JP2011132363A - 高減衰積層体用ゴム組成物および高減衰積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】減衰性およびせん断弾性率ならびにこれらの温度依存性のバランスに優れる積層体を実現することができる高減衰積層体用ゴム組成物の提供。
【解決手段】ジエン系ゴム100質量部と、カーボンブラック20〜75質量部と、シリカ10〜60質量部と、可塑剤1〜30質量部とを含有し、
前記可塑剤が、リン酸誘導体を50質量%以上含有する高減衰積層体用ゴム組成物。
【選択図】なし
【解決手段】ジエン系ゴム100質量部と、カーボンブラック20〜75質量部と、シリカ10〜60質量部と、可塑剤1〜30質量部とを含有し、
前記可塑剤が、リン酸誘導体を50質量%以上含有する高減衰積層体用ゴム組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、高減衰積層体用ゴム組成物および高減衰積層体に関する。
近年、震動エネルギーの吸収装置として、防震装置、除震装置、免震装置等が急速に普及しつつある。そして、このような装置においては、振動エネルギー減衰性能を有するゴム組成物が使用されている。
例えば、橋梁の支承やビルの免震装置に用いられる免震用積層ゴムには、減衰性(振動をより多くの熱に変換して振動エネルギーを減衰させる)が高いことや、所望のせん断弾性率が発現することが要求されている。
このような免震用積層ゴムに用いられるゴム組成物として、本出願人は、特許文献1において「ジエン系ゴム100質量部と、カーボンブラック40〜75質量部と、シリカ5〜35質量部と、無機充填剤5〜55質量部と、石油樹脂5〜50質量部とを含有する高減衰積層体用ゴム組成物。」を提案している。
しかしながら、特許文献1に記載の高減衰積層体用ゴム組成物は、減衰性が高く、せん断弾性率に優れるものの、冬場の最低気温がマイナス30℃程度に達する極寒冷地においては減衰性およびせん断弾性率の温度依存性が大きくなる場合があった。
しかしながら、特許文献1に記載の高減衰積層体用ゴム組成物は、減衰性が高く、せん断弾性率に優れるものの、冬場の最低気温がマイナス30℃程度に達する極寒冷地においては減衰性およびせん断弾性率の温度依存性が大きくなる場合があった。
そこで、本出願人は、上述した温度依存性の改善等を目的として、特許文献2において「ジエン系ゴム100質量部と、カーボンブラック40〜75質量部と、シリカ5〜35質量部と、無機充填剤5〜55質量部と、石油樹脂5〜50質量部とを含有し、前記ジエン系ゴムが、ビニル−シスブタジエンゴムを80質量%以上含有する高減衰積層体用ゴム組成物。」を提案している。
しかしながら、上記特許文献2に記載の高減衰積層体用ゴム組成物であっても、使用する可塑剤の種類によっては、減衰性およびせん断弾性率ならびにこれらの温度依存性のバランスに劣る場合があることが明らかとなった。
そこで、本発明は、減衰性およびせん断弾性率ならびにこれらの温度依存性のバランスに優れる積層体を実現することができる高減衰積層体用ゴム組成物の提供を目的とする。
そこで、本発明は、減衰性およびせん断弾性率ならびにこれらの温度依存性のバランスに優れる積層体を実現することができる高減衰積層体用ゴム組成物の提供を目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ジエン系ゴムに対して、カーボンブラックと、シリカと、特定の可塑剤とを特定の割合で配合したゴム組成物を用いると、減衰性およびせん断弾性率ならびにこれらの温度依存性のバランスに優れる積層体が得られることを知見し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(7)を提供する。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(7)を提供する。
(1)ジエン系ゴム100質量部と、カーボンブラック20〜75質量部と、シリカ10〜60質量部と、可塑剤1〜30質量部とを含有し、
上記可塑剤が、リン酸誘導体を50質量%以上含有する高減衰積層体用ゴム組成物。
上記可塑剤が、リン酸誘導体を50質量%以上含有する高減衰積層体用ゴム組成物。
(2)上記リン酸誘導体が、20℃における粘度が10mPa・s以上である上記(1)に記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
(3)上記リン酸誘導体が、芳香族炭化水素基および/または炭素数が8以上の脂肪族炭化水素基を合計して3個有する上記(1)または(2)に記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
(4)上記ジエン系ゴムが、天然ゴムおよびビニル−シスブタジエンゴムを含有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
(5)上記ジエン系ゴムが、ビニル−シスブタジエンゴムを10質量%以上含有する上記(4)に記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
(6)更に、上記ジエン系ゴム100質量部に対して石油樹脂を5〜55質量部含有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の高減衰積層体用ゴム組成物と硬質板とを交互に積層して得られる高減衰積層体。
以下に説明するように、本発明によれば、減衰性およびせん断弾性率ならびにこれらの温度依存性のバランスに優れる積層体を実現することができる高減衰積層体用ゴム組成物を提供することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の高減衰積層体用ゴム組成物(以下、単に「本発明のゴム組成物」ともいう。)は、ジエン系ゴム100質量部と、カーボンブラック20〜75質量部と、シリカ10〜60質量部と、可塑剤1〜30質量部とを含有し、上記可塑剤が、リン酸誘導体を50質量%以上含有する高減衰積層体用のゴム組成物である。
次に、本発明のゴム組成物に含有するジエン系ゴム、カーボンブラック、シリカおよび可塑剤について詳述する。
