JP2011250099A - アンテナアンプ装置、及びアンテナ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】弱入力時であっても雑音指数(NF)を低くしながらも良好な感度が得られるアンテナアンプ装置を提供する。
【解決手段】アンテナAで受信された高周波信号を増幅する増幅回路7を備え、入力インピーダンスが容量性を持つアンテナAと増幅回路7との間に、受信周波数に応じて増幅回路7への入力インピーダンスを切り替えるNFマッチング回路5を備え、NFマッチング回路5は、インダクタンスが異なる複数のコイルL1〜Lnと、受信周波数に応じて選択されるコイルをアンテナAと増幅回路7との間に接続するスイッチSWとを含み、NFマッチング回路5と増幅回路7との間に、ステップアップコイルSCが介挿されているアンテナアンプ装置。
【選択図】図1
【解決手段】アンテナAで受信された高周波信号を増幅する増幅回路7を備え、入力インピーダンスが容量性を持つアンテナAと増幅回路7との間に、受信周波数に応じて増幅回路7への入力インピーダンスを切り替えるNFマッチング回路5を備え、NFマッチング回路5は、インダクタンスが異なる複数のコイルL1〜Lnと、受信周波数に応じて選択されるコイルをアンテナAと増幅回路7との間に接続するスイッチSWとを含み、NFマッチング回路5と増幅回路7との間に、ステップアップコイルSCが介挿されているアンテナアンプ装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、アンテナアンプ装置、及びアンテナ装置に関する。
移動体に搭載されるAM放送、FM放送、デジタルテレビジョン放送等の受信システムでは、アンテナとオーディオ装置間のインピーダンスを整合して伝送ロスを改善し、S/N比の低下を防止するためにアンテナアンプ装置が用いられている。
特許文献1には、受信周波数の1/4波長の長さのアンテナ素子を備え、受信機の受信周波数に応じて常に最良のVSWRを呈する可変同調型アンテナ装置を提供することを目的として、受信用アンテナの基端部と受信機のアンテナ入力端との間に介挿されるLC直列共振回路とを備え、前記LC直列共振回路は、受信周波数に対応する直流制御電圧を印加されることにより、当該直流制御電圧に応じた静電容量値を呈する電子可変容量素子と、この電子可変容量素子と直列に接続され、前記電子可変容量素子が前記受信周波数の帯域の中心部に対応する可変容量範囲の中心部における静電容量値を呈したときの上記電子可変容量素子の容量性リアクタンス−jXcと等価な誘導性リアクタンス+jXLを有する誘導素子とを備え、受信周波数に応じた静電容量値に基づく直列共振が生じる如く設けられていることを特徴とする可変同調型アンテナ装置が提案されている。
また、特許文献2には、比較的広い周波数範囲で高利得が得られる自動車用アンテナ装置を提供することを目的として、アンテナと受信機間にインピーダンス整合回路を設けた自動車用アンテナ装置において、受信周波数帯域を上側と下側に2分し、上側用インピーダンス整合回路と、下側用インピーダンス整合回路と、受信周波数に応じて何れか一方のインピーダンス整合回路を選択する選択手段とを設けたことを特徴とする自動車用アンテナ装置が提案されている。
上述した従来のインピーダンス整合回路によれば、高い利得が得られるようになるが、必ずしも増幅回路の雑音指数(NF)が良好な値を得られるものではなかった。
一般に、増幅器の雑音指数(NF)は、信号源インピーダンスと増幅器の入力インピーダンスと増幅器を構成する増幅素子に固有の等価雑音抵抗によって定まることが理論的に裏づけられている。そして、入力インピーダンスと等価雑音抵抗は使用するトランジスタと接地形式によって決まるため、最終的に、雑音指数(NF)は信号源インピーダンスによって決まる。
アンテナアンプ装置に組み込まれる増幅回路として、一般的に高入力インピーダンスのFETが用いられている。そして、アンテナで受信された高周波信号を低損失でFETに入力するため、アンテナと増幅回路との間にステップアップコイルが接続されている。ステップアップコイルは、一次側コイルに対する二次側コイルの巻数比を大きくして、二次側のインピーダンスをさらに高くするためのトランスである。
しかし、ステップアップコイル等を用いて信号源インピーダンスを高インピーダンスにすると、信号レベルは改善されるが、FET自体の等価雑音抵抗の影響によって雑音電圧も高くなるため、雑音レベルも増加するという問題があった。
