JP2011246354A - 皮膚外用剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】美肌用の化粧料などに好適な皮膚外用剤の提供。
【解決手段】1)アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ(AGEs:AdvancedGlycationEndproducts)分解剤と、2)抗シワ剤とを含有する皮膚外用剤。アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ分解剤としては、モクセイ科オリ−ブ属、ユキノシタ科ユキノシタ属、バラ科ポテンチラ属、マメ科アスパラトゥス属、バラ科シモツケソウ属、キク科ヨモギ属、マメ科ゲンゲ属に属する植物の抽出物が例示される。抗シワ抗シワ剤としては、ビタミンA、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、トリテルペン酸、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、真皮コラ−ゲン線維束再構築作用を有する植物抽出物が好適に例示出来る。
【選択図】なし

Description

本発明は、化粧料(但し、医薬部外品を含む)などに好適な皮膚外用剤に関し、詳しくは、1)アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ(AGEs:Advanced Glycation End-products)分解剤と、2)抗シワ剤とを含有する皮膚外用剤に関する。
シワ、シミ、くすみ、たるみをはじめとする肌の老化現象は、温度変化及び紫外線暴露等の長年に渡る物理的刺激によるダメ−ジの蓄積に加え、遺伝的な要因により加齢と共に顕在化する。シワ、たるみ、くすみ等の皮膚老化現象は、皮膚中に存在する膠原線維(コラ−ゲン)や弾性線維(エラスチン)等の構成成分の減少及び変性による皮膚構造の変化により、肌のはりが失われ、同時に、表情を作る表情筋の運動機能の衰えることにより発生することが知られている。さらに、長い時間を掛け進行する肌の老化現象は、一般的に単独よりはむしろ複数の老化症状が累積した複雑な形態をとって現れる。このため、加齢による肌症状の悪化は、肌の美観を美しく保つことが重要な関心事である人にとっては、大きな悩みとなる。この様な皮膚老化症状の悪化を予防又は改善し、若々しい肌を取り戻す手段を求め、今尚、様々な研究がなされている。
前述の皮膚老化現象の内、特に、シワ形成に対する予防又は改善に対する注目は、非常に高い。また、皮膚の物理的な形状の変化に類するシワやたるみの形成に加え、見た目の印象に大きな影響を与える要素には、皮膚の透明感、肌つやの良さなどの肌の質感が存在する。この様な肌の形態及び質感的な複数の皮膚症状の悪化を、同時に、予防又は改善することにより、若々しい肌が実現出来ると言える。言い換えれば、単独の皮膚症状の悪化を予防又は改善することでは、これまでの経験を通じても、十分に満足のいく若々しい肌を実現することは難しいとも言える。
シワやたるみの形成に対する予防又は改善に関しては、シワ又はたるみ形成の作用機序の解析、更には、解明された作用機序に関する情報を基にした抗シワ剤、抗老化剤の研究開発が盛んに行われている。シワ形成の作用機序としては、紫外線暴露などによる細胞の損傷とそれによって亢進される細胞のアポト−シス、マトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)等のプロテア−ゼの発現の亢進によるコラ−ゲン等の線維成分の加水分解、さらには、サイトカインの亢進による線維束の崩壊等が既に報告されている。この様なシワ形成の作用機序解析による情報を基に、抗シワ剤(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)が数多く開発されている。特に、シワ形成の予防又は改善作用を有する成分としては、レチノイン酸(例えば、非特許文献1を参照)が有名である。レチノイン酸は、米国においてシワ、にきびの治療医薬品として認可されており、実効性も照明されている。しかしながら、レチノイン酸には、皮膚への刺激をはじめとする安全性面に大きな課題が存するため、日本においては、認可されていない。また、レチノイン酸以外のシワ形成に対する予防抗又は改善作用を有する成分としては、抗シワ剤(例えば、特許文献3を参照)、コラ−ゲン産生促進剤(例えば、特許文献4を参照)、ヒアルロン酸産生促進剤(例えば、特許文献5を参照)等が知られている。また、トリテルペン酸、又は、そのベンジル誘導体に付いては、光照射により生じる真皮コラ−ゲン線維束の崩壊により形成されるシワに対し、真皮コラ−ゲン線維束構造を再構築し、改善効果を示すことが知られている(例えば、特許文献6を参照)。しかしながら、前述したシワ形成に対する予防又は改善作用を有する成分は、薬効面に加え、安定性、安全性などに課題が存するものもあり、実際には、十分な予防又は改善効果が得られない場合も存する。このため、新たなシワ又はたるみの形成を予防又は改善する成分の創出に加え、既存の抗シワ剤の効果を増強させる成分に期待が寄せられている。また近年では、新規有効成分の創出が困難にあっている状況を踏まえ、抗シワ剤などの作用を効果的に増強する成分及び製剤技術の開発が望まれている。シ形成に付いても、又、AGEsの蓄積に付いても、それらの現象が皮膚の外観印象に与えるイメ−ジは大きく、これらの因子が、関連しながらも、独立している部分が存することも考慮すると、美しい肌の具現化には、かかる2つの因子を共に改善させる作用が望まれる。さらに、シワ形成の予防又は改善に留まらず、他の皮膚症状の悪化を同時に改善することにより、見た目の皮膚症状を劇的に改善出来る成分の登場が切望されている。
一方、1912年にL.C.Mallardにより発見された、アミノ酸及び還元糖の非酵素的な縮合反応により生じる最終生成物である終末糖化産物(AGEs:Advanced Glycation End-products)には、その特性により数十種類の化合物(例えば、クロスリン、ピロピリジン、ペントシジン、ピラリン、カルボキシメチルリジンなど)が存し、様々な性質を示すことが知られている。AGEsが関与する疾患としては、糖尿病性血管合併症、動脈硬化、アルツハイマ−病などの様々な疾患が知られている(例えば、非特許文献2を参照)。また、皮膚に関しては、表皮(例えば、特許文献7を参照)及び真皮(例えば、特許文献8を参照)におけるAGEsの存在は、既に知られている。さらに、真皮AGEsの産生を抑制することによる皮膚老化防止又は改善作用(例えば、特許文献9を参照)が得られることが知られているが、角層中にAGEsが存在すること、並びに、その働きは全く知られていなかった。さらには、AGEs分解剤、取り分け、表皮及び/又は真皮に存在するAGEs量を減少させる作用を有する成分と、抗シワ剤を共に皮膚外用剤中に含有させることより、シワ形成に対する予防又は改善作用を増強させる効果が発揮されること、同時に、皮膚透明感等の皮膚老化現象を改善することにより、見た目の皮膚状態を改善することは全く知られていなかった。また、皮膚内のAGEsについては、蛍光を利用して計測する方法が知られている(例えば、特許文献10を参照)。
特開2009−091283号公報 特開2009−242332号公報 特開平07−041419号公報 特開平07−285846号公報 特開2007−051091号公報 WO/2007/148474号公報 再表2006−132033号公報 特開2009−008460号公報 特開2003−261432号公報 特開2009−247430号公報
老化防止・美白・保湿化粧料の開発技術、シ−エムシ−出版、鈴木正人 監修 山岸昌一 編集、AGEs研究の最前線 糖化蛋白質関連疾患研究の現状(メディカルレビュ−社、P231、(2004)
本発明は、この様な状況下において為されたものであり、外観イメ−ジを著しく改善する作用を有する、美肌用に好適な皮膚外用剤を提供することを課題とする。
この様な状況に鑑みて、本発明者等は、美肌用に好適な組成物を求めて、鋭意努力を重ねた結果、1)アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ(AGEs:Advanced Glycation End-products)分解剤と、2)抗シワ剤を含有することを特徴とする組成物が、美肌作用に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は、以下に示す通りである。
<1> 1)アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ(AGEs:Advanced Glycation End-products)分解剤と、2)抗シワ剤とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
<2> 前記のAGEs分解剤が、下記の植物抽出物よりなることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
(植物)モクセイ科オリ−ブ属、ユキノシタ科ユキノシタ属、バラ科ポテンチラ属、マメ科アスパラトゥス属、バラ科シモツケソウ属、キク科ヨモギ属、マメ科ゲンゲ属に属する植物
<3> 前記のモクセイ科オリ−ブ属、ユキノシタ科ユキノシタ属、バラ科ポテンチラ属、マメ科アスパラトゥス属、バラ科シモツケソウ属、キク科ヨモギ属、マメ科ゲンゲ属に属する植物が、モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブ、ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタ、バラ科ポテンチラ属トルメンチラ、バラ科キジムシロ属カワラサイコ、バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバエ、マメ科アスパラトゥス属ルイボス、バラ科シモツケソウ属シモツケソウ、キク科ヨモギ属ヨモギ、マメ科ゲンゲ属レンゲソウであることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の皮膚外用剤。
