JP2009179869A - ブッシュの製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のブッシュの製造方法と比較して、工程数が少なく、ブッシュ表面だけでなく、ブッシュの中間層は強靭性を有し、かつ内表面および外表面が高い耐摩耗性を備えたブッシュの提供を目的とする。
【解決手段】本発明のブッシュの製造方法は、ブッシュ母材を周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、時間20〜200秒の条件下で加熱、または送り速度2〜10mm/秒で移動加熱し、ブッシュ母材の外表面から内表面まで焼入変態点温度である800〜920℃に加熱する工程と、加熱された前記ブッシュ母材を30〜130℃まで焼入冷却する工程と、焼入により全硬化したブッシュ母材を、周波数0.5kHzの高周波により焼戻しをする工程と、ブッシュ母材の外表面、内表面を周波数5KHz〜30KHzを有する高周波で0.5〜10mm/秒で移動焼入し、中間層を形成する工程とを含んでなることを特徴としている。
【選択図】図4

Description

本発明は、たとえばブルドーザなどに用いるブッシュの製法に関する。
ブルドーザなどに用いるブッシュは、図1に示すように、その外表面2および内表面3に耐摩耗性が要求されるとともに、ブッシュ1に加わる負荷に耐えるため、強度、靱性が要求されるため、このような要求を満足するため、従来、つぎのようなブッシュの製造方法が提案されている。
特許文献1には、質量%で、C:0.05〜0.40%、Si:0.1〜0.8%、Mn:0.5〜2.0%、Cr:0.1〜2.0%、Ti:0.005〜0.5%、B:0.0005〜0.005%、Al:0.005〜0.10%、N:0.005%以下、残部実質的にFeおよび不可避不純物とからなる耐摩耗鋼が記載されている。そして熱間圧延鋼片を加熱後、熱間圧延を行う(加熱温度は、950℃未満では、鋼の変形抵抗が高くなり、一方、1250℃を超えると、粗大粒となり、強度および靭性の確保が困難となるため、950〜1250℃とするのが好ましい)ことが記載されている。さらに熱間圧延において、900℃以下のオーステナイト未再結晶域において累積圧下率50%以上の圧延を行い、さらに旧オーステナイト粒の展伸度を2以上とし、オーステナイト未再結晶域でかつ900℃以下の低温側、好ましくは850℃〜Ar3で、累積圧下率を50%以上とする圧延を行うとしている。熱処理熱間圧延後、直ちにAr3点以上から焼入れし、その後300℃〜Ac1で焼戻し未再結晶域における累積圧下の効果を失わないように、圧延後、直ちに、焼き入れを行うとしている。焼入れ後、焼戻しを300℃〜Ac1で行い、好ましくは300〜650℃とするとしている。特許文献1の方法では、ブリネル硬さは335〜435(Hrc36〜Hrc46.1)、靭性は−40℃の吸収エネルギーで71〜141Jの値が得られるとしている。しかし、高強度、高靭性を得るために、圧延工程が必要、圧延工程後直ちに焼入れが必要であるなど工程が複雑であるという問題があった。
特許文献2には、材料に低炭素鋼である肌焼鋼(たとえばJIS:SCM415)を用い、素材の表面に浸炭を施し、その後焼入れをし、焼もどしする方法が提案されている。浸炭工程によって表面に耐摩耗性が得られ、肌焼鋼の焼入れ、焼もどしによって芯部に強度、靱性が得られることが開示されているが、浸炭工程には通常40〜50時間かかるうえ、バッチ処理であり、ブッシュを連続的に必要な量を短時間に製造することができず、製造コストがかかるという問題がある。
一方、特許文献3には、重量%で0.5〜1.0%のCを含む高炭素鋼をベースに、Mn、Cr、Moのうちの少なくとも一元素およびBを添加し、第1の工程で、ブッシュ素材に、外表面から高周波焼入れを施し、第2の工程で外側を液冷しながら、内側の焼入れを行い、第3の工程では上記ブッシュ素材に低温焼もどしを施し、内外表面付近の組織を焼入れマルテンサイトから焼もどしマルテンサイトとするとしている。そして特許文献3の製法によれば、全肉厚が炭素量:0.5%以上であり、全肉厚が浸炭層になっていると考えることができるとしている。特許文献3の製法によれば、HRC52.3までの硬さの層の深さは内側で3.2mm、外側で4.4mmとなっており、外表面の硬さがHRC60程度である。また、特許文献2の製法によれば従来の方法によるものと同等かそれ以上の靱性を有することが期待されるとしているものの、具体的にどの程度の靭性が得られるかは記載されていない。特許文献3の製法では、炭素量0.5〜1.0%の素材を用い、高硬度、高靭性のブッシュを製造しようとしているが、特許文献3の製法では、芯部中間層は、マルテンサイトになりきらない組織を、内径からの高周波焼入時に焼戻しがなされた層であり、マルテンサイト組織と、フェライトとパーライト組織が混在する、またはソルバイト組織と微細パーライト組織が混在し、これらの組織は、芯部中間層がソルバイト組織であるブッシュと比較して強靭性が70〜80%に落ちてしまい、強靭性が充分でなく、操用時に突然ブッシュが割れてしまう可能性が高くなるという問題がある。
