JP2001020016A - 金属部材の熱処理方法 - Google Patents

金属部材の熱処理方法

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JP2001020016A
JP2001020016A JP11195559A JP19555999A JP2001020016A JP 2001020016 A JP2001020016 A JP 2001020016A JP 11195559 A JP11195559 A JP 11195559A JP 19555999 A JP19555999 A JP 19555999A JP 2001020016 A JP2001020016 A JP 2001020016A
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Kazuyuki Oda
和幸 織田
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Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ギヤからなるワークWをオーステナイト化温
度以上の温度に加熱して浸炭させた後に冷却し、その後
に再度オーステナイト化温度以上の温度に加熱して高周
波焼入れを行うことで、ワークWのマルテンサイト組織
の結晶粒を微細化してその強度を増大させる場合、各処
理に伴うワークWの各部位間の温度差を小さくして熱変
形を抑制し、ワークWの寸法精度等の良好な維持を図
る。 【解決手段】 ワークWを浸炭処理した後で高周波焼入
れ処理する前に冷却する際、そのワークWをソルト槽1
のソルト2へ浸漬し、マルテンサイト変態点Ms以上の
所定温度T1に冷却保温してパーライト変態又はベイナ
イト変態させ、各工程の変化に伴うワークWの各部位の
温度差を小さくして熱変形を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属部材の熱処理
方法に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平7―31664
0号公報に示されるように、金属部材としての低炭素鋼
からなる加工後のギヤを浸炭炉でオーステナイト化温度
以上に加熱して表面部に浸炭させ、次いで、そのギヤを
冷却してマルテンサイト化した後に高周波電流により再
度オーステナイト化温度以上に加熱し冷却して高周波焼
入れすることにより、マルテンサイト化した組織の結晶
粒界の炭素成分を溶融させて結晶粒を微細化し、ギヤ表
面部の強度を増大させる熱処理方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
ものでは、加工後のギヤ(金属部材)を浸炭のためにオ
ーステナイト化温度以上に加熱し、次いでマルテンサイ
ト変態点以下の温度に冷却した後に、再び高周波焼入れ
のために加熱するので、その各熱処理に伴うワークの加
熱冷却部と他の部分との間の温度差が大きくなり、熱処
理前にギヤを高い寸法精度に加工しているにも拘わら
ず、上記各部位間の温度差による熱応力により熱変形
(熱歪み)が発生してギヤの寸法精度が低下するという
問題があり、改良の余地があった。尚、このような熱処
理によりマルテンサイト組織が微細化したギヤは極めて
硬くなるので、上記熱変形の修正のために再加工するこ
とは困難である。
【0004】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもの
で、その主たる目的は、上記したギヤ等の金属部材につ
いての熱処理方法に改良を加えることで、その金属部材
のマルテンサイト化された結晶粒界を浸炭処理及びその
後の高周波焼入れ処理により細分化して強度の増大を図
りつつ、各処理に伴うワークの各部位での温度差を小さ
くして熱変形を抑制しようとすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべ
く、請求項1の発明では、金属部材を浸炭処理した後で
高周波焼入れ処理する前に冷却する際、その冷却処理を
マルテンサイト変態点よりも低い温度に行うのではな
く、マルテンサイト変態点以上の所定温度に冷却保温し
てパーライト変態又はベイナイト変態させるようにし
た。
【0006】具体的には、この発明では、金属部材をオ
ーステナイト化温度以上に加熱して浸炭させる浸炭工程
と、この浸炭工程後の金属部材をマルテンサイト変態点
以上の所定温度まで冷却した後に該所定温度に保温して
パーライト変態又はベイナイト変態させる保温工程と、
この保温工程に連続して、金属部材を高周波電流により
再度オーステナイト化温度以上に加熱した後に冷却して
高周波焼入れする高周波焼入れ工程とを備えたことを特
徴とする。
【0007】上記の工程を有する熱処理方法によれば、
金属部材は浸炭工程でオーステナイト化温度以上に加熱
されて浸炭されてから保温工程で冷却され、次いで、高
周波焼入れ工程で再度オーステナイト化温度以上に加熱
された後に冷却されて高周波焼入れされるので、そのマ
ルテンサイト組織の結晶粒を微細化してその強度を増大
させることができる。
【0008】そのとき、上記浸炭工程後に行われる保温
工程では、金属部材がマルテンサイト変態点以上の所定
温度に冷却されて同温度に保温されるので、この温度へ
の保温に伴って金属部材がパーライト変態又はベイナイ
ト変態する。そして、この保温工程での温度はマルテン
サイト変態点以上の温度であるので、従来のようにマル
テンサイト変態点よりも低い温度まで冷却する場合に比
べ、各工程の変化に伴う金属部材の加熱冷却部と他の部
分との間の温度差が小さくなり、その分、温度差による
熱変形が抑制され、金属部材の寸法精度等を良好に維持
することができる。
【0009】請求項2の発明では、上記高周波焼入れ工
程で加熱された金属部材をソルト浴によりマルテンサイ
ト変態点以上の温度に冷却保持してマルクエンチ処理す
るマルクエンチ工程を設ける。
【0010】このことで、高周波焼入れのために加熱さ
れた金属部材はマルクエンチ処理により各部位間の温度
差が小さくなってからマルテンサイト変態点よりも低い
温度に冷却されて焼入れされるので、高周波加熱後の金
属部材がそのまま冷却されてマルテンサイト化される場
合のような熱変形を抑制することができる。しかも、上
記高周波焼入れ工程前の保温工程で金属部材がマルテン
サイト変態点以上の温度に保温されているので、高周波
焼入れのための加熱時における金属部材の加熱部と非加
熱部との間の温度差が小さくなり、マルクエンチ工程で
は金属部材の自己冷却作用があってもマルクエンチ効果
が安定して得られる。また、ソルト浴の使用により、上
記マルテンサイト変態点以上の温度に保温するマルクエ
ンチ処理が容易に行える。
【0011】請求項3の発明では、上記保温工程は、上
記マルクエンチ工程のソルト浴により行う。こうする
と、保温工程での金属部材の保温処理をマルクエンチ工
程でのマルクエンチ処理と同じソルト浴を兼用して行う
ことができる。
【0012】請求項4の発明では、上記金属部材をソル
ト浴で処理するとき、大きさの異なる複数の金属部材を
混在させて処理する。
【0013】このことで、大きさの異なる金属部材の各
冷却速度をソルト浴の温度分布に対応させることがで
き、例えば、熱変形が大きく発生してもその影響が全体
の寸法精度からみれば相対的に小さくなる小さい金属部
材については、ソルト浴において冷却速度が速くて熱変
形が大きくなる部分に、一方、熱変形が小さくてもその
影響が全体の寸法精度からみれば相対的に大きくなる大
きな金属部材については、ソルト浴において冷却速度が
遅くて熱変形が小さくなる部分にそれぞれ配置すればよ
く、大小の金属部材の熱変形の影響を均一にすることが
できる。
【0014】請求項5の発明では、金属部材を高周波電
流によりオーステナイト化温度以上に加熱した後に冷却
して高周波焼入れし、上記加熱後の金属部材をソルト浴
