ところで、緩い砂質土のような液状化層を含む軟弱地盤111、113に対して護岸矢板壁121が打設されている場合、地震時において液状化層からなる軟弱地盤111が液状化してしまうので護岸矢板壁121と控え工151との間の地盤171が拘束されず、十分な強度、剛性を発揮することができない恐れがある。このため、護岸矢板壁121と控え工151との間の地盤171は、図13(a)に示すように、地盤改良により耐震補強することが一般的であり、これにより、地震時においても十分な強度、剛性を発揮でき、優れた耐震性を発揮することが可能となっている。
ここで、従来の図13(a)に示すような耐震補強された護岸構造101では、護岸矢板壁121の水底面117aからの根入れ深さについて、平常時及び地震時の土圧との吊り合いが取れるような根入れ深さとなるように設計されるのが一般的であった。このため、液状化層からなる軟弱地盤111の下層に、粘性土のような非液状化層からなる軟弱地盤113が堆積しており、これら軟弱地盤111、113が深くまで及んでいるような地盤条件の場合、護岸矢板壁121の下端121aは、その液状化層からなる軟弱地盤111又は非液状化層からなる軟弱地盤113にとどまり、非液状化層からなる支持地盤115まで到達するように設計されないのが一般的であった。
しかしながら、本願発明者が、この図13(a)のような構造の護岸構造101について地震応答解析を行なったところ、図13(b)に示すように、重量構造物105の重量と慣性力、地盤改良により高剛性化された改良地盤171により、地震時において護岸矢板壁121、控え工151、改良地盤171の全体が沖側へ転倒するような変形モードが生じてしまい、地盤改良前よりかえって沈下量が増大することが知見された。このような沈下量は、津波や高潮等による越波を防止する観点から、可能なかぎり低減することが必要となる。
そこで、このような変形モードを抑制するため、図14に示すように、護岸矢板壁121の前面側の水底地盤117を地盤改良することも考えられるが、水底地盤117の地盤改良は施工難度、施工費用の増大が大きく、経済性に優れたものではないという問題点がある。また、水底地盤117の地盤改良は、水中での作業を伴うため周辺水域への汚染等の周辺環境に対する影響が懸念される。また、水底地盤117の水底面117a上には捨石工等が敷設されている場合があるが、この場合、捨石工を除去した後に水底地盤を地盤改良する必要があり、その分、施工期間の長期化や施工費の増大を招くことになってしまう。
また、クレーン等の巨大な重量構造物105や下水管等の土中構造物があるときや、上述のような海底面117a上に捨石工が敷設されているときのような敷地制約のある場合がある。この場合、水平方向への地盤改良範囲が制限されてしまうので、狭隘な敷地内で要求性能を満足する耐震補強を施すために、深度方向への地盤改良範囲の拡張や鋼材の高剛性化などが必要となり、施工費用や材料費用が増大し経済性が低下してしまう。
また、従来の特許文献1〜特許文献5に記載された護岸構造は、何れも液状化層を含む軟弱地盤111、113に対して護岸矢板壁121を打設することを前提としたものではない。このため、このような液状化層を含む軟弱地盤111、113が深くまで及んでいる地盤に護岸矢板壁121が打設されている場合に生じる、上述のような変形モードを抑制するための特別の工夫が何らされておらず、地震時における耐震性に優れたものとはいえなかった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、液状化層を含む軟弱地盤に対して護岸矢板壁を打設して護岸構造を構築する場合でも、地震時の沈下量を抑えつつ従来と同等又はそれ以上の耐震性を得ることができ、更には、敷地制約がある場合でも経済性の低下を招くことなく構築することを可能とする護岸構造及び既設護岸構造の耐震補強構造を提供することにある。
本発明者は、上述した課題を解決するために、鋭意検討の末、下記の護岸構造及び既設護岸構造の耐震補強構造を発明した。
第1発明に係る護岸構造は、地震時に液状化可能性のある液状化層を含み、等価N値が16以下の軟弱地盤上に構築され、重量構造物を支持する護岸矢板壁が打設された矢板壁式の護岸構造において、前記護岸矢板壁の背面側に控え工が打設され、前記護岸矢板壁と前記控え工とにタイ材が連結され、前記護岸矢板壁と前記控え工との間の地盤が地盤改良され、前記護岸矢板壁は、前記軟弱地盤を貫通して、当該軟弱地盤より下層の非液状化層からなり、等価N値が16より大きい支持地盤まで打設されていることを特徴とする。
第2発明に係る護岸構造は、第1発明において、前記護岸矢板壁は、少なくとも前記液状化層を貫通する短尺矢板と、前記支持地盤まで打設された長尺矢板とが連結されて構成されていることを特徴とする。
