JP4331003B2 - 高減衰支承用ゴム組成物および高減衰支承体 - Google Patents

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Description

本発明は、高減衰支承用ゴム組成物および高減衰支承体に関する。
近年、振動エネルギーの吸収装置、すなわち防振、除振、免震装置が急速に普及しつつある。このような振動エネルギーの吸収装置として、例えば、ゴム組成物や、エラストマー組成物を用いる装置が知られており、それに用いられるゴム組成物や、エラストマー組成物についても、種々提案されている。
振動エネルギーの吸収装置の一例として、例えば、自動車用円筒型エンジンマウント等の防振装置が挙げられる。また、それに用いられる防振ゴム組成物として、特許文献1には、ゴム成分と、シランカップリング剤で処理された天然シリカとを含有することを特徴とする防振ゴム組成物が記載されている。
上記振動エネルギーの吸収装置の別の例として、例えば、ゴム組成物と硬質板とを交互に積層した橋梁の支承やビルの基礎免震等に用いられる免震支承体が挙げられる。この免震支承体は、ゴム組成物と硬質板の積層体とされることにより、免震支承体の上下方向には非常に硬く、その横方向には柔らかく、即ち、剪断剛性を小さくして、建築物の固有振動周期を地震の振動周期からずらすように作用させ、地震により建物が受ける加速度を非常に小さくするものである。このような免震支承体に求められる特性としては、例えば、振動をより多く熱に変換して振動エネルギーを減衰させるという高減衰性や、所望の剛性が得られること等が挙げられる。
しかし、特許文献1に記載された防振ゴム組成物を、自動車用円筒型エンジンマウント等の防振装置に対して非常に大きな荷重がかかる免震支承体に用いると、それに要求される高減衰性を十分に発揮できないこともある。したがって、このような用途に用いても高減衰性および優れた剛性を発揮する免震支承体に用いることができるゴム組成物等が求められている。
特開2002−20548号公報
道路や橋梁の支承や、ビルの基礎免震として高減衰性および優れた剛性を発揮する免震支承体に用いることができ、かつ上記要求を満足させる支承用ゴム組成物として、例えば、ゴム成分100重量部に対して、CTAB吸着比表面積が120m2/g以上のカーボンブラックを60重量部〜100重量部、および、補強効果の少ない無機充填剤を10重量部以上含有することを特徴とする高減衰支承用ゴム組成物が提案されている(特開2002−20546号公報参照。)。
しかし、この高減衰支承用ゴム組成物を、例えば、道路や橋梁の免震支承体として用いると、温度変化等に起因する橋桁伸縮の影響等により繰り返して該組成物が剪断変形され、例えば、免震支承体の減衰性の低下(該組成物の減衰性の低下)、免震支承体の剪断剛性の上昇(該組成物の剪断弾性率の上昇)等が起こることがある。そこで、繰り返し剪断変形に対しても、これらの物性の変化の少ない、より安定した高減衰性および優れた剛性を発揮する免震支承体に用いることができる高減衰支承用ゴム組成物が要求されている。
したがって、本発明は、繰り返し剪断変形されても、高減衰性および優れた剛性を安定して発揮できる支承体を提供することを目的とする。
また、本発明は、支承体が繰り返し剪断変形されても、高減衰性および優れた剛性を安定して発揮できる支承体に用いられるゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、ゴム成分と、石英とカオリナイトの凝集体と、石油樹脂とを特定の割合で配合したゴム組成物を支承体に用いると、該支承体が繰り返し剪断変形されても、高減衰性および優れた剛性を安定して発揮できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
上記目的は、以下に示す(1)〜(4)の本発明によって達成される。
(1)ゴム成分100質量部と、
石英とカオリナイトの凝集体5〜55質量部と、
石油樹脂10〜55質量部とを含有する高減衰支承用ゴム組成物。
(2)前記石英とカオリナイトの凝集体に対する前記石油樹脂の質量比(石英とカオリナイトの凝集体:石油樹脂)が、1:0.9〜1:3.5である上記(1)に記載の高減衰支承用ゴム組成物。
