼もどしされる履帯用ブッシングであって、軸方向端
面が耐摩耗性を有する履帯用ブッシングと、その製造方
法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明はつぎの通りである。 (1) 中空円筒状の素材からなり、素材の軸方向端部
を除く一般部が、焼入れされて硬化された外周部および
内周部と、該外周部と内周部との間に位置し焼もどしを
施されて軟化された焼もどし域とを、有しており、前記
焼もどし域が素材の軸方向端部近傍において素材の内周
面側に曲がって焼もどし域の端面全体が素材の内周面に
露出していることにより、素材の軸方向端面が、焼入れ
によって得られた硬さを、素材の軸方向端面の全域にわ
たって有している、履帯用ブッシング。 (2) 中空円筒状の素材からなり、素材の軸方向端部
を除く一般部が、焼入れされて硬化された外周部および
内周部と、該外周部と内周部との間に位置し焼もどしを
施されて軟化された焼もどし域とを、有しており、前記
焼もどし域が素材の軸方向端部近傍において素材の外周
面側に曲がって焼もどし域の端面全体が素材の外周面に
露出していることにより、素材の軸方向端面が、焼入れ
によって得られた硬さを、素材の軸方向端面の全域にわ
たって有している、履帯用ブッシング。 (3) 第1工程と該第1工程より後に実行される第2
工程とからなり、第1工程では、中空円筒状の素材の肉
厚全域を加熱後、冷却して、素材の肉厚全体を焼入れ硬
化し、第2工程では、内周面側のみから誘導加熱および
冷却を施して素材の内周部の焼入れを行いつつ、外周部
と内周部との間に位置する肉厚芯部を焼もどして焼もど
し域とする、履帯用ブッシングの製造方法において、前
記第2工程の誘導加熱段階で加熱スタート位置を素材の
軸方向一端より他端側にずらし加熱終了位置を素材の前
記軸方向他端より前記軸方向一端側にずらし、焼もどし
域を素材軸方向端部で内周面側に曲げることで内周面に
露出させることにより、素材の軸方向端面全域にわた
り、前記第1工程で得られた焼入れ硬化域をそのまま残
すことを特徴とする履帯用ブッシングの製造方法。 (4) 第1工程と該第1工程より後に実行される第2
工程とからなり、第1工程では、中空円筒状の素材の肉
厚全域を加熱後、冷却して、素材の肉厚全体を焼入れ硬
化し、第2工程では、外周面側のみから誘導加熱および
冷却を施して素材の外周部の焼入れを行いつつ、外周部
と内周部との間に位置する肉厚芯部を焼もどして焼もど
し域とする、履帯用ブッシングの製造方法において、前
記第2工程の誘導加熱段階で加熱スタート位置を素材の
軸方向一端より他端側にずらし加熱終了位置を素材の前
記軸方向他端より前記軸方向一端側にずらし、焼もどし
域を素材軸方向端部で外周面側に曲げることで外周面に
露出させることにより、素材の軸方向端面全域にわた
り、前記第1工程で得られた焼入れ硬化域をそのまま残
すことを特徴とする履帯用ブッシングの製造方法。
【0006】上記(1)、(2)の履帯用ブッシングで
は、焼もどし域が素材軸方向端部近傍において肉厚方向
に曲がっていることにより、素材軸方向端面が、焼入れ
によって得られた有効硬さ以上の硬さを、該軸方向端面
の全域にわたって有しているので、シールと摺動接触し
ても摩耗しにくく、耐摩耗性、シール性が維持される。
上記(3)、(4)の履帯用ブッシングの製造方法で
は、第2工程の誘導加熱段階で加熱スタート位置および
加熱終了位置を素材の軸方向端面から軸方向中央側にず
らし、焼もどし域を素材軸方向端部で肉厚側に曲げるこ
とにより、素材の軸方向端面全域にわたり、前記第1工
程で得られた焼入れ硬化域をそのまま残すので、素材軸
方向端面がシールと摺動接触しても摩耗しにくく、素材
軸方向端面の耐摩耗性、シール性が維持される。
【0007】
【発明の実施の形態】図1〜図4は、本発明の第1実施
例の履帯用ブッシングとその製造方法を示し、そのうち
図3、図4は特願平7−299997号の方法に準じる
部分である。また、図5〜図11は、本発明の第2実施
例の履帯用ブッシングとその製造方法を示し、そのうち
図7〜図11は特願平11−1010号の方法に準じる
部分である。両実施例にわたって同じ部分には、同じ符
号を付してある。
【0008】まず、本発明の第1実施例の履帯用ブッシ
ングと第2実施例の履帯用ブッシングとの共通部分を、
図1、図5を参照して、説明する。本発明実施例の履帯
用ブッシング11はパワーショベル等の建設機械用履帯
のブッシングである。履帯用ブッシング11は中空円筒
