以下、本発明の実施の形態(以下、実施形態と呼ぶ)について、図1〜図3を参照して具体的に説明する。なお、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各構成部の位置及び大きさ等は、構造を分かり易くするための便宜的な表現に過ぎず現実のものとは異なる場合がある。説明中における上下の方向を示す用語は、特に明記が無い場合には後述する支持基板における電子部品の実装される面を上とした場合の相対的な方向を示し、左右の方向を示す用語は、特に明記が無い場合には図1の平面図を基準とした方向を示す。また、図1を基準として、左右方向をX方向、前後方向をY方向、上下方向をZ方向とする。
図1は、実施形態の電子部品の実装装置の構成を示す平面図、図2は図1に示す実装装置を左方向から見た側面図である。ただし、図1において左側に図示されている移載部と実装部の図示を省略している。図3は実施形態の実装装置のブロック図である。
実装装置1は、電子部品としての半導体チップtを供給する部品供給部10、支持基板Wが載置されるステージ21を備えるステージ部20、部品供給部10から半導体チップtを取り出す移載部30、移載部が取り出した半導体チップtを受け取ってステージ21に載置された支持基板Wに実装する実装部40、各部10、20、30、40の動作を制御する制御部50(図3)を備える。
部品供給部10は、実装装置1の手前側中央に配置される。部品供給部10は、支持基板Wに実装する電子部品としての半導体チップtを供給する。半導体チップtは、例えば、RAM、フラッシュメモリ、IC、MPU等である。部品供給部10は、半導体チップt毎に個片化された半導体ウエーハTが貼着された樹脂シートSを保持するウエーハリング11と、ウエーハリング11を着脱自在に保持し、不図示のXY移動機構によりXY方向に移動可能なウエーハリングホルダ12と、ウエーハリング11上に貼着された半導体チップtを撮像する第1のカメラ13(図2)と、移載部30によって半導体チップtを取り出すときに、取り出される半導体チップtをウエーハリング11の下側から突き上げる突き上げ機構(不図示)とを備えている。
不図示の突き上げ機構は、移載部30による半導体チップtの取り出しポジションに固定的に配置される。ウエーハリング11上の各半導体チップtは、ウエーハリングホルダ12の移動によって取り出しポジションに順次位置付けられるようになっている。第1のカメラ13は、取り出しポジションの真上に配置されており、取り出しポジションに位置付けられた半導体チップtを撮像する。
部品供給部10は、さらに不図示のウエーハリング交換装置を備えている。交換装置は、ウエーハリングホルダ12の前側に設けられる収納部(ウエーハリング11を収容する溝部を上下方向に複数備えたもので、マガジンとも言う。)と、ウエーハリングホルダ12と収納部との間で搬送されるウエーハリング搬送部とを備えている。交換装置は、ウエーハリングホルダ12上に未使用のウエーハリング11を供給する。また、半導体チップtの取り出しが完了したウエーハリング11を収納部に収納するとともに、新たなウエーハリング11をウエーハリングホルダ12に供給する。
ステージ部20は、複数の実装領域を有する支持基板Wが載置されるステージ21と、ステージ21をXY方向に移動させるXY移動機構22(図3)とを備える。XY移動機構22は、ステージ21上に載置された支持基板Wの各実装領域E(図4参照)が後述する一定の実装ポジションに位置付けられるように、ステージ21を移動させる。ステージ21は、不図示の吸引吸着機構によって、載置された支持基板Wを吸着保持可能に構成される。ステージ21の上方には、支持基板Wを撮像するための第2のカメラ23が配置される。第2のカメラ23は、例えば、支持基板Wに設けられた位置検出用のグローバルマークを撮像し、支持基板Wの全体位置を認識するためのものである。支持基板Wの全体位置は、支持基板Wの外形を第2のカメラ23で撮像して認識するようにしても良い。
ステージ21に載置される支持基板Wは、例えばFO−WLPの製造に適用される疑似ウエーハの形成に用いられる基板であって、シリコン基板、ガラス基板、ステンレス等の金属基板等が用いられる。疑似ウエーハとは、個片化された複数の半導体チップt等の電子部品を平面的に配置したものを、電子部品間を樹脂封止することで1枚の板状に形成した状態のものである。したがって、疑似ウエーハの形成に用いる支持基板Wの形状は、円形に限られるものではなく、四角形やそれ以外の多角形、楕円形等であっても良く、その形状は限定されるものではない。
支持基板Wは、図4に示すように、半導体チップt等の電子部品が実装される複数の実装領域Eを有している。ただし、複数の実装領域Eは支持基板W上に仮想的に設定されているものであり、各実装領域Eを示すマークやパターン等は実際には形成されていない。支持基板Wは、基板の全体位置を認識するためのグローバルマークを備えていても良いが、個々の実装領域Eの位置を示すアライメントマークは備えていない。
移載部30は、左右で一対の移載部30A、30Bを備えており、これらの移載部30A、30Bは同一構成を成し、部品供給部10を挟んで左右反転した状態で配置される。以下、左側の移載部30Aのみ構成を説明し、右側の移載部30Bの構成の説明は省略する。