(3)さらに、カーボンブラックを含有する上記(1)または(2)に記載の高減衰支承用ゴム組成物。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の高減衰支承用ゴム組成物と硬質板とを積層して得られる高減衰支承体。
本発明の高減衰支承用ゴム組成物が用いられる本発明の高減衰支承体は、繰り返し剪断変形されても、高減衰性および優れた剛性を安定して発揮できる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の高減衰支承用ゴム組成物は、ゴム成分100質量部と、石英とカオリナイトの凝集体5〜55質量部と、石油樹脂10〜55質量部とを含有するものである。
本発明に用いられるゴム成分としては、特に限定されないが、例えば、ジエン系ゴムを好ましく用いることができる。ジエン系ゴムとしては、具体的には、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)等を挙げることができる。
これらの中でも、減衰性、加工性等のバランスがよい観点からNRが、支承体の減衰性、剪断弾性率の温度依存性を低減させる観点からBRがそれぞれ好ましい。
これらのジエン系ゴムの平均分子量、単量体構成モル比、ハロゲン化率等は特に限定されず、用いられる用途に応じて任意に設定できる。
本発明の高減衰支承用ゴム組成物には、上記ゴム成分を1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合の上記ゴム成分の好適な組み合わせとしては、具体的には、例えば、ゴム成分同士の相溶性、加工性、グリーン強度および加硫物性に優れ、また、支承体の温度依存性と減衰性を確保できる観点から、NRとBR、IRとBR、NRとIRとBR等が挙げられ、この特性により優れる点で、NRとBRが好ましい。これらの混合比率は特に限定されない。
本発明に用いられる石英とカオリナイトの凝集体は、特に限定されないが、塊状石英と板状のカオリナイトの天然結合物であることが好ましく、市販品としては、具体的には、例えば、シリチン(シリチンZ86、シリチンV85、シリチンN82、シリチン85、シリチンN87、(いずれもホフマンミネラル社製))等であることが好ましい。なお、人工的に製造された同様の構造を有するものを用いることもできる。
上記石英とカオリナイトの凝集体を含む高減衰支承用ゴム組成物は、特に、後述する減衰性および剛性の安定性改善効果に優れ、後述する石油樹脂と組み合わせて用いると、高減衰性および優れた剛性を安定して発揮できる。
上記石英とカオリナイトの凝集体を構成する石英とカオリナイトの質量比(石英:カオリナイト)は、特に限定されないが、得られるゴム組成物を用いた支承体が繰り返し剪断変形されても、高減衰性および優れた剛性を安定して発揮できるという観点から、12:1〜1:1であることが好ましく、該特性により優れる観点から、9:1〜2:1であることがより好ましい。
上記石英とカオリナイトの凝集体は、石英とカオリナイトの他に酸化鉄、リン成分、硫黄成分等を含んでいてもよい。この凝集体は、1種または2種以上を併用して用いてもよい。
本発明の高減衰支承用ゴム組成物に含有される上記石英とカオリナイトの凝集体の含量は、ゴム成分100質量部に対して、その上限が55質量部であることが好ましく、その下限が5質量部であることが好ましい。この範囲にすると、得られるゴム組成物を用いた支承体が繰り返し剪断変形されても安定して高減衰性を発揮でき、また、得られるゴム組成物の加工性も良好となる。なお、「加工性が良好」とは、ゴム組成物の調製が容易、または、該ゴム組成物を支承体とする際の加工が容易であることを意味する。
該特性により優れる点で、含量の上限は、ゴム成分100質量部に対して、40質量部であることがより好ましく、30質量部であることが特に好ましい。同様に、含量の下限は、ゴム成分100質量部に対して、5質量部であることが好ましく、該特性により優れる点で、10質量部であることがより好ましい。
本発明に用いられる石油樹脂は、C5系の脂肪族不飽和炭化水素の重合体、C9系の芳香族不飽和炭化水素の重合体、あるいは、C5系の脂肪族不飽和炭化水素とC9系の芳香族不飽和炭化水素との共重合体である。