により冷却してマルクエンチ処理する熱処理方法であっ
て、上記高周波焼入れの前に金属部材を上記ソルト浴に
より予備加熱することを特徴としている。
【0015】こうして、金属部材が高周波焼入れ前に予
備加熱されるので、高周波焼入れのための加熱時には金
属部材における加熱部と非加熱部との間の温度差は小さ
くなり、その温度差による金属部材の熱変形を抑制する
ことができる。しかも、このように、高周波焼入れのた
めの加熱時の金属部材の加熱部と非加熱部との間の温度
差が小さいので、マルクエンチ工程では金属部材の自己
冷却作用があってもマルクエンチ効果が安定して得られ
る。また、金属部材を高周波焼入れのときのマルクエン
チ処理するためのソルト浴を、高周波焼入れ前の予備加
熱処理のソルト浴として兼用できる。
【0016】
【発明の実施の形態】(実施形態1)本発明の実施形態
1に係る熱処理方法で処理される金属部材は、例えば車
載変速機に装備されるアイドルギヤや遊星ギヤ機構のプ
ラネタリリングギヤ等(以下、これらをワークという)
で、この各ワークは、例えばJIS SCM822規格
又は同規格相当の低炭素鋼からなり、熱処理前に予めギ
ヤ形状に加工されている。尚、上記JIS SCM82
2規格の低炭素鋼の組成は、C:0.20〜0.25
%、Si:0.15〜0.35%、Mn:0.60〜
0.85%、P:0.030%以下、S:0.030%
以下、Cr:0.90〜1.20%、Mo:0.35〜
0.45%、残部Feである。
【0017】このような低炭素鋼からなる加工後の各ワ
ークを熱処理する場合、図1に示す熱処理のヒートパタ
ーンに沿って熱処理を行う。
【0018】(1)浸炭工程 まず、ワークを浸炭炉(図示せず)に入れ、オーステナ
イト化温度Ac3以上の温度に加熱して所定時間(例え
ば2〜5時間)保持することで、ワークの表面部に浸炭
させる。上記ワークの材料(鋼)は亜共折鋼であるの
で、オーステナイト化温度は変態温度Ac3となるが、
過共折鋼である場合は変態温度Acmとなる。
【0019】(2)保温工程 次いで、上記浸炭工程後のワークを浸炭炉から取り出
し、図2に示すように、そのワークWをワーク保持アー
ム9先端のチャック10により保持した状態でソルト槽
1内のソルト2に浸漬して、ソルト浴による保温工程を
行う。上記ソルト槽1内のソルト2は、ワークWのマル
テンサイト変態点Ms以上の所定温度T1に保たれてお
り、このソルト2中にワークWを所定時間(例えば6分
以上)浸漬することで、ワークWを上記マルテンサイト
変態点Ms以上の所定温度T1まで冷却した後に該所定
温度T1に保温してパーライト変態又はベイナイト変態
させる。
【0020】図2に示すように、上記ソルト槽1内の底
部にはソルト2を上記所定温度T1に維持するための加
熱ヒータ3が設けられている。また、ソルト槽1内の側
部には羽根車4をモータ5により回転させてソルト2を
撹拌する複数のポンプ6,6,…が配置され、この各ポ
ンプ6の羽根車4とソルト槽1内の中央部との間には羽
根車4によりソルト2に対流を生じさせる整流板7が配
置されており、ワークWはソルト槽1中央部のソルト2
中に浸漬される。
【0021】尚、ソルト槽1の上方には、ワークW及び
ワーク保持アーム9を挿通可能な環状の高周波加熱コイ
ル12が配設されており、この加熱コイル12は後述の
高周波焼入れ工程で使用される。
【0022】上記ワークWをパーライト変態又はベイナ
イト変態させるためには、ワークWをソルト2中で一定
時間以上保持することが必要であり、保持時間が短いと
パーライト変態又はベイナイト変態がいずれも行われな
い。また、ワークWがパーライト変態するか又はベイナ
イト変態するかはソルト浴での保持温度T1(ソルト2
の温度)によって異なり、その保持温度T1が高いとき
にはパーライト変態し、保持温度T1が低いときにはベ
イナイト変態する。そして、上記パーライト変態をさせ
ると、ワークWの熱変形は小さくなるものの、結晶粒が
一様に分散せず、結晶粒の大きさもばらつく。一方、ベ
イナイト変態させた場合、パーライト変態に比べ、ワー