形状を有しており、外周部11a、内周部11b、外周
部11aと内周部11bの間の肉厚芯部11c、軸方向
端部11d、外周面11e、内周面11f、軸方向端面
11gを有している。軸方向端部の外周のR面は外周面
11eに含まれ、軸方向端部の内周のチャンファ面は内
周面11fに含まれるものとする。
【0009】パワーショベルの履帯用ブッシング11の
場合、表面の摩耗防止のためには、内・外周面はHRC
52程度以上の硬さが必要であり、靱性を確保するため
には、肉厚芯部をHRC40程度以下の硬さにして衝撃
強さを確保することが必要である。熱処理によってこの
表面硬さを得るために、履帯用ブッシングの中空円筒状
素材11(履帯用ブッシングと同じであるので符号は1
1とする)を、炭素鋼または炭素低合金鋼から作製す
る。炭素鋼は、低炭素鋼または中炭素鋼または高炭素鋼
の何れであってもよい。低炭素鋼は、炭素含有量が重量
%で0.30未満のものをいい、中炭素鋼は、炭素含有
量が重量%で0.30以上、0.50以下のものをい
い、高炭素鋼は、炭素含有量が重量%で0.50を超え
るものをいう。炭素低合金鋼は、炭素鋼に必要な合金元
素を少量ずつ添加したものをいう。また、低炭素低合金
鋼、中炭素低合金鋼、高炭素低合金鋼は、低炭素鋼、中
炭素鋼、高炭素鋼に、それぞれ、必要な合金元素を添加
したものをいう。中炭素鋼または中炭素低合金鋼または
高炭素鋼または高炭素低合金鋼の場合は、第1工程およ
び第2工程とを有する焼入れ後に焼もどしを行うが、低
炭素鋼または低炭素低合金鋼の場合は、第1工程および
第2工程とを有する焼入れ後の焼もどしは行ってもよ
く、あるいは省略してもよい。
【0010】試験例として、中空円筒状素材11を、中
炭素低合金鋼(中炭素ボロン鋼)から作製した(ただ
し、中炭素低合金鋼に限るものではない)。その寸法
は、たとえば、外径58.7mm、内径37.3mm、
長さ144.8mmであった。また、試験材に用いた中
炭素低合金鋼の化学成分は、重量%で、Cが0.39〜
0.41、Siが0.15〜0.35、Mnが1.00
〜1.20、Pが0.025以下、Sが0.025以
下、Niが0.20以下、Crが0.10〜0.20、
Cuが0.30以下、Alが0.015〜0.070、
Tiが0.015〜0.040、Bが0.0005〜
0.0030であった。
【0011】本発明実施例の履帯用ブッシング11は、
軸方向端部11dを除く一般部が、焼入れされて有効硬
さ(有効硬さは、たとえばHRC47である)以上の硬
さとされた外周部11aおよび内周部11bと、外周部
11aと内周部11bとの間に位置し焼もどしを施され
て有効硬さ未満の硬さとされた肉厚芯部11c(焼もど
し域11cともいう)とを、有している。焼もどし域1
1cは軸方向端部近傍において肉厚方向に曲がってお
り、焼もどし域が素材軸方向端面11gに露出していな
い。それにより、素材軸方向端面11gは、焼入れによ
って得られた有効硬さ以上の硬さを、素材軸方向端面1
1gの全域にわたって有している。
【0012】本発明の第1、第2実施例の履帯用ブッシ
ング11に特有な構成を、説明する。本発明の第1実施
例では、焼入れ後の焼もどしが内周面11f側から行わ
れ、加熱スタート位置および加熱終了位置を軸方向端面
11gから軸方向中央側にずらすことによって、図1に
示すように、焼もどし域11cが軸方向端部11d近傍
において内周側に曲がっており、焼もどし域11cの全
端面が履帯用ブッシング11の内周面11fに露出して
いる。本発明の第2実施例では、焼入れ後の焼もどしが
外周面11e側から行われ、加熱スタート位置および加
熱終了位置を軸方向端面11gから軸方向中央側にずら
すことによって、図5に示すように、焼もどし域11c
が軸方向端部11d近傍において外周側に曲がってお
り、焼もどし域11cの全端面が履帯用ブッシング11
の外周面11eに露出している。
【0013】本発明実施例の履帯用ブッシング11の作
用、効果を説明する。焼もどし域が軸方向端面11gに
露出しておらず、軸方向端面11gが、焼入れによって
得られた有効硬さ以上の硬さを、軸方向端面11gの全
域にわたって有しているので、シール102(図15)
と摺動接触しても摩耗しにくく、軸方向端面11gの耐
摩耗性が向上し、履帯の耐久性が向上する。
【0014】つぎに、本発明実施例の履帯用ブッシング
の製造方法を説明する。まず、本発明の第1実施例の履
帯用ブッシングの製造方法を、図1〜図4を参照して、
説明する。本発明の第1実施例の履帯用ブッシング11
