JP2011179594A - 高減衰支承用ゴム組成物および高減衰支承体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の組成物は、窒素吸着比表面積(N2SA)が150m2/g以上250m2/g以下であり、フタル酸ジブチル(DBP)吸油量が80cm3/100g以上115cm3/100g以下であり、かつ、DBP吸油量と圧縮DBP吸油量(24M4DBP吸油量)との差(ΔDBP)が10cm3/100g以下であるカーボンブラックを含有する。
【選択図】なし
Description
(1) 窒素吸着比表面積(N2SA)が150m2/g以上250m2/g以下であり、フタル酸ジブチル(DBP)吸油量が80cm3/100g以上115cm3/100g以下であり、かつ、DBP吸油量と圧縮DBP吸油量(24M4DBP吸油量)との差(ΔDBP)が10cm3/100g以下であるカーボンブラックを含有することを特徴とする高減衰支承用ゴム組成物。
(2) 天然ゴムと、該天然ゴム以外の少なくとも1つ以上のジエン系ゴムとを含有し、
前記カーボンブラックの含有量が、前記天然ゴムと該天然ゴム以外の少なくとも1つ以上のジエン系ゴムとを合計したゴム100質量部に対し、50質量部以上95質量部以下であることを特徴とする上記(1)に記載の高減衰支承用ゴム組成物。
(3) 更に、石油樹脂を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の高減衰支承用ゴム組成物。
(4) 前記石油樹脂の含有量が、前記ゴム100質量部に対して、5質量部以上45質量部以下であることを特徴とする上記(3)に記載の高減衰支承用ゴム組成物。
(5) 上記(1)〜(4)の何れか1つに記載の高減衰支承用ゴム組成物からなる軟質板と剛性を有する硬質板とを交互に積層してなることを特徴とする高減衰支承体。
本発明の高減衰支承用ゴム組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう。)は、窒素吸着比表面積(N2SA)が150m2/g以上250m2/g以下であり、フタル酸ジブチル(DBP)吸油量が80cm3/100g以上115cm3/100g以下であり、かつ、DBP吸油量と圧縮DBP吸油量(24M4DBP吸油量)との差(ΔDBP)が10cm3/100g以下であるカーボンブラックを含有する高減衰支承用ゴム組成物である。以下、本発明の組成物に用いられる各成分について説明する。
本発明の組成物に用いられるカーボンブラックは、上述のように、窒素吸着比表面積(N2SA)が150m2/g以上250m2/g以下であり、フタル酸ジブチル(DBP)吸油量が80cm3/100g以上115cm3/100g以下であり、かつ、DBP吸油量と圧縮DBP吸油量(24M4DBP吸油量)との差(ΔDBP)が10cm3/100g以下のカーボンブラックである。
窒素吸着比表面積(N2SA)とは、窒素吸着法による比表面積をいい、窒素吸着比表面積(N2SA)は、カーボンブラック等の粉体粒子の全比表面積を測定する方法である。通常、窒素吸着比表面積(N2SA)の値が大きいほどカーボンブラックの粒径が小さくなる傾向がある。また、窒素吸着比表面積(N2SA)は、JIS K6217−2−2001に記載の「窒素吸着法−単点法」に準じて測定される。
フタル酸ジブチル(DBP)吸油量とは、カーボンブラックがフタル酸ジブチル(DBP)を吸収する能力の尺度であり、DBP吸油量は、カーボンブラック構成単位粒子同士のつながりの発達度合い(ストラクチャー)の指標となるものである。同程度の粒子径を有するカーボンブラックであれば、DBP吸油量の値が小さいほどカーボンブラックのストラクチャーが小さくなる傾向がある。また、DBP吸油量は、JIS K6217−4−2008に記載の「オイル吸収量の求め方」に準じて測定される。
ΔDBPとは、上記DBP吸油量と、24000psiで4回圧縮した試料について測定された圧縮DBP吸油量(24M4DBP吸油量)との差(ΔDBP=DBP吸油量−24M4DBP吸油量)を示す値である。ΔDBPは、ゴムとの混練り後におけるカーボンブラックのストラクチャー特性を評価する指標となるものである。24M4DBP吸油量は、ストラクチャー破壊後(ゴムとの混練り後)におけるDBP吸油量を示すものであり、圧縮DBP吸油量を24M4DBP吸油量と表記することもある。
