JP2011241611A - 制振構造およびダンパー金物 - Google Patents

制振構造およびダンパー金物 Download PDF

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Abstract

【課題】振動減衰手段の変形量を増大させて筋交いによる制振機能を向上させることが可能な制振構造およびダンパー金物を提供することを目的とする。
【解決手段】鉛直方向に長い方形の枠組み1内に、この枠組み1の対角線1aに対し鉛直方向に傾斜して交差するようにして筋交い5を斜めに配置し、この筋交い5の両端部を、筋交い5と枠組み1との相対変位によって変形し、筋交い5の長さ方向に中心線に対し両側に離間して配置された粘弾性体11,11を備えるとともに、枠組み1の対角となる隅部1b,1b付近に固定されたダンパー金物10,10に対し、この粘弾性体11,11を介して連結する。これにより、粘弾性体は、筋交いの軸方向に沿って伸長する方向に変形するとともに、互いに接近する方向に変形する。
【選択図】図1

Description

本発明は、隣り合う左右二本の柱と、土台や梁等の上下二本の横架材とで構成される方形の枠組み内に、筋交いを組み付ける制振構造と、筋交いの組み付けに用いられるダンパー金物に関する。
隣り合う左右二本の柱と、土台や梁等の上下二本の横架材とで構成される鉛直方向に長い方形の枠組み内に、筋交いを組み付ける場合がある。また、筋交いの端部と、枠組みの隅部との間には、特許文献1に記載のような筋交い金物が設けられる場合がある。
特許文献1に記載の発明によれば、筋交い当接部と筋交い固定部との間に設けられる弾性体および粘弾性体等の振動減衰手段が、筋交い当接部と筋交い固定部との間の位置ずれにより変形し、その変形によって、地震時における振動を減衰できるようになっている。
特許第3684129号公報
ところで、地震等によって枠組みが平行四辺形状に変形する際、変形中の枠組みの2つの鋭角部間に位置する筋交いには、この筋交いの軸方向に沿って引っ張り力が作用する。
この時、上述の振動減衰手段には、筋交いの軸方向に沿う引っ張り力が作用し、伸長するようにして変形する。また、枠組みの隅部の角度が、直角の状態から鋭角の状態に狭まることによって圧縮方向に力が加わることになる。
ところが、振動減衰手段である弾性体または粘弾性体は、単体で筋交い当接部と筋交い固定部との間に設けられているため、このように圧縮方向に力が加わったとしても、圧縮方向には極めて変形しにくい。したがって、主に筋交いの軸方向に沿って伸びる振動減衰手段の変形によって振動減衰を担うことになるため、その変形量は比較的小さく、大きな減衰力を発揮しにくい場合がある。
本発明の課題は、振動減衰手段の変形量を増大させて筋交いによる制振機能を向上させることが可能な制振構造およびダンパー金物を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、制振構造であり、例えば図1〜図7に示すように、隣り合う左右二本の柱2,2と、土台や梁等の上下二本の横架材3,4とで構成される鉛直方向に長い方形の枠組み1内に、この枠組み1の対角線1aに対し鉛直方向に傾斜して交差するようにして筋交い5が斜めに配置されており、
この筋交い5の両端部は、筋交い5と枠組み1との相対変位によって変形する粘弾性体11を備えるとともに前記枠組み1の対角となる隅部1b,1b付近に固定されたダンパー金物10,10に対し、この粘弾性体11を介して連結されてなり、
粘弾性体11は複数に分割され、筋交い5の長さ方向の中心線に対し両側に離間して配置されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、前記筋交い5の両端部は、前記ダンパー金物10,10に対し、前記粘弾性体11を介して連結されているので、地震等によって枠組みが平行四辺形状に変形し、筋交いの軸方向に沿って引っ張り力が作用することによって、前記粘弾性体11は、筋交い5の軸方向に沿って伸長する方向に変形することになる。また、前記粘弾性体11は複数に分割され、筋交い5の長さ方向の中心線に対し両側に離間して配置されているので、枠組み1が変形し、この枠組み1の隅部1b,1bの角度が、直角の状態から鋭角の状態に狭まる際に、前記複数の粘弾性体11,11は、互いに接近する方向に変形することになる。これによって、前記粘弾性体11を、単に筋交い5の軸方向に沿って伸長する方向へと変形する場合に比して、その変形量を増大させることができ、大きな減衰力を発揮することができる。したがって、従来に比して制振機能を向上させることができる。
また、鉛直方向に長い方形の枠組み1内に、この枠組み1の対角線1aに対し鉛直方向に傾斜して交差するようにして筋交い5が斜めに配置されているので、枠組み1の変形に伴う柱2,2の傾きによって、該枠組み1の隅部1b,1bの角度が狭まった場合であっても、筋交い5の端部が前記柱2,2に当たってしまうことを防ぐことができる。これによって、前記筋交い5やダンパー金物10,10を確実かつ効果的に機能させることができる。
請求項2に記載の発明は、例えば図2に示すように、請求項1に記載の制振構造において、