移載部30Aは、半導体チップtを吸着保持する吸着ノズル(移載ノズル)31(図2)と、吸着ノズル31を反転機構32を介して支持するX方向に長尺なアーム体33と、アーム体33をX方向に移動可能に支持するX方向移動装置34と、X方向移動装置34を上下動可能に支持する昇降装置35と、昇降装置35をY方向に移動可能に支持するY方向移動装置36と、を備える。昇降機構35は回転モータ37を備え、不図示のボールねじ機構を介してX方向移動装置34、さらに言えば、アーム体33およびそれに支持された吸着ノズル31を上下に移動させる。
反転機構32は、アーム体33の先端部であって装置手前側に固定され、Y方向に沿って装置後方側に延びる回転軸38aがアーム体33を貫通して設けられた回転駆動部38と、回転駆動部38の回転軸38aに連結された反転アーム39と、を備える。反転アーム39は、その先端部が右方向を向く水平状態と、左方向を向く水平状態との間で、上側に円弧を描く軌跡で180°反転する。吸着ノズル31は、反転アーム39が右方向を向く水平状態で、半導体チップtを真空吸着する吸着面が下を向くように反転アーム39に取り付けられる。右側の移載部30Bも、配置が左右反転している以外は同一構成を有する。
左右の移載部30A、30Bは、それぞれの吸着ノズル31を取り出しポジションに同時に位置させると、吸着ノズル31同士(反転アーム39同士)が干渉する。そこで、吸着ノズル31は、交互に取り出しポジションに移動するように制御される。
実装部40は、移載部30と同様に、同一構成の一対の実装部40A、40Bを、ステージ部20を挟んで左右反転した状態で配置したものである。実装部40の構成についても、右側の実装部40Bの構成の説明は省略する。
実装部40Aは、側面視(図2の方向から見た状態)で門型をなす支持フレーム41と、支持フレーム41上にX方向に沿って移動可能に支持されたX方向移動ブロック42と、X方向移動ブロック42の右側の側面に設けられたY方向移動装置43と、Y方向移動装置43にY方向に移動可能に設けられた可動体44と、可動体44に上下方向に移動可能に設けられた実装ヘッド45と、を備える。実装ヘッド45の下端には、下面に半導体チップtの保持面を備えた実装ツール46(図2)が設けられる。
X方向移動ブロック42は、X方向ガイド部材42aを介して支持フレーム41上に取り付けられており、モータにより駆動されるボールねじ機構(不図示)によってX方向に移動可能とされている。Y方向移動装置43は、可動体44をY方向に移動自在に支持するY方向ガイド部材43aと、モータにより駆動されるボールねじ機構(不図示)とを備え、可動体44をY方向に移動可能としている。実装部40Aは、実装ヘッド45を上下方向(Z方向)に移動させる移動装置(不図示)を備える。また、実装ヘッド45は、不図示の回転方向(θ方向)の補正機構を備える。右側の実装部40Bも、各部の配置が左右反転している以外は同じ構成を有する。
さらに、実装部40は、一対の実装部40A、40Bで共有する中間ステージ47を備える。中間ステージ47は、部品供給部10とステージ部20との間に配置され、移載部30によって部品供給部10から取り出された半導体チップtを一時的に載置するステージである。中間ステージ47の直上には、半導体チップtの位置認識に用いる第3のカメラ48(図2)が配置される。中間ステージ47は、部品供給部10から取り出された半導体チップtをそのままの姿勢で実装する場合、言い換えれば、表裏反転させずに支持基板Wに実装する場合に用いられる。部品供給部10には、通常フェイス面を上にした状態で半導体チップtが配置されているので、この場合、フェイスアップ方式の実装となる。これに対し、半導体チップtを表裏反転させるフェイスダウン方式の実装では、中間ステージ47は用いない。移載部30A、30Bの反転機構32を用いて半導体チップtを表裏反転させた後、実装部40A、40Bの実装ツール46に直接受渡しを行う。なお、後述する本実施形態の作動の説明は、フェイスアップ方式の例で行う。
フェイスアップ方式にしてもフェイスダウン方式にしても、実装部40A、40Bは、受け取った半導体チップtをステージ21上に載置された支持基板W上に実装する。このとき、実装ツール46がステージ21上の支持基板Wに半導体チップtを実装する位置である実装ポジションは、左右の実装部40A、40Bで共通の定位置に設定される。このため、ステージ21は、支持基板W上の各実装領域Eを順次実装ポジションに位置付けるように移動制御される。本実施形態では、定位置(実装ポジション)は、ステージ21の移動可能範囲の中央に設定される。実装ポジションは、左右の実装部40A、40Bで共通であるから、左右の実装部40A、40Bは実装ポジションに対して交互に半導体チップtの実装を行うこととなる。前述した第2のカメラ23は、実装ポジションの真上に配置される。
実装装置1は、図3に示すように、制御部50を備える。制御部50は、記憶部51に記憶された情報に基づいて、部品供給部10、ステージ部20(XY移動機構22)、移載部30A、30B、実装部40A、40Bの動作を制御し、半導体チップtを含む電子部品を支持基板Wの各実装領域Eに順次実装する。
ここで、フェイスダウン方式での実装時に、左右の実装部40A、40Bの実装ツール46が移載部30A、30Bの吸着ノズル31から半導体チップtを受け取った後、実装ポジションまで移動する移動経路の下方にはそれぞれ、実装ツール46に吸着保持された半導体チップtを下側から撮像する不図示のカメラ(第4のカメラ)が配置される。第4のカメラは、実装ツール47の移動経路よりも下側で、ウエーハリングホルダ12よりも上側の高さ位置に配置される。