凝集体分布の半値幅(D50)とストークス径(Dst)との比(D50/Dst)は、製造されるカーボンブラックの分布の程度を表し、この値が小さいほど凝集体分布がシャープとなる。ストークス径(Dst)とは、カーボンブラックを遠心沈降させ、光学的に得た凝集体のストークス相当径の分布曲線における最大頻度のストークス相当径をいう。また、半値幅(D50)とは、ストークス相当径最大頻度の50%の頻度が得られる位置の分布曲線の幅をいう。本発明においては、次のように測定する。まず、カーボンブラックを水に加え、カーボンブラック濃度を0.05質量%にした後、超音波で充分に分散させた試料溶液を調製する。次いで、スピン液(蒸留水)10mLを回転ディスク(回転数:8000rpm)に加えた後、上記試料溶液を0.2ml注入し、遠心沈降を開始させ、光電沈降法により吸光度を測定する。その結果から、凝集体分布曲線を作成し、凝集体分布の半値幅(D1/2)およびストークス径(Dst)を算出する。なお、吸光度の測定には、Disk Centrifuge Photo sedimentometer(Joice Loebl社製)を使用する。
本発明のカーボンブラックの製造方法は特に限定されず、燃焼条件、高温燃焼ガス流速、原料油の導入条件、反応停止時間等を適宜制御することによって製造することができる。具体的には、例えば、原料炭化水素をカーボンブラックに転化させる反応帯域において、焼成ガスを均一にして、高温(1600℃以上)かつ短時間(100m秒以内)で熱分解反応させる方法等が挙げられる。
本発明の組成物に用いられるジエン系ゴムは、特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げられる。これらのジエン系ゴムの平均分子量、単量体構成モル比、ハロゲン化率等は特に限定されず、用いられる用途に応じて任意に設定できる。
また、後述する本発明の高減衰支承体の減衰性、せん断弾性率の温度依存性を低減させることができることから、ゴム成分として天然ゴム(NR)の他にブタジエンゴム(BR)を用いるのが好ましい。
本発明の組成物は、更に、石油樹脂を含有するのが好ましい。上記石油樹脂としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、C5系の脂肪族不飽和炭化水素の重合体、C9系の芳香族不飽和炭化水素の重合体、C5系の脂肪族不飽和炭化水素とC9系の芳香族不飽和炭化水素との共重合体等を使用することができる。このような石油樹脂を含有することにより、加硫後の引張強さや切断時伸び等の物性が良好となり、また、後述する本発明の高減衰支承体の減衰性がより高くなる。また、このような石油樹脂は、後述する石英とカオリナイトとの凝集体と組み合わせて用いると高減衰性および優れたせん断弾性率を安定して発揮できる。
本発明の組成物は、更に、シリカを含有するのが好ましい態様の1つである。シリカは、従来公知のものを用いることができ、その具体例としては、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、コロイダルシリカ等を挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、シリカは、平均凝集粒径が、5μm以上50μm以下のものが好ましく、5μm以上30μm以下のものがより好ましい。
本発明の組成物は、更に、無機充填剤を含有するのが好ましい態様の1つである。上記無機充填剤には、上述したカーボンブラックおよびシリカは含まれない。使用される無機充填剤としては、例えば、T−クレー、カオリンクレー、ろう石クレー、セリサイトクレー、焼成クレー等のソフトクレー;けいそう土;重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、石英とカオリナイトとの凝集体;等が挙げられる。これらのうち、後述する本発明の高減衰支承体の減衰性および繰り返しせん断変形に対する物性の安定性を特に高く保つことができるという観点から、T−クレー、カオリンクレー、石英とカオリナイトとの凝集体が好ましい。
