JP2011240476A - ワーク加工装置及び方法 - Google Patents

ワーク加工装置及び方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011240476A
JP2011240476A JP2010213873A JP2010213873A JP2011240476A JP 2011240476 A JP2011240476 A JP 2011240476A JP 2010213873 A JP2010213873 A JP 2010213873A JP 2010213873 A JP2010213873 A JP 2010213873A JP 2011240476 A JP2011240476 A JP 2011240476A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
workpiece
imaging
machining
processing
cutting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010213873A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4780356B1 (ja
Inventor
Osamu Fukuroi
修 袋井
Tatsuo Sadachi
竜男 定地
Toru Mizuno
亨 水野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2010213873A priority Critical patent/JP4780356B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4780356B1 publication Critical patent/JP4780356B1/ja
Publication of JP2011240476A publication Critical patent/JP2011240476A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】2つの撮像装置を用いて効率的にワークのアライメントを実行可能なワーク加工装置及び方法を提供する。
【解決手段】回転刃23は、Y方向及びZ方向に移動自在である。θテーブル40の上面のワーク10は、X方向及びY方向と平行な平面内で回転可能かつX方向に移動自在である。撮像装置90L,90Rは、X方向に関して回転刃23を挟んで反対側に位置する。撮像装置90L,90Rの光軸は、Y方向に関して回転刃23から同じ側に所定距離だけずれた各位置でワーク10の存在平面と交差する。切断時のワーク10の移動ストロークの前後でワーク10の左右の切断マークを撮像装置90L,90Rでそれぞれ撮像する。撮像画像に基づき、ワーク10のY方向移動量及びθ方向位置補正量を演算する。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転砥石を用いて被加工物(ワーク)に加工を行うワーク加工装置及び方法に関する。
図28は、従来の切削装置(ダイサ)の一般的な構成図である。この装置は、例えば、多数個の素子を一括形成した板状のワーク810を矩形に切断して単品の素子を得るために用いられる。装置構成としては、フランジ821によって回転軸822に取り付けられた回転砥石823(ブレード)、切削液の供給ノズル830及び不図示の排出手段(ドレン)、ワークを載置するθテーブル840、ワークの基準マークを撮像認識する一乃至複数の撮像装置850、以上を少なくとも有する。回転砥石823は、Y方向スライドガイド860及びZ方向スライドガイド870に支持される。θテーブル840は、Xスライダ880に支持される。Xスライダ880は、X方向スライドガイド881に支持される。
図29に示すように、ワーク810は、多数個の素子811を一括形成したシリコンウェハ等であり、基準マーク814を4箇所に有する。基準マーク814は、フォトリソや印刷で形成され、多くの場合素子電極等の形成工程で同時に形成される。基準マーク814単体の形状は丸、四角、三角など任意であり、二次元を認識するためには少なくとも三箇所のマークを準備する。
上記装置によるワーク810の切削するときは、アライメント部に移動停止しているθテーブル840にワーク810を載置し、撮像装置850でワーク810の基準マーク814を認識し、不図示の演算部によって基準座標を定義する。θテーブル840は、アライメント部から切削部に移動停止する。そして、先に定義した座標における切断位置へ回転砥石823の位置を一致させ、Z軸に沿ってを下降させる(切り込み)。この状態でθテーブル840をX軸に沿って移動することで切断を実行する。1つのラインについて切断が終わると、回転砥石823をY軸に沿って移動し、切断位置を変更する。所定の方向の切断が完了したら、θテーブル840を回転(一般的に90度)させて、同様に切断を行なう。これにより、矩形の素子を切り出すことができる。なお、スライドガイドの配置は相対動作可能であれば図28に限定されない。
図28の切削部は、切削液の飛沫が飛散する部分で、ここに撮像装置を置くと、光学系部品(対物レンズ等)に切断粉の混じったスラリー状の切削液が付着し、撮像不能となる。したがって、撮像はアライメント部、切断は切削部と分かれた配置となっている(下記特許文献1参照)。なお、下記特許文献2と3では、切削部に撮像装置を置いているが、切削液の飛散や撮像装置の汚染についての検討はされていない。
前述の二次元認識の基準マーク814によるアライメントでは、ひとつのワーク810につき一回のアライメントであるため、撮像はアライメント部、切断は切削部と分かれた配置とすることに大きな問題は無かった。しかし、高精度の切削のために、切断すべきライン毎に切断マーク(後述の図2参照)によるアライメントを行う場合、一箇所の切断毎にθテーブル840をアライメント部に移動することとなり、処理に多くの時間がかかる。
近年では、素子の小型化に伴い、今までは問題にならなかった、切断中ワークのずれが問題となっている。具体的には、温度変化による熱膨張、切削液の吸収による膨潤、切削負荷によるワークの位置ずれなどが考えられる。また、ワークがセラミック系のグリーンシート場合は、焼成前であるため、比較的軟質な材料と言える。この場合、切断工程のみならず各工程においてワークに歪が発生し、上述の基準マークによる座標定義だけでは、個々の素子位置に対して切断位置の誤差の発生が避けられない。そこで、実施の形態で後述の図2に示すとおり、切断ラインの延長線上に切断マークを設け、基準マークによる予備位置決めの後、切断マークにより本位置決めを行なう手法が採られる。切断マークも、基準マークと同様、素子電極等の形成工程で同時に形成される。切断マークによるアライメントは高精度の切削加工のために重要である。
なお、セラミック系のグリーンシートには外層(素子電極が無い外側の層)が存在する。外層に各マークを印刷しても、素子電極の形成とは厳密には別工程となってしまう。そのため、加工精度向上のためには、内層(素子電極がある層)にマークを形成し、これを撮像することが望ましい。下記特許文献4〜6はその先行例であり、非貫通の浅溝加工により切断マーク露出用と切断用の二種類の回転砥石を用意している。
2004−142086号公報 2004−50347号公報 2004−303931号公報 2000−12409号公報 2000−252241号公報 2004−39906号公報
上述のとおり、切断マークによるアライメントをするためにワークを切削部からアライメント部に移動する構成であると、切削部とアライメント部との間での往復に時間を多くとられて好ましくない。切削部に撮像装置を置く場合でも、撮像装置が1つのみであると、効率面で依然として改善の余地がある。
また、切削部に撮像装置を置く場合、切削液や削り屑あるいはそれらの混合物によってレンズが汚れ、撮像不能となるリスクがある。
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、2つの撮像装置を用いて効率的にワークのアライメントを実行可能なワーク加工装置及び方法を提供することにある。
本発明の第1の態様は、ワーク加工装置である。この装置は、
ワーク載置用の加工テーブルと、
前記加工テーブル上のワークを加工可能な回転砥石、及び前記回転砥石が取り付けられた回転軸を有するスピンドルユニットと、
前記加工テーブル上のワークを撮像可能な2つの撮像装置とを備え、
前記回転軸と平行なY方向と、
前記回転軸と垂直なX方向と、
前記X方向及び前記Y方向の双方に垂直なZ方向とに、前記加工テーブルと前記スピンドルユニットとの相対位置を制御可能であり、
前記2つの撮像装置は、前記X方向に関して前記回転軸を挟んでピッチPcの距離で反対側に位置し、前記2つの撮像装置の撮像光軸は前記Z方向に平行であって、
前記ワークは、加工すべき加工ラインに対応する両側に所定ピッチPmで配置された加工マークを有し、
前記ワークの加工時のX方向の移動ストロークをSとしたとき、SとPcの差の絶対値がPmとなるように前記移動ストロークSは設定される。
第1の態様の装置において、前記2つの撮像装置の撮像光軸は、前記回転砥石の取付位置を通る前記回転軸に垂直な面から前記Y方向の同じ側に所定距離だけずれた各位置で、前記加工テーブル上のワークの存在平面と交差するとよい。
第1の態様の装置において、前記2つの撮像装置はそれぞれ、
ハウジングと、
前記ハウジング内の内部空間と、
前記ハウジング外部と前記内部空間とを連通させる開口と、
前記内部空間を通りかつ前記開口から前記ハウジング外部へと続く撮像光軸を有する撮像部と、
前記内部空間から前記開口を通して前記ハウジング外部を照らす照明部と、
前記内部空間へ気体を供給するための気体供給孔とを有し、
前記気体供給孔を通して前記内部空間に供給された気体を前記開口から前記ハウジング外部に噴き出す構成であるとよい。
第1の態様の装置において、
前記加工テーブルを前記回転軸と垂直なX方向に相対移動可能なX方向移動手段と、
前記スピンドルユニットを前記回転軸と平行なY方向に相対移動可能なY方向移動手段と、
前記スピンドルユニットを前記X方向及び前記Y方向の双方に垂直なZ方向に相対移動可能なZ方向移動手段と、
前記加工テーブルを前記Z方向に平行なθ軸で回転可能な回転手段と、
前記X方向移動手段、前記Y方向移動手段、前記Z方向移動手段、及び前記回転手段を制御する制御部とを有し、
前記加工テーブルの前記ワーク載置面及び前記ワークの存在平面が前記Z方向に垂直な平面であり、
前記ワークは、加工すべき加工ライン上の異なる位置に少なくとも1つずつマークを有し、
前記加工ラインは、加工時の前記X方向と一致し、
前記回転砥石を回転させる動作と、前記Y方向移動手段によって前記回転砥石を所定ピッチだけ前記Y方向に相対移動する動作と、前記Z方向移動手段によって前記回転砥石を前記ワークが加工可能な位置に前記Z方向に相対移動する動作と、前記加工可能なZ方向位置を維持した状態で前記回転砥石に対して前記ワークを前記X方向移動手段で相対移動することで前記ワークを前記回転砥石によって加工する動作と、を含む加工工程を、所定数n回繰り返し実行可能であり、
前記2つの撮像装置は、前記加工工程における前記相対移動ストロークSの移動端にて一方側及び他方側の前記マークをそれぞれ撮像する撮像工程を実行可能であり、
前記2つの撮像装置の前記X方向の配置ピッチをPc、前記マークの前記加工ライン方向の配置距離をPm、前記加工工程の前記X方向の相対移動ストロークをSとしたとき、