クWの熱変形は大きくなるが、結晶粒が一様に分散して
結晶粒の大きさも均等になり、組織を微粒化できる。こ
れらのことを考慮した場合、上記ベイナイト変態させる
のが好ましい。
【0023】尚、上記マルテンサイト変態点Ms(℃)
は、ワークWの材料(鋼)のC成分をC(%)、Mn成
分をMn(%)、Cr成分をCr(%)、Ni成分をN
i(%)、Si成分をSi(%)、Mo成分をMo
(%)、N成分をN(%)でそれぞれ表したときに以下
の式で求められる。
【0024】Ms=499−(300C+33Mn+2
2Cr+17Ni+11Si+11Mo+250N) (3)高周波焼入れ工程及びマルクエンチ工程 この後、上記保温工程に連続して、ワークWを高周波電
流により再度オーステナイト化温度Ac3以上の温度に
加熱した後に冷却して高周波焼入れする。すなわち、図
3に示すように、上記ワーク保持アーム9を上昇移動さ
せて、ソルト槽1内のソルト2に浸漬されているワーク
Wをソルト槽1上方の高周波加熱コイル12内の位置に
上昇させ、その状態で加熱コイル12に通電して高周波
電流によりワークW(特にその表面の歯部)をオーステ
ナイト化温度Ac3以上の温度に誘導加熱する。
【0025】次いで、このように高周波加熱コイル12
によりワークWを加熱した後、図2に示す如く、上記ワ
ーク保持アーム9を再度下降移動させてワークWを高周
波加熱コイル12の位置から上記保温工程で用いたのと
同じソルト槽1内のソルト2に浸漬し、そのソルト浴に
よりワークWをマルテンサイト変態点Ms以上の温度T
1に冷却保温してマルクエンチ処理する。このマルクエ
ンチ処理では、上記保温工程とは異なり、ワークWのソ
ルト2での保持時間が長過ぎると、上記保温工程と同様
にパーライト変態又はベイナイト変態して強度低下を招
くため、そのパーライト変態又はベイナイト変態しない
ようにソルト2中で上記保温工程よりも短い時間だけ保
持する。
【0026】そして、このソルト浴による保温の後、ワ
ークWをソルト槽1内のソルト2から引き上げて空冷
(放冷)し、高周波焼入れを完了させる。
【0027】したがって、このようにして熱処理された
ワークWは、浸炭工程でオーステナイト化温度Ac3以
上の温度に加熱されて浸炭されてから保温工程で冷却さ
れ、その後に高周波焼入れ工程で再度オーステナイト化
温度Ac3以上の温度に加熱されて冷却されるので、そ
のマルテンサイト組織の結晶粒が微細化して強度が増大
したものとなる。
【0028】また、上記浸炭工程後の保温工程では、ワ
ークWがマルテンサイト変態点Ms以上の温度に保温さ
れてパーライト変態又はベイナイト変態するので、この
ワークWをマルテンサイト変態点Msよりも低い温度ま
で冷却する場合に比べてワークWの冷却時の温度が高く
なる。このことで、各工程の変化に伴うワークWの各部
分での温度差は小さくなり、ワークWの熱変形が抑制さ
れて、その寸法精度等が良好に維持される。
【0029】さらに、上記高周波焼入れのために加熱コ
イル12により加熱されたワークWは、加熱後にソルト
2に浸漬されてマルクエンチ処理され、その各部分の温
度差が小さくなった後にマルテンサイト変態点Msより
も低い温度に冷却されるので、その高周波加熱後のワー
クWをそのまま冷却してマルテンサイト化する場合のよ
うな熱変形を抑制することができる。
【0030】また、上記保温工程でワークWをマルテン
サイト変態点Ms以上の温度T1に保温する保温処理
と、その後の高周波加熱後のマルクエンチ工程でワーク
Wを保温するマルクエンチ処理とを同じ1つのソルト槽
1のソルト2により行うので、両工程での処理のための
ソルト浴を兼用することができる。しかも、上記ソルト
浴の使用により、上記マルテンサイト変態点Ms以上の
温度T1に保温する保温処理及びマルクエンチ処理を容
易に行うことができる。
【0031】上記実施形態では、浸炭工程での浸炭処理
及び保温工程での保温処理を行うに当たり、浸炭炉から
取り出した浸炭後のワークWを1個ずつソルト槽1のソ