本発明の高減衰積層体用ゴム組成物(以下、単に「本発明のゴム組成物」ともいう。)は、ジエン系ゴム100質量部と、カーボンブラック20〜75質量部と、シリカ10〜60質量部と、可塑剤1〜30質量部とを含有し、上記可塑剤が、リン酸誘導体を50質量%以上含有する高減衰積層体用のゴム組成物である。
次に、本発明のゴム組成物に含有するジエン系ゴム、カーボンブラック、シリカおよび可塑剤について詳述する。
<ジエン系ゴム>
本発明のゴム組成物に含有するジエン系ゴムは特に限定されず、その具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げられる。
これらのジエン系ゴムの平均分子量、単量体構成モル比、ハロゲン化率等は特に限定されず、用いられる用途に応じて任意に設定できる。
本発明のゴム組成物に含有するジエン系ゴムは特に限定されず、その具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げられる。
これらのジエン系ゴムの平均分子量、単量体構成モル比、ハロゲン化率等は特に限定されず、用いられる用途に応じて任意に設定できる。
これらのうち、減衰性、加工性等のバランスがよい理由からNRが好ましい。
また、減衰性、せん断弾性率の温度依存性を低減させる理由からBRが好ましい。特に、BRのうちでも、減衰性およびせん断弾性率ならびにこれらの温度依存性のバランスがより向上する理由から、ビニル−シスブタジエンゴムが好ましい。
また、減衰性、せん断弾性率の温度依存性を低減させる理由からBRが好ましい。特に、BRのうちでも、減衰性およびせん断弾性率ならびにこれらの温度依存性のバランスがより向上する理由から、ビニル−シスブタジエンゴムが好ましい。
ここで、ビニル−シスブタジエンゴムとは、C4留分を主成分とする不活性有機溶媒中における、シス−1,4−重合とシンジオタクチック−1,2重合とからなるポリブタジエンゴム複合体(以下、「VCR」ともいう。)である。
ビニル−シスブタジエンゴムとしては、具体的には、例えば、シス1,4−結合含量90%以上のシス−1,4−ポリブタジエンゴム97〜80質量%と、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン3〜20質量%とからなる複合体等が挙げられる。
このようなビニル−シスブタジエンゴムとして、例えば、宇部興産社製のUBEPOL−VCR等の市販品を用いることができる。
ビニル−シスブタジエンゴムとしては、具体的には、例えば、シス1,4−結合含量90%以上のシス−1,4−ポリブタジエンゴム97〜80質量%と、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン3〜20質量%とからなる複合体等が挙げられる。
このようなビニル−シスブタジエンゴムとして、例えば、宇部興産社製のUBEPOL−VCR等の市販品を用いることができる。
本発明においては、上記ジエン系ゴムをそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
2種以上を併用する場合の上記ジエン系ゴムの好適な組み合わせとしては、ゴム成分同士の相溶性、加工性、グリーン強度および加硫物性等の観点から、例えば、NRおよびBRの組み合わせ、IRおよびBRの組み合わせ、NR、IRおよびBRの組み合わせ等が挙げられる。
これらのうち、減衰性およびせん断弾性率ならびにこれらの温度依存性のバランスがより向上する理由から、NRおよびBRの組み合わせが好ましく、NRおよびVCRの組み合わせが特に好ましい。
2種以上を併用する場合の上記ジエン系ゴムの好適な組み合わせとしては、ゴム成分同士の相溶性、加工性、グリーン強度および加硫物性等の観点から、例えば、NRおよびBRの組み合わせ、IRおよびBRの組み合わせ、NR、IRおよびBRの組み合わせ等が挙げられる。
これらのうち、減衰性およびせん断弾性率ならびにこれらの温度依存性のバランスがより向上する理由から、NRおよびBRの組み合わせが好ましく、NRおよびVCRの組み合わせが特に好ましい。
また、本発明においては、上記ジエン系ゴムとしてNRおよびVCRを併用する場合、VCRを10質量%以上含有するのが好ましく、50質量%以上含有するのがより好ましく、70質量%以上含有するのが更に好ましい。
<カーボンブラック>
本発明のゴム組成物に含有するカーボンブラックは、従来公知のものを使用することができる。
本発明のゴム組成物に含有するカーボンブラックは、従来公知のものを使用することができる。
本発明においては、CTAB吸着比表面積が100m2/g以上のカーボンブラックを用いるのが好ましく、110〜370m2/gのカーボンブラックを用いるのがより好ましい。
CTAB吸着比表面積が100m2/g以上で範囲であると、得られる本発明のゴム組成物と硬質板とを交互に積層して得られる本発明の高減衰積層体(以下、「本発明の積層体」ともいう。)の減衰性をより高く維持することができる。
ここで、CTAB吸着比表面積は、カーボンブラックがゴム分子との吸着に利用できる表面積を、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)の吸着により測定した値である。
このようなカーボンブラックとしては、例えば、SAF、ISAF、HAFを挙げることができる。なお、CATB吸着比表面積は、ASTM D3765−80に記載の方法により測定することができる。
CTAB吸着比表面積が100m2/g以上で範囲であると、得られる本発明のゴム組成物と硬質板とを交互に積層して得られる本発明の高減衰積層体(以下、「本発明の積層体」ともいう。)の減衰性をより高く維持することができる。
ここで、CTAB吸着比表面積は、カーボンブラックがゴム分子との吸着に利用できる表面積を、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)の吸着により測定した値である。
このようなカーボンブラックとしては、例えば、SAF、ISAF、HAFを挙げることができる。なお、CATB吸着比表面積は、ASTM D3765−80に記載の方法により測定することができる。
