JP5582855B2 - 機械構造部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高周波焼入れにより鋼素材表面に硬化層を形成して、歯車等の機械構造部品を製造する方法の改良に関する。
本発明者らは、炭素鋼に対して2回の高周波焼入れを行なう際に、第2回目の高周波焼入れの焼入れ深さが第1回目の高周波焼入れよりも浅い高周波加熱、焼入れを行なうことにより、表面から3.0mm以内の深さまでのマルテンサイト組織の焼入領域と、焼入領域に隣接しマルテンサイトとフェライトの混合組織の不完全焼入領域と、不完全焼入領域に隣接し焼入領域の深さの2.5倍以上7.0倍以下の深さまでの焼戻軟化領域とを有し、前記不完全焼入領域と焼戻軟化領域の境界における硬さの極小値に対する焼戻軟化領域内の硬さの最大値との差がHV150以内である表面焼入れされた鋼を製造する方法を先に提案した(特許文献1)。
この方法によれば、第1回熱処理で焼入れされたが第2回熱処理では焼入れされなかった個所全体を焼戻して軟化させるので、表面硬化領域全体に一様に高い圧縮応力が残存して高い疲労強度を得ることができるだけでなく、内部の引張応力を緩和して部材の破壊に対する信頼性を向上させることができる。
しかし、この方法に適用される素材は炭素鋼であるため、焼戻し軟化抵抗が低い。このため、例えばこの方法により製造された歯車は、使用時の摩擦抵抗で加熱された際に、焼戻し軟化されやすい。このような理由から、この方法により製造される歯車は、ピッチング特性を改善すべき余地が残されている。
ところで、炭素鋼にSi,V等を添加することにより、炭素鋼の焼戻し軟化抵抗を高めることが知られている(非特許文献1)。
また、Si,V等を添加した炭素鋼に対して、2回の高周波焼入れを行なって、面疲労特性を向上する方法が知られている(特許文献2)。
特開2007−119825号公報 特開平7−118791号公報
「高周波焼入れ材のピッチング寿命に及ぼす有効硬化層深さとケイ素含有量の影響」、電気製鋼、71-1、(2000)、19−28頁、井上幸一郎、中村貞行、2000年発行
しかしながら、炭素鋼にSi,V等を添加すると鋼素材の硬さが高くなり、硬さの高い鋼素材を歯車などに加工する際に、切削性等の加工性が悪化する。
また、Siを添加すると、鋼のAC変態点が上昇するので、高周波加熱により鋼素材をオーステナイト化する際に、鋼素材をより高い温度としなければならない。この結果、鋼素材が変形する等の問題が生じやすい。
本発明は、焼戻し軟化抵抗を高める成分を添加した鋼素材を使用しても、加工性を悪化させることのない、機械構造部品の製造方法を提供するものであり、更に、鋼のAC変態点を上昇させる成分を添加した鋼素材を使用しても鋼素材の変形等を抑制できる機械構造部品の製造方法を提供するものであって、以下の工程を備えている。
(1)質量%で、C:0.3〜1.5%と、Mn:0.2〜2.0%と、Si:0.5〜2.0%、Cr:0.1〜1.5%、Mo:0.1〜1.5%、V:0.05〜0.5%及びNb:0.005〜0.2%からなるグループから選択された1種又は2種以上と、残部Fe及び不可避的不純物とからなる鋼素材を用意する工程と、
この鋼素材を軟化処理して、フェライト面積率30%以上のフェライトとパーライトとからなる金属組織、フェライトと球状炭化物とからなる金属組織、及びフェライトと粒状セメンタイトからなる金属組織からなるグループから選択された金属組織とする工程と、
前記工程で軟化処理された鋼素材を、所定の形状に加工処理する工程と、
加工処理された鋼素材の表面の金属組織をマルテンサイトとする第1回目の高周波熱処理工程と、
第1回目の高周波熱処理工程で生成された表面のマルテンサイトのうち、表層側をマルテンサイトとし、この表層側マルテンサイトに続く内層側を焼戻しマルテンサイト、又は、焼戻しマルテンサイトとフェライトとパーライトとする第2回目の高周波熱処理工程と、
を備えた機械構造部品の製造方法。
本発明は、鋼素材にSi、V、Nb等、鋼の焼戻し軟化抵抗を高める成分を添加して、ピッチング疲労特性を向上させた歯車等の鋼製品を製造する際に、所定の軟化処理をしてから鋼素材を加工することにより、加工性を確保することができる。