前記ダンパー金物10は、前記枠組み1の隅部1bにおいて前記柱2および横架材3(4)の両方に固定されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、地震等によって前記枠組み1が変形し、前記筋交い5が変位した際に、前記ダンパー金物10を、この枠組み1の変形に対応して確実に変位させたり、変形させたりでき、さらに、前記粘弾性体11を、前記筋交い5の変位に対応して確実に変形させることができるので、この粘弾性体11による減衰力をより確実に発揮することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の制振構造において、
前記筋交い5は、前記枠組み1内に一対配置されており、これら一対の筋交い5,5は、前記枠組み1の四隅部1b…付近にそれぞれダンパー金物10を固定し、これらダンパー金物10…間に架設することによって襷掛けされていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、前記枠組み1の四隅部1b…付近にそれぞれダンパー金物10を固定し、これらダンパー金物10…間に前記一対の筋交い5,5を架設して該一対の筋交い5,5を前記枠組み1内に襷掛けで取り付けることによって、一本の筋交い5を配置した枠組み1よりも耐力の高い枠組み1を形成することができる。
請求項4に記載の発明は、例えば図1〜図7に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の制振構造に用いられるダンパー金物10であって、
前記柱2,2に固定される第1固定プレート12と、
この第1固定プレート12と間隔をあけて配置されるとともに、前記横架材3,4に固定される第2固定プレート13と、
前記筋交い5の端部が固定される連結プレート14と、
この連結プレート14と前記第1固定プレート12との間、この連結プレート14と前記第2固定プレート13との間にそれぞれ設けられる前記粘弾性体11とを備えていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、地震等によって前記枠組み1が変形した際に、前記筋交い5を変位させたり、前記第1固定プレート12と第2固定プレート13とを互いに接近・離間させたり、筋交い5の変位に対応して連結プレート14を変位させたりすることができ、これら各部の変位に対応して前記粘弾性体11を変形させることができるので、単に筋交い5の軸方向に沿って伸長する方向へと変形する場合に比して、その変形量を増大させることができ、大きな減衰力を発揮することができる。これによって、従来に比して制振機能を向上させることができる。
請求項5に記載の発明は、例えば図1および図2,図5に示すように、請求項4に記載のダンパー金物10において、
前記第1固定プレート12と第2固定プレート13との間の間隔は、前記枠組み1の隅部1bから筋交い5へと向かうにつれて徐々に幅広となるように形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、地震等の振動によって、前記横架材3と横架材4とが水平方向に沿って離間するとともに、これに伴って柱2,2が傾斜するようにして枠組み1が平行四辺形状に変形した際に、前記第1固定プレート12と第2固定プレート13とを、これら第1固定プレート12および第2固定プレート13の隅部1b側端部付近を軸に回転するようにして接近させることができる。これによって、前記第1固定プレート12と第2固定プレート13とが接触するのを極力避けることができ、これら第1固定プレート12と第2固定プレート13とを十分に接近させることができるので、前記粘弾性体11の変形量を確実に増大させることができる。
請求項6に記載の発明は、例えば図1に示すように、請求項4または5に記載のダンパー金物10において、
前記連結プレート14のうち、この連結プレート14と筋交い5の端部とが重なり合う領域14aには、この筋交い5の端部を固定するビス14bを挿通するための挿通孔14cが、該領域14a内に並列するようにして複数形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、前記領域14a内に複数形成された挿通孔14c…の中から、前記連結プレート14と筋交い5の端部とが重なり合う部分に該当する挿通孔14cを複数、適宜選択し、これら選択した複数の挿通孔14c…にビス14b…を挿通して、筋交い5を連結プレート14に固定することができる。これによって、建築される建物ごとに筋交い5の取付角度が異なる場合であっても、前記連結プレート14に形成する挿通孔14cの数や位置を変更する必要がなく、共通して使用することができるので、部品コストの増加を抑えることができる。
本発明によれば、筋交いの両端部は、ダンパー金物に対して粘弾性体を介して連結されているので、地震等によって枠組みが平行四辺形状に変形し、筋交いの軸方向に沿って引っ張り力が作用することによって、粘弾性体は、筋交いの軸方向に沿って伸長する方向に変形することになる。また、粘弾性体は複数に分割され、筋交いの長さ方向の中心線に対し両側に離間して配置されているので、枠組みが変形し、この枠組みの隅部の角度が、直角の状態から鋭角の状態に狭まる際に、複数の粘弾性体は、互いに接近する方向に変形することになる。これによって、粘弾性体を、単に筋交いの軸方向に沿って伸長する方向へと変形する場合に比して、その変形量を増大させることができ、大きな減衰力を発揮することができる。したがって、従来に比して制振機能を向上させることができる。