前記制御部は、SとPcの差の絶対値がPmとなるように前記X方向移動手段を制御し、
前記2つの撮像装置は、ワーク当たりn回の前記加工工程のうちj回の前記撮像工程を実行し、前記nと前記jの関係は、
n≧j
であるとよい。
この場合、前記2つの撮像装置は、前記n回の前記加工工程中に、k回の前記加工工程に対して1回の前記撮像工程を複数回実行するとよい。
あるいは、前記撮像装置は、前記Y方向の加工ライン上の所定ピッチに存在する2以上の加工マークを撮像可能な撮像視野を有するとよい。
また、前記制御部は、撮像した前記マークの画像に基づいて前記回転砥石の前記Y方向への相対移動ピッチ及び前記θ軸を中心とする回転角度補正量を演算するとよい。
本発明の第2の態様は、ワーク加工方法である。この方法は、
ワークと、回転砥石と、2つの撮像装置とを準備する準備工程と、
前記回転砥石に対する前記ワークの相対位置を調節する調節工程と、
前記調節工程の後に、前記回転砥石に対して前記ワークを前記回転砥石の回転軸と垂直なX方向に相対移動することで、前記ワークを前記回転砥石によって加工するn回の加工工程とを有し、
前記調節工程と前記加工工程とを繰り返し所定回数実行するワーク加工方法であり、
前記ワークは、前記加工工程で加工する加工方向に関して異なる位置に少なくとも1つずつマークを有し、
前記2つの撮像装置は、前記回転砥石の回転軸と垂直なX方向に関して前記回転砥石を挟んで反対側に位置し、
前記2つの撮像装置は、前記2つの撮像装置の前記X方向の配置ピッチをPc、前記マークの前記加工方向の配置距離をPmとし、 前記加工工程の前記X方向の相対移動量をSとしたとき、SとPcの差の絶対値がPmとなる位置関係を有し、
本方法は、
前記調節工程の後かつ前記加工工程の前に、前記加工工程における前記X方向への相対移動開始位置にある前記ワークの有するマークのうち前記加工工程における相対移動方向の一方側にあるものを、前記2つの撮像装置の一方により撮像し、前記加工工程の後に、前記加工工程における前記X方向への相対移動終了位置にある前記ワークの有するマークのうち前記加工工程における相対移動方向の他方側にあるものを、前記2つの撮像装置の他方により撮像するj回の撮像工程と、
前記撮像工程の後かつ前記調節工程の前に、前記撮像工程における撮像画像を基に、前記調節工程における相対位置の調節量を演算するj回の演算工程とを有し、
前記n回の加工工程と前記j回の撮像工程は、
n≧j
である。
第2の態様の方法において、前記n回の前記加工工程中に、k回の前記加工工程に対して1回の前記撮像工程を複数回実行するとよい。
第2の態様の方法において、前記撮像装置は、前記Y方向の加工ライン上の所定ピッチに存在する2以上の加工マークを撮像可能な撮像視野を有するとよい。
第2の態様の方法において、前記演算工程で演算する前記調節量は、前記ワークの前記Y方向への相対移動量と、前記ワークの前記Z方向を軸とする相対回転角度θの補正量とを含むとよい。
第2の態様の方法において、前記2つの撮像装置の撮像光軸は、前記回転砥石の取付位置を通る前記回転軸に垂直な面に対して前記Y方向の同じ側で、所定距離だけずれた各位置で前記加工テーブル上のワークの存在平面と交差するとよい。
第2の態様の方法において、
前記ワークは、前記加工工程で加工する各々の加工ラインに対して2つのマークを前記加工方向に関して異なる位置にそれぞれ有し、
各回の前記調節工程の後かつ各回の前記加工工程の前に前記第1撮像工程を実行し、各回の前記加工工程の後に前記第2撮像工程を実行するとよい。
第2の態様の方法において、
前記ワークは、前記加工工程で加工するk本の加工ライン毎に2つのマークを前記加工方向に関して異なる位置にそれぞれ有し、
前記撮像工程を行なう加工ラインの行番号をiとすると、前記演算工程では、iと(i+k)での前記撮像工程によって定義された各加工ラインのデータを基に、(i+1)回から(i+k−1)の加工ラインを定義し、前記調節工程における相対位置の調節量を演算するとよい。
第2の態様の方法において、
前記加工工程を所定回数実行した後に、前記ワークを前記X方向及び前記Y方向と垂直なZ方向を軸に相対的に所定角度だけ回転させる回転工程を実行し、
前記回転工程の後、再度、前記調節工程及び前記加工工程を所定回数実行するとよい。
第2の態様の方法において、
前記ワークは、厚さ方向の所定の深さに前記マークを有し、
本方法は、前記準備工程の後かつ前記調節工程の前に、前記回転砥石によって複数箇所に溝加工をして各マークを露出させる溝形成工程を有するとよい。
この場合、前記溝形成工程は、前記回転砥石と前記ワークとが相対的にアッパーカットになるようにして前記ワークを前記X方向に相対移動させるものであるとよい。
あるいは、前記溝形成工程における各箇所の溝加工を、前記回転砥石を前記X方向及び前記Y方向の双方に垂直なZ方向に相対移動することのみで行うとよい。
さらに、前記溝形成工程では、複数の直線の各々について、同一直線上の異なる複数の位置に前記溝加工を実行するとよい。
さらに、前記第1及び第2の撮像工程では、アッパーカット加工によって露出されたマークを撮像するとよい。
第2の態様の方法において、前記2つの撮像装置はそれぞれ、
ハウジングと、
前記ハウジング内の内部空間と、
前記ハウジング外部と前記内部空間とを連通させる開口と、
前記内部空間を通り前記開口から前記ハウジング外部へと続く撮像光軸を有する撮像部と、
前記内部空間から前記開口を通して前記ハウジング外部を照らす照明部と、
前記内部空間へ気体を供給するための気体供給孔とを有し、
前記加工工程は、前記気体供給孔を通して前記内部空間に供給された気体を前記開口から前記ハウジング外部に噴き出しながら実行するとよい。
この場合、
前記加工工程の前に、前記気体供給孔を通して前記内部空間に供給する気体の圧力を上昇させる圧力上昇工程と、
前記加工工程の後に、前記気体の圧力を下降させる圧力下降工程とを有するとよい。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、2つの撮像装置を用いて効率的にワークのアライメントを実行可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係るワーク切削装置の概念的斜視図。 同実施の形態で加工対象とするワーク10の一例を示す平面図。 同実施の形態のワーク切削装置の要部正面図。 同ワーク切削装置の要部の模式的平面図。 図1に示す撮像装置90L,90Rの構成例(その1)を示す断面図。 図1に示す撮像装置90L,90Rの構成例(その2)を示す断面図。 第1の実施の形態のワーク切削装置の全体構成を示す平面図。 同正面図。 同右側面図。 第1の実施の形態におけるワーク切削動作の模式的説明図(その1)。 同実施の形態におけるワーク切削動作の模式的説明図(その2)。 同実施の形態に係るワーク切削装置の全体動作の概略を示すフローチャート。 第2の実施の形態における浅溝加工後のワークの形状説明図。 同実施の形態における浅溝加工(アッパーカット)の工程説明図。 第3の実施の形態における合計n行の切断動作のフローチャート。 同実施の形態におけるワーク切削動作の模式的説明図(その1)。 同実施の形態におけるワーク切削動作の模式的説明図(その2)。 同実施の形態における演算処理(平均)の模式的説明図。 第4の実施の形態における浅溝加工後のワークの形状説明図。 同実施の形態における浅溝加工(プランジカット)の工程説明図。 本発明の第5の実施の形態に係るワーク切削装置の要部正面図。 本発明の第6の実施の形態に係るワーク切削装置の要部の模式的平面図。 撮像装置の視野が切断マーク一つだけの場合における、ワークの回転刃に対するXY各方向の相対移動を示すタイムチャート。 第6の実施の形態に関し、撮像装置の視野が切断マーク二つをカバーする場合のワーク切削動作の模式的説明図。 同場合における、ワークの回転刃に対するXY各方向の相対移動を示すタイムチャート。 変形例に関し、切断マークが切断ラインから所定距離ずれている場合の説明図。 変形例に関し、1行目の切断マークCa1L,Ca1Rのみが他の行の切断マークと比較してPxだけ内側にオフセットしている場合の工程説明図。 従来の切削装置(ダイサ)の一般的な構成図。 同装置で加工対象とするワークの平面図。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るワーク切削装置の概念的斜視図である。図2は、本実施の形態で加工対象とするワーク10の一例を示す平面図である。図3は、同ワーク切削装置の要部正面図である。図4は、同ワーク切削装置の要部の模式的平面図である。このワーク切削装置は、スピンドルユニット20と、加工テーブルとしてのθテーブル40と、2つの撮像装置90L,90Rと、粗位置決め用カメラ92とを備える。
スピンドルユニット20は、フランジ21と、スピンドル軸とスピンドル軸受の組立体(以下「回転軸22」と表記)と、基材に固定砥粒を付着させた切断用回転砥石(以下「回転刃23」と表記)と、Zスライダ25とを有する。回転刃23は、フランジ21によって回転軸22に取り付けられ、回転軸22に垂直な面内で回転するようになっている。Zスライダ25は、回転軸22及び回転軸22の駆動モータ(不図示)を支持する。Zスライダ25は、Yスライダ70の支持によりZ方向に移動(スライド)自在である。Yスライダ70は、Y方向スライドガイド60(不図示の装置基台側に固定)の支持によりY方向に移動(スライド)自在である。したがって、回転刃23は、互いに直交するY方向及びZ方向に移動自在である。なお、加工時の切削液は切削液供給ノズル30から供給される。切削液供給ノズル30はスピンドルユニット20に固定されており、回転刃23と一体にY方向及びZ方向に移動自在である。
撮像装置90L,90Rは、Y方向及びZ方向に垂直なX方向に関して回転軸22を挟んで反対側に位置する。図1では、撮像装置90Lは回転軸22の左側に位置し、撮像装置90Rは回転軸22の右側に位置する。撮像装置90L,90Rは、回転軸22と同様にY方向及びZ方向に移動自在である。また、撮像装置90L,90Rの光軸は、回転刃23の取付位置を通る回転軸22に垂直な面からY方向の同じ側に所定距離だけずれた各位置でワーク10の存在平面と交差する。これについては後述する。
θテーブル40は、Z方向と平行なθ軸41に支持される。θ軸41は、不図示の駆動モータで回転される。θテーブル40は、θ軸41と一体にθ方向に回転可能である。Xスライダ80は、X方向スライドガイド81(不図示の装置基台側に固定)の支持によりX方向に移動(スライド)自在である。したがって、θテーブル40の上面すなわちワーク載置面(Z方向と垂直な平面)上のワーク10は、XY平面内で回転可能かつX方向に移動自在である。
Zスライダ25、Yスライダ70及びXスライダ80の駆動は、例えば公知のボールネジ機構によって為される。なお、回転刃23及び撮像装置90L,90Rに対するワーク10のXYZ各方向に関する相対位置、XY平面と平行な任意の方向(例えばX方向)に対するワーク10のZ方向を軸とする相対回転角度を制御可能である限り、ワーク10及び回転刃23、撮像装置90L,90Rの支持構造は上記に限定されない。
制御ボックス5の内部には、制御部95が格納されている。制御部95は、プロセッサやメモリ、プログラムその他、本装置全体の動作制御及び各種演算(画像処理も含む)に必要な要素を包含する。回転刃23、θテーブル40、及び撮像装置90L,90R、並びにその他の各構成要素の現在位置データは、制御部95にリアルタイムで保持される。撮像装置90L,90R及び粗位置決め用カメラ92の撮像画像は、制御部95内のメモリに記憶される。