の製造方法は、第1工程と該第1工程より後に実行され
る第2工程とからなる。履帯用ブッシング11の材料に
は中炭素低合金鋼を用いた。
【0015】第1工程では、中空円筒状の素材11(素
材11が熱処理されてブッシング11となるので、素材
の符号と履帯用ブッシングの符号を同じとする。以下、
同じ)の肉厚全域を加熱後、冷却して、素材11の肉厚
全体を焼入れ硬化する。素材11の材料は前述の、炭素
鋼または炭素低合金鋼である。第1工程の加熱は誘導加
熱でもよいし、炉加熱でもよい。以下では誘導加熱の場
合を説明する。
【0016】図3に示すように、第1工程における円筒
状素材11の外周焼入れにおいては、素材軸芯まわりに
回転させながら、間隔を空けずに連続に横送りしつつ、
加熱部(コイル1)にて、外周面11e側のみから、A
3 点以上でかつAc3 点近傍の温度(1000℃以下
の温度)に高周波誘導加熱する。ここで、誘導電源の周
波数は、素材11の肉厚全体が前記温度に加熱されるよ
うに選定しなければならない。この場合、周波数f(k
Hz)と加熱深さd(mm)との間には、d=(250
/f)1/2 の関係がある。Ac3 変態点は、素材11の
化学成分により決まり、次式で示される。 Ac3 (℃)=908−224×C(%)+30×Si
(%)−34×Mn(%)+439×P(%)−23×
Ni(%) ただし、C:炭素、Si:珪素、Mn:マンガン、P:
リン、Ni:ニッケル また、間を空けずに連続送りするのは、治具を設ける必
要をなくし治具に奪われていた熱量をなくして、素材端
部の一時停止加熱の必要性をなくすためである。この連
続加熱により、各素材を端部を含めて長手方向に均一に
加熱でき、素材の長手方向に温度差が生じることをでき
るだけ少なくすることができる。また、横送り(水平方
向送り)とするのは、縦(上下方向)の連続送りとする
と、装置の高さが大になり過ぎ、作業を不便にし、装置
を設置する建屋の天井との干渉の問題を生じるからであ
る。送りは素材11を回転する一対のローラー3、4に
載せ、ローラー3、4を回転させてワーク11を回転さ
せ、一対のローラー3、4のうち一方を素材進行方向に
対して若干下傾させることにより行う。Ac3 点以上の
温度に加熱するのは焼入れのためオーステナイト化する
ためであり、Ac3 点近傍の温度(1000℃以下の温
度)に加熱するのは、焼入れで生成するマルテンサイト
組織の結晶粒を微細に保つことによってブッシング全体
の靱性を確保し、たとえ使用中に表面に割れが発生して
も割れの進展を抑制するためである。もしも1000℃
以上に加熱すると結晶粒が粗大になり、使用中に表面に
割れが発生すると容易に進展してブッシング全体の割れ
につながる。
【0017】ついで、素材11が、加熱部(コイル1)
から隔たった冷却部(冷却ジャケット13)に至るまで
の時間(たとえば、30〜50秒)における素材の放熱
および熱伝導を利用して、素材11の温度分布を軸方
向、半径方向に均一分布にする。時間の経過と共に素材
温度は、素材11の放熱により、徐々に低下していく。
ついで、素材温度がAr3 点まで下がる前に冷却部にて
(冷却ジャケット13からの冷却液により)素材11の
冷却を開始して、素材11を外周面11e側のみから冷
却し、少なくとも素材外周部11aを焼入れ硬化する。
実際には全肉厚がAr3 点以上から急冷されるので、素
材11は全肉厚にわたって焼入れ硬化される。これによ
って、第1工程終了段階において、図4の外周焼入れ後
の硬さ分布に示すように、素材11の全肉厚にわたって
HRC56程度の硬さとなり、組織はマルテンサイト組
織となる。
【0018】第2工程では、内周面11f側のみから誘
導加熱および冷却を施して素材11の内周部11bの焼
入れを行いつつ、外周部11aと内周部11bとの間に
位置する肉厚芯部11cに焼もどしを施す。焼もどし域
と肉厚芯部11cとは同じであるので、焼もどし域の符
号は11cとする。
【0019】第2工程においては、素材11に内周焼入
れを施すとともに肉厚芯部11cに焼もどしを施す。少
なくとも外周部11aに焼入れが施された後常温に戻っ
ている素材11を、図2、図3に示すように、素材11
を軸芯まわりに回転させながら素材11を個別に送り装
置7で縦送りしつつ、内周面11f側のみから、誘導コ
イル5により加熱して、内周部11bをAc3 点以上で
望ましくはAc3 点に近い温度(1000℃以下)に、
高周波加熱する。Ac3 点に近い温度とするのは、焼入
れによって生成した素材内周部11bのマルテンサイト