また、鉛直方向に長い方形の枠組み内に、この枠組みの対角線に対し鉛直方向に傾斜して交差するようにして筋交いが斜めに配置されているので、枠組みの変形に伴う柱の傾きによって、該枠組みの隅部の角度が狭まった場合であっても、筋交いの端部が柱に当たってしまうことを防ぐことができる。これによって、筋交いやダンパー金物を確実かつ効果的に機能させることができる。
本発明に係る制振構造の一例を示す正面図である。 枠組みの隅部付近を示す拡大正面図である。 図2におけるA−A断面図である。 枠組みが振動によって変形する状態を示す概略図である。 (a)は、枠組みの変形に伴うダンパー金物の変形状態を示し、(b)は、(a)のB矢視図であり、連結プレートを含む場合のダンパー金物の変形に伴う粘弾性体の変形状態を示す概略図である。 筋交いの変位に伴う粘弾性体の変形状態を示す概略図である。 筋交いの変位に伴うダンパー金物および粘弾性体の変形状態を示す概略図である。 粘弾性体のせん断変形を生じさせる正弦波加振を行った際の履歴ループを示す図である。 粘弾性体のせん断ひずみ率γを説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る制振構造の一例を示す正面図である。
図1において符号1は、枠組みを示す。この枠組み1は、住宅等の建物の壁を構成するものであり、隣り合う左右二本の柱2,2と、土台や梁等の上下二本の横架材3,4とで構成されている。また、この枠組み1は、正面視において鉛直方向に長い方形、すなわち縦長の矩形状に形成されている。この枠組み1内において柱2,2と、横架材3,4とが交差する部分を隅部1bと称する。
さらに、この枠組み1内には、この枠組み1の対角線1aに対し鉛直方向に傾斜して交差するようにして筋交い5が斜めに配置されている。
この筋交い5の両端部は、枠組み1の対角となる隅部1b,1b付近に固定されたダンパー金物10,10に対して連結されている。
前記横架材3は梁であり、横架材4は土台である。また、この土台である横架材4は、アンカーボルト6aによって基礎6に固定されている。この横架材4は土台に限らず、土台や梁等でもよい。
そして、前記柱2,2と横架材3,4とは、正面視V字型に形成された接合金物7を用いて接合されている。
本実施の形態のダンパー金物10,10は、それぞれ、前記枠組み1の隅部1b,1bにおいて前記柱2,2と横架材3,4に固定されている。
また、このダンパー金物10は、前記柱2,2に固定される第1固定プレート12と、この第1固定プレート12と間隔(隙間15)をあけて配置されるとともに、前記横架材3,4に固定される第2固定プレート13と、前記筋交い5の端部が固定される連結プレート14と、この連結プレート14と前記第1固定プレート12との間、この連結プレート14と前記第2固定プレート13との間にそれぞれ設けられる粘弾性体11とを備えている。
前記第1固定プレート12および第2固定プレート13は、図2に示すように、互いの間の隙間15を境に対称的な形となるように形成され配置されている。
これら第1固定プレート12および第2固定プレート13は、正面視において、直角三角形のプレートの一つの角部をカットしたような形状になっている。また、これら第1固定プレート12および第2固定プレート13は、このカットされたような部分が、前記枠組み1の中央側に位置するようにして配置されている。
なお、このように第1固定プレート12および第2固定プレート13のカットされた部分を構成する辺は、図1および図2に示すように、枠組み1の変形前は一直線上に配置されており、前記筋交い5の両端部は、これら一直線上に配置された辺に沿って、斜めにカットされた状態となっている。すなわち、筋交い5の両端部の斜めにカットされた側面は、枠組み1の変形前において、第1固定プレート12および第2固定プレート13のカットされた部分を構成する辺の側面に対向している。
また、前記第1固定プレート12と第2固定プレート13との間の間隔は、前記枠組み1の隅部1bから筋交い5へと向かうにつれて徐々に幅広となるように形成されている。
なお、本実施の形態においては、前記柱2,2に固定される方の固定プレートを第1固定プレート12とし、前記横架材3,4に固定される方の固定プレートを第2固定プレート13とする。
また、これら第1固定プレート12および第2固定プレート13は、当接する柱2および横架材3(4)に当接する当接板部12a,13aを備えている。そして、これら第1固定プレート12および第2固定プレート13は、前記当接板部12a,13aに形成された挿通孔(図示せず)からビス12b,13bを挿入して柱2および横架材3(4)にねじ込むことで、柱2および横架材3(4)に固定されている。
さらに、これら当接板部12a,13bは共に、図2および図3に示すように、第1および第2固定プレート12,13の柱2側端部および横架材3,4側端部から、壁厚方向の一方側に向かって突出するようにして設けられている。
前記連結プレート14は、前記第1固定プレート12および第2固定プレート13のカットされたような部分の付近と重なり合うように配置されており、この連結プレート14と前記第1固定プレート12との間、この連結プレート14と前記第2固定プレート13との間に、前記粘弾性体11が設けられている。