粗位置決め用カメラ92は、ワーク10の基準マーク12を含む画像を撮像する。この画像に基づき、切削加工の前にワーク10を大まかに相対的に位置決めする。すなわち、粗位置決め用カメラ92の撮像画像に基づき、制御部95はワーク10の位置を認識し、θテーブル40のX方向位置及び回転角度、並びにスピンドルユニット20及び撮像装置90L,90RのY方向位置を定める。詳細な位置決めは、後述のように撮像装置90L,90Rの撮像画像に基づいて為される。粗位置決め用カメラ92は、1つでも複数でもよい。
図2に示すように、ワーク10は例えば多数個の素子11を一括形成した基板であり、具体的には、シリコンウェハ、セラミック基板、セラミックグリーンシートなどである。ワーク10は、基準マーク12及び切断マークCa1L〜CanL,Ca1R〜CanR,Cb1L〜CbmL,Cb1R〜CbmRを有する。基準マーク12は、ワーク10の端部所定位置(例えば四隅)にそれぞれ形成される。図中上下方向にn箇所並ぶ切断マークCa1R〜CanR,Ca1L〜CanLは、図中水平方向のn本(n:自然数)の加工ラインとしての切断ラインに対応しており、図中では右端部及び左端部に形成される。図中左右方向にm箇所並ぶ切断マークCb1L〜CbmL,Cb1R〜CbmRは、図中垂直方向のm本(m:自然数)の切断ラインに対応しており、図中では上端部及び下端部に形成される。なお、図4では左右方向の切断マークCb1L〜CbmL,Cb1R〜CbmRの図示は省略している。
図3に示すように、撮像装置90L,90RのX方向の配置ピッチをPc、各々の切断ラインに対応する両側の切断マーク間の距離(切断マークピッチ)をPm、切削加工時のワーク10のX方向の移動ストロークをSとしたとき、
Pc=S−Pm
を満たすようにストロークSは設定される。なお、切断マークピッチPmは、図2の縦方向と横方向とで同じであっても異なってもよく、また、対応する切断ライン毎に異なってもよい。撮像装置90L,90RのX方向の配置ピッチPcは、好ましくは調節可能とする。切削加工動作の詳細は後述する。
図4に示すように、回転刃23と、ワーク10上における撮像装置90L,90Rの視野中心(光軸とワーク存在平面との交点)との間のY方向距離Ybcは、隣り合う切断ラインに対応する切断マーク間の距離YPと好ましくは一致しているとよい。もっとも、回転刃23のY方向位置がある行の切断ラインと一致している時に、撮像装置90L,90Rの視野範囲内に次の行の切断マークが入り得る限り、距離Ybcは距離YPと厳密には一致しなくてもよい。撮像装置90L,90Rの視野中心(光軸とワーク存在平面との交点)との間のY方向距離Ybcは、好ましくは調節可能とする。
図5は、図1に示す撮像装置90L,90Rの構成例(その1)を示す断面図である。なお、断面はYZ平面と平行な面である。また、撮像装置90L,90Rは同じ構成であり、図5ではいずれか一方のみを示している。この撮像装置は、アルミや樹脂製のハウジング191(筐体)と、撮像部195と、照明部197とを有する。撮像部195は、例えばCCDカメラやCMOSカメラである。照明部197は、例えばファイバー照明である。
ハウジング191内の内部空間192と、ハウジング191の外部とは、開口193で連通される。撮像部195は、内部空間192を通りかつ開口193からハウジング191外部へと続く光軸を有する。照明部197は、内部空間192から開口193を通してハウジング191の外部を照らす。撮像部195の光軸はZ方向と平行であるのに対し、照明部197の光軸はZ方向に対して所定の角度を成している。開口193は、撮像部195の撮像範囲及び撮像範囲に明るさを確保できる範囲で可能な限り小さいとよい。
気体供給孔198,199は、圧縮空気源から内部空間192へ与圧気体(圧縮空気)を供給するためのものである。気体は通常は大気であるが、不活性雰囲気を求める場合などは、窒素やアルゴンガス等としてもよい。気体は、不図示のポンプ或いはコンプレッサ等の圧空供給手段、または当該気体が高圧封入されたタンク等から、レギュレータ等の圧力や流量の調整用の器具を介して、任意の圧力で供給される。なお、供給気体は、標準的な工場エア(例えば0.2MPa〜0.5MPa)でもよい。気体供給孔198,199を通して内部空間192に供給された気体は、開口193からハウジング191の外部に噴き出される。開口193から気体を噴き出すことで、切削液や削り屑又はその混合物(以下「切削液等」とも表記)による撮像部195のレンズあるいは照明部197の汚染を防止できる。また、ワーク10上の切削液等を吹き飛ばすことができ、切断マークの撮像を正確かつ確実に行うことができる。すなわち、切削液や削り屑あるいはそれらの混合物の影響範囲内に撮像装置を置いても撮像不能となるリスクを低減することが可能となる。
図6は、図1に示す撮像装置90L,90Rの構成例(その2)を示す断面図である。図5に示した構成と異なり、照明部は2つであり、気体供給孔は1つである。その他の点は、図5に示した構成と同様である。すなわち、この撮像装置は、ハウジング291と、撮像部295と、照明部297A,297Bとを有し、ハウジング291において気体供給孔299は1つである。照明部297A,297Bは、撮像部295を挟んで対向し、それぞれZ方向と所定角度を持って開口293を通して外部を照射する。なお、ハウジング291及び撮像部295は、筒状のホルダ280に支持され、ホルダ280はブラケット285によって装置側に固定される。本撮像装置も、図5に示したものと同様の作用効果を奏する。また、照明部を2つとしたことで、影の発生を防止し、より確実な撮像及び撮像画像の認識が可能である。
図7は、本実施の形態のワーク切削装置の全体構成を示す平面図である。図8は、同正面図である。図9は、同右側面図である。
ワークストック210には、ワーク10が未加工と加工済みとに分けて収容される。吸着搬送機構220は、ワーク10を真空吸着した状態で搬送軸225に沿ってX方向に移動可能である。吸着搬送機構220は、未加工のワーク10をワークストック210から取り出してθテーブル40に載置し、かつ加工済みのワーク10をθテーブル40から取り上げてワークストック210に収容する。
カバー320は、切削液等の外部への飛散を防止するために装置基台側に設けられている。回転刃23及び撮像装置90Lはカバー320の内側にある。撮像装置90Rはカバー320の外側にある。カバー320には窓321が2箇所設けられている。窓321から切削加工中の状況をオペレータが確認可能である。なお、カバー320は、取っ手322によって人手で開閉可能である。
粗位置決め用カメラ92は、ここでは5つ設けられている。操作部250は、オペレータが本装置を操作するためのものである。モニタ260は、粗位置決め用カメラ92又は撮像装置90L,90Rの撮像画像等を表示する。Z方向駆動モータ270は、Zスライダ25をZ方向に駆動するためのものである。Y方向駆動モータ280(図9に表される)は、Yスライダ70をY方向に駆動するためのものである。
図7に示すように、撮像装置90Rは、ブラケット285によってZスライダ25に取り付けられる。撮像装置90Lは、撮像装置90Rと同様にZスライダ25に取り付けられる。回転刃カバー231は、回転刃カバー231の下側部分を除く側方及び上方を囲むものである。
図10及び図11は、本実施の形態におけるワーク切削動作の模式的説明図である。
・初期調節工程(1回目の調節工程):粗位置決め用カメラ92の撮像画像に基づき、ワーク10、回転刃23及び撮像装置90L,90Rを図10(A)に示す初期位置にセットする。初期位置では、撮像装置90L,90Rの視野中心のY方向位置が1行目の切断マークCa1L,Ca1Rと概ね一致する。また、回転刃23及び撮像装置90L,90Rの高さ(Z方向位置)は、回転刃23がワーク10に触れない高さである。なお、図示の初期状態は一例であり、これに限定するものではない。その後、撮像装置90Rの視野に切断マークCa1Lが入るように、ワーク10をX方向に移動する(図10(A)→(B))。撮像装置90L,90Rが固定焦点の場合は、回転刃23がワーク10を切削する時の高さにまで、撮像装置90L,90Rを回転刃23とともに下降させる。撮像装置90Rは、切断マークCa1Lを含む画像を撮像する。撮像装置90L,90Rが固定焦点の場合は、回転刃23がワーク10に触れない高さにまで、撮像装置90L,90Rを回転刃23とともに上昇させる。続いて、撮像装置90Lの視野に切断マークCa1Rが入るようにワーク10をX方向に移動する(図10(B)→(C))。撮像装置90L,90Rが固定焦点の場合は、回転刃23がワーク10を切削する時の高さにまで、撮像装置90L,90Rを回転刃23とともに下降させる。撮像装置90Lは、切断マークCa1Rを含む画像を撮像する。撮像装置90L,90Rの撮像画像に基づいて、1行目切断の位置合わせのためのワーク10のY方向への移動量及び回転角度の補正量(θ方向位置の補正量)を制御部95内の演算部にて演算し、切断マークCa1L,Ca1Rを結んだ切断ラインCa1を定義する。演算したデータに基づき、ワーク10をY方向へ移動し、かつθ方向位置を補正する(図10(C)→(D))。以上で初期調節工程が完了する。初期調節工程の完了時、回転刃23のY方向の位置は、1行目の切断ラインCa1と一致する。また、回転刃23のZ方向の位置(高さ)は、ワーク10を切削可能な位置である。また、撮像装置90Lの視野に2行目右側の切断マークCa2Rが入っている。
・1回目の第1撮像工程:撮像装置90Lは、2行目右側の切断マークCa2Rを含む画像を撮像する。
・1回目の加工工程:ワーク10をX方向(左から右)に移動することで、回転刃23によってCa1の切断を実行する(図10(D)→図11(A))。切断ストロークの終了位置では、撮像装置90Rの視野に2行目左側の切断マークCa2Lが入っている。
・1回目の第2撮像工程:撮像装置90Rは、2行目左側の切断マークCa2Lを含む画像を撮像する。
・1回目の演算工程:第1及び第2撮像工程での撮像画像を基に、次の調節工程におけるワーク10のY方向への移動量及びθ方向位置の補正量を演算し、切断ラインCa2が定義される。
・2回目の調節工程:演算工程での演算データに基づき、ワーク10をY方向へ移動し、かつθ方向位置を補正する(図11(A)→(B))。調節工程の終了時、回転刃23のY方向の位置は、2行目の切断ラインCa2と一致する。また、撮像装置90Rの視野に3行目左側の切断マークCa3Lが入っている。
・2回目の第1撮像工程:撮像装置90Rは、3行目左側の切断マークCa3Lを含む画像を撮像する。
・2回目の加工工程:ワーク10をX方向(右から左)に移動することで、回転刃23によって2行目の切断を実行する(図11(B)→(C))。切断ストロークの終了位置では、撮像装置90Lの視野に3行目右側の切断マークCa3Rが入っている。
・2回目の第2撮像工程:撮像装置90Lは、3行目右側の切断マークCa3Rを含む画像を撮像する。
・2回目の演算工程:第1及び第2撮像工程での撮像画像を基に、次の調節工程におけるワーク10のY方向への移動量及びθ方向位置の補正量を演算し、切断ラインCa3が定義される。
・3回目の調節工程:演算工程での演算データに基づき、ワーク10をY方向へ移動し、かつθ方向位置を補正する(図11(C)→(D))。調節工程の終了時、回転刃23のY方向の位置は、3行目の切断ラインCa3と一致する。また、撮像装置90Lの視野に4行目右側の切断マークCa4Rが入っている。