<4> 前記のAGEs分解剤が、皮膚の角層中に存在するAGEsの分解作用を有することを特徴とする、<1>〜<3>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<5> 前記の抗シワ剤が、ビタミンA、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、トリテルペン酸、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、真皮コラ−ゲン線維束再構築作用を有する植物抽出物であることを特徴とする、<1>〜<4>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<6> 前記のビタミンA又はその誘導体が、レチノ−ル、レチナ−ル、レチノイン酸、トレチノイン、イソトレチノイン、レチノイン酸トコフェロ−ル、パルミチン酸レチノ−ル、酢酸レチノ−ル、水添レチノ−ルより選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、<1>〜<5>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<7> 前記のトリテルペン酸又はその誘導体のトリテルペン酸残基が、ウルソ−ル酸、ベツリン酸又はそれらの酸の残基であることを特徴とする、<1>〜<5>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<8> 前記のトリテルペン酸、その誘導体が、トリテルペン酸、トリテルペン酸ベンジルエステル、トリテルペン酸リン酸エステルであることを特徴とする、<7>に記載の皮膚外用剤。
<9> 前記の真皮コラ−ゲン線維束再構築作用を有する植物抽出物が、下記に示す植物抽出物より選択される1種また2種以上であることを特徴とする、<1>〜<5>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<真皮コラ−ゲン線維束再構築作用を有する植物抽出物>
フトモモ科フトモモ属チョウジノキより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属オトギリソウより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属セイヨウオトギリソウより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属ヒメオトギリより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属トモエソウより得られる植物抽出物、スイカズラ科ニワトコ属セイヨウニワトコより得られる植物抽出物、キク科ヤグルマギク属ヤグルマギクより得られる植物抽出物、シソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物抽出物
<10> 前記のAGEs分解剤が、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜10質量%含有することを特徴とする、<1>〜<9>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<11> 前記の抗シワ剤が、皮膚外用剤全量に対し、0.00001質量%〜15質量%含有することを特徴とする、<1>〜<10>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<12> 美肌用であることを特徴とする、<1>〜<11>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<13> 美肌作用が、たるみ又はシワ形成の予防又は改善作用であることを特徴とする、<12>に記載の皮膚外用剤。
<14> 美肌作用が、皮膚透明感の改善作用であることを特徴とする、<12>に記載の皮膚外用剤。
<15> 油中水乳化剤形であることを特徴とする、<1>〜<14>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<16> 更に、好ましい製剤成分を含有することを特徴とする、<1>〜<15>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<17> 化粧料を使用すべき人の皮膚において、励起光によって皮膚から生じる蛍光を計測し、該蛍光強度から推測される皮膚内のAGEs量が多かった場合に、その人に使用されるべき化粧料であることを特徴とする、<1>〜<16>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<18> 化粧料を使用すべき人の皮膚において、該皮膚表面のレプリカを作製し、皮溝、皮丘の形状を分析した場合、該皮溝、皮丘の差が小さく、且つ、大きな断絶の存する特徴を有する場合に、その人に使用されるべき化粧料であることを特徴とする、<1>〜<17>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<19> 次に示す態様で使用されることを特徴とする、<1>〜<19>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
(1) 化粧料を使用しようとする人より、テ−プストリッピング法により採取された角層細胞について、励起光を照射し、生じた蛍光の光度を測定し、角層細胞内のAGEs量を推定し、平均的な量より多いか少ないかを鑑別し、多い場合には、化粧料利用者の候補とする。
(2) 化粧料を使用しようとする人より、皮膚表面のレプリカを作製し、皮溝、皮丘の形状を分析し、該皮溝、皮丘の差が小さく、且つ、大きな断絶の存在する場合には、化粧料使用者の候補とする。
(3) (1)と(2)共に候補者となった人を、化粧料の使用者とする。
本発明によれば、外観印象を著しく改善する作用を有する、美肌用に好適な皮膚外用剤を提供することが出来る。
マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物のヒト角層中AGEsの生成抑制作用を示す図である。
<本発明のAGEs分解剤>
メイラ−ド反応は、アミノ酸と還元糖が加熱により褐色の色素が生成する反応である。糖化反応は、還元糖のカルボニル基及びアミノ酸のアミノ基がシッフ塩基を形成した後、エナミノ−ルを経由し、アマドリ転位により安定なアマドリ化合物を生成する初期段階と、それ以降の、脱水、加水分解、炭素間の開裂により、α−ジカルボニル化合物を生成し、その後、α−ジカルボニル化合物、シッフ塩基、アマドリ化合物の分解、脂質過酸化反応由来のアルデヒド、糖の自動酸化及び分解などにより糖化最終産物(AGEs)が生成する後期段階に分類することが出来る。AGEsは、前記の糖化反応の結果生じる生成物の総称であり、単一の化合物を意味するものではない。また、糖化反応は、最終生成物のAGEs生成に至る過程において、生体内蛋白質と分子内又は分子間の無秩序な架橋構造を形成することにより、物理的又は生理的な変化を引き起こし、特に、真皮の糖化反応は、皮膚の色調のくすみ、弾力性、肌の肌理等の美肌、美白的な要因に深く関与することが知られている。このため、真皮AGEs分解作用を有する成分には、糖化反応を抑制することにより、くすみなどの色素沈着が関与する皮膚症状を予防又は改善する作用が存する。
本発明の皮膚外用剤は、1)AGEs分解剤と、2)抗シワ剤とを含有することを特徴とする。本発明のAGEs分解剤としては、AGEs量を減少させる作用を有する成分であれば、特段の限定なく適応することが出来、さらに好ましいものとしては、角層に存在するAGEs量を減少させる作用を有する成分が好適に例示出来る。本発明のAGEs分解剤には、生成されたAGEsを分解する作用を有する成分に加え、糖化反応により産生されるAGEsの産生を抑制する作用を有する成分も包含される。また、本発明のAGEs分解剤としては、例えば、特開2007−161662号公報に記載されたAGEs分解作用評価(α−ジケトンのC-C結合切断能の測定、グルコ−ス−牛血清アルブミンAGEs分解能の測定)においてAGEs分解作用を示す成分が好適に例示出来る。前記のAGEs分解作用評価においてAEGs分解作用を有する成分とは、前記AEGs分解作用評価のα−ジケトンのC-C結合切断能の測定評価において、1−フェニル−1,2−プロパンジオンの量より算出される安息香酸の理論量に対し、実際に生成する安息香酸の量が、40%以上である物質、又は、グルコ−ス−牛血清アルブミンAGEs分解能の測定評価において、AGEs分解率が15%以上である物質を意味する。本発明者によれば、かかる評価系においてAGEs分解作用を有する成分としては、モクセイ科オリ−ブ属、ユキノシタ科ユキノシタ属、バラ科ポテンチラ属、マメ科アスパラトゥス属、バラ科シモツケソウ属、キク科ヨモギ属、マメ科ゲンゲ属する植物より得られる植物抽出物が好適に例示出来、さらに好ましくは、モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブ、ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタ、バラ科ポテンチラ属トルメンチラ、バラ科キジムシロ属カワラサイコ、バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイ、マメ科アスパラトゥス属ルイボス、バラ科シモツケソウ属シモツケソウ、キク科ヨモギ属ヨモギ、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物が好適に例示出来る。また、前記AGEs分解作用を有する成分の内、さらに好ましいものとしては、角層AGEs分解剤が好適に例示出来る。角層AGEs分解剤としては、例えば、ヒト角層中のAGEs分解作用を有する成分、又は、ヒト角層におけるAGEsの産生を抑制する作用を有する成分が好適に例示出来る。かかるヒト角層中に存在するAGEs分解作用を有する成分とは、例えば、特願2009−154495号に記載のヒト角層中におけるAGEs分解作用評価において、パネラ−より採取された角層標本に、抗AGEs抗体を反応させ、該反応部位を検知し、AGEs分解剤との共存下では、非共存下よりも明らかに反応部位が少なかった場合に、角層中に存在するAGEsの分解作用を有する成分と言うことが出来る。また、かかるヒト角層中におけるAGEsの生成を抑制する作用を有する成分としては、ヒト角層中におけるAGEs生成抑制評価において、角層標本をグルコ−ス溶液に浸漬させて37℃で放置してAGEsを生成させた場合、前記AGEs分解剤との共存下では、非共存下よりも明らかに反応部位が少なかった場合に、角層中におけるAGEsの生成を抑制する作用を有する成分が好適に例示出来る。本発明者の検討によれば、かかるヒト角層中のAGEs分解作用を有する成分、又は、ヒト角層におけるAGEsの産生を抑制する作用を有する成分としては、マメ科ゲンゲ属に属する植物より得られる植物抽出物が好適に例示出来、より好ましくは、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物が好適に例示出来る。