また、この連結プレート14のうち、この連結プレート14と筋交い5の端部とが重なり合う領域14aには、この筋交い5の端部を固定するビス14bを挿通するための挿通孔14cが、該領域14a内に並列するようにして複数形成されている。したがって、前記領域14a内に複数形成された挿通孔14c…の中から、前記連結プレート14と筋交い5の端部とが重なり合う部分に該当する挿通孔14cを複数、適宜選択し、これら選択した複数の挿通孔14c…にビス14b…を挿通して、筋交い5を連結プレート14に固定することができる。
なお、図1に示すように、枠組み1の変形前において、前記連結プレート14は、その中心線が直角な前記隅部1bの略真ん中の角度、すなわち45度の角度に合致するようにして配置されている。連結プレート14の中心線とは、この連結プレート14を、一方の粘弾性体11側と、他方の粘弾性体11側とに、左右に分かつことができる中心線を指している。
つまり、前記第1固定プレート12および第2固定プレート13は、対称的な形状となるように形成されるとともに、連結プレート14が上述のように配置されているので、この連結プレート14は、前記枠組み1が変形し、前記隅部1bの角度が狭まったとしても、前記柱2や横架材3に当たりにくくなる。このように連結プレート14が前記柱2や横架材3に当たりにくくなるので、ひいては、前記筋交い5の両端部が前記柱2,2に当たってしまうことを防ぐことができる。これによって、前記筋交い5やダンパー金物10,10を確実かつ効果的に機能させることができる。
前記粘弾性体11は、四角柱状に形成されており、前記連結プレート14の表面と、前記第1固定プレート12の表面および第2固定プレート13の表面に対して、接着剤や加硫接着によって接着固定されている。
本実施の形態の粘弾性体11は、主鎖にC−C結合を有する基材ゴム100重量部に対してシリカを100〜150重量部添加し、そのシリカに対してシラン化合物を10〜30重量%配合した高減衰ゴムによって形成されている。
以下に、粘弾性材料について説明する。
一般的な粘弾性材料は、振幅の増加に連れて剛性が増加し、抵抗力が大きくなる。振幅が大きくなるにつれて剛性が大きくなる性質を持つ粘弾性体を用いると、建物の加速度応答や各部応力の過大な上昇が生じる。そこで、振幅が増加しても剛性の増加が頭打ちになる性質を備えた粘弾性体を用いることが望ましい。特に、本発明では、建物に作用する振動の振幅に比べて、粘弾性体を大きくせん断変形させるものであるから、歪依存性について上記の性質を備えたものを用いることによる効果は大きい。
また、交通振動などの環境振動から台風時の風揺れ、大地震に至るまでの幅広い振幅領域で機能する必要があるため、歪依存性が小さい粘弾性体を用いる。すなわち、小歪から大歪まで安定した振動エネルギー吸収能力を発揮するものを用いる。
具体的には、0.01≦γ≦3.5の領域で、Heq>0.20の安定したエネルギー吸収能力が必要とされる。このため大振幅領域において抵抗力が大きくならないように、γ>1.0の領域において、γの増加とともにKeq/(S/D)が減少することを特徴とする、例えば、0.45≦{Keq/(S/D)(γ=3.0)}/{Keq/(S/D)(γ=1.0)}<0.75の粘弾性体を用いるとよい。
なお、ここで、γはせん断歪み率であり、図8に示すように、粘弾性体のせん断変形量dを粘弾性体の高さtで除したものである。また、動的粘弾性試験における等価粘性減衰係数(等価減衰定数)(Heq)および等価せん断弾性率(Geq=Keq/(S/D))とは、粘弾性材料のせん断変形を生じさせる正弦波加振を行い、その際の履歴ループ(ヒステリシス曲線)を測定し、その結果に基づいて計算されるものである。図9に基づいて説明すると、Heqは下記の式(数1)、Keq/(S/D)は下記の式(数2)にて計算される数値である。
Heq=ΔW/2πW (数1)、
W:剪断変形の弾性エネルギ(図9において示される2つの三角形の面積。単位はkgf・cm)、
ΔW=剪断変形により吸収するエネルギの合計(図9において示されるヒステリシス曲線で囲まれた面積。単位はkgf・cm)、
Keq/(S/D)=F/U/(S/D) (数2)、
F:最大変位を与えるときの荷重(単位はkgf)、
Be:最大変位(単位はcm)、
S/D:試験サンプルの形状係数(サンプル剪断面積/サンプル剪断隙間。単位はcm)
また、一般的な粘弾性材料は、振動周波数の増加に伴い、Geq(=Keq/(S/D))〔N/mm2〕が著しく増加する。例えば、一般的な粘弾性体では、20℃では、0.1Hzのときと2.0HzのときではGeqの値が2〜3倍に増加する。交通振動の卓越周波数は4Hz〜7Hzに分布し、地振動は0.1Hz〜20Hz程度に分布するので、これらの周波数に対して剛性や減衰性能の点で比較的安定した性質を備えた粘弾性体を用いることが望ましい。具体的には、より入力周波数分布領域が広範囲に及ぶ地震動に対応する必要がある。制振材が家屋に付与する減衰性能は、概ね制振材の有する剛性(ここでは等価せん断弾性率(Geq))と減衰定数(ここでは等価粘性減衰定数(等価減衰定数)Heq)との積で表現することができる。周波数依存性の評価は、一定の温度条件の下で、斯かる積の値がある周波数の時を基準として、上述した地振動の0.1Hz〜20Hzの範囲で±50%以内であればよい。
