JP2011234428A - 3相電圧型pwmインバータ制御装置 - Google Patents

3相電圧型pwmインバータ制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の3相電圧型PWMインバータ制御装置は出力電圧ベクトルVsの変調率が1以下での制御を前提としている為、変調率が1より大きい状態で適用すると、1PWM周期中に直流母線電流から2相分の相電流情報を検出することができない状況が発生するという問題があった。
【解決手段】 直流母線電流、直流母線電圧、及び外部から与えられる角速度指令値に基づいて出力電圧ベクトルVsを演算する出力電圧ベクトル演算手段と、前記出力電圧ベクトルVsに基づいて出力電圧ベクトルVs’及びVs’’を生成し、前記出力電圧ベクトルVs’に隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間の各々が所定時間TMIN以上となるように出力時間の管理を行う出力時間管理手段とを備えたインバータ制御部を設けた。
【選択図】図1

Description

この発明は、インバータ主回路の直流母線に流れる直流電流に基づいてPWM(パルス幅変調)駆動信号を生成し、この駆動信号でインバータ主回路内の複数の半導体スイッチング素子を駆動することにより、直流母線から供給される直流電力を3相交流電力に変換する3相電圧型PWMインバータ制御装置に関するものである。
従来の3相電圧型PWMインバータ制御装置は、インバータ主回路の直流母線に流れる直流電流に基づき出力電圧ベクトルVsを生成し、このベクトルVsの2つのベクトル成分のうち少なくとも一方が所定時間TMIN未満である時には、ベクトルVsからベクトルVs’とベクトルVs’’を生成し、ベクトルVs’の2つのベクトル成分が前記所定時間TMINと少なくとも等しく、かつベクトルVs’とVs’’のベクトル平均が前記出力電圧ベクトルVsと等しくなるようにし、Vs’をPWM周期の前半周期に、Vs’’をPWM周期の後半周期に適用して、インバータ主回路の半導体スイッチング素子を駆動制御している(例えば、特許文献1参照)。
また、他の従来の3相電圧型PWMインバータ制御装置として、インバータ主回路の直流母線に流れる直流電流に基づき3相電流を演算する相電流演算部と、電流指令値と相電流に基づいて3相の第1の電圧指令値を出力する電流制御部と、第1の電圧指令値に基づいてPWMパルスを出力するPWMパルス生成手段とを備え、PWMパルス生成手段は第1の電圧指令値の大きさ順に並べた相間の差が所定間隔値より小さい時には、1PWM周期毎に相間の差が小さい2つの相の第1の電圧指令値の少なくとも一方の値を、当該値と平均値を同一にしかつ前記周期の前半と後半とで異なる値とした第2の電圧指令値に補正する補正処理を行うようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−4594号公報 特許第3664040号公報
特許文献1及び特許文献2に記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置は、出力電圧ベクトルVsの変調率が小さい場合や出力電圧ベクトルVsが単一の基本電圧ベクトルの位相に近い場合においても、1PWM周期期間に直流母線に流れる直流電流から2相分の相電流情報を検出することが可能となるので、直流母線電流を検出するという安価な電流検出手段に基づいたインバータ駆動を可能としている。
しかしながら、従来の3相電圧型PWM制御装置は出力電圧ベクトルVsの変調率が1以下での制御を前提としている為、変調率が1より大きい状態で適用すると、1PWM周期中に直流母線電流から2相分の相電流情報を検出することができない状況が発生するという問題があった。この為、インバータ制御動作が不安定となり、最悪脱調してモータが停止してしまうという課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の目的は出力電圧ベクトルVsの変調率が1より大きい場合でも1PWM周期中に直流母線電流から2相分の相電流情報を検出することができるようにすることである。これにより、直流母線電流を検出するという安価な電流検出手段により、出力電圧ベクトルVsの変調率が1より大きい場合でも安定したインバータ駆動が可能な3相電圧型インバータ制御装置を得ることができる。
また、第2の目的は出力電圧ベクトルVsの変調率が1より大きい場合でも1PWM周期中に直流母線電流から2相分の相電流情報を検出することができるようにすることで、直流母線電流を検出するという安価な電流検出手段により、誘起電圧定数の高い高効率な永久磁石型同期電動機を負荷としたインバータ駆動ができる3相電圧型PWMインバータ制御装置を得ることである。
また、第3の目的は出力電圧ベクトルVsの変調率が1より大きい場合でも1PWM周期中に直流母線電流から2相分の相電流情報を検出することができるようにするとともに、インバータ制御装置のインバータ周波数とPWM駆動信号を生成するためのキャリア周波数との干渉などにより生じる相電流における電流脈動を抑制することができる3相電圧型PWMインバータ制御装置を得ることである。
