JP5771399B2 - クランクシャフトへの焼入方法及びそのクランクシャフト - Google Patents

クランクシャフトへの焼入方法及びそのクランクシャフト Download PDF

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本発明は、クランクシャフトへの焼入方法及びそのクランクシャフトに関し、特に、レーザ光等の高密度エネルギービームでクランクシャフトを照射することで、クランクシャフトに硬化層を形成可能なクランクシャフトへの焼入方法及びそのクランクシャフトに関する。
従来、クランクシャフトへの焼入方法の一例として、例えば、特許文献1には、クランクシャフト等の焼入対象物の外周を加熱コイルで覆い、この加熱コイルに高周波を流し、高周波による焼入れを行う高周波焼入方法及び装置が開示されている。
また、クランクシャフトへの焼入方法の他例として、例えば、特許文献2には、レーザ光等のエネルギービームをクランクシャフト等の焼入対象物に照射することで、クランクシャフトの表面に硬化層を形成して焼入れを行うエネルギービームによる焼入方法及び焼入システムが開示されている。
また、特許文献3には、クランクシャフト等の焼入対象物に引張力を付与しながら高密度エネルギービームによりクランクシャフトのピン部の内周面に照射することで、予めクランクシャフトの変形量を調整して、クランクシャフトの変形を抑制することが可能なクランクシャフトの焼入方法が開示されている。
特開2001−226716号公報 特開2010−47789号公報 特公平6−19177号公報
ところで、上記特許文献1では、上述したように、高周波による焼入れを行っているため、クランクシャフトへの入熱量が大きくなる。これにより、上記特許文献1では、クランクシャフトの変形量が大きくなってしまうという技術的課題がある。
また、上記特許文献2では、上記特許文献1の高周波によるものより、変形量が小さい高密度エネルギービームによるものであり、変形量を抑制しているものの、焼入個所での周囲との熱容量が異なるという課題がある。
このため、上記特許文献2では、焼入れ深さにバラつきが生じてしまい、このバラつきが変形として生じてしまうという技術的課題がある。これにより、上記特許文献2では、クランクシャフトへの焼入工程の後に、歪取り作業が必要になってしまう。
また、上記特許文献3は、クランクシャフトへの焼入れ時に、クランクシャフトに引張力を付与することで、クランクシャフトの変形を抑制することが可能になるが、クランクシャフト自体の強度を低下させてしまい、焼入れによるクランクシャフトの強度の増加を阻害してしまう可能性がある。
本発明の目的は、上記従来の実状に鑑みて、高密度エネルギービームによるクランクシャフトへの焼入れ時に、クランクシャフトの変形を抑制することが可能なクランクシャフトへの焼入方法及びそのクランクシャフトを提供することにある。
このような課題を解決するために、本発明に係るクランクシャフトへの焼入方法は、クランクシャフトのピン部に高密度エネルギービームを照射し、上記ピン部に硬化層を形成するものであって、上記ピン部の照射領域の熱容量に応じて、上記高密度エネルギービームの出力態様を異ならせて照射し、上記高密度エネルギービームの出力態様は、上記ピン部の外周面のうち、上記ピン部の軸よりも上記クランクシャフトの回転軸から離れる外周面を第1照射領域とし、上記ピン部の軸よりも上記クランクシャフトの回転軸に合う外周面を第2照射領域とした場合、上記第1及び第2照射領域の熱容量に応じて、これら第1及び第2照射領域に前記高密度エネルギービームの出力態様を異ならせて照射し、上記高密度エネルギービームの出力態様は、上記第1及び第2照射領域に前記高密度エネルギービームを照射した後に、上記第2照射領域のみに前記高密度エネルギービームを照射している。