また、例えば、SiはAC,AC3を上昇させる元素である。このため、鋼素材を、1回の超急速短時間高周波焼入れで実施すると、AC3点が上昇することと、前組織のフェライト面積が多いため、高温に加熱する必要がある。この結果、鋼素材の変形が大きくなる。さらに、超急速で高温加熱しても十分なオーステナイト化ができずに、未溶解のフェライト等が焼入組織に残存することにより、部品に必要な強度を得ることができない。
本発明では、低い加熱温度で長時間高周波焼入れすることにより、変形の変化量が一定でその値も少ない(定低変形)。さらにその時点で組織はマルテンサイトになるため、2回目の高周波焼入れでは1回の高温短時間よりも低い温度で加熱してもオーステナイト化が可能になる。このため、次の2回目の加熱で超急速短時間加熱低温高周波焼入れをすることにより、定低変形が得られ、さらに均一なマルテンサイト組織が得られる。この結果、高強度定低変形部品を作ることができる。
また1回目焼入部の組織が焼戻しマルテンサイトになることにより、硬さが素地部より高くなる。この結果、高い疲労強度や高静曲げ強度が得られる。
本発明の実施例、比較例に係る製品(歯車:W)の外観図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
(鋼素材)
この鋼素材は、高曲げ強度を必要とする歯車等の鋼製品を製造する際に必要とする成分を所定量含むとともに、鋼の焼戻し軟化抵抗を高める成分を所定量含む。更に鋼素材は、必要により更に、鋼の焼入性を向上する元素を含む。また、鋼製品の用途に応じて必要とする特性により各成分は本発明の範囲内で適宜調整される。
本発明に係る鋼素材は、C:0.3〜1.5%と、Mn:0.2〜2.0%と、Si:0.5〜2.0%、Cr:0.1〜1.5%、Mo:0.1〜1.5%、V:0.05〜0.5%、Nb:0.005〜0.2%からなるグループから選択された1種又は2種以上と、残部Fe及び不可避的不純物とからなる組成を有する。さらに必要により、B:0.0005〜0.05%、Ti:0.02〜0.05%及びNi:0.01〜1.5%からなるグループから選択された1種又は2種を含む。
以下、各添加成分の添加理由及び添加範囲の限定理由を説明する。
C:0.3〜1.5%
Cは強度確保のために必要な元素であり、また、焼入後の硬さを決定する。その量は0.3%未満の場合は硬さが550HV以下と低くなるため、歯車などの摺動部品には適用が困難である。このため下限を0.3%とした。一方、1.5%を超えると靱性が低下するので、上限を1.5%とした。
Mn:0.2〜1.5%
Mnは焼入性を向上させる元素である.焼入性を確保するために、0.2%以上必要である。このため、下限を0.2%とした。一方、1.5%を超えて添加しても焼入性が過剰となり靱性が劣化する.また、加工性も低下するので、上限を1.5%とした。
[選択元素:Si,Cr,Mo,V,Nb]
これら元素は、何れも焼戻し軟化抵抗を高める元素である。
Si:0.5〜2.0%
Siは焼戻し軟化抵抗を高める元素である。このことにより歯面強度を向上させるが、従来の浸炭焼入れと同等の歯面強度を確保するためには0.5%以上必要である。このため、下限を0.5%とした。一方、2.0%を超えるとフェライトの固溶強化により硬さが上昇し、被削性の低下を招くので、上限を2.0%とした。
Cr:0.1〜1.5%
Crは焼戻し軟化抵抗を高めるとともに焼入性も向上させる。0.1%未満では焼戻し軟化抵抗を高める効果が発揮され難いため、下限を0.1%とした。一方、1.5%を超える場合には軟化抵抗を高める効果は飽和し、また、加工性も低下するので、上限を1.5%とした。
Mo:0.1〜1.5%
Moは焼戻し軟化抵抗を高めるとともに、焼入層を強靱化して曲げ疲労強度を向上する効果がある。0.1%未満では、この効果は発揮し難いので、下限を0.1%とした。一方、1.5%を超えるとその効果は飽和し、加工性も悪化するので、上限を1.5%とした。
V:0.05〜0.5%
Vは特にSiと共存する場合、相乗的に焼戻し軟化抵抗を高める効果を持つ。特に、転動疲労によって短寿命で破壊する現象を防止するのに有効な元素である。またVは、鋼の結晶粒界を微細化する効果を持つ。これらの効果を発揮するために、上記Si含有範囲で、0.05%以上を必要とする。しかし、過剰に添加してもその効果は飽和するので上限を0.5%とする。