上記石油樹脂を含む高減衰支承用ゴム組成物は、特に、減衰性改善効果に優れ、上述した石英とカオリナイトの凝集体と組み合わせて用いると高減衰性および優れた剛性を安定して発揮できる。
C5系の脂肪族不飽和炭化水素としては、ナフサの熱分解により得られるC5留分中に含まれる1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン等のオレフィン系炭化水素や、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素等が挙げられる。
これらは、適当な触媒の存在下で、重合あるいは共重合可能である。ここで、C5系の脂肪族不飽和炭化水素の重合体とは、一種のC5系の脂肪族不飽和炭化水素の単独重合体と、二種以上のC5系の脂肪族不飽和炭化水素の共重合体のいずれをもいう。
C9系の芳香族不飽和炭化水素としては、ナフサの熱分解により得られるC9留分中に含まれるα−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン等のビニル置換芳香族炭化水素等が挙げられる。
これらは、適当な触媒の存在下で、重合あるいは共重合可能である。ここで、C9系の芳香族不飽和炭化水素の重合体とは、一種のC9系の芳香族不飽和炭化水素の単独重合体と、二種以上のC9系の芳香族不飽和炭化水素の共重合体のいずれをもいう。
また、C5系の脂肪族不飽和炭化水素とC9系の芳香族不飽和炭化水素との共重合体は、該共重合体の軟化点が高くなる点で、C9系の芳香族不飽和炭化水素ユニットが60モル%以上であるものが好ましく、90モル%以上であるものがより好ましい。
C5系の脂肪族不飽和炭化水素とC9系の芳香族不飽和炭化水素との共重合体は、適当な触媒の存在下で、共重合可能である。
上記石油樹脂は、ゴム成分の物性に対し、その分子量および二重結合の反応性が影響を与えるので、軟化点(JIS K2207)が100℃以上のものが好ましく、120℃以上のものがより好ましい。
本発明の高減衰支承用ゴム組成物に含有される石油樹脂の含量は、ゴム成分100質量部に対して、上限が55質量部であることが好ましく、下限が10質量部であることが好ましい。この範囲にすると、該ゴム組成物を用いた支承体は高減衰性を維持しつつ、また、温度依存性と繰り返し剪断変形に対する安定性を悪化させることのないバランスの取れた特性が得られる。該特性により優れる点で、含量の上限は、ゴム成分100質量部に対して、45質量部であることがより好ましく、40質量部であることが特に好ましく、その下限は、ゴム成分100質量部に対して、15質量部であることがより好ましく、20質量部であることが特に好ましい。
本発明の高減衰支承用ゴム組成物に含有される上記石英とカオリナイトの凝集体に対する上記石油樹脂の質量比(石英とカオリナイトの凝集体:石油樹脂)は、上記質量部の範囲において、1:0.9〜1:3.5であることが好ましい。この範囲にすると、加工性、高減衰性、繰り返し剪断変形に対する安定性に優れる。該特性により優れるという観点から、1:1〜1:3.0であることがより好ましく、1:1〜1:2.5であることが特に好ましい。
本発明の高減衰支承用ゴム組成物は、上記ゴム成分、上記石英とカオリナイトの凝集体および上記石油樹脂の他に、カーボンブラックを含有することが好ましい。カーボンブラックを含有させると、支承体の高剪断弾性率が確保でき、また、高減衰性を確保できる。
本発明に用いられるカーボンブラックは、特に限定されないが、CTAB吸着比表面積が100m2/g以上、好ましくは、110〜370m2/gのカーボンブラックであることが好ましい。
CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)比表面積は、カーボンブラックがゴム分子との吸着に利用できる表面積をセチルトリメチルアンモニウムブロミドの吸着によって測定した値である。CTABが上記範囲であれば、得られるゴム組成物を使用する支承体の減衰性を高く維持することができる。
このようなカーボンブラックとしては、例えば、SAF、ISAF等を挙げることができる。