このような課題を解決するために、本発明に係るクランクシャフトは、ピン部と、アーム部と、ジャーナル部と、からなる本体部を備え、上記ピン部に高密度エネルギービームを照射して上記ピン部に焼入れ加工が施され、上記ピン部の外周面は、上記ピン部の軸よりも上記本体部の回転軸から離れる第1表層面と、上記ピン部の軸よりも上記本体部の回転軸に合う第2の表層面と、を有し、上記第1及び第2表層面は、当該第1及び第2表層面の熱容量に応じて、異なる高密度エネルギービームの出力態様により照射され、上記高密度エネルギービームの出力態様は、上記第1及び第2表層面に前記高密度エネルギービームを照射した後に、上記第2表層面のみに前記高密度エネルギービームを照射し、上記第1及び第2表層面への焼入れ深さが略同一となるように形成されている。
本発明のクランクシャフトへの焼入方法によれば、高密度エネルギービームによるクランクシャフトへの焼入れ時に、クランクシャフトの変形を抑制することが可能になる。これにより、焼入れ時に、クランクシャフトに引張力を付与する等、クランクシャフトへの矯正が不要になる。また、焼入れ後に、クランクシャフトへの歪取り加工が不要なる。
よって、本発明のクランクシャフトへの焼入方法によれば、焼入れ時に、クランクシャフトへの矯正が不要になることで、矯正設備及び矯正作業工程を施すことなく、クランクシャフトへの焼入れが可能になるため、製造コストを削減することができる。また、本発明のクランクシャフトへの焼入方法によれば、クランクシャフトへの矯正が不要になることで、矯正によるクランクシャフトの強度低下を抑制することができる。
本発明の一実施の形態であるクランクシャフトへの焼入方法の焼入治具の構成について、側方から模式的に示す側方面図である。 図1Aにおける線I−I´を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施の形態であるクランクシャフトへの焼入方法の工程を示すフローである。 本発明の一実施の形態であるクランクシャフトへの焼入方法におけるレーザ装置の出力態様を模式的に示すグラフである。 本発明の一実施の形態であるクランクシャフトの構成について、側方から模式的に示す側方面図である。 図4における線II−II´を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
まず、本発明の一実施の形態である焼入方法の焼入治具100の構成について、図1A及び図1Bを用いて説明する。図1Aは、本発明の一実施の形態であるクランクシャフト10への焼入方法の焼入治具100の構成について、側方から模式的に示す側方面図であり、図1Bは、図1Aにおける線I−I´を模式的に示す断面図である。
本実施の形態の焼入治具100は、後述する回転装置109によりクランクシャフト10を回転させながら、後述するレーザ装置110によりレーザ光等の高密度エネルギービームを照射することで、クランクシャフト10に硬化層を形成するものである。
図1A及び図1Bに例示されるように、この焼入治具100は、クランクシャフト10を回転させるための回転装置109と、回転装置109の駆動に起因して回転したクランクシャフト10に高密度エネルギービームを照射するためのレーザ装置110と、を備えて構成されている。
この回転装置109は、クランクシャフト10の軸方向のおける両端を支持するスピンヘッド103及びテールストック105を備えて構成されている。これらスピンヘッド103及びテールストック105は、基台101の両端に配設されている。
具体的には、基台101の一端側には、スピンヘッド103を支持する第1支持体102が配設されている。そして、スピンヘッド103を支持する第1支持体102には、スピンヘッド103を構成する軸受部103a、ベアリング103b、チャック103cが配設されている。
この軸受部103aは、ベアリング103bを介して第1支持体102に回転可能に支持されている。そして、軸受部103aには、チャック103cが連設されている。すなわち、チャック103cは、第1支持体102に軸受部103aを回転軸にして回動可能に支持されている。
一方、基台101の他端側には、テールストック105を支持する第2支持体104が配設されている。そして、テールストック105を支持する第2支持体104には、スピンヘッド103と同様に、テールストック105を構成する軸受部105a、ベアリング105b、チャック105cが配設されている。