また、本発明においては、カーボンブラックの含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、20〜75質量部であり、40〜75質量部であるのが好ましく、50〜75質量部であるのがより好ましい。
カーボンブラックの含有量がこの範囲であると、得られる本発明の積層体の減衰性が高く、せん断弾性率が良好となる。
カーボンブラックの含有量がこの範囲であると、得られる本発明の積層体の減衰性が高く、せん断弾性率が良好となる。
<シリカ>
本発明のゴム組成物に含有するシリカは、従来公知のものを使用することができる。
シリカとしては、具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカを挙げることができる。
また、シリカは、平均凝集粒径が、5〜50μmのものが好ましく、5〜30μmのものがより好ましい。
本発明のゴム組成物に含有するシリカは、従来公知のものを使用することができる。
シリカとしては、具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカを挙げることができる。
また、シリカは、平均凝集粒径が、5〜50μmのものが好ましく、5〜30μmのものがより好ましい。
本発明においては、シリカの含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、10〜60質量部であり、20〜50質量部であるのが好ましく、25〜45質量部であるのがより好ましい。
シリカの含有量がこの範囲であると、得られる本発明の積層体の減衰性が高く、せん断弾性率が良好となる。
シリカの含有量がこの範囲であると、得られる本発明の積層体の減衰性が高く、せん断弾性率が良好となる。
<可塑剤>
本発明のゴム組成物に含有する可塑剤は、リン酸誘導体を50質量%以上含有するものであれば特に限定されず、リン酸誘導体を単独で用いるものであってもよい。
上記リン酸誘導体としては、具体的には、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のゴム組成物に含有する可塑剤は、リン酸誘導体を50質量%以上含有するものであれば特に限定されず、リン酸誘導体を単独で用いるものであってもよい。
上記リン酸誘導体としては、具体的には、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、得られる本発明の積層体の減衰性がより高くなる理由から、上記リン酸誘導体の20℃における粘度が10mPa・s以上であるのが好ましく、20mPa・s以上であるのがより好ましい。
ここで、20℃における粘度は、20℃下でJIS K2283:2000に規定された「動粘度試験方法」により測定した粘度をいう。
ここで、20℃における粘度は、20℃下でJIS K2283:2000に規定された「動粘度試験方法」により測定した粘度をいう。
このようなリン酸誘導体としては、上記で例示したもののすべてが該当するが、なかでも、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートであるのが好ましい。
また、本発明においては、得られる本発明の積層体の減衰性がより高くなる理由から、上記リン酸誘導体が、芳香族炭化水素基および/または炭素数が8以上の脂肪族炭化水素基を合計して3個有するものであるのが好ましい。
ここで、芳香族炭化水素基としては、具体的には、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェニル基、トリル基(クレシル基)(o−、m−、p−)、ジメチルフェニル基、メシチル基などのアリール基;等が挙げられる。
また、炭素数が8以上の脂肪族炭化水素基としては、具体的には、例えば、オクチル基、ドデシル基、ステアリル基などの直鎖状のアルキル基;2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソデシル基などの分岐状のアルキル基;リシノル基、オレイル基などのアルケニル基;等が挙げられる。
これらのうち、立体障害が大きく、得られる本発明の減衰性が更に高くなる理由から、アリール基であるのが好ましく、フェニル基、クレシル基であるのがより好ましい。
ここで、芳香族炭化水素基としては、具体的には、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェニル基、トリル基(クレシル基)(o−、m−、p−)、ジメチルフェニル基、メシチル基などのアリール基;等が挙げられる。
また、炭素数が8以上の脂肪族炭化水素基としては、具体的には、例えば、オクチル基、ドデシル基、ステアリル基などの直鎖状のアルキル基;2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソデシル基などの分岐状のアルキル基;リシノル基、オレイル基などのアルケニル基;等が挙げられる。
これらのうち、立体障害が大きく、得られる本発明の減衰性が更に高くなる理由から、アリール基であるのが好ましく、フェニル基、クレシル基であるのがより好ましい。
このようなリン酸誘導体としては、上記で例示したもののうち、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェートが該当し、なかでも、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートであるのが好ましい。
更に、本発明においては、可塑剤のブリードアウトを抑制でき、作業性(例えば、圧延後の未加硫ゴム組成物のシートを積層させる際の成型性)に優れる理由から、上記可塑剤は、50質量%以上の上記リン酸誘導体と50質量部以下の他の可塑剤とを併用するのが好ましい。
他の可塑剤としては、具体的には、例えば、アロマオイル、ナフテンオイル、フタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、セバシン酸誘導体(例えば、DBS等)等が挙げられる。