なお、CATB吸着比表面積は、ASTM D3765−80に記載の方法により測定することができる。
本発明の高減衰支承用ゴム組成物において、上述したカーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、20〜100質量部であることが好ましい。含有量がこの範囲であると、支承体の強度を確保できる上、その剛性と高減衰性をも確保できる。該特性により優れる点で、50〜100質量部であることがより好ましく、60〜90質量部であることが特に好ましい。
本発明の高減衰支承用ゴム組成物は、上記成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、充填剤を含有することもでき、例えば、T−クレー、カオリンクレー、ろう石クレー、セリサイトクレー、焼成クレー等のソフトクレー;けいそう土;重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム;ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ等を挙げることができる。これらの中でも、減衰性を高く保つことができるという観点から、T−クレー、カオリンクレーが好ましい。これらの充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、より好ましくは15〜30質量部である。含有量がこの範囲であると、支承体の等価減衰定数、剪断弾性率の歪み依存性を低減でき、また、高い減衰性を維持できる。
本発明の高減衰支承用ゴム組成物は、また、その他の添加剤、例えば、硫黄、酸化亜鉛等の加硫剤;TMTD等の有機含硫黄化合物、ジクミルペルオキシド等の有機過酸化物等;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)等のスルフェンアミド類、メルカプトベンゾチアゾール等のチアゾール類、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム、ステアリン酸等の加硫促進剤;TMDQ等のケトン・アミン縮合物、DNPD等のアミン類、スチレン化フェノール等のモノフェノール類等の老化防止剤;DBP、DOP等のフタール酸誘導体、DBS等のセバシン酸誘導体、といったモノエステル類等の可塑剤;パラフィン系オイル等(プロセスオイル等)の軟化剤;加硫助剤;難燃剤;耐候剤;耐熱剤等を含有してもよい。
本発明の高減衰支承用ゴム組成物は、上述の各成分を配合した未加硫ゴム組成物を、適宜成形して公知の方法、装置を用いて、混練等により調製できる。
本発明の高減衰支承用ゴム組成物は、該高減衰支承用ゴム組成物を用いた支承体が繰り返し剪断変形されても、安定して高減衰性を発揮できる。
本発明の高減衰支承用ゴム組成物が用いられる高減衰支承体は、本発明の高減衰支承用ゴム組成物と鋼板とを交互に積層して得られる高減衰支承体であって、橋梁の支承やビルの基礎免震等に用いられる構造体である。
図1に、本発明の高減衰支承体の一例を表す高減衰支承体1の断面概略図を示す。図1において、1は高減衰支承体(免震積層体)であり、2は硬質板であり、3は本発明の高減衰支承用ゴム組成物である。
本発明の高減衰支承体1は、本発明の高減衰支承用ゴム組成物3と、例えば一般構造用鋼板、冷間圧延鋼板等からなる硬質板2とが交互に積層されて構成される。また、この支承体1は、本発明の高減衰支承用ゴム組成物3と硬質板2との間に接着層を設けて構成してもよく、また、接着層を設けずに直接加硫して構成してもよい。
なお、本発明の高減衰支承体1は、本発明の高減衰支承用ゴム組成物3と、硬質板2とを交互に積層させてなるが、高減衰支承用ゴム組成物3は2層以上を積層させた構造としてもよい。
本発明の高減衰支承体1の本発明の高減衰支承用ゴム組成物3と硬質板2との積層数は、図1に、本発明の高減衰支承用ゴム組成物3について6層、硬質板2について7層の合計13層の例を示してあるが、これに特に限定されず、用いられる用途、要求される特性等に応じて、任意に設定できる。また、本発明の高減衰支承体1の大きさ、全体の厚さ、ゴム組成物1層の厚さ、硬質板1層の厚さ等についても、用いられる用途、要求される特性等に応じて、任意に設定できる。
