JP7215258B2 - スチールコード接着用ゴム組成物及びコンベヤベルト - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に、カーボンブラックを40~80質量部、ネオデカン酸ホウ酸コバルト、フェノール系樹脂および硬化剤を配合してなるゴム組成物であって、カーボンブラックのDBP吸油量が50×10-5~80×10-5m3/kg、よう素吸着量が100~150g/kgであり、かつ動歪2%、20℃における動的貯蔵弾性率(E′)が8MPa以上、60℃の正接損失(tanδ)が0.20以下、歪60%、400rpmの定歪疲労試験で破壊するまでの繰り返し回数が45,000回以上であるゴム組成物が提案されている。
硫黄加硫可能なゴム100重量部に対して、
ロジンまたはロジン誘導体を3~15重量部と、
有機コバルト塩をコバルト量として0.2~1.0重量部と、
有機塩素化合物を3~50重量部と
を含有するゴム組成物と、亜鉛メッキスチールコードとを接着する、亜鉛メッキスチールコードとゴムとの接着方法が開示されている。
そこで、本発明は、耐硬化性及び耐水接着性に優れる、スチールコード接着用ゴム組成物を提供することを目的とする。なお、本発明において耐水接着性は耐湿接着性を含むものとする。また、経時的な加硫ゴムの硬度が低いことを耐硬化性と称するものとする。
また、本発明は、耐硬化性及び耐水接着性に優れるコンベヤベルトを提供することも目的とする。
また、本発明者は、ジエン系ゴムと、ネオデカン酸ホウ酸コバルトと、所定の構造を有する2種の老化防止剤とを含有し、上記2種の老化防止剤の含有量が特定の範囲であることによって、所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
上記老化防止剤1と上記老化防止剤2の合計含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上であり、
上記老化防止剤1の含有量が、上記合計含有量に対して、30質量%以上である、スチールコード接着用ゴム組成物。
[2] 上記ネオデカン酸ホウ酸コバルトの含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1.2~3.5質量部である、[1]に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
[3] 更に、加硫促進剤を含有し、
上記加硫促進剤が、チアゾール系加硫促進剤である、[1]又は[2]に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
[4] 上記加硫促進剤の含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.3~1.2質量部である、[3]に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
[5] 亜鉛メッキスチールコードを接着させるために使用される、[1]~[4]のいずれかに記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
[6] [1]~[5]のいずれかに記載のスチールコード接着用ゴム組成物を用いて形成されたコンベヤベルト。
また、本発明のコンベヤベルトは、耐硬化性及び耐水接着性に優れる。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその成分に該当する物質をそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。成分が2種以上の物質を含む場合、成分の含有量は、2種以上の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその製造方法について特に制限されない。例えば、従来公知の方法が挙げられる。
本明細書において、耐硬化性及び耐水接着性のうちの少なくとも1つがより優れることを、本発明の効果がより優れるということがある。
本発明のスチールコード接着用ゴム組成物(本発明の組成物)は、ジエン系ゴムと、ネオデカン酸ホウ酸コバルトと、下記式(I)で表される老化防止剤1と、下記式(II)で表される老化防止剤2とを含有し、
上記老化防止剤1と上記老化防止剤2の合計含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上であり、
上記老化防止剤1の含有量が、上記合計含有量に対して、30質量%以上である、スチールコード接着用ゴム組成物である。
本発明者は、上記のとおり、ゴム組成物に耐水接着性を発現させるため、ゴム組成物にコバルト塩、樹脂のような接着付与剤、硫黄等を多量に配合する場合、上記成分の多量な添加によって、加硫ゴムの架橋が進みやすくなり、加硫ゴムが経時的に硬化するという問題があること、又は、耐水接着性が低い場合があることを見出した。
