以下、添付図面に従って本発明に係るダイシング装置及び方法の実施の形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るダイシング装置を示す平面図であり、図2は、本発明の第1の実施形態に係るダイシング装置の制御系を示すブロック図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るダイシング装置1は、ワークWの形状の測定を行うプリアライメント部10と、ワークWのダイシング加工を行う加工部20を含んでいる。本実施形態に係るダイシング装置1では、ダイシング加工の前に、プリアライメント部10においてワークWの形状の測定を行い、ワークWの形状の測定の測定結果に基づいて、加工部20におけるワークWと治具J1の治具溝G1(図7から図11参照)とのアライメントを行う。
プリアライメント部10へのワークWの搬入、プリアライメント部10と加工部20との間のワークWの移動、加工部20からのワークWの搬出は、ハンドラ50を用いて行われる。ハンドラ50は、ハンドラ軸52、ハンドラアーム54及びハンドラ駆動部56を含んでいる。ハンドラ軸52は、Y方向に伸びており、ハンドラアーム54をY方向及びZ方向に沿って移動可能に保持する。ハンドラアーム54は、ワークWを吸着して保持する。ハンドラ駆動部56は、ハンドラアーム54をY方向に移動させるための動力源(例えば、モータ)を含んでいる。ハンドラアーム54をY方向に移動させるための機構としては、ハンドラ軸52にボールねじを設けて、ハンドラアーム54にボールねじと螺合するナット等を設けたボールねじ機構、又はラックアンドピニオン機構等の往復直線運動が可能な機構を用いることが可能である。
図2に示すように、本実施形態に係るダイシング装置1の制御系は、制御部100、入力部102及び表示部104を含んでいる。ダイシング装置1の制御系は、例えば、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ等の汎用のコンピュータによって実現可能である。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージデバイス(例えば、ハードディスク等)等を含んでいる。制御部100では、ROMに記憶されている制御プログラム等の各種プログラムがRAMに展開され、RAMに展開されたプログラムがCPUによって実行されることにより、ダイシング装置1の各部の機能が実現される。
入力部102は、ユーザからの操作入力を受け付けるための操作部材(例えば、キーボード、ポインティングデバイス等)を含んでいる。
表示部104は、ダイシング装置1の操作のためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する装置であり、例えば、液晶ディスプレイを含んでいる。
以下に、ダイシング装置1のプリアライメント部10及び加工部20について説明する。なお、以下の説明では、便宜上3次元直交座標系を用いる。
(プリアライメント部)
プリアライメント部10では、ダイシング加工の前に、プリアライメント部10においてワークWの形状の測定が行われる。プリアライメント部10は、プリアライメントステージST0、顕微鏡MS1、プリアライメントステージ駆動部12及びMS駆動部14を含んでいる。
ワークWは、ハンドラアーム54により吸着保持されてプリアライメント部10に搬入され、プリアライメントステージST0に載置される。プリアライメントステージST0の表面には、ワークWを吸着保持するための治具J1(図7から図11参照)が設けられており、ワークWは、この治具J1によりプリアライメントステージST0に吸着保持される。
プリアライメントステージ駆動部12は、プリアライメントステージST0をθ0方向に回転させるモータと、空気を吸引してワークWをプリアライメントステージST0に吸着するための真空源(真空発生器。例えば、エジェクタ、ポンプ等)とを含んでいる。
MS駆動部14は、顕微鏡MS1をX0軸及びMS1軸に沿って移動させるための動力源(例えば、モータ)を含んでいる。顕微鏡MS1を移動させるための機構としては、例えば、ボールねじ又はラックアンドピニオン機構等の往復直線運動が可能な機構を用いることが可能である。
顕微鏡MS1は、プリアライメントステージST0に吸着保持されたワークWの表面の画像を撮影する。顕微鏡MS1によって撮影されたワークWの表面画像は、制御部100に送信される。
なお、本実施形態では、顕微鏡MS1をX0軸及びMS1軸に沿って移動させるようにしたが、プリアライメントステージST0を移動させるようにしてもよいし、顕微鏡MS1及びプリアライメントステージST0の両方を移動させるようにしてもよい。
制御部100は、顕微鏡MS1から受信したワークWの表面画像に対して画像処理を行って、ワークWの分割予定ラインの位置を測定する。例えば、制御部100は、顕微鏡MS1から受信したワークWの表面画像に対してパターンマッチングを行う。そして、制御部100は、ワークWの表面に形成された半導体装置又は電子部品等の繰り返しパターン若しくはアライメントマーク(以下、パターンM1という。)を検出することにより、ワークWの分割予定ラインの位置(例えば、交点、端点の座標)を測定する。これにより、ワークWの形状が測定される。
図3及び図4は、ワークの形状の測定におけるパターンマッチングを説明するための平面図である。
図3に示す例では、顕微鏡MS1により撮影した画像に対するパターンマッチングにより、ワークWの略すべての分割予定ラインCL1の交点(パターンM1)の検出を行うものである。図3に示す例によれば、ワークWの分割予定ラインCL1と、治具J1の治具溝G1のアライメントを高精度で行うことが可能になる。