以降、3回目の第1撮像工程からn回目の調節工程までを同様に実行する。なお、n回目の調節工程の終了時、回転刃23のY方向の位置はn行目の切断マークCanL,CanRと一致するが、撮像装置90L,90Rの視野に切断マークは存在しない。n回目の調節工程の後、n回目の加工工程を実行すれば、Ca1〜Canの合計n行の切断ラインに沿った切断が完了する。その後、ワーク10を90°回転させた後で、上記n行の切断ラインと90°異なるm行の切断ラインに沿った切断を実行する。工程の流れは、上記n行の切断と同様である。これにより、矩形の素子を切り出すことができる。なお、棒状切断のみでよい場合は、上記n行の切断のみで終了する。
上記工程において、撮像装置90L,90Rの開口(図5の開口193又は図6の開口293)からの気体の噴出しは、例えば全工程に渡って同じ圧力(例えば0.2MPa〜0.5MPa)で行われる。あるいは、加工工程の時は圧力を高くし、他の工程では圧力を低くする。例えば、気体供給孔(図5の気体供給孔198,199又は図6の気体供給孔299)からの供給気体の圧力を、加工工程の前に上昇させ(例えば0.2MPa→0.5MPa)、加工工程の後に下降させる(例えば0.5MPa→0.2MPa)。これにより、全工程に渡って同じ圧力で気体を供給する場合と比較して工場エアを節約することができる。
図12は、本実施の形態に係るワーク切削装置の全体動作の概略を示すフローチャートである。図7〜図9の吸着搬送機構220により、ワークストック210から未加工のワーク10を取り出し(S1)、θテーブル40上にワーク10を搬送・載置する(S2)。粗位置決め用カメラ92により、ワーク10の基準マーク12を含む画像を撮像する(S3)。撮像画像に基づき、ワーク10、回転刃23及び撮像装置90L,90Rを図10(A)に示す初期位置にセットする(S4)。以降、図10及び図11で説明した切削動作を実行する(S5〜S11)。その後、吸着搬送機構220により、加工済みのワーク10をθテーブル40から取り上げ、搬送し、ワークストック210に収容する(S12)。
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
(1) 回転刃23の左右に撮像装置90L,90Rを配置したので、工程の流れをスムーズにできる。すなわち、ある行の切削加工時のワーク10の移動ストロークSの開始位置と終了位置で次の行の切断マークを撮像できるため、切断マーク認識の効率が良い。したがって、ワーク切削加工のスループットを向上させることができる。
(2) 撮像装置90L,90Rは、上述のとおり開口から気体を吹き出す構成のため、切削液や削り屑あるいはそれらの混合物による汚染(レンズ及び照明の汚染)を防止できる。したがって、切削液等の影響が及ぶ範囲(回転刃23の近傍)に撮像装置90L,90Rを配置することが可能である。これにより、切削加工時の無駄な移動ストロークをなくして効率化を図ることができる。
(3) 撮像装置90L,90Rの開口から気体を噴き出すことで、ワーク10上の切削液と削り屑を吹き飛ばすことができ、切断マーク等の被撮像物を明瞭に撮像することが可能となる。したがって、切断マークの認識が確実になり、加工精度を向上できる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態のワーク切削装置は、構成面では第1の実施の形態のものと同様である。一方、本実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、ワーク10は厚さ方向の所定の深さに切断マークを有する。例えば、積層されたセラミック等のグリーンシートの内層に切断マークを形成してあるものが本実施の形態のワーク10に該当する。但し、基準マーク12は外層(素子電極が無い外側の層)に形成されているものとする。これは既述の通り、セラミック系のグリーンシートの場合は、焼成前であるため、比較的軟質な材料と言える。この場合、切断工程のみならず各工程においてワークに歪が発生し、上述の基準マークによる座標定義だけでは、個々の素子位置に対して切断位置の誤差の発生が避けられない。外層に各マークを印刷しても、素子電極の形成とは厳密には別工程となってしまう。そのため、加工精度向上のためには、内層(素子電極がある層)に切断マークを形成し、これを撮像することが望ましいためである。なお、内層における切断マークは、素子電極と同工程で形成することが望ましい。以下、工程面における第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
ワーク10を切削加工する際には、基準マーク撮像(図12のS3)の後に、切断マークを露出させるために浅溝加工を行う。なお、浅溝加工の位置は、基準マーク12の撮像画像を基に制御部95が演算する。浅溝加工では、図13に示すように、ワーク10の各辺の近傍に、一方の縁と他方の縁とを結ぶ4本の直線状の溝111a〜111dを形成する。ここで、好ましくは溝111a〜111dは、図14に示すように、ワーク10と回転刃23とが相対的にアッパーカットになるようにしてワーク10をX方向に相対移動することで形成する。アッパーカットとは、図14に示すように、回転刃23のうちワーク10の深さ方向に関して深い方から浅い方(図では下から上)に向かって回転している部分でワーク10を切削することをいう。なお、図14で回転刃23の回転方向を逆にした場合が、ダウンカットである。アッパーカットで露出した切断マークのほうが、ダウンカットで露出した切断マークよりも鮮明であることが、本発明者の研究で判明している。溝111a〜111dの形成後に、第1の実施の形態と同様に各切断ラインに沿った切削加工を行う(図12のS4以降を実行する)。
既述のように特許文献4〜6では、切断マーク露出用と切断用の二種類の回転刃を用意していた。一方、本実施の形態では、各切断ラインに沿った切削加工のために用いる回転刃23を浅溝加工でも用いる。その理由は次のとおりである。すなわち、撮像装置90L,90Rの開口から気体を噴き出すことで浅溝内の切削液と削り屑を吹き飛ばすことができる。したがって、従来よりも溝幅が狭くても画像認識が可能である。このため、浅溝加工のための専用回転刃(幅広)を用いずに、切削用の回転刃23を切断マーク露出用として流用する。
本実施の形態は、第1の実施の形態と同様の効果を奏するとともに、ワーク10は厚さ方向の所定の深さに切断マークを有する場合であっても切削用の回転刃23を切断マーク露出用として流用でき、切断マーク露出用の回転刃を別途設ける必要がないという利点がある。このため、スピンドルユニットを複数設ける必要が無く、構造が簡素でコスト安である。あるいは、溝加工専用回転刃と切削用回転刃の相互交換等の段取りを不要とし、作業能率を向上させ得る。
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態では、縦横それぞれの最後の行の加工工程を除く毎回の加工工程の前後に第1及び第2の撮像工程をそれぞれ実行し、かつ演算工程を実施してワーク10のY方向移動量及びθ方向位置補正量を求めた。本実施の形態では、毎回ではなく、複数回の加工工程に1回の撮像工程を実行する実施形態を説明する。図16及び図17は、本実施の形態におけるワーク切断動作の模式的説明図である。
・初期調節工程(1回目の調節工程):例えば図16(A)に示す状態から、第1の実施の形態と同様に初期調節工程を行う。
粗位置決め用カメラ92の撮像画像に基づき、ワーク10、回転刃23及び撮像装置90L,90Rを図10(A)に示す初期位置にセットする。初期位置では、撮像装置90L,90Rの視野中心のY方向位置が1行目の切断マークCa1L,Ca1Rと概ね一致する。また、回転刃23及び撮像装置90L,90Rの高さ(Z方向位置)は、回転刃23がワーク10に触れない高さである。なお、図示の初期状態は一例であり、これに限定するものではない。
その後、撮像装置90Rの視野に切断マークCa1Lが入るように、ワーク10をX方向に移動する(図10(A)→(B)参照)。撮像装置90Rは、切断マークCa1Lを含む画像を撮像する。続いて、撮像装置90Lの視野に切断マークCa1Rが入るようにワーク10をX方向に移動する(図10(B)→(C)参照)。撮像装置90Lは、切断マークCa1Rを含む画像を撮像する。
撮像装置90L,90Rの撮像画像に基づいて、1行目切断ラインの位置合わせのためワーク10のY方向への移動量及び回転角度の補正量(θ方向位置の補正量)を制御部95内の演算部にて演算し、切断マークCa1L,Ca1Rを結んだ切断ラインCa1を定義する。
演算したデータに基づき、ワーク10をY方向へ移動し、かつθ方向位置を補正する(図10(C)→図16(B))。
以上で初期調節工程が完了する。初期調節工程の完了時、回転刃23のY方向の位置は、1行目の切断ラインCa1と一致する。また、回転刃23のZ方向の位置(高さ)は、ワーク10を切削可能な位置である。
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、ワーク10上における撮像装置90L,90Rの視野中心(光軸とワーク存在平面との交点)との間のY方向距離Ybcは、隣り合う切断ライン間の距離YPの6倍と設定することが望ましい。すなわち、Ybc=6×YPと設定している。すると、図16(B)に示すように、回転刃23のY方向の位置は1行目の切断マークCa1L,Ca1Rと一致し、撮像装置90Lの視野に7行目右側の切断マークCa7Rが入ることとなる。
・1回目の第1撮像工程:撮像装置90Lは、7行目右側の切断マークCa7Rを含む画像を撮像する。
・1回目の加工工程:ワーク10をX方向(左から右)に移動することで、回転刃23によって1行目の切断を実行する(図16(B)→(C))。切断ストロークの終了位置では、撮像装置90Rの視野に7行目左側の切断マークCa7Lが入っている。
・1回目の第2撮像工程:撮像装置90Rは、7行目左側の切断マークCa7Lを含む画像を撮像する。
・1回目の演算工程:1回目の加工工程前後における第1及び第2撮像工程での切断マークCa7L,Ca7Rの撮像画像を基に、7行目切断ラインの位置合わせのためワーク10のY方向への移動量及び回転角度の補正量(θ方向位置の補正量)を制御部95内の演算部にて演算し、切断マークCa7L,Ca7Rを結んだ切断ラインCa7を定義する。そして初期調整工程で定義された1行目の切断ラインCa1のデータと、7行目の切断ラインCa7のデータをさらに演算する。演算には平均や最小二乗法などの公知の統計学的手法を用いることができる。例として、図18に示すように1行目の切断ラインCa1上の切断マークCa1L,Ca1Rと7行目の切断ラインCa7上のマークCa7L,Ca7Rとの距離がそれぞれΔYL,ΔYRであるとする。このとき、平均の場合は、ΔYL,ΔYRを6等分する5つの点Q2L〜Q6L,Q2R〜Q6Rに切断マークがあると仮定して演算処理を行い、2〜6行目の切断ラインCa2〜Ca6を定義する。一般的にワークの形状変化は局所的に大きく発生するのではなく、全体的に少しずつ発生するため、こうした演算処理で対応できる場合もある。
・2回目の調節工程・加工工程:1回目の演算工程での演算データに基づき、ワーク10をY方向へ移動し、かつθ方向に補正回転し、その後、ワーク10をX方向(右から左)に移動することで、回転刃23によって2行目の切断ラインCa2の切断を実行する(図16(C)→(D))。なお、切断ストロークの前後では、撮像装置90Rの視野に8行目左側の切断マークCa8Lが入り、撮像装置90Lの視野に8行目右側の切断マークCa8Rが入る。しかし、撮像装置90L,90Rによる撮像はここでは実行しない。あるいは、切断ストロークを短くして8行目の切断マークCa8L,Ca8Rは視野に入れなくてもよい。