上記問題について、本発明者は、ジエン系ゴムとネオデカン酸ホウ酸コバルトとを含有するゴム組成物に対して、所定の2種の老化防止剤を使用することによって、経時的硬化を抑制しつつ、耐水接着性を向上させ得ることを知見した。
このように、本発明の組成物は、耐硬化性及び耐水接着性を優れたレベルで両立させることができる。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について詳述する。
本発明の組成物に含有されるジエン系ゴムは、共役ジエンを有するモノマーから形成される繰り返し単位を有するポリマーであれば特に制限されない。
なかでも、上記ジエン系ゴムは、本発明の効果により優れるという観点から、ポリブタジエンゴム、天然ゴム又は芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴムを含むことが好ましく、ポリブタジエンゴムを含むことがより好ましい。
本発明の組成物に含有されうるポリブタジエンゴム(ブタジエンゴム。「BR」とも称する。)は、ブタジエンの単独重合体であれば特に制限されない。なお、上記ポリブタジエンゴムは変性されていてもよい。
ポリブタジエンゴムの重量平均分子量は、本発明の効果により優れ、引抜力(スチールコードをゴムから引き抜く際に要する力。)が高くなるという観点から、40万~100万が好ましく、45万~80万がより好ましい。
本発明において、ポリブタジエンゴムの重量平均分子量は、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値をもとにした標準ポリスチレン換算値である。
ポリブタジエンゴムのガラス転移温度は、本発明の効果により優れ、耐寒性に優れるという観点から、-50℃以下が好ましく、-150~-80℃がより好ましい。
本発明において、ガラス転移温度は、JIS K7121:2012に準拠し、示差熱分析機器を用いて20℃/分の昇温温度で熱流速の変化を測定した時に得られる曲線において、変曲点を読み取った値とできる。
上記ポリブタジエンゴムの含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、15~60質量部であることが好ましく、20~50質量部がより好ましい。
上記天然ゴム(NR)は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
上記スチレンブタジエン共重合体ゴムは、スチレンとブタジエンとの共重合体であれば特に制限されない。
上記スチレンブタジエン共重合体ゴムの結合スチレン量は、本発明の効果により優れるという観点から、上記スチレンブタジエン共重合体ゴム全量に対して、5~40質量%であることが好ましく、10~30質量%がより好ましい。
上記スチレンブタジエン共重合体ゴムのブタジエンによるビニル量(1,2-ビニル結合量)は、本発明の効果により優れるという観点から、スチレンブタジエン共重合体ゴムが有するブタジエンによる繰り返し単位の総量に対して、5~30質量%であることが好ましく、5~20質量%がより好ましい。
本発明において、上記スチレンブタジエン共重合体ゴムが有する、上記ビニル量と上記結合スチレン量は、1H-NMRで測定することができる。
上記スチレンブタジエン共重合体ゴムのガラス転移温度は本発明の効果により優れ、耐寒性に優れるという観点から、-50℃以下が好ましい。
上記スチレンブタジエン共重合体ゴムのガラス転移温度の下限は、例えば、-100℃以上とできる。
上記スチレンブタジエン共重合体ゴムのガラス転移温度の測定方法は上記と同様である。
スチレンブタジエン共重合体ゴムの重量平均分子量は特に制限されない。例えば、20万~300万とできる。
本発明において、スチレンブタジエン共重合体ゴムの重量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値をもとにした標準ポリスチレン換算値である。
また、上記3者併用場合、上記スチレンブタジエン共重合体ゴムの含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、20~42.5質量部が好ましく、25~40質量部がより好ましい。
本発明の組成物に含有されるネオデカン酸ホウ酸コバルトは、下記式(1)で表される化合物である。
本発明の組成物は、ネオデカン酸ホウ酸コバルトを含有することによって、スチールコードとの接着性に優れる。
上記ネオデカン酸ホウ酸コバルトの含有量は、本発明の効果により優れ、スチールコードとの接着性に優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1.2~3.5質量部であることが好ましく、1.5質量部を超え2.5質量部以下がより好ましい。
上記アルキル基の炭素数は、本発明の効果により優れるという観点から、1~10であることが好ましく、5~8がより好ましい。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基が挙げられる。