特開2002−20837号公報 特公昭52−34806号公報 特開平5−78745号公報
叙上のとおり、特許文献1は、0.05〜0.40重量%の低い炭素含有量の母材を用いて、圧延工程の後直ちに焼入れをするという複雑で製造コストのかかる工程を必要としている。特許文献3は、0.5〜1.0重量%の高い炭素含有量の母材を用いて、焼入れ工程において外側を液冷しながら、内側の焼入れをするという工程で生じた中間層の強靭性が充分でない。
そこで、本発明は、中程度の炭素含有量の母材を用い、従来のブッシュの製造方法と比較して、工程がシンプルで、製造コストが低く、そのうえ、硬度、靭性ともに従来のブッシュに勝るとも劣らないブッシュの提供を目的とする。
本発明のブッシュの製造方法は、
0.32〜0.60重量%の炭素(C)を含有し、外径65〜130mm、内径43〜80mmの円筒状の鋼材からなるブッシュ母材を熱処理するブッシュの製法であって、
(a)ブッシュ母材を周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、時間20〜200秒の条件下で加熱し、ブッシュ母材の外表面から内表面まで焼入変態点温度である800〜920℃に加熱する工程と、
(b)前記工程(a)により加熱された前記ブッシュ母材を30〜130℃まで焼入冷却する工程と、
(c)前記工程(b)により焼入冷却されたブッシュ母材を、周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、時間20〜200秒の条件下で加熱、または送り速度2〜10mm/秒で移動加熱し、焼戻しをする工程と、
(d)前記ブッシュ母材の外表面、内表面を周波数5〜30kHzの高周波により、電力0.5〜5kW/cm2、送り速度0.5〜10mm/秒の条件下で移動焼入し、中間層を残存させる工程と
(e)炉により低温焼戻しをする工程と
を含んでなることを特徴としている。
また、本発明のブッシュの製造方法は、
0.32〜0.60重量%の炭素(C)を含有し、外径65〜130mm、内径43〜80mmの円筒状の鋼材からなるブッシュ母材を熱処理するブッシュの製法であって、
(f)ブッシュ母材を周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、送り速度2〜10mm/秒の条件下で移動加熱し、ブッシュ母材の外表面から内表面まで焼入変態点温度である800〜920℃に加熱する工程と、
(g)前記工程(f)により加熱された前記ブッシュ母材を30〜130℃まで焼入冷却する工程と、
(h)前記工程(g)により焼入冷却されたブッシュ母材を、周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、時間20〜200秒の条件下で加熱、または送り速度2〜10mm/秒で移動加熱し、焼戻しをする工程と、
(i)前記ブッシュ母材の外表面、内表面を周波数5〜30kHzの高周波により、電力0.5〜5kW/cm2、送り速度0.5〜10mm/秒の条件下で移動焼入し、中間層を残存させる工程と
(j)炉で低温焼戻しをする工程と
を含んでなることを特徴としている。
また、前記工程(b)または(g)において、内外径全肉厚において最大マルテンサイトになるような冷却濃度を有する液で行なうことが好ましい。
また、前記工程(c)または(h)が、570〜650℃の高温焼戻しであることが好ましい。
また、前記中間層の芯部の硬度が、Hv272〜354であることが好ましい。
また、前記ブッシュのHrc45以上の硬化層深さが、外表面から肉厚の20〜45%、内表面から15〜35%の範囲にあることが好ましい。
また、ブッシュ母材が0.40〜0.50重量%の炭素(C)を含有することが好ましい。
本発明の第2の態様は、0.50〜0.60重量%の炭素(C)を含有し、外径65〜130mm、内径43〜80mmの円筒状の鋼材からなるブッシュ母材を熱処理するブッシュを製造する方法であって、
(a)ブッシュ母材を周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、時間20〜200秒の条件下で加熱し、ブッシュ母材の外表面から内表面まで焼入変態点温度である800〜920℃に加熱する工程と、
(b)前記工程(a)により加熱された前記ブッシュ母材を30〜130℃まで焼入冷却する工程と、
(c)前記工程(b)により焼入冷却されたブッシュ母材を、炉で低温焼戻しをする工程と、
(d)ブッシュ母材の内表面を周波数5〜30kHzの高周波により、外表面を冷却しながら送り速度0.5〜10mm/秒の条件下で移動焼入し、中間層を形成する工程と
を含んでなることを特徴としている。