図4に示す例では、ワークWのパターンM1のうちの一部(例えば、4隅の点)の検出を行うものである。図4に示す例でも、分割予定ラインCL1に沿ってダイシング加工を行った場合に、分割予定ラインCL1と治具J1の治具溝G1とが干渉しないようにアライメントを行うことが可能になる。なお、パターンM1は、要求されるアライメントの精度に応じて増減させることが可能である。
特許文献1及び2では、置き直しの前後で少なくとも2回アライメントのためのパターンマッチングを行う必要があるため、ワークWのアライメントに要する時間が長くなる。特に、図3に示すように、検出対象のパターンM1が多く設定された場合には、ダイシング加工の効率が顕著に低下する。これに対して、本実施形態によれば、検出対象のパターンM1が多く設定された場合であっても、プリアライメント部10においてワークWの形状の測定を1回行うだけなので、パターンマッチングの時間を短縮することができ、ダイシング加工の効率の低下を抑えることができる。
図5は、顕微鏡を用いたパターンの探索方法(スパイラル探索動作)を説明するための平面図である。
ワークWの歪が大きい場合には、ワークWの設計上のパターンM1の位置に顕微鏡MS1を移動させた場合に、顕微鏡MS1の視野V1の中にパターンM1が入らない場合がある。この場合、図5に示すように、顕微鏡MS1をX0方向及びMS1方向に移動させて、視野V1の周辺を順次探索する。これにより、パターンM1の検出が可能になる。
後述の加工部20では、顕微鏡MS2を用いてパターンM1の検出を行うときに、プリアライメント部10において測定した形状の測定結果を用いて顕微鏡MS2を移動させる。これにより、加工部20では、上記のようなスパイラル探索動作を行うことなく、アライメントを行うことが可能になる。
(加工部)
加工部20では、ワークWの形状の測定の測定結果に基づいて、ワークWのアライメントが行われ、ブレードダイシングが行われる。加工部20は、第1ステージST1、第2ステージST2、第1ステージ駆動部22-1、第2ステージ駆動部22-2、加工駆動部26、顕微鏡MS2、MS駆動部28、第1スピンドル30-1、第2スピンドル30-2、第1ブレード32-1及び第2ブレード32-2を含んでいる。
プリアライメント部10において形状の測定が行われたワークWは、ハンドラアーム54により吸着保持されて加工部20に搬入され、第1ステージST1又は第2ステージST2に載置される。第1ステージST1又は第2ステージST2の表面には、プリアライメントステージST0と同様に、ワークWを吸着保持するための治具が設けられている。なお、以下の説明では、搬送中のワークをW、プリアライメントステージST0、第1ステージST1及び第2のステージST2に吸着保持されたワークをそれぞれW0、W1及びW2と記載する。
第1ステージ駆動部22-1は、第1ステージST1をθ1方向に回転させるモータと、空気を吸引してワークWを第1ステージST1に吸着するためのポンプとを含んでいる。第2ステージ駆動部22-2は、第2ステージST2をθ2方向に回転させるモータと、空気を吸引してワークWを第2ステージST2に吸着するためのポンプとを含んでいる。
なお、本実施形態では、加工部20に2つのステージ(第1ステージST1及び第2ステージST2)を設けたが、加工部20のステージは1つであってもよい。
また、本実施形態では、形状測定専用のプリアライメント部10を加工部20とは別に設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、加工部20が2つのステージを有する場合には、形状測定専用のプリアライメント部10を設けずに、加工部20のステージのうちの1つをプリアライメント部10として兼用してもよい。
第1ステージST1をプリアライメント部10として兼用する場合、第1ステージST1ではワークW1-1の形状の測定が終了しているにも関わらず、第2ステージST2でワークの加工が完了していない状況が考えられる。この場合、ハンドラアーム54にワークを1枚しか保持できないとすると、第2ステージST2が空くまで形状の測定が終了したワークW1-1の加工を行うことができない。このため、第1ステージST1における形状の測定後から第2ステージST2における加工の開始までの間に待ち時間が発生し、タクトの低下の原因となる。
そこで、図6に示すように、複数(2枚)のワークW1-1、W1-2を保持する機構を備えるハンドラアーム54Aを用いることで、ワークW-1の形状の測定後に空いている第1ステージST1において、ワークW-2の形状の測定を実施可能にする。その結果、ワークの形状測定を一括でまとめて行うことができ、空きステージが生じないので、ステージの有効活用が可能となる。
第1スピンドル30-1及び第2スピンドル30-2には、それぞれ第1ブレード32-1及び第2ブレード32-2が取り付けられている。第1スピンドル30-1及び第2スピンドル30-2は、それぞれ第1ブレード32-1及び第2ブレード32-2を高速回転させるための高周波モータを含んでいる。
第1ブレード32-1及び第2ブレード32-2は、例えば、円盤状の切削刃である。第1ブレード32-1及び第2ブレード32-2としては、例えば、ダイヤモンド砥粒又はCBN(Cubic Boron Nitride)砥粒をニッケルで電着した電着ブレード、あるいは樹脂で結合したレジンブレード等を用いることが可能である。第1ブレード32-1及び第2ブレード32-2は、加工対象のワークWの種類及びサイズ並びに加工内容等に応じて交換可能である。
上記の通り、第1ステージST1及び第2ステージST2は、同様の構成を有している。このため、以下の説明では、第1ステージ駆動部22-1及び第2ステージ駆動部22-2を加工ステージ駆動部22、第1スピンドル30-1及び第2スピンドル30-2をスピンドル30、第1ブレード32-1及び第2ブレード32-2をブレード32と総称する場合がある。