本発明の3相電圧型PWMインバータ制御装置は、 直流母線から供給される直流電力を複数のスイッチング素子を用いて3相交流電力に変換するインバータ主回路と、 前記直流母線に流れる直流母線電流を検出する直流電流検出手段と、 前記直流母線の正側と負側間の直流母線電圧を検出する直流電圧検出回路と、 前記インバータ主回路のスイッチング素子を制御するPWM駆動信号を出力するインバータ制御部とを備え、 前記インバータ制御部は、 前記直流母線電流、前記直流母線電圧、及び外部から与えられる角速度指令値に基づいて出力電圧ベクトルVsを演算する出力電圧ベクトル演算手段と、 出力電圧ベクトルVs’及びVs’’の平均ベクトルが前記出力電圧ベクトルVsに等しく、かつ前記出力電圧ベクトルVs’に隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間の各々が所定時間TMIN以上となるように前記出力電圧ベクトルVs’及びVs’’とを演算する第1演算処理と、前記Vs’’ に隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間の和が1/2PWM周期より大きい場合は、前記2つの出力時間の内短い方の出力時間をさらに小さくし、かつ前記出力時間の和が1/2PWM周期となるようにVs’’の再演算を行う第2演算処理によって出力時間の管理を行う出力時間管理手段と、 前記再演算後の出力電圧ベクトルVs’及びVs’’に基づいてPWM駆動信号を生成するPWM駆動信号生成手段とを備え、 前記再演算後の出力電圧ベクトルVs’及びVs’’の平均ベクトルは、前記出力電圧ベクトルVsに必ずしも等しくないことを特徴とするものである。
本発明の3相電圧型PWMインバータ制御装置は、直流母線電流を検出するという安価な電流検出手段を用いて、変調率が1より大きい場合でも安定したインバータ駆動を実現できるという効果を有する。
また、本発明の3相電圧型PWMインバータ制御装置は、直流母線電流を検出するという安価な電流検出手段を用いて、誘起電圧定数の高い高効率な永久磁石型同期電動機を負荷としたインバータ駆動ができるという効果を有する。
また,本発明の3相電圧型PWMインバータ制御装置は、インバータ制御装置のインバータ周波数とPWM駆動信号を生成するためのキャリア周波数との干渉などにより生じる相電流における電流脈動を抑制したインバータ駆動ができるという効果を有する。
実施の形態1における3相電圧型PWMインバータ制御装置の構成図。 出力電圧ベクトルVsのベクトル図(Vs:SCT_Vs=0、TMIN/2≦ti<TMIN、tk≧TMINの場合)。 基本電圧ベクトルと半導体スイッチング素子のスイッチング状態との対応関係を示した図。 PWMインバータ制御のタイミング図(Vs:SCT_Vs=0,TMIN/2≦ti<TMIN,tk≧TMIN、VsをPWM周期の前半・後半に適用した場合)。 出力電圧ベクトル状態とPWM駆動信号と直流母線電流から得られる相電流との関係を示した図。 出力電圧ベクトルVsのセクター保持情報(SCT_Vst)と2つの検出タイミングで検出される直流母線電流情報(Idc1_r,Idc2_r)から得られる相電流情報との関係関係を示した図。 出力電圧ベクトルVs、Vs’、Vs’’のベクトル図(Vs:SCT_Vs=0、TMIN/2≦ti<TMIN、tk≧TMINの場合)。 PWMインバータ制御のタイミング図(Vs:SCT_Vs=0、TMIN/2≦ti<TMIN、tk≧TMIN、Vs’をPWM周期の前半に適用し、Vs’’をPWM周期の後半に適用した場合)。 出力電圧ベクトルVs、Vs’、Vs’’のベクトル図(Vs:SCT_Vs=0,ti<TMIN/2,tk≧TMINの場合)。 PWMインバータ制御のタイミング図(Vs:SCT_Vs=0,ti<TMIN/2,tk≧TMIN、Vs’をPWM周期の前半に適用し、Vs’’をPWM周期の後半に適用した場合)。 出力電圧ベクトルVs演算手段15の動作フロー図。 出力電圧ベクトルVs’、Vs’’演算手段16の動作フロー図。 出力電圧ベクトルVs、Vs’、Vs’’のセクター(SCT_Vs、SCT_Vs’、SCT_Vs’’)を各case対応で示した図。 出力電圧ベクトルVs、Vs’、Vs’’の基本電圧ベクトル成分の1/2PWM周期当たりの出力時間(ti、tk、ti’、tk’、ti’’、tk’’)を各case対応で示した図。 出力電圧ベクトルVs’、Vs’’演算手段16の出力時間(ti’,tk’,ti’’,tk’’)演算部分(STEP30対応)の動作フロー図(case=1、ti≧TMIN、TMIN/2≦tk<TMINの場合)。 各相タイマ値演算手段17の動作フロー図。 出力電圧ベクトルVs’のセクター(SCT_Vs’)と各相前半タイマ値(Tu_f、Tv_f、Tw_f)の関係を示した図。 出力電圧ベクトルVs’’のセクター(SCT_Vs’’)と各相後半タイマ値(Tu_r、Tv_r、Tw_r)の関係を示した図。 U相前半タイマ値とU相後半タイマ値の和(Tu_f+Tu_r)の電気角1周期分の波形(出力電圧ベクトルVsの変調率Vk=1.5の時)。 端子間電圧Vunの電気角1周期分の波形(出力電圧ベクトルVsの変調率Vk=1.5の時)。 U相前半タイマ値とU相後半タイマ値の和(Tu_f+Tu_r)とV相前半タイマ値とV相後半タイマ値の和(Tv_f+Tv_r)との差の電気角1周期分の波形(出力電圧ベクトルVsの変調率Vk=1.5の時)。 線間電圧Vuvの電気角1周期分の波形(出力電圧ベクトルVsの変調率Vk=1.5の時)。 実施の形態2における3相電圧型PWMインバータ制御装置の構成図。 実施の形態2における電流脈動しているときのU相電流の波形。 実施の形態2における電流脈動を抑制したときのU相電流の波形。
実施の形態1.