Nb:0.005〜0.2%
Nbは特にSiと共存する場合、相乗的に焼戻し軟化抵抗を高める効果を持つ。特に、転動疲労によって短寿命で破壊する現象を防止するのに有効な元素である。またNbは、鋼の結晶粒界を微細化する効果を持つ。これらの効果を発揮するために、上記Si含有範囲で、0.005%以上を必要とする。しかし、過剰に添加してもその効果は飽和するので上限を0.2%とする。
[選択元素:B,Ti,Ni]
これら元素は、焼入性を向上させる元素である。
B:0.0005〜0.05%
Bは焼入性を向上させるとともに、粒界強化により疲労特性を改善するだけでなく、強度を向上させる元素である。その効果のためには0.0005%以上必要で、0.05%を超えて添加してもその効果は飽和する。
Ti:0.02〜0.05%
Tiは焼入性を向上させるとともに、炭窒化物形成により結晶粒を微細化させ、歯元曲げ疲労強度を向上させる元素である。結晶粒微細化のためには0.02%以上必要で、0.05%を超えて添加してもその効果は飽和する。
その他の成分
Ni:0.01〜1.5%
Niは焼入性を向上させる元素である。0.01%未満では、この効果は発揮し難いので、下限を0.01%とした。一方、Niは高価な元素であり、かつ多すぎると焼き割れを生じる原因になるので1.5%を上限とした。
なお、本発明方法に適用される鋼素材は、本発明の特性を阻害させない範囲であれば、その用途(各種機械構造部品)に応じて他の成分(例えばTe,Ca,Mg,Zr等)を含むことが許容される。
(軟化処理)
上記組成の鋼素材は、そのままでは硬度が高く、そのため加工処理に手間と時間がかかる。このため、本発明では、この鋼素材に加工処理前に予め軟化処理を施して、鋼素材を加工処理しやすい軟らかい金属組織とする。この軟らかい金属組織としては、フェライト面積率30%以上のフェライトとパーライトとからなる金属組織、フェライトと球状炭化物とからなる金属組織、又はフェライトと粒状化パーライトからなる金属組織が挙げられる。フェライトとパーライトとからなる金属組織において、フェライト面積率の下限を規定するのは、フェライト面積率が30%未満では加工性が悪化するためである。そして、本発明の軟化処理をした金属組織は、通常、硬さが280HV以下、好適には190〜270HV程度である。これは、加工性の良好な炭素鋼素材の硬さと同程度若しくはそれ以下である。なお、フェライト面積率は、画像解析装置によって測定される。
上記金属組織、硬さを得るための具体的な熱処理方法(軟化処理)として、例えば以下の方法 イ)〜ニ)が挙げられる。
イ)鋼素材を完全焼きなまし処理:AC3またはAC1以上の温度に保持した後、Ar1以下の温度まで徐冷する。
ロ)球状化焼きなまし処理:鋼素材を(a) AC1点直下の温度で長時間保持する、(b) AC1点直上直下の温度で加熱冷却を繰り返す、又は(c) AC1点直下またはAC1とACmの間の温度に加熱した後、非常にゆっくり炉冷するかまたはAC1点直下の温度に保持する等の処理をする。
ハ)焼きならし処理:AC3またはACm以上の温度に加熱してオーステナイトにした後、静かな大気中で冷却する。
ニ)熱間、温間による鍛造や圧延後の冷却時に冷却制御を行うことにより処理される焼きならしや焼きなましをおこなう。
上記処理自体は当業者に広く知られている。従って、当業者は上記記載にもとづいて軟化処理を行なって、鋼素材の金属組織及び硬さを所望の加工しやすいもの(例えば190〜270HV程度)とすることができる。
(加工処理)
本発明に係る機械構造部品を製造するに際して、各種の加工(鍛造、冷間鍛造、転造等、圧延、プレス、切削加工、旋削加工、穿孔などの任意の加工処理及びこれら加工処理の組合せ)を行うが、ここでいう加工処理は、熱処理前におこなう切削、旋削、穿孔などの機械加工を意味する。
本発明によれば、鋼素材に対して予め軟化処理しているので、加工処理(機械加工)を容易におこなうことができる。
(高周波焼入れ)
本発明では、加工処理後、少なくとも2回の高周波焼入れをおこなって、鋼素材の金属組織を、表面から、マルテンサイト、それに続いて焼戻しマルテンサイト、焼戻しマルテンサイトとフェライトとパーライトとからなる中間層、素地組織とする。