以降、3〜6回目の調節工程・加工工程を2回目と同様に実行して、切断ラインCa2〜Ca6の切断を実行する。なお、切断ストロークの方向は1回毎に反転する。
・7回目の調節工程:1回目の演算工程での演算データに基づき、ワーク10をY方向へ移動し、かつθ方向位置を補正する。図17(A)は、7回目の調整工程直後の状態である。ここで、撮像装置90Lの視野には13行目右側の切断マークCa13Rが入っている。
・2回目の第1撮像工程:撮像装置90Lは、13行目右側の切断マークCa13Rを含む画像を撮像する。
・7回目の加工工程:ワーク10をX方向(左から右)に移動することで、回転刃23によって7行目の切断ラインCa7の切断を実行する(図17(A)→(B))。切断ストロークの終了位置では、撮像装置90Rの視野に13行目左側の切断マークCa13Lが入っている。
・2回目の第2撮像工程:撮像装置90Rは、13行目左側の切断マークCa13Lを含む画像を撮像する。
・2回目の演算工程:7回目の加工工程前後における2回目の第1及び第2撮像工程での切断マークCa13L,Ca13Rの撮像画像を基に、13行目切断ラインの位置合わせのためワーク10のY方向への移動量及び回転角度の補正量(θ方向位置の補正量)を制御部95内の演算部にて演算し、切断マークCa13L,Ca13Rを結んだ切断ラインCa13を定義する。そして1回目の演算工程で定義された7行目の切断ラインCa7のデータと、13行目の切断ラインCa13のデータをさらに演算する。1回目の演算工程と同様にして8〜13行目の切断ラインCa8〜Ca13を定義する。
・8回目の調節工程・加工工程:2回目の演算工程での演算データに基づき、ワーク10をY方向へ移動し、かつθ方向に回転させ、その後、ワーク10をX方向(右から左)に移動することで、回転刃23によって8行目の切断ラインCa8を実行する(図17(B)→(C))。
以降、同様にして合計n行の切断ラインに沿った切断を実行する。上記は加工工程6回に1回の撮像工程で行なったが、これを加工工程k回に1回の撮像を行なうこととする。即ち上記例はk=6の場合である。上記例で加工工程の前後に撮像を行なうのは、1行目の切断ラインCa1、7行目Ca7、13行目Ca13であり、切断ラインの行番号はk+1の数列となっていることがわかる。この数列をiとすると、iと(i+k)での撮像工程によって定義された各切断ラインのデータを基に、(i+1)から(i+k−1)の切断ラインを演算によって定義している、とも言える。ワークの切断ライン数nは、n=(kの倍数+1)であれば上記実施の形態の繰り返しだけで良い。ワーク単位での撮像回数をjとすると、前記式は、n=(k×j)+1で表される。しかし、n≠(k×j)+1の場合、即ち、n=(k×j)+1+α(αは上記繰り返し処理後の余った切断ラインの数)と表される。この余りαは、例えば(n−k)行の切断ラインCa(n-k)の加工工程でn行の切断マークCanLとCanRを撮像するという動作プログラムを付加することで、同様の演算での切断が可能となる。
なお、矩形切断の場合は、合計n行切断後にワーク10を90°回転させた後で、上記n行の切断ラインと90°異なるm行の切断ラインに沿った切断を実行する。工程の流れは、上記n行の切断と同様である。これにより、矩形の素子を切り出すことができる。なお、棒状切断のみでよい場合は、上記n行の切断のみで終了する。
本実施の形態によれば、同一ワークの場合、撮像処理の回数が加工工程毎に撮像処理を行う第1及び第2の実施の形態と比較して少なくて済む。したがって、加工動作のスループットが高いといえる。また、切断動作の前後で撮像をしない行ではX方向の切断ストロークSを、撮像装置のピッチPcや切断マークPmに関わらず設定できる。このため、撮像処理する場合よりも切断ストロークSを小さくすることが可能となる。この点からも、加工動作のスループットは高いといえる(処理能力の向上が期待できる)。なお、撮像対象とならない行の切断マークは、あってもよいが無くてもよい。ここで、本実施の形態を一般化すると、初期調節工程動作はループに含めず、90°回転なしの場合
P :切断ライン間の距離
n(又はm) :ワーク単位での加工工程回数(=切断ライン本数)
bc :回転刃23と撮像装置90とのY方向距離
h :切断ラインの行番号(図15)
i :撮像工程を行なう切断ラインの行番号(図15)
※「n未満の複数種類の整数であってkが定数の場合は数列となる」
j :ワーク単位での撮像工程回数
k :(加工工程回数n−1)/(撮像工程回数j)
※「k回の加工工程に1回の撮像を行なう」

第1の実施の形態 n=j
k=1
bc=YP(推奨)
第3の実施の形態 n>j
k=6(2以上の自然数、定数)
又はk=k,k,k,…(任意の自然数、変数)
bc=k×YP(kが定数の場合、推奨)
i=k×h+1
=6×h+1=6×(0,1,2,3,…)+1
=(1,7,13,19,…) ※ 等差数列
(ただしimax<n、h=0として1行目の切断ラインに対応する 切断マークを撮像)
n=(k×j)+1+α(αは余剰切断ライン)
と表すことができる。即ち、第3の実施の形態はk=6に限定されず種々の例が存在するが、第1の実施の形態と第3の実施の形態で明確に異なるのは、n=jであるかn>jであるかという点である。
(第4の実施の形態)
第2の実施の形態では、ワーク10の各辺の近傍で一方の縁と他方の縁とを結ぶ4本の直線状の溝111a〜111dを形成した(図13参照)。これに対し、本実施の形態では、図19に示すように、溝211a〜211dを一直線ではなく断続直線となるように成する。
図20は、本実施の形態における浅溝加工の工程説明図である。まず、図20(A)に示すようにワーク10の溝加工位置を回転刃23の下方まで移動する。その後、図20(B)に示すように回転刃23を下降し、ワーク10を所定深さまで切削する。浅溝形成中、ワーク10のX方向移動は、ここでは行わない。すなわち、浅溝は、回転刃23を下降することのみによって行う。こうして形成された溝211a〜211dは、円弧状となる。この円弧状の浅溝をプランジカットという。あるいは、このように円弧状の浅溝を形成することもプランジカットという。プランジカットの位置は任意に設定可能である。
図20(C)はプランジカット後の平面図である。この浅溝加工により、切断マークのうちCu1,Cu2,Cdが露出する。ここで、切断マークCu1,Cu2はアッパーカットによって露出されるため鮮明である。一方、切断マークCdはダウンカットによって露出されるため不鮮明である。したがって、撮像対象とするものとしては、切断マークCu1,Cu2のほうが切断マークCdよりも適している。本実施の形態では、アッパーカットによって露出された切断マークを、第1及び第2の撮像工程における撮像装置90L,90Rの撮像対象とする。図19に示すように溝211a〜211dを形成した後のワーク10の切断動作は、第3の実施の形態と同様に行うことができる。
本実施の形態によれば、第2の実施の形態と比較して溝の形成範囲を小さくしたため、溝を形成しなかった部分に素子を形成することができる。図19において素子11のうちハッチングをしてあるものは、第2の実施の形態(図13)と比較して増やすことができたものである。
また、本実施の形態の浅溝の場合、溝内の切削液や切削粉の除去が課題となるが、撮像装置90L,90Rの開口からの気体の噴出しにより、汚染物は除去可能である。
(第5の実施の形態)
図21は、本発明の第5の実施の形態に係るワーク切削装置の要部正面図である。図21と図3との対比から明らかなように、本実施の形態のワーク切削装置は、第1の実施の形態のものと異なり、X方向にSだけストロークするワーク10上の切断マークにおいて、図中右側の切断マークを図中右側の撮像装置90Rで撮像し、図中左側の切断マークを図中左側の撮像装置90Lで撮像する配置である。本実施の形態のその他の点は、第1の実施の形態と同様である。本実施の形態の配置の場合の撮像装置90L,90RのX方向の配置ピッチPc,切断マークピッチPm,切削加工時のワーク10のX方向の移動ストロークSの関係は、SとPcの差の絶対値がPmとなる。なお、第1の実施の形態の関係式 Pc=S−Pm も、SとPcの差の絶対値がPmである点で、本実施の形態の関係と同義である。切断マークの認識および演算は、切断マークの左右情報が逆になること以外は第1の実施の形態と同じ原理の論理演算を用いることができる。本実施の形態も、第1の実施の形態と同様の作用効果を得られる。
(第6の実施の形態)
図22は、本発明の第6の実施の形態に係るワーク切削装置の要部の模式的平面図である。図22と図4との対比から明らかなように、本実施の形態のワーク切削装置は、第1の実施の形態のものと異なり、撮像装置90L,90Rの視野を、ピッチYpを有する切断マークY方向2箇所をカバーする撮像範囲としている。撮像装置90L,90RがY方向2箇所(又は2以上)の切断マークを同時に認識可能とすることによって、ワーク切断後のY方向移動を待たずに次の切断基準となる切断マークの情報を得ることができる。これによる高速化の効果を以下に詳細に説明する。
〈撮像装置90L,90Rの視野が切断マーク一つだけの場合〉
図23は、撮像装置90L,90Rの視野が切断マーク一つだけの場合における、ワーク10の回転刃23に対するXY各方向の相対移動を示すタイムチャートである。この場合、切断マークのY方向情報はそのまま切断位置に反映されるため、回転刃23及び撮像装置90L,90R等のY方向駆動手段は停止精度を優先した動作となり、例えばサーボモータが静定状態となるまで待機した後に撮像を行なうこととなる。すなわち、切断マークCa1Rの撮像後、Y方向の相対移動して切断マークCa2Rを撮像するにあたり、サーボモータが制御的に指示された位置に機械的に落ち着くまでの時間である静定時間(図23の拡大部分も参照)の分だけ待ってから撮像を行うこととなる。また、撮像時間中の装置動作は、機械振動による撮像ブレを誘発するため避けるべきである。したがって、静定時間と撮像時間の和が「待ち時間」となる。
〈撮像装置90L,90Rの視野が切断マーク二つをカバーする場合〉
図24は、撮像装置90L,90Rの視野が切断マーク二つをカバーする場合のワーク切削動作の模式的説明図である。図25は、同場合における、ワーク10の回転刃23に対するXY各方向の相対移動を示すタイムチャートである。図24(A)に示すように、ワーク10をX方向に移動して撮像装置90Lの視野に切断マークを入れたとき、切断マークCa1Rに加え、切断マークCa2Rも撮像装置90Lの視野に入る。このため、図25のタイムチャートの通り、ワーク10のX方向移動が完了すると同時に切断マークCa1Rだけでなく切断マークCa2Rの撮像データの取得が可能であるため、サーボモータが静定状態となるまで待機する、および撮像時間中の装置動作を避ける、という「待ち時間」を設ける必要が無く、その分高速化が可能である。なお、ワーク10をX方向移動させて回転刃23で加工ラインCa1に沿った切断(図24(B)→(C))を実行後も同様に、切断マークCa2Lに加え、切断マークCa3Lも撮像装置90Rの視野に入る。このため、上記と同様に「待ち時間」を設ける必要が無く、その分高速化が可能である。他の加工ラインに沿った切断後の切断マーク撮像についても同様のことがいえる。