この軸受部105aは、ベアリング105bを介して、第2支持体104に回転可能に支持されている。そして、軸受部105aには、チャックが連設されている。すなわち、チャック105cは、第2支持体104に軸受部105aを回転軸にして回動可能に支持されている。
そして、テールストック105には、回転駆動源106が接続されている。すなわち、テールストック105の軸受部105aは、回転駆動源106の駆動に起因して回転可能となっている。
そして、スピンヘッド103のチャック103cには、クランクシャフト10の一端側が回転可能に嵌め込まれている。また、テールストック105のチャック105cには、クランクシャフト10の他端側が回転可能に嵌め込まれている。
すなわち、クランクシャフト10は、これらスピンヘッド103のチャック103c及びテールストック105のチャック105cにより回転可能に支持されている。このため、クランクシャフト10は、クランクシャフト10の軸を中心にして回転可能に支持されているとともに、軸受部103a及び軸受部105aを軸にして、回動可能に支持されている。
また、基台101の略中央には、ローラ体107及びローラ体108が配設されている。これらローラ体107及びローラ体108の夫々には、第2ピン部12a及び第3ピン部13aに当接するローラ107a及びローラ108aを有して構成されている。これらローラ107a及びローラ108aは、クランクシャフト10の第2ピン部12a及び第3ピン部13aを支持している。
このため、回転装置109にクランクシャフト10を設置した際、クランクシャフト10自体の自重により第2ピン部12a及び第3ピン部13aの近傍が下方への撓み易くなるが、この撓みを抑止する役目を果たしている。
本実施の形態の焼入治具100は、上述したように、回転したクランクシャフト10に高密度エネルギービームを照射するレーザ装置110を備えて構成されている。このレーザ装置110は、上述したように、クランクシャフト10にレーザ光等の高密度エネルギービームを照射することで、クランクシャフト10に硬化層を形成している。
このレーザ装置110は、高密度エネルギービームの出力を制御する出力制御手段を備えて構成されている。すなわち、レーザ装置110の出力制御手段は、高密度エネルギービームの出力を高出力、或いは、低出力に制御可能となっている。
このため、レーザ装置110は、クランクシャフト10に高密度エネルギービームを照射する際、クランクシャフト10への照射個所に応じて高密度エネルギービームの出力を調節することが可能になる。
次に、本発明の一実施の形態であるクランクシャフト10への焼入方法について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、本発明の一実施の形態であるクランクシャフト10への焼入方法の工程を示すフローであり、図3は、本発明の一実施の形態であるクランクシャフト10への焼入方法におけるレーザ装置110の出力態様を模式的に示すグラフである。
なお、図2で示した本実施の形態の焼入方法は、クランクシャフト10を構成する複数の第1ピン部11a、第2ピン部12a、第3ピン部13a及び第4ピン部14aへの夫々に共通している。
したがって、ここでは、第3ピン部13aへの焼入方法について説明し、第1ピン部11a、第2ピン部12a及び第4ピン部14aへの焼入方法は、第3ピン部13aへの焼入方法と同様であるため、その説明を省略する。
また、第1ピン部11a、第2ピン部12a、第3ピン部13a及び第4ピン部14aへの焼入れ順序については、特に限定されず、一例として、クランクシャフト10の軸方向の外側に位置する第1ピン部11a及び第4ピン部14aに焼入れし、その後、クランクシャフト10の軸方向の内側に位置する第2ピン部12a及び第3ピン部13aに焼入れしても良い。
また、他例として、クランクシャフト10の軸方向の内側に位置する第2ピン部12a及び第3ピン部13aに焼入れし、その後、クランクシャフト10の軸方向の外側に位置する第1ピン部11a及び第4ピン部14aに焼入れしても良い。
ステップS1において、クランクシャフト10が回転装置109に設置された後に、レーザ装置110の位置決めを行い、クランクシャフト10の第3ピン部13aに照射可能となるように設定する。