次に、実施形態の実装装置1を用いた半導体チップt等の電子部品の実装工程について説明する。なお、各実装領域Eに2品種の半導体チップt、すなわち、第1の半導体チップtaと第2の半導体チップtbを1つずつ実装するものとする。第1の半導体チップtaと第2の半導体チップtbは、区別しない場合には単に半導体チップtと称する。
実装装置1は、半導体チップtの実装に先立ち、ウエーハリング11の供給と支持基板Wの供給が行われる。すなわち、部品供給部10のウエーハリングホルダ12に未使用のウエーハリング11が不図示の搬送手段によって搬入され、ウエーハリングホルダ12にウエーハリング11がセットされる。ウエーハリング11には1品種目の第1の半導体チップtaが貼付されている。また、支持基板Wを搬送する不図示の搬送手段によって支持基板Wがステージ21上に載置され、ステージ21上に支持基板Wが保持される。この実施形態では、支持基板Wは、支持基板Wの全体位置を認識するための複数のアライメントマーク(グローバルマーク)がその外縁部に形成されているのみのパターンのないウエーハである。ただし、支持基板Wは、ウエーハに限られるものではなく、ステンレスやガラス等の板状の部材でも良く、その形状も円形に限らす、矩形状などの多角形であっても良い。
ステージ21に支持基板Wが保持されると、カメラ23によって支持基板Wのクローバルマークが撮像される。このとき、カメラ23は固定配置されているので、各グローバルマークがカメラ23の撮像視野内に位置付けられるように、ステージ21が移動される。カメラ23によって撮像されたグローバルマークの画像に基づいて、制御部50は公知のパターンマッチング手法など画像認識技術を用いて各グローバルマークの位置を認識し、ステージ21上での支持基板Wの位置を求める。そして、求めた位置に基づいて、支持基板W上の実装領域Eのうち、半導体チップtが最初に実装される実装領域Eを実装ポジションに位置付ける。例えば、図4において、最上列の左端に位置する実装領域Eを、最初に半導体チップtを実装する実装領域E0とする。そして、この後は、同列の右側に位置する実装領域Eを順次実装ポジションに位置付けるように移動し、列の端に到達したら、一列下の列の右端の実装領域Eを実装ポジションに位置付ける。その後、今度は同列の左側に位置する実装領域Eを順次実装ポジションEに位置付けるように移動する。このような、折り返しの軌跡で個々の実装領域Eを順次実装ポジションに位置付ける。
一方、部品供給部10では、ウエーハステージ12にセットされたウエーハリング11において最初の取り出しの対象となる半導体チップtが取り出しポジションに位置付けられる。半導体チップtの場合も、ウエーハリング11上で行列状に配置された半導体チップtを、最上列の左端から順に折り返しの軌跡で順次取り出しポジションに位置付ける。
半導体チップtが取り出しポジションに位置付けられると、カメラ13によって当該半導体チップtの撮像が行われ、制御部50はカメラ13によって撮像された半導体チップtの画像に基づいて公知の画像認識技術を用いて半導体チップtの位置を認識する。この位置認識の結果、半導体チップtの位置が取り出しポジションに対して位置ずれしていた場合には、ウエーハリングホルダ12の移動によりその位置ずれを補正する。
取り出しポジションに対する半導体チップtの位置決めが完了したら、一方、例えば、左側の移載部30Aの吸着ノズル31を取り出しポジションの直上に移動させ、半導体チップtの取り出しを行う。このとき、吸着ノズル31による半導体チップtの取り出しに合わせて不図示の突き上げ機構を作動させ、樹脂シートSからの半導体チップtの剥離を補助する。
吸着ノズル31が半導体チップtを取り出したら、吸着ノズル31を中間ステージ47に移動させ、取り出した半導体チップtを中間ステージ47上に載置する。中間ステージ47に半導体チップtが載置されると、第3のカメラ48によって半導体チップtが撮像される。制御部50は第3のカメラ48の撮像画像に基づいて公知の画像認識技術を用いて半導体チップtの位置を認識する。なお、中間ステージ47に半導体チップtを載置し終えた吸着ノズル31は、次の取り出しに備えて待機状態となる。
次いで、中間ステージ47上に、左側の実装部40Aの実装ツール46を移動させ、中間ステージ47上の半導体チップtを受け取る。このとき、実装ツール46は、制御部50によって認識された半導体チップtの位置情報に基づいて、実装ツール46に対して正しい位置関係で、より具体的には、実装ツール46の中央に回転ずれなく位置する位置関係で、半導体チップtが保持されるように、X、Y、θ方向の位置が調整される。
実装ツール46が半導体チップtを受け取ったならば、実装ツール46は実装ポジションに向けて移動され、支持基板Wの実装領域Eに半導体チップtを実装する。このとき、実装領域Eは支持基板Wの認識位置に基づいて実装ポジション位置付けられており、実装ツール46には第3のカメラ48を用いて認識した半導体チップtの位置情報に基づいて正しい位置関係で半導体チップtが保持されている。そのため、実装ツール46を実装ポジションに対する予め設定された移動位置に移動させることで、実装領域Eに対して半導体チップtを所望の精度で実装することができる。
なお、右側の移載部30Bは、この左側の実装部40Aによる半導体チップtの実装と並行的に、部品供給部10から次の半導体チップtを取り出し、取り出した半導体チップtを中間ステージ47に載置する。また、右側の実装部40Bは、中間ステージ47に載置された半導体チップtの受取りを行う。