これらのうち、ジエン系ゴムとの相溶性が良好である理由から、アロマオイルであるのが好ましい。
特に、本発明においては、上記リン酸誘導体とアロマオイルとの質量比(リン酸誘導体/アロマオイル)が50/50〜80/20となるのが好ましく、55/45〜70/30となるのがより好ましい。
他の可塑剤としては、具体的には、例えば、アロマオイル、ナフテンオイル、フタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、セバシン酸誘導体(例えば、DBS等)等が挙げられる。
これらのうち、ジエン系ゴムとの相溶性が良好である理由から、アロマオイルであるのが好ましい。
特に、本発明においては、上記リン酸誘導体とアロマオイルとの質量比(リン酸誘導体/アロマオイル)が50/50〜80/20となるのが好ましく、55/45〜70/30となるのがより好ましい。
本発明においては、可塑剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜30質量部であり、1〜20質量部であるのが好ましい。
リン酸誘導体を50質量%以上含有する可塑剤を用いることにより、得られる本発明の積層体の減衰性およびせん断弾性率ならびにこれらの温度依存性のバランスが良好となる。
このように減衰性およびせん断弾性率ならびにこれらの温度依存性のバランスが良好となる理由は詳細には明らかではないが、ジエン系ゴムとの相溶性に劣るリン酸誘導体が、他の可塑剤と併用することにより減衰性付与剤として作用し、かつ、低温でも硬化しないためであると考えられる。
このように減衰性およびせん断弾性率ならびにこれらの温度依存性のバランスが良好となる理由は詳細には明らかではないが、ジエン系ゴムとの相溶性に劣るリン酸誘導体が、他の可塑剤と併用することにより減衰性付与剤として作用し、かつ、低温でも硬化しないためであると考えられる。
<無機充填剤>
本発明のゴム組成物は、得られる本発明の積層体の減衰性およびせん断弾性率の観点から、上述したカーボンブラックおよびシリカ以外の無機充填剤を含有しているのが好ましい。
このような無機充填剤としては、具体的には、例えば、T−クレー、カオリンクレー、ろう石クレー、セリサイトクレー、焼成クレーのようなソフトクレー;けいそう土;重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、石英とカオリナイトとの凝集体;等が挙げられる。
これらの中でも、減衰性、および、長期せん断変形に対する安定性を特に高く保つことができるという観点から、T−クレー、カオリンクレー、石英とカオリナイトとの凝集体が好ましい。
本発明のゴム組成物は、得られる本発明の積層体の減衰性およびせん断弾性率の観点から、上述したカーボンブラックおよびシリカ以外の無機充填剤を含有しているのが好ましい。
このような無機充填剤としては、具体的には、例えば、T−クレー、カオリンクレー、ろう石クレー、セリサイトクレー、焼成クレーのようなソフトクレー;けいそう土;重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、石英とカオリナイトとの凝集体;等が挙げられる。
これらの中でも、減衰性、および、長期せん断変形に対する安定性を特に高く保つことができるという観点から、T−クレー、カオリンクレー、石英とカオリナイトとの凝集体が好ましい。
本発明においては、無機充填剤を含有する場合の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、5〜55質量部であるのが好ましく、10〜50質量部であるのがより好ましく、15〜40質量部であるのが更に好ましい。
無機充填剤の含有量がこの範囲であると、得られる本発明の積層体の減衰性がより高く、せん断弾性率がより良好となる。
無機充填剤の含有量がこの範囲であると、得られる本発明の積層体の減衰性がより高く、せん断弾性率がより良好となる。
<石油樹脂>
本発明のゴム組成物は、得られる本発明の積層体の長期の繰り返しせん断変形に対する減衰性およびせん断弾性率の観点から、石油樹脂を含有しているのが好ましい。
石油樹脂としては、例えば、C5系の脂肪族不飽和炭化水素の重合体、C9系の芳香族不飽和炭化水素の重合体、C5系の脂肪族不飽和炭化水素とC9系の芳香族不飽和炭化水素との共重合体等が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、得られる本発明の積層体の長期の繰り返しせん断変形に対する減衰性およびせん断弾性率の観点から、石油樹脂を含有しているのが好ましい。
石油樹脂としては、例えば、C5系の脂肪族不飽和炭化水素の重合体、C9系の芳香族不飽和炭化水素の重合体、C5系の脂肪族不飽和炭化水素とC9系の芳香族不飽和炭化水素との共重合体等が挙げられる。
C5系の脂肪族不飽和炭化水素としては、具体的には、例えば、ナフサの熱分解により得られるC5留分中に含まれる、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテンのようなオレフィン系炭化水素;2−メチル−1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエンのようなジオレフィン系炭化水素;等が挙げられる。
これらは、適当な触媒の存在下で、重合または共重合されることが可能である。ここで、C5系の脂肪族不飽和炭化水素の重合体とは、一種のC5系の脂肪族不飽和炭化水素の単独重合体と、二種以上のC5系の脂肪族不飽和炭化水素の共重合体のいずれをもいう。
これらは、適当な触媒の存在下で、重合または共重合されることが可能である。ここで、C5系の脂肪族不飽和炭化水素の重合体とは、一種のC5系の脂肪族不飽和炭化水素の単独重合体と、二種以上のC5系の脂肪族不飽和炭化水素の共重合体のいずれをもいう。
C9系の芳香族不飽和炭化水素としては、具体的には、例えば、ナフサの熱分解により得られるC9留分中に含まれる、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエンのようなビニル置換芳香族炭化水素等が挙げられる。