本発明のAGEs分解剤は、単純な化学物質、又は、動物又は植物より得られる抽出物を意味し、皮膚外用剤に、かかる成分を唯1種のみ含有することも出来るし、2種以上を組み合わせて含有させることも出来る。ここで、本発明の植物抽出物とは、抽出物自体、抽出物の分画、精製した分画、抽出物乃至は分画、精製物の溶媒除去物の総称を意味する。かかるAGEs分解剤としては、本発明者等の検討によれば、モクセイ科オリ−ブ属、ユキノシタ科ユキノシタ属、バラ科ポテンチラ属、マメ科アスパラトゥス属、バラ科シモツケソウ属、キク科ヨモギ属、マメ科ゲンゲ属する植物より得られる植物抽出物が好適に例示出来、より好ましくは、モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブ、ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタ、バラ科ポテンチラ属トルメンチラ、バラ科キジムシロ属カワラサイコ、バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイ、マメ科アスパラトゥス属ルイボス、バラ科シモツケソウ属シモツケソウ、キク科ヨモギ属ヨモギ、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物、さらに好ましくは、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物が好適に例示出来、さらに好ましくは、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物が好適に例示出来る。マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物は、AGEs分解作用、取り分け、表皮AGEsの分解作用に優れる。
前記のAGEs分解作用を有する植物抽出物の内、モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブは、北アフリカ原産の常緑高木であり、果実は、オリ−ブオイルやピクルスとして使用されている。日本においては、香川県の小豆島などで栽培されている。ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタは、中国・日本を原産地とする常緑多年草であり、民間薬として使用されている。また、日本においては、北海道から九州に渡る幅広い地域にて栽培されている。バラ科ポテンチラ属トルメンチラは、ヨ−ロッパに分布する多年草であり、肌を引きしめる効果や抗菌作用がある。バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイは、中国を原産地とする砂礫地、草地に生育する多年草の高山植物であり、日本においては、本州中部以北、北海道、千島列島等に成育する。バラ科キジムシロ属カワラサイコは、日本においては、本州、四国、九州の日当たりのよい河原、砂地などに生育する多年草である。全草を翻白草、根を紅柴胡と称し、解熱通経薬として使用する。マメ科アスパラトゥス属ルイボスは、南アフリカ共和国の西ケ−プ州の北に広がるセダルバ−グ山脈一帯のみに自生する針葉樹様の葉を持つ植物であり、葉を乾燥し健康茶に用いる。バラ科シモツケソウ属シモツケソウは、日本、中国原産の多年草の小低木であり、日本においては、関東以西の本州、四国、九州に自生している。キク科ヨモギ属ヨモギは、欧州、北アフリカ原産の耐寒性多年草であり、日本においては、草もち、お灸のもぐさなど古くから利用されてきた。日本においては、本州から九州、沖縄に渡る広い範囲に自生する。マメ科ゲンゲ属レンゲソウは、中国原産の二年草で、利尿、解熱作用があることが知られている。また、日本全土において、栽培されている。
かかる植物の抽出物を作製するためには、植物自体を裁断、破粉、粉砕等し溶媒にて抽出することも出来るが、好ましくは、植物体の全部乃至は一部或いはその加工物を溶媒で抽出することが好ましい。なお、前記の植物抽出物を得るためには、植物体の全部又は一部であれば特段の限定なく使用出来、例えば、果実、果皮、樹皮、幹、枝、葉、花、根、種子等が挙げられる。これらは単独の部位を用いてもよいし、2部位以上を用いてもよい。
また、前記植物抽出物を製造する際に用いる抽出溶媒としては、極性溶媒が好ましく、水、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、ブタノ−ルなどのアルコ−ル類、1,3−ブタンジオ−ル、ポリプロピレングリコ−ルなどの多価アルコ−ル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエ−テル、テトラヒドロフランなどのエ−テル類から選択される1種乃至は2種以上が好適に例示出来る。
本発明のAGEs分解剤は、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜10質量%、より好ましくは、0.001質量%〜5質量%、さらに好ましくは、0.05質量%〜3質量%含有することが好ましい。これは、AGEs分解剤の含有量が少なすぎると、AGEs分解作用、取り分け、角層中におけるAGEs分解又は生成抑制作用などの皮膚中のAGEs含有量を減少させる作用、並びに、後述する抗シワ剤との併用により、美肌作用の増強効果、具体的には、抗シワ剤との併用によるシワ形成に対する予防又は改善作用の増強効果、更には、かかる効果の発現と同時に、皮膚透明感の改善などの皮膚症状の改善効果による見た目の肌状態を総合的に改善する効果を奏さない場合が存し、多すぎても、効果が頭打ちになり、この系の自由度を損なう場合が存するためである。さらに、本発明の皮膚外用剤において、前記の植物抽出物よりなるAGEs分解剤を、保湿などのAGEs分解作用以外の作用を目的に配合した場合であっても、前記抽出物が、皮膚中のAGEs存在量を減少させる作用を有する場合は、本願発明の構成と効果を充足するので、本発明の技術的範囲に属する。
本発明における前記の植物抽出物より得られるAGEs分解作用を有する成分は、日本において自生又は生育された植物、漢方生薬原料などとして販売される日本産のものを用い、抽出物を作製することも出来るし、丸善製薬株式会社などの植物抽出物を取り扱う会社より販売されている市販の抽出物を購入し、使用することも出来る。抽出に際しては、植物体、地上部又は木幹部は予め、粉砕或いは細切して抽出効率を向上させるように加工することが好ましい。抽出物は、植物体、地上部乃至はその乾燥物1質量に対して、溶媒を1〜30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬する。浸漬後は、室温まで冷却し、所望により不溶物を除去した後、溶媒を減圧濃縮するなどにより除去することが出来る。しかる後、シリカゲルやイオン交換樹脂を充填したカラムクロマトグラフィ−などで分画精製し、所望の抽出物を得ることが出来る。
<本発明のモクセイ科オリ−ブ属オリ−ブより得られる抽出物の製造方法>
オリ−ブの葉3kgに50%エタノ−ル水溶液5Lを加え、2時間加熱環流し、ろ過によって不溶物を取り除き減圧濃縮し、本発明のオリ−ブより得られる植物抽出物を44g得た。
<本発明のユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタより得られる植物抽出物の製造方法>
ユキノシタの葉3.5kgに50%エタノ−ル水溶液6Lを加え、2時間加熱環流し、ろ過によって不溶物を取り除き減圧濃縮し、本発明のユキノシタより得られる植物抽出物を41g得た。
<本発明のバラ科ポテンチラ属トルメンチラより得られる植物抽出物の製造方法>
バラ科ポテンチラ属トルメンチラの全草の乾燥物100gを、細切した後、500mLの50%エタノ−ル水溶液を加えて3時間、加熱還流し、冷却後濾過にて不溶物を取り除いた後、減圧濃縮し、ついで凍結乾燥し、植物抽出物1を得た。しかる後に、植物抽出物1に200mLの水と200mLの酢酸エチルを加え、液液抽出を行い、酢酸エチル相をとり、減圧濃縮し、本発明のバラ科ポテンチラ属トルメンシラより得られる植物抽出物を得た。
<本発明のバラ科キジムシロ属カワラサイコより得られる植物抽出物の製造方法>
バラ科キジムシロ属カワラサイコの全草の乾燥物100gを、細切した後、500mLの50%エタノ−ル水溶液を加えて3時間、加熱還流し、冷却後濾過にて不溶物を取り除いた後、減圧濃縮し、ついで凍結乾燥し、植物抽出物2を得た。しかる後に、植物抽出物2に200mLの水と200mLの酢酸エチルを加え、液液抽出を行い、酢酸エチル相をとり、減圧濃縮し、本発明のバラ科キジムシロ属カワラサイコより得られる植物抽出物を得た。
<本発明のバラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイより得られる植物抽出物の製造方法>、
バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイの全草の乾燥物100gを、細切した後、500mLの50%エタノ−ル水溶液を加えて3時間、加熱還流し、冷却後濾過にて不溶物を取り除いた後、減圧濃縮し、ついで凍結乾燥し、植物抽出物3を得た。しかる後に、植物抽出物3に200mLの水と200mLの酢酸エチルを加え、液液抽出を行い、酢酸エチル相をとり、減圧濃縮し、本発明のバラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイより得られる植物抽出物を得た。
<本発明のマメ科アスパラトゥス属ルイボスより得られる植物抽出物の製造方法>
マメ科アスパラトゥス属ルイボスの葉の乾燥物100gを、細切した後、500mLの50%エタノ−ル水溶液を加えて3時間、加熱還流し、冷却後濾過にて不溶物を取り除いた後、減圧濃縮し、ついで凍結乾燥し、抽出物4を得た。しかる後に、抽出物4に200mLの水と200mLの酢酸エチルを加え、液液抽出を行い、酢酸エチル相をとり、減圧濃縮し、本発明のマメ科アスパラトゥス属ルイボスより得られる植物抽出物を得た。