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
実施の形態では切断マークを素子とは別に形成したが、変形例では素子の電極を切断マークとして利用してもよい。
実施の形態では撮像装置を左右に1つずつ設けたが、変形例ではカメラは1つのみであってもよい。この場合、実施の形態で説明した工程の流れは実現できないものの、撮像装置の開口から気体を噴き出すことによる効果は同様に奏することができる。すなわち、切削液や削り屑あるいはそれらの混合物による汚染(レンズ及び照明の汚染)を防止できる。したがって、切削液等の影響が及ぶ範囲(回転刃23の近傍)に撮像装置を配置することが可能となり、撮像装置を切削液等の影響のない遠くに配置する場合と比較して加工の効率化を図ることができる。また、撮像装置の開口から気体を噴き出すことで、ワーク10上の切削液と削り屑を吹き飛ばすことができ、切断マーク等の被撮像物を明瞭に撮像することが可能となる。したがって、切断マークの認識が確実になり、加工精度を向上できる。
実施の形態では切断マークが切断ライン上にある場合を説明したが、変形例では図26に示すように切断マークは切断ラインから所定距離ずれていてもよい。図26では、隣り合う切断ラインの間(中央)に切断マークが形成された例である。本図の例では、ワーク10上における撮像装置90L,90Rの視野中心(光軸とワーク存在平面との交点)との間のY方向距離Ybcを、隣り合う切断ラインに対応する切断マーク間の距離YPの1.5倍とすれば、第1の実施の形態と同様に切削動作可能である。
実施の形態では各行の左右の切断マーク間の距離(切断マークピッチ)が等しい場合を説明したが、変形例では行によって切断マークピッチが異なってもよい。図29のようなシリコンウェハの場合、基板外形は円形である。そのため、素子取得個数を確保するために、素子の配列の関係で切断マークピッチが全て同一ではない場合がある。このような場合の工程の流れを図27により説明する。図27の例では、1行目の切断マークCa1L,Ca1Rのみが他の行の切断マークと比較してPxだけ内側にオフセットしている。したがって、1行目の切断マークCa1L,Ca1Rの撮像するときのワーク10の移動ストロークをPx×2だけ減ずる。即ち、通常行(図27では1行目以外)の切断マークを撮像するときのワーク10のX方向移動量(つまり切断ストローク)をSとすると、オフセットされている行(1行目)の切断マークを撮像するときのX方向移動量はS−2Pxとする(図27(A))。そして、撮像装置90L,90Rの視野をオフセットされている行から通常行に切り替えるときは、Y方向移動に加え、PxだけX方向に移動し、その後、切断ストロークSで切断を実行する(図27(A)→(B))。
実施の形態ではワークを切削加工する場合を説明したため、切削用砥石を回転刃23と表記したが、実施の形態と同様の工程でワークを研削加工する場合も本発明を適用してもよく、その場合の砥石は研磨用砥石に置き換えればよい。
5 制御ボックス
10 ワーク
12 基準マーク
21 フランジ
22 回転軸
23 回転刃
25 Zスライダ
40 θテーブル
60 Y方向スライドガイド
70 Yスライダ
80 Xスライダ
81 X方向スライドガイド
90L,90R 撮像装置
92 粗位置決め用カメラ
95 制御部
本発明の第1の態様は、ワーク加工装置である。この装置は、
ワーク載置用の加工テーブルと、
前記加工テーブル上のワークを加工可能な回転砥石、及び前記回転砥石が取り付けられた回転軸を有するスピンドルユニットと、
前記スピンドルユニットに取り付けられた切削液供給ノズルと、
前記加工テーブル上のワークを撮像可能な2つの撮像装置と
前記加工テーブルを前記回転軸と垂直なX方向に相対移動可能なX方向移動手段と、
前記スピンドルユニットを前記回転軸と平行なY方向に相対移動可能なY方向移動手段と、
前記スピンドルユニットを前記X方向及び前記Y方向の双方に垂直なZ方向に相対移動可能なZ方向移動手段とを備え、
前記2つの撮像装置はそれぞれ、
ハウジングと、
前記ハウジング内の内部空間と、
前記ハウジング外部と前記内部空間とを連通させる開口と、
前記内部空間を通りかつ前記開口から前記ハウジング外部へと続く撮像光軸を有する撮像部と、
前記内部空間から前記開口を通して前記ハウジング外部を照らす照明部と、
前記内部空間へ気体を供給するための気体供給孔とを有し、
前記気体供給孔を通して前記内部空間に供給された気体を前記開口から前記ハウジング外部に噴き出す構成であり、
前記2つの撮像装置は、前記X方向に関して前記回転軸を挟んでピッチPcの距離で反対側に位置し、前記2つの撮像装置の撮像光軸は前記Z方向に平行であって、
前記ワークは、加工すべき加工ラインに対応する両側に所定ピッチPmで配置された加工マークを有し、
前記回転砥石を回転させる動作と、
前記Y方向移動手段によって前記回転砥石を所定ピッチだけ前記Y方向に相対移動する動作と、
前記Z方向移動手段によって前記回転砥石を前記ワークが加工可能な位置に前記Z方向に相対移動する動作と、
前記加工可能なZ方向位置を維持した状態で前記回転砥石に対して前記ワークを前記X方向移動手段で相対移動することで前記ワークを前記回転砥石によって加工する動作と、を含む加工工程を、所定数n回繰り返し実行可能であり、
前記2つの撮像装置は、前記加工工程における前記相対移動ストロークSの移動端にて一方側及び他方側の前記マークをそれぞれ撮像する撮像工程を実行可能であり、
前記ワークの加工時のX方向の移動ストロークをSとしたとき、SとPcの差の絶対値がPmとなるように前記移動ストロークSは設定される。
第1の態様の装置において、
前記2つの撮像装置は、ワーク当たりn回の前記加工工程のうちj回の前記撮像工程を実行し、前記nと前記jの関係は、
n≧j
であるとよい。
また、
前記加工テーブルを前記Z方向に平行なθ軸で回転可能な回転手段と、
前記X方向移動手段、前記Y方向移動手段、前記Z方向移動手段、及び前記回転手段を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、撮像した前記マークの画像に基づいて前記回転砥石の前記Y方向への相対移動ピッチ及び前記θ軸を中心とする回転角度補正量を演算するとよい。
本発明の第2の態様は、ワーク加工方法である。この方法は、
ワークと、回転砥石と、2つの撮像装置とを準備する準備工程と、
前記回転砥石に対する前記ワークの相対位置を調節する調節工程と、
前記調節工程の後に、前記回転砥石に対して前記ワークを前記回転砥石の回転軸と垂直なX方向に相対移動することで、前記ワークを前記回転砥石によって加工するn回の加工工程とを有し、
前記調節工程と前記加工工程とを繰り返し所定回数実行するワーク加工方法であり、
前記ワークは、前記加工工程で加工する加工方向に関して異なる位置に少なくとも1つずつマークを有し、
前記2つの撮像装置は、前記回転砥石の回転軸と垂直なX方向に関して前記回転砥石を挟んで反対側に位置し、
前記2つの撮像装置は、前記2つの撮像装置の前記X方向の配置ピッチをPc、前記マークの前記加工方向の配置距離をPmとし、 前記加工工程の前記X方向の相対移動量をSとしたとき、SとPcの差の絶対値がPmとなる位置関係を有し、
本方法は、
前記調節工程の後かつ前記加工工程の前に、前記加工工程における前記X方向への相対移動開始位置にある前記ワークの有するマークのうち前記加工工程における相対移動方向の一方側にあるものを、前記2つの撮像装置の一方により撮像し、前記加工工程の後に、前記加工工程における前記X方向への相対移動終了位置にある前記ワークの有するマークのうち前記加工工程における相対移動方向の他方側にあるものを、前記2つの撮像装置の他方により撮像するj回の撮像工程と、
前記撮像工程の後かつ前記調節工程の前に、前記撮像工程における撮像画像を基に、前記調節工程における相対位置の調節量を演算するj回の演算工程とを有し、
前記n回の加工工程と前記j回の撮像工程は、
n≧j
であって
前記ワークは、前記加工工程で加工する各々の加工ラインに対して2つのマークを前記加工方向に関して異なる位置にそれぞれ有し、
各回の前記調節工程の後かつ各回の前記加工工程の前に前記第1撮像工程を実行し、各回の前記加工工程の後に前記第2撮像工程を実行する
本発明の第3の態様も、ワーク加工方法である。この方法は、
ワークと、回転砥石と、2つの撮像装置とを準備する準備工程と、
前記回転砥石に対する前記ワークの相対位置を調節する調節工程と、
前記調節工程の後に、前記回転砥石に対して前記ワークを前記回転砥石の回転軸と垂直なX方向に相対移動することで、前記ワークを前記回転砥石によって加工するn回の加工工程とを有し、
前記調節工程と前記加工工程とを繰り返し所定回数実行するワーク加工方法であり、
前記ワークは、前記加工工程で加工する加工方向に関して異なる位置に少なくとも1つずつマークを有し、
前記2つの撮像装置は、前記回転砥石の回転軸と垂直なX方向に関して前記回転砥石を挟んで反対側に位置し、
前記2つの撮像装置は、前記2つの撮像装置の前記X方向の配置ピッチをPc、前記マークの前記加工方向の配置距離をPmとし、 前記加工工程の前記X方向の相対移動量をSとしたとき、SとPcの差の絶対値がPmとなる位置関係を有し、
本方法は、
前記調節工程の後かつ前記加工工程の前に、前記加工工程における前記X方向への相対移動開始位置にある前記ワークの有するマークのうち前記加工工程における相対移動方向の一方側にあるものを、前記2つの撮像装置の一方により撮像し、前記加工工程の後に、前記加工工程における前記X方向への相対移動終了位置にある前記ワークの有するマークのうち前記加工工程における相対移動方向の他方側にあるものを、前記2つの撮像装置の他方により撮像するj回の撮像工程と、
前記撮像工程の後かつ前記調節工程の前に、前記撮像工程における撮像画像を基に、前記調節工程における相対位置の調節量を演算するj回の演算工程とを有し、
前記n回の加工工程と前記j回の撮像工程は、
n≧j
であって
前記ワークは、前記加工工程で加工するk本の加工ライン毎に2つのマークを前記加工方向に関して異なる位置にそれぞれ有し、
前記撮像工程を行なう加工ラインの行番号をiとすると、前記演算工程では、iと(i+k)での前記撮像工程によって定義された各加工ラインのデータを基に、(i+1)から(i+k−1)の加工ラインを定義し、前記調節工程における相対位置の調節量を演算する。
第2又は第3の態様の方法において、前記n回の前記加工工程中に、k回の前記加工工程に対して1回の前記撮像工程を複数回実行するとよい。
第2又は第3の態様の方法において、前記撮像装置は、前記Y方向の加工ライン上の所定ピッチに存在する2以上の加工マークを撮像可能な撮像視野を有するとよい。
第2又は第3の態様の方法において、前記演算工程で演算する前記調節量は、前記ワークの前記Y方向への相対移動量と、前記ワークの前記Z方向を軸とする相対回転角度θの補正量とを含むとよい。
第2又は第3の態様の方法において、前記2つの撮像装置の撮像光軸は、前記回転砥石の取付位置を通る前記回転軸に垂直な面に対して前記Y方向の同じ側で、所定距離だけずれた各位置で前記加工テーブル上のワークの存在平面と交差するとよい。
第2又は第3の態様の方法において、
前記加工工程を所定回数実行した後に、前記ワークを前記X方向及び前記Y方向と垂直なZ方向を軸に相対的に所定角度だけ回転させる回転工程を実行し、
前記回転工程の後、再度、前記調節工程及び前記加工工程を所定回数実行するとよい。
第2又は第3の態様の方法において、
前記ワークは、厚さ方向の所定の深さに前記マークを有し、