また、一般的に粘弾性体は、低温時に剛性が高くなり、高温時に剛性が低くなる。日本は一年を通じて気温の変化が大きく、−10℃〜40℃程度の温度範囲に対して剛性や減衰性能の点で比較的安定した性質を備えた粘弾性体を用いることが望ましい。
例えば、本発明に係る制振構造の使用環境が−10℃〜40℃であれば、20℃のGeq(等価せん断弾性率)を基準として、低温側は−10℃のときの等価せん断弾性率Geq(t=−10℃)と、20℃のときの等価せん断弾性率Geq(t=20℃)の比、Geq(t=−10℃)/Geq(t=20℃)≦2.2とし、高温側は、40℃のときの等価せん断弾性率Geq(t=40℃)と、20℃のときの等価せん断弾性率Geq(t=20℃)の比、Geq(t=40℃)/Geq(t=20℃)≧0.6とするとよい。
本実施の形態では、粘弾性体は、上述した歪依存性、周波数依存性、温度依存性を持たせるため、例えば、主鎖にC−C結合を有する基材ゴム100重量部に対してシリカを100〜150重量部添加し、そのシリカに対してシラン化合物を10〜30重量%配合した高減衰ゴムを用いる。その好適な粘弾性体の一例を挙げると、基材ゴム100重量部に対してシリカ135重量部を添加し、さらにそのシリカに対してシラン化合物を17重量%配合したものを挙げることができる。この粘弾性体によれば、上述した歪依存性、周波数依存性、温度依存性を持たせることができ、上述した制振構造の機能を十分に発揮させることができる。
特に、20℃での性能がHeq≧0.2、0.35≦Geq≦6.0(N/mm2)の範囲にあって、かつ、Geqの温度依存性が−10℃/20℃≦2.2、40℃/20℃≧0.6(ともに、周波数0.1Hz、せん断歪±100%)を実現でき、上記のように、制振部材の粘弾性体を大きくせん断変形させるようにした制振構造の機能を十分に発揮させることができる。
なお、シラン化合物は、下記の一般式で、
Figure 2011241611
〔式中、R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つはアルコキシ基、またはハロゲン原子を示し、他は同一または異なって水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。〕で表されるシラン化合物とを含有するゴム組成物の加硫成形により形成される。また、基材ゴムとしては、主鎖にC−C結合を有する種々のゴムがいずれも使用可能である。具体的には天然ゴム(NR)の他、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用される他、2種類以上を併用することもできる。
上記の基材ゴムに添加されるシリカとしては、ゴムの補強剤として使用される、親水性あるいは疎水性の種々のシリカが使用可能である。上記シリカの添加量は、基材ゴム100重量部に対して10〜150重量部に限定される。この理由は前述したとおりである。
前記一般式(1)で表されるシラン化合物において、R1〜R4に相当するアルコキシ基としては、Cn2n+1Oで表される種々の炭素数のものがあげられるが、とくに炭素数が1〜2であるメトキシ、エトキシが好ましいものとしてあげられる。またハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素などがあげられる。
アルキル基としては、Cn2n+1で表される種々の炭素数のものがあげられるが、とくにその炭素数は1〜20程度であるのが好ましい。かかるアルキル基としては、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第2級ブチル、第3級ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどがあげられる。
また、アリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、o−テルフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルなどがあげられる。かかるシラン化合物の具体例として、これに限定されないがたとえば、n−ヘキシルトリメトキシシラン、トリエトキシフェニルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルジクロロシランなどがあげられる。
ゴム組成物には上記以外にもたとえば、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、シリカ以外の補強剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、粘着性付与剤その他、各種の添加剤を添加してもよい。上記のうち加硫剤としては、例えば、硫黄、有機含硫黄化合物、有機過酸化物などがあげられ、このうち有機含硫黄化合物としては、例えば、N,N´−ジチオビスモルホリンなどがあげられ、有機過酸化物としては、例えばペンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシドなどがあげられる。