これらは、適当な触媒の存在下で、重合または共重合されることが可能である。ここで、C9系の芳香族不飽和炭化水素の重合体とは、一種のC9系の芳香族不飽和炭化水素の単独重合体と、二種以上のC9系の芳香族不飽和炭化水素の共重合体のいずれをもいう。
これらは、適当な触媒の存在下で、重合または共重合されることが可能である。ここで、C9系の芳香族不飽和炭化水素の重合体とは、一種のC9系の芳香族不飽和炭化水素の単独重合体と、二種以上のC9系の芳香族不飽和炭化水素の共重合体のいずれをもいう。
また、C5系の脂肪族不飽和炭化水素とC9系の芳香族不飽和炭化水素との共重合体は、該共重合体の軟化点が高くなる点で、C9系の芳香族不飽和炭化水素ユニットが60モル%以上であるものが好ましく、90モル%以上であるものがより好ましい。
C5系の脂肪族不飽和炭化水素とC9系の芳香族不飽和炭化水素との共重合体は、適当な触媒の存在下で、共重合可能である。
C5系の脂肪族不飽和炭化水素とC9系の芳香族不飽和炭化水素との共重合体は、適当な触媒の存在下で、共重合可能である。
上記石油樹脂は、ジエン系ゴムの物性に対し、その分子量および二重結合の反応性が影響を与えるので、軟化点(JIS K2207)が100℃以上のものが好ましく、120℃以上のものがより好ましい。
本発明においては、石油樹脂を含有する場合の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、5〜50質量部であるのが好ましく、10〜45質量部であるのがより好ましい。
石油樹脂の含有量がこの範囲であると、得られる本発明の積層体は、高い減衰性を維持しつつ、温度依存性が小さく、長期の繰り返しせん断変形に対する減衰性およびせん断弾性率が安定なものとなる。
石油樹脂の含有量がこの範囲であると、得られる本発明の積層体は、高い減衰性を維持しつつ、温度依存性が小さく、長期の繰り返しせん断変形に対する減衰性およびせん断弾性率が安定なものとなる。
<その他の添加剤>
本発明のゴム組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、その他の添加剤を含有することができる。
上記添加剤としては、例えば、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、加硫助剤、難燃剤、耐候剤、耐熱剤等が挙げられる。
加硫剤としては、具体的には、例えば、硫黄、酸化亜鉛;TMTDなどの有機含硫黄化合物;ジクミルペルオキシドなどの有機過酸化物;等が挙げられる。
加硫促進剤としては、具体的には、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)などのスルフェンアミド類;メルカプトベンゾチアゾールなどのチアゾール類;テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム類;ステアリン酸;等が挙げられる。
老化防止剤としては、具体的には、例えば、TMDQなどのケトン・アミン縮合物;DNPDなどのアミン類;スチレン化フェノールなどのモノフェノール類;等が挙げられる。
軟化剤としては、具体的には、例えば、パラフィン系オイル(プロセスオイル)等が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、その他の添加剤を含有することができる。
上記添加剤としては、例えば、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、加硫助剤、難燃剤、耐候剤、耐熱剤等が挙げられる。
加硫剤としては、具体的には、例えば、硫黄、酸化亜鉛;TMTDなどの有機含硫黄化合物;ジクミルペルオキシドなどの有機過酸化物;等が挙げられる。
加硫促進剤としては、具体的には、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)などのスルフェンアミド類;メルカプトベンゾチアゾールなどのチアゾール類;テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム類;ステアリン酸;等が挙げられる。
老化防止剤としては、具体的には、例えば、TMDQなどのケトン・アミン縮合物;DNPDなどのアミン類;スチレン化フェノールなどのモノフェノール類;等が挙げられる。
軟化剤としては、具体的には、例えば、パラフィン系オイル(プロセスオイル)等が挙げられる。
本発明のゴム組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、上述した各成分を配合した未加硫ゴム組成物を、適宜成形して公知の方法、装置を用いて、混練等により調製できる。
本発明の積層体は、上述した本発明のゴム組成物と硬質板とを交互に積層して得られる高減衰積層体であり、橋梁の支承やビルの基礎免震等に用いられる構造体である。
図1に、本発明の積層体の実施態様の一例を表す高減衰積層体の断面概略図を示す。図1において、符号1は高減衰積層体(免震積層体)を表し、符号2は硬質板を表し、符号3は本発明の高減衰積層体用ゴム組成物を表す。
図1に一例として示すように、本発明の高減衰積層体1は、本発明の高減衰積層体用ゴム組成物3と、硬質板2(例えば、一般構造用鋼板、冷間圧延鋼板等)とが交互に積層されて構成される。
また、この高減衰積層体1は、本発明の高減衰積層体用ゴム組成物3と硬質板2との間に接着層を設けて構成してもよく、また、接着層を設けずに直接加硫して構成してもよい。
また、この高減衰積層体1は、本発明の高減衰積層体用ゴム組成物3と硬質板2との間に接着層を設けて構成してもよく、また、接着層を設けずに直接加硫して構成してもよい。
図1においては、本発明の高減衰積層体1は、本発明の高減衰積層体用ゴム組成物3と、硬質板2とを交互に積層させた状態が図示されているが、高減衰積層体用ゴム組成物3は2層以上を積層させた構造としてもよい。
また、図1においては、本発明の高減衰積層体用ゴム組成物3について6層、硬質板2について7層の合計13層の例を示してあるが、本発明の高減衰積層体1の本発明の高減衰積層体用ゴム組成物3と硬質板2との積層数はこれに限定されず、用いられる用途、要求される特性等に応じて、任意に設定できる。