本方法は、前記準備工程の後かつ前記調節工程の前に、前記回転砥石によって複数箇所に溝加工をして各マークを露出させる溝形成工程を有するとよい。
第2又は第3の態様の方法において、前記2つの撮像装置はそれぞれ、
ハウジングと、
前記ハウジング内の内部空間と、
前記ハウジング外部と前記内部空間とを連通させる開口と、
前記内部空間を通り前記開口から前記ハウジング外部へと続く撮像光軸を有する撮像部と、
前記内部空間から前記開口を通して前記ハウジング外部を照らす照明部と、
前記内部空間へ気体を供給するための気体供給孔とを有し、
前記加工工程は、前記気体供給孔を通して前記内部空間に供給された気体を前記開口から前記ハウジング外部に噴き出しながら実行するとよい。

Claims (22)

  1. ワーク載置用の加工テーブルと、
    前記加工テーブル上のワークを加工可能な回転砥石、及び前記回転砥石が取り付けられた回転軸を有するスピンドルユニットと、
    前記加工テーブル上のワークを撮像可能な2つの撮像装置とを備え、
    前記回転軸と平行なY方向と、
    前記回転軸と垂直なX方向と、
    前記X方向及び前記Y方向の双方に垂直なZ方向とに、前記加工テーブルと前記スピンドルユニットとの相対位置を制御可能であり、
    前記2つの撮像装置は、前記X方向に関して前記回転軸を挟んでピッチPcの距離で反対側に位置し、前記2つの撮像装置の撮像光軸は前記Z方向に平行であって、
    前記ワークは、加工すべき加工ラインに対応する両側に所定ピッチPmで配置された加工マークを有し、
    前記ワークの加工時のX方向の移動ストロークをSとしたとき、SとPcの差の絶対値がPmとなるように前記移動ストロークSは設定される、ワーク加工装置。
  2. 請求項1に記載の装置において、前記2つの撮像装置の撮像光軸は、前記回転砥石の取付位置を通る前記回転軸に垂直な面から前記Y方向の同じ側に所定距離だけずれた各位置で、前記加工テーブル上のワークの存在平面と交差する、ワーク加工装置。
  3. 請求項1又は2に記載の装置において、前記2つの撮像装置はそれぞれ、
    ハウジングと、
    前記ハウジング内の内部空間と、
    前記ハウジング外部と前記内部空間とを連通させる開口と、
    前記内部空間を通りかつ前記開口から前記ハウジング外部へと続く撮像光軸を有する撮像部と、
    前記内部空間から前記開口を通して前記ハウジング外部を照らす照明部と、
    前記内部空間へ気体を供給するための気体供給孔とを有し、
    前記気体供給孔を通して前記内部空間に供給された気体を前記開口から前記ハウジング外部に噴き出す構成である、ワーク加工装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の装置において、
    前記加工テーブルを前記回転軸と垂直なX方向に相対移動可能なX方向移動手段と、
    前記スピンドルユニットを前記回転軸と平行なY方向に相対移動可能なY方向移動手段と、
    前記スピンドルユニットを前記X方向及び前記Y方向の双方に垂直なZ方向に相対移動可能なZ方向移動手段と、
    前記加工テーブルを前記Z方向に平行なθ軸で回転可能な回転手段と、
    前記X方向移動手段、前記Y方向移動手段、前記Z方向移動手段、及び前記回転手段を制御する制御部とを有し、
    前記加工テーブルの前記ワーク載置面及び前記ワークの存在平面が前記Z方向に垂直な平面であり、
    前記ワークは、加工すべき加工ライン上の異なる位置に少なくとも1つずつマークを有し、
    前記加工ラインは、加工時の前記X方向と一致し、
    前記回転砥石を回転させる動作と、前記Y方向移動手段によって前記回転砥石を所定ピッチだけ前記Y方向に相対移動する動作と、前記Z方向移動手段によって前記回転砥石を前記ワークが加工可能な位置に前記Z方向に相対移動する動作と、前記加工可能なZ方向位置を維持した状態で前記回転砥石に対して前記ワークを前記X方向移動手段で相対移動することで前記ワークを前記回転砥石によって加工する動作と、を含む加工工程を、所定数n回繰り返し実行可能であり、
    前記2つの撮像装置は、前記加工工程における前記相対移動ストロークSの移動端にて一方側及び他方側の前記マークをそれぞれ撮像する撮像工程を実行可能であり、
    前記2つの撮像装置の前記X方向の配置ピッチをPc、前記マークの前記加工ライン方向の配置距離をPm、前記加工工程の前記X方向の相対移動ストロークをSとしたとき、
    前記制御部は、SとPcの差の絶対値がPmとなるように前記X方向移動手段を制御し、
    前記2つの撮像装置は、ワーク当たりn回の前記加工工程のうちj回の前記撮像工程を実行し、前記nと前記jの関係は、
    n≧j
    であるワーク加工装置。
  5. 請求項4に記載の装置において、前記2つの撮像装置は、前記n回の前記加工工程中に、k回の前記加工工程に対して1回の前記撮像工程を複数回実行する、ワーク加工装置。
  6. 請求項4に記載の装置において、
    前記撮像装置は、前記Y方向の加工ライン上の所定ピッチに存在する2以上の加工マークを撮像可能な撮像視野を有するワーク加工装置。
  7. 請求項4から6のいずれかに記載の装置において、前記制御部は、撮像した前記マークの画像に基づいて前記回転砥石の前記Y方向への相対移動ピッチ及び前記θ軸を中心とする回転角度補正量を演算する、ワーク加工装置。
  8. ワークと、回転砥石と、2つの撮像装置とを準備する準備工程と、
    前記回転砥石に対する前記ワークの相対位置を調節する調節工程と、
    前記調節工程の後に、前記回転砥石に対して前記ワークを前記回転砥石の回転軸と垂直なX方向に相対移動することで、前記ワークを前記回転砥石によって加工するn回の加工工程とを有し、
    前記調節工程と前記加工工程とを繰り返し所定回数実行するワーク加工方法であり、
    前記ワークは、前記加工工程で加工する加工方向に関して異なる位置に少なくとも1つずつマークを有し、
    前記2つの撮像装置は、前記回転砥石の回転軸と垂直なX方向に関して前記回転砥石を挟んで反対側に位置し、
    前記2つの撮像装置は、前記2つの撮像装置の前記X方向の配置ピッチをPc、前記マークの前記加工方向の配置距離をPmとし、 前記加工工程の前記X方向の相対移動量をSとしたとき、SとPcの差の絶対値がPmとなる位置関係を有し、
    本方法は、
    前記調節工程の後かつ前記加工工程の前に、前記加工工程における前記X方向への相対移動開始位置にある前記ワークの有するマークのうち前記加工工程における相対移動方向の一方側にあるものを、前記2つの撮像装置の一方により撮像し、前記加工工程の後に、前記加工工程における前記X方向への相対移動終了位置にある前記ワークの有するマークのうち前記加工工程における相対移動方向の他方側にあるものを、前記2つの撮像装置の他方により撮像するj回の撮像工程と、
    前記撮像工程の後かつ前記調節工程の前に、前記撮像工程における撮像画像を基に、前記調節工程における相対位置の調節量を演算するj回の演算工程とを有し、
    前記n回の加工工程と前記j回の撮像工程は、
    n≧j
    である、ワーク加工方法。
  9. 請求項8に記載の方法において、前記n回の前記加工工程中に、k回の前記加工工程に対して1回の前記撮像工程を複数回実行する、ワーク加工方法。
  10. 請求項8に記載の方法において、
    前記撮像装置は、前記Y方向の加工ライン上の所定ピッチに存在する2以上の加工マークを撮像可能な撮像視野を有するワーク加工方法。
  11. 請求項8から10のいずれかに記載の方法において、前記演算工程で演算する前記調節量は、前記ワークの前記Y方向への相対移動量と、前記ワークの前記Z方向を軸とする相対回転角度θの補正量とを含む、ワーク加工方法。
  12. 請求項8から11のいずれかに記載の方法において、前記2つの撮像装置の撮像光軸は、前記回転砥石の取付位置を通る前記回転軸に垂直な面に対して前記Y方向の同じ側で、所定距離だけずれた各位置で前記加工テーブル上のワークの存在平面と交差する、ワーク加工方法。
  13. 請求項8から12のいずれかに記載の方法において、
    前記ワークは、前記加工工程で加工する各々の加工ラインに対して2つのマークを前記加工方向に関して異なる位置にそれぞれ有し、
    各回の前記調節工程の後かつ各回の前記加工工程の前に前記第1撮像工程を実行し、各回の前記加工工程の後に前記第2撮像工程を実行する、ワーク加工方法。
  14. 請求項8から12のいずれか記載の方法において、
    前記ワークは、前記加工工程で加工するk本の加工ライン毎に2つのマークを前記加工方向に関して異なる位置にそれぞれ有し、
    前記撮像工程を行なう加工ラインの行番号をiとすると、前記演算工程では、iと(i+k)での前記撮像工程によって定義された各加工ラインのデータを基に、(i+1)回から(i+k−1)の加工ラインを定義し、前記調節工程における相対位置の調節量を演算する、ワーク加工方法。
  15. 請求項8から14のいずれかに記載の方法において、
    前記加工工程を所定回数実行した後に、前記ワークを前記X方向及び前記Y方向と垂直なZ方向を軸に相対的に所定角度だけ回転させる回転工程を実行し、
    前記回転工程の後、再度、前記調節工程及び前記加工工程を所定回数実行する、ワーク加工方法。
  16. 請求項8から15のいずれかに記載の方法において、
    前記ワークは、厚さ方向の所定の深さに前記マークを有し、
    本方法は、前記準備工程の後かつ前記調節工程の前に、前記回転砥石によって複数箇所に溝加工をして各マークを露出させる溝形成工程を有する、ワーク加工方法。
  17. 請求項16に記載の方法において、前記溝形成工程は、前記回転砥石と前記ワークとが相対的にアッパーカットになるようにして前記ワークを前記X方向に相対移動させるものである、ワーク加工方法。
  18. 請求項16に記載の方法において、前記溝形成工程における各箇所の溝加工を、前記回転砥石を前記X方向及び前記Y方向の双方に垂直なZ方向に相対移動することのみで行う、ワーク加工方法。
  19. 請求項18に記載の方法において、前記溝形成工程では、複数の直線の各々について、同一直線上の異なる複数の位置に前記溝加工を実行する、ワーク加工方法。
  20. 請求項18又は19に記載の方法において、前記第1及び第2の撮像工程では、アッパーカット加工によって露出されたマークを撮像する、ワーク加工方法。
  21. 請求項8から20のいずれかに記載の方法において、前記2つの撮像装置はそれぞれ、
    ハウジングと、
    前記ハウジング内の内部空間と、
    前記ハウジング外部と前記内部空間とを連通させる開口と、
    前記内部空間を通り前記開口から前記ハウジング外部へと続く撮像光軸を有する撮像部と、
    前記内部空間から前記開口を通して前記ハウジング外部を照らす照明部と、
    前記内部空間へ気体を供給するための気体供給孔とを有し、
    前記加工工程は、前記気体供給孔を通して前記内部空間に供給された気体を前記開口から前記ハウジング外部に噴き出しながら実行する、ワーク加工方法。
  22. 請求項21に記載の方法において、
    前記加工工程の前に、前記気体供給孔を通して前記内部空間に供給する気体の圧力を上昇させる圧力上昇工程と、
    前記加工工程の後に、前記気体の圧力を下降させる圧力下降工程とを有する、ワーク加工方法。