特に、移動体が弱電界地域を走行する際に、アンテナで受信される弱入力信号を増幅回路で増幅する場合に、雑音指数(NF)の悪化が顕著になる。
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、弱入力時であっても雑音指数(NF)を低くしながらも良好な感度が得られるアンテナアンプ装置、及びアンテナ装置を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明によるアンテナアンプ装置の特徴構成は、アンテナで受信された高周波信号を増幅する増幅回路を備え、入力インピーダンスが容量性を持つ前記アンテナと増幅回路との間に、受信周波数に応じて前記増幅回路への入力インピーダンスを切り替えるNFマッチング回路を備えている点にある。
上述の構成によれば、NFマッチング回路によって受信周波数に応じて増幅回路への入力インピーダンスが切り替えられるので、弱入力時であってもアンテナで受信された高周波信号が増幅回路で低い雑音指数(NF)で、感度良く増幅されるようになる。
このとき、NFマッチング回路と前記増幅回路との間に、ステップアップコイルが介挿されていると、低い雑音指数(NF)で、感度良く増幅される点でより好ましい。
そして、波長が長い放送波に対してアンテナ長が極めて短いアンテナを用いる場合には、アンテナインピーダンスが容量性となるため、前記NFマッチング回路は、インダクタンスが異なる複数のコイルと、受信周波数に応じて選択される前記コイルを前記アンテナと前記増幅回路との間に接続するスイッチとを含むことが好適である。
本発明によるアンテナ装置の特徴構成は、上述のアンテナアンプ装置を含み、複数のアンテナの近傍に配置され、各アンテナで受信された高周波信号をそれぞれ増幅するアンテナアンプ装置と、各アンテナアンプ装置から出力される高周波信号を復調する復調部と、前記復調部で復調された各復調信号を多重化する多重化処理部と、前記多重化処理部で多重化された復調信号を、データ伝送線を介してヘッドユニットに送信するデータ伝送装置と、前記データ伝送装置を介して前記ヘッドユニットから送信された選局情報に基づいて、前記NFマッチング回路を制御する高周波制御部を備えている点にある。
アンテナアンプ装置に備えたNFマッチング回路を制御する高周波制御部は、データ伝送線を介してヘッドユニットから送信された各アンテナアンプ装置に対する選局情報に基づいて集中制御できるため、ヘッドユニットから各アンテナアンプ装置に選局情報を送信するための個別の制御信号線を配線し、各アンテナアンプ装置を制御する個別の高周波制御部を構成するような場合に比べて、部品点数及び実装スペースの減少による低コスト化を図りながらも、高性能なアンテナ装置を実現できるようになる。
以上説明した通り、本発明によれば、弱入力時であっても雑音指数(NF)を低くしながらも良好な感度が得られるアンテナアンプ装置、及びアンテナ装置を提供することができるようになった。
以下、本発明によるアンテナアンプ装置、及びアンテナアンプ装置が組み込まれたアンテナ装置について説明する。
図7(a),(b)に示すように、移動体である自動車のリアガラスに、AM放送受信用のアンテナ、FM放送受信用のアンテナ、デジタルTV受信用のアンテナ等、信号系統が異なる複数のアンテナAが設置され、各アンテナの近傍に一つのアンテナ装置14が設置されている。尚、図では、三系統のアンテナ設置領域を一つに略記している。
運転席左前部にオーディオ機器のコントローラ60が配置され、その近傍に統合受信装置であるヘッドユニット40が配置されている。そして、アンテナ装置14とヘッドユニット40が二本のデータ伝送線L(L1,L2)と給電線PLで接続されている。
データ伝送線Lの一方はアンテナ装置14からヘッドユニット40に放送波データを伝送するデータ伝送線L1であり、他方はヘッドユニット40からアンテナ装置14に制御データを伝送する伝送線L2である。また、給電線PLを介してヘッドユニット40からアンテナ装置14に電力が供給される。
図8に示すように、アンテナ装置14は、本発明によるアンテナアンプ装置1と、復調処理部20と、送信処理部32及び受信処理部33を備えたデータ伝送装置30と、高周波制御部15等を備えている。