<本発明のバラ科シモツケソウ属シモツケソウより得られる植物抽出物の製造方法>
バラ科ポテンチラ属シモツケソウの全草の乾燥物100gを、細切した後、500mLの50%エタノ−ル水溶液を加えて3時間、加熱還流し、冷却後濾過にて不溶物を取り除いた後、減圧濃縮し、ついで凍結乾燥し、抽出物5を得た。しかる後に、抽出物5に200mLの水と200mLの酢酸エチルを加え、液液抽出を行い、酢酸エチル相をとり、減圧濃縮し、本発明のバラ科シモツケソウ属シモツケソウより得られる植物抽出物を得た。
<本発明のキク科ヨモギ属ヨモギより得られる植物抽出物の製造方法>
キク科ヨモギ属ヨモギの全草の乾燥物100gを、細切した後、500mLの50%エタノ−ル水溶液を加えて3時間、加熱還流し、冷却後濾過にて不溶物を取り除いた後、減圧濃縮し、ついで凍結乾燥し、抽出物6を得た。しかる後に、抽出物6に200mLの水と200mLの酢酸エチルを加え、液液抽出を行い、酢酸エチル相をとり、減圧濃縮し、本発明のキク科ヨモギ属ヨモギより得られる植物抽出物を得た。
<本発明のマメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物の製造方法>
マメ科ゲンゲ属レンゲソウの全草及び種子の乾燥物1(kg)を細断し、10(L)のエタノ−ル溶液を加え、50℃以下の温度にて一晩浸漬した後、濾過にて不溶物を除去することにより、エタノ−ル溶液抽出物である抽出物を得た。
以下の方法に従い、本発明のAGEs分解剤のAGEs分解作用を評価した。
<試験例1: AGEs分解作用評価1(α−ジケトンのC-C結合切断能の測定)>
22mM 1−フェニル−1,2−プロパンジオン/メタノ−ル+0.1M リン酸緩衝液(PH7.4) 1mLと、本発明の植物抽出物(モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブより得られる植物抽出物、ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタより得られる植物抽出物、バラ科ポテンチラ属トルメンチラより得られる植物抽出物、バラ科キジムシロ属カワラサイコより得られる植物抽出物、バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイより得られる植物抽出物、マメ科アスパラトゥス属ルイボスより得られる植物抽出物、バラ科シモツケソウ属シモツケソウより得られる植物抽出物、キク科ヨモギ属ヨモギより得られる植物抽出物、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物) 1mLを混合し、37℃で10時間反応させ、安息香酸の量をHPLCにて定量した。
(HPLC条件)
分析条件 検出器 :紫外吸光光度計(測定波長:260nm)
カラム :東ソ− TSK−ODS80TsQA
カラム温度:室温
移動層 :氷酢酸2g/アセトニトリル 500mL+エデト酸二ナトリウム溶液(1→250) 500mL
流量:1mL/min
前述した本発明のAGEs分解剤に付いて、試験例1に記載の方法に従いAGEs分解作用評価(α−ジケトンのC-C結合切断能の測定)を実施した。本発明のAGEs分解作用を有する植物抽出物の切断能は、モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブより得られる植物抽出物(29%)、ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタより得られる植物抽出物(35%)、バラ科ポテンチラ属トルメンチラより得られる植物抽出物(32%)、バラ科キジムシロ属カワラサイコより得られる植物抽出物(29%)、バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイより得られる植物抽出物(34%)、マメ科アスパラトゥス属ルイボスより得られる植物抽出物(25%)、バラ科シモツケソウ属シモツケソウより得られる植物抽出物(37%)、キク科ヨモギ属ヨモギより得られる植物抽出物(33%)、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物(43%)であった。本発明のAGEs分解剤には、優れたAGEs分解作用が認められた。
<試験例2: AGEs分解作用評価2(グルコ−ス−牛血清アルブミンAGEs分解能の測定)>
以下の試験材料を用い、AGEs分解作用評価を実施した。
AGE-BSA:グルコ−スと牛血清アルブミン(BSA)を37℃で12週間以上インキュベ−トし、PD−10 columns(Amersham Biosciences 17−0851−01)にて余分なグルコ−スを除いたもの、1次抗体 :Anti-Albumin、Bovine Serum、Rabbit−Poly ROCKLAND 201−41331/20000、2次抗体 :Goat anti−rabbit IgG horseradish peroxidase conjugate BioRAD 170−6515 1/10000、基質 :TMB solution Wako 546−01911
(手順)
Type I コラ−ゲンコ−トした96穴マイクロプレ−ト(Bio Coat 35 4407)に10μg/mLのAGE-BSAを100μL加え、1.0μg(AGE-BSA/well) 37℃にて4時間静置した後、0.05%Tween20/PBS(−)にて3回洗浄(マイクロミキサ−上で室温、3分間振とうし)、PBS(−)に溶解した濃度(1×10−4%)の試料を100μL加え、37℃で10時間以上反応させる。その後、0.05%Tween20/PBS(−)にて3回洗浄し、1次抗体を各wellに100μL/well加え、室温で30分間静置する。0.05%Tween20/PBS(−)にて3回洗浄し、2次抗体を100μL/well入れ、室温30分間静置する。0.05%Tween20/PBS(−)にて3回洗浄し、TMBを100μL/well加え、室温15分反応させる。1N 塩酸を100μL/well入れ、反応を止め、450nmの吸光度を測定する。AGEsの量を変え、検量線を引き、この検量線より残存AGEs量を定量した。残存AGEsを添加したAGEsより減じ、添加したAGEsで除し、100を乗じてAGEs分解率を算出した。
前述した本発明のAGEs分解剤に付いて、試験例2に記載の方法に従いAGEs分解作用評価(グルコ−ス−牛血清アルブミンAGEs分解能の測定)を実施した。本発明のAGEs分解作用を有する植物抽出物のグルコ−ス−牛血清アルブミンAGEs分解能は、モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブより得られる植物抽出物(25%)、ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタより得られる植物抽出物(28%)、バラ科ポテンチラ属トルメンチラより得られる植物抽出物(24%)、バラ科キジムシロ属カワラサイコより得られる植物抽出物(28%)、バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバイより得られる植物抽出物(31%)、マメ科アスパラトゥス属ルイボスより得られる植物抽出物(24%)、バラ科シモツケソウ属シモツケソウより得られる植物抽出物(32%)、キク科ヨモギ属ヨモギより得られる植物抽出物(33%)、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物(37%)であった。本発明のAGEs分解剤には、優れたAGEs分解作用が認められた。
<試験例3: ヒト角層中におけるAGEsの産生抑制作用評価>
角層中のAGEsは次のようにして検出できる。皮膚より市販の粘着テ−プ等を利用してテ−プストリッピングにより角層採取を行い、溶剤で半日処理して粘着テ−プ部分を除去する。得られた角層に対して免疫組織染色を行い、染色された角層標本を顕微鏡下で観察する。結果を図1に示す。前記溶剤としては、有機溶媒、特にキシレンが好ましく例示できる。免疫組織染色の条件として、一次抗体(anti AGE monocronal antibody(mouse) TransGenic KH001)、ビオチン化2次抗体(Biotin-Rabbit Anti Mouse IGg conjugate ZYMED 81-6740)、ABC 試薬(R.T.U VECTASTAIN Elite ABC REAGENT BECTOR PK-7100)、AEC基質(ENVISION kit/HRP(AEC) Dako K3464)が好ましく例示できる。対照として、70%エタノ−ル溶液に浸漬した角層標本を用意した。角層標本を、100mMグルコ−スを溶解した70%エタノ−ル溶液に浸漬する。また、本発明のAGEs分解剤であるマメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物 0.1%共存下、非共存下で、37度で8日間放置後、AGEsを検知した。マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物の非共存下においては、対照と比較して明らかに反応部位が多く、グルコ−スによりAGEsが産生したことがわかった。マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物 0.1%共存下では、非共存下に比べて明らかに反応部位が少なく、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物がヒト角層中におけるAGEsの産生抑制作用を有することがわかった。この度合いは、標識の存在面積比によって定量化することができるし、該標識の存在割合は、後述の如く、スコアなどで簡便に数値化できる。結果を図1に示す。
<本発明の抗シワ剤>