ルト2に浸漬しているが、これとは異なり、図4〜図7
に示すように、大きさが互いに異なっている3種類のワ
ークW1〜W3、つまり例えばアイドルギヤからなる小
形ワークW1、この小形ワークW1よりも大径の例えば
プラネタリリングギヤからなる中形ワークW2、及び、
この中形ワークW2よりも大径の大形ワークW3を複数
(例えば16個ずつ)混在させて1セットとし、この1
セットのワークW1〜W3を一括して処理してもよい。
尚、上記1セットのワークW1〜W3は、例えば1回の
組立時に同時に組み合わされて使用されるグループや1
つの車両に装備されるグループに纏められるのが望まし
い。
【0032】具体的には、これら大小の複数のワークW
1〜W3を熱処理用トレイ14内に支持フレーム15を
介して段積みし、トレイ14内の下部には16個の小形
ワークW1,W1,…(アイドルギヤ等)を1段状態
(図5参照)で、また中間部には16個の中形ワークW
2,W2,…(プラネタリリングギヤ等)を2段状態
(図6参照)で、さらに上部には16個の大形ワークW
3,W3,…を4段状態(図7参照)でそれぞれ配置支
持する。そして、このトレイ14に7段に段積みされた
複数のワークW1〜W3をトレイ14と共に、浸炭炉に
入れて浸炭処理した後、そのまま浸炭炉から取り出し、
これら大きさが互いに異なっている複数のワークW1〜
W3を混在させた状態で一括してソルト槽1内のソルト
2に浸漬する。こうすると、各ワークW1〜W3の冷却
速度をソルト槽1でのソルト2の温度分布に対応させる
ことができる。
【0033】すなわち、上記図2(又は図3)に示す構
造のソルト槽1では、ソルト2の深さに応じて温度分布
が異なっていてワークWに対する冷却速度に差が生じて
おり、ソルト2の深さが深くなるほど冷却速度が速くな
っている。このため、トレイ14に段積みしたワークを
ソルト2に浸漬したとき、上記冷却速度の差により、図
8に示すように、ワークの熱変形量(熱処理変形量)が
トレイ14の段数(段積み位置)に応じて変化し、段数
が小さいトレイ14の下部、つまりソルト2の深部に位
置するワークの熱変形量が大きく、段数が大きくなって
トレイ14の上部、つまりソルト2の浅い部分(表面
部)になるほどワークの熱変形量が小さくなる(尚、図
8では、複数の同じワークを左右両側に分けてソルト2
に浸漬したときの熱変形量の範囲を左右両側のワーク毎
に分けて示している)。
【0034】このようにソルト2の深さに応じて冷却速
度の差があるとき、そのソルト2に一括して浸漬する複
数のワークW1〜W3のうち、熱変形が大きく発生して
もその影響が全体の寸法精度からみれば相対的に小さく
なる小形ワークW1,W1,…(アイドルギヤ等)につ
いては、ソルト2において冷却速度が速くて熱変形が大
きくなる深部(下部)に、また熱変形が小さくてもその
影響が全体の寸法精度からみれば相対的に大きくなる大
形ワークW3,W3,…については、ソルト2において
冷却速度が遅くて熱変形が小さくなる表面部(上部)
に、さらに熱変形が中程度でその影響も全体の寸法精度
からみて相対的に中程度となる中形ワークW2,W2,
…(プラネタリリングギヤ等)については、ソルト2に
おいて冷却速度及び熱変形が中程度となる中間部にそれ
ぞれ配置できることとなる。このように各ワークW1〜
W3の冷却速度をソルト槽1でのソルト2の温度分布に
対応させることで、複数の大小のワークW1〜W3の熱
変形の影響を均一にすることができる。
【0035】そして、このようにトレイ14ごとソルト
2に浸漬されて保温された複数のワークW1〜W3は、
1個ずつトレイ14から取り出されて、その後の高周波
焼入れ工程で高周波加熱コイル12により加熱され、マ
ルクエンチ工程でソルト2に浸漬されて保温される。
尚、このとき、ワークW1〜W3は、ソルト浴で所定時
間以上保温されさえすれば、パーライト変態又はベイナ
イト変態したままとなるので、次の高周波焼入れのため
にソルト2から取り出されるまでの保温時間が各ワーク
W1〜W3毎にばらついても差し支えない。