第3発明に係る護岸構造は、第1発明又は第2発明の何れか一つにおいて、前記護岸矢板壁と前記控え工との間の地盤は、前記液状化層の上下に亘る範囲の総てを含むように、前記護岸矢板壁が延びる水平方向に地盤改良されていることを特徴とする。
第4発明に係る既設護岸構造の耐震補強構造は、地震時に液状化可能性のある液状化層を含み、等価N値が16以下の軟弱地盤上に構築され、重量構造物を支持する既設護岸矢板壁が打設され、その背面側に既設控え工が打設され、前記既設護岸矢板壁と前記既設控え工とに既設タイ材が連結された矢板壁式の既設護岸構造の耐震補強構造において、前記既設護岸矢板壁の背面側の地盤が地盤改良され、前記地盤改良された改良地盤に新設杭が打設され、前記既設護岸矢板壁との間で前記改良地盤を挟むように新設控え工が打設され、前記新設杭と前記控え工とに新設タイ材が連結され、前記新設杭は、前記軟弱地盤を貫通して、当該軟弱地盤より下層の非液状化層からなり、等価N値が16より大きい支持地盤まで打設されていることを特徴とする。
第5発明に係る既設護岸構造の耐震補強構造は、地震時に液状化可能性のある液状化層を含み、等価N値が16以下の軟弱地盤上に構築され、重量構造物を支持する既設護岸矢板壁が打設された矢板壁式の既設護岸構造の耐震補強構造において、前記既設護岸矢板壁の背面側の地盤が地盤改良され、前記地盤改良された改良地盤に新設杭が打設され、前記既設護岸矢板壁との間で前記地盤改良された改良地盤を挟むように新設控え工が打設され、前記新設杭と前記控え工とに新設タイ材が連結され、前記新設杭は、前記軟弱地盤を貫通して、当該軟弱地盤より下層の非液状化層からなり、等価N値が16より大きい支持地盤まで打設されていることを特徴とする。
第6発明に係る既設護岸構造の耐震補強構造は、第4発明又は第5発明において、前記新設杭は、継手を有する矢板から構成され、前記既設護岸矢板壁が延びる水平方向に連続して壁状に前記新設杭が打設されて新設矢板壁が構成され、前記新設矢板壁は、少なくとも前記液状化層を貫通する短尺矢板と、前記支持地盤まで打設された長尺矢板とが連結されて構成されていることを特徴とする。
第7発明に係る既設護岸構造の耐震補強構造は、第4発明〜第6発明の何れか一つにおいて、前記新設杭は、継手を有する矢板から構成され、前記既設護岸矢板壁が延びる水平方向に連続して壁状に前記新設杭が打設されて新設矢板壁が構成され、前記新設矢板壁は、前記既設護岸矢板壁に形成された劣化部をその背面側から囲うように打設されていることを特徴とする。
第8発明に係る既設護岸構造の耐震補強構造は、第4発明〜第7発明の何れか一つにおいて、前記既設護岸矢板壁と前記新設控え工との間の地盤は、前記液状化層の上下に亘る範囲の総てを含むように、前記既設護岸矢板壁が延びる水平方向に地盤改良されていることを特徴とする。
第1発明〜第3発明によれば、地震時において護岸矢板壁、控え工、改良地盤の全体が沖側へ転倒する変形モードに対しては、主として支持地盤まで打設された護岸矢板壁により抵抗して沈下量を抑えることができ、これら全体への水平方向の外力に対しては、主として改良地盤により抵抗して水平変形を抑えることが可能となり、これにより、従来と同等又はそれ以上の耐震性を得ることが可能となる。また、水底地盤の地盤改良が不要であり、その分、施工難度、施工費用を抑えて、経済性に優れたものとなっており、更に、周辺環境に対する影響を抑えつつ、従来と同等又はそれ以上の耐震性を得ることが可能となっている。
第2発明によれば、上述の変形モードに対して許容される変位量等に抑えるために用いられる長尺矢板の数を抑えることが可能となるので、その分、護岸矢板壁に用いられる材料量やコストを抑えることができるうえ、材料量を抑えることによる施工の容易化や短縮化を図ることが可能となる。更に、護岸矢板壁を構成する各矢板により、護岸矢板壁と控え工との間の液状化層からなる軟弱地盤が、地震時において護岸矢板壁の前面側に流出して液状化による吸い出しが発生するのを抑えることができ、改良地盤に地盤沈下が生じるのを防止することが可能となる。
第3発明によれば、護岸矢板壁と控え工との間の液状化層からなる軟弱地盤が広い範囲で地盤改良されており、地震時において護岸矢板壁と控え工との間の液状化層の液状化を防止し、なおかつ護岸矢板壁と控え工との間の地盤の拘束を維持することで十分な水平変形抑制効果を発揮することが可能となる。
第4発明〜第8発明によれば、地震時において既設護岸矢板壁、新設杭、新設控え工、改良地盤の全体が沖側へ転倒する変形モードに対して、主として支持地盤まで打設された新設杭により抵抗して沈下量を抑えることができ、これら全体への水平方向の外力に対しては、主として改良地盤により抵抗して水平変形を抑えることが可能となり、これにより、従来と同等又はそれ以上の耐震性を得ることが可能となる。また、水底地盤の地盤改良が不要であり、その分、施工難度、施工費用を抑えて、経済性に優れたものとなっており、更に、周辺環境に対する影響を抑えつつ、従来と同等又はそれ以上の耐震性を得ることが可能となっている。