組織の結晶粒を微細として割れにくくする(クラックが
発生しても進展しにくくする)ためである。この内周面
11f側からの加熱と同時かまたは若干遅れて素材11
を、外周面11e側のみから、冷却ジャケット6から冷
却液を噴射して冷却する。したがって、素材11の温度
は内周部面11bでAc3 点以上、外周部11aで20
0℃以下、肉厚芯部11cで400〜700℃(焼もど
し温度)となる。この外周面11e側のみからの冷却で
内周部11bを冷却して素材内周部11bを焼入れ硬化
するとともに、肉厚芯部11cを焼もどしする。内周焼
入れにより、内周部11bは図4の内周焼入れ後の硬さ
分布状態に示すように、硬さがHRC56程度になる。
また、内周焼入れにおいて、加熱時に400〜700℃
になる肉厚芯部11cは(外周部11aは200℃以
下)、焼もどしされて、図4の内周焼入れ後の状態に示
すように、硬さがHRC30〜40のソルバイト組織に
なり、必要な靱性が確保される(割れに対して強くな
る)。また、内周焼入れにおいて、内周部11bを外周
面11e側のみからの冷却で冷却することにより、内周
部11bの冷却が外周面側および内周面側からの冷却に
比べてゆるやかになり、冷却時の歪み(主にワークの長
手方向の歪み)が減少し、外径の歪み量のばらつきが従
来の熱処理方法に比べて少なくなる。
【0020】第2工程の誘導加熱段階で加熱スタート位
置(誘導コイル5が加熱をスタートした時の誘導コイル
5の端面の、素材11の軸方向端面11gからの、軸方
向距離A)を素材軸方向中央側にずらす(すなわち、加
熱開始のタイミングを軸方向端面での加熱開始タイミン
グより遅らせる)とともに、加熱終了位置(誘導コイル
5が加熱を終了した時の誘導コイル5の端面の、素材1
1の軸方向端面11gからの、軸方向距離B)を素材軸
方向中央側にずらし(すなわち、加熱開始のタイミング
を軸方向端面での加熱終了タイミングより早める)、こ
れによって素材軸方向端部11d近傍において焼もどし
域11cを内周面11f側に曲げ、素材11の軸方向端
部11dの入熱量を減らし、軸方向端部11dの温度を
焼もどし温度(160〜200℃)以下にすることによ
り、軸方向端部11dの軸方向端面11g全域にわた
り、第1工程で得られた硬化域をそのまま残す。
【0021】第2工程終了後の段階で、図1に示すよう
に、素材11の焼もどし域11cは軸方向端部において
内周面11f側に曲がり、焼もどし域11cの端面は素
材11の内周面11fに露出している。素材11の軸方
向端面11gは第1工程で得られた焼入れの硬化域のま
まである。
【0022】ついで、外周、内周部11a、11bに焼
入れが施された素材11を低温焼もどしする。低温焼も
どし工程は省略してもよい。低温焼もどしは炉内加熱の
バッチ処理で行う(約2.5Hr)。低温焼もどしとす
るのは、外周、および内周焼入れで生成したマルテンサ
イト組織を破壊せずに、外周焼入れ、内周焼入れで得ら
れた硬さを維持するためである(図4の焼もどし後の硬
さ分布参照)。焼もどし後の外、内表面11e、11
f、および軸方向端面11gの硬さはHRC52程度以
上のレベルにある。
【0023】本発明の第1実施例の履帯用ブッシング1
1の製造方法の作用、効果を説明する。焼もどし域が軸
方向端面11gに露出しておらず、軸方向端面11g
が、焼入れによって得られた有効硬さ以上の硬さを、軸
方向端面11gの全域にわたって有しているので、シー
ル102(図15)と摺動接触しても摩耗しにくく、軸
方向端面11gの耐摩耗性が向上し、履帯の耐久性が向
上する。
【0024】つぎに、本発明の第2実施例の履帯用ブッ
シングの製造方法を、図5〜図11を参照して、説明す
る。本発明の第2実施例の履帯用ブッシング11の製造
方法は、第1工程と該第1工程より後に実行される第2
工程とからなる。第1工程では、中空円筒状の素材11
(履帯用ブッシングと同じのため符号は11とする)の
肉厚全域を加熱後、冷却して、素材11の肉厚全体を焼
入れ硬化する。素材11の材料は炭素鋼または炭素低合
金鋼である。以下の説明では中炭素低合金鋼の場合を例
にとる。
【0025】第1工程では、中空円筒状の素材11(履
帯用ブッシングと同じのものであるので符号を11とす
る)を、図7の第1工程および図8に示すように、外周
焼入れする。ただし、加熱は炉加熱でもよいが、以下の
説明では誘導加熱の場合を説明する。第1工程では、素
材11を、素材軸芯まわりに回転させながら、素材11
同士の間に間隔をあけずに連続に横送りし(水平方向に
送り)つつ、加熱部(加熱コイル12)にて、素材11