【0036】(実施形態2)図9は本発明の実施形態2
を示し(尚、図1〜図8と同じ部分については同じ符号
を付してその詳細な説明は省略する)、上記実施形態で
は加工後のワークWを浸炭処理した後にソルト浴で保温
し、次いで高周波焼入れ及びマルクエンチ処理を行って
いるのに対し、加工後のワークWを高周波電流によりオ
ーステナイト化温度Ac3以上の温度に加熱した後に冷
却して高周波焼入れするとともに、その加熱後のワーク
Wをソルト浴により冷却してマルクエンチ処理するもの
であり、その場合、上記高周波焼入れの前にワークWを
上記ソルト浴により予備加熱するものである。
【0037】具体的には、この実施形態では、上記図2
に示す如きソルト槽1及び高周波加熱コイル12を用
い、そのソルト槽1のソルト2をマルテンサイト変態点
Ms以上の所定温度T1に昇温保持しておく。そして、
図9に熱処理のヒートパターンを示すように、最初に、
上記ソルト槽1のソルト2に加工後のワークWを浸漬す
ることで、ワークWを上記マルテンサイト変態点Ms以
上の所定温度T1に予備加熱する。
【0038】次いで、上記ワークWをソルト2から取り
出して高周波加熱コイル12の位置に上昇させ、その加
熱コイル12へ通電してワークWを高周波電流による誘
導加熱によりオーステナイト化温度Ac3以上の温度に
加熱する。
【0039】この加熱の後、ワークWを加熱コイル12
の位置から下降移動させて再度上記ソルト槽1のソルト
2に浸漬し、ワークWを冷却してマルクエンチ処理す
る。そして、このワークWをパーライト変態又はベイナ
イト変態しないように所定時間保持した後、ワークWを
ソルト2から取り出して空冷(放冷)する。
【0040】この実施形態の場合、ワークWを高周波焼
入れの前にソルト浴によりマルテンサイト変態点Ms以
上の温度T1に予備加熱するので、ワークWの加熱部と
非加熱部との温度差は高周波焼入れ前後で小さくなり、
その熱変形を抑制することができる。
【0041】また、このように、高周波焼入れのための
加熱時のワークWの加熱部と非加熱部との間の温度差が
小さくなるので、マルクエンチ工程ではワークWの自己
冷却作用があってもマルクエンチ効果が安定して得られ
る。しかも、ワークWを高周波焼入れの冷却時のマルク
エンチ処理用のソルト浴を、高周波焼入れ前の予備加熱
処理のソルト浴として兼用することもできる。
【0042】尚、上記各実施形態では、車載変速機に装
備される遊星ギヤ機構の各ギヤ(ワークW,W1〜W
3)を金属部材としているが、本発明は、他の用途のギ
ヤ、或いはギヤ以外の鋼等の金属部材を熱処理する場合
にも適用できる。
【0043】
【発明の効果】以上説明した如く、請求項1の発明によ
ると、金属部材をオーステナイト化温度以上に加熱して
浸炭させ、次いで、金属部材をマルテンサイト変態点以
上の所定温度に冷却保温してパーライト変態又はベイナ
イト変態させた後、再度オーステナイト化温度以上に加
熱して冷却する高周波焼入れを行うことにより、金属部
材のマルテンサイト組織の結晶粒を微細化してその強度
を増大させることができるともに、各工程の変化に伴う
金属部材の各部位間の温度差を小さくして熱変形を抑制
し、金属部材の寸法精度等の良好な維持を図ることがで
きる。
【0044】請求項2の発明によると、上記高周波焼入
れのために加熱された金属部材をソルト浴により冷却保
持してマルクエンチ処理することにより、高周波加熱さ
れた金属部材の温度差を小さくした後にマルテンサイト
変態点よりも低い温度に冷却でき、その熱変形の抑制を
図ることができるとともに、金属部材の自己冷却作用が
あってもマルクエンチ効果を安定して得ることができ
る。
【0045】請求項3の発明によると、上記保温工程を
上記マルクエンチ処理のソルト浴により行うことによ
り、金属部材の保温処理をマルクエンチ処理と同じソル
ト浴を兼用して行うことができる。
【0046】請求項4の発明によると、上記金属部材を
ソルト浴で処理するとき、大きさの異なる複数の金属部