また、加硫促進剤としては、たとえばテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム系加硫促進剤、ジブチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカーバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカーバミン酸テルルなどのジチオカーバミン酸類、2−メルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのチアゾール類、トリメチルチオ尿素、N,N´−ジエチルチオ尿素などのチオウレア類などの有機促進剤や、あるいは消石灰、酸化マグネシウム、酸化チタン、リサージ(PbO)などの無機促進剤などがあげられる。
加硫促進助剤としては、たとえばステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸などの脂肪酸や、あるいは亜鉛華などの金属酸化物などがあげられる。加硫遅延剤としては、たとえばサリチル酸、無水フタル酸、安息香酸などの芳香族有機酸、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイドキノン、N−ニトロソフェニル−β−ナフチルアミンなどのニトロソ化合物などがあげられる。
上記加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤および加硫遅延剤は、その合計の配合量が、基材ゴム100重量部に対して4〜15重量部程度であるのが好ましい。老化防止剤としては、たとえば2−メルカプトベンゾイミダゾールなどのイミダゾール類、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N´−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N´−イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどのアミン類、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノールなどのフェノール類などがあげられる。
老化防止剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して1.5〜5重量部程度が好ましい。シリカ以外の補強剤としては主にカーボンブラックが使用される他、ケイ酸塩系のホワイトカーボン、亜鉛華、表面処理沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレーなどの無機補強剤や、あるいはクマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、ハイスチレン樹脂(スチレン含有量の多いスチレン−ブタジエン共重合体)などの有機補強剤も使用できる。
また、充填剤としては、たとえば炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、珪藻土などがあげられる。上記シリカ以外の補強剤および/または充填剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して5〜50重量部程度が好ましい。軟化剤としては、たとえば脂肪酸(ステアリン酸、ラウリン酸など)、綿実油、トール油、アスファルト物質、パラフィンワックスなどの、植物油系、鉱物油系、および合成系の各種軟化剤があげられる。
軟化剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して10〜100重量部程度が好ましい。可塑剤としては、たとえばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルフォスフェートなどの各種可塑剤があげられる。可塑剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して5〜20重量部程度が好ましい。
さらに、粘着性付与剤としては、たとえばクマロン・インデン樹脂、芳香族系樹脂、芳香族・脂肪族混合系樹脂、ロジン系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂などがあげられる。粘着性付与剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して5〜50重量部程度であるのが好ましい。
上記以外にも、ゴム組成物にはたとえば分散剤、溶剤などを適宜配合してもよい。ゴム組成物は、上記の各成分を、たとえば密閉式混練機などを用いて混練することで製造される。そして粘弾性体は、たとえば上記ゴム組成物をローラヘッド押出機などを用いてシート状に成形し、所定の形状を有するようにこのシートを打ち抜いた後、打ち抜いたシートを、所定の厚みを有するように複数枚、積層した状態で、所定の型内で加熱して加硫成形するなどして製造される。
上記のような粘弾性体11を備えたダンパー金物10,10は、第1固定プレート12を柱2,2に取り付け、第2固定プレート13を横架材3,4に取り付けることによって前記枠組み1の対角となる隅部1b,1bに固定されている。
また、第1固定プレート12と第2固定プレート13とに分割し、これら第1固定プレート12と第2固定プレート13と間には前記隙間15が形成されているので、建物に横揺れが生じたときに、ダンパー金物10,10が、柱2,2と横架材3,4の相対変形角を抑制しない取り付け構造になっている。