加工駆動部26は、第1スピンドル30-1及び第2スピンドル30-2を加工軸(Y軸)に沿って移動させるためのモータを含んでいる。
MS駆動部28は、顕微鏡MS2をX1軸、X2軸及びMS2軸に沿って移動させるための動力源(例えば、モータ)を含んでいる。顕微鏡MS2を移動させるための機構としては、例えば、ボールねじ又はラックアンドピニオン機構等の往復直線運動が可能な機構を用いることが可能である。
顕微鏡MS2は、第1ステージST1及び第2ステージST2に吸着保持されたワークW1及びW2の表面の画像を撮影する。顕微鏡MS2によって撮影されたワークW1及びW2の表面画像は、制御部100に送信される。
なお、本実施形態では、顕微鏡MS2をX1軸、X2軸及びMS2軸に沿って移動させるようにしたが、第1ステージST1及び第2ステージST2を移動させるようにしてもよいし、顕微鏡MS2、第1ステージST1及び第2ステージST2を移動させるようにしてもよい。以下の説明では、第1ステージST1及び第2ステージST2を加工ステージSTと記載する場合がある。
制御部100は、顕微鏡MS2から受信したワークW1及びW2の表面画像に対して画像処理を行って、ワークW1及びW2の分割予定ラインと、第1ステージST1及び第2ステージST2の表面に設けられた治具とのアライメントを行う。
なお、本実施形態では、簡単のため、X0、X1軸及びX2軸をX軸に平行とし、ハンドラ軸52、MS1軸、MS2軸及び加工軸をY軸と平行としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、プリアライメント部10のX0軸及びMS1軸と、加工部20のX1軸及びX2軸並びにMS2軸とは、それぞれ独立に設けることが可能である。
(アライメント)
まず、ワークWを吸着するための加工ステージST及び治具J1の構成について説明する。
図7及び図8は、加工ステージとワークを示す平面図である。図7及び図8は、加工ステージSTとワークWとのアライメントが行われる前後の状態をそれぞれ示している。また、図9は、加工ステージの表面に設けられた治具を拡大して示す斜視図である。
図7に示すように、ワークWの表面には、ワークWに形成された半導体装置又は電子部品等を個別のチップに分割するための分割予定ラインCL1が設けられている。加工ステージSTの表面には、ワークWのチップと一対一対応となるように治具(吸着パッド)J1が設けられている。治具J1は、加工ステージSTの表面に、所定の間隔WGを空けて、XY方向に沿って並べて取り付けられている(接着されている)。以下の説明では、治具J1の間のスペースを治具溝G1という。ここで、治具J1は、加工対象のワークWの種類及びサイズ並びに加工内容等に応じて交換され、治具溝G1の幅WGがブレード32の幅(刃厚)WBよりも広いものが用いられる。
治具J1の平面形状は、図7及び図8に示す例では略矩形であるが、チップの形状に対応して変更することが可能である。図8に示すように、治具J1の平面視のサイズは、チップのサイズよりも小さくなっている。
治具J1は、例えば、ラバー(ゴム)製であり、図9に示すように、上方(+Z側)が開放され、底部が閉じた筒状(角筒状)である。治具J1の底面には、吸引孔H1が形成されており、第1ステージ駆動部22-1又は第2ステージ駆動部22-2のポンプを用いて、ワークWと治具J1との間の空気を吸引することにより、ワークWが加工ステージSTに吸着保持される。
なお、治具J1の形状は、筒状に限定されるものではない。治具J1は、例えば、吸引孔H1が複数形成された板状のラバーをダイシング加工することにより作成するようにしてもよい。
ワークWを加工ステージSTにロードする場合には、図8に示すように、プリアライメント部10において測定した分割予定ラインCL1の位置に基づいてアライメントが行われる。具体的には、制御部100は、プリアライメント部10において測定した分割予定ラインCL1に沿う太さWBのラインがすべて対応する治具溝G1の中に収まるようなワークWのX、Y座標及び加工ステージSTの回転角(θ1又はθ2)を算出する。そして、制御部100は、算出したX、Y座標及び回転角(θ1又はθ2)に基づいてハンドラアーム54と加工ステージSTとの相対位置を調整して、ワークWと治具溝G1とのアライメントを行って、ワークWを治具J1に吸着させる。
なお、本実施形態では、分割予定ラインCL1に沿う太さWBのラインがすべて対応する治具溝G1の中に収まるようにアライメントを行うようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、分割予定ラインCL1の一部のみ(例えば、ワークWのX方向両端の対向する2辺に最も近い2本の分割予定ラインCLX11及びCLX42、ワークWのY方向両端の対向する2辺に最も近い2本の分割予定ライン(図8に示す例では、ワークWは、4つの分割エリアA1からA4に分かれているため、合計8本の分割予定ラインCLY11、CLY12、CLY21、CLY22、CLY31、CLY32、CLY41及びCLY42)、又はこれらを含む複数本)についてその位置を算出し、算出した分割予定ラインが対応する治具溝G1の中に収まるようにアライメントを行ってもよい。
一般に、ワークWは、均一な材料により形成されるため、ワークWの変形は略リニアに発生すると考えられる。この場合、分割予定ラインCL1は、ワークWの歪にしたがって略リニアに分布する。したがって、例えば、ワークWのY方向両端の対向する2辺に最も近い2本分割予定ラインCL1が対応する治具溝G1に収まるようにアライメントを行うだけでも、ほかの分割予定ラインCL1が対応する治具溝G1に収まるようにすることが可能である。