また、本発明の第2の態様は、0.50〜0.60重量%の炭素(C)を含有し、外径65〜130mm、内径43〜80mmの円筒状の鋼材からなるブッシュ母材を熱処理するブッシュを製造する方法であって、
(f)ブッシュ母材を周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、送り速度2〜10mm/秒の条件下で移動加熱し、ブッシュ母材の外表面から内表面まで焼入変態点温度である800〜920℃に加熱する工程と、
(g)前記工程(f)により加熱された前記ブッシュ母材を30〜130℃まで焼入冷却する工程と、
(h)前記工程(g)により焼入冷却されたブッシュ母材を、炉で低温焼戻しをする工程と、
(i)ブッシュ母材の内表面を周波数5〜30kHzの高周波により送り速度0.5〜10mm/秒で外周表面を冷却しながら移動焼入し、中間層を形成する工程と
(j)炉により低温焼戻しをする工程と
を含んでなることを特徴としている。
本発明によれば、製造工程が複雑でなく、かつ工程数が少なく、熱処理コストが低く、そのうえ、ブッシュの中間層は強靭性を有し、そのうえ内表面および外表面が高い耐摩耗性を備えたブッシュを提供することができる。
以下、添付図面を参照して本発明のブッシュの製造方法を説明する。図1は、本発明のブッシュの縦断面図であり、図2は、図1の領域Xの拡大図であり、図3は、硬度とシャルピー衝撃値、硬度と引張強度との関係を示す図、図4は、本発明の方法により製造されたブッシュの断面硬度を示すグラフであり、図5は、本発明の方法の第2の態様により製造されたブッシュの断面硬度を示すグラフである。
本発明におけるブッシュ母材1は、重量%で0.32〜0.60%のCを含む中炭素鋼をベースに、Mn、CrのいずれかおよびBを添加した中炭素低合金鋼である。また、重量%で0.40〜0.50%のCを含むことがさらに好ましい。その理由は、高硬度のブッシュを製造することができるからである。これらの合金元素の添加目的および添加量は下記のとおりである。
(1)Mnの添加は焼入れ性の確保のためであり、添加量は0.55〜0.90%とする。
(2)Crの添加は焼入れ性および耐摩耗性の確保のためであり、添加量は0.45〜1.20%とする。
(3)Bの添加は靱性の確保のためであり、添加量は0.0005〜0.0035%とする。
以下、本発明のブッシュの製造方法の第1の態様を示す。
(A)ブッシュ母材を加熱する工程
本発明におけるブッシュ母材1を加熱する工程は、高周波加熱コイルに周波数0.5〜3kHzの高周波電流を通電し、重量%で0.32〜0.60%の炭素(C)を含有し、外径65〜130mm、内径43〜80mmのブッシュ母材1を高周波加熱コイル中に設置し、電力0.5〜3kW/cm2、時間20〜200秒の条件下で加熱、または送り速度2〜10mm/秒で移動加熱し、ブッシュ母材1の外表面2から内表面3まで焼入変態点温度である800〜920℃に加熱する。特に外表面2を920℃以内にし、内表面3を800℃以上に加熱する。このように加熱することにより、ブッシュ母材1は、オーステナイト化する。外表面2が920℃を超えてしまうと、結晶粒が粗大となり、充分な強度が得られないからである。800℃以下であると、オーステナイト化しないおそれがあるからである。加熱の方法としては、具体的には、処理されるブッシュ母材1を上下加熱均一ダミー材料で固定または移動させ、中心線で回転を与えながら加熱コイルに適正な周波数を有する高周波電流を通電し、製品を加熱コイルに対して固定または移動させ、ブッシュ母材1の内外表面がオーステナイト化温度(外表面850〜920℃、内表面800〜850℃)に達するまで適当な時間通電する。ブッシュ母材1を回転させる理由は外表面2全面にわたって均一な高周波焼入れを施すためである。このとき外表面2の温度は結晶粒が粗大化しないような温度となる周波数を選定する。
(B)冷却工程
(A)工程の後、加熱された前記ブッシュ母材1を30〜130℃まで焼入冷却する。具体的には、ブッシュ母材1の加熱処理後、割れ発生を防止し、かつ内外表面が最大マルテンサイトになるような冷却濃度の液を冷却ジャケットから噴射し、外表面2からまたは、内外表面から急速に冷却焼入する。冷却液には水またはソリブルクエンチが用いられ、30〜130℃まで冷却する。
上記(A)および(B)の焼入により、外表面2から内表面3までがマルテンサイト化され、ブッシュ母材1は一旦全硬化される。本発明において、全硬化とは、ブッシュの全肉厚を焼入れすることにより、全肉厚をマルテンサイト化することをいう。ブッシュの肉厚全体を全硬化し、全肉厚をマルテンサイト化することにより、高温焼戻し後の引張強度、衝撃値を、全硬化していない不完全焼入れの場合と比較して、15〜30%向上させることができる。そして、この高周波焼入れに当ってはブッシュ母材1の外表面2をHrc58〜65、内表面3をHrc56〜65にすることが必要である。上記のように、高周波焼入れによれば短時間加熱、水溶性冷却剤の組み合わせにより、脱炭層の発生を防止することができ、マルテンサイト化率が、炉による焼入れと比較して増加し、焼入硬度は、炉による焼入れと比較してHrcで2〜5程度高くなる。