上記アルキル基は、本発明の効果により優れるという観点から、1,3-ジメチルブチル基、2-エチルヘキシル基、イソノニル基のような分岐状のアルキル基が好ましい。
上記老化防止剤1は、本発明の効果により優れるという観点から、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン(下記構造)が好ましい。
上記アルキル基の炭素数は、本発明の効果により優れるという観点から、1~10であることが好ましく、6~10がより好ましい。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基が挙げられる。
上記アルキル基は、本発明の効果により優れるという観点から、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基のような直鎖状のアルキル基が好ましい。
本発明において、上記老化防止剤1と上記老化防止剤2の合計含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上である。
本発明において、上記老化防止剤1の含有量は、上記合計含有量(上記老化防止剤1と上記老化防止剤2の合計含有量)に対して、30質量%以上である。
上記合計含有量(上記老化防止剤1と上記老化防止剤2の合計含有量)と上記ネオデカン酸ホウ酸コバルトの含有量の質量比(合計含有量/ネオデカン酸ホウ酸コバルト)は、本発明の効果により優れるという観点から、0.5~1.50であることが好ましく、1.1~2.0がより好ましい。
本発明の組成物は、更に、カーボンブラックを含有することができる。
上記カーボンブラックは特に制限されない。
なかでも、上記カーボンブラックは、本発明の効果により優れるという観点から、HAF級カーボンブラック、ISAF級カーボンブラックが好ましく、HAF級カーボンブラックがより好ましい。
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、本発明の効果により優れるという観点から、60~120m2/gが好ましく、65~95m2/gがより好ましい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K 6217-2:2017「ゴム用カーボンブラック-基本特性- 第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」にしたがって測定できる。
上記カーボンブラックの含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、35~75質量部であることが好ましく、40~70質量部がより好ましい。
本発明の組成物は、更に、加硫促進剤を含有することができる。
上記加硫促進剤は特に制限されない。例えば、チアゾール系、グアニジン系、チウラム系、又は、スルフェンアミド系の加硫促進剤が挙げられる。
なかでも、上記加硫促進剤は、本発明の効果により優れるという観点から、チアゾール系加硫促進剤であることが好ましく、ジベンゾチアジルジスルフィドがより好ましい。
上記加硫促進剤の含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.3~1.2質量部であることが好ましく、0.3~0.9質量部がより好ましい。
本発明の組成物は更に硫黄を含有することができる。上記硫黄は特に制限されない。
上記硫黄の含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、2.1~5.0質量部であることが好ましく、2.5~4.0質量部がより好ましい。
本発明の組成物は、本発明の効果により優れ、スチールコードとの接着性に優れるという観点から、更に、ロジン、ロジン誘導体、フェノール樹脂及び塩素化パラフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、ロジン又はロジン誘導体と、フェノール樹脂と、塩素化パラフィンとを併用することがより好ましい。
本明細書において、ロジン、ロジン誘導体、フェノール樹脂及び塩素化パラフィンをまとめて以下「ロジン等」と称する場合がある。
上記ロジン等は、接着付与剤として機能できる。
ロジンは、松脂とも言われる天然樹脂の1種である。
ロジン誘導体としては、例えば、松材から溶剤等で抽出されるガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、これらのロジンの重合体、不均斉化ロジン、マレイン化ロジン、アルデヒド変性ロジン、水素添加ロジンおよびその加工品等が挙げられる。
ロジン及びロジン誘導体は粘着付与剤として一般的に使用されうるものを使用することができる。