さらに、アンテナ装置14には、クロック信号源と必要な周波数のクロック信号を生成する分周器を備えたクロック回路16が設けられ、クロック回路16で生成されたクロック信号に基づいて復調処理部20、高周波制御部15、データ伝送装置30等が動作するように構成されている。
アンテナアンプ装置1(1a,1b,1c)は、信号系統が異なる複数のアンテナA1,A2,A3とそれぞれ同軸ケーブルで接続され、各アンテナで受信された高周波信号を増幅するように構成されている。
復調処理部20は、各アンテナアンプ装置1(1a,1b,1c)で処理された高周波信号をそれぞれ復調する復調部である復調回路21(21a,21b,21c)と、各復調回路21(21a,21b,21c)で復調された復調信号を多重化して、フレームデータを生成する多重化処理部22を備えている。
各復調回路21は、アンテナアンプ装置1から出力される高周波信号を中間周波数にダウンコンバートする周波数変換器、ダウンコンバートされた信号から低周波及び高周波成分を除去するバンドバスフィルタ、フィルタ後の信号をA/D変換するA/D変換器、直交変換器またはローパスフィルタ等を備えている。
例えば、アンテナA1でAM放送波が受信され、アンテナA2でFM放送波が受信され、アンテナA3でデジタルテレビジョン放送波が受信される場合、A/D変換されたAM放送及びFM放送の放送波データは、直交変換器を介してI成分とQ成分の直交データに変換された後に多重化処理部22に入力され、デジタルTVの放送波データは、ローパスフィルタを介して多重化処理部22に入力される。
多重化処理部22は、各復調回路21で復調されたAM,FM,DTVの各放送波データを多重化して時系列的に配列したフレームデータを順次生成する。多重化処理部22で生成されたフレームデータが、データ伝送装置30に備えた送信処理部32によってヘッドユニット40に順次伝送される。
図9には、多重化処理部22によって生成された送信フレームの一例が示されている。各送信フレームFは各フレームのヘッダ情報が格納される8ビットの先頭シンボル領域と、最大64ビットの可変長のデータ領域と、各フレームの終了情報が格納される8ビットの終了シンボル領域で構成され、一回の多重化処理で最大256フレームが生成される。第1フレーム及び第2フレームには、全送信フレームに関するヘッダ情報が格納され、第3フレームから第256フレームに実際に受信され、所定段階まで復調されたAM,FM,DTVの各放送波データが格納される。
先頭シンボル領域の先頭の2ビットには、フレームの先頭を示す「00」が格納され、続く6ビットには各フレームのデータ長を示すデータが格納される。終了シンボル領域の最後の2ビットには、フレームの終了を示す「11」が格納される。また、全送信フレームに関するヘッダ情報には、信号系統毎の選局情報、データ数、フレーム数等を示すデータが格納される。尚、当該フレーム構成は一例に過ぎず、本発明のアンテナ装置に適用されるフレーム構成がこのような例に制限されるものではない。
ヘッドユニット40には、受信処理部63及び送信処理部62を備えたデータ伝送装置60と、デジタルシグナルプロセッサ及びその周辺回路で構成された出力処理部50と、制御部54等を備えている。出力処理部50には、信号分離処理部51と、再生部52(52a,52b,52c)と、D/A変換器53(53a,53b,53c)が設けられている。
さらに、ヘッドユニット40には、クロック信号源と、必要な周波数のクロック信号を生成する分周器を備えたクロック回路55が設けられ、クロック回路55で生成されたクロック信号に基づいて、信号分離処理部51、再生部52、D/A変換器53、制御部54、データ伝送装置60等が動作するように構成されている。
アンテナ装置14に備えたデータ伝送装置30と、ヘッドユニット40に備えたデータ伝送装置60との間で、データ伝送線L(L1,L2)を介して全二重通信が行なわれる。尚、本実施形態では、全二重通信を実現するためのハードウェア構成や通信プロトコル等は特に制限されるものではなく、公知のハードウェア構成や通信プロトコルを適宜用いて実現されている。
アンテナ装置14に備えた送信処理部32から送信され、ヘッドユニット40の受信処理部63で受信されたフレームデータは、信号分離処理部51に入力される。信号分離処理部51で元の各放送波データに分離され、分離された各放送波データが各再生部52に入力される。各再生部52で再生されたデジタル復調信号がD/A変換器53を介してアナログ信号に変換され、各オーディオ機器に出力される。