この高減衰支承体1を製造するには、本発明の高減衰支承用ゴム組成物3を成形・加硫して、シート状のゴム組成物を得た後、接着剤を含む層を設けて硬質板2と交互に積層させてもよいし、また、あらかじめ未加硫の本発明の高減衰支承用ゴム組成物3をシート状に成形し、硬質板2と交互に積層した後、加熱して加硫・接着を同時に行ってもよい。
本発明の高減衰支承体においては、製品各々に要求される等価減衰定数(Heq)および剪断弾性率(Geq)を満たした上、後述する本発明の高減衰支承体におけるHeq変化比およびGeq変化比が以下の範囲であるのが好ましい。
本発明の高減衰支承体におけるHeq変化比の下限は、繰り返し剪断変形に対してHeqの低下が小さい(減衰性の低下が小さい)との観点から、0.82以上が好ましく、この特性により優れる点で、0.84以上がより好ましく、0.86以上が特に好ましい。また、本発明の高減衰支承体におけるGeq変化比の上限は、Geqの上昇が小さい(剪断剛性の上昇が小さい)との観点から、1.07以下が好ましく、これらにより優れる点で、1.06以下がより好ましく、1.05以下が特に好ましい。Geq変化比の下限は、Geqの低下が小さいとの観点から、0.93以上が好ましく、これらにより優れる点で、0.94以上がより好ましく、0.95以上が特に好ましい。
本発明の高減衰支承体のHeqおよびGeqは、下記のラップシェア剪断試験により測定される。ラップシェア型剪断試験用試料として、本発明の高減衰支承用ゴム組成物の未加硫ゴム組成物を幅25mm×長さ25mm×厚さ5mmのサイズに圧延したものと、表面をサンドブラストして金属接着剤を塗布した鋼板(幅25mm×長さ100mm×厚さ20mm)とを、図2のラップシェア型剪断試験用試料4の側面図に示すように配置(積層)した後に、130℃で120分プレス加硫したものを用いる。なお、図2においては、未加硫ゴム組成物を幅25mm×長さ25mm×厚さ5mmのサイズに圧延したものは、単に、圧延した未加硫ゴム組成物5として表し、表面をサンドブラストして金属接着剤を塗布した鋼板(幅25mm×長さ100mm×厚さ20mm)は、単に、鋼板6として表している。
ラップシェア剪断試験を加振機(サギノミヤ社製)、入力信号発振機、出力信号処理機を用いて、以下に示す条件で行う。
作製したラップシェア型剪断試験用試料を用いて、2軸剪断試験機による変形周波数0.5Hz、測定温度23℃下、175%歪みを10回加えたときの各1回の剪断特性値の平均(n=10)(Geq、Heq)を求める。Geq、Heqは、上記ラップシェア型剪断試験にて得られたヒステリシスループより、下記式(1)、(2)に従って算出する。
また、この支承体を用いて、引き続き、同様の条件で、70%歪みを5000回加えた後に上記剪断特性値と同条件で再度平均剪断特性値(Geq2、Heq2)を求める。
次に、Heq2をHeq1で割ったHeq変化比およびGeq2をGeq1で割ったGeq変化比を求める。このHeq変化比およびGeq変化比によって、支承体が繰り返し剪断変形されたときの物性の変化を評価できる。
図3は、支承体のヒステリシス曲線の一例を表したグラフであり、支承体に一方向から周期的に剪断歪みを加えていき、剪断歪みに対して生じる支承体の応力を、横軸に歪み(%)、縦軸に応力をとって示したものである。支承体の等価減衰定数(Heq)および剪断弾性率(Geq)は、それぞれ、下記式(1)および式(2)で表される。
Figure 0004331003
式(1)中、△Wはヒステリシスループの面積(図中、斜線部分)である。
式(2)中、Keqは下記式(3)で表され、Hは支承体中に積層されるゴム層の合計の厚みを表し、Aはゴム層の断面積である。
Figure 0004331003
本発明の高減衰支承体(免震積層体)は、振動エネルギーの吸収装置として用いられればその用途、適用条件等は、特に限定されないが、上述の優れた特性を有するため、建築用の振動エネルギーの吸収装置として用いられるのが好ましく、例えば、各種の免震、除振、防振等の振動エネルギーの吸収装置(より具体的には、例えば、道路橋の支承や、橋梁、ビルの基礎免震、戸建免震用途等)に好適に用いられる。