第6発明によれば、上述の変形モードに対して許容される変位量等を抑えるために用いられる長尺矢板の数を抑えることが可能となるので、その分、新設矢板壁に用いられる材料量やコストを抑えることができるうえ、材料量を抑えることによる施工の容易化や短縮化を図ることが可能となる。更に、新設矢板壁を構成する各矢板により、新設矢板壁と新設控え工との間の液状化層からなる軟弱地盤が、地震時において新設矢板壁の前面側に流出して液状化による吸い出しが発生するのを抑えることができ、改良地盤に地盤沈下が生じるのを防止することが可能となる。
第7発明によれば、既設護岸矢板壁に形成される劣化部から背面側の地盤が前面側の水中に流れ出る吸出しの発生を防止しつつ、従来技術と同等以上の耐震性を得ることが可能となる。
第8発明によれば、既設護岸矢板壁と新設控え工との間の液状化層からなる軟弱地盤が広い範囲で地盤改良されており、地震時において既設護岸矢板壁と新設控え工との間の液状化層の液状化を防止し、なおかつ既設護岸矢板壁と新設控え工との間の地盤の拘束を維持することで十分な耐震性を確保することが可能となる。
以下、本発明を適用した護岸構造及び既設護岸構造の耐震補強構造を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本発明に係る護岸構造が構築される地盤について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る護岸構造1の構成を示す側面断面図であり、図2はその平面図であり、図3はその部分断面正面図である。
本発明に係る護岸構造1が構築される地盤は、上層から下層にかけて順に、液状化層からなる軟弱地盤11と、非液状化層からなる軟弱地盤13と、非液状化層からなる支持地盤15とを有している。ここでいう液状化層とは、想定される地震時の振動により液状化可能性のある地盤のことをいい、緩い砂質土等から構成される。非液状化層とは、その想定される地震時の振動により液状化可能性のない地盤のことをいい、粘性土、締まった砂質土、岩盤等から構成される。液状化可能性の有無の判定は、例えば、判定対象となる地盤の等価N値、等価加速度、細粒分含有率及び塑性指数を求め、求めた細粒分含有率及び塑性指数に基づき算出される補正値を等価N値に除算、加算等し、補正後の等価N値と求めた等価加速度とにより判定することができる。なお、この地盤の液状化可能性の有無についての判定方法は、文献「埋立地の液状化対策ハンドブック(改訂版),監修:旧運輸省港湾局,発行:沿岸開発技術研究センター,発行年月日:平成9年8月,pp.114-122」にも記載されている。
また、ここでいう軟弱地盤11、13とは等価N値が16以下の地盤のことをいい、支持地盤15とは等価N値が16より大きい地盤のことをいう。等価N値とは、有効上載圧力が0.66kgf/cm
2の場合と同一の相対密度の土層に各土層のN値を換算したものであり、下記の数式により求められる。土層の等価N値が16より大きい場合は鉛直方向の位置に依らず土層のN値が10より大きくなる。また、ここでいうN値はJIS A 1219に準拠して行なわれる標準貫入試験により測定される。
(N)
0.66 :等価N値
N :標準貫入試験により測定された各土層のN値
σ
v’ :土層の有効上載圧力(kgf/cm
2)
次に、本発明の第1実施形態に係る護岸構造について説明する。
第1実施形態に係る護岸構造1は、液状化層を含む軟弱地盤11、13上に構築され、重量構造物5を支持する護岸矢板壁21が打設されており、矢板壁式の護岸構造1として構成されている。また、第1実施形態に係る護岸構造1では、護岸矢板壁21の背面側に控え工51が打設され、護岸矢板壁21と控え工51とにタイ材61が連結されている。
護岸矢板壁21は、水平方向に連続して壁状に打設された矢板23同士が継手23aを介して互いに連結されて構成されている。護岸矢板壁21を構成する矢板23は、第1実施形態においてU形鋼矢板から構成されているものを例示しているが、この他にもハット形鋼矢板、Z形鋼矢板等の鋼矢板や、鋼管矢板から構成されていてもよいし、その材質も鋼材からなるものに限定しない。また、護岸矢板壁21は、鋼矢板や鋼管矢板のうち何れか一方のみから構成されていてもよいし、両方から構成されていてもよい。護岸矢板壁21を構成する複数の矢板23同士の継手23a間には、必要に応じて、モルタル、吸水膨潤性止水材のような止水材を充填する等して公知の止水処理が施される。