このような組織を得るために、特許文献1、特許文献2、これら文献で引用している文献等に記載された公知の少なくとも2回の高周波焼入れを行う方法をそのまま、或いはその原理を利用し処理条件を適宜修正して適用することができる。
これら公知の2段の高周波焼入れ方法を総括的かつ概略的に説明すれば、まず、第1回目の高周波焼入れにより、所望する機械構造部品の「マルテンサイト、焼戻しマルテンサイト、焼戻しマルテンサイトとフェライトとパーライトとからなる中間層」とすべき領域をターゲットとして、この領域をオーステナイト組織とした後急冷(焼入れ)してマルテンサイト組織とする。
次いで、第1回目の高周波焼入れのターゲット領域よりも浅い領域、すなわち、最終製品としてマルテンサイト層とすべき領域(表面層)をターゲットとして、第2回目の高周波焼入れをおこなう。この焼入れにより、表面層をマルテンサイト層とし、この層に続く前記中間層を、焼戻しマルテンサイト、焼戻しマルテンサイトとフェライトとパーライトの金属組織とする。
(第1回目の高周波焼入れ)
第1回目の高周波焼入れ前の鋼素材は、軟化処理された金属組織を有している。このため、第1回目の高周波焼入れの加熱温度を高くし、また、加熱時間を長くとって、表面から所定の深さの領域(「マルテンサイト、焼戻しマルテンサイト、焼戻しマルテンサイトとフェライトとパーライトとからなる中間層とすべき領域」)が十分なオーステナイト組織となるようにする。十分なオーステナイト組織とは、亜共析鋼では実質的に100%オーステナイトを意味し、過共析鋼では、実質的にオーステナイト組織と炭化物を意味する。
このような金属組織にするために、第1回目の加熱処理温度、加熱処理時間は、得ようとするオーステナイト組織の領域の深さにより異なる。例えば、歯車のような小形の機械構造部品では、加熱温度は、950℃以上が好ましいが、1150℃を越えると結晶粒が粗大化するので好ましくない。また、加熱時間は所望の深さの硬化層に十分なオーステナイトを得るために10秒又はそれ以上が好ましいが、60秒を越えると硬化層が深くなり、また、変形が大きくなり、さらには、結晶粒が粗大化するので好ましくない。
第1回目の高周波熱処理に使用される周波数は特に限定されるものではないが、硬化層深さを深くする観点から、3kHz〜30kHzが好ましい。そして、このような加熱後に焼入れする。
(第2回目の高周波焼入れ)
第2回目の高周波焼入れは、第1回目の高周波焼入れよりも浅く、即ち、第1回目の高周波焼入れで得られたマルテンサイト組織のうち、マルテンサイト層とすべき表層の領域に高周波焼入れを行なう。このことにより、表層はマルテンサイト層となり、表層に続く中間層は、焼戻しマルテンサイト、焼戻しマルテンサイトとフェライトとパーライトとなる。
このような金属組織にするための第2回目の加熱処理温度、加熱処理時間等の加熱条件は、得ようとするオーステナイト組織の領域の深さにより異なる。歯車のような小形の機械構造部品では、一例として、600℃まで5秒で加熱後3秒間放冷し、950℃で0.5秒加熱後、焼入れする方法が挙げられる。
加熱温度は、900℃以上が好ましいが、1100℃を越えると結晶粒が粗大化するので、900℃以上1100℃以下が好ましい。また、加熱時間は所望の深さの硬化層に十分なオーステナイトを得るために0.3秒以上が好ましいが、1秒を越えると硬化層が深くなり、また、変形が大きくなり、さらには、結晶粒が粗大化するので好ましくない。
第2回目の高周波熱処理に使用される周波数は特に限定されるものではないが、硬化層を1回目より浅くする観点から、25kHz〜200kHzが好ましい。
そして、第2回目の高周波熱処理後に焼戻しを行って、本発明に係る製品が得られる。
なお、本発明は、本発明の目的を阻害しない限り、第1回目の焼入れと第2回目の焼入れとの間に、又は、第2回目の焼入れの後に別の熱処理を施したりすることも、可能である。
(製品の特性)
本発明方法で作られた製品は、鋼に焼戻し軟化抵抗を高める成分が含まれているために、例えば2800〜3000MPa程度のローラピッチング特性が得られる。
(用途)
本発明方法は、疲労特性や磨耗特性を必要とする機械構造部品、特に歯車等の小形の機械構造部品の製造に有効である。