半導体チップtの実装を終えると、左側の実装部40Aの実装ツール46は、中間ステージ47に向けて移動し、移載部30Aによって中間ステージ47に半導体チップtが載置されるまで待機する。一方、右側の実装部40Bの実装ツール46は、実装ポジションに向けて移動する。また、ステージ21は、左側(一方)の実装部40Aの実装ツール46が実装ポジションを離れてから右側(他方)の実装部40Bの実装ツール46が実装ポジションに位置付けられるまでの間に、次に半導体チップtが実装される実装領域Eを実装ポジションに位置付けるように移動される。
このような動作を左側の移載部30Aおよび実装部40Aと右側の移載部30Bおよび実装部40Bとで交互に繰り返しながら、支持基板Wのすべての実装領域Eに半導体チップtを実装していく。図4に、すべての実装領域Eに第1の半導体チップtaの実装が完了した支持基板Wの平面図と示す。
このようにして、第1の半導体チップtaの実装が完了したならば、次に、2品種目としての第2の半導体チップtbの実装が上述と同様の動作によって行われる。第2の半導体チップtbの実装時は、部品供給部10には第2の半導体チップtbが貼付されたウエーハリング11が供給され、ステージ21には第1の半導体チップtaが実装済みの支持基板Wが順次供給されることとなる。図5は、すべての実装領域Eに第1、第2の半導体チップta、tbの実装が完了した支持基板Wを示す平面図である。なお、2品種目への切り替えは、一般的には半導体チップtのロット単位で行われるが、例えば、ウエーハリング11の単位で行うようにしても良い。
ここで、本発明の実施形態においては、第2の半導体チップtbの実装を開始する際の、支持基板Wの位置認識方法(グローバル認識の方法)が第1の半導体チップtaを実装する際とは相違する。以下に第2の半導体チップtbを実装する際の支持基板Wの位置認識動作について詳細に説明する。
第2の半導体チップtbを実装するときには、支持基板Wの位置認識にグローバルマークを用いずに、支持基板Wに実装された第1の半導体チップtaを用いる。すなわち、図6に示すように、支持基板Wに実装された第1の半導体チップtaのうち、予め設定された場所に位置する8個の半導体チップta1〜ta8の位置に基づいて、支持基板Wの全体位置を認識する。8個の半導体チップta1〜ta8の位置は、円形の支持基板Wと中心を共通にして設定された円(同心円)Cに内接する、正方形を含む長方形Dの軌跡に基づいて設定される。より具体的には、長方形Dの4つの頂点に位置する、或いは、4つの頂点に近接して位置する4つの実装領域E1〜E4、および、長方形Dの4つの辺の中点に位置する、或いは、各中点に近接して位置する4つの実装領域E5〜E8に実装された半導体チップta1〜ta8とする。
ここで、8個の半導体チップta1〜ta8同士は、互いの距離が離れていた方が好ましい。そこで、同心円Cは実装領域Eが配置される領域に対してできるだけ大きく設定すると良い。例えば、同心円Cの直径は、支持基板Wの直径の1/2以上、つまり、半径以上に設定すると良く、より好ましくは、最外周に配置される複数の実装領域E上を通るように設定すると良い。また、長方形Dの各辺の長さも、なるべく離間していた方が好ましい。例えば、支持基板Wの半径以上離間させると良い。また、8個の半導体チップta1〜ta8は、半導体チップta1と半導体チップta2の中心同士を結ぶ線分M1(図7)、半導体チップta4と半導体チップta3の中心同士を結ぶ線分M2(図7)、半導体チップta8と半導体チップta6の中心同士を結ぶ線分M3(図7)が、同一方向および同一長さとなる位置関係であることが好ましい。本実施形態では、同心円Cを、支持基板W上で最外周に位置する実装領域E上を通る大きさに設定し、長方形Dを、頂点が支持基板W上で最外周に位置する実装領域E上に位置するように設定した。これにより、同心円Cの直径、長方形Dの各辺ともに支持基板Wの半径以上の長さとなっている。
支持基板Wの全体位置を認識する際には、まず、第2のカメラ23を用いて、これら8個の半導体チップta1〜ta8を順次撮像する。支持基板W上における実装領域E1〜E8の位置情報は設計データ等から既知である。そこで、これらの位置情報に基づいて、制御部50は、各半導体チップta1〜ta8をカメラ23の撮像視野内に順次位置付けるようにXY移動機構22を制御する。制御部50は、第2のカメラ23の各撮像画像に基づいて、各半導体チップta1〜ta8の位置を認識する。各半導体チップta1〜ta8の位置は、半導体チップt上に設けられた電極等のパターンの位置を公知の画像認識技術を用いて認識することで求めることができる。
8個の半導体チップta1〜ta8の位置が認識できたならば、これらの半導体チップta1〜ta8の位置情報に基づいて、支持基板Wの全体位置、言い換えれば、実装領域Eの配置位置を把握し、第1の半導体チップtaの実装時と同様の動作にて第2の半導体チップtbを各実装領域Eに順次実装する。
ここで、支持基板Wの全体位置は、記憶部51に予め記憶された基準位置情報と、取得した各半導体チップta1〜ta8の位置情報とを比較し、そのずれに基づいて求めることができる。基準位置情報とは、8個の半導体チップta1〜ta8が実装領域Eに正しい位置関係で実装された支持基板Wがステージ21上に正しい位置関係で載置されたときの各半導体チップta1〜ta8の位置情報である。