護岸矢板壁21を構成する複数の矢板23の頭部23bには、これを包囲するようにコンクリートが打設されてコーピング41が設けられ、そのコーピング41上に重量構造物5が設置される。これにより、重量構造物5が護岸矢板壁21により支持されることになり、重量構造物5の荷重が護岸矢板壁21まで伝達され、重量構造物5の重量や地震時における慣性力に対して護岸矢板壁21等により抵抗することが可能となる。重量構造物5は、第1実施形態においてパラペットから構成されているものを例示しているが、この他にクレーン等から構成されていてもよい。
控え工51は、第1実施形態において、護岸矢板壁21の延びる方向に間隔を空けて離散的に打設されている。控え工51は、第1実施形態においてU形鋼矢板から構成されているものを例示しているが、この他にもH形鋼等の形鋼や鋼管等から構成されていてもよい。控え工51は、護岸矢板壁21に平常時及び地震時に作用する土圧により発生する曲げモーメントに対して許容される応力等に抑えられるように、軟弱地盤11等に対する根入れ深さや形状が適宜設計される。
タイ材61は、タイロッド、タイワイヤ等から構成されるものである。タイ材61は、護岸矢板壁21と控え工51との頭部を連結するものであり、互いに間隔を空けて並列に配置されている。
ここで、第1実施形態に係る護岸構造1では、護岸矢板壁21の背面側の地盤71が地盤改良されている。この地盤改良は、液状化層からなる軟弱地盤11の上下に亘る範囲の総てを含むように、護岸矢板壁21が延びる水平方向に連続又は不連続にされている。
ここで行なわれる地盤改良方法としては、サンドドレーン工法等の脱水法、サンドコンパクション工法、バイブロフローテーション工法等の締め固め法、混合処理方法等の化学的又は物理的固結法等が挙げられる。これらの地盤改良方法により地盤改良を行なう際には、地盤改良すべき地盤71に柱状造成体を複数造成することになるが、図中においてはその地盤改良すべき範囲を示している。
また、第1実施形態に係る護岸構造1では、護岸矢板壁21を構成する矢板23が軟弱地盤11、13を貫通して、非液状化層からなる支持地盤15まで打設されている。換言すると、護岸矢板壁21は、その下端21aが非液状化層からなる支持地盤15まで到達するよう打設されている。これにより、地震時において護岸矢板壁21、控え工51、改良地盤71の全体が沖側へ転倒するような変形モードに対して、支持地盤15まで打設された護岸矢板壁21により抵抗することが可能となり、地震時における護岸矢板壁21や改良地盤71の沈下を抑えることが可能となる。この護岸矢板壁21を構成する矢板23は、平常時及び地震時の土圧と吊り合いが取れるような根入れ深さとなるように設計されることに加え、上述の変形モードに対して許容される変位量等に抑えられるように、支持地盤15に対する根入れ深さや形状等が適宜設計される。
このような第1実施形態に係る護岸構造1によれば、地震時における沈下や水平変形に対して抵抗する役割を、護岸矢板壁21と改良地盤71とで分担させて、これら変形を有効に抑制することが可能となる。即ち、地震時において護岸矢板壁21、控え工51、改良地盤71の全体が沖側へ転倒する変形モードに対しては、主として支持地盤15まで打設された護岸矢板壁21により抵抗して沈下量を抑えることができ、これら全体への水平方向の外力に対しては、主として改良地盤71により抵抗して水平変形を抑えることが可能となっている。これにより、後述のように、従来と同等又はそれ以上の耐震性を得ることが可能となる。
また、第1実施形態に係る護岸構造1では、護岸矢板壁21が液状化層からなる軟弱地盤11の上下に亘る範囲の総てを覆うように壁状に打設されている。これにより、護岸矢板壁21を構成する各矢板23により、護岸矢板壁21と控え工51との間の液状化層からなる軟弱地盤11が、地震時において護岸矢板壁21の前面側に流出して液状化による吸い出しが発生するのを抑えることができ、改良地盤71に地盤沈下が生じるのを防止することが可能となる。ここで、液状化による吸い出しの発生を抑えるうえで、護岸矢板壁21を構成する各矢板23の非液状化層からなる軟弱地盤13や支持地盤15への根入れ長さは、護岸矢板壁21近傍の水底地盤17の土重量と水頭差との関係で発生するボイリング現象が生じさせないために必要な長さに設定されていることが好ましい。
また、第1実施形態に係る護岸構造1によれば、陸側の地盤に対する施工のみでよく、水底地盤17の地盤改良をすることが不要である。このため、水底地盤17の地盤改良が不要である分、施工難度、施工費用を抑えて、経済性に優れており、更に、周辺環境に対する影響を抑えつつ、後述のような従来と同等又はそれ以上の耐震性を得ることが可能となる。また、水底地盤17の水底面17a上に捨石工等が敷設されている場合でも、施工期間の長期化や施工費の増大を招くことなく施工することが可能となる。また、狭隘な敷地内でも、深度方向への地盤改良範囲拡張や鋼材の高剛性化などを施すことなく、要求性能を満足する耐震性を確保することが可能となる。