実施の形態1における3相電圧型PWMインバータ制御装置について、図に基づいて構成及び動作を説明する。図1に3相電圧型PWMインバータ制御装置(以下、単にインバータ制御装置とも記す)の全体構成を示す。図1に示すインバータ制御装置は、交流電源1と、交流電源1から出力される交流電力を直流電力に変換するコンバータ回路2と、コンバータ回路2が出力する直流電力を3相交流電力に変換するインバータ主回路3と、インバータ主回路3が出力する3相交流電力により駆動される3相モータ4と、コンバータ回路2とインバータ主回路3間の直流母線負側Nに流れる直流母線電流を検出する直流電流検出手段5と、コンバータ2の出力側である直流母線正側Pと負側N間の直流母線電圧を検出する直流電圧検出回路6と、直流電流検出手段5の出力と直流電圧検出回路6の出力と外部から与えられる角速度指令値ω1*に基づいて、インバータ主回路3を制御するためのPWM駆動信号を出力するインバータ制御部7とで構成される。
コンバータ回路2は、公知の技術である全波整流回路や倍電圧整流回路で構成される。なお、コンバータ回路2に直流電圧を昇圧することが可能な昇圧回路(例えば、特許第2763479号広報に記載)や直流電圧を昇降圧できるような回路構成を備えるようにしても良い。
インバータ主回路3は、絶縁ゲート入力を持つ電力スイッチング素子SW1〜SW6、スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードD1〜D6、及びスイッチング素子を駆動する駆動回路3a〜3fにより構成される。インバータ主回路3はIPM(Intelligent Power Module)で実現するようにしても良い。
3相モータ4は、U相、V相およびW相からなる3相Y形結線の固定子4aと、永久磁石回転子4bから構成される。
直流電流検出手段5は、直流母線負側Nに設けたシャント抵抗5aと、直流母線電流によりシャント抵抗5a間に生じる電圧降下を増幅する増幅器5bにより構成され、増幅後の信号はインバータ制御部7内のA/D変換回路8に出力される。増幅器5bは例えばオペアンプを用いて構成することができる。ここで、シャント抵抗5a間の電圧降下を増幅することで直流母線に流れる直流電流を検出する構成としているが、直流母線電流を検出可能な直流電流変換器(DCCT)を用いた構成としても実現することができる。
直流電圧検出回路6は、コンバータ2の出力側である直流母線PN間の直流電圧を分圧してインバータ制御部7内のA/D変換回路9に出力する。
インバータ制御部7は、直流電流検出手段5の出力と直流電圧検出回路6の出力と外部から別途与えられる角速度指令値ω1*に基づいて、インバータ主回路3の半導体スイッチング素子SW1〜SW6をオン・オフ制御するためのPWM駆動信号(UP,UN,VP,VN,WP,WN)を出力する。ここで、UP,VP,WPは、インバータ主回路3の上アーム側のPWM駆動信号であり、それぞれSW1,SW2,SW3の駆動信号となる。UN,VN,WNは、インバータ主回路3の下アーム側のPWM駆動信号であり、それぞれSW4,SW5,SW6の駆動信号となる。インバータ制御部7は、例えばマイクロプロセッサにより実現することができる。
次にインバータ制御部7内部の構成と動作を説明する。A/D変換回路8は、後述する検出タイミング生成手段19が生成するトリガタイミング(Trg1,Trg2)で、増幅器5bから入力した値をディジタル値に変換する。乗算器10は、A/D変換回路8が出力した変換後のディジタル値に直流電流復元ゲイン(Idc_GAIN)を乗算することで、直流母線電流Idcを復元した値(Idc1_r,Idc2_r)を算出する。一方、A/D変換回路9は、後述する三角波状のキャリアの山タイミングで直流電圧検出回路6から入力した値をディジタル値に変換する。乗算器11は、A/D変換回路9が出力した変換後のディジタル値に直流電圧復元ゲイン(Vdc_GAIN)を乗算することで直流電圧Vdcを復元した値(Vdc_r)を算出する。
直流電流/相電流変換手段12は、乗算器10の出力(Idc1_r,Idc2_r)と、後述するVsセクター保持手段20により保持された出力電圧ベクトルVsのセクター情報(SCT_Vst)に基づいて、1PWM周期毎に直流母線の直流電流情報を2相分の相電流情報に変換する。また、変換後の2相分の相電流情報を用いて残りの1相分の相電流情報を算出し、各相電流情報(Iu_r,Iv_r,Iw_r)を得る。ここで、Iu_rはU相電流Iuの復元値、Iv_rはV相電流Ivの復元値、Iw_rはW相電流Iwの復元値である。
電流座標変換手段13は、後述するγ−δ軸電圧指令値(Vγ,Vδ,θ)演算手段14の出力である位相θに基づいて、直流電流/相電流変換手段12が出力する各相電流情報(Iu_r,Iv_r,Iw_r)を回転子4b上に想定した回転座標系であるγ−δ軸に座標変換してγ軸電流Iγ,δ軸電流Iδを得る。
γ−δ軸電圧指令値(Vγ,Vδ,θ)演算手段14は、電流座標変換手段13の出力であるγ軸電流Iγ、δ軸電流Iδ、及び外部から別途与えられる角速度指令値ω1*に基づいてγ軸電圧指令Vγ、δ軸電圧指令Vδ、位相θを演算する。ここで、位相θは固定子4aのU相(後述する基本電圧ベクトルV1に相当)からγ軸までの角度である。また、ここで用いる角速度、位相関連のデータはすべて電気角に換算したものを使用するものとする。なお、γ−δ軸電圧指令値(Vγ,Vδ,θ)演算手段14における具体的な演算方法は、公知技術(例えば、特許第3860031号広報に記載の方法)を流用して構成することができる。
出力電圧ベクトルVs演算手段15は、γ−δ軸電圧指令値(Vγ,Vδ,θ)演算手段14の出力であるγ軸電圧指令Vγ、δ軸電圧指令Vδ、位相θ、及び乗算器11の出力である直流電圧情報Vdc_rに基づいて、出力電圧ベクトルVsの変調率Vk及び位相θsを演算し、この変調率Vk及び位相θsから、出力電圧ベクトルVsのセクター(SCT_Vs)、及び出力電圧ベクトルVsに隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間ti,tkを演算する。
ここで、変調率Vkは式(1)を用いて算出する。また、出力電圧ベクトルVsの大きさ|Vs|、及び位相θsはそれぞれ式(2)、(3)で定義する。ここで、位相θsは固定子4aのU相(後述する基本電圧ベクトルV1に相当)から出力電圧ベクトルVsまでの角度である。