ステップS2において、回転装置109の回転駆動源106を駆動させてクランクシャフト10の回転を開始する。なお、回転装置109の回転速度は、特に限定されず、焼入れ回数等に応じて、適宜、設定することが可能である。
省略しても良い。
ステップS3において、クランクシャフト10の第3ピン部13aにレーザ装置110による高密度エネルギービームを照射する。ここで、図1Bに例示されるように、第3ピン部13aの外周面のうち、第3ピン部13aの軸Xよりもクランクシャフト10の回転軸Yから離れる外周面を第1照射領域Aとし、第3ピン部13aの軸Xよりもクランクシャフト10の回転軸Yに合う外周面を第2照射領域Bとする。
ステップS4において、第1照射領域A及び第2照射領域Bに高密度エネルギービームの出力態様を異ならせて照射する。この出力態様の一態様として、図3に例示されるように、第1照射領域Aよりも第2照射領域Bに高密度エネルギービームの出力を高出力で照射する。
ここで、第1照射領域Aと第2照射領域Bとは周辺形状が異なるため、高密度エネルギービームに対する熱伝達特性が異なる。具体的には、第1照射領域Aよりも第2照射領域Bの方にクランクアーム13bが広がっている。
このため、第2照射領域Bは、第1照射領域Aよりも照射されたエネルギービームによる熱をクランクアーム13b側に伝達され易い状態となっている。一方、第1照射領域Aには、クランクアーム13b等の部位が周囲に存在しないため、照射された熱が周囲に伝達されにくく、径内方向へと伝達され易くなっている。
そこで、同等の高密度エネルギービームが照射された場合における照射箇所の周囲の形態の違いによる熱伝達の違いを、ここでは、熱容量の差で表現している。つまり、第1照射領域Aの熱容量よりも第2照射領域Bの熱容量の方が大きくなる。
本実施の形態のクランクシャフト10への焼入方法では、熱容量が小さい第1照射領域Aよりも熱容量が大きい第2照射領域Bに高出力の高密度エネルギービームを照射することで、第1照射領域Aと第2照射領域Bとの温度上昇を均一にすることが可能になる。
すなわち、高密度エネルギービームの照射後、冷却工程により、照射した部位が収縮するが、上述したように、第1照射領域Aと第2照射領域Bとの温度上昇を均一にしているため、収縮量も均一にすることが可能になる。
このように、第1照射領域Aと第2照射領域Bとの温度上昇を均一にすることで、収縮量も均一にすることが可能になり、レーザ装置110による第1ピン部11aの第1照射領域Aと第2照射領域Bへの焼入れ深さを均一にすることができる。
これにより、高密度エネルギービームによるクランクシャフト10への焼入れ時でのクランクシャフト10の変形を抑制することが可能になる。
また、出力態様の他の態様として、第1照射領域への高密度エネルギービームの出力をゼロとし、第2照射領域Bへの高密度エネルギービームの出力を所定の出力で照射する。すなわち、第2照射領域Bのみに高密度エネルギービームを照射する。
このように、熱容量が小さい第1照射領域Aに照射せず、熱容量が大きい第2照射領域Bのみに照射することで、第1照射領域Aと第2照射領域Bとの温度上昇を均一にすることが可能になる。
また、出力態様の他の態様として、第1照射領域Aと第2照射領域とに高密度エネルギービームの出力を同出力で照射する。その後、第1照射領域Aに高密度エネルギービームの出力をゼロとし、第2照射領域Bに高密度エネルギービームを所定の出力で照射する。すなわち、第2照射領域Bのみに高密度エネルギービームを照射する。
このように、最初、第1照射領域Aと第2照射領域Bとに高密度エネルギービームの出力を同出力で照射し、その後、第2照射領域Bのみに高密度エネルギービームを照射することで、第1照射領域Aと第2照射領域Bとの温度上昇を均一にしている。
また、出力態様の他の態様として、熱容量の大きい第2照射領域Bに、上述の出力態様の一態様よりも更に高密度エネルギービームの出力を高出力で照射する。このため、第1照射領域よりも第2照射領域Bの方が、温度上昇が高くなる。