XY方向の位置ずれは、半導体チップta1の基準位置情報と取得した位置情報との差、半導体チップta2の基準位置情報と取得した位置情報との差というように、各半導体チップta1〜ta8について基準位置情報と取得した位置情報との差を求め、これらの平均値をとることで求めることができる。また、回転(θ)方向の位置ずれは、図7(A)に示すように、基準位置情報から求めた半導体チップta1と半導体チップta2とを結ぶ線分M1と、図7(B)に示すように、取得した位置情報から求めた半導体チップta1と半導体チップta2とを結ぶ線分M1’との角度差、同様に半導体チップta4と半導体チップta3とを結ぶ線分M2と線分M2’との角度差、および、半導体チップta8と半導体チップta6とを結ぶ線分M3と線分M3’との角度差を求め、これらの平均値をとることで求めることができる。
このようにして、第1の半導体チップtaが実装された支持基板Wの全体位置が認識できたならば、第1の半導体チップtaと同様にして第2の半導体チップtbの実装を行う。
なお、8個の半導体チップta1〜ta8の中には、何らかの原因で突発的に大きく位置ずれしたものが含まれていたり、アライメントマーク等の位置認識に用いるパターンに欠損や汚れ等の不具合が生じているものが含まれていたりする可能性も考えられる。突発的に位置ずれした半導体チップtの認識位置は本来あるべき位置から大きくずれたものとなる。また、パターンに不具合を生じた半導体チップtは、正しく位置認識ができないことがあり、この場合、その認識位置は本来あるべき位置から大きくずれたものとなる。いずれにしても、認識位置に大きな位置ずれを含むものとなる。そのため、このような半導体チップtが8個の半導体チップta1〜ta8の中に存在すると、支持基板Wの全体位置の認識結果が位置ずれの大きな半導体チップtの影響を受けることになるから、正確な全体位置を認識できなくなるおそれがある。
そこで、このような半導体チップtの存在を考慮して、認識した8個の半導体チップta1〜ta8の位置情報の適否を評価する評価処理を行うようにしても良い。この評価処理は、図8に示すように、取得した8個の半導体チップta1〜ta8の位置情報から上述した3つの線分M1’、M2’、M3’の長さと角度、および、半導体チップta1と半導体チップta4の中心同士を結ぶ線分M4’、半導体チップta2と半導体チップta3の中心同士を結ぶ線分M5’、半導体チップta5と半導体チップta7の中心同士を結ぶ線分M6’の長さと角度とをそれぞれ比較することで行うことができる。
すなわち、3つの線分M1’、M2’、M3’に関して、線分M1’と線分M2’、線分M1’と線分M3’、線分M2’と線分M3’の組み合わせそれぞれについて、長さと角度が記憶部51に予め設定された許容範囲内で一致するか否かを判定する。また、3つの線分M4’、M5’、M6’に関しても同様の判定を行う。
8個の半導体チップta1〜ta8の中に突発的な位置ずれ等が生じた半導体チップtが存在していなければ、線分M1’、M2’、M3’のどれを組み合わせても、長さと角度は許容範囲内で一致し、線分M4’、M5’、M6’のどれを組み合わせても、長さと角度は許容範囲内で一致する。
比較の結果、線分M1’、M2’、M3’のどれを組み合わせても許容範囲を超えた組み合わせしか存在しない場合、或いは、線分M4’、M5’、M6’のどれを組み合わせても許容範囲を超えた組み合わせしか存在しない場合には、支持基板Wの全体位置の認識が不可能であるとして、制御部50はエラーを出力する。例えば、制御部50は、不図示の表示部等にエラーの旨を表示する。
比較の結果、線分M1’、M2’、M3’のうち一組以上の組み合わせにおいて許容値内での一致が存在し、かつ、線分M4’、M5’、M6’のうち一組以上の組み合わせにおいて許容値内での一致が存在した場合、支持基板Wの全体位置認識が可能と判定し、制御部50は支持基板Wの全体位置を算出する。
なお、支持基板Wの全体位置を算出する際には、許容値を超えて長さと角度が相違する線分に対応する半導体チップtの位置情報は排除する。例えば、図8に示すように、線分M1’、M2’、M3’に関してはどれを組み合わせても長さと角度が許容範囲内であったとする。一方、線分M4’、M5’、M6’に関しては、線分M4’と線分M5’の組み合わせでは許容範囲内であったが、線分M4’と線分M6’の組み合わせと線分5’と線分6’の組み合わせでは許容範囲外であったとする。この場合、線分M6’に対応する半導体チップta5、ta7に突発的な位置ずれ等が生じている可能性がある。そこで、半導体チップta5、ta7の位置情報を排除し、残りの6個の半導体チップta1〜ta4、ta6、ta8の位置情報に基づいて、支持基板Wの全体位置を算出する。
なお、3つの線分M1’、M2’、M3’の長さと角度および3つの線分M4’、M5’、M6’の長さと角度をそれぞれ比較することに加えて、3つの線分M1’、M2’、M3’の角度の平均値と3つの線分M4’、M5’、M6’の角度の平均値との比較を行うようにしても良い。より具体的には、3つの線分M1’、M2’、M3’の角度の平均値と3つの線分M4’、M5’、M6’の角度の平均値との差が、90°に対して記憶部51に予め設定された許容範囲内で一致するか否かを判定する。許容範囲を超えていた場合には、線分M1’、M2’、M3’同士の長さと角度および線分M4’、M5’、M6’同士の長さと角度が一致していたとしても、エラーと判定する。このようにすることで、図9に示すような、8個の半導体チップta1〜ta8が平行四辺形(長方形を含まない)の配置となっている状態を排除することができる。
このようにすることで、第2の半導体チップtbの実装をより精度よく行うことができる。