本発明の皮膚外用剤は、1)AGEs分解剤と、2)抗シワ剤とを含有することを特徴とする。本発明の抗シワ剤としては、シワ形成に対する予防又は改善作用を有する成分であれば特段の限定なく適応することが出来、より好ましいものとしては、ビタミンA又はその誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、トリテルペン酸またはトリテルペン酸誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、さらには、真皮コラ−ゲン線維束再構築作用を有する植物抽出物などが好適に例示出来る。本発明の抗シワ剤が有するシワ形成に対する予防又は改善作用には、既に形成されたシワに対する改善作用に加え、これから形成されるシワ、若しくは、形成過程にあるシワに対する予防又は改善作用が包含される。また、本発明の抗シワ剤が有する作用機序としては、ヒアルロン酸産生促進作用、コラ−ゲン産生促進作用、マトリックスメタロプロテア−ゼ阻害作用、真皮コラ−ゲン線維束再構築作用等を介する作用機序が推定される。前記AGEs分解剤は、抗シワ剤と共に皮膚外用剤に配合することにより、抗シワ剤の有するシワ形成に対する予防又は改善作用を増強し、同時に、皮膚透明感などの肌症状を改善することのより総合的に皮膚老化症状を予防又は改善する作用に優れる。前記のシワ形成に対する予防又は改善作用を有する何れの抗シワ剤に付いても、本発明の皮膚外用剤に含有させることが出来るが、シワ形成に対する予防又は改善効果を増強すること、同時に、皮膚透明感などの肌症状を改善することにより総合的な皮膚老化現象を改善させる面から、特に好ましいものとしては、真皮コラ−ゲン線維束の崩壊あるいは構造の乱れを予防又は改善する作用を有する抗シワ剤、具体的には、トリテルペン酸又はトリテルペン酸誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、真皮コラ−ゲン線維束再構築作用を有する植物抽出物が好適に例示出来る。
また、本発明の抗シワ剤は、単純な化学物質、又は、当該化合物を含有する植物由来の抽出物等の形態が好適に例示出来る。ここで、植物由来の抽出物とは、植物抽出物自体、植物抽出物を分画、精製した分画、植物抽出物乃至は分画、精製物の溶媒除去物の総称を意味する。また、かかる抗シワ剤を前記AGEs分解剤と共に皮膚外用剤に含有させる場合には、前述した抗シワ剤を唯1種のみを含有させることも出来るし、2種以上を組み合わせて含有させることも出来る。
本発明の抗シワ剤に関し、特に好ましいものを挙げれば、ビタミンA、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、トリテルペン酸又はトリテルペン酸誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、真皮コラ−ゲン線維束再構築作用を有する植物抽出物などが好適に例示出来る。前記ビタミンA、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の内、好ましいものとしては、レチノ−ル、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、レチナ−ル、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、レチノイン酸、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩などが好適に例示出来、さらに好ましいものを具体的に挙げれば、レチノ−ル、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩としては、レチノ−ル、酢酸レチノ−ル、プロピオン酸レチノ−ル、酪酸レチノ−ル、オクチル酸レチノ−ル、ラウリル酸レチノ−ル、パルミチン酸レチノ−ル、ステアリン酸レチノ−ル、ミリスチン酸レチノ−ル、オレイン酸レチノ−ル、リノレン酸レチノ−ル、リノ−ル酸レチノ−ル等のレチノ−ル脂肪酸エステル及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、水添レチノ−ル及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩等が好適に例示出来、レチナ−ル、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩としては、レチナ−ル及び/又はその薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、レチノイン酸、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩としては、レチノイン酸、トレチノイン(オ−ルトランスレチノイン酸)、イソトレチノイン(13−シス−レチノイン酸)、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノ−ル、レチノイン酸トコフェリル(トコフェリル残基は、α、β、γ、δのいずれの化学構造を有していてもよい)及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。これらの内、特に好ましいものとしては、レチノ−ル、レチナ−ル、レチノイン酸、トレチノイン、イソトレチノイン、レチノイン酸トコフェリル、パルミチン酸レチノ−ル、酢酸レチノ−ル及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。また、本発明において使用するビタミンA誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、例えば、シグマアルドリッチ社、日光ケミカル株式会社などの試薬販売メ−カ−より購入し、使用することが出来る。
さらに、前記のトリテルペン酸、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩に付いて述べる。前記のトリテルペン酸、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩としては、化粧料などに分野で使用されているものであれば特段の限定なく適応することが出来、好ましいトリテルペン酸の具体例を挙げれば、ウルソ−ル酸、オレアノ−ル酸、ベツリン酸等が好適に例示出来、特に、ウルソ−ル酸が好ましい。また、トリテルペン酸誘導体としては、トリテルペン酸の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素エステル、トリテルペン酸の芳香族基により置換されている炭素数1〜4の炭化水素エステル、トリテルペン酸のリン酸エステル及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記炭素数1〜20の脂肪族炭化水素エステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、ヘキシルエステル、シクロヘキシルエステル、オクチルエステル、イソオクチルエステル、ラウリルエステル、セチルエステル、ステアリルエステル、イソステアリルエステル、オレイルエステル等の脂肪族エステルが好適に例示出来る。また、前記の芳香族基により置換されている炭素数1〜4の炭化水素エステルとしては、ベンジルエステル、フェニルエチルエステル、フェニルプロピルエステル、フェニルブチルエステル等が好適に例示出来、特に、ベンジルエステルが好ましい。前述した抗シワ剤の内、特に好ましいものとしては、ウルソ−ル酸及び/又はその薬理学的に許容される塩、ウルソ−ル酸ベンジル及び/又はその薬理学的に許容される塩(例えば、特開2000−302659号公報を参照)、ウルソ−ル酸の3位の水酸基がリン酸化されたウルソ−ル酸リン酸エステル及び/又はその薬理学的に許容される塩好適に例示出来る。前述した本発明の抗シワ剤は、前記AGEs分解剤と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた美肌作用、具体的には、AGEs分解剤との併用によるシワ形成に対する予防又は改善作用の増強強化、更には、当該効果と同時に、皮膚透明感の改善などの皮膚症状の改善による見た目の肌状態を総合的に改善する効果を発揮する。
Figure 2011246354
ウルソ−ル酸ベンジル
Figure 2011246354
ウルソ−ル酸リン酸エステル
前記の抗シワ剤は、以下に示す方法により合成することも出来るし、市販の試薬等として購入することも出来る。前記の抗シワ剤の内、トリテルペン酸の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素エステル、トリテルペン酸の芳香族基により置換されている炭素数1〜4の炭化水素エステルは、相当するトリテルペン酸を水素化ナトリウムにて処理しナトリウム塩とした後、これにハロゲン化炭化水素を加え反応させることにより得ることが出来る。反応温度及び時間は、室温乃至は還流条件下、1〜12時間反応を行えばよい。また、前記トリテルペン酸のリン酸エステルに付いては、例えば、再表2006−132033号公報に記載の方法に従い、トリテルペン酸より誘導することが出来る。具体的には、トリテルペン酸リン酸エステルは、市販のトリテルペン酸をテトラゾ−ル存在下、1〜3倍当量のジメチル−N,N−ジエチルホスホロアミデ−トと処理し、t−ブチルハイドロパ−オキシドを反応させ、トリテルペン酸のメチルホスフェ−トとした後、更に、トリメチルシリルブロミドを作用させることにより合成することができる。
前記の抗シワ剤は、そのまま抗シワ剤として使用することも出来るが、薬理学的に許容される酸又は塩基と共に処理し塩の形に変換し、塩として使用することも可能である。例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩などの鉱酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩などの有機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属、トリエチルアミン塩、トリエタノ−ルアミン塩、アンモニウム塩、モノエタノ−ルアミン塩、ピペリジン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩などが好適に例示出来る。