また、第1実施形態に係る護岸構造1では、護岸矢板壁21と控え工51との間の液状化層からなる軟弱地盤11が、その上下に亘る範囲の総てを含むように護岸矢板壁21の延びる水平方向に地盤改良されている。このため、液状化層からなる軟弱地盤11が広い範囲で地盤改良されており、地震時において護岸矢板壁21と控え工51との間の液状化層からなる軟弱地盤11の液状化を防止し、なおかつ護岸矢板壁21と控え工51との間の地盤の拘束を維持することで十分な水平変形抑制効果を発揮することが可能となる。
ここで、本発明に係る護岸構造1による耐震性について確認するため、本発明者が行なった地震応答解析結果について説明する。
この地震応答解析では、液状化層の液状化現象を考慮した地震応答解析を行なうことのできるプログラムを用いた。また、図1〜図3、図12〜図15に示す護岸構造1、101をモデル化して地震応答解析を行なった。なお、図15に示す護岸構造101は、図12に示す護岸構造101と比較して、護岸矢板壁121が支持地盤115まで打設されている点で相違している。
護岸構造1、101の寸法条件としては、有効幅600mm、有効高さ130mm、板厚10.3mm、長さ10mの複数のU形鋼矢板を複数連結して護岸矢板壁21、121が構成されるものとし、重量構造物5、105が14.2ton/mのパラペットであり、タイ材61、161が奥行き方向2.6m間隔で配置されたφ60mmのタイロッドであり、控え工51、151が奥行方向2.6m間隔で配置された断面条件350mm×350mm×12mm×19mm、長さ10mのH形鋼であり、護岸矢板壁21、121から控え工51、151までの間隔が20.5mであるものとして設定した。また、地盤条件としては、地表面19、119に対する液状化層からなる軟弱地盤11の下端までの間隔が13.0m、地表面19、119に対する非液状化層からなる軟弱地盤13の下端までの間隔が30.0m、液状化層からなる軟弱地盤11の等価N値が7.3、非液状化層からなる軟弱地盤13の等価N値が15.2、非液状化層からなる支持地盤15の等価N値が21.8であるとして設定した。また、護岸構造1、101に作用させる入力地震動としては、護岸構造1、101の構築される地盤のサイト特性を考慮してレベル2地震動を用い、その最大加速度を1060gal、継続時間を24秒として設定した。
解析結果は、各例ごとにパラペットからなる重量構造物5、105の水平方向の変位量と鉛直方向の変位量を測定し、No.2〜No.5の測定値をNo.1の測定値で除算して、No.1の測定値を基準として無次元化した値に基づき評価した。各例の解析結果は、下記の表1に示す通りである。
No.2では、護岸矢板壁121と控え工151との間の液状化層からなる軟弱地盤111が地盤改良されているので水平変位が抑えられているが、護岸矢板壁121が支持地盤115まで打設されていないので護岸矢板壁121等が沖側へ転倒する変形モードが生じ、鉛直変位がNo.1よりかえって増大している。No.3では、水平変位、鉛直変位がともにNo.1より優れているが、水底地盤117を地盤改良する必要が生じている。No.4では、護岸矢板壁121が支持地盤115まで打設されているので鉛直変位は抑えられているが、護岸矢板壁121と控え工151との間の液状化層からなる軟弱地盤111が地盤改良されていないので水平変位が全く抑えられていない。
これに対してNo.5では、護岸矢板壁21と控え工51との間の液状化層からなる軟弱地盤11が地盤改良されているので水平変位が抑えられており、更に、護岸矢板壁21が支持地盤15まで打設されているので護岸矢板壁21等が沖側へ転倒する変形モードを抑えて、鉛直変位も抑えられている。これにより、本願発明により、水底地盤17を地盤改良することなく、No.1〜No.4の例と同等又はそれ以上の耐震性が得られることが確認できる。
次に、本発明の第2実施形態に係る護岸構造について説明する。なお、上述した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
図4は本発明の第2実施形態に係る護岸構造1の構成を示す平面図であり、図5はその部分断面正面図である。