ロジンまたはロジン誘導体としては、市販品を用いることができる。具体的には、例えば、荒川化学工業株式会社製のガムロジン又はウッドロジン、ハリマ化成グループ株式会社製のトール油ロジン、Hercules社製の水素添加ロジン等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、一般にゴム組成物に配合可能なものを使用できる。上記フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒドとの反応によって得られる樹脂及びその変性物を含むことができる。フェノール類としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノールまたはレゾルシン等を例示することができる。また、アルデヒドとしては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒドまたはフルフラール等を例示することができる。
なお、本発明の組成物は、フェノール樹脂の硬化剤を含有しないことが好ましい態様の1つとして挙げられる。
上記塩素化パラフィンは、塩素を有するパラフィンであれば特に制限されない。例えば、平均で炭素数26の鎖状飽和炭化水素化合物であって、該化合物中の水素原子の全部又は一部が塩素原子で置換されているものが挙げられる。
上記塩素化パラフィンが有する塩素量は、塩素化パラフィン全量に対して、例えば、40~80質量%が好ましい。
ロジン又はロジン誘導体と、フェノール樹脂と、塩素化パラフィンとを併用する場合、これらの合計含有量は、本発明の効果により優れ、スチールコードとの接着性に優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、8~22質量部であることが好ましい。
ロジン又はロジン誘導体と、フェノール樹脂と、塩素化パラフィンとを併用する場合、これらの合計含有量に対するフェノール樹脂の含有量は、本発明の効果により優れ、スチールコードとの接着性に優れるという観点から、10~40質量%であることが好ましい。
本発明の組成物は更に酸化亜鉛を含有することができる。上記酸化亜鉛は特に制限されない。
上記酸化亜鉛の含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、5.0質量部以上であることが好ましい。
上記酸化亜鉛の含有量の上限は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、20質量部以下とできる。
本発明の組成物は更にオイルを含有することができる。上記オイルは特に制限されない。例えば、パラフィンオイル(ただし塩素化パラフィンを除く。)、アロマオイルが挙げられる。
上記オイルの含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、2.0質量部以上であることが好ましい。
上記オイルの含有量の上限は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、10質量部以下とできる。
本発明の組成物をスチールコード(例えば亜鉛メッキスチールコード)とともに用いて、例えば加硫することによって、加硫ゴムとスチールコードとを有する複合体を得ることができる。上記複合体において加硫ゴムとスチールコードとは接着することができる。
上記スチールコードは、本発明の効果により優れ、防錆性に優れるという観点から、亜鉛メッキされたものが好ましい。
上記スチールコードの例えば素線径又はコード径などは、適宜選択できる。
次に、本発明のコンベヤベルトについて以下に説明する。
本発明のコンベヤベルトは、本発明のスチールコード接着用ゴム組成物を用いて形成されたコンベヤベルトである。
本発明の組成物は、本発明の効果により優れるという観点から、スチールコードをコートするコートゴム層(クッションゴム)を形成することが好ましい。
本発明のコンベヤベルトは、更に、カバーゴム層を有することが好ましい態様の1つとして挙げられる。上記カバーゴム層を形成しうるゴム組成物は特に制限されない。
図1は本発明のコンベヤベルトの一例を模式的に表す断面斜視図である。
図1において、コンベヤベルト1は、両表面にカバーゴム層6を有し、カバーゴム層6の間に、スチールコード2とコートゴム層4を有する。コートゴム層4はスチールコード2をコートする。コートゴム層4は本発明のスチールコード接着用ゴム組成物で形成されることが好ましい。
下記第1表の各成分を同表に示す組成(質量部)で用いた。
まず、下記第1表に示す成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、バンバリーミキサーで混合し、次に、得られた混合物に硫黄および加硫促進剤を加えてこれらをロールを用いて混合して、各組成物を製造した。
上記のとおり製造された各組成物を用いて以下の評価を行った。結果を第1表に示す。
<耐硬化性>
耐硬化性を加硫ゴムの硬さで評価した。
・評価方法
上記各組成物をプレス成型機を用いて153℃、面圧2.0MPaの条件下で20分間加圧加硫して、厚さ2mmの初期加硫ゴムを得た。