図10は、ワークの切削状況を示す平面図であり、図11は、図10のXI-XI断面図である。図12は、比較例を示す平面図である。
図10に示す例では、分割予定ラインCL1に沿う太さWBのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようにアライメントが行われている。この場合、図11に示すように、ブレード32によりワークWのダイシング加工を行うと、ブレード32が治具J1に干渉しない。
一方、図12に示す例では、分割予定ラインCL2に沿う太さWBのラインCT2の一部が対応する治具溝G1の外に達している。この場合、ブレード32によりワークWのダイシング加工を行うと、図中の領域E1においてブレード32が治具J1と干渉する。このため、ブレード32が治具J1に切り込んで治具J1が破損する。
本実施形態によれば、分割予定ラインCL1の位置を予め測定しておき、この分割予定ラインCL1に沿う太さWBのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようにアライメントを行う。これにより、ブレード32と治具J1との干渉を防止することができる。
(ダイシング方法)
図13は、本発明の第1の実施形態に係るダイシング方法を示すフローチャートである。
まず、制御部100は、ハンドラアーム54を制御して、プリアライメント部10に搬入する。そして、制御部100は、プリアライメントステージST0にワークWをロードし、プリアライメントステージ駆動部12のポンプによりプリアライメントステージST0にワークWを吸着保持させる。
次に、制御部100は、顕微鏡MS1を用いてワークWの画像を撮影し、ワークWの画像のパターンマッチングを行って、ワークWのパターンM1を検出する。そして、制御部100は、パターンM1の位置(分布)に基づいてワークWの形状の測定を行う(ステップS10:形状測定ステップ)。
次に、制御部100は、プリアライメントステージ駆動部12を制御して、ワークWの吸着状態を解除する。そして、制御部100は、ハンドラアーム54を制御して、プリアライメント部10からワークWを搬出して、加工部20の加工ステージSTにワークWをロードする。このとき、制御部100は、ステップS10におけるワークWの形状の測定結果を用いて、ワークWと治具J1の治具溝G1とのアライメントを行い、加工ステージ駆動部22を制御して、加工ステージSTにワークWを吸着保持させる(ステップS12:アライメントステップ)。ステップS12におけるアライメントは、例えば、下記の(A)から(C)のいずれかにより行う。
(A)制御部100は、分割予定ラインCL1に沿う太さWBのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようにアライメントを行う。
(B)制御部100は、(B1)ワークWのX方向両端の対向する2辺に最も近い2本の分割予定ラインCLX11及びCLX42(図8参照)、又は(B2)ワークWのY方向両端の対向する2辺に最も近い分割予定ライン(図8に示す例では、ワークWは、4つの分割エリアA1からA4に分かれているため、合計8本の分割予定ラインCLY11、CLY12、CLY21、CLY22、CLY31、CLY32、CLY41及びCLY42)に沿う太さWBのラインCT1が対応する治具溝G1の中に収まるようにアライメントを行う。なお、分割予定ラインCLY11、CLY21、CLY31及びCLY41と、分割予定ラインCLY12、CLY22、CLY32及びCLY42とは、それぞれ1回の走査で切削されるため、それぞれ1本の分割予定ラインとして扱ってもよい。
(C)制御部100は、上記の一部の分割予定ラインCL1に沿う太さWBのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようなアライメントが可能か否かを判定する。ここで、一部の分割予定ラインCL1とは、例えば、(C1)ワークWの四辺に最も近い分割予定ライン(CLX11及びCLX42並びにCLY11、CLY12、CLY21、CLY22、CLY31、CLY32、CLY41及びCLY42、(C2)ワークWのX方向両端の対向する2辺に最も近い2本の分割予定ラインCLX11及びCLX42を含む複数本の分割予定ラインCL1、若しくは(C3)ワークWのY方向両端の対向する2辺に最も近い分割予定ラインCLY11、CLY12、CLY21、CLY22、CLY31、CLY32、CLY41及びCLY42を含む複数本の分割予定ラインCL1である。
次に、制御部100は、加工ステージSTに吸着保持されたワークWの分割予定ラインCL1に沿ってブレード32を移動させてダイシング加工を行う(ステップS14)。
本実施形態によれば、ワークWの歪に起因する分割予定ラインCL1のずれが発生している場合であっても、分割予定ラインCL1の位置を予め測定してアライメントを行うことにより、ブレード32と治具J1との干渉を防止することができる。
(分割予定ラインの位置の算出)
次に、本実施形態に係る分割予定ラインの位置の算出方法の例(形状測定ステップの一例)について説明する。以下の説明では、ワークWの表面のパターンと分割予定ライン及びクロスマークとの間に距離がある場合について説明する。
図14は、分割予定ライン上のクロスマークがパターンに対してY方向に離れて配置されている場合を示す平面図であり、図15は、図14の例に対して分割予定ラインが傾いた例を示す平面図である。なお、図15では、図示の便宜上クロスマークを省略している。
図14に示す例では、分割予定ラインCL1はX軸に平行になっており、ワークWの表面において、分割予定ラインCL1に対して-Y側にdY離れた(オフセットした)位置に、略十字形状のパターンP1が配置されている。分割予定ラインCL1は、2つのパターンP1の中心点(クロスポイント)をそれぞれ中心とする径dYの円C1に接する接線であり、分割予定ラインCL1と円C1との接点が、XY方向の分割予定ラインCL1の交点であるクロスマークCM1となる。