材を混在させて処理することにより、各金属部材の冷却
速度をソルト浴の温度分布に対応させることができ、大
小の金属部材の熱変形の影響を均一にすることができ
る。
【0047】請求項5の発明によると、金属部材をオー
ステナイト化温度以上に加熱して冷却する高周波焼入れ
を行い、その加熱後の金属部材をソルト浴により冷却し
てマルクエンチ処理する場合に、高周波焼入れの前に金
属部材を上記ソルト浴により予備加熱することにより、
マルクエンチ処理及び予備加熱処理のソルト浴を兼用し
ながら、高周波焼入れ前後の金属部材での温度差を小さ
くして熱変形を抑制できるとともに、金属部材に対する
マルクエンチ効果を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の熱処理方法のヒートパタ
ーンを示す図である。
【図2】ソルト浴によりワークを保温する状態を示す断
面図である。
【図3】高周波焼入れ工程でのワークの加熱状態を示す
図2相当図である。
【図4】トレイ内に積み重ねられてソルト浴で冷却保温
される大小の複数のワーク全体のレイアウトを模式的に
示す正面図である。
【図5】トレイ内での小形ワークのレイアウトを模式的
に示す平面図である。
【図6】トレイ内での中形ワークのレイアウトを模式的
に示す平面図である。
【図7】トレイ内での大形ワークのレイアウトを模式的
に示す平面図である。
【図8】トレイ内での段数位置に応じたワークの熱変形
の変化量を示す図である。
【図9】本発明の実施形態2の熱処理方法のヒートパタ
ーンを示す図である。
【符号の説明】
1 ソルト槽 2 ソルト 12 高周波加熱コイル 14 熱処理用トレイ W,W1〜W3 ワーク(金属部材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21D 1/46 C21D 1/46 Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属部材をオーステナイト化温度以上に
    加熱して浸炭させる浸炭工程と、 上記浸炭工程後の金属部材をマルテンサイト変態点以上
    の所定温度まで冷却した後に該所定温度に保温してパー
    ライト変態又はベイナイト変態させる保温工程と、 上記保温工程に連続して、金属部材を高周波電流により
    再度オーステナイト化温度以上に加熱した後に冷却して
    高周波焼入れする高周波焼入れ工程とを備えたことを特
    徴とする金属部材の熱処理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の金属部材の熱処理方法におい
    て、 高周波焼入れ工程で加熱された金属部材をソルト浴によ
    りマルテンサイト変態点以上の温度に冷却保持してマル
    クエンチ処理するマルクエンチ工程を備えたことを特徴
    とする金属部材の熱処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項2の金属部材の熱処理方法におい
    て、 保温工程は、マルクエンチ工程のソルト浴により行うこ
    とを特徴とする金属部材の熱処理方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1つの金属部材
    の熱処理方法において、 金属部材をソルト浴で処理するとき、大きさの異なる複
    数の金属部材を混在させて処理することを特徴とする金
    属部材の熱処理方法。
  5. 【請求項5】 金属部材を高周波電流によりオーステナ
    イト化温度以上に加熱した後に冷却して高周波焼入れ
    し、上記加熱後の金属部材をソルト浴により冷却してマ
    ルクエンチ処理する熱処理方法であって、 上記高周波焼入れの前に金属部材を上記ソルト浴により
    予備加熱することを特徴とする金属部材の熱処理方法。
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