Figure 2011234428
但し、
Figure 2011234428
なお、出力電圧ベクトルVsに隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間ti,tkの具体的な算出方法については後述する。
γ−δ軸電圧指令値(Vγ,Vδ,θ)演算手段14と出力電圧ベクトルVs演算手段15により出力電圧ベクトル演算手段が構成され、直流母線電流、直流母線電圧、及び外部から与えられる角速度指令値に基づいた出力電圧ベクトルVsが演算される。
出力時間管理(出力電圧ベクトルVs’,Vs’’演算)手段16は、出力電圧ベクトルVs演算手段15の出力である出力時間ti,tkおよびVsのセクター(SCT_Vs)に基づいて、出力電圧ベクトルVs’とVs’’を生成する。ここで、出力電圧ベクトルVs’に隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間がいずれも所定時間TMIN以上となるように出力電圧ベクトルVs’とVs’’が生成される。
次に、出力時間管理(出力電圧ベクトルVs’,Vs’’演算)手段16は、出力電圧ベクトルVs’とVs’’それぞれの基本電圧ベクトル成分(ti’,tk’, ti’’,tk’’)、及び出力電圧ベクトルVs’とVs’’それぞれのセクター(SCT_Vs’,SCT_Vs’’)を演算し、出力する。ここで、出力電圧ベクトルVs’とVs’’の基本電圧ベクトル成分ti’,tk’, ti’’,tk’’は、1/2PWM周期当たりの基本電圧ベクトルの出力時間を表すものである。なお、出力電圧ベクトルVs’とVs’’のセクター及び出力電圧ベクトルVs’とVs’’の基本電圧ベクトル成分ti’,tk’, ti’’,tk’’の具体的な算出方法は後述する。
各相タイマ値演算手段17は、出力時間管理(出力電圧ベクトルVs’,Vs’’演算)手段16の出力である出力時間ti’,tk’, ti’’,tk’’および出力電圧ベクトルVs’,Vs’’のセクター(SCT_Vs’,SCT_Vs’’)に基づいて、各相タイマ値(Tu_f,Tu_r,Tv_f,Tv_r,Tw_f,Tw_r)を演算し、出力する。ここで、Tu_fはPWM周期前半のU相前半タイマ値、Tu_rはPWM周期後半のU相後半タイマ値、Tv_fはPWM周期前半のV相前半タイマ値、Tv_rはPWM周期後半のV相後半タイマ値、Tw_fはPWM周期前半のW相前半タイマ値、Tw_rはPWM周期後半のW相後半タイマ値を表す。また、出力電圧ベクトルVs’をPWM周期前半に、出力電圧ベクトルVs’’をPWM周期後半に適用するものとする。
なお、本実施の形態ではPWM駆動信号を生成する為に各相タイマ値を使用する。各相タイマ値によるPWM駆動信号の生成手法は公知技術(例えば、特許第3610897号広報を参照)を流用して実現できる。また、実際の制御としては各相タイマ値をカウンタクロックに対応した値に変換する処理が必要であるが、前記広報同様に説明の簡略化のため、各相タイマ値として、出力したい時間をそのまま使用することにする。
PWM駆動信号生成手段18は、各相タイマ値演算手段17の出力である各相タイマ値(Tu_f,Tu_r,Tv_f,Tv_r,Tw_f,Tw_r)に基づいて、インバータ主回路3の半導体スイッチング素子SW1〜SW6をオン・オフ制御するためのPWM駆動信号(UP,UN,VP,VN,WP,WN)を出力する。
検出タイミング生成手段19は、各相タイマ値演算手段17の出力である各相前半タイマ値(Tu_f,Tv_f,Tw_f)と、出力電圧ベクトルVs演算手段15の出力であるVsのセクター(SCT_Vs)に基づいて、A/D変換回路8におけるA/D変換におけるトリガタイミングを1PWM周期中に2つ(Trg1,Trg2)生成する。A/D変換回路8は、この2つのトリガタイミングに基づいて増幅器5bから入力した値をディジタル値に変換して1PWM周期中に直流母線に関する2つの直流電流情報(Idc1_r,Idc2_r)を得る。トリガタイミング(Trg1,Trg2)の具体的な生成方法については後述する。
Vsセクター保持手段20は、出力電圧ベクトルVs演算手段15の出力であるVsのセクター(SCT_Vs)を保持する。そして、保持したセクター情報(SCT_Vst)は直流電流/相電流変換手段12が直流母線電流情報(Idc1_r,idc2_r)を相電流情報(Iu_r,Iv_r,Iw_r)に変換する際に用いる。
次にインバータ制御部7内部の詳細動作を説明する。
最初に、出力電圧ベクトルVsとインバータ主回路3のスイッチング素子の制御との関係を説明する。図2は、出力電圧ベクトルVsのベクトル図である。図2において、V0〜V7は基本電圧ベクトルであり、インバータ主回路3のスイッチング素子SW1〜SW6のスイッチング状態に対応する。具体的には図3に示すように、基本電圧ベクトルV0〜V7とスイッチング素子SW1〜SW6のオン・オフ状態の8つの組み合わせとが1対1に対応する。
例えば、基本電圧ベクトルV1は、SW1、SW5、SW6がON状態、SW2、SW3、SW4がOFF状態であるスイッチング素子の状態に対応する。上アーム側のスイッチがON状態のときを「1」、OFF状態のときを「0」と表記すると、基本電圧ベクトルは(SW1,SW2,SW3)と表すことができる。この表記を使えば、基本電圧ベクトルV1は(1,0,0)、基本電圧ベクトルV2は(1,1,0)と表すことができる。なお、基本電圧ベクトルの内、V0(0,0,0)とV7(1,1,1)は大きさ零のゼロベクトルである。これに対して、V1〜V6は大きさが非零の基本電圧ベクトルである。
出力電圧ベクトルVsはV1→V2→V3→V4→V5→V6→V1・・・の方向に回転するものとする。また、基本電圧ベクトルV1から出力電圧ベクトルVsまでの角度θsが、0°≦θs<60°の区間をセクター0、60°≦θs<120°の区間をセクター1、120°≦θs<180°の区間をセクター2、180°≦θs<240°の区間をセクター3、240°≦θs<300°の区間をセクター4、300°≦θs<360°の区間をセクター5とする。前述したVsのセクター(SCT_Vs)は、出力電圧ベクトルVsが存在する区間を示すものである。例えば、図2に例示した出力電圧ベクトルVsはセクター0の区間に存在するので、SCT_Vs=0となる。