JP2010213873A 2010-04-20 2010-09-24 ワーク加工装置及び方法 Active JP4780356B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010213873A JP4780356B1 (ja) 2010-04-20 2010-09-24 ワーク加工装置及び方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010097442 2010-04-20
JP2010097442 2010-04-20
JP2010213873A JP4780356B1 (ja) 2010-04-20 2010-09-24 ワーク加工装置及び方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP4780356B1 JP4780356B1 (ja) 2011-09-28
JP2011240476A true JP2011240476A (ja) 2011-12-01

Family

ID=44798086

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010213873A Active JP4780356B1 (ja) 2010-04-20 2010-09-24 ワーク加工装置及び方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4780356B1 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015050345A (ja) * 2013-09-02 2015-03-16 Towa株式会社 切断装置及び切断方法
KR101516475B1 (ko) * 2013-06-03 2015-05-04 주식회사 휘닉스 디지탈테크 글래스 연삭 장치
CN104752298A (zh) * 2013-12-28 2015-07-01 东和株式会社 电子部件制造用切断装置及切断方法
JP2017148882A (ja) * 2016-02-22 2017-08-31 Tdk株式会社 切削装置及び切削方法
JP2021184466A (ja) * 2019-09-27 2021-12-02 株式会社東京精密 ダイシング装置及び方法
CN114800643A (zh) * 2022-04-26 2022-07-29 泉州兰姆达仪器设备有限公司 一种激光芯片解个设备及其工作方法

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105489533B (zh) * 2015-12-30 2018-01-09 桂林斯壮微电子有限责任公司 贴片机停电摆臂防撞系统
CN106449438A (zh) * 2016-09-22 2017-02-22 嘉兴景焱智能装备技术有限公司 模组组装制程主动对焦装置
CN107756663B (zh) * 2017-11-16 2019-02-22 重庆市志益鑫电子科技有限公司 集成电路板切割装置
CN108527695B (zh) * 2018-04-10 2020-07-28 绍兴文理学院 一种光伏硅板精加工装置

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01103850A (ja) * 1987-10-16 1989-04-20 Nitto Denko Corp 半導体ウエハのマウント用フレームの吸着装置
JPH05131396A (ja) * 1991-11-12 1993-05-28 U H T Kk 切断加工装置
JPH10256350A (ja) * 1997-03-06 1998-09-25 Toshiba Corp 半導体製造方法及びその装置
JPH11162890A (ja) * 1997-12-01 1999-06-18 Tokyo Seimitsu Co Ltd アライメント方法及びその装置
JP2000012409A (ja) * 1998-06-17 2000-01-14 Murata Mfg Co Ltd セラミック電子部品の製造方法及び製造装置
JP2000252240A (ja) * 1999-03-03 2000-09-14 Disco Abrasive Syst Ltd 切削装置
JP2000252241A (ja) * 1999-03-04 2000-09-14 Disco Abrasive Syst Ltd 積層被加工物の切削方法
JP2004039906A (ja) * 2002-07-04 2004-02-05 Disco Abrasive Syst Ltd セラミックスチップコンデンサーシートの分割方法
JP2005085972A (ja) * 2003-09-09 2005-03-31 Disco Abrasive Syst Ltd 切削装置におけるアライメント方法
JP2009253017A (ja) * 2008-04-07 2009-10-29 Tokyo Seimitsu Co Ltd ダイシング方法
JP2010021411A (ja) * 2008-07-11 2010-01-28 Murata Mfg Co Ltd ワーク位置決め装置、およびワーク位置決め方法

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01103850A (ja) * 1987-10-16 1989-04-20 Nitto Denko Corp 半導体ウエハのマウント用フレームの吸着装置
JPH05131396A (ja) * 1991-11-12 1993-05-28 U H T Kk 切断加工装置
JPH10256350A (ja) * 1997-03-06 1998-09-25 Toshiba Corp 半導体製造方法及びその装置
JPH11162890A (ja) * 1997-12-01 1999-06-18 Tokyo Seimitsu Co Ltd アライメント方法及びその装置
JP2000012409A (ja) * 1998-06-17 2000-01-14 Murata Mfg Co Ltd セラミック電子部品の製造方法及び製造装置
JP2000252240A (ja) * 1999-03-03 2000-09-14 Disco Abrasive Syst Ltd 切削装置
JP2000252241A (ja) * 1999-03-04 2000-09-14 Disco Abrasive Syst Ltd 積層被加工物の切削方法
JP2004039906A (ja) * 2002-07-04 2004-02-05 Disco Abrasive Syst Ltd セラミックスチップコンデンサーシートの分割方法
JP2005085972A (ja) * 2003-09-09 2005-03-31 Disco Abrasive Syst Ltd 切削装置におけるアライメント方法
JP2009253017A (ja) * 2008-04-07 2009-10-29 Tokyo Seimitsu Co Ltd ダイシング方法
JP2010021411A (ja) * 2008-07-11 2010-01-28 Murata Mfg Co Ltd ワーク位置決め装置、およびワーク位置決め方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101516475B1 (ko) * 2013-06-03 2015-05-04 주식회사 휘닉스 디지탈테크 글래스 연삭 장치
JP2015050345A (ja) * 2013-09-02 2015-03-16 Towa株式会社 切断装置及び切断方法
CN104752298A (zh) * 2013-12-28 2015-07-01 东和株式会社 电子部件制造用切断装置及切断方法
JP2015128122A (ja) * 2013-12-28 2015-07-09 Towa株式会社 電子部品製造用の切断装置及び切断方法
JP2017148882A (ja) * 2016-02-22 2017-08-31 Tdk株式会社 切削装置及び切削方法
JP2021184466A (ja) * 2019-09-27 2021-12-02 株式会社東京精密 ダイシング装置及び方法
JP7113418B2 (ja) 2019-09-27 2022-08-05 株式会社東京精密 ダイシング装置及び方法
CN114800643A (zh) * 2022-04-26 2022-07-29 泉州兰姆达仪器设备有限公司 一种激光芯片解个设备及其工作方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4780356B1 (ja) 2011-09-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4780356B1 (ja) ワーク加工装置及び方法
US20090029627A1 (en) Polishing apparatus and polishing method
KR20150140561A (ko) 판재의 둘레가장자리 가공장치 및 곡면판의 둘레가장자리 가공방법
US20100269650A1 (en) Dicing apparatus and dicing method
JP2011114070A (ja) 加工装置
KR102448222B1 (ko) 레이저 가공 방법
JP5762005B2 (ja) 加工位置調製方法及び加工装置
CN110783245B (zh) 对准方法
JP2007253289A (ja) ワークテーブルの防滴機構及びワイヤソー
JP6190654B2 (ja) 削り代の均一化方法及び板材の周縁研削装置
US8289388B2 (en) Alignment method for singulation system
JP6229883B2 (ja) ダイシング装置及びその切削方法
TWI810856B (zh) 加工裝置及加工品的製造方法
JP6125377B2 (ja) 切削溝の検出方法
CN110834385A (zh) 切削装置
JP5610123B2 (ja) ダイシング装置
CN110783246B (zh) 对准方法
JP2019121721A (ja) 電子部品の実装装置および実装方法
JP6905419B2 (ja) 切削方法
KR20210092683A (ko) 가공 장치
JP2017092362A (ja) 被加工物の加工方法
CN111515915B (zh) 对准方法
CN107097136B (zh) 切削装置及切削方法
JP2003179002A (ja) ダイシングマシン
JP7201457B2 (ja) ウエーハの位置検出方法、及びウエーハの位置補正方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110608

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110621

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140715

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4780356

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150