これにより、第2照射領域Bの温度上昇を予め高くすることで、任意の方向への変形を制御することが可能になる。このように、高密度エネルギービームの出力により、任意の方向への変形を制御して、高密度エネルギービームによるクランクシャフト10への焼入れ時でのクランクシャフト10の変形を抑制しても良い。
また、出力態様の他の態様として、各ピン部の外周面を第1照射領域Aと第2照射領域Bとの2領域に分けて、これら第1照射領域Aと第2照射領域Bとで高密度エネルギービームの照射出力を変えるのではなく、3以上の領域に分けて高密度エネルギービームの照射出力を変えても良い。
また、出力態様の他の態様として、各ピン部の外周面の周方向位置に応じて連続的、或いは、段階的に高密度エネルギービームの照射出力を変えても良い。これにより、各ピン部の外周面の焼入れ深さを全体的に均一にすることができる。
なお、この場合、高密度エネルギービームの照射出力を各照射領域、もしくは照射位置における各ピン部の熱容量に応じて焼入れ設定する点は、本実施の形態と同様である。照射出力は事前の実験や解析等によって決定する。
ステップS5において、第1照射領域A及び第2照射領域Bへの照射を終了する。
ステップS6において、クランクシャフト10の回転を停止する。
以上のように、本実施の形態のクランクシャフト10への焼入方法によれば、高密度エネルギービームによるクランクシャフト10への焼入れ時に、第1照射領域A及び第2照射領域Bの熱容量に応じて、高密度エネルギービームの出力態様を異ならせることで、クランクシャフト10の変形を抑制することが可能になる。
これにより、クランクシャフト10への焼入れ時に、このクランクシャフト10に引張力を付与する等のクランクシャフトへの矯正が不要になるとともに、焼入れ後におけるクランクシャフトへの歪取り加工が不要なる。
よって、本実施の形態のクランクシャフト10への焼入方法によれば、焼入れ時でのクランクシャフト10への矯正が不要になることで、クランクシャフト10の強度低下を抑制することができる。
また、本実施の形態のクランクシャフト10への焼入方法によれば、焼入れ後に、クランクシャフト10への歪取り加工が不要になることで、作業工程にかかるコストを削減することができる。
次に、本実施の形態の焼入方法によって硬化層が形成されたクランクシャフト10の構成について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、本発明の一実施の形態であるクランクシャフト10の構成について、側方から模式的に示す側方面図であり、図5は、図4における線II−II´を模式的に示す断面図である。
図4に例示されるように、本実施の形態のクランクシャフト10は、4気筒の自動車エンジンに用いるものを想定している。すなわち、クランクシャフト10は、複数のジャーナル部15を備え、このジャーナル部15間に位置する第1ピン部11a、第2ピン部12a、第3ピン部13a及び第4ピン部14aを備えて構成されている。
そして、これら第1ピン部11a、第2ピン部12a、第3ピン部13a及び第4ピン部14aの夫々には、一対のクランクアーム11b、クランクアーム12b、クランクアーム13b及びクランクアーム14bが設けられている。
このように、第1ピン部11aには、一対のクランクアーム11bが設けられている。そして、第1ピン部11a及び一対のクランクアーム11bと同様に、第2ピン部12aには、一対のクランクアーム12bが設けられ、第3ピン部13aには、一対のクランクアーム13bが設けられ、第4ピン部14aには、一対のクランクアーム14bが設けられている。
図5に例示されるように、本実施の形態のクランクシャフト10は、第3ピン部13aの外周面に、上述のクランクシャフト10への焼入方法により形成された硬化層13dを有して構成されている。
なお、第3ピン部13aと同様に、第1ピン部11a、第2ピン部12a及び第4ピン部14aにも上述のクランクシャフト10への焼入方法により硬化層13dが形成されている。したがって、ここでは、第3ピン部13aに基づいて説明する。