本発明の抗シワ剤の内、真皮コラ−ゲン線維束再構築作用を有する植物抽出物に付いて述べる。本発明の真皮コラ−ゲン線維束再構築作用を有する成分としては、コラ−ゲン線維束再構築作用を有する成分であれば特段の限定なく適応することが出来る。この様な成分としては、例えば、特開2002−104921号公報に記載のヘアレスマウスの真皮線維芽細胞を用いたコラ−ゲン線維束再構築作用評価において、撮影された写真のコラ−ゲン線維束の状態を判別することによりコラ−ゲン再構築作用が認められる成分が好適に例示出来る。この様なコラ−ゲン線維束再構築作用を有する成分としては、フトモモ科フトモモ属チョウジノキより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属オトギリソウより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属セイヨウオトギリソウより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属ヒメオトギリより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属トモエソウより得られる植物抽出物、オミナエシ科オミナエシ属オトコエシより得られる植物抽出物、バラ科ビワ属ビワより得られる植物抽出物、バラ科モモ属モモより得られる植物抽出物、クロウメモドキ科ナツメ属ナツメより得られる植物抽出物、スイカズラ科ニワトコ属セイヨウニワトコより得られる植物抽出物、キク科ヤグルマギク属ヤグルマギクより得られる植物抽出物、シソ科イブキジャコウ属タイムより得られる植物抽出物、シソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物抽出物、シソ科サルビア属セ−ジより得られる植物抽出物、シソ科シソ属シソより得られる植物抽出物、シソ科オドリコソウ属オドリコソウより得られる植物抽出物、シソ科ハッカ属セイヨウハッカより得られる植物抽出物などが好適に例示出来、これらの内、さらに好ましいものとしては、フトモモ科フトモモ属チョウジノキより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属オトギリソウより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属セイヨウオトギリソウより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属ヒメオトギリより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属トモエソウより得られる植物抽出物、スイカズラ科ニワトコ属セイヨウニワトコより得られる植物抽出物、キク科ヤグルマギク属ヤグルマギクより得られる植物抽出物、シソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物抽出物が好適に例示出来る。前記の真皮コラ−ゲン線維束再構築作用を有する成分は、前記AGEs分解剤と共に、皮膚外用剤に含有させることにより優れた美肌作用、具体的には、AGEs分解剤との併用によるシワ形成に対する予防又は改善作用の増強強化、更には、当該効果と同時に、皮膚透明感の改善などの皮膚症状の改善による見た目の肌状態を総合的に改善する効果を発揮する。
本発明の真皮コラ−ゲン線維束再構築作用を有する植物抽出物は、真皮コラ−ゲン線維束再構築作用を有する植物抽出物であれば、特段の限定なく適応すること出来る。本発明における植物抽出物とは、植物体それ自身、植物体を乾燥、細切、粉砕など加工した加工物、植物体乃至はその加工物に溶媒を加えて抽出した溶媒抽出物、抽出物から溶媒を除去した抽出物の溶媒除去物、それらをカラムクロマトグラフィ−や液液抽出など精製した精製物などの総称を意味する。本発明の植物抽出物に適用する植物としては、フトモモ科フトモモ属チョウジノキより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属オトギリソウより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属セイヨウオトギリソウより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属ヒメオトギリより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属トモエソウより得られる植物抽出物、オミナエシ科オミナエシ属オトコエシより得られる植物抽出物、バラ科ビワ属ビワより得られる植物抽出物、バラ科モモ属モモより得られる植物抽出物、クロウメモドキ科ナツメ属ナツメより得られる植物抽出物、スイカズラ科ニワトコ属セイヨウニワトコより得られる植物抽出物、キク科ヤグルマギク属ヤグルマギクより得られる植物抽出物、シソ科イブキジャコウ属タイムより得られる植物抽出物、シソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物抽出物、シソ科サルビア属セ−ジより得られる植物抽出物、シソ科シソ属シソより得られる植物抽出物、シソ科オドリコソウ属オドリコソウより得られる植物抽出物、シソ科ハッカ属セイヨウハッカより得られる植物抽出物が好適に例示出来る。本発明の植物抽出物の調製に用いる植物体の部位としては、植物体のいずれの部位も使用できるが、特に好ましいものは全草を乾燥したものである。これはこの部位に真皮コラ−ゲン線維束を再構築する成分が多く含まれているためである。又、本発明の植物抽出物としては、極性溶媒抽出物或いはその溶媒除去物が特に好ましく例示出来、極性溶媒としては、エタノ−ルやメタノ−ルなどのアルコ−ル類、酢酸エチルや蟻酸メチルなどのエステル類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエ−テルやテトラヒドロフランなどのエ−テル類、クロロホルムや塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、水等から選ばれる1種乃至は2種以上が好ましく例示できる。これらの内、特に好ましいものは、水及びアルコ−ルから選ばれる1種乃至は2種以上である。この様な抽出物乃至はその溶媒除去物は、植物体乃至はその加工物に1〜10倍量の溶媒を加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば、数時間浸漬すればよい。溶媒除去は、蒸発乾固、減圧濃縮、凍結乾燥いずれも可能である。もっとも好ましいものは減圧濃縮と凍結乾燥である。
本発明の組成物の抗シワ剤は、唯一種を含有させることもできるし、二種以上を含有させることも出来る。また、本発明の組成物中における好ましい含有量としては、0.00001〜15重量%、より好ましくは、0.0001質量%〜10質量%、さらに好ましくは、0.001質量%〜5質量%、さらに好ましくは、0.01%〜3量%含有することが好ましい。これは、少なすぎると効果を発揮しない場合があり、多すぎても効果が頭打ちになり、処方の自由度が損なわれる場合があるからである。
<製造例1:フトモモ科チョウジノキより得られる植物抽出物の製造方法>
フトモモ科チョウジノキの花蕾を乾燥させたもの500(g)に5(L)のメタノ−ルを加え、室温で1週間浸漬し、濾過して、減圧濃縮し、本発明のフトモモ科チョウジノキより得られる植物抽出物35(g)得た。
<製造例2:オトギリソウ科オトギリソウ属オトギリソウより得られる植物抽出物の製造方法>
オトギリソウ科オトギリソウ属オトギリソウの全草を乾燥したもの500(g)に5(L)のメタノ−ルを加え、室温で1週間浸漬し、濾過して、減圧濃縮し、本発明のオトギリソウ科オトギリソウ属オトギリソウより得られる植物抽出物を22g得た。同様の手順に従い、オトギリソウ科オトギリソウ属セイヨウオトギリソウより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属ヒメオトギリより得られる植物抽出物、オトギリソウ科トモエソウより得られる植物抽出物を得た。
<製造例3:スイカズラ科ニワトコ属セイヨウニワトコより得られる植物抽出物の製造方法>
スイカズラ科ニワトコ属セイヨウニワトコの花1(kg)に10(L)のエタノ−ルを加え2時間還流させ、濾過し濾液を取り、これを水3(L)に一気に加え析出した沈殿を濾取し、本発明のスイカズラ科ニワトコ属セイヨウニワトコより得られる植物抽出物19(g)を得た。
<製造例4:キク科ヤグルマギク属ヤグルマギクより得られる植物抽出物の製造方法>
キク科ヤグルマギク属ヤグルマギクの全草1(kg)に10(L)のエタノ−ルを加え2時間還流させ、濾過し濾液を取り、これを水3(L)に一気に加え析出した沈殿を濾取し、本発明のキク科ヤグルマギク属ヤグルマギクより得られる植物抽出物12(g)を得た。
<製造例5:シソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物抽出物の製造方法>
ロ−ズマリ−1(kg)に10(L)のエタノ−ルを加え2時間還流させ、濾過し濾液を取り、これを減圧濃縮し粗抽出物1 213(g)得た。粗抽出物1 100(g)を600(mL)のエタノ−ルに溶解させ、これを水200(mL)に一気に加え析出した沈殿を濾取し42gの粗抽出物2を得た。粗抽出物2の100(g)を500(mL)のノルマルブタノ−ルに溶解させ、500(mL)の水を加え液液抽出し、ブタノ−ル相を取った。この作業を3回繰り返し、ブタノ−ル相を合わせて減圧濃縮し本発明のシソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物抽出物27(g)得た。
<本発明の皮膚外用剤>
本発明の皮膚外用剤は、1)AGEs分解剤と、2)抗シワ剤とを含有することを特徴とする。かかる皮膚外用剤は、優れた美肌作用、具体的には、AGEs分解剤との併用によるシワ形成に対する予防又は改善作用の増強強化、更には、当該効果と同時に、皮膚透明感の改善などの皮膚症状の改善による見た目の肌状態を総合的に改善する効果を発揮する。
また、本発明の1)AGEs分解剤と、2)抗シワ剤とを含有する皮膚外用剤の製剤化にあたっては、通常の医薬品、医薬部外品、化粧料などの製剤化で使用される任意成分を含有することが出来る。本発明の皮膚外用剤としては、医薬品、医薬部外品、化粧品などが好適に例示出来、日常的に摂取出来ることから、化粧品、医薬部外品などに適応することが好ましい。その投与経路としては、かかる成分が連続投与される場合、さらには安全性を考慮した場合、経皮的に投与されることが好ましい。本発明の皮膚外用剤としては、皮膚に外用で適用されるものであれば、特段の限定無く使用することができ、例えば、化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨などが好適に例示でき、化粧料に適用することが特に好ましい。これは本発明の皮膚外用剤が、比類無き使用感の良さを有しているため、使用感が重要な化粧料に特に好適であるためである。また、本発明の皮膚外用剤としては、例えば、化粧料などのロ−ション、乳液、エッセンス、クリ−ム、パック化粧料、洗顔化粧料、クレンジング化粧料等が好ましく例示できる。更にその剤形としては、化粧料の領域で知られているものであれば特段の限定はなく、ロ−ション製剤、水中油乳化製剤、油中水乳化製剤、複合エマルション乳化製剤等に好ましく例示できる。