図2において、tiは出力電圧ベクトルVsに隣接する大きさが非零の基本電圧ベクトル(図2のケースではV1、V2)の内、回転方向元の基本電圧ベクトル(図2ではV1)の1/2PWM周期当たりの出力時間であり、tkは回転方向先の基本電圧ベクトル(図2ではV2)の1/2PWM周期当たりの出力時間である。
また、TMINは直流母線電流を検出するのに必要な最小所定時間である。この所定時間TMINは、インバータ主回路3が上下短絡しないように設定しているデッドタイム、スイッチング素子SW1〜6の遅延時間、増幅器5bの遅延時間、A/D変換回路8のA/D変換時間、直流母線電流Idcのリンギング時間などを考慮して別途設定した値である。
なお、図2は大きさが非零の基本電圧ベクトルV1〜V6のベクトル長を時間Tp/2(Tpは1PWM周期)として、出力時間ti、tk及び所定時間TMINを表したものであり、出力電圧ベクトルVsの基本電圧ベクトル成分ti、tkがTMIN/2≦ti<TMIN、tk≧TMINである場合について示している。
図4は、出力電圧ベクトルVsが図2(SCT_Vs=0,TMIN/2≦ti<TMIN,tk≧TMIN)の状態にある場合に、PWM周期前半及び後半共に出力電圧ベクトルVsをPWM駆動に適用した時のタイミング図である。図4において、(a)は各相タイマ値(Tu_f,Tu_r,Tv_f,Tv_r,Tw_f,Tw_r)と各相タイマ値を三角波変調するための三角波キャリアの波形、(b)は各相タイマ値と三角波キャリアを比較することにより生成されるPWM駆動信号(UP,VP,WP,UN,VN,WN)の波形、(c)は直流電流検出手段5で検出された直流母線電流Idc、(d)は出力電圧ベクトルの状態、(e)は直流母線電流Idcから得られる相電流情報である。また、toは出力電圧ベクトルVsにおける1/2PWM周期当たりのゼロベクトルV0の出力時間,thは出力電圧ベクトルVsにおけるゼロベクトルV7の1/2PWM周期当たりの出力時間である。なお、図4ではtoとthの比がto:th=1:1である場合について記載している。
図4において、PWM駆動信号(UP,VP,WP,UN,VN,WN)は、各相タイマ値(Tu_f,Tu_r,Tv_f,Tv_r,Tw_f,Tw_r)と振幅Tmaxの三角波キャリアとを比較することで得られる。但し、Tmaxはタイマ値のMAX値であり、1/2PWM周期(Tp/2)に相当する。
PWM周期の前半においては、UP,VP,WPは、それぞれタイマ値Tu_f,Tv_f,Tw_fが三角波キャリア以下の時に「H」となり、三角波キャリアより大きいときに「L」となる。PWM周期の後半においては、UP,VP,WPは、それぞれタイマ値Tu_r,Tv_r,Tw_rが三角波キャリア以下の時に「H」となり、三角波キャリアより大きいときに「L」となる。UN,VN,WNは、それぞれUP,VP,WPを反転した信号となる。ここで,PWM駆動信号が「H」の時に対応するスイッチング素子は「ON」状態に駆動され、「L」の時に対応するスイッチング素子は「OFF」状態に駆動される。例えば、UPが「H」の時は対応するスイッチング素子であるSW1は「ON」状態となり、UPが「L」のときSW1は「OFF」状態となる。実際はインバータ主回路3のスイッチング素子の上下短絡を防ぐために数μsのデッドタイムを設ける必要があるが、ここでは説明の簡略化のため省略して図示している。
図4に示したケースでは、電圧ベクトル状態はV0,V1,V2,V7の4種類の状態をとる。電圧ベクトル状態がV1の時は、U相の上アーム側スイッチング素子SW1とV相、W相の下アーム側スイッチング素子SW5,SW6がON状態となる。この為、直流電流が直流母線正側PからSW1を介して三相モータ4のU相巻線を流れ、V相及びW相巻線を通り、下アーム側スイッチング素子SW5、SW6を介してシャント抵抗5aを流れ、直流母線負側Nに戻る。従って、三相モータ4に流れ込む電流方向を正とすると、電圧ベクトル状態がV1の時に検出される直流母線電流Idcは+Iu(+U相電流)となる。ここで、上述はONしているスイッチング素子に電流が流れる状態のときの説明をしているが、その他の電流が流れる状態(例えば、スイッチング素子に逆並列に接続されたダイオードD1〜D6に電流が流れるようなケース)においても電圧ベクトル状態がV1の時に検出される直流母線電流Idcは+Iu(+U相電流)となる。
次に、電圧ベクトル状態がV2の時の動作について説明する。電圧ベクトル状態がV2の時は、U相およびV相の上アーム側スイッチング素子SW1、SW2とW相の下アーム側スイッチング素子SW6がON状態となる。このときの直流電流が直流母線正側PからSW1,SW2を介して、三相モータ4のU相およびV相巻線を流れ、W相巻線を通り、下アーム側スイッチング素子SW6を介してシャント抵抗5aを流れ、直流母線負側Nに戻る。従って、三相モータ4に流れ込む電流方向を正とすると、電圧ベクトル状態がV2の時に検出される直流母線電流Idcは−Iw(−W相電流)となる。ここで,上述はONしているスイッチング素子に電流が流れる状態のときの説明をしているが、その他の電流が流れる状態においても電圧ベクトル状態がV2のときに検出される直流母線電流Idcは−Iw(−W相電流)となる。
また、電圧ベクトル状態がV0の時は、下アーム側スイッチング素子SW4,SW5,SW6のみがON状態となる。また、電圧ベクトル状態がV7の時は、上アーム側スイッチング素子SW1,SW2,SW3のみがON状態となる。従って、電圧ベクトル状態がゼロベクトルV0,V7の時は、検出される直流母線電流Idcから得られる相電流情報は不定となる。図5は電圧ベクトル状態と直流母線電流Idcから得られる相電流情報との関係を纏めたものである。なお、図5には電圧ベクトル状態がV0,V1,V2,V7以外の時も含めて記載されている。
以上説明したように、出力電圧ベクトルVsがセクター0(SCT_Vs=0)にある場合は、電圧ベクトル状態がV1又はV2の時、直流母線電流Idcからそれぞれ+Iu(+U相電流)又は−Iw(−W相電流)を検出することができる。つまり、出力電圧ベクトルVsに隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの出力状態時に直流母線電流Idcから2相分の相電流情報を得ることができる。