第2実施形態に係る護岸構造1では、護岸矢板壁21が、平常時及び地震時の土圧と吊り合いが取れるような根入れ深さとなるように設計されることに加え、少なくとも液状化層からなる軟弱地盤11を貫通する短尺矢板25と、非液状化層からなる支持地盤15まで打設された長尺矢板27とが連結されて構成されている。換言すると、護岸矢板壁21を構成する短尺矢板25は、その下端25aが非液状化層からなる軟弱地盤13まで到達して留まるよう打設されており、護岸矢板壁21を構成する長尺矢板27は、その下端27aが非液状化層からなる支持地盤15まで到達するよう打設されている。
この護岸矢板壁21を構成する長尺矢板27は、地震時において護岸矢板壁21、控え工51、改良地盤71の全体が沖側へ転倒するような変形モードに対して、許容される変位量等に抑えられるように、支持地盤15に対する根入れ深さや形状の他、その数等が適宜設計されている。
第2実施形態に係る護岸構造1によれば、上述の変形モードに対して許容される変位量等に抑えるために用いられる長尺矢板27の数を抑えることが可能となるので、その分、護岸矢板壁21に用いられる材料量やコストを抑えることができるうえ、材料量を抑えることによる施工の容易化や短縮化を図ることが可能となる。
なお、第2実施形態に係る護岸矢板壁21は、これを構成する短尺矢板25及び長尺矢板27の何れもが、平常時および地震時の土圧との吊り合いが取れるような根入れ深さであることに加え、少なくとも液状化層からなる軟弱地盤11を貫通するように壁状に打設され、その下端25a、27aが非液状化層からなる軟弱地盤13まで到達するよう打設されている。これにより、上述のように、護岸矢板壁21を構成する各矢板23により、護岸矢板壁21と控え工51との間の液状化層からなる軟弱地盤11が、地震時において護岸矢板壁21の前面側に流出して液状化による吸い出しが発生するのを抑えることができ、改良地盤71に地盤沈下が生じるのを防止することが可能となる。ここで、液状化による吸い出しの発生を抑えるうえで、護岸矢板壁21を構成する各矢板23の非液状化層からなる軟弱地盤13や支持地盤15への根入れ長さは、護岸矢板壁21近傍の水底地盤17の土重量と水頭差との関係で発生するボイリング現象が生じさせないために必要な長さに設定されていることが好ましい。
また、第2実施形態に係る護岸矢板壁21は、短尺矢板25が鋼矢板から構成されており、長尺矢板27が鋼管矢板から構成されている。これにより、鋼矢板等より剛性に優れた鋼管矢板が長尺矢板27として用いられることになり、長尺矢板27の数を更に抑えることが可能となる。因みに、第2実施形態に係る護岸矢板壁21は、長尺矢板27と短尺矢板25とが、鋼矢板や鋼管矢板のうち何れか一方のみから構成されていてもよいし、両方から構成されていてもよいのは勿論である。
次に、本発明の第3実施形態に係る既設護岸構造の耐震補強構造について説明する。図6は本発明の第3実施形態に係る既設護岸構造2の耐震補強構造3の構成を示す側面断面図であり、図7はその平面図である。
第1実施形態、第2実施形態においては、主として新設の護岸構造1について説明したが、以下の第3実施形態〜第5実施形態では、既設護岸構造2がその適用の対象となる。この適用の対象となる既設護岸構造2としては、第3実施形態、第4実施形態のような控え工式の既設護岸構造2と、第4実施形態のような自立式の既設護岸構造2が挙げられる。本発明に係る耐震補強構造3は、このような既設護岸構造2を耐震補強するものとして機能する。
第3実施形態に係る控え工式の既設護岸構造2は、液状化層を含む軟弱地盤11、13上に構築され、重量構造物5を支持する既設護岸矢板壁22が打設されており、矢板壁式の既設護岸構造2として構成されている。また、第3実施形態に係る既設護岸構造2では、既設護岸矢板壁22の背面側に既設控え工52が打設され、既設護岸矢板壁22と既設控え工52とに既設タイ材62が連結されている。
既設護岸矢板壁22は、第3実施形態において、その下端22aが平常時及び地震時の土圧との吊り合いが取れるような根入れ深さとなるように打設されている。これ以外の点では、第3実施形態に係る既設護岸矢板壁22は、第1実施形態において説明した護岸矢板壁21と同様の構成であるので、ここでの説明を省略する。
既設控え工52や既設タイ材62は、第1実施形態において説明した控え工51やタイ材61と同様の構成であるので、ここでの説明を省略する。
ここで、第3実施形態に係る既設護岸構造2の耐震補強構造3では、既設護岸矢板壁22の背面側の地盤71が地盤改良されている。ここで行われる地盤改良は、第1実施形態において説明したのと同様のものであるので、ここでの説明を省略する。