図15に示すように、ワークWの歪等に起因して、分割予定ラインCL1が図14に示す例からdθ回転した場合でも、図14に示す例と同様に、分割予定ラインCL1は、パターンP1のクロスポイントを中心とする半径dYの円C1の接線として定義される。
このときのパターンP1の座標を(pX,pY)とすると、クロスマークCM1の座標(X,Y)は、下記の式(1)及び(2)により表される。
Y=pY+dY・cos(dθ) …(1)
X=pX+dY・sin(dθ) …(2)
一方、2つのパターンを1視野の検査対象画像として撮像してパターンマッチングを行った場合、角度成分が不明となるため、分割予定ラインCLE1上のクロスマークCME1の座標(XE,YE)は、下記の式により表される。
YE=pY+dY
XE=pX
すなわち、分割予定ラインCLE1及びクロスマークCME1はカメラを位置づけた位置により、パターンP1に対して+Y方向にdYオフセットされた位置に決定される。
したがって、分割予定ラインCL1とCLE1との間には、あらかじめ角度成分dθを求めた場合と比較して、下記の誤差が生じる。
(Y誤差)=YE-Y=dY{1-cos(dθ)}
(X誤差)=XE-X=-dY・sin(dθ)
上記の誤差のため、1視野の画像を用いてパターンマッチングを行った場合、高精度な加工位置計算は実現することができない。これに対して、本実施形態では、あらかじめ角度成分dθを求めることにより、分割予定ラインCL1を精度よく求めることができる。
図16は、分割予定ライン上のクロスマークがパターンに対してXY方向に離れて配置されている場合を示す平面図であり、図17は、図16の例に対して分割予定ラインが傾いた例を示す平面図である。
図16に示す例では、分割予定ラインCL1はX軸に平行になっており、ワークWの表面において、分割予定ラインCL1に対して-X側にdX、-Y側にdY離れた(オフセットした)位置に、略十字形状のパターンP1が配置されている。分割予定ラインCL1は、2つのパターンP1の中心点(クロスポイント)をそれぞれ中心とする径dYの円C1に接する接線であり、分割予定ラインCL1と円C1との接点から+X方向にdX離れた位置がクロスマークCM1となる。
図17に示すように、ワークWの歪等に起因して、分割予定ラインCL1が図16に示す例からdθ回転した場合でも、図16に示す例と同様に、分割予定ラインCL1は、パターンP1のクロスポイントを中心とする半径dYの円C1の接線として定義される。
このときのパターンP1の座標を(pX,pY)とすると、クロスマークCM1の座標(X,Y)は、下記の式により表される。
Y=pY + dY・cos(dθ) + dX・sin(dθ)
X=pX + dY・sin(dθ) + dX・cos(dθ)
一方、2つのパターンを1視野の検査対象画像として撮像してパターンマッチングを行った場合、角度成分が不明となるため、分割予定ラインCLE1上のクロスマークCME1の座標(XE,YE)は、下記の式により表される。
YE=pY+dY
XE=pX+dX
すなわち、分割予定ラインCLE1及びクロスマークCME1はカメラを位置づけた位置により、パターンP1から-Y方向にdY、-X方向にdXオフセットされた位置に決定される。
したがって、分割予定ラインCL1とCLE1との間には、あらかじめ角度成分dθを求めた場合と比較して、下記の誤差が生じる。
(Y誤差)=YE-Y=dY{1-cos(dθ)}-dX・sin(dθ)
(X誤差)=XE-X=dX{1-cos(dθ)}-dY・sin(dθ)
上記の誤差のため、1視野の画像を用いてパターンマッチングを行った場合、高精度な加工位置計算は実現することができない。これに対して、本実施形態では、あらかじめ角度成分dθを求めることにより、分割予定ラインCL1を精度よく求めることができる。
本実施形態では、上記のようにして、複数の分割予定ラインCL1を求める。すなわち、分割予定ラインCL1に対応する少なくとも2つのパターンP1を検出して、角度成分dθを求め、この角度成分dθに基づいて分割予定ラインCL1を求める。
次に、複数の分割ラインについて求めたクロスマークCM1の座標(X,Y)(以下、基準座標という。)に基づいて、ワークWの歪量を算出する。具体的には、複数の分割ラインCL1について求めた基準座標(X,Y)と設計座標から基準座標に対する補正量の2次元マップを作成する。そして、内挿法等により、各基準座標に対するワークWの歪量を算出する。
なお、本実施形態では、複数の分割予定ラインCL1の基準座標(X,Y)及び傾きdθからワークWの歪量を算出するようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、各パターンP1の座標の設計値と実測値からパターンP1のXY座標に対する2次元マップを作成し、内挿法等により、各基準座標に対するワークWの歪量を算出してもよい。
次に、各基準座標における歪量を、パターンP1とクロスマークCM1との間のオフセット量に加算して、基準位置(X,Y)の再計算を行う。
本実施形態によれば、分割予定ラインCL1の傾きdθを求めた後にクロスマークCM1を求めることにより、分割予定ラインCL1の加工位置の検出を高精度で行うことができる。これにより、ブレード32と治具J1との干渉のチェックを高精度で行うことができる。
次に、分割予定ラインの位置の算出について、図18を参照して説明する。図18は、分割予定ラインの位置の算出手順を示すフローチャートである。
まず、制御部100は、顕微鏡MS1を用いてワークWの画像を撮影する。そして、制御部100は、ワークWの画像のパターンマッチングを行って、顕微鏡MS1により撮像した画像から、分割予定ラインCL1ごとに少なくとも2つ(1対)のパターンP1を検出し、分割予定ラインCL1の傾きdθを検出する(ステップS100)。