なお、2相分の相電流検出は、検出タイミング生成手段19により生成される2つのA/D変換トリガタイミング(Trg1,Trg2)を用いて、A/D変換回路8にて直流母線電流Idcのサンプリング及びA/D変換処理により行われる。
検出タイミング生成手段19は、各相前半タイマ値の中で中間の大きさを持つタイマ値を基準にA/D変換回路8のA/D変換時間(Tad)分進んだタイミングを第1のA/D変換トリガタイミング(Trg1)として設定する。また、Trg1のタイミングから所定時間TMIN遅れたタイミングを第2のA/D変換トリガタイミング(Trg2)として設定する。
ここで、各相前半タイマ値の中で中間の大きさを持つタイマ値はVsのセクター(SCT_Vs)により求めることができる。例えば、図4のようにSCT_Vs=0の場合は、各相前半タイマ値の中で中間の大きさを持つタイマ値はTv_fとなる。そして、Trg1のタイミングで検出された直流母線電流情報がIdc1_r、Trg2のタイミングで検出された直流母線電流情報がIdc2_rとなる。
直流電流/相電流変換手段12は、Vsセクター保持手段20に保持された直流電流検出タイミング時のセクター情報(SCT_Vst)と、直流母線電流情報(Idc1_r,Idc2_r)から2相分の相電流情報を得る。図6に、Vsセクター保持手段20で保持した直流電流検出タイミング時のセクター情報(SCT_Vst)に基づいて直流母線電流情報(Idc1_r,Idc2_r)から得られる相電流情報を示す。例えば、SCT_Vst=0の場合は、Idc1_r=+Iu_r、Idc2_r=−Iw_rとなる。また、残りの1相分の相電流は「Iu+Iv+Iw=0」の関係より求めることができる。直流電流/相電流変換手段12は、このようにして得られたU,V,W相の相電流Iu_r,Iv_r,Iw_rを出力する。
次に出力電圧ベクトルVs演算手段15の動作を図11の動作フロー図を用いて説明する。まず、前述の式(1)、(2)、(3)より出力電圧ベクトルVsの変調率Vk及び位相θsを演算する(STEP1)。位相θsより式(4)でVsのセクター(SCT_Vs)を演算する(STEP2)。
Figure 2011234428
次に、出力電圧ベクトルVsの変調率Vk、位相θsおよびVsのセクター(SCT_Vs)に基づき、出力電圧ベクトルVsに隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの出力時間ti、tkを式(5)〜(7)により演算する(STEP3)。
Figure 2011234428
但し、
Figure 2011234428
次に、出力時間ti,tkの和が1/2PWM周期(Tp/2)より大きいか否かを判定し(STEP4)、出力時間ti,tkの和の方が大きいと判定した場合にはSTEP5〜7の処理により、出力時間ti,tkの再演算を行う。
一方、STEP4で、出力時間ti,tkの和が1/2PWM周期(Tp/2)以下と判定した場合には出力時間ti,tkをそのまま確定して終了する。
出力時間ti,tkの再演算は、出力時間ti,tkの和と1/2PWM周期(Tp/2)との差分である時間tzを演算し、このtzの1/2をそれぞれti,tkから減算することにより、ti,tkを更新する(STEP5)。
次に、STEP5の更新後の出力時間tiが0≦ti≦Tp/2でない場合には、tiにリミッタを掛ける。具体的には、ti<0の時はti=0とし、ti>Tp/2の時はti=Tp/2とする(STEP6)。同様に、STEP5の更新後の出力時間tkに対してもリミッタ処理を行う(STEP7)。
STEP5〜7の処理を行うことで、変調率Vkが1より大きい場合でも、出力時間ti,tkの和を1/2PWM周期(Tp/2)以下にすることができ、さらにモータ4に供給する線間電圧の基本周波数成分の位相を再演算前後で同じとすることができる。
次に、出力時間管理(出力電圧ベクトルVs’,Vs’’演算)手段16の詳細動作を説明する。最初に、出力時間管理手段16における出力電圧ベクトルVs’,Vs’’演算の必要性、及び基本的な演算原理を説明する。
出力電圧ベクトルVsに隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトル成分の出力時間が所定時間TMIN未満の場合には直流母線電流を検出するのに必要な時間を確保できない為、その出力時間における直流母線電流を正確に検出できない。図2及び図4で説明したケースでは、TMIN/2≦ti<TMIN、tk≧TMINの為、出力時間tkにおける直流母線電流は検出できるが、出力時間tiにおける直流母線電流は正確に検出できない。その為、この場合は1PWM周期中に直流母線電流Idcから2相分の相電流情報を得ることができない。
このような場合には、図7のように出力電圧ベクトルVsを出力電圧ベクトルVs’、Vs’’に分離することにより、1PWM周期中に直流母線電流Idcから2相分の相電流情報が得られるようにすることができる。図7では、V1の1/2PWM周期当たりの出力時間をTMIN、V2の1/2PWM周期当たりの出力時間をtkとする出力電圧ベクトルVs’と、V1の1/2PWM周期当たりの出力時間を2×ti−TMIN、V2の1/2PWM周期当たりの出力時間をtkとする出力電圧ベクトルVs’’に分けている。図8は、出力電圧ベクトルVsが図7(図2)の状態において、PWM周期前半にVs’を、PWM周期の後半にVs’’を適用したときのタイミング図である。
図8において、ti’は出力電圧ベクトルVs’に隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトル(図7ではV1、V2)の内、回転方向元の基本電圧ベクトル(図7ではV1)の1/2PWM周期当たりの出力時間、tk’は回転方向先の基本電圧ベクトル(図7ではV2)の1/2PWM周期当たりの出力時間、to’は出力電圧ベクトルVs’における1/2PWM周期当たりのゼロベクトルV0の出力時間、th’は出力電圧ベクトルVs’におけるゼロベクトルV7の1/2PWM周期当たりの出力時間である。