更に、本発明の高減衰構造体1の大きさ、全体の厚さ、本発明の高減衰積層体用ゴム組成物3の層の厚さ、硬質板の厚さ等についても、用いられる用途、要求される特性等に応じて、任意に設定できる。
また、図1においては、本発明の高減衰積層体用ゴム組成物3について6層、硬質板2について7層の合計13層の例を示してあるが、本発明の高減衰積層体1の本発明の高減衰積層体用ゴム組成物3と硬質板2との積層数はこれに限定されず、用いられる用途、要求される特性等に応じて、任意に設定できる。
更に、本発明の高減衰構造体1の大きさ、全体の厚さ、本発明の高減衰積層体用ゴム組成物3の層の厚さ、硬質板の厚さ等についても、用いられる用途、要求される特性等に応じて、任意に設定できる。
本発明の積層体を製造するには、本発明の高減衰積層体用ゴム組成物をシート状に成形した後に加硫して、シート状のゴム組成物を得た後、接着剤を含む層を設けて硬質板と交互に積層させてもよいし、また、あらかじめ未加硫の本発明の高減衰積層体用ゴム組成物をシート状に成形し、硬質板と交互に積層した後、加熱して加硫・接着を同時に行ってもよい。
本発明の積層体は、上述した本発明のゴム組成物を用いているため、減衰性およびせん断弾性率ならびにこれらの温度依存性のバランスが良好となる。
具体的には、後述するラップシェアせん断試験により測定する減衰性能の指標となる等価減衰定数(Heq)を0.20以上とすることができる。また、後述するラップシェアせん断試験により測定するマイナス30℃における等価減衰定数(Heq-30℃)と23℃における等価減衰定数(Heq23℃)との比(Heq-30℃/Heq23℃)を1.14未満とすることができる。
また、同様に測定するせん断弾性率(Geq)を0.95以上とすることができ、マイナス30℃におけるせん断弾性率(Geq-30℃)と23℃におけるせん断弾性率(Geq23℃)との比(Geq-30℃/Geq23℃)を1.40未満とすることができる。
具体的には、後述するラップシェアせん断試験により測定する減衰性能の指標となる等価減衰定数(Heq)を0.20以上とすることができる。また、後述するラップシェアせん断試験により測定するマイナス30℃における等価減衰定数(Heq-30℃)と23℃における等価減衰定数(Heq23℃)との比(Heq-30℃/Heq23℃)を1.14未満とすることができる。
また、同様に測定するせん断弾性率(Geq)を0.95以上とすることができ、マイナス30℃におけるせん断弾性率(Geq-30℃)と23℃におけるせん断弾性率(Geq23℃)との比(Geq-30℃/Geq23℃)を1.40未満とすることができる。
等価減衰定数(Heq)およびせん断弾性率(Geq)は、ラップシェアせん断試験により測定される。
図2は、ラップシェア型せん断試験用試料の模式的な側面図である。図2において、符号4はラップシェア型せん断試験用試料を表し、符号5は圧延した未加硫ゴム組成物を表し、符号6は鋼板を表す。
未加硫ゴム組成物5は、幅25mm×長さ25mm×厚さ5mmのサイズに圧延された、本発明の高減衰積層用ゴム組成物の未加硫ゴム組成物である。鋼板6は、表面がサンドブラストされ、金属接着剤が塗布された鋼板(幅25mm×長さ100mm×厚さ20mm)である。
ラップシェア型せん断試験用試料4は、未加硫ゴム組成物5と鋼板6とを、図2に示されるように配置(積層)した後に、130℃で120分プレス加硫して得られる。
図2は、ラップシェア型せん断試験用試料の模式的な側面図である。図2において、符号4はラップシェア型せん断試験用試料を表し、符号5は圧延した未加硫ゴム組成物を表し、符号6は鋼板を表す。
未加硫ゴム組成物5は、幅25mm×長さ25mm×厚さ5mmのサイズに圧延された、本発明の高減衰積層用ゴム組成物の未加硫ゴム組成物である。鋼板6は、表面がサンドブラストされ、金属接着剤が塗布された鋼板(幅25mm×長さ100mm×厚さ20mm)である。
ラップシェア型せん断試験用試料4は、未加硫ゴム組成物5と鋼板6とを、図2に示されるように配置(積層)した後に、130℃で120分プレス加硫して得られる。
ラップシェアせん断試験は、加振機(サギノミヤ社製)、入力信号発振機、出力信号処理機を用いて、以下に示す条件で行われる。
上記のように作製されたラップシェア型せん断試験用試料を用いて、2軸せん断試験機による変形周波数0.5Hz、測定温度23℃で、175%歪みを10回加えたときの各1回のせん断特性値の平均を求める。
具体的には、上記ラップシェア型せん断試験にて得られたヒステリシス曲線が示すXmaxおよびQmaxを用い、等価減衰定数(Heq)およびせん断弾性率(Geq)を下記式(1)、(2)に従って算出する。図3に、ラップシェア型せん断試験にて得られたヒステリシス曲線の一例を示す。
上記のように作製されたラップシェア型せん断試験用試料を用いて、2軸せん断試験機による変形周波数0.5Hz、測定温度23℃で、175%歪みを10回加えたときの各1回のせん断特性値の平均を求める。
具体的には、上記ラップシェア型せん断試験にて得られたヒステリシス曲線が示すXmaxおよびQmaxを用い、等価減衰定数(Heq)およびせん断弾性率(Geq)を下記式(1)、(2)に従って算出する。図3に、ラップシェア型せん断試験にて得られたヒステリシス曲線の一例を示す。
式(1)中、△Wはヒステリシスループの面積(図3中、斜線部分)である。
式(2)中、Keqは下記式(3)で表され、Hは高減衰積層体中に積層されるゴム層の合計の厚みを表し、Aはゴム層の断面積である。
式(2)中、Keqは下記式(3)で表され、Hは高減衰積層体中に積層されるゴム層の合計の厚みを表し、Aはゴム層の断面積である。
高減衰積層体は、振動エネルギーの吸収装置として用いられればその用途、適用条件等は、特に限定されない。中でも、上述の優れた特性を有するため、建築用の振動エネルギーの吸収装置として用いられるのが好ましく、例えば、各種の免震、除振、防振等の振動エネルギーの吸収装置(より具体的には、例えば、道路橋の支承や、橋梁、ビルの基礎免震、戸建免震用途)に好適に用いられる。