次に、制御部100は、上記の式(1)及び(2)により分割予定ラインCL1のクロスマークCM1の基準座標(X,Y)を算出する(ステップS102)。
次に、複数の分割予定ラインCL1の基準座標(X,Y)及び傾きdθからワークWの歪量を算出する(ステップS104)。
次に、ステップS104で求めたワークWの歪量に基づいて、各分割予定ラインCL1の位置の再計算を行い、加工位置を正確に求める(ステップS106)。
本実施形態に係る分割予定ラインの位置の算出方法の例では、分割予定ライン上のクロスマークCM1がパターンP1に対してY方向又はXY方向に離れて配置されている場合について説明したが、X方向に離れて配置されている場合にも適用可能である。すなわち、図15において、パターンP1のクロスポイントを中心とする円C1の半径をゼロと考えて、2つのクロスポイントを結ぶ線分の傾きdθを計算する。そして、θ方向にdθ回転したX軸に沿ってdX離れた位置にクロスマークCM1があるとして、クロスマークCM1の座標を求めることにより、クロスマークCM1の位置の算出を高精度で実現することができる。
また、上記の例では、左右のパターンP1とクロスマークCM1までの距離が一致している例について説明したが、左右のパターンP1とクロスマークCM1までの距離が異なる場合であっても、上記の演算方法を適用することができる。すなわち、図19及び図20に示すように、左右のパターンP1及びP2のクロスポイントをそれぞれ中心とする円C1(半径dY1)及びC2(半径dY2(≠dY1))の接線CL1を求めることにより、クロスマークCM1及びCM2の位置を同様にして求めることができる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、分割予定ラインCL1に沿う太さWBのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようにアライメントを行った。これに対して、本実施形態では、分割予定ラインCL1に沿う太さWBのラインCT1のうちの一部のラインCT1のみが治具溝G1の中に収まるようなアライメントを繰り返すものである。
図21は、本発明の第2の実施形態に係るダイシング方法を説明するための平面図である。
図21に示す例では、分割予定ラインCL1に沿う太さWBのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようなアライメントを行うことができない。このため、ワークWを複数の分割エリアA1からA4に分け、分割エリアA1からA4ごとに、アライメントとダイシング加工を行う。
具体的には、まず、図21に示すように、分割エリアA1に含まれる分割予定ラインCL1について、治具J1の治具溝G1とのアライメントを行う。このとき、分割エリアA2からA4では、分割予定ラインCL1に沿う太さWBのラインCT1の一部が治具J1と干渉している。そして、分割エリアA1に含まれる分割予定ラインCL1に対してダイシング加工を行う。これにより、分割エリアA1に含まれるチップがワークWから切り離される。
次に、ワークWの吸着状態を解除して、分割エリアA2からA4からなるワークWをハンドラアーム54により引き上げて吸着保持する。そして、分割エリアA2に含まれる分割予定ラインCL1について、分割予定ラインCL1に沿う太さWBのラインCT1がすべて対応する治具群JG2の治具溝G1の中に収まるようなアライメントを行う。そして、分割エリアA2に含まれる分割予定ラインCL1に対してダイシング加工を行う。これにより、分割エリアA2に含まれるチップがワークWから切り離される。
以下、分割エリアA3及びA4についても順次アライメントとダイシング加工を行う。これにより、分割予定ラインCL1に沿う太さWBのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようなアライメントを行うことができない場合であっても、ブレード32と治具J1との干渉を防止しながら、ダイシング加工を行うことができる。
各分割エリアA1からA4と治具J1の治具溝G1とのアライメントは、下記の<A>から<C>により行うことができる。
<A>分割エリアA1からA4ごとに、分割エリアA1からA4内のすべての分割予定ラインCL1に沿う太さWBのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようにアライメントを行う。
<B>分割エリアA1からA4ごとに、<B1>X方向の両端の2本の分割予定ラインCLX11及びCLX12、CLX21及びCLX22、CLX31及びCLX32並びにCLX41及びCLX42、若しくは<B2>Y方向の両端の2本の分割予定ラインCLY11及びCLY12、CLY21及びCLY22、CLY31及びCLY32並びにCLY41及びCLY42に沿う太さWBのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようにアライメントを行う。
<C>分割エリアA1からA4ごとに、一部の分割予定ラインCL1を含む複数本の分割予定ラインCL1)に沿う太さWBのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようにアライメントを行う。ここで、一部の分割予定ラインCL1とは、例えば、<C1>分割エリアA1からA4において、四辺に最も近い各4本の分割予定ライン(CLX11、CLX12、CLY11及びCLY12、CLX21、CLX22、CLY21及びCLY22、CLX31、CLX32、CLY31及びCLY32並びにCLX41、CLX42、CLY41及びCLY42)、<C2>分割エリアA1からA4において、X方向両端の対向する2辺に最も近い分割予定ライン(CLX11及びCLX12、CLX21及びCLX22、CLX31及びCLX32並びにCLX41及びCLX42)を含む複数本の分割予定ラインCL1、若しくは<C3>分割エリアA1からA4において、Y方向両端の対向する2辺に最も近い分割予定ライン(CLY11及びCLY12、CLY21及びCLY22、CLY31及びCLY32並びにCLY41及びCLY42)を含む複数本の分割予定ラインCL1である。