また、ti’’は出力電圧ベクトルVs’’に隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトル(図7ではV1、V2)の内、回転方向元の基本電圧ベクトル(図7ではV1)の1/2PWM周期当たりの出力時間、tk’’は回転方向先の基本電圧ベクトル(図7ではV2)の1/2PWM周期当たりの出力時間、to’’は出力電圧ベクトルVs’’における1/2PWM周期当たりのゼロベクトルV0の出力時間、th’’は出力電圧ベクトルVs’’におけるゼロベクトルV7の1/2PWM周期当たりの出力時間である。従って、ti’=TMIN、tk’=tk、ti’’=2×ti−TMIN、tk’’=tkとなる。なお、図8では、ゼロベクトル長の比率がto’:th’=1:1、to’’:th’’=1:1である場合を示している。
このように、出力電圧ベクトルVsの代わりに、Vs’及びVs’’を用いれば、ti’=TMIN、tk’=tk≧TMINとなるので、出力時間ti’,tk’の期間に直流母線電流Idcを検出することが可能となる。これにより、1PWM周期中に直流母線電流Idcから2相分の相電流情報を得ることができるようになる。
図7では、出力電圧ベクトルVs’及びVs’’が所属するセクターは、出力電圧ベクトルVsの所属するセクターと同一であるようなケースであった。次に、出力電圧ベクトルVs’又はVs’’が所属するセクターが、出力電圧ベクトルVsの所属するセクターと異なるケースについて説明する。
図9は、図7の出力電圧ベクトルVsが更に回転して、ti<TMIN/2、tk≧TMINの状態にある場合のベクトル図である。この場合も、出力電圧ベクトルVsをPWM周期の前半・後半共に出力すると、1PWM周期中に直流母線電流Idcから2相分の相電流情報を得ることができない。そこで、図7と同様に出力電圧ベクトルVsを出力電圧ベクトルVs’、Vs’’に分離することにより、1PWM周期中に直流母線電流Idcから2相分の相電流情報を得られるようにすることができる。
具体的には図9に示すように、V1の1/2PWM周期当たりの出力時間をTMIN、V2の1/2PWM周期当たりの出力時間をtkとする出力電圧ベクトルVs’と、V2の1/2PWM周期当たりの出力時間をtk−(TMIN−2×ti)、V3の1/2PWM周期当たりの出力時間をTMIN−2×tiとする出力電圧ベクトルVs’’に分ける。
図10は、出力電圧ベクトルVsが図9の状態において、PWM周期前半にVs’を、PWM周期の後半にVs’’を適用したときのタイミング図である。図9では、出力電圧ベクトルVs’は図7同様にセクター0の区間(SCT_Vs’=0)にあるが、出力電圧ベクトルVs’’はセクター1の区間(SCT_Vs’’=1)にある為、ti’’は出力電圧ベクトルVs’’におけるV2の1/2PWM周期当たりの出力時間となり、tk’’は出力電圧ベクトルVs’’におけるV3の1/2PWM周期当たりの出力時間となる。従って、ti’=TMIN、tk’=tk、ti’’=tk−(TMIN−2×ti)、tk’’=TMIN−2×tiとなる。
このように図10では図8のケースと同様に出力電圧ベクトルVsの代わりにVs’及びVs’’を用いるので、ti’=TMIN,tk’=tk≧TMINとなる。これにより、出力時間ti’,tk’の期間に直流母線電流Idcを検出できることが可能となり、1PWM周期中に直流母線電流Idcから2相分の相電流情報を得られることになる。
続いて出力時間管理(出力電圧ベクトルVs’,Vs’’演算)手段16の動作を図12の動作フロー図を用いて説明する。出力時間管理(出力電圧ベクトルVs’,Vs’’演算)手段16は、STEP8〜28で、出力電圧ベクトルVs演算手段15で演算した出力時間ti,tkと所定時間TMINにより11個のケース(case)に分類して演算処理を実行する。
出力時間tiが所定時間TMIN以上かつ出力時間tkが所定時間TMIN以上である場合はcase=0(STEP10)とし、出力時間tiが所定時間TMIN以上かつ出力時間tkが所定時間TMIN未満TMIN/2以上である場合はcase=1(STEP12)とし、出力時間tiが所定時間TMIN以上かつ出力時間tkが所定時間TMIN/2未満である場合はcase=2(STEP13)とする。
また、出力時間tiが所定時間TMIN未満TMIN/2以上かつ出力時間tkが所定時間TMIN以上である場合はcase=3(STEP16)とし、出力時間tiが所定時間TMIN未満TMIN/2以上かつ出力時間tkがTMIN未満TMIN/2以上である場合はcase=4(STEP19)とし、出力時間tiが所定時間TMIN未満TMIN/2以上かつ出力時間ti,tkの和がTMIN以上かつ出力時間tkが所定時間TMIN/2未満である場合はcase=5(STEP20)とし、出力時間tiが所定時間TMIN未満TMIN/2以上かつ出力時間ti,tkの和がTMIN未満である場合はcase=6(STEP21)とする。
また、出力時間tiが所定時間TMIN/2未満かつ出力時間tkが所定時間TMIN以上である場合はcase=7(STEP23)とし、出力時間tiが所定時間TMIN/2未満かつ出力時間tkが所定時間TMIN未満かつ出力時間ti,tkの和がTMIN以上である場合はcase=8(STEP25)とし、出力時間tiが所定時間TMIN/2未満かつ出力時間ti,tkの和がTMIN未満かつ出力時間tkが所定時間TMIN未満TMIN/2以上である場合はcase=9(STEP27)とし、出力時間tiが所定時間TMIN/2未満かつ出力時間tkが所定時間TMIN/2未満である場合はcase=10(STEP28)とする。
次にSTEP29において、STEP8〜28で算出されたcaseにおける出力電圧ベクトルVs’,Vs’’のセクター(SCT_Vs’,SCT_Vs’’)を算出する。各caseにおける出力電圧ベクトルVs’,Vs’’のセクター(SCT_Vs’,SCT_Vs’’)は、出力電圧ベクトルVsのセクター(SCT_Vs)より図13の対応関係から求めることができる。例えば、SCT_Vs=0でcase=5の場合には、SCT_Vs’=0,SCT_Vs’’=5となる。なお、SCT_Vs’については全てのcaseにおいてSCT_Vs’=SCT_Vsが成り立つ。
例として、前述したSTEP8〜28の処理を図7の状態の出力電圧ベクトルVsに適用するとcase=3と判定され、図9の出力電圧ベクトルVsに適用するとcase=7と判定される。