そして、これらダンパー金物10,10に対し、前記粘弾性体11および連結プレート14を介して、前記筋交い5の両端部がそれぞれ取り付けられている。
なお、本実施の形態において、ダンパー金物10,10は、粘弾性体11と、第1固定プレート12と、第2固定プレート13と、連結プレート14とを備えており、それぞれ、前記枠組み1の隅部1b,1bにおいて前記柱2,2と横架材3,4に固定されているとしたが、これに限られるものではない。すなわち、ダンパー金物10,10を異なる形態とし、前記柱2,2と間隔をあけて横架材3,4に固定してもよいし、逆に、前記横架材3,4と間隔をあけて柱2,2に固定するような形態としてもよい。ただし、異なる形態のダンパー金物を使用したとしても筋交い5は、枠組み1の対角線1aに交差するようにして枠組み1内に配置されるものとする。
さらに、本実施の形態において、前記筋交い5は、前記枠組み1内に一本配置されるものとしたが、これに限られるものではなく、前記枠組み1内に一対の筋交い5,5を配置し、これら一対の筋交い5,5を、前記枠組み1の四隅部1b…付近に固定したダンパー金物10…間に架設することによって襷掛けしてもよいものとする。
これによって、一本の筋交い5を配置した枠組み1よりも耐力の高い枠組み1を形成することができる。したがって、建物躯体の中で、高い耐力が必要な箇所には筋交い5を襷掛けできる。
また、一本の筋交い5を太くすることで、圧縮・引っ張りの両方に作用させることも可能となる。これによって、一本の筋交い5を配置した枠組み1であっても耐力の高い枠組み1を形成することができる。
さらに、本実施の形態の柱2,2と横架材3,4とは木製であり、これら柱2,2と横架材3,4とで構成される枠組み1は、木造住宅の建物躯体を構成する要素とされている。すなわち、本実施の形態の制振構造は、木造住宅に導入されている。
また、これに限られるものではなく、本実施の形態の制振構造を、鉄骨造の住宅にも導入してもよい。
次に本実施の形態の制振構造の作用について説明する。
まず、図1〜図3に示す状態が地震が発生していない状態であり、前記筋交い5の変位はなく、前記粘弾性体11には変形が生じていない。
そして、地震によって建物に振動が発生した場合、柱2,2および横架材3,4で囲まれた架構面に変形が生じる。すなわち、図4に示すように、地震等の振動によって、前記横架材3と横架材4とが水平方向に沿って離間するとともに、これに伴って柱2,2が傾斜するようにして枠組み1が平行四辺形状に変形することになる。
この時、図5(a)に示すように、前記第1固定プレート12と第2固定プレート13とが、前記隙間15を利用して、これら第1固定プレート12および第2固定プレート13の隅部1b側端部付近を軸に回転するようにして接近する。
また、前記粘弾性体11,11は、図5(b)に示すように、前記第1固定プレート12および第2固定プレート13の接近に対応して、互いに接近し合うようにして変形することになる。
さらに、前記筋交い5には、図4に示すように、前記枠組み1の一方の隅部1bから他方の隅部1b間に配置される対角線1aに対し鉛直方向に傾斜して交差したままの状態で引っ張り方向に力が加わる。
さらに、前記筋交い5の両端部に固定された連結プレート14,14は、前記第1固定プレート12および第2固定プレート13から離れる方向へと移動する。
これに応じて前記粘弾性体11,11は、図6に示すように、対角線1a方向へと伸長するようにして変形する。
すなわち、前記粘弾性体11,11は、前記第1固定プレート12および第2固定プレート13の接近に対応して、互いに接近し合うようにして変形するとともに、筋交い5の軸方向に沿って伸長する方向に変形し、図7に示すように、互いに反対の方向にねじれるような形で変形することになる。
このように粘弾性体11,11に変形が生じた直後、これら粘弾性体11,11が振動エネルギーを吸収することによって振動を抑制することができる。
本実施の形態によれば、地震等によって枠組みが平行四辺形状に変形し、筋交いの軸方向に沿って引っ張り力が作用することによって、前記粘弾性体11は、筋交い5の軸方向に沿って伸長する方向に変形する。また、前記粘弾性体11,11は、互いに接近する方向に変形する。これによって、前記粘弾性体11,11を、単に筋交い5の軸方向に沿って伸長する方向へと変形する場合に比して、その変形量を増大させることができ、大きな減衰力を発揮することができる。したがって、従来に比して制振機能を向上させることができる。
また、鉛直方向に長い方形の枠組み1内に、この枠組み1の対角線1aに対し鉛直方向に傾斜して交差するようにして筋交い5が斜めに配置されているので、枠組み1の変形に伴う柱2,2の傾きによって、該枠組み1の隅部1b,1bの角度が狭まった場合であっても、筋交い5の端部が前記柱2,2に当たってしまうことを防ぐことができる。これによって、前記筋交い5やダンパー金物10,10を確実かつ効果的に機能させることができる。
また、前記ダンパー金物10,10は、それぞれ、前記枠組み1の隅部1b,1bにおいて前記柱2,2と横架材3,4に固定されていることから、地震等によって前記枠組み1が変形し、前記筋交い5が変位した際に、前記ダンパー金物10を、この枠組み1の変形に対応して確実に変位させたり、変形させたりでき、さらに、前記粘弾性体11を、前記筋交い5の変位に対応して確実に変形させることができるので、この粘弾性体11による減衰力をより確実に発揮することができる。