ここで、上述した評価処理で用いた線分M1’、M2’、M3’および線分M4’、M5’、M6’は、支持基板Wの全体位置の認識に用いる線分と同じ線分としているが、この線分M1’、M2’、M3’および線分M4’、M5’、M6’を構成する2つの半導体チップtから成る組は次のようにして選択することができる。
選択にあたっては、X方向に沿う線分とY方向に沿う線分がそれぞれ2本以上構成されるように、2つの半導体チップtaから成る組を2組以上選択する。本実施形態では、X方向に沿う線分を構成する半導体チップtaの組として、長方形Dの上側の2頂点に位置する半導体チップta1と半導体チップta2の組、長方形Dの下側の2頂点に位置する半導体チップta4と半導体チップta3の組、長方形Dの垂直な2辺の中点に位置する半導体チップta8と半導体チップta6の組の3組を選択した。また、Y方向に沿う線分を構成する半導体チップtaの組として、長方形Dの左側の2頂点に位置する半導体チップta1と半導体チップta4の組、長方形Dの右側の2頂点に位置する半導体チップta2と半導体チップta3の組、長方形Dの水平な2辺の中点に位置する半導体チップta5と半導体チップta7の組の3組を選択した。選択された半導体チップta1〜ta8の組み合わせは記憶部51に記憶される。
上述した8個の半導体チップta1〜ta8の設定、および、半導体チップta1〜ta8の組み合わせの選択は、作業者が行っても良いし、制御部50が演算等により行っても良い。制御部50に行わせる場合、支持基板Wの形状および寸法等の情報、支持基板W上における実装領域Eの配置情報等は設計データにより既知であるから、同心円Cの設定条件、この同心円Cに内接する長方形Dの設定条件を規定したプログラムを制御部50に設定すれば良い。
このように、本実施形態の実装装置1によれば、第1の半導体チップtaが実装済みでステージ21に再びセットされた支持基板Wに対して第2の半導体チップtbを実装する際に、支持基板Wの各実装領域Eに既に実装されている第1の半導体チップtaのうち、予め設定された8箇所の実装領域E1〜E8に実装された半導体チップta1〜ta8の位置情報に基づいて、支持基板Wの全体位置を認識するようにした。
このようにすることで、支持基板Wの複数の実装領域Eに第1の半導体チップtaが実装された支持基板Wに対して、第2の半導体チップtbを、支持基板Wの全体位置を基準として実装する場合においても、各実装領域Eに第1の半導体チップtaと所望の位置関係で精度よく実装すること可能となる。
すなわち、各実装領域Eに第1の半導体チップtaが実装された支持基板Wは、ステージ21上から一旦搬出され、第2の半導体チップtbを実装するときに再びステージ21に供給載置される。ステージ21への支持基板Wの供給は、搬送ロボット等の搬送手段によって行われる。この際、搬送手段の機械的精度等に起因して、ステージ21に対する支持基板Wの載置位置誤差が生じる。これにより、第2の半導体チップtbを実装するときは、第1の半導体チップtaを実装したときに対して、ステージ21に対する支持基板Wの載置位置にずれが生じる。したがって、第2の半導体チップtbを実装する際、支持基板Wの位置を改めて認識する。
支持基板Wのグローバルマーク等のマークの位置を画像認識する場合、少なからず認識誤差が生じる。これは、第1の半導体チップtaを実装するときも同様に生じている。両者の認識誤差が同じ方向に同じ量だけ生じるのならば問題は無いが、認識誤差は通常ランダムに生じる。そこで、例えば、第1の半導体チップtaの実装時にはX方向の−(マイナス)側に1μmの認識誤差が生じ、第2の半導体チップtbの実装時にはX方向の+(プラス)側に1μmの認識誤差が生じたとする。そうすると、第1の半導体チップtaの実装時に対して支持基板Wの全体位置の認識結果に、2μmのずれが生じることになる。このような認識結果に基づいて第2の半導体チップtbを実装した場合、半導体チップtの実装誤差を考慮すると、各実装領域Eにおいて第1の半導体チップtaと第2の半導体チップtbとの相対的な位置関係に3μm以上のずれが生じることが考えられる。半導体チップtの実装工程の後に再配線層を形成する再配線工程が行われるFO−WLPではこの位置ずれは歩留まりに大きな影響を及ぼすおそれがある。
これに対して、本実施形態は、第2の半導体チップtbを実装する際に、支持基板Wに既に実装されている第1の半導体チップtaの位置に基づいて支持基板Wの全体位置を認識する。そのため、第1の半導体チップtaの位置認識時に認識誤差が生じたとしても、その認識誤差は、支持基板Wに実装された複数の第1の半導体チップtaの配置位置に対するものであって、支持基板W自体に対するもの、つまり、支持基板Wのグローバルマークに対するものではない。したがって、第1の半導体チップtaの実装時における支持基板Wの全体位置の認識誤差が第2の半導体チップtbの実装時における支持基板Wの全体位置の認識誤差に上乗せされることが防止でき、その結果、支持基板Wの全体位置の認識誤差が拡大されることが防止できる。よって、第2の半導体チップtbを、支持基板Wの各実装領域Eに対し、各実装領域Eに実装されている第1の半導体チップtaに対して正しい位置関係で精度良く実装することが可能となる。しかも、第2の半導体チップtbをクローバル認識方式で実装することができるので、第1半導体チップtaの実装時と同様の実装効率を維持できる。これにより、製造される半導体パッケージの品質および歩留まり向上と、生産性向上の両立を図ることができる。