また、第3実施形態に係る既設護岸構造2の耐震補強構造3では、改良地盤71に新設杭31が打設されている。この新設杭31は、軟弱地盤11、13を貫通して、非液状化層からなる支持地盤15まで打設されている。換言すると、新設杭31は、その下端31aが非液状化層からなる支持地盤15まで到達するよう打設されている。これにより、地震時において既設護岸矢板壁22、新設杭31、新設控え工53、改良地盤71の全体が沖側へ転倒する変形モードに対して、支持地盤15まで打設された新設杭31により抵抗することが可能となる。この新設杭31は、上述の変形モードに対して許容される変位量等に抑えられるように、支持地盤15に対する根入れ深さや形状、数等が適宜設計される。
新設杭31は、第1実施形態において、既設護岸矢板壁22の延びる水平方向に間隔を空けて打設されている。新設杭31は、第1実施形態において継手33aを有する矢板33から、更に詳細にはU形鋼矢板から構成されているものを例示しているが、この他にもハット形鋼矢板、Z形鋼矢板等の鋼矢板や、鋼管矢板等の継手33aを有する矢板33から構成されていてもよいし、H形鋼、鋼管等の継手33aを有さないものから構成されていてもよいし、その材質も鋼材からなるものに限定しない。また、新設杭31は、後述のように、新設矢板壁32を構成するものとして打設されていてもよい。
新設杭31の頭部31bには、既設護岸矢板壁22を構成する複数の矢板23の頭部23bと連結されるように、これらを包囲するよう鉄筋等が配設されたうえでコンクリートが打設されて新設のコーピング42が設けられる。このとき、既設護岸矢板壁22の矢板23の頭部23bに設けられた既設のコーピング41の一部を除去した後、新設のコーピング42が設けられる。これにより、重量構造物5が新設杭31により支持されることになり、重量構造物5の荷重が新設杭31まで伝達され、重量構造物5の重量や地震時における慣性力に対して新設杭31等により抵抗することが可能となる。
また、第3実施形態に係る既設護岸構造2の耐震補強構造3では、既設護岸矢板壁22との間で改良地盤71を挟むように新設控え工53が打設されている。また、新設杭31と新設控え工53とには新設タイ材63が連結されている。これら新設控え工53、新設タイ材63は、第1実施形態において説明した控え工51やタイ材61と同様の構成であるので、ここでの説明を省略する。
第3実施形態に係る既設護岸構造2の耐震補強構造3によれば、地震時における沈下や水平変形に対して抵抗する役割を、新設杭31と改良地盤71とで分担させて、これら変形を有効に抑制することが可能となっている。即ち、地震時において既設護岸矢板壁22、新設杭31、新設控え工53、改良地盤71の全体が沖側へ転倒する変形モードに対しては、主として支持地盤15まで打設された新設杭31により抵抗して沈下量を抑えることができ、これら全体への水平方向の外力に対しては、主として改良地盤71により抵抗して水平変形を抑えることが可能となっている。これにより、上述のように、従来と同等又はそれ以上の耐震性を得ることが可能となる。
また、第3実施形態に係る既設護岸構造2の耐震補強構造3によれば、陸側の地盤に対する施工のみで水底地盤17の地盤改良をすることが不要である。このため、水底地盤17の地盤改良が不要である分、施工難度、施工費用を抑えて、経済性に優れており、更に、周辺環境に対する影響を抑えつつ、上述のような従来と同等又はそれ以上の耐震性を得ることが可能となる。また、水底地盤17の水底面17a上に捨石工等が敷設されている場合でも、施工期間の長期化や施工費の増大を招くことなく施工することが可能となる。また、狭隘な敷地内でも、深度方向への地盤改良範囲拡張や鋼材の高剛性化などを施すことなく、要求性能を満足する耐震性を確保することが可能となる。
ここで、既設護岸矢板壁22は、これを構成する矢板23の一部が経年的な劣化により腐食して減肉する、穴が空く等してしまう。この減肉、穴が空く等した矢板23の劣化部24からは、平常時において既設護岸矢板壁22の背面側の地盤がその前面側の水中に流れ出る水中への吸出しが発生する恐れがある。
これを防止するため、第3実施形態に係る耐震補強構造3では、一部の新設杭31が継手33aを有する矢板33から構成されており、更に、既設護岸矢板壁22が延びる水平方向に連続して壁状にその新設杭31が打設され、その矢板33からなる新設杭31同士が継手33aを介して互いに連結されて新設矢板壁32が構成されている。そして、その新設矢板壁32は、既設護岸矢板壁22に形成された劣化部24を背面側から囲うように打設されている。より具体的には、新設矢板壁32は、既設護岸矢板壁22を構成する矢板23とその新設矢板壁32を構成する矢板33とにより囲まれた閉鎖空間39が、劣化部24の背面側に形成されるよう打設されている。このとき、新設矢板壁32を構成する矢板33の一部は、既設護岸矢板壁22に接して閉鎖空間39が形成されるように、既設護岸矢板壁32のごく近傍に打設される。第3実施形態においては、新設矢板壁32の水平方向の両端部32aが既設護岸矢板壁22に接している。これにより、浸透流により新設矢板壁32の背面の地盤が既設護岸矢板壁22の前面側の水中に流れ出るのを抑え、これをもって地盤の水中への吸出しの発生を防止しつつ、上述のような従来技術と同等以上の耐震性を得ることが可能となる。