操作者がオーディオ機器のコントローラ60を操作することにより、所望の放送波及び放送局が選択される。当該コントローラ60から選局情報等の制御情報がヘッドユニット40の制御部54に入力されると、制御部54によって当該選局情報等の制御情報を含むフレームデータが生成され、当該フレームデータが送信処理部62を介してアンテナ装置14の受信処理部33に伝送される。
制御部45で生成されるフレームは、8ビットの先頭シンボル領域と、16ビットの固定長のデータ領域と、各フレームの終了情報が格納される8ビットの終了シンボル領域で構成されている。先頭シンボル領域及び終了シンボル領域のデータ構成は上述と同様であり、データ領域に選局情報等の制御情報が設定される。
ヘッドユニット40の送信処理部62を介してアンテナ装置14の受信処理部33に送信されたフレームデータに含まれる選局情報等の制御情報が、高周波制御部15に入力され、高周波制御部15は当該制御情報に基づいてアンテナアンプ装置1及び復調部20を制御するように構成されている。
以下、アンテナアンプ装置1について詳述する。
図4に示すように、各アンテナアンプ装置1は、アンテナAの近傍に配置され、アンテナAで受信された高周波信号が入力される弱入力回路2及び強入力回路3と、弱入力回路2及び強入力回路3の何れか一方の出力を選択的に後段の復調処理部20(図8参照)に出力する切替回路10を備えている。
図4に示すように、各アンテナアンプ装置1は、アンテナAの近傍に配置され、アンテナAで受信された高周波信号が入力される弱入力回路2及び強入力回路3と、弱入力回路2及び強入力回路3の何れか一方の出力を選択的に後段の復調処理部20(図8参照)に出力する切替回路10を備えている。
切替回路10は、弱入力回路2からの出力信号と強入力回路3からの出力信号が入力され、何れか一方の高周波信号を後段に出力するアナログのスイッチ回路10bと、AGC回路9から出力されるAGC信号に基づいて、スイッチ回路10bを制御する切替制御回路10aを備えている。
自動車が弱電界地域を走行する際には、アンテナAで受信された高周波信号が弱入力回路2で処理された後に切替回路10によって復調処理部20(図8参照)に入力され、自動車が強電界地域を走行する際には、強入力回路3で処理された後に切替回路10によって復調処理部20(図8参照)に入力されるように構成されている。
弱入力回路2には、アッテネータ4と、マッチング回路5と、フィルタ回路6と、増幅率一定の増幅回路7が設けられている。さらに、増幅回路7の出力信号レベルに応じてアッテネータ4による高周波信号の減衰率を制御するAGC回路9が設けられている。
AGC回路9によってアッテネータ4で適正レベルに減衰された高周波信号は、マッチング回路5、フィルタ回路6を介して増幅回路7により波形歪が生じることなく増幅される。尚、フィルタ回路6は、必須の回路ブロックではなく、必要に応じて設ければよい。
FM放送波やデジタルテレビジョン放送波に対応するアンテナアンプ装置1に組み込まれるマッチング回路5は、例えば、公知のLC共振回路等を用いて構成され、図8で説明した選局情報に基づいて高周波制御部15から出力されるマッチング制御信号に基づいてその周波数特性が調整され、アンテナAとインピーダンスマッチングされる。
図1(a)に示すように、AM放送波等、波長10m以上の放送波(HF(high frequency),MF(medium frequency)等の放送波)を受信するアンテナアンプ装置1に組み込まれるマッチング回路5は、受信周波数に応じて増幅回路7への入力インピーダンスを切り替えるNFマッチング回路で構成されている。
AM放送波等の波長10m以上に及ぶ放送波を受信するためのアンテナAは、その波長に比べて極めて長さが短く、その入力インピーダンスは容量性で極めて高い値を示す。そのため、このような放送波に対応する増幅回路7として、高入力インピーダンスのFETが好適に用いられる。
図2(a)には、FETの入力等価回路が示されている。その入力インピーダンスは数kΩであり、アンテナを含む信号源のインピーダンスが高くなると、FET素子自体の雑音源である等価入力雑音電流が増加していわゆるショットノイズが発生する。そのため、特に弱入力時には増幅回路7により信号レベルが改善されるが、同時に等価入力雑音電圧も上昇してS/N比が悪くなる。