また、予め選択された8個の半導体チップta1〜ta8の位置情報に基づいて支持基板Wの全体位置を認識するにあたり、認識した8個の半導体チップta1〜ta8の位置情報の適否を評価するようにした。より具体的には、8個の半導体チップta1〜ta8の中からX方向、Y方向それぞれについて同一座標上に位置する2つの半導体チップtの組を複数選択する。そして、予め選択された組の半導体チップt同士を結ぶ線分(M1’、M2’、M3’およびM4’、M5’、M6’)の長さと角度を求め、線分(M1’、M2’、M3’およびM4’、M5’、M6’)同士の長さと角度が許容範囲内で一致するか否かによって、各半導体チップta1〜ta8の認識位置の適否を判定する。すなわち、許容範囲内であれば「適」、許容範囲外であれば「不適」と判定する。そして、「不適」と判定した半導体チップtの認識位置は、支持基板Wの全体位置を認識する位置情報から排除する。
このようにすることによって、選択された8個の半導体チップta1〜ta8の中に、突発的な位置ずれを生じた半導体チップtや、アライメントマーク等の位置認識に用いるマークの欠損や汚れにより正しく位置認識ができない半導体チップt等の、支持基板Wの全体位置を認識するには不適切な半導体チップtが存在していた場合でも、このような半導体チップtの影響を受けることなく、支持基板Wの全体位置、言い換えれば、支持基板W上における第1の半導体チップtaの配置状態を精度よく認識することが可能となる。これによっても、第2の半導体チップtbを、支持基板Wの各実装領域Eに、各実装領域Eに実装済みの第1の半導体チップtaに対して正しい位置関係で精度よく実装することができる。
また、支持基板Wの全体位置の認識に用いる半導体チップtとして、正方形を含む長方形Dの軌跡上の各頂点、および各辺の中点に位置する合計8個の半導体チップta1〜ta8を選択した。このようにすることで、X方向およびY方向のそれぞれについて、3本ずつ線分(線分M1’、M2’、M3’および線分M4’、M5’、M6’)を設定することができる。これにより、X方向、Y方向いずれにおいても、2組以上で線分同士の長さと角度を比較することができるので、1組が許容範囲外であったとしても直ちにエラーとするのではなく、他の組の中に許容範囲内のものがあれば、エラーとすることなく支持基板Wの全体位置の認識を継続することができる。したがって、エラーによる実装装置1の停止頻度を低減させることができ、生産性を向上させることが可能となる。
また、8個の半導体チップta1〜ta8を選択する際に、支持基板Wに対して仮想的に設定する同心円Cの直径、および、この同心円Cに内接する長方形の各辺の長さをいずれも支持基板Wの半径の以上の長さに設定した。このようにすることにより、各線分M1’〜M6’の長さを極力長くとることができる。このため、各線分M1’〜M6’の角度の分解能および角度の認識精度を高めることが可能となり、支持基板Wの全体位置の認識精度が向上し、第2の半導体チップtbの実装精度を向上させることが可能となる。
また、本実施形態の実装装置1によれば、支持基板Wに半導体チップtを実装するにあたり、一定の実装ポジションを設定し、この実装ポジションに、支持基板Wの各実装領域Eを位置付けるようにステージ21を移動させるとともに、実装部40A、40Bの実装ツール46を移動させることで、一定の実装ポジションで各実装領域Eに半導体チップtを実装するようにした。このようにすることで、支持基板Wの位置を定位置に固定とし、各実装領域Eに実装ツール46を移動させて半導体チップtを実装させる場合に比べて、容易に実装精度を向上させることができる。
すなわち、実装部40A、40Bの実装ツール46等の移動は、Y軸移動装置43を含むX、Y、Z方向の移動装置の機械的加工精度等に起因する移動誤差を含む。そして、この移動誤差は、移動位置毎に大きさや方向が不規則に異なる。したがって、実装ツール46のすべての移動位置において移動誤差を補正することは、莫大な時間を要するため、対応が困難である。
一方、実装ツール46等の移動は、一定の位置に対する移動に関しては、再現性が非常に高い。そこで、本実施形態では、実装ポジションを一定位置に設定することで、支持基板Wの実装領域Eに対する半導体チップtの実装精度を向上させている。
しかも、本実施形態の実装装置1では、左右の実装部40A、40Bの実装ツール46による実装ポジションも同じ位置とした。これにより、2つの実装ツール46を用いて同一の支持基板Wに半導体チップtを実装する場合においても、実装精度を確保しつつ、実装効率の向上を達成している。
なお、上述の本実施形態は例示であり、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、電子部品として半導体チップtを例に説明したが、これに限られるものではなく、ダイオードやコンデンサ等の電子部品であっても良い。また、MCPの構成例としても、半導体チップt同士に限らず、半導体チップtとダイオードやコンデンサ等の組み合わせであっても良い。
また、MCPの構成は、一つの実装領域Eに2品種の電子部品を実装するものに限らす、3品種以上の電子部品を実装するようにしてもよい。この場合、一つの実装領域Eに実装する複数の電子部品は、すべて異なる品種の電子部品の組み合わせであっても、同じ品種の電子部品を含む組み合わせであっても良い。また、3品種以上の電子部品を実装する場合、3品種目以降を実装する際の支持基板Wの全体位置の認識は、1品種目(第1)の電子部品の位置に基づいて行っても良いし、2品種目以降の電子部品の位置に基づいて行っても良い。ただし、2品種目以降の電子部品の実装は、同じ電子部品の位置を基準として行った方が相対的な位置精度が良くなると考えられるので、1品種目の電子部品の位置に基づいて支持基板Wの全体位置を認識することが好ましい。