の外周面11e側のみから、素材11の肉厚全体をAc
3 点以上でかつAc3 点+200℃(望ましくは、Ac
3 点+50℃)以下の温度に誘導加熱する。ここで、誘
導電源の周波数は、素材11の肉厚全体が前記温度に加
熱されるように選定しなければならない。周波数f(k
Hz)と加熱深さd(mm)との関係、およびAc3
態点と素材11の化学成分との関係は、第1実施例の説
明に準じる。
【0026】上記で、間隔をあけずに連続送りするの
は、治具をなくすことにより、入熱が治具に奪われるの
を防止して、素材の長手方向端部の一時停止加熱の必要
性をなくすためである。この連続加熱により、各素材1
1を端部を含めて長手方向で均一に加熱でき、素材11
の長手方向の温度差をできるだけ少なくすることができ
る。また、横方向(水平方向)の送りとするのは、縦方
向(鉛直方向)の連続送りとすると、装置の高さが大に
なり過ぎ、作業を不便にし、装置を設置する建屋の天井
との干渉の問題を生じるからである。送りは、素材11
を、回転する一対のローラー14、15に載せ、ローラ
ー14、15を回転させて素材11を回転させ、一対の
ローラー14、15のうち一方をワークの進行方向に対
して若干下傾させることにより行う。ローラー14は長
手方向に複数部分14a、14b、14cに分割されて
おり、軸14dで一体的に回転するように連結されてい
る。ローラー15も長手方向に複数部分15a、15
b、15cに分割されており、軸15dで一体的に回転
するように連結されている。Ac3 点以上の温度に加熱
するのは、焼入れのために素材11の金属組織をオース
テナイト組織にするためであり、加熱温度の上限をAc
3 点+200℃(望ましくは、Ac3 点+50℃)とす
るのは、焼入れで生成するマルテンサイト組織の結晶粒
を微細に保つことによってブッシング全体の靱性を確保
し、たとえ使用中に表面に割れが発生しても割れの進展
を抑制するためである。もしも、Ac3 点+200℃を
超える温度に加熱すると結晶粒が粗大になり、使用中に
表面に割れが発生すると、容易に進展してブッシング全
体の割れにつながる。
【0027】ついで、素材11が、加熱部(加熱コイル
12)から約0.6m隔たった冷却部(冷却ジャケット
13)に至るまでの時間(たとえば、30〜50秒)に
おける素材11の放熱および熱伝導を利用して、素材1
1の温度を長手方向、肉厚方向で均一にする。時間の経
過と共に素材温度は、素材11の放熱により、徐々に低
下していく。ついで、素材11の温度がAr3 点まで下
がる前に冷却部にて(冷却ジャケット13からの冷却液
により)素材11の冷却を開始して、素材11を外周面
11e側のみから冷却し、素材11の肉厚全体を焼入れ
硬化する。ここでは、全肉厚がAr3 点以上から急冷さ
れるので、素材11は全肉厚にわたって焼入れ硬化す
る。これによって、図11の外周焼入れ後の硬さ分布に
示すように、素材11の全肉厚がHRC56程度の硬さ
となり、金属組織はマルテンサイト組織となる。
【0028】第2工程では、図6に示すように、外周面
11e側のみから誘導加熱および冷却を施して素材11
の外周部11aの焼入れを行いつつ、外周部11aと内
周部11bとの間に位置する肉厚芯部11cに焼もどし
を施す。焼もどし域は肉厚芯部11cと同じであるの
で、焼もどし域の符号は11cとする。
【0029】第2工程では、外周面11e側のみからの
加熱・冷却が施された後常温に戻っている素材11を、
図7の第2工程および図9、図10に示すように、ワー
ク11を、素材軸芯まわりに回転させながら、素材11
同士の間に間隔をあけずに連続に横送りし(水平方向に
送り)つつ、外周部11aのみを、Ac3 点以上でかつ
Ac3 点+200℃(望ましくは、Ac3 点+50℃)
以下の温度に誘導加熱する。第1工程では、素材11の
肉厚全体を、Ac3 点以上でかつAc3 点+200℃
(望ましくは、Ac3 点+50℃)以下の温度に誘導加
熱するが、第2工程では、素材の外周部11a(外周面
11eと外周面11eから素材11の肉厚の1/4より
大でかつ1/2より小の距離隔たった位置との間の部
分)のみを、誘導加熱する。誘導加熱における加熱深さ
は、誘導電源の周波数を選定することにより、設定する
ことができる。この場合、周波数f(kHz)と加熱深
さd(mm)との間には、d=(250/f)1/2 の関
係がある。
【0030】第2工程において、素材11の回転と横方
向(水平)の送りは、回転する一対のローラー18、1