ここで、加工ステージ駆動部22は、例えば、分割エリアA1からA4ごとに吸着状態を解除可能としてもよい。例えば、分割エリアA1のダイシング加工が完了した場合に、分割エリアA1に対応する治具群JG1については、チップを吸着保持したままにしておく。一方、分割エリアA2からA4に対応する治具群JG2からJG4については、吸着状態を解除して、分割エリアA2からA4からなるワークWをハンドラアーム54により加工ステージSTから引き上げる。そして、残りの分割エリアA2からA4についても同様の手順でダイシング加工を行い、すべての分割領域A1からA4のダイシング加工が完了した場合に、チップを回収するようにしてもよい。
また、この方法によると、ワークWの歪が大きい場合に、分割エリアA2からA4を個別にアライメントし、冶具J1に合わせた位置調整を行うことになる。このことは、ワークWの歪の矯正を実施していることになり、湾曲した分割予定ラインCL1の修正を実施することになる。その結果、加工精度の向上につながる二次的な効果も得ることができる。
また、各分割エリアA1からA4のダイシング加工が完了するごとに、ダイシング加工によりワークWから切り離されたチップを回収するようにしてもよい。
なお、本実施形態では、分割エリアを4つとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、分割予定ラインCL1に沿う太さWBのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるような最大の領域にワークWを分割するようにしてもよい。また、ワークWをX方向に沿って分割するようにしたが、Y方向又はX方向及びY方向の両方向に分割するようにしてもよい。ワークWを分割エリアに分割する場合には、例えば、歪がより大きい方向に分割するようにしてもよい。
図22は、本発明の第2の実施形態に係るダイシング方法を示すフローチャートである。図23は、図22における分割エリアごとのダイシング工程を示すフローチャートである。
次に、制御部100は、顕微鏡MS1を用いてワークWの画像を撮影し、ワークWの画像のパターンマッチングを行って、ワークWのパターンM1を検出する。そして、制御部100は、パターンM1の位置(分布)に基づいてワークWの形状の測定を行う(ステップS20)。
次に、制御部100は、ワークWの形状の測定結果に基づいて、ワークWのすべての分割予定ラインCL1と治具溝G1との位置合わせが可能か否かを判定する(ステップS22)。ステップS22では、分割予定ラインCL1に沿う太さWBのラインCT1がすべて対応する治具溝G1の中に収まるようなアライメントを行うことができるか否かを判定する。ステップS22において、ワークWのすべての分割予定ラインCL1と治具溝G1との位置合わせが可能と判定した場合には、制御部100は、ワークWの分割予定ラインCL1と治具溝G1とのアライメント(ステップS24)とダイシング加工(ステップS26)を行う。ステップS24及びS26は、それぞれ図13のステップS12及びS14と同様であるため、説明を省略する。
一方、ステップS22において、ワークWのすべての分割予定ラインCL1と治具溝G1との位置合わせが不可能と判定した場合には、分割エリアごとにダイシング加工を行う(ステップS28)。
なお、ステップS22では、図13のステップS12の(A)のアライメントが可能か否かを判定したが、(B)又は(C)のアライメントが可能か否かを判定するようにしてもよい。
分割エリアごとにダイシング加工を行う場合、まず、制御部100は、ステップS20における形状の測定結果に基づいて、ワークWを複数(N個)の分割エリアA1,…,ANに分割する(ステップS280)。
次に、制御部100は、i=1(ステップS282)から、分割エリアAiのアライメント(ステップS284)及びダイシング(ステップS286)を繰り返し行う(ステップS288及びS290)。そして、i=Nとなり(ステップS288)、すべての分割エリアAiのダイシング加工が完了すると、処理を終了する。
本実施形態によれば、ワークWの全体のアライメントを行うことができない場合であっても、複数の分割エリアごとにアライメントとダイシング加工とを繰り返し行うことにより、ブレード32と治具J1との干渉を防止しながら、ダイシング加工を行うことができる。
[第3の実施形態]
上記の各実施形態では、ダイシング装置1がワークWの形状の測定を行うプリアライメント部10を備えているが、本発明はこれに限定されず、プリアライメント部10はダイシング装置1とは別の外部装置であってもよい。
図24は、本発明の第3の実施形態に係るダイシング装置を示す平面図であり、図25は、本発明の第3の実施形態に係るダイシング装置の制御系を示すブロック図である。以下の説明では、上記の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図24及び図25に示すように、本実施形態に係るダイシング装置1-2は、上記の実施形態に係るダイシング装置1からプリアライメント部10を除いた構成となっている。そして、本実施形態では、プリアライメント用の外部装置70を用いてワークWの形状の測定を行う。
(外部装置)