本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、その他の添加剤を含有することができる。上記添加剤としては、例えば、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、加硫助剤、難燃剤、耐候剤、耐熱剤等が挙げられる。加硫剤としては、具体的には、例えば、硫黄;TMTDなどの有機含硫黄化合物;ジクミルペルオキシドなどの有機過酸化物;等が挙げられる。加硫促進剤としては、具体的には、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)などのスルフェンアミド類;メルカプトベンゾチアゾールなどのチアゾール類;テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム類;ステアリン酸;等が挙げられる。老化防止剤としては、具体的には、例えば、TMDQなどのケトン・アミン縮合物;DNPDなどのアミン類;スチレン化フェノールなどのモノフェノール類;等が挙げられる。可塑剤としては、具体的には、例えば、フタル酸誘導体(例えば、DBP、DOP等)、セバシン酸誘導体(例えば、DBS等)のモノエステル類等が挙げられる。軟化剤としては、具体的には、例えば、パラフィン系オイル(プロセスオイル)等が挙げられる。
以下、本発明の高減衰支承体について説明する。本発明の高減衰支承体は、上述した本発明の組成物からなる軟質板と剛性を有する硬質板とを交互に積層することで得られる高減衰支承体であって、本発明の高減衰支承体は、橋梁の支承やビルの基礎免震等に用いられる構造体である。
等価減衰定数(Heq)およびせん断弾性率(Geq)は、ラップシェア型せん断試験により測定される。図2は、ラップシェア型せん断試験用試料を模式的に示す側面図である。図2に示すように、ラップシェア型せん断試験用試料20は、圧延した未加硫ゴム組成物21と鋼板22とを配置(積層)した後に、130℃で120分プレス加硫して得られる。未加硫ゴム組成物21は、幅25mm×長さ25mm×厚さ5mmのサイズに圧延された、本発明の組成物の未加硫ゴム組成物である。鋼板22は、表面がサンドブラストされ、金属接着剤が塗布された鋼板(幅25mm×長さ100mm×厚さ20mm)である。
次に、Geq5000をGeqで割ったGeq変化率およびHeq5000をHeqで割ったHeq変化率を求める。このGeq変化率およびHeq変化率によって、支承体が繰り返しせん断変形されたときの物性の変化を評価できる。
カーボンブラック製造プラントを用い、窒素吸着比表面積(N2SA)[m2/g]、DBP吸油量[cm3/100g]、24M4DBP吸油量[cm3/100g]およびDBP吸油量と圧縮DBP吸油量(24M4DBP吸油量)との差(ΔDBP)[cm3/100g]とが、各々下記表1に示すような値となるようにカーボンブラック1〜6(CB1〜6)を作製した。なお、窒素吸着比表面積はJIS K6217−2−2001に準じて、DBP吸油量はJIS K6217−4−2001に準じて測定を行った。また、CB1、3、4および6については、新日化カーボン(株)に製造を依頼することで入手可能であり、CB2については、新日化カーボン社製の「ニテロン#415UD」、CB5については、新日化カーボン社製「ニテロン#410」という商品名で入手可能である。
[未加硫ゴム組成物を調製]
下記表2に示す組成(単位は質量部)になるように、各成分を配合し、B型バンバリーミキサーにて5分間混練し、未加硫ゴム組成物を調製した。
調製した未加硫ゴム組成物を幅25mm×長さ25mm×厚さ5mmのサイズに圧延した。圧延後の未加硫ゴム組成物(図2中の符号21)と、表面をサンドブラストして金属接着剤を塗布した鋼板(幅25mm×長さ100mm×厚さ20mm、図2中の符号22)とを、図2に示すラップシェア型せん断試験用試料20のように配置(積層)した後に、130℃で120分プレス加硫してラップシェア型せん断試験用試料を作製した。
動特性としては、平均せん断特性値(Geq、Heq)と、Geq5000をGeqで割って求められるGeq変化率(Geq5000/Geq)と、Heq5000をHeqで割って求められるHeq変化率(Heq5000/Heq)を求めた。なお、比較例13、14は、実施例1〜3のCB1の配合量を45質量部と100質量部としたときの推定値を求めた。
未加硫物性は、未加硫のゴム組成物のムーニー粘度の最低粘度(Vm)を測定したものである。得られた未加硫のゴム組成物について、JIS K6300−1−2001に準じて、L形ロータを使用し、予熱時間1分、試験温度125℃の条件で、ムーニー粘度の最低粘度(Vm)を測定した。結果を表2に示す。また、125℃におけるムーニー粘度の最低粘度(Vm)は、100以下であれば加工性に優れていると判断できるが、量産時における加工性の観点からは90以下であるのが好ましい。