(C)焼戻し工程
(A)、(B)工程の後、焼入により全硬化したブッシュ母材1を、高周波加熱コイルに周波数0.5〜3kHzの高周波電流を通電し、電力0.5〜3kW/cm2、時間20〜200秒の条件下で加熱、または送り速度2〜10mm/秒で移動加熱し、焼戻しをする。具体的には、ブッシュ母材1を上下加熱均一ダミー材料で固定、または移動させ、中心線で回転を与えながら加熱コイルに周波数0.5〜3kHzの高周波電流を20〜200秒間通電し、または送り速度2〜10mm/秒で移動加熱し、ブッシュ母材1の内外表面が焼戻し温度である570〜650℃に達するまで加熱する。この高温焼戻しにより、全硬化し、マルテンサイト化された全肉厚がソルバイト組織になる。ここでソルバイト組織とは、マルテンサイトを焼戻した場合に得られる組織であり、マルテンサイトほど硬くも脆くもなく、パーライトより硬くて強靭で、衝撃抵抗が大きい組織をいう。高周波焼入れ高周波高温焼戻しをすることにより、同じ硬度であれば、高温で焼戻しをした方が靭性があがり、靭性の高いブッシュを製造することができる。図3を用いて説明すると、炉で焼入れ焼戻しした場合の引張強度と硬度の関係が図3中Aで示され、炉で焼入れ焼戻しした場合のシャルピー衝撃値と硬度の関係がBで示される。高周波で焼入れ焼戻した場合の引張強度と硬度の関係がCで示され、高周波で焼入れ焼戻した場合のシャルピー衝撃値と硬度の関係がDで示される。ブッシュの引張強度とシャルピー衝撃値は、図3中交点になるE点とF点が理想であり、炉で焼入れ焼戻した場合と高周波で焼入れ焼戻した場合、同じ硬度であれば、高周波で焼入れ焼戻した方が引張強度、シャルピー衝撃値とも優れていることがわかる。このとき内外表面の温度差はできるだけ少なくなるように周波数を選定する。温度差を少なくすることにより、均一な強度のブッシュを製造することができる。
また、従来の炉で焼入れ焼戻しをする場合には、エネルギー効率は10%程度であるが、高周波で焼入れ焼戻しすることによりエネルギー効率は、40〜50%に向上する。さらに高周波による焼入れ焼戻しでは炉による焼入れ焼戻しと比較してブッシュの連続生産が可能であり、また必要時に数分で稼動および停止が可能であり、エネルギーおよび人件費が節約できる。
(D)焼入工程
(C)工程の後、ブッシュの外表面2、内表面3を高周波加熱コイルに周波数5〜30kHzの高周波電流を通電し、送り速度0.5〜10mm/秒で移動焼入し、図2に示されるように、外側焼入層4、内側焼入層6および外側焼入層4と内側焼入層6に挟まれた中間層5を残存させる。この焼入工程により、外側焼入層4および内側焼入層6は、マルテンサイト組織となり、中間層5はソルバイト組織になる。ブッシュ母材1を上下センターで固定し、中心線で回転を与えながら周波数5〜30kHzの高周波電流を電力0.5〜5kW/cm2で通電し、時間20〜300秒の条件下で加熱、または送り速度0.5〜10mm/秒で移動焼入し、ブッシュ母材1の外表面2がHrc45を超える硬化層深さが、ブッシュ母材1の肉厚の20〜45%の範囲になるように、焼入をする。また、内表面3がHrc45を超える硬化層深さがブッシュ母材1の肉厚の15〜35%の範囲になるように、焼入をする。このように焼入をすることにより、中間層5が残存され、外側焼入層4、内側焼入層6よりは硬度は低いが、従来のブッシュと同一硬度のまま、強靭性に優れたブッシュを提供することができる。(D)の焼入工程により残存された中間層は、マルテンサイト化率が高い層の焼戻し層であるソルバイト組織となり、高い靭性を有する層が形成される。前記中間層5の硬度は、ビッカース硬さでHv272〜354である。また前記中間層5のシャルピー衝撃値は、90〜140J/cm2になる。また、外周側焼入層4および内周側焼入層6の表面硬度は、Hrc60以上になり、その後の炉焼戻しでHrc52〜61となる。
上記の説明から明らかなように、本発明のブッシュの製造方法は、浸炭工程を省略し、調質工程を高周波に変更したから製造工程が単純化されると共に、結果物たるブッシュも、以下に示すように、従来の特許文献1〜3の方法で製造されたブッシュに勝るとも劣らない耐摩耗性、強度および靱性を有する。
本願発明により製造されたブッシュは、表面硬度がHrc52〜61となり浸炭処理をしたブッシュに勝るとも劣らない表面硬度を有しており、そのうえ耐摩耗性に優れ約3000時間程度の連続操用が可能であるのに対し、特許文献1の発明で得られたブッシュは、炭素量が0.32%より小さい場合には、硬度はHb350程度(Hrc37.7程度)であり、本願発明の操用と同一条件下で、半分の約1500時間程度の連続操用しかできない。また特許文献1の発明で得られたブッシュは、炭素量が0.32%以上0.40%以下の場合には、硬度はHb435程度(Hrc46程度)であり、本願発明の操用と同一条件下で、約3分の2の2000時間程度の連続操用しかできない。