また、前記ダンパー金物10は、前記柱2,2に固定される第1固定プレート12と、 この第1固定プレート12と間隔をあけて配置されるとともに、前記横架材3,4に固定される第2固定プレート13と、前記筋交い5の端部が固定される連結プレート14と、この連結プレート14と前記第1固定プレート12との間、この連結プレート14と前記第2固定プレート13との間にそれぞれ設けられる前記粘弾性体11とを備えていることから、地震等によって前記枠組み1が変形した際に、前記筋交い5を変位させたり、前記第1固定プレート12と第2固定プレート13とを互いに接近・離間させたり、筋交い5の変位に対応して連結プレート14を変位させたりすることができ、これら各部の変位に対応して前記粘弾性体11を変形させることができるので、単に筋交い5の軸方向に沿って伸長する方向へと変形する場合に比して、その変形量を増大させることができ、大きな減衰力を発揮することができる。これによって、従来に比して制振機能を向上させることができる。
また、前記第1固定プレート12と第2固定プレート13との間の間隔は、前記枠組み1の隅部1bから筋交い5へと向かうにつれて徐々に幅広となるように形成されていることから、地震等の振動によって、前記横架材3と横架材4とが水平方向に沿って離間するとともに、これに伴って柱2,2が傾斜するようにして枠組み1が平行四辺形状に変形した際に、前記第1固定プレート12と第2固定プレート13とを、これら第1固定プレート12および第2固定プレート13の隅部1b側端部付近を軸に回転するようにして接近させることができる。これによって、前記第1固定プレート12と第2固定プレート13とが接触するのを極力避けることができ、これら第1固定プレート12と第2固定プレート13とを十分に接近させることができるので、前記粘弾性体11の変形量を確実に増大させることができる。
また、前記連結プレート14のうち、この連結プレート14と筋交い5の端部とが重なり合う領域14aには、この筋交い5の端部を固定するビス14bを挿通するための挿通孔14cが、該領域14a内に並列するようにして複数形成されているので、前記領域14a内に複数形成された挿通孔14c…の中から、前記連結プレート14と筋交い5の端部とが重なり合う部分に該当する挿通孔14cを複数、適宜選択し、これら選択した複数の挿通孔14c…にビス14b…を挿通して、筋交い5を連結プレート14に固定することができる。これによって、建築される建物ごとに筋交い5の取付角度が異なる場合であっても、前記連結プレート14に形成する挿通孔14cの数や位置を変更する必要がなく、共通して使用することができるので、部品コストの増加を抑えることができる。
1 枠組み
1a 対角線
1b 隅部
2 柱
3 横架材
4 横架材
5 筋交い
10 ダンパー金物
11 粘弾性体

Claims (6)

  1. 隣り合う左右二本の柱と、土台や梁等の上下二本の横架材とで構成される鉛直方向に長い方形の枠組み内に、この枠組みの対角線に対し鉛直方向に傾斜して交差するようにして筋交いが斜めに配置されており、
    この筋交いの両端部は、筋交いと枠組みとの相対変位によって変形する粘弾性体を備えるとともに前記枠組みの対角となる隅部付近に固定されたダンパー金物に対し、この粘弾性体を介して連結されてなり、
    粘弾性体は複数に分割され、筋交いの長さ方向の中心線に対し両側に離間して配置されていることを特徴とする制振構造。
  2. 請求項1に記載の制振構造において、
    前記ダンパー金物は、前記枠組みの隅部において前記柱および横架材の両方に固定されていることを特徴とする制振構造。
  3. 請求項1または2に記載の制振構造において、
    前記筋交いは、前記枠組み内に一対配置されており、これら一対の筋交いは、前記枠組みの四隅部付近にそれぞれダンパー金物を固定し、これらダンパー金物間に架設することによって襷掛けされていることを特徴とする制振構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の制振構造に用いられるダンパー金物であって、
    前記柱に固定される第1固定プレートと、
    この第1固定プレートと間隔をあけて配置されるとともに、前記横架材に固定される第2固定プレートと、
    前記筋交いの端部が固定される連結プレートと、
    この連結プレートと前記第1固定プレートとの間、この連結プレートと前記第2固定プレートとの間にそれぞれ設けられる前記粘弾性体とを備えていることを特徴とするダンパー金物。
  5. 請求項4に記載のダンパー金物において、
    前記第1固定プレートと第2固定プレートとの間の間隔は、前記枠組みの隅部から筋交いへと向かうにつれて徐々に幅広となるように形成されていることを特徴とするダンパー金物。
  6. 請求項4または5に記載のダンパー金物において、
    前記連結プレートのうち、この連結プレートと筋交いの端部とが重なり合う領域には、この筋交いの端部を固定するビスを挿通するための挿通孔が、該領域内に並列するようにして複数形成されていることを特徴とするダンパー金物。
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