常態物性は、未加硫のゴム組成物の引張強さ(TB)[MPa]、切断時伸び(EB)[%]およびJIS A硬度(Hs)を測定したものである。なお、JIS A硬度(Hs)は、JIS K6253に準じて測定を行った。得られた未加硫ゴム組成物を148℃のプレス成型機を用い、面圧3.0MPaの圧力下で45分間加硫して、2mm厚の加硫シートを作製した。このシートからJIS3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251−2004に準拠して行い、引張強さ(TB)[MPa]、切断時伸び(EB)[%]および硬度Hs(JIS A)を室温にて測定した。結果を表2に示す。
動特性は、平均せん断特性値(Geq、Heq)、Geq変化率およびHeq変化率を測定したものである。
(平均せん断特性値(Geq、Heq))
上記ラップシェア型せん断試験用試料に対して、加振機(サギノミヤ社製)、入力信号発振機、出力信号処理機を用い、ラップシェア型せん断試験を行った。なお、各実施例および各比較例で使用したラップシェア型せん断試験用試料の数は10個であった。上記ラップシェア型せん断試験用試料に対し、2軸せん断試験機による変形周波数0.5Hz、測定温度23℃下で、175%歪みを11回加え、ラップシェア型せん断試験を行い、各回毎のせん断特性値の平均を求めた。このラップシェア型せん断試験によって得られたヒステリシス曲線が示すXmaxおよびQmaxを用い、上記式(1)および(2)に従って平均せん断特性値(Geq、Heq)を求めた。結果を表2に示す。ここで、せん断弾性率(Geq)は、高い値が望ましいが、0.87以上であるのが好ましく、0.90以上であるのがより好ましい。また、等価減衰定数(Heq)は、高い値が望ましいが、0.19以上であるのが好ましく、0.20以上であるのがより好ましい。
Geq5000をGeqで割りGeq変化率(Geq5000/Geq)を求めた。Geq変化率(Geq5000/Geq)の値は、1.04より小さい場合、せん断弾性係数の特性変化が少なく、好ましい。また、Heq5000をHeqで割りHeq変化率(Heq5000/Heq)を求めた。Heq変化率(Heq5000/Heq)の値は、0.87以上の場合、高せん断弾性係数の高減衰支承用ゴム組成物として好適であり、好ましい。それぞれの結果を表2に示す。
・天然ゴム:STR20、SIAM INDO RUBBER社製
・ブタジエンゴム:NipolBR1220、日本ゼオン社製
・シリカ:ニプシールAQ、東ソー・シリカ社製
・クレー:SUPREX CLAY、ケンタッキーテネシークレイカンパニー社製
・酸化亜鉛:亜鉛華3号、正同化学工業社製
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸YR、日本油脂社製
・石油樹脂:ハイレジン#120S(軟化点120℃)、東邦化学社製
・老化防止剤:6C、精工化学社製
・ワックス:サンノック、大内新興化学工業社製
・オイル:アロマオイル(AO−MIX、三共油化社製)
・硫黄:粉末イオウ、細井化学工業社製
・加硫促進剤:ノクセラーCZ、大内新興化学工業社製
11−1〜11−6 軟質板
12−1〜12−7 硬質板
20 ラップシェア型せん断試験用試料
21 圧延した未加硫ゴム組成物
22 鋼板
Claims (5)
- 窒素吸着比表面積(N2SA)が150m2/g以上250m2/g以下であり、フタル酸ジブチル(DBP)吸油量が80cm3/100g以上115cm3/100g以下であり、かつ、DBP吸油量と圧縮DBP吸油量(24M4DBP吸油量)との差(ΔDBP)が10cm3/100g以下であるカーボンブラックを含有することを特徴とする高減衰支承用ゴム組成物。
- 天然ゴムと、該天然ゴム以外の少なくとも1つ以上のジエン系ゴムとを含有し、
前記カーボンブラックの含有量が、前記天然ゴムと該天然ゴム以外の少なくとも1つ以上のジエン系ゴムとを合計したゴム100質量部に対し、50質量部以上95質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の高減衰支承用ゴム組成物。 - 更に、石油樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高減衰支承用ゴム組成物。
- 前記石油樹脂の含有量が、前記ゴム100質量部に対して、5質量部以上45質量部以下であることを特徴とする請求項3に記載の高減衰支承用ゴム組成物。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の高減衰支承用ゴム組成物からなる軟質板と剛性を有する硬質板とを交互に積層してなることを特徴とする高減衰支承体。
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