以下、本発明を実施例に従ってより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜3:ラップシェア型せん断試験用試料の作製)
まず、下記第1表に示す組成(単位は質量部)になるように、各化合物を配合してB型バンバリーミキサーにて5分間混練し、未加硫ゴム組成物を調製した。
次に、調製した未加硫ゴム組成物を幅25mm×長さ25mm×厚さ5mmのサイズに圧延した。
圧延後の未加硫ゴム組成物(図2中の5)と、表面をサンドブラストして金属接着剤を塗布した鋼板(幅25mm×長さ100mm×厚さ20mm、図2中の6)とを、図2のラップシェア型せん断試験用試料4の側面図に示すように配置(積層)した後に、130℃で120分プレス加硫してラップシェア型せん断試験用試料を作製した。
まず、下記第1表に示す組成(単位は質量部)になるように、各化合物を配合してB型バンバリーミキサーにて5分間混練し、未加硫ゴム組成物を調製した。
次に、調製した未加硫ゴム組成物を幅25mm×長さ25mm×厚さ5mmのサイズに圧延した。
圧延後の未加硫ゴム組成物(図2中の5)と、表面をサンドブラストして金属接着剤を塗布した鋼板(幅25mm×長さ100mm×厚さ20mm、図2中の6)とを、図2のラップシェア型せん断試験用試料4の側面図に示すように配置(積層)した後に、130℃で120分プレス加硫してラップシェア型せん断試験用試料を作製した。
<引張物性>
上記未加硫ゴム組成物を148℃のプレス成型機を用い、面圧3.0MPaの圧力下で45分間加硫して、2mm厚の加硫シートを作製した。このシートからJIS3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251-2004に準拠して行い、切断時伸び(EB)[%]および引張強さ(TB)[MPa]を室温にて測定した。結果を第1表に示す。
上記未加硫ゴム組成物を148℃のプレス成型機を用い、面圧3.0MPaの圧力下で45分間加硫して、2mm厚の加硫シートを作製した。このシートからJIS3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251-2004に準拠して行い、切断時伸び(EB)[%]および引張強さ(TB)[MPa]を室温にて測定した。結果を第1表に示す。
<ブリード>
上記未加硫ゴム組成物をプレス成型機を用い、室温下、面圧3.0MPaの圧力下で圧延した未加硫シートを1ヵ月間放置した後、シート表面への可塑剤のブリードの有無を目視により確認した。
その結果、まったくブリードが確認できず、表面に変化がみられないものを「◎」と評価し、わずかにブリードが認められるものの実用上問題がないものを「○」と評価し、表面全体にブリードが認められるため実用上問題はあるものの、未加硫シートを積層させる際の成型が可能であるものを「△」と評価した。
上記未加硫ゴム組成物をプレス成型機を用い、室温下、面圧3.0MPaの圧力下で圧延した未加硫シートを1ヵ月間放置した後、シート表面への可塑剤のブリードの有無を目視により確認した。
その結果、まったくブリードが確認できず、表面に変化がみられないものを「◎」と評価し、わずかにブリードが認められるものの実用上問題がないものを「○」と評価し、表面全体にブリードが認められるため実用上問題はあるものの、未加硫シートを積層させる際の成型が可能であるものを「△」と評価した。
<ラップシェアせん断試験>
上記ラップシェア型せん断試験用試料に対して、加振機(サギノミヤ社製)、入力信号発振機、出力信号処理機を用い、ラップシェアせん断試験を行った。なお、各実施例で使用したラップシェア型せん断試験用試料の数は10個であった。
具体的には、上記ラップシェア型せん断試験用試料に対し、2軸せん断試験機による変形周波数0.5Hz、測定温度23℃で、175%歪みを10回加えたときの各1回のせん断特性値の平均を求めた。
このラップシェアせん断試験によって得られたヒステリシス曲線が示すXmaxおよびQmaxを用い、上記式(1)および(2)に従って平均せん断特性値(Geq、Heq)を求めた。結果を第1表に示す。
上記ラップシェア型せん断試験用試料に対して、加振機(サギノミヤ社製)、入力信号発振機、出力信号処理機を用い、ラップシェアせん断試験を行った。なお、各実施例で使用したラップシェア型せん断試験用試料の数は10個であった。
具体的には、上記ラップシェア型せん断試験用試料に対し、2軸せん断試験機による変形周波数0.5Hz、測定温度23℃で、175%歪みを10回加えたときの各1回のせん断特性値の平均を求めた。
このラップシェアせん断試験によって得られたヒステリシス曲線が示すXmaxおよびQmaxを用い、上記式(1)および(2)に従って平均せん断特性値(Geq、Heq)を求めた。結果を第1表に示す。
<温度依存性の評価>
上記ラップシェア型せん断試験用試料を用いて、2軸せん断試験機による変形周波数0.5Hz、測定温度23℃で、175%歪みを10回加えたときの各1回のせん断特性値の平均(n=10)(Geq23℃、Heq23℃)を求めた。
次に、測定温度をマイナス30℃に代えた他は測定温度が室温(23℃)の場合と同様にして、マイナス30℃でのせん断特性値の平均(n=10)(Geq-30℃、Heq-30℃)を求めた。
そして、Geq温度依存性として、Geq-30℃/Geq23℃(第1表中では、「−30℃/室温」と記載した)を算出した。Heq温度依存性についても同様に行った。結果を第1表に示す。
上記ラップシェア型せん断試験用試料を用いて、2軸せん断試験機による変形周波数0.5Hz、測定温度23℃で、175%歪みを10回加えたときの各1回のせん断特性値の平均(n=10)(Geq23℃、Heq23℃)を求めた。
次に、測定温度をマイナス30℃に代えた他は測定温度が室温(23℃)の場合と同様にして、マイナス30℃でのせん断特性値の平均(n=10)(Geq-30℃、Heq-30℃)を求めた。
そして、Geq温度依存性として、Geq-30℃/Geq23℃(第1表中では、「−30℃/室温」と記載した)を算出した。Heq温度依存性についても同様に行った。結果を第1表に示す。
<作業性>