また、靭性については、本願発明により製造されたブッシュの芯部は、マルテンサイト組織を高温焼戻しをしてソルバイト組織になり、特許文献3のブッシュは、マルテンサイト組織と、フェライトとパーライト組織とが混在しているか、またはソルバイト組織と微細パーライト組織が混在しており、本願発明と比較して高々70〜80%程度の靭性しか得られない。
つぎに、本発明のブッシュの製造方法の第2の態様を説明する。
(E)ブッシュ母材を加熱する工程
母材を加熱する工程は、第1の態様と同様である。
(F)冷却工程
冷却工程も、第1の態様と同様である。
(G)焼戻し工程
(E)、(F)工程の後、焼入により全硬化したブッシュ母材1を、炉で低温焼戻しを行なう。炉で150〜200℃で、4〜6時間加熱することにより、焼戻しを行なう。
(H)焼入工程
焼戻し工程の後、高周波加熱コイルに周波数5〜30kHzの高周波電流を電力0.5〜5kW/cm2で通電し、外側を冷却しながら、送り速度0.5〜10mm/秒で内側を移動焼入し、外側焼入層4を残存させ、内側焼入層6および外側焼入層4と内側焼入層6に挟まれた中間層5を形成する。この焼入工程により、外側焼入層4および内側焼入層6は、マルテンサイト組織となり、中間層5は、内側からの加熱により焼戻しされ、ソルバイト組織になる。ブッシュ母材1を上下センターで固定し、中心線で回転を与えながら周波数3〜30kHzの高周波電流を電力0.5〜5kW/cm2で通電し、送り速度0.5〜10mm/秒で移動焼入し、ブッシュ母材1の外表面2がHrc45を超える硬化層深さが、ブッシュ母材1の肉厚の20〜45%の範囲が残存するように、内表面3がHrc45を超える硬化層深さがブッシュ母材1の肉厚の15〜35%の範囲になるように、焼入をする。このように焼入をすることにより、中間層5が形成され、外側焼入層4、内側焼入層6より硬度は低いが、従来のブッシュと同一硬度のまま、強靭性に優れたブッシュを提供することができる。(H)の焼入工程により形成された中間層は、マルテンサイト化率が高い層の焼戻し層であるソルバイト組織となり、高い靭性を有した層が形成される。前記中間層5の硬度は、ビッカース硬さでHv300〜450である。また(H)の焼入工程後、外側焼入層4および内側焼入層6の表面硬度は、Hrc56〜61になる。
上記の説明から明らかなように、本発明のブッシュの製造方法は、浸炭を省略し、調質工程を高周波に変更したから製造工程が単純化されると共に、結果物たるブッシュも、以下に示すように、従来の特許文献1〜3の方法で製造されたブッシュと同等かそれ以上の耐摩耗性、強度および靱性を有する。
以下、実施例にもとづいて、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1
ブッシュ材質SCrB440KH、大きさは長さL=225mm、外径D1=98mm、内径D2=60.5mm、炭素(C)含有量が0.41重量%のものをブッシュ母材1として使用した。
(1)まず、上記ブッシュ母材1を上下加熱均一ダミー材料で固定し、ブッシュ母材1に回転を与える装置により、ブッシュ母材1の軸心の回りに100rpmで回転させながら電気興業(株)製の発振機PTG−350によりブッシュ母材1を、周波数2.4kHz、電力85.8〜141.1kW、加熱時間60秒の条件下で加熱した。その結果、熱電対を貼り付けて表面温度を計測したところ、外表面の温度は、892℃まで上昇し、内表面は、836℃まで上昇した。
(2)つぎに、前記(1)の工程で加熱されたブッシュ母材1を外側より焼入冷却した。冷却剤は大同化学工業(株)製のソリブルNT−3を用い、濃度2%、流量250L/分、時間30秒の条件下で焼入冷却を行なった。その結果、外表面の温度は30℃、内表面の温度は30℃まで低下した。
この焼入れの結果、外表面の硬度は、Hrc60、内表面の硬度は、Hrc56であった。
(3)つぎに、焼入れにより、全硬化したブッシュ母材1を焼戻しした。焼戻しには、(1)と同じ発振機により、周波数2.4kHzで電力77.4kWで時間70秒の条件下で加熱した。その結果熱電対を貼り付けて表面温度を計測したところ、外表面の温度は600℃まで上昇し、内表面は580℃まで上昇した。その結果、外表面の硬度はHrc32.5に、内表面の硬度はHrc30となり、ブッシュ母材はソルバイト組織となった。
(4)つぎに、外表面を周波数5.0kHzの高周波電流を加熱コイルに通電し、送り速度4.0mm/秒の条件下で移動焼入し、その結果、パイロスコープで表面温度を計測したところ、外表面温度は、850℃、内表面温度は、350℃まで上昇した。同時に、移動冷却方法により、冷却焼入し、外表面の硬度がHrc64であった。つぎに、内表面を周波数15.8kHzの高周波電流を加熱コイルに通電し、送り速度2.5mm/秒で外周表面を冷却しながら移動焼入し、内表面の硬度はHrc64であった。その後炉で180℃焼戻し後の断面硬度分布を図4に示す。断面硬度とは、ブッシュをある位置で切断した場合の破断面の硬度をいうものである。図4を参照すると、ブッシュの全厚さ22mmのうち、Hrc45以上の硬化層深さは、外周表面から7.1mmまでとなり、内周表面から5.2mmとなった。そして、Hrc45より小さい層である中間層の硬さは、Hrc28〜32.5を示しており、図4に示すように、中間層がほぼ同じ硬度を示しており、破壊されにくくなっている。