以下、本発明を実施例に従ってより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜2、比較例1〜5>
ラップシェア型剪断試験用試料は、下記第1表に記載の組成(単位は質量部)にて、各化合物を配合してB型バンバリーミキサーにて5分間混練して調製した未加硫ゴム組成物を、幅25mm×長さ25mm×厚さ5mmのサイズに圧延したものと、表面をサンドブラストして金属接着剤を塗布した鋼板(幅25mm×長さ100mm×厚さ20mm)とを、図2のラップシェア型剪断試験用試料4の側面図に示すように配置(積層)した後に、130℃で120分プレス加硫して作製した。
ラップシェア剪断試験を上記の方法と同様にして、加振機(サギノミヤ社製)、入力信号発振機、出力信号処理機を用いて、作製したラップシェア型剪断試験用試料を用いて、2軸剪断試験機による変形周波数0.5Hz、測定温度23℃下、175%歪みを10回加えたときの各1回の剪断特性値の平均(n=10)(Geq、Heq)を求めた。次に、この支承体を用いて、同様の条件で、引き続き70%歪みを5000回加えた後に、上記剪断特性値と同条件で再度平均剪断特性値(Geq2、Heq2)を求めた。次に、Geq2をGeq1で割ったGeq変化比およびHeq2をHeq1で割ったHeq変化比を求めた。
結果を第1表に示す。
Figure 0004331003
<表中の成分>
天然ゴム:TSR20
ブタジエンゴム:NipolBR1220、日本ゼオン社製
シリチン:シリチンZ86(質量比(石英:カオリナイト)約6.8:1、密度2.6g/cm3)、ホフマンミネラル社製
石油樹脂:ハイレジン#120(軟化点120℃、東邦化学社製 )
カーボンブラック:ダイヤブラックI、三菱化学社製
カオリンクレー:Suprex Clay、ケンタッキーテネシークレイカンパニー社製
アロマオイル:ダイアナプロセスAH−20、出光興産社製
硫黄:粉末イオウ、細井化学工業社製
加硫促進剤:ノクセラーCZ、大内新興化学工業社製
第1表に示す結果より、比較例1および3の支承体は等価減衰定数(Heq1およびHeq2)が小さく、支承体用ゴム組成物に求められる減衰性を満足するものではなかった。また、比較例2および比較例5の支承体は、Geq変化比が大きく、Heq変化比が小さかった。すなわち、繰り返し剪断変形を受けると、剪断剛性が上昇し、減衰性が低下する傾向が大きかった。また、比較例4の支承体は、Heq変化比が小さく、繰り返し剪断変形を受けた後は減衰性が低下する傾向が大きかった。さらに比較例4の支承体に用いたゴム組成物は粘度が高く、また、グリーン伸び、グリーン引裂きが小さく、加工性に劣った。
また、本明細書の比較例には示していないが、比較例5のカオリンクレーの代わりにタルクを用いた支承体は、破断特性に劣り、剪断変形を受けるとゴム組成物の部分に亀裂を生じた。
一方、実施例1および2の支承体は、等価減衰定数および剪断弾性率が好適範囲にあり、繰り返し剪断変形を受けた後もこれらの特性に大きな変化はなかった。
図1は、本発明の高減衰支承体の一例を表す高減衰支承体1の断面概略図である。 図2は、ラップシェア型剪断試験用試料の側面図である。 図3は、支承体のヒステリシス曲線の一例を表したグラフである。
符号の説明
1 高減衰支承体(免震積層体)
2 硬質板
3 本発明の高減衰支承用ゴム組成物
4 ラップシェア型剪断試験用試料
5 圧延した未加硫ゴム組成物
6 鋼板

Claims (4)

  1. ゴム成分100質量部と、
    石英とカオリナイトの凝集体5〜55質量部と、
    石油樹脂10〜55質量部とを含有する高減衰支承用ゴム組成物。
  2. 前記石英とカオリナイトの凝集体に対する前記石油樹脂の質量比(石英とカオリナイトの凝集体:石油樹脂)が、1:0.9〜1:3.5である請求項1に記載の高減衰支承用ゴム組成物。
  3. さらに、カーボンブラックを含有する請求項1または2に記載の高減衰支承用ゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の高減衰支承用ゴム組成物と硬質板とを交互に積層して得られる高減衰支承体。
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