本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリ−ブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワ−油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パ−ム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、イソステアリルアルコ−ル、ベヘニルアルコ−ル、オクチルドデカノ−ル、ミリスチルアルコ−ル、セトステアリルアルコ−ル等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコ−ル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロ−ルプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロ−ルプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエ−テル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコ−ン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノ−ルアミンエ−テル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレ−ト、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコ−ル等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエ−テル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエ−ト、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレ−ト等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレ−ト等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコ−ルモノオレ−ト、POEジステアレ−ト等)、POEアルキルエ−テル類(POE2−オクチルドデシルエ−テル等)、POEアルキルフェニルエ−テル類(POEノニルフェニルエ−テル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエ−テル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエ−テル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパ−ル剤類;レ−キ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマ−等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノ−ル、イソプロパノ−ル等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテ−ト、ビタミンB6ジオクタノエ−ト、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロ−ル、β−トコフェロ−ル、γ−トコフェロ−ル、ビタミンEアセテ−ト等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノ−ル等の抗菌剤;ヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウム変性ヘクトライトなどの有機変性粘土鉱物などが好ましく例示できる。
本発明の皮膚外用剤は前記の必須成分を含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤は、化粧料の領域で知られているものであれば特段の限定はなく、ロ−ション製剤、水中油乳化製剤、油中水乳化製剤、複合エマルション乳化製剤等に乳化剤形の形態としては、油中水乳化剤形でも、水中油乳化剤形でも構わないが、油中水乳化剤形が特に好ましい。ここで、油中水乳化剤形とは外相に油相を有する乳化剤形を総合して称する言葉であり、内相に水相を含有していても良いし、水中油エマルションなどの乳化物を有していても良い。
本発明の皮膚外用剤においては、通常の化粧料などの皮膚外用剤で使用されている非界面活性剤を含有することが出来る。更に、乳化状態を安定に保つ意味でアルキル変性カルボキシビニルポリマ−及び/又はその塩を含有させることも好ましい。かかる成分の好ましい含有量は、皮膚外用剤全量に対して、0.01〜0.5質量%であり、より好ましくは0.05〜0.3質量%である。かかる成分は、皮膚に投与後前記必須成分であるアモジメチコンと複合膜を作り、アモジメチコンの効果を増強させるので、その意味でも含有することが好ましい。かかるアルキル変性カルボキシビニルポリマ−には市販品が存し、かかる市販品を購入して使用することが出来る。好ましい市販品としては、日本サ−ファクタント工業株式会社から市販され、炭素数10〜30のアルキル基でアルキル変性されている「ペムレン(PEMUREN;登録商標)TR−1」、「ペムレン(PEMUREN;登録商標)TR−2」、BFグッドリッチ社(米)から市販されている「カ−ボポ−ル(CARBOPOL;登録商標)1382」などがあり、アルキル変性されていないカルボキシビニルポリマ−としては、BFグッドリッチ社(米)から市販されている「カ−ボポ−ル(CARBOPOL;登録商標)Ultrez10」、「カーボポール(CARBOPOL;登録商標)940」などがある。このような親水性高分子は、唯一種を用いても、二種以上を組み合わせて用いても構わない。本発明の水中油型乳化皮膚外用剤は、このような親水性高分子を、0.05〜1質量%含有することが好ましく、0.08〜0.5質量%含有することがより好ましい。これより少ないと乳化系が不安定化するし、これより多いと系の粘度が高くなりすぎて、塗布性が悪くなる。
また、前記の任意成分の中で特に好ましいものとしては、非イオン界面活性剤であり、中でも、親油性の界面活性剤であって、乳化状態に於いて構造形成性に優れるもの好ましく、かかる非イオン界面活性剤としては、ソルビタンステアリン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステルなどが特に好適に例示できる。かかる成分の好ましい含有量は0.1〜5質量%であり、より好ましくは0.2〜3質量%である。かかる成分を加えることにより、皮膚との接着性に優れるようになる。
本発明の皮膚外用剤は、1)AGEs分解剤と、2)抗シワ剤とを含有することにより、「美肌用」、「シワ形成に対する予防又は改善用」、「皮膚透明感の改善用」、「くすみ改善用」などの色素関連異常に関する予防又は改善用として効果を発揮する。また、本発明の1)AGEs分解剤と、2)抗シワ剤とを含有する皮膚外用剤には、前記の美肌作用以外の作用を奏するものも存在する。その様な作用の発現を目的とし、1)AGEs分解剤と、2)抗シワ剤とを含有する皮膚外用剤であっても、優れた美肌作用、具体的には、AGEs分解剤との併用によるシワ形成に対する予防又は改善作用の増強強化、更には、当該効果と同時に、皮膚透明感の改善などの皮膚症状の改善による見た目の肌状態を総合的に改善する効果を発揮する。前記の美肌効果が発揮されている場合には本発明の効果を利用するものであるので、本発明の技術的範囲に属する。前記の美肌効果以外の作用としては、美白作用、保湿作用、肌荒れ予防又は改善作用、抗老化改善作用などが挙げられる。
本発明の皮膚外用剤は、前記の任意成分や必須成分を常法に従って処理することにより製造することが出来る。
以下に、実施例を挙げて、更に詳細に本発明について説明を加える。
<製造例1: 本発明の皮膚外用剤の製造1>
表1及び表2に記載の処方成分よりなる皮膚外用剤(化粧料1〜7)を作製した。即ち、処方成分イ)、ロ)及びハ)をそれぞれ70℃に加熱し、イ)にロ)を加え中和し、これに徐々にハ)を加えて乳化し、ホモジナイザ−で乳化粒子を整え、攪拌冷却し、皮膚外用剤(化粧料1〜7)を得た。また同時に、表1の処方成分中、「本発明のAGEs分解剤」を「水」に置換した比較例1、「本発明の抗シワ剤」を「水」に置換した比較例2、「本発明のAGEs分解剤」及び「本発明の抗シワ剤」を共に「水」に置換した比較例3を作製した。
Figure 2011246354
Figure 2011246354
<試験例4: 本発明の皮膚外用剤を用いたシワ改善効果評価1>
実施例1に記載の方法に従い製造した皮膚外用剤(化粧料1〜7)、比較例1〜3に関し、以下の試験方法に従い、シワ改善効果を調べた。即ち、目尻のシワが気になるパネラ−(女性、年齢層40〜60歳)各群5名よりなる群に、皮膚外用剤(化粧料1〜7)、比較例1〜3を渡し、1日朝晩2回、連日8週間使用してもらい、シワ改善度合をスコア0:改善無し、スコア1:少し改善が感じられる、スコア2:改善したと感じる、スコア3:明瞭に改善した、スコア4:著しく改善した、の基準によりスコア評価を実施した。結果を表3に出現数として表す。これより本発明の1)AGEs分解剤と、2)抗シワ剤を含有する皮膚外用剤(化粧料1〜7)は、シワ改善効果に優れることがわかる。また、角層AGEs分解作用を有するマメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物と抗シワ改善剤を含有する皮膚外用剤には、より高いシワ改善効果が認められた。
Figure 2011246354
<製造例2: 本発明の皮膚外用剤の製造2>