また、支持基板Wが円形の例で説明したが、他の形状、例えば、長方形の支持基板Wであってもよい。支持基板Wが長方形の場合には、実装領域Eの配置も長方形の配置になると考えられる。そこで、支持基板Wの全体位置の認識に用いる8個の半導体チップta1〜ta8は、長方形の配置の頂点に対応して位置する4つの実装領域Eと各頂点間の中点に対応して位置する4つの実装領域Eに実装された第1の半導体チップtaを選択すれは良い。
また、第1の半導体チップtaを支持基板Wに実装する際に、選択された8個の半導体チップta1〜ta8から先に実装するようにしても良い。このようにした場合、支持基板Wに第1の半導体チップtaを実装している途中で、何らかの不具合により半導体チップtの実装が中断し、ステージ21から支持基板Wが搬出されることがあったとしても、不具合が解消し、当該支持基板Wがステージ21上に再び供給されたときには、実装済みの8個の半導体チップta1〜ta8の位置を頼りに支持基板Wの全体位置を認識することもできる。
また、8個の半導体チップta1〜ta8の位置情報の評価によってエラーとなったときに、認識する半導体チップtを変えて再認識するようにしても良い。例えば、予め再認識用の半導体チップta1’〜ta8’(図6参照)を設定しておき、エラーが発生したときにこれらの半導体チップta1’〜ta8’の位置を認識しても良い。再認識用の半導体チップta1’〜ta8’は、長方形Dとは異なる、同心円Cに内接する長方形D’を設定し、この長方形D’に基づいて設定すれば良い。
また、8個の半導体チップta1〜ta8は、支持基板Wのグローバルマークの位置に基づいて割り出すようにしても良い。すなわち、支持基板W上において8個の半導体チップta1〜ta8が実装された実装領域Eの位置情報は設計データ等から既知であり、支持基板Wは搬送手段(不図示)等による搬送誤差の範囲内でステージ21上に供給されるので、8個の半導体チップta1〜ta8をこの位置情報に基づいて第2のカメラ23の撮像視野内に位置付けることは可能である。しかしながら、より信頼性を高めるために、支持基板Wのグローバルマークの位置に基づいて割り出すようにしても良い。
また、支持基板Wに半導体チップtをフェイスアップで実装する例で説明したが、これに限られるものではなく、フェイスダウンで実装しても良い。フェイスダウンで実装を行う場合、移載部30A、30Bの反転機構32を用いて吸着ノズル31を反転させることで取り出した半導体チップtを反転させ、反転させた半導体チップtを吸着ノズル31から実装ツール46に直接受渡す。そして、実装ツール46を実装ポジションに移動させる途中で実装ツール46に吸着保持された半導体チップtの位置を不図示の第4のカメラを用いて認識し、支持基板Wの実装領域Eに実装するようにすれば良い。フェイスダウンで実装した場合、半導体チップtは、フェイス面を支持基板Wに対向させて実装されるので、実装後にフェイス面を撮像することができない。そこで、実装ツール46に吸着保持された半導体チップtの位置を不図示の第4のカメラを用いて認識するときに、半導体チップtの外形を一緒に認識し、当該半導体チップtのアライメントマークと外形との位置関係を認識して記憶部51に記憶させておく。そして、支持基板Wに実装された8個の半導体チップta1〜ta8の位置を認識するときには、半導体チップta1〜ta8の外形を認識し、記憶部51に記憶した外形位置とアライメントマークとの位置関係に基づいて半導体チップta1〜ta8の位置を認識すればよい。このとき、不図示の第4のカメラでの撮像時と第2のカメラ23での撮像時とでは、半導体チップta1〜ta8を撮像する面が表裏反対になるので、外形位置とアライメントマークとの位置関係が反転することは言うまでもない。また、半導体チップtの外形位置とアライメントマークとの位置関係は、少なくとも8個の半導体チップta1〜ta8について記憶部51に記憶させれば良い。
また、評価処理において、X方向に沿う3本の線分M1’、M2’、M3’およびY方向に沿う3本の線分M4’、M5’、M6’それぞれについて長さと角度を比較することで評価を行っているが、この評価は、X方向とY方向うち片方だけの評価としても良い。すなわち、支持基板Wに実装された第1の半導体チップtaの配置が図9に示すような平行四辺形の配置になることがほとんどないような場合など、片方だけを評価すれば問題ないと判断できる場合には片方だけの評価としても良い。
また、8個の半導体チップta1〜ta8の位置情報に基づいて支持基板Wの全体位置を認識するものとしたが、半導体チップtの数はこれに限られるものではなく、4個以上であればよい。
また、単一の実装装置1を用いて、支持基板W上に第1の半導体チップta(第1の電子部品)と第2の半導体チップtb(第2の電子部品)を実装するものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、実装装置1を2台用意し、1台の実装装置1によって支持基板Wに第1の半導体チップtaを実装し、他の1台の実装装置1によって第1の半導体チップtaが実装済みの支持基板Wに第2の半導体チップtbを実装する場合であっても、本発明を他の1台の実装装置1に適用することが可能である。