そこで、図1(b)に示すように、インダクタンスが異なる複数のコイルL1,L2,・・・,Ln(nは2以上の任意の整数)と、受信周波数に応じて選択されるコイルをアンテナAと増幅回路7との間に接続するスイッチSWを備えたNFマッチング回路5が設けられている。尚、531kHz〜1602kHzのAM放送波では、nの値は5乃至6に設定され、この周波数帯域で5乃至6段階でNFマッチングされる。
容量性インピーダンスとなるアンテナ(容量C)と直列接続されたNFマッチング回路5によってLC共振回路が構成され、図8で説明した選局情報、つまり受信周波数に基づいて高周波制御部15から出力されるNFマッチング制御信号によって、増幅回路7への入力インピーダンスが小さくなるようにスイッチSWが切り替えられる。
尚、図ではコイルL1〜Lnの両端にスイッチSWが設けられた構成を示しているが、選択されていないコイルの影響が回路に現れない限り、アンテナ側の一端をアンテナに全て接続し、他端側にのみスイッチSWを設けてもよいし、アンテナ側の一端にのみスイッチSWを設けて、他端側を全て増幅器7に接続してもよい。
回路に組み込まれるスイッチSWとして、メカニカルなリレー回路を採用することが可能である。さらには、RF−MEMSスイッチ等の半導体スイッチを採用することも可能である。
図2(b)には、受信周波数に対する等入力雑音電圧の特性図が示されている。受信周波数に対応して切り替えられるスイッチSWによって、共振回路の共振周波数が変化して等入力雑音電圧が低くなるようにNFマッチング回路5が構成されている。
図1(c)には、NFマッチング回路5と増幅回路7との間に、ステップアップコイルSCが介挿された例が示されている。ステップアップコイルSCは、一次側コイルに対する二次側コイルの巻数比を大きくして、二次側のインピーダンスをさらに高くするためのトランスである。
ステップアップコイルSCを用いる場合には、NFマッチング回路5によってNFマッチングが図られた状態で、高周波信号がステップアップコイルSCを介して増幅回路7に供給されるようになるので、FETのショットノイズを効果的に低減させながらも、S/N比の良好な信号電圧を得ることができるようになる点で優れた回路構成となる。
上述したNFマッチング回路5は、容量性のアンテナインピーダンスを利用して複数のコイルとスイッチとで構成された例であるが、コンデンサとコイルを組み合わせた共振回路でNFマッチング回路5が構成されるものであってもよい。
図3(a)には、コイルとコンデンサの直列共振回路で構成され、直列共振回路が、キャパシタンスが異なる複数のコンデンC1〜Cn(nは2以上の任意の整数)と、受信周波数に応じて選択されるコンデンサCをコイルLに接続するスイッチSWで構成されたNFマッチング回路5が示されている。この場合も、受信周波数に対応して切り替えられるスイッチSWによって、共振回路の共振周波数が変化して等入力雑音電圧が低くなるようにNFマッチング回路5が構成されている。
図3(b)には、コイルとコンデンサの直列共振回路で構成され、コンデンサが、受信周波数に応じてキャパシタンスが可変に調整されるバリキャップダイオードVCDで構成されたNFマッチング回路5が示されている。この場合は、受信周波数に対応してバリキャップダイオードVCDに印加される制御電圧によって、共振回路の共振周波数が変化して等入力雑音電圧が低くなるようにNFマッチング回路5が構成されている。
上述した強入力回路3には、アッテネータ4を介して入力される高周波信号から強入力妨害波を除去する可変同調回路8が設けられている。
図6(a)には、可変同調回路8の一例が示されている。可変同調回路8はコイルL11,L12とコンデンサC11,C12,C13とバリキャップダイオードVCDを備えたLC共振回路で構成されている。抵抗R11を介して入力される可変同調制御信号によってバリキャップダイオードVCDの容量が調整されることにより、選局周波数以外の周波数成分が減衰されて後段に出力されるAM放送波、FM放送波に好適な回路である。可変同調制御信号は、図8で説明した選局情報に基づいて高周波制御部15から出力される信号である。尚、上述した可変同調回路8は一例であり、このような回路構成に限るものではない。
つまり、アッテネータ4を介して強入力回路3に入力される高周波信号は、可変同調回路8によって希望波の周波数帯と同調されることにより妨害波が除去される。