表1に記載された成分を含有する鋼素材(実施例1〜8、比較例1〜3)をそれぞれ用意した。実施例鋼種1〜8は、本発明に係る鋼素材で、ピッチング特性に優れているが、素材硬さが硬く難加工性の鋼種である。比較鋼種1〜3は、素材硬さが低く加工性に優れているが、ピッチング特性に劣る鋼種である。
本発明の実施例では、実施例鋼種を鍛造後、軟化処理(前熱処理)して所定の金属組織とし、次いで所定の形状に加工処理(ホブ切り加工後歯研仕上げ)して、所望の歯型形状とした。その後、所定の高周波焼入れ・焼戻しをして、所望の製品(歯車)を得た。軟化処理条件及び加工処理前(軟化処理後)の鋼素材の金属組織を表2に、加工処理前の鋼素材の硬さ(HV),加工性(ドリル抵抗N・cm)を表3に示す。また、第1回の高周波焼入れの熱処理条件を表4に、第2回の高周波焼入れの熱処理条件を表5、表6に示す。また、試験に供した歯車の諸元は以下のとおりである。
モジュール 3
歯数 40
圧力角 20°
歯幅 20
外径 126
これらの実施例と比較するために、鋼素材を鍛造後、所定の前熱処理をした後、所定の加工処理(機械加工)をして、所望の歯型形状とした。その後、所定の高周波焼入れ・焼戻しをして、所望の製品(歯車)を得た。これらを比較例1〜8とし、前熱処理条件及び加工処理前(前熱処理後)の鋼素材の金属組織を表2に、加工処理前の鋼素材の硬さ(HV),加工性(ドリル抵抗N・cm)を表3に併記する。また、高周波焼入れの熱処理条件を表5、表6に併記する。
また、比較鋼種についても、鋼素材を鍛造後、所定の前熱処理をした後所定の形状に加工処理(機械加工)して、所望の歯型形状とした。その後、所定の高周波焼入れ・焼戻しをして、所望の製品(歯車)を得た。これらを比較例9〜11とし、前熱処理条件及び加工処理前(前熱処理後)の鋼素材の金属組織を表2に、加工処理前の鋼素材の硬さ(HV),加工性(ドリル抵抗N・cm)を表3に示す。また、高周波焼入れの熱処理条件を表5、表6に併記する。
Figure 0005582855
Figure 0005582855
表2中
F+P(Fn):フェライト+パーライト(数値nはフェライト面積率%を示す)
焼戻M:焼戻しマルテンサイト
F+球状C:フェライト+球状セメンタイト
Figure 0005582855
Figure 0005582855
Figure 0005582855
Figure 0005582855

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.3〜1.5%と、Mn:0.2〜2.0%と、Si:0.5〜2.0%、Cr:0.1〜1.5%、Mo:0.1〜1.5%、V:0.05〜0.5%及びNb:0.005〜0.2%からなるグループから選択された1種又は2種以上と、残部Fe及び不可避的不純物とからなる鋼素材を用意する工程と、
    この鋼素材を軟化処理して、フェライト面積率30%以上のフェライトとパーライトとからなる金属組織、フェライトと球状炭化物とからなる金属組織、及びフェライトと粒状セメンタイトからなる金属組織からなるグループから選択された金属組織とする工程と、
    前記工程で軟化処理された鋼素材を、所定の形状に加工処理する工程と、
    加工処理された鋼素材の表面の金属組織をマルテンサイトとする第1回目の高周波熱処理工程と、
    第1回目の高周波熱処理工程で生成された表面のマルテンサイトのうち、表層側をマルテンサイトとし、この表層側マルテンサイトに続く内層側を焼戻しマルテンサイト、又は、焼戻しマルテンサイトとフェライトとパーライトとする第2回目の高周波熱処理工程と、
    を備えた機械構造部品の製造方法。
  2. 鋼素材は、質量%で、B:0.0005〜0.05%、Ti:0.02〜0.05%及びNi:0.01〜1.5%、からなるグループから選択された1種又は2種を含有してなる請求項1記載の機械構造部品の製造方法。
  3. 鋼素材を軟化処理して鋼素材の硬さを280HV以下する、請求項1又は2に記載の機械構造部品の製造方法。
  4. 機械構造部品は歯車である請求項1〜3のいずれかに記載の機械構造部品の製造方法。
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