このクランクシャフト10の第3ピン部13aの外周面は、この外周面のうち、第3ピン部13aの軸Xよりもクランクシャフト10の回転軸Yから離れる第1照射領域Aと、第3ピン部13aの軸Xよりもクランクシャフト10の回転軸Yに合う第2照射領域Bと、を有している。
そして、第1照射領域Aは、レーザ装置110により低出力で照射されている。一方、第2照射領域Bは、レーザ装置110により高出力で照射されている。ここで、第1照射領域Aと第2照射領域Bとは高密度エネルギービームに対する熱容量が異なる。具体的には、第1照射領域Aよりも第2照射領域Bの方にクランクアーム11bが広がっている。
このため、第1照射領域Aの熱容量よりも第2照射領域Bの熱容量の方が大きくなる。これに対し、本実施の形態のクランクシャフト10は、熱容量の小さい第1照射領域Aよりも熱容量が大きい第2照射領域Bに高出力の高密度エネルギービームを照射して形成されている。このため、クランクシャフト10は、第1照射領域Aと第2照射領域Bとの温度上昇が均一となるように形成されている。
このように、クランクシャフト10は、高密度エネルギービームの照射後、冷却工程により、照射した部位が収縮するが、上述したように、第1照射領域Aと第2照射領域Bとの温度上昇が均一となるように形成されているため、収縮量も均一となるように形成されている。
これにより、クランクシャフト10は、第1照射領域Aと第2照射領域Bとの温度上昇が均一となるように形成され、これに伴い、収縮量も均一となるように形成されているため、レーザ装置110による第3ピン部13aの第1照射領域Aと第2照射領域Bへの焼入れ深さ、すなわち、硬化層13dが均一となるように形成されている。
以上のように、本実施の形態のクランクシャフト10は、焼入れ深さを均一となるように形成されることで、焼入れ後、歪取り加工が不要なる。よって、本実施の形態のクランクシャフト10によれば、歪取り加工が不要になることで、作業工程にかかるコストを削減することができる。
10 クランクシャフト
11a 第1ピン部
12a 第2ピン部
13a 第3ピン部
14a 第4ピン部
A 第1照射領域
B 第2照射領域
X ピン部の軸
Y クランクシャフトの回転軸

Claims (2)

  1. クランクシャフトのピン部に高密度エネルギービームを照射し、
    前記ピン部に硬化層を形成するクランクシャフトへの焼入方法であって、
    前記ピン部の照射領域の熱容量に応じて、前記高密度エネルギービームの出力態様を異ならせて照射し、
    前記高密度エネルギービームの出力態様は、
    前記ピン部の外周面のうち、前記ピン部の軸よりも前記クランクシャフトの回転軸から離れる外周面を第1照射領域とし、前記ピン部の軸よりも前記クランクシャフトの回転軸に合う外周面を第2照射領域とした場合、
    前記第1及び第2照射領域の熱容量に応じて、これら第1及び第2照射領域に前記高密度エネルギービームの出力態様を異ならせて照射し、
    前記高密度エネルギービームの出力態様は、
    前記第1及び第2照射領域に前記高密度エネルギービームを照射した後に、
    前記第2照射領域のみに前記高密度エネルギービームを照射すること、
    を特徴とするクランクシャフトへの焼入方法。
  2. ピン部と、アーム部と、ジャーナル部と、からなる本体部を備え、
    前記ピン部に高密度エネルギービームを照射して前記ピン部に焼入れ加工が施されたクランクシャフトであって、
    前記ピン部の外周面は、前記ピン部の軸よりも前記本体部の回転軸から離れる第1表層面と、前記ピン部の軸よりも前記本体部の回転軸に合う第2の表層面と、を有し、
    前記第1及び第2表層面は、当該第1及び第2表層面の熱容量に応じて、異なる高密度エネルギービームの出力態様により照射され、
    前記高密度エネルギービームの出力態様は、
    前記第1及び第2表層面に前記高密度エネルギービームを照射した後に、
    前記第2表層面のみに前記高密度エネルギービームを照射し、
    前記第1及び第2表層面への焼入れ深さが略同一となるように形成されたこと、
    を特徴とするクランクシャフト。
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