図5(a),(b)に示すように、アッテネータ4は、コンデンサC1,C2、PINダイオードPD1,PD2、抵抗R1,R2を備えて構成されている。AGC端子CTMから入力されるAGC信号によりPINダイオードPD1,PD2の抵抗値が制御され、入力端子ITMから入力される高周波信号が所定の減衰率で減衰されて第1出力端子OTM1から出力され、後段の可変マッチング回路5に出力される。PINダイオードPD2のカソードと接地間に抵抗R2が接続され、PINダイオードPD2と抵抗R2の接続点に第2出力端子OTM2が設けられている。
AGC回路9は、増幅回路7の出力レベルを検知するダイオード検波回路とダイオード検波回路の出力を増幅するオペアンプを備えたフィードバック回路である。増幅回路7の出力レベルが上昇するに連れてその出力であるAGC信号の信号レベルが高くなり、増幅回路7の出力レベルが下降するに連れてAGC信号の信号レベルが低くなるように構成されている。
つまり、アンテナAで受信される高周波信号の電界強度が異常に高い強入力状態になると、増幅回路7で波形歪が発生する虞があるために、アッテネータ4による信号の減衰率を上昇させるべく、AGC信号の信号レベルが高くなり、アンテナAで受信される高周波信号の電界強度が弱い弱入力状態になると、増幅回路7で波形歪が発生する虞が無いために、アッテネータ4による信号の減衰率を下降させるべく、AGC信号の信号レベルが低くなる。
図5(a)に示すように、弱入力時には、AGC端子CTMから入力されるAGC信号の信号レベルが十分に低くなり、PINダイオードPD1,PD2がほぼオープン状態になるために、入力端子ITMから入力された高周波信号が減衰されることなく第1出力端子OTM1から出力されるとともに、第2出力端子OTM2からは大きく減衰された高周波信号が出力される。
図5(b)に示すように、強入力時には、AGC端子CTMから入力されるAGC信号の信号レベルが十分に高くなり、順方向にバイアスされるPINダイオードPD1,PD2がほぼショート状態になるために、入力端子ITMから入力された高周波信号がPINダイオードPD1,PD2と抵抗R2で減衰されて第1出力端子OTM1から出力されるとともに、第2出力端子OTM2からは減衰されることなく高周波信号が出力される。アッテネータ4による高周波信号の減衰の程度はAGC信号の信号レベルで調整される。
つまり、アッテネータ4は、AGC信号により制御されるPINダイオードPD1,PD2を含む減衰回路と、減衰回路により強入力時に大きな減衰率で減衰され、弱入力時に小さな減衰率で減衰された高周波信号を増幅回路7に出力する第1出力端子OTM1と、強入力時に小さな減衰率で減衰され、弱入力時に大きな減衰率で減衰された高周波信号を可変同調回路8に出力する第2出力端子OTM2を備えている。
図6(b)には、切替回路10の例が示されている。アナログのスイッチ回路10bには、弱入力回路2からの出力信号と、強入力回路3からの出力信号が入力されている。スイッチ回路10bの制御信号端子S1,S2に入力される信号値に基づいて、弱入力回路2からの出力信号と強入力回路3からの出力信号の何れか一方が後段に出力される。
制御信号端子S1がハイレベル、制御信号端子S2がローレベルのときに、弱入力回路2からの出力信号が後段に出力され、制御信号端子S1がローレベル、制御信号端子S2がハイレベルのときに、強入力回路3からの出力信号が後段に出力される。
切替制御回路10aは、第1オペアンプOP1と第2オペアンプOP2で構成され、電源電圧が抵抗R21,R22の分圧回路で分圧された第1基準電圧が第1オペアンプOP1の非反転入力端子に入力され、反転入力端子にAGC信号が入力されている。AGC信号が第1基準電圧より高いときに第1オペアンプOP1からローレベルが出力され、AGC信号が第1基準電圧より低いときに第1オペアンプOP1からハイレベルが出力される。
第1基準電圧は、増幅回路7により増幅される高周波信号に波形歪が生じないように減衰可能なアッテネータ4の最大減衰率に対応するAGC信号の信号電圧より僅かに低い値に設定されている。
第2オペアンプOP2は、第1オペアンプOP1の出力論理を反転させるための回路で、電源電圧が抵抗R23,R24の分圧回路で分圧された第2基準電圧が第2オペアンプOP2の非反転入力端子に入力され、反転入力端子に第1オペアンプOP1の出力が入力されている。第2基準電圧は電源電圧の1/2に設定されている。
以上説明したアンテナ装置14は、信号系列が異なるAM,FM,DTVの各アンテナから受信した高周波信号を増幅するアンテナアンプ装置1と、復調処理部20と、データ伝送装置30を備えた例を説明したが、受信する放送波はAM,FM,DTVに限るものではなく、また、接続されるアンテナの本数も3本に限定されるものではない。