比較例1
ブッシュ材質SCrB440KH、大きさは長さL=225mm、外径D1=98mm、内径D2=60.5mm、炭素(C)含有量が0.41重量%のものを比較例として使用した。
(1)まず、上記ブッシュ母材1を無酸化焼入れ炉により、850℃に加熱後、1時間保持した。
(2)つぎに、前記(1)の工程で加熱されたブッシュ母材1を焼入冷却した。焼入れ冷却には焼入油(コールド)60℃にブッシュ母材1を投入し、10分間冷却した。
(3)つぎに、焼戻し炉内大気中で、570℃に加熱し、3.5時間保持後、空冷した。
表1に、実施例および比較例により製造されたブッシュの引張強度およびシャルピー衝撃値の値を示す。シャルピー衝撃値の測定は、JISKU2の規定に基づく2mmUノッチ標準寸法試験片を用い、シャルピー衝撃試験を室温で行なった。引張強度は、JIS14A号の試験片を用いて行なった。表1に示されるように、本実施例で製造したブッシュのシャルピー衝撃値は、高周波焼入れ焼戻し品である実施例1−1では、シャルピー衝撃値は、122J/cm2、129J/cm2、128J/cm2を示した。実施例1−2では、シャルピー衝撃値は、120J/cm2、130J/cm2、122J/cm2を示した。炉焼入れ焼戻し品である比較例−1では、シャルピー衝撃値は、100J/cm2、87J/cm2、104J/cm2を示し、比較例−2では、シャルピー衝撃値は、99J/cm2、101J/cm2、108J/cm2を示した。このデータから、高周波で焼入れ焼戻しを行なう本実施例1で製造されたブッシュは、炉で焼入れ焼戻しを行なったブッシュと比較して、シャルピー衝撃値の平均値は、比較例1の1.25倍となり、高周波で焼入れ焼戻しをすることにより、靭性が高いことがわかった。また、本実施例1−1の引張強度は、980N/m2、実施例1−2の引張強度は、983N/m2であった。比較例の1の引張強度は936N/m2、比較例の2の引張強度は941N/m2となり、引張強度の平均値は、高周波で焼入れ焼戻しを行なった本実施例は、炉で焼入れ焼戻しを行なった比較例の1.046倍となり、引張強度が同程度であることがわかった。
Figure 2009179869
実施例2
ブッシュ材質SCrB440KH、大きさは長さL=154mm、外径D1=73mm、内径D2=44.6mm、C含有量が重量%で0.41%のものをブッシュの母材として使用した。
(1)まず、上記母材を上下加熱均一ダミー材料で固定し、母材に回転を与える装置により、母材の軸心の回りに100rpmで回転させながら電気興業(株)製の発振機PTG−350により母材を、周波数2.4kHz、電力95〜136kW、加熱時間25秒間で加熱した。その結果、熱電対を貼り付けて表面温度を計測したところ、外表面の温度は、910℃まで上昇し、内表面は、850℃まで上昇した。
(2)つぎに、前記(1)の工程で加熱された母材を焼入冷却した。冷却剤は大同化学工業(株)製のソリブルNT−3を用い、濃度2%、流量250L/分、時間25秒の条件下で焼入冷却を行なった。その結果、外表面の温度は30℃、内表面の温度は30℃まで低下した。
この焼入れの結果、外表面の硬度は、Hrc60、内表面の硬度は、Hrc56.7となった。
(3)つぎに、焼入れにより、全硬化した母材を焼戻ししブッシュを得た。焼戻しには、炉により160℃で5時間焼戻しをし、その結果、外表面の硬度はHrc57に、内表面の硬度はHrc54であった。
(4)つぎに、ブッシュの内表面を硬化するために、周波数15.6kHzの高周波電流を加熱コイルに通電し、外表面を冷却しながら送り速度7mm/秒の条件下で移動焼入した。その結果、内表面温度は、810℃まで上昇した。同時に、移動冷却方法により、焼入冷却し、外表面の硬度がHrc57、内表面の硬度がHrc63となった。この焼入工程後、炉で180℃焼戻実施後の硬度分布を図5に示す。図5を参照すると、ブッシュの全厚さ22mmのうち、Hrc45以上の硬化層深さは、外表面から6mmまでとなり、内表面からは2.5mmまでであった。そして、Hrc45より小さい層である中間層の芯部の硬度は、Hv300〜450となった。
以下に、実施例1および2と、特許文献1および3とを特性、硬さ、組織、割れ破壊の可能性について比較した表を示す。表2および表3は、実施例1と比較例2の比較であり、ブッシュの表面と芯部のそれぞれについての比較である。比較例2は、特許文献1に記載された方法、特に0.29重量%の炭素を含有した母材を用い、焼入温度730℃、焼戻し温度450℃で製造している。表4および表5は、実施例1と比較例3の比較であり、比較例3は、特許文献1に記載された方法、特に0.33重量%の炭素を含有した母材を用い、焼入温度720℃、焼戻し温度700℃で製造している。表6は、実施例1および2と比較例4の比較であり、比較例4は、特許文献3に記載された方法である。