9(一方のローラーはワークの送り方向に対して若干下
傾させてある)上に素材11を載せることにより行う。
ローラー18は長手方向に複数部分18a、18bに分
割されており、軸18cで一体的に回転するように連結
されている。ローラー19も長手方向に複数部分19
a、19bに分割されており、軸19cで一体的に回転
するように連結されている。加熱温度の上限をAc3
+200℃(望ましくは、Ac3 点+50℃)とするの
は、再焼入れによって生成する素材外周部11aのマル
テンサイト組織の結晶粒を微細に保つことによって、使
用中の割れの発生を防止する(割れが発生しても進展し
にくくする)ためである。
【0031】この外周面11e側からの加熱の直後(加
熱終了から3秒以下、望ましくは2秒以下、さらに望ま
しくは1秒以下の時間内)に、したがって、素材11の
温度が外周部11aでAc3 点以上、肉厚芯部11cで
400〜700℃(高温焼もどし温度)、内周部11b
で低温焼もどし温度未満(外周部11aへの入熱が内周
部11bに伝導して内周部11bが低温焼もどし温度に
達する前)、となっている間に、素材11を、外周面1
1e側のみから、冷却ジャケット17より冷却液を噴射
することによって冷却する。この外周面11e側のみか
らの冷却によって、素材11の外周面11eと素材の外
周面11eから肉厚の1/4より大で1/2より小の距
離隔たった位置との間の部分である素材11の外周部1
1aのいずれかの位置で有効硬さにし、外周部有効硬さ
位置よりも外周面11e側の部分では有効硬さ以上の硬
さにし、該外周部有効硬さ位置より肉厚芯部11c側の
部分では有効硬さ以下の硬さにするとともに、素材11
の内周面11fと素材11の内周面11fから肉厚の1
/2より小の距離隔たった位置との間の部分である素材
の内周部11bのいずれかの位置で有効硬さにし、該内
周部有効硬さ位置よりも内周面11f側の部分では有効
硬さ以上の硬さにし、該内周部有効硬さ位置より肉厚芯
部11c側の部分では有効硬さ以下の硬さにする。すな
わち、素材11の肉厚芯部11c(素材11の外周部1
1aと内周部11bの間の部分)は高温焼もどしされ
る。ここで有効硬さとは、素材11の金属組織全体の8
0%がマルテンサイト組織になった状態の素材の硬さを
いい、素材の炭素含有量により決まる。本実施例の場合
は、素材11の炭素含有量が0.40%であり、その場
合の有効硬さはHRC47である。素材11の内周部1
1bの硬さは内周面11fから素材11の肉厚芯部11
cに向って漸次低下する。素材11の内周部11bには
加熱および冷却を施さないので、素材11の内周面11
f側に加熱コイルや冷却ジャケットを挿入する必要がな
く、そのためのハンドリング装置が不要になる。
【0032】外周部11aの再焼入れにより、外周部1
1aは図11の外周部再焼入れ後の硬さ分布に示すよう
に、HRC56程度の硬さになる。また、外周部11a
の再焼入れにおいて、加熱時に400〜700℃になる
肉厚芯部11cは高温焼もどしされて、図11の外周部
再焼入れ後の硬さ分布に示すように、硬さがHRC30
〜40程度のソルバイト組織になり、必要な靱性が確保
される(割れに対して強くなる)。また、外周部11a
の再焼入れにおいて、内周部11bを、外周面11e側
のみからの冷却で冷却することにより、内周部11bの
冷却が、内周部11bを直接、内周面11f側から冷却
する場合に比べてゆるやかになり、冷却による変形(主
に素材11の長手方向の変形)が減少し、外径寸法のば
らつきが少なくなる。
【0033】第2工程の誘導加熱段階で加熱スタート位
置(誘導コイル16が加熱をスタートした時の誘導コイ
ル16の端面の、素材11の軸方向端面11gからの、
軸方向距離A)を素材軸方向中央側にずらす(すなわ
ち、加熱開始のタイミングを軸方向端面での加熱開始タ
イミングより遅らせる)とともに、加熱終了位置(誘導
コイル16が加熱を終了した時の誘導コイル16の端面
の、素材11の軸方向端面11gからの、軸方向距離
B)を素材軸方向中央側にずらし(すなわち、加熱開始
のタイミングを軸方向端面での加熱終了タイミングより
早める)、これによって素材軸方向端部11d近傍にお
いて焼もどし域11cを外周面11e側に曲げ、素材1
1の軸方向端部11dの入熱量を減らし、軸方向端部1
1dの温度を焼もどし温度(160〜200℃)以下に
することにより、軸方向端部11dの軸方向端面11g
全域にわたり、第1工程で得られた硬化域をそのまま残
す。
【0034】第2工程終了後の段階で、図5に示すよう