本発明の皮膚外用剤として、表1及び表2に記載の化粧料1に関し、処方成分の「ペムレンTR−2」を「カルボキシビニルポリマ−」に置換した皮膚外用剤(化粧料8)の製造を試みたが乳化することが出来ず、皮膚外用剤(化粧料8)は製造することが出来なかった。
<試験例5: 本発明の皮膚外用剤を用いた皮膚透明感改善作用評価1>
実施例1に記載の皮膚外用剤(化粧料1〜8)、比較例1〜3の皮膚透明感改善作用評価を実施した。年齢59歳までの肌に透明感に悩みのある人をパネラ−とし、使用テストを実施した。パネラ−は、ばらつきがない様に各群5名ずつに群分けし、各群にそれぞれ化粧料1〜7、比較例1〜3の化粧料を渡し、1ケ月間朝晩2回適量を塗布する態様で連続使用してもらった。試験前と終了後に自覚によるアンケ−トを実施し、透明感を、1:とても感じる、2:かなり感じる、3:感じる、4:やや感じる、5:あまり感じない、6:ほとんど感じない、の6段階で評価し、使用前の評価値から使用後の評価値を引いた値を改善度合とした。結果を表4に示す。
Figure 2011246354
表4の結果より、本発明の1)AGEs分解剤と、2)抗シワ剤を含有する皮膚外用剤(化粧料1〜7)は、皮膚透明感改善効果に優れることがわかる。また、角層AGEs分解作用を有するマメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物と抗シワ剤とを含有する皮膚外用剤には、より高い皮膚透明感の改善作用が認められた。
<製造例3: 本発明の皮膚外用剤の製造3>
表5及び表6に記載の処方成分を有する化粧料8〜14を作製した。また同時に、表5の処方成分中、「本発明のAGEs分解剤」を「水」に置換した比較例4、「本発明の抗シワ剤」を「水」に置換した比較例5、「本発明のAGEs分解剤」及び「本発明の抗シワ剤」を共に「水」に置換した比較例6を作製した。
Figure 2011246354
Figure 2011246354
<試験例6: 本発明の皮膚外用剤を用いたシワ改善効果評価2>
実施例2に記載の方法に従い、化粧料8〜14のシワ改善作用を評価した。結果を表7に示す。これより本発明の1)AGEs分解剤と、2)抗シワ剤を含有する皮膚外用剤(化粧料8〜14)は、シワ改善効果に優れることがわかる。また、角層AGEs分解作用を有するマメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物と抗シワ改善剤を含有する皮膚外用剤には、より高いシワ改善効果が認められた。
Figure 2011246354
<試験例7: 本発明の皮膚外用剤を用いた皮膚透明感改善作用評価2>
実施例4に記載の方法に従い、化粧料8〜14の皮膚透明感改善作用を評価した。結果を表8に示す。これより本発明の1)AGEs分解剤と、2)抗シワ剤を含有する皮膚外用剤(化粧料8〜14)は、皮膚透明感改善作用に優れることがわかる。また、角層AGEs分解作用を有するマメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物と抗シワ改善剤を含有する皮膚外用剤には、より高い皮膚透明感改善効果が認められた。
Figure 2011246354
本発明は、美肌用の化粧料などに応用可能である。

Claims (19)

  1. 1)アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ(AGEs:Advanced Glycation End-products)分解剤と、2)抗シワ剤とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
  2. 前記のAGEs分解剤が、下記の植物抽出物よりなることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
    (植物)モクセイ科オリ−ブ属、ユキノシタ科ユキノシタ属、バラ科ポテンチラ属、マメ科アスパラトゥス属、バラ科シモツケソウ属、キク科ヨモギ属、マメ科ゲンゲ属に属する植物
  3. 前記のモクセイ科オリ−ブ属、ユキノシタ科ユキノシタ属、バラ科ポテンチラ属、マメ科アスパラトゥス属、バラ科シモツケソウ属、キク科ヨモギ属、マメ科ゲンゲ属に属する植物が、モクセイ科オリ−ブ属オリ−ブ、ユキノシタ科ユキノシタ属ユキノシタ、バラ科ポテンチラ属トルメンチラ、バラ科キジムシロ属カワラサイコ、バラ科ポテンチラ属ミヤマキンバエ、マメ科アスパラトゥス属ルイボス、バラ科シモツケソウ属シモツケソウ、キク科ヨモギ属ヨモギ、マメ科ゲンゲ属レンゲソウであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
  4. 前記のAGEs分解剤が、皮膚の角層中に存在するAGEsの分解作用を有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
  5. 前記の抗シワ剤が、ビタミンA、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、トリテルペン酸、その誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、真皮コラ−ゲン線維束再構築作用を有する植物抽出物であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
  6. 前記のビタミンA又はその誘導体が、レチノ−ル、レチナ−ル、レチノイン酸、トレチノイン、イソトレチノイン、レチノイン酸トコフェロ−ル、パルミチン酸レチノ−ル、酢酸レチノ−ル、水添レチノ−ルより選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
  7. 前記のトリテルペン酸又はその誘導体のトリテルペン酸残基が、ウルソ−ル酸、ベツリン酸又はそれらの酸の残基であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
  8. 前記のトリテルペン酸、その誘導体が、トリテルペン酸、トリテルペン酸ベンジルエステル、トリテルペン酸リン酸エステルであることを特徴とする、請求項7に記載の皮膚外用剤。
  9. 前記の真皮コラ−ゲン線維束再構築作用を有する植物抽出物が、下記に示す植物抽出物より選択される1種また2種以上であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
    <真皮コラ−ゲン線維束再構築作用を有する植物抽出物>
    フトモモ科フトモモ属チョウジノキより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属オトギリソウより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属セイヨウオトギリソウより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属ヒメオトギリより得られる植物抽出物、オトギリソウ科オトギリソウ属トモエソウより得られる植物抽出物、スイカズラ科ニワトコ属セイヨウニワトコより得られる植物抽出物、キク科ヤグルマギク属ヤグルマギクより得られる植物抽出物、シソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物抽出物
  10. 前記のAGEs分解剤が、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜10質量%含有することを特徴とする、請求項1〜9の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
  11. 前記の抗シワ剤が、皮膚外用剤全量に対し、0.00001質量%〜15質量%含有することを特徴とする、請求項1〜10の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
  12. 美肌用であることを特徴とする、請求項1〜11の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
  13. 美肌作用が、たるみ又はシワ形成の予防又は改善作用であることを特徴とする、請求項12に記載の皮膚外用剤。
  14. 美肌作用が、皮膚透明感の改善作用であることを特徴とする、請求項12に記載の皮膚外用剤。
  15. 油中水乳化剤形であることを特徴とする、請求項1〜14の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
  16. 更に、好ましい製剤成分を含有することを特徴とする、請求項1〜15の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
  17. 化粧料を使用すべき人の皮膚において、励起光によって皮膚から生じる蛍光を計測し、該蛍光強度から推測される皮膚内のAGEs量が多かった場合に、その人に使用されるべき化粧料であることを特徴とする、請求項1〜16の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
  18. 化粧料を使用すべき人の皮膚において、該皮膚表面のレプリカを作製し、皮溝、皮丘の形状を分析した場合、該皮溝、皮丘の差が小さく、且つ、大きな断絶の存する特徴を有する場合に、その人に使用されるべき化粧料であることを特徴とする、請求項1〜17の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
  19. 次に示す態様で使用されることを特徴とする、請求項1〜19の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
    (1) 化粧料を使用しようとする人より、テ−プストリッピング法により採取された角層細胞について、励起光を照射し、生じた蛍光の光度を測定し、角層細胞内のAGEs量を推定し、平均的な量より多いか少ないかを鑑別し、多い場合には、化粧料利用者の候補とする。
    (2) 化粧料を使用しようとする人より、皮膚表面のレプリカを作製し、皮溝、皮丘の形状を分析し、該皮溝、皮丘の差が小さく、且つ、大きな断絶の存在する場合には、化粧料使用者の候補とする。
    (3) (1)と(2)共に候補者となった人を、化粧料の使用者とする。
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