Figure 2009179869
Figure 2009179869
表2および表3によると、実施例1の方法により製造されたブッシュは、芯部は比較例2より靭性が高く、表面部は比較例2より硬く、比較例2より耐摩耗性が高く、割れ破壊が起こりにくいブッシュであることがわかる。
Figure 2009179869
Figure 2009179869
表4および表5によると、実施例1の方法により製造されたブッシュは、芯部の靭性は比較例3と同程度だが、表面部が比較例3より硬く、比較例3のブッシュは、実施例1のブッシュと同一の操用条件下で、2000時間程度の連続操用しかできないのに対して、実施例1のブッシュは3000時間程度の連続操用が可能であり、コストパフォーマンスに優れたブッシュを提供することができる。
Figure 2009179869
表6によると、比較例4の芯部の靭性は不明であるが、比較例4の芯部の組織は、フェライト組織、パーライト組織、マルテンサイト組織およびソルバイト組織が混在している組織であるため、靭性が低く、割れ破壊が起きやすい。それに対し、実施例1は芯部がソルバイト単相組織であり、靭性が高く割れ破壊も起きにくい。
本発明のブッシュの縦断面図である。 図1におけるXの部分拡大図である。 硬度とシャルピー衝撃値、硬度と引張強度との関係を示す図である。 本発明の方法により製造されたブッシュの断面硬度を示すグラフである。 本発明の方法の第2の態様により製造されたブッシュの断面硬度を示すグラフである。
符号の説明
1 ブッシュ母材
2 外表面
3 内表面
4 外側焼入層
5 中間層
6 内側焼入層

Claims (10)

  1. 0.32〜0.60重量%の炭素(C)を含有し、外径65〜130mm、内径43〜80mmの円筒状の鋼材からなるブッシュ母材を熱処理するブッシュの製法であって、
    (a)ブッシュ母材を周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、時間20〜200秒の条件下で加熱し、ブッシュ母材の外表面から内表面まで焼入変態点温度である800〜920℃に加熱する工程と、
    (b)前記工程(a)により加熱された前記ブッシュ母材を30〜130℃まで焼入冷却する工程と、
    (c)前記工程(b)により焼入冷却されたブッシュ母材を、周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、時間20〜200秒の条件下で加熱、または送り速度2〜10mm/秒で移動加熱し、焼戻しをする工程と、
    (d)前記ブッシュ母材の外表面、内表面を周波数5〜30kHzの高周波により、電力0.5〜5kW/cm2、送り速度0.5〜10mm/秒の条件下で移動焼入し、中間層を残存させる工程と、
    (e)炉により低温焼戻しをする工程と
    を含んでなるブッシュの製造方法。
  2. 0.32〜0.60重量%の炭素(C)を含有し、外径65〜130mm、内径43〜80mmの円筒状の鋼材からなるブッシュ母材を熱処理するブッシュの製法であって、
    (f)ブッシュ母材を周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、2〜10mm/秒の条件下で移動加熱し、ブッシュ母材の外表面から内表面まで焼入変態点温度である800〜920℃に加熱する工程と、
    (g)前記工程(f)により加熱された前記ブッシュ母材を30〜130℃まで焼入冷却する工程と、
    (h)前記工程(g)により焼入冷却されたブッシュ母材を、周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、時間20〜200秒の条件下で加熱、または送り速度2〜10mm/秒で移動加熱し、焼戻しをする工程と、
    (i)前記ブッシュ母材の外表面、内表面を周波数5〜30kHzの高周波により、電力0.5〜5kW/cm2、送り速度0.5〜10mm/秒の条件下で移動焼入し、中間層を残存させる工程と
    (j)炉により低温焼戻しをする工程と
    を含んでなるブッシュの製造方法。
  3. 前記工程(b)または(g)において、内外径全肉厚において最大マルテンサイトになるような冷却濃度を有する液で冷却することを特徴とする請求項1または2記載のブッシュの製造方法。
  4. 前記工程(c)または(h)が、570〜650℃の高温焼戻しであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブッシュの製造方法。
  5. 前記中間層の芯部の硬度が、Hv272〜354であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のブッシュの製造方法。