に、素材11の焼もどし域11cは軸方向端部において
外周面11e側に曲がり、焼もどし域11cの端面は素
材11の外周面11eに露出している。素材11の軸方
向端面11gは第1工程で得られた焼入れの硬化域のま
まである。
【0035】素材11の材料が中炭素鋼または中炭素低
合金鋼または高炭素鋼または高炭素低合金の場合には、
第1工程および第2工程とを有する焼入れで、外周部1
1aおよび内周部11bが焼入れ硬化し、肉厚芯部11
cが焼入れ・高温焼もどしされた素材11を、焼もどし
する。素材11の材料が低炭素鋼または低炭素低合金鋼
の場合には、上記の焼入れ後の焼もどしを実施してもよ
いし、省略してもよい。
【0036】第2工程後の焼もどしにおける加熱は、炉
中加熱、あるいは素材11の外周面側のみからの誘導加
熱により行う。炉中加熱の場合は、素材11の肉厚全体
の均一加熱が容易に実現し、誘導加熱の場合は、加熱時
間(処理時間)の短縮化、設備の小型化が達成される。
炉中加熱による焼もどしは、150〜250℃の低温焼
もどし、または400〜700℃の高温焼もどしのいず
れで行ってもよい。低温焼もどしの場合は、焼入れで得
られた硬さがほとんど低下せず、必要な耐摩耗性が確保
される。高温焼もどしの場合は、優れた靱性が確保され
る。誘導加熱による焼もどしは、150〜250℃の低
温焼もどし、または400〜700℃の高温焼もどしの
いずれで行ってもよい。低温焼もどしの場合は、焼入れ
で得られた硬さがほとんど低下せず、必要な耐摩耗性が
確保される。高温焼もどしの場合は、優れた靱性が確保
される。素材11の材料が低炭素鋼または低炭素低合金
鋼の場合、第1工程および第2工程とを有する焼入れ後
の焼もどしは省略してもよい。その理由は、低炭素鋼ま
たは低炭素低合金鋼では、焼入れ後に低温焼もどしを施
しても金属組織が変化せず、低炭素マルテンサイト組織
のままであるので、焼もどしを省略することができるか
らである。
【0037】
【発明の効果】請求項1、2の履帯用ブッシングによれ
ば、焼もどし域が素材軸方向端部近傍において肉厚方向
に曲がっていることにより、素材軸方向端面が、焼入れ
によって得られた有効硬さ以上の硬さを、該軸方向端面
の全域にわたって有しているので、素材軸方向端面がシ
ールと摺動接触しても摩耗しにくく、耐摩耗性、シール
性が維持される。請求項3、4の履帯用ブッシングの製
造方法によれば、第2工程の誘導加熱段階で加熱スター
ト位置および加熱終了位置を素材軸方向端面から軸方向
中央側にずらして、素材軸方向端部近傍において焼もど
し域を内周面側または外周面側に曲げ、素材の軸方向端
面全域にわたり、前記第1工程で得られた焼入れの硬さ
をそのまま残したので、素材軸方向端面がシールと摺動
接触しても摩耗しにくく、耐摩耗性、シール性が維持さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の履帯用ブッシング、およ
び本発明の第1実施例の履帯用ブッシングの製造方法で
製造された履帯用ブッシングの断面図である。
【図2】本発明の第1実施例の履帯用ブッシングの製造
方法の第2工程の側面図である。
【図3】本発明の第1実施例の履帯用ブッシングの製造
方法の第1工程の平面図および第2工程の側面図である
(特願平7−299997号の方法の第1工程の平面図
および第2工程の側面図の図面を準用)。
【図4】本発明の第1実施例の履帯用ブッシングの製造
方法の各工程後における素材の、軸方向端部を除く一般
部の硬さ分布図である(特願平7−299997号の熱
処理方法の各工程後における素材の硬さ分布図を準
用)。
【図5】本発明の第2実施例の履帯用ブッシング、およ
び本発明の第2実施例の履帯用ブッシングの製造方法で
製造された履帯用ブッシングの断面図である。
【図6】本発明の第2実施例の履帯用ブッシングの製造
方法の第2工程の平面図である。
【図7】本発明の第2実施例の履帯用ブッシングの製造
方法の第1工程の平面図および第2工程の平面図である
(特願平11−1010号の方法の第1工程の平面図お
よび第2工程の平面図の図面を準用)。
【図8】本発明の第2実施例の履帯用ブッシングの製造
方法の第1工程を実施する装置の正面図である。
【図9】本発明の第2実施例の履帯用ブッシングの製造
方法の第2工程を実施する装置の正面図である。
【図10】本発明の第2実施例の履帯用ブッシングの製
造方法の第2工程の冷却部の断面図である。
【図11】本発明の第2実施例の履帯用ブッシングの製
造方法の各工程後における素材の、軸方向端部を除く一