上記のとおり得られた各初期加硫ゴムを、70℃の条件下に336時間置く耐熱試験を行って、経時加硫ゴムを得た。
JIS K 6253-3:2012に準拠して、タイプAデュロメータを用いて初期加硫ゴム及び経時加硫ゴムの硬さ(HS)を測定した。
本発明において、上記経時加硫ゴムの硬さが71以下である場合、耐硬化性(経時的な加硫ゴムの硬度が低いこと)に優れると評価した。
上記経時加硫ゴムの硬さが71を超える場合、耐硬化性が劣ると評価した。
上記経時加硫ゴムの硬さが71より低いほど、耐硬化性により優れると評価した。
また、上記経時加硫ゴムの硬さが71より低く、上記経時加硫ゴムの硬さが同等である場合、経時加硫ゴムの硬さと初期加硫ゴムの硬さとの差(=経時加硫ゴムの硬さ-初期加硫ゴムの硬さ)が小さいほど、耐硬化性により優れると評価した。
耐水接着性をゴム付きで評価した。
・評価方法
デシケータ中に保管して防塵防湿処理を施してある直径4.1mmの亜鉛メッキスチールコードに、上記のとおり製造された各組成物を15mmの厚さに付与して、各組成物とスチールコードとの複合体(スチールコードは組成物中に埋まっている状態)とし、上記複合体をプレス成型機を用いて153℃、面圧2.0MPaの条件下で80分間加圧加硫して、試験体(ゴム/亜鉛メッキスチールコード複合体)を作製した。上記試験体において、ゴム表面からスチールコードが突出している箇所のゴムとスチールコードとの境目を蜜ロウでシールし、温度50℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽内で2週間放置した。その後、室温条件下で各試験体からスチールコードを引き抜く引き抜き試験を行った。上記引き抜き試験は、DIN22131に準拠して行った。
引き抜き試験後、引き抜かれたスチールコードの状態を確認し、初期のスチールコードの表面積に対する引き抜き後のスチールコード表面に残存するゴムの被覆面積の割合(ゴム被覆率、%)を算出した。上記のとおり算出されたゴム被覆率をゴム付きとして第1表に示した。
本発明において、上記ゴム付き(ゴム被覆率)が45%以上である場合、耐水接着性に優れると評価した。
上記ゴム付きが45%未満である場合、耐水接着性が劣ると評価した。
上記ゴム付きが45%より大きいほど、耐水接着性により優れると評価した。
・NR:天然ゴム。TSR20
・SBR:スチレンブタジエン共重合体ゴム。NIPOL 1502(日本ゼオン社製)。ガラス転移温度-54℃。重量平均分子量49万、結合スチレン量24質量%、ビニル量16質量%
・ガムロジン:中国ロジン WW、荒井化学工業株式会社製。
・塩素化パラフィン:塩素化パラフィン(塩素含有量70質量%)。エンパラ 70S、味の素ファインテクノ社製。
・ステアリン酸:ステアリン酸YR(日油社製)
・パラフィンオイル:マシン油 22(昭和シェル石油株式会社)
・硫黄:金華印油入微粉硫黄(鶴見化学工業社製)
上記別の老化防止剤の含有量を比較例1よりも多くした比較例2は、耐硬化性が劣った。
上記老化防止剤2を含有し、上記老化防止剤1を含有せず代わりに上記老化防止剤1、2とは別の老化防止剤を含有する比較例3、4は、耐水接着性が劣った。
上記老化防止剤1を含有し、上記老化防止剤2を含有せず代わりに上記老化防止剤1、2とは別の老化防止剤を含有する比較例5、6は、耐硬化性が劣った。
比較例2に更に上記老化防止剤2を配合した比較例7は、耐硬化性、耐水接着性が劣った。
比較例2に更に上記老化防止剤1を配合した比較例8は、比較例2と同等に耐硬化性が劣った。
2 スチールコード
4 コートゴム層
6 カバーゴム層
Claims (6)
- 前記ネオデカン酸ホウ酸コバルトの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1.2~3.5質量部である、請求項1に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
- 更に、加硫促進剤を含有し、
前記加硫促進剤が、チアゾール系加硫促進剤である、請求項1又は2に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。 - 前記加硫促進剤の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.3~1.2質量部である、請求項3に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
- 亜鉛メッキスチールコードを接着させるために使用される、請求項1~4のいずれか1項に記載のスチールコード接着用ゴム組成物。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載のスチールコード接着用ゴム組成物を用いて形成されたコンベヤベルト。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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