  6. 前記ブッシュのHrc45以上の硬化層深さが、外表面から肉厚の20〜45%、内表面から肉厚の15〜35%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のブッシュの製造方法。
  7. 0.40〜0.50重量%の炭素(C)を含有し、外径65〜130mm、内径43〜80mmの円筒状の鋼材からなるブッシュ母材を熱処理するブッシュの製法であって、
    (a)ブッシュ母材を周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、時間20〜200秒の条件下で加熱し、ブッシュ母材の外表面から内表面まで焼入変態点温度である800〜920℃に加熱する工程と、
    (b)前記工程(a)により加熱された前記ブッシュ母材を30〜130℃まで焼入冷却する工程と、
    (c)前記工程(b)により焼入冷却されたブッシュ母材を、周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、時間20〜200秒の条件下で加熱、または送り速度2〜10mm/秒で移動加熱し、焼戻しをする工程と、
    (d)前記ブッシュ母材の外表面、内表面を周波数5〜30kHzの高周波により、電力0.5〜5kW/cm2、送り速度0.5〜10mm/秒の条件下で移動焼入し、中間層を残存させる工程と、
    (e)炉により低温焼戻しをする工程と
    を含んでなるブッシュの製造方法。
  8. 0.40〜0.50重量%の炭素(C)を含有し、外径65〜130mm、内径43〜80mmの円筒状の鋼材からなるブッシュ母材を熱処理するブッシュの製法であって、
    (f)ブッシュ母材を周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、2〜10mm/秒の条件下で移動加熱し、ブッシュ母材の外表面から内表面まで焼入変態点温度である800〜920℃に加熱する工程と、
    (g)前記工程(f)により加熱された前記ブッシュ母材を30〜130℃まで焼入冷却する工程と、
    (h)前記工程(g)により焼入冷却されたブッシュ母材を、周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、時間20〜200秒の条件下で加熱、または送り速度2〜10mm/秒で移動加熱し、焼戻しをする工程と、
    (i)前記ブッシュ母材の外表面、内表面を周波数5〜30kHzの高周波により、電力0.5〜5kW/cm2、送り速度0.5〜10mm/秒の条件下で移動焼入し、中間層を残存させる工程と
    (j)炉により低温焼戻しをする工程と
    を含んでなるブッシュの製造方法。
  9. 0.50〜0.60重量%の炭素(C)を含有し、外径65〜130mm、内径43〜80mmの円筒状の鋼材からなるブッシュ母材を熱処理するブッシュを製造する方法であって、
    (a)ブッシュ母材を周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、時間20〜200秒の条件下で加熱し、ブッシュ母材の外表面から内表面まで焼入変態点温度である800〜920℃に加熱する工程と、
    (b)前記工程(a)により加熱された前記ブッシュ母材を30〜130℃まで焼入冷却する工程と、
    (c)前記工程(b)により焼入冷却されたブッシュ母材を、炉で低温焼戻しをする工程と、
    (d)ブッシュ母材の内表面を周波数5〜30kHzの高周波により、外表面を冷却しながら送り速度0.5〜10mm/秒の条件下で移動焼入し、中間層を形成する工程と
    (e)炉により低温焼戻しをする工程と
    を含んでなるブッシュの製造方法。
  10. 0.50〜0.60重量%の炭素(C)を含有し、外径65〜130mm、内径43〜80mmの円筒状の鋼材からなるブッシュ母材を熱処理するブッシュを製造する方法であって、
    (f)ブッシュ母材を周波数0.5〜3kHzの高周波により、電力0.5〜3kW/cm2、送り速度2〜10mm/秒の条件下で移動加熱し、ブッシュ母材の外表面から内表面まで焼入変態点温度である800〜920℃に加熱する工程と、
    (g)前記工程(f)により加熱された前記ブッシュ母材を30〜130℃まで焼入冷却する工程と、
    (h)前記工程(g)により焼入冷却されたブッシュ母材を、炉で低温焼戻しをする工程と、
    (i)ブッシュ母材の内表面を周波数5〜30kHzの高周波により、外表面を冷却しながら送り速度0.5〜10mm/秒の条件下で移動焼入し、中間層を形成する工程と
    (j)炉により低温焼戻しをする工程と
    を含んでなるブッシュの製造方法。
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