そして、本発明によるアンテナ装置14は、上述したAM放送波等の波長10m以上に及ぶ放送波を受信するためのアンテナアンプ装置1が一つでも含まれていればよい。
また、復調処理部20の構成も上述の例に限るものではなく、アンテナで受信した高周波信号を復調処理部20で完全に復調した後にヘッドユニットに伝送する態様ばかりでなく、アンテナで受信した高周波信号を復調処理部20で中間段階まで復調した後にヘッドユニットに伝送し、ヘッドユニット側で最終の復調処理を実行するブロックを設けるものであってもよい。何れの場合にも、復調処理部20の具体的な回路構成は、受信する放送波の種類に対応して適宜構成されるものである。
上述の実施形態では、アンテナアンプ装置1がアンテナ装置14に組み込まれた例を説明したが、本発明によるアンテナアンプ装置1は、アンテナ装置14に組み込まれること無く、スタンドアロンで構成される場合にも適用可能である。この場合には、チューナ装置から受信周波数に対応してスイッチSWを切り替え、或はバリキャップダイオードVCDを制御するためのNFマッチング制御信号をアンテナアンプ装置1に出力すればよい。
上述の実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等は適宜変更設計できることは言うまでもない。
1:アンテナアンプ装置
2:弱入力回路
3:強入力回路
4:アッテネータ
5:NFマッチング回路(マッチング回路)
6:フィルタ回路
7:増幅回路
8:可変同調回路
9:AGC回路
10:切替回路
10a:切替制御回路
10b:スイッチ回路
14:アンテナ装置
15:高周波制御部
30:データ伝送装置
40:ヘッドユニット
L:コイル
C:キャパシタ
SC:ステップアップコイル
SW:スイッチ
2:弱入力回路
3:強入力回路
4:アッテネータ
5:NFマッチング回路(マッチング回路)
6:フィルタ回路
7:増幅回路
8:可変同調回路
9:AGC回路
10:切替回路
10a:切替制御回路
10b:スイッチ回路
14:アンテナ装置
15:高周波制御部
30:データ伝送装置
40:ヘッドユニット
L:コイル
C:キャパシタ
SC:ステップアップコイル
SW:スイッチ
Claims (7)
- アンテナで受信された高周波信号を増幅する増幅回路を備え、
入力インピーダンスが容量性を持つ前記アンテナと増幅回路との間に、受信周波数に応じて前記増幅回路への入力インピーダンスを切り替えるNFマッチング回路を備えているアンテナアンプ装置。 - 前記NFマッチング回路と前記増幅回路との間に、ステップアップコイルが介挿されている請求項1記載のアンテナアンプ装置。
- 前記NFマッチング回路は、インダクタンスが異なる複数のコイルと、受信周波数に応じて選択される前記コイルを前記アンテナと前記増幅回路との間に接続するスイッチとを含む請求項1または2記載のアンテナアンプ装置。
- 前記NFマッチング回路は、コイルとコンデンサの直列共振回路で構成され、前記直列共振回路は、キャパシタンスが異なる複数のコンデンサと、受信周波数に応じて選択される前記コンデンサを前記コイルに接続するスイッチとを含む請求項1または2記載のアンテナアンプ装置。
- 前記NFマッチング回路は、コイルとコンデンサの直列共振回路で構成され、前記コンデンサは、受信周波数に応じてキャパシタンスが可変に調整されるバリキャップダイオードを含む請求項1または2記載のアンテナアンプ装置。
- 前記アンテナで受信される高周波信号が、波長10m以上の放送波である請求項1から5の何れかに記載のアンテナアンプ装置。
- 請求項1から6の何れかに記載のアンテナアンプ装置を含み、複数のアンテナの近傍に配置され、各アンテナで受信された高周波信号をそれぞれ増幅するアンテナアンプ装置と、
各アンテナアンプ装置から出力される高周波信号を復調する復調部と、
前記復調部で復調された各復調信号を多重化する多重化処理部と、
前記多重化処理部で多重化された復調信号を、データ伝送線を介してヘッドユニットに送信するデータ伝送装置と、
前記データ伝送装置を介して前記ヘッドユニットから送信された選局情報に基づいて、前記NFマッチング回路を制御する高周波制御部を備えているアンテナ装置。
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