作業性は、上述したラップシェア型せん断試験用試料の作製において、B型バンバリーミキサーにて5分間混練した際のゴムのまとまり状態と、調製した未加硫ゴム組成物の圧延の際のロール作業性で評価した。
その結果、ゴムのまとまり状態とロール作業性がいずれも極めて良好であるものを「◎」と評価し、ゴムのまとまり状態とロール作業性がいずれも良好であるものを「○」と評価し、ゴムのまとまり状態が悪いもののロール作業は何とか行うことができるものを「△」と評価した。
作業性は、上述したラップシェア型せん断試験用試料の作製において、B型バンバリーミキサーにて5分間混練した際のゴムのまとまり状態と、調製した未加硫ゴム組成物の圧延の際のロール作業性で評価した。
その結果、ゴムのまとまり状態とロール作業性がいずれも極めて良好であるものを「◎」と評価し、ゴムのまとまり状態とロール作業性がいずれも良好であるものを「○」と評価し、ゴムのまとまり状態が悪いもののロール作業は何とか行うことができるものを「△」と評価した。
第1表中の各成分は、以下のものを使用した。
・天然ゴム:STR20、TECK BEE HANG社製
・ビニル−シスブタジエンゴム:UBEPOL−VCR、宇部興産社製
・カーボンブラック:ダイヤブラックI、三菱化学社製
・シリカ:ニップシールVN3、東ソー・シリカ社製
・無機充填剤:クレー(SUPREX CLAY、ケンタッキーテネシークレイカンパニー社製)
・石油樹脂:ハイレジン#120(軟化点120℃、東邦化学社製)
・硫黄:粉末イオウ、細井化学工業社製
・加硫促進剤:ノクセラーCZ、大内新興化学工業社製
・可塑剤1:アロマオイル(ダイアナプロセスオイル、出光興産社製)
・可塑剤2:ジオクチルセバケート(DOS、大八化学工業社製)
・可塑剤3:ジオクチルアジペート(DOA、大八化学工業社製)
・可塑剤4:トリクレジルホスフェート(クロニテックスTCP、味の素ファインテクノ社製)
・天然ゴム:STR20、TECK BEE HANG社製
・ビニル−シスブタジエンゴム:UBEPOL−VCR、宇部興産社製
・カーボンブラック:ダイヤブラックI、三菱化学社製
・シリカ:ニップシールVN3、東ソー・シリカ社製
・無機充填剤:クレー(SUPREX CLAY、ケンタッキーテネシークレイカンパニー社製)
・石油樹脂:ハイレジン#120(軟化点120℃、東邦化学社製)
・硫黄:粉末イオウ、細井化学工業社製
・加硫促進剤:ノクセラーCZ、大内新興化学工業社製
・可塑剤1:アロマオイル(ダイアナプロセスオイル、出光興産社製)
・可塑剤2:ジオクチルセバケート(DOS、大八化学工業社製)
・可塑剤3:ジオクチルアジペート(DOA、大八化学工業社製)
・可塑剤4:トリクレジルホスフェート(クロニテックスTCP、味の素ファインテクノ社製)
第1表から明らかなように、比較例2〜3で調製した高減衰積層体用ゴム組成物から得られた積層体は、比較例1で得られた積層体の温度依存性を改善しているが、減衰性が劣ることが分かった。
これに対し、実施例1〜4で調製した高減衰積層体用ゴム組成物から得られた積層体は、いずれも、減衰性が高く、せん断弾性率に優れ、また、これらの温度依存性も小さいことが分かった。特に、実施例3および4で調製した高減衰積層体用ゴム組成物から得られた積層体は、加硫後のブリード発生を抑制し、また、作業性にも優れることが分かった。
これに対し、実施例1〜4で調製した高減衰積層体用ゴム組成物から得られた積層体は、いずれも、減衰性が高く、せん断弾性率に優れ、また、これらの温度依存性も小さいことが分かった。特に、実施例3および4で調製した高減衰積層体用ゴム組成物から得られた積層体は、加硫後のブリード発生を抑制し、また、作業性にも優れることが分かった。
1 高減衰積層体(免震積層体)
2 硬質板
3 本発明の高減衰積層体用ゴム組成物
4 ラップシェア型せん断試験用試料
5 圧延した未加硫ゴム組成物
6 鋼板
2 硬質板
3 本発明の高減衰積層体用ゴム組成物
4 ラップシェア型せん断試験用試料
5 圧延した未加硫ゴム組成物
6 鋼板
Claims (7)
- ジエン系ゴム100質量部と、カーボンブラック20〜75質量部と、シリカ10〜60質量部と、可塑剤1〜30質量部とを含有し、
前記可塑剤が、リン酸誘導体を50質量%以上含有する高減衰積層体用ゴム組成物。 - 前記リン酸誘導体が、20℃における粘度が10mPa・s以上である請求項1に記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
- 前記リン酸誘導体が、芳香族炭化水素基および/または炭素数が8以上の脂肪族炭化水素基を合計して3個有する請求項1または2に記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
- 前記ジエン系ゴムが、天然ゴムおよびビニル−シスブタジエンゴムを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
- 前記ジエン系ゴムが、ビニル−シスブタジエンゴムを10質量%以上含有する請求項4に記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
- 更に、前記ジエン系ゴム100質量部に対して石油樹脂を5〜55質量部含有する請求項1〜5のいずれかに記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の高減衰積層体用ゴム組成物と硬質板とを交互に積層して得られる高減衰積層体。
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JP2014001322A (ja) * | 2012-06-19 | 2014-01-09 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 高減衰ゴム支承用ゴム組成物および高減衰ゴム支承 |
-
2009
- 2009-12-24 JP JP2009292853A patent/JP2011132363A/ja not_active Withdrawn
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