般部の硬さ分布図である(特願平11−1010号の熱
処理方法の各工程後における素材の硬さ分布図を準
用)。
【図12】特開昭59−77979号または特願平11
−1010号の方法で熱処理した履帯用ブッシングの断
面図である。
【図13】一般の履帯の部品の分解斜視図である。
【図14】一般の履帯のブッシング、ピン、シール、リ
ンクの、ブッシング端部近傍の部分断面図である。
【符号の説明】
5 誘導コイル 6 冷却ジャケット 11 履帯用ブッシング(ブッシング) 11a 外周部 11b 内周部 11c 肉厚芯部(焼もどし部) 11d 軸方向端部 11e 外周面 11f 内周面 11g 軸方向端面 16 誘導コイル 17 冷却ジャケット 102 シール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹野 裕之 東京都千代田区四番町5番地9 トピー工 業株式会社内 (72)発明者 吉田 功 東京都千代田区四番町5番地9 トピー工 業株式会社内 (72)発明者 中島 正弘 東京都千代田区四番町5番地9 トピー工 業株式会社内 Fターム(参考) 4K042 AA25 BA01 DA01 DA02 DB01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空円筒状の素材からなり、 素材の軸方向端部を除く一般部が、焼入れされて硬化さ
    れた外周部および内周部と、該外周部と内周部との間に
    位置し焼もどしを施されて軟化された焼もどし域とを、
    有しており、 前記焼もどし域が素材の軸方向端部近傍において素材の
    内周面側に曲がって焼もどし域の端面全体が素材の内周
    面に露出していることにより、素材の軸方向端面が、焼
    入れによって得られた硬さを、素材の軸方向端面の全域
    にわたって有している、履帯用ブッシング。
  2. 【請求項2】 中空円筒状の素材からなり、 素材の軸方向端部を除く一般部が、焼入れされて硬化さ
    れた外周部および内周部と、該外周部と内周部との間に
    位置し焼もどしを施されて軟化された焼もどし域とを、
    有しており、 前記焼もどし域が素材の軸方向端部近傍において素材の
    外周面側に曲がって焼もどし域の端面全体が素材の外周
    面に露出していることにより、素材の軸方向端面が、焼
    入れによって得られた硬さを、素材の軸方向端面の全域
    にわたって有している、履帯用ブッシング。
  3. 【請求項3】 第1工程と該第1工程より後に実行され
    る第2工程とからなり、 第1工程では、中空円筒状の素材の肉厚全域を加熱後、
    冷却して、素材の肉厚全体を焼入れ硬化し、 第2工程では、内周面側のみから誘導加熱および冷却を
    施して素材の内周部の焼入れを行いつつ、外周部と内周
    部との間に位置する肉厚芯部を焼もどして焼もどし域と
    する、履帯用ブッシングの製造方法において、 前記第2工程の誘導加熱段階で加熱スタート位置を素材
    の軸方向一端より他端側にずらし加熱終了位置を素材の
    前記軸方向他端より前記軸方向一端側にずらし、焼もど
    し域を素材軸方向端部で内周面側に曲げることで内周面
    に露出させることにより、素材の軸方向端面全域にわた
    り、前記第1工程で得られた焼入れ硬化域をそのまま残
    すことを特徴とする履帯用ブッシングの製造方法。
  4. 【請求項4】 第1工程と該第1工程より後に実行され
    る第2工程とからなり、 第1工程では、中空円筒状の素材の肉厚全域を加熱後、
    冷却して、素材の肉厚全体を焼入れ硬化し、 第2工程では、外周面側のみから誘導加熱および冷却を
    施して素材の外周部の焼入れを行いつつ、外周部と内周
    部との間に位置する肉厚芯部を焼もどして焼もどし域と
    する、履帯用ブッシングの製造方法において、 前記第2工程の誘導加熱段階で加熱スタート位置を素材
    の軸方向一端より他端側にずらし加熱終了位置を素材の
    前記軸方向他端より前記軸方向一端側にずらし、焼もど
    し域を素材軸方向端部で外周面側に曲げることで外周面
    に露出させることにより、素材の軸方向端面全域にわた
    り、前記第1工程で得られた焼入れ硬化域をそのまま残
    すことを特徴とする履帯用ブッシングの製造方法。
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