なお、水中への吸出しの発生を防止するうえでは、新設杭31を既設護岸矢板壁22に近接して打設する必要が生じ、新設杭31を打設する際に、既設護岸矢板壁22の頭部23bの既設のコーピング41や重量構造物5との干渉が生じる場合があり得る。この場合には、既設のコーピング41や重量構造物5の一部を除去等したうえで、新設杭31の打設作業を行えばよい。
次に、本発明の第4実施形態に係る既設護岸構造の耐震補強構造について説明する。図8は第4実施形態に係る既設護岸構造2の耐震補強構造3の構成を示す平面図であり、図9はその部分断面正面図である。
第4実施形態に係る耐震補強構造3では、総ての新設杭31により新設矢板壁32が構成されている。
また、第4実施形態に係る耐震補強構造3では、その新設矢板壁32が、平常時及び地震時の土圧と吊り合いが取れるような根入れ深さとなるように設計されることに加え、少なくとも液状化層からなる軟弱地盤11を貫通する短尺矢板35と、非液状化層からなる支持地盤15まで打設された長尺矢板37とが連結されて構成されている。換言すると、新設矢板壁32を構成する短尺矢板35は、その下端35aが非液状化層からなる軟弱地盤13まで到達して留まるよう打設されており、新設矢板壁32を構成する長尺矢板37は、その下端37aが非液状化層からなる支持地盤15まで到達するよう打設されている。
この新設矢板壁32を構成する長尺矢板27は、地震時において既設護岸矢板壁22、新設杭31、新設控え工53、改良地盤71の全体が沖側へ転倒するような変形モードに対して、許容される変位量等に抑えられるように、支持地盤15に対する根入れ深さや形状の他、その数等が適宜設計されている。
第4実施形態に係る耐震補強構造3によれば、上述の変形モードに対して許容される変位量等を抑えるために用いられる長尺矢板37の数を抑えることが可能となるので、その分、新設矢板壁32に用いられる材料量やコストを抑えることができるうえ、材料量を抑えることによる施工の容易化や短縮化を図ることが可能となる。
なお、第4実施形態に係る新設矢板壁32は、これを構成する短尺矢板35及び長尺矢板37の何れもが、少なくとも液状化層からなる軟弱地盤11を貫通するように壁状に打設され、その下端35a、37aが液状化層からなる軟弱地盤11より下層まで到達するよう打設されている。これにより、上述のように、新設矢板壁32を構成する各矢板33により、新設矢板壁32と新設控え工53との間の液状化層からなる軟弱地盤11が、地震時において新設矢板壁32の前面側に流出して液状化による吸い出しが発生するのを抑えることができ、改良地盤71に地盤沈下が生じるのを防止することが可能となる。
また、第4実施形態に係る耐震補強構造3のように、新設杭31により新設矢板壁32を構築する場合、既設護岸構造2の既設タイ材62と新設矢板壁32との干渉を避けつつ構築する必要がある。このため、新設矢板壁32を構築するにあたっては、まず、既設タイ材62間に矢板33からなる新設杭31を、間隔を空けて離散的に打設するとともに、新設杭31と新設控え工63とを新設タイ材63により連結する。続いて、新設杭31を新設のコーピング42により既設護岸矢板壁22に連結して、既設護岸矢板壁22に負荷される土圧等の外力が新設控え工63に伝達されるようにした後、既設タイ材62を撤去し、その後、離散的に打設された新設杭31間に他の矢板33からなる新設杭31を壁状に打設して、新設矢板壁32を構築する。
次に、本発明の第5実施形態に係る既設護岸構造の耐震補強構造について説明する。図10は第5実施形態に係る既設護岸構造2の耐震補強構造3の構成を示す側面断面図であり、図11はその平面図である。
第5実施形態に係る自立式の既設護岸構造2は、液状化層を含み、重量構造物5を支持する軟弱地盤11、13に対して既設護岸矢板壁22が打設されている。
第5実施形態に係る耐震補強構造3は、既設護岸構造2が自立式のものである点以外では、第3実施形態において説明したものと同様の構成である。
このように、本発明に係る耐震補強構造3では、既設護岸構造2が控え工式のものであっても、自立式のものであってもよい。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
例えば、既設護岸構造2の耐震補強構造3とする場合、新設杭31や新設矢板壁32を構成する鋼材等の剛性、地盤改良範囲を適宜調整することにより、耐震補強効果やコストの最適化を図るようにしてもよい。