図25に示すように、外部装置70は、プリアライメントステージST3、顕微鏡MS3、プリアライメントステージ駆動部72、MS駆動部74及び制御装置76を含んでいる。
制御装置76は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージデバイス(例えば、ハードディスク等)、入出力装置(例えば、操作入力を受け付ける操作部及び表示部等)等を含んでいる。
ワークWは、外部装置70に搬入され、プリアライメントステージST3に載置される。プリアライメントステージST3の表面には、ワークWを吸着保持するための治具J1(図7から図11参照)が設けられており、ワークWは、この治具J1によりプリアライメントステージST3に吸着保持される。
プリアライメントステージ駆動部72は、プリアライメントステージST0をθ0方向に回転させるモータと、空気を吸引してワークWをプリアライメントステージST3に吸着するための真空源(真空発生器。例えば、エジェクタ、ポンプ等)とを含んでいる。
MS駆動部74は、顕微鏡MS3をX0軸及びMS1軸に沿って移動させるための動力源(例えば、モータ)を含んでいる。顕微鏡MS3を移動させるための機構としては、例えば、ボールねじ又はラックアンドピニオン機構等の往復直線運動が可能な機構を用いることが可能である。
顕微鏡MS3は、プリアライメントステージST3に吸着保持されたワークWの表面の画像を撮影する。顕微鏡MS3によって撮影されたワークWの表面画像は、制御装置76に送信される。
なお、本実施形態では、顕微鏡MS3をX0軸及びMS3軸に沿って移動させるようにしたが、プリアライメントステージST3を移動させるようにしてもよいし、顕微鏡MS3及びプリアライメントステージST3の両方を移動させるようにしてもよい。あるいはラインスキャンカメラでワークWの全域の画像を取り込み、ワーク形状測定を行うようにしてもよい。
制御装置76は、顕微鏡MS3から受信したワークWの表面画像に対して画像処理を行って、ワークWの分割予定ラインの位置を測定する。例えば、制御装置76は、顕微鏡MS3から受信したワークWの表面画像に対してパターンマッチングを行う。そして、制御装置76は、ワークWの表面に形成された半導体装置又は電子部品等の繰り返しパターン若しくはアライメントマーク(以下、パターンM1という。)を検出することにより、ワークWの分割予定ラインの位置(例えば、交点、端点の座標)を測定する。これにより、ワークWの形状が測定される。制御装置76は、ワークWの形状の測定結果のデータを、ワークWの識別情報(例えば、ID(Identification)、製造番号等)と関連づけて保存する。
制御装置76は、ネットワーク(例えば、LAN(Local Area Network)等)を介して、ダイシング装置1-2の制御部100と通信可能となっている。制御装置76は、ワークWの形状の測定結果のデータを制御部100に送信する。ここで、制御装置76は、ワークWの形状の測定結果のデータを送信する際に、ワークWの識別情報を付して送信する。
(ダイシング装置)
次に、ダイシング装置1-2において、ワークWの形状の測定結果のデータを用いて、ワークWのダイシング加工を行う。
制御部100は、ネットワークを介して、外部装置70の制御装置76から、ワークWの形状の測定結果を取得する。
制御部100は、ダイシング加工時に、ハンドラアーム54を制御して、加工部20の加工ステージSTに加工対象のワークWをロードする。
本実施形態に係るダイシング装置1-2は、ワーク照合部60を備えている。ワーク照合部60は、加工ステージSTにロードされたワークWに付された識別情報を読み取る。なお、ワークWに付された識別情報を読み取る手段は特に限定されない。ワークWに付された識別情報を読み取る手段としては、例えば、ワークWに識別情報を含む2次元コード(例えば、QRコード(登録商標)等)を付して、この2次元コードを読み取る2次元コードリーダを用いてもよい。また、ワークWに識別情報を記録したIC(Integrated Circuit)タグを付して、このICタグを読み取るようにしてもよい。また、ワークWに付された識別情報(番号等)をOCR(Optical Character Reader)により読み取るようにしてもよい。
制御部100は、ワークWの識別情報に基づいて外部装置70から取得したワークWの形状の測定結果の中から、加工対象のワークWの形状の測定結果のデータを読み出す。そして、制御部100は、その測定結果のデータを用いて、第1及び第2の実施形態と同様に、ワークWと治具J1の治具溝G1とのアライメントを行い、加工ステージ駆動部22を制御して、加工ステージSTにワークWを吸着保持させる。
本実施形態によれば、プリアライメントとダイシング加工とを別の装置で行うことになるため、ダイシング加工とプリアライメントの時間差異(加工部20又は外部装置70が遊んでいる時間)を気にすることなく処理することができ、CoO(Cost of Ownership)を最大化することができる。
なお、本実施形態では、ダイシング装置1-2の制御部100と、外部装置70の制御装置76とをネットワークを介して通信可能としたが、本発明はこれに限定されない。ダイシング装置1-2の制御部100と、外部装置70の制御装置76とは、例えば、ケーブル(例えば、USB(Universal Serial Bus)等)により直接接続されていてもよいし、クラウドストレージ又はリムーバブルメディアを介して測定結果のデータのやりとりを行ってもよい。
本実施形態において、上記の分割予定ラインの位置の算出(図14から図20参照)を行う場合には、外部装置70において、分割予定ラインCL1ごとに少なくとも2つのパターンP1を検出した検出結果を、ダイシング装置1-2の制御部100に送信し、制御部100において、図18の演算を行うようにすればよい。