次にSTEP30において、出力電圧ベクトルVs’に隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間ti’,tk’およびVs’’ に隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間ti’’,tk’’を算出する。まず、算出処理の流れを説明する。
最初に、出力時間ti,tkと、STEP8〜28で算出されたcase番号に基づいて、図14に示した関係から出力時間ti’,tk’,ti’’,tk’’を求める。例えば,case=5の場合,ti’=TMIN,tk’=TMIN,ti’’=TMIN−2×tk,tk’’=2×(ti+tk−TMIN)となる。
ここで、case=1,2,3,7の時には、出力時間ti’,tk’の和及び出力時間ti’’,tk’’の和の一方もしくは両方が1/2PWM周期(Tp/2)より大きくなる状態が発生しうる。そこでこのような場合には、以下のようなti’,tk’,ti’’,tk’'の再演算を行う。
まず、出力時間ti’,tk’の和が1/2PWM周期(Tp/2)より大きい場合は、出力時間ti’,tk’の和と1/2PWM周期(Tp/2)との差分を計算し、この差分を出力時間ti’,tk’の内の大きい方の出力時間から減算する。次に、前記差分を出力時間ti’’,tk’’の内の大きい方の出力時間に加算する。続いて出力時間ti’’,tk’’の和が1/2PWM周期(Tp/2)より大きい場合は、出力時間ti’’,tk’’の和と1/2PWM周期(Tp/2)との差分を計算し、この差分を出力時間ti’’,tk’’の内の小さい方の時間から減算する。
なお、図14に従いti’,tk’,ti’’,tk’’を設定すると、case=1ではti’>tk’、ti’’>tk’’となり、case=2ではti’>tk’,ti’’<tk’’となり、case=3ではti’<tk’,ti’’<tk’’となり、case=7ではti’<tk’,ti’’>tk’’となるが、これらの大小関係はti’,tk’,ti’’,tk’’の再演算後も成立する関係である。
次に出力時間ti’,tk’,ti’’,tk’’の具体的な演算手順をcase=1の場合について図15の動作フロー図に基づいて説明する。
まず、STEP31で図14に従いcase=1の時のti’,tk’,ti’’,tk’’を設定する。そして、出力時間ti’,tk’の和から1/2PWM周期(Tp/2)を減算してtov1を計算する。
STEP32で、このtov1が0より大きいか否かを判定し、tov1が0より大きい場合は、STEP33〜38の処理を行い出力時間ti’,tk’,ti’’,tk’’を再演算する。一方、tov1が0以下の時は、出力時間ti’,tk’,ti’’,tk’’の再演算はせずにそのまま終了する。
次に、出力時間ti’,tk’,ti’’,tk’’の再演算手順を説明する。まずSTEP33で出力時間ti’から時間tov1を減算して出力時間ti’を更新し、また出力時間ti’’に時間tov1を加算して出力時間ti’’を更新する。
STEP34で、STEP33で得たti’’が0≦ti’’≦Tp/2の範囲となるようにリミッタを掛ける。
STEP35で、出力時間ti’’,tk’’の和から1/2PWM周期(Tp/2)を減算してtov2を算出する。
STEP36で、時間tov2が0より大きいか否かを判定し、0より大きいと判定した場合は、出力時間tk’’から時間tov2を減算して出力時間tk’’を更新する(STEP37)。STEP37の演算により、2つの出力時間ti’’,tk’’の内短い方の成分であるtk’’の出力時間をさらに短くして、2つの出力時間の和が1/2PWM周期となるようにVs’’を再演算したことになる。
次に、STEP37で演算したtk’’が0≦tk’’≦Tp/2の範囲となるようにリミッタを掛ける(STEP38)。
一方、STEP36で時間tov2が0以下であると判定した場合は、出力時間tk’’の再演算は行わずにそのまま終了する。
以上説明したti’,tk’,ti’’,tk’’の再演算処理において、tk’は変更されずtk’=TMINである。また、ti’はti’=Tp/2−TMINとなる。従って、TMIN≦Tp/4であれば、ti’≧TMINとなる。ここで、インバータのPWM制御において、TMIN≦Tp/4という条件は現実的に達成可能な制約条件である。従って、前述のti’,tk’,ti’’,tk’’の再演算処理を行うことにより、1PWM周期中に直流母線電流Idcから2相分の相電流情報を検出できるPWM駆動信号を出力することが可能となる。
また、ti’,tk’,ti’’,tk’’の再演算処理によって、再演算後の出力電圧ベクトルVs’とVs’’の平均ベクトルは出力電圧ベクトルVsに等しくならないケースが出てくる。これは、1PWM周期中に直流母線電流Idcから2相分の相電流情報を検出できるPWM駆動信号を出力することを優先したことを意味する。
以上、case=1の場合について説明したが、case=2,3,7の時も同様に出力時間ti’,tk’,ti’’,tk’’を再演算する。これらの再演算処理により、case=2,3,7の場合でも1PWM周期中に直流母線電流Idcから2相分の相電流情報を検出できるPWM駆動信号を出力することが可能となる。
次に、各相タイマ値演算手段17の動作について図16の動作フロー図を用いて説明する。まず、STEP39において、出力時間管理(出力電圧ベクトルVs’,Vs’’演算)手段16で演算した出力時間ti’,tk’,ti’’,tk’’を用いて出力電圧ベクトルVs’におけるゼロベクトルV0の1/2PWM周期当たりの出力時間to’と出力電圧ベクトルVs’’におけるゼロベクトルV0の1/2PWM周期当たりの出力時間to’’を式(8)(9)で算出する。
Figure 2011234428
但し、Kv0’は出力電圧ベクトルVs’における1/2PWM周期当たりのゼロベクトルの総出力時間(to’+th’)に対するゼロベクトルV0の出力時間to’の割合であり、Kv0’’は出力電圧ベクトルVs’’における1/2PWM周期当たりのゼロベクトルの総出力時間(to”+th”)に対するゼロベクトルV0の出力時間to”の割合である。例えば、to’:th’=1:1で出力する場合は、Kv0’=0.5に設定する。
次に、STEP40で出力電圧ベクトルVs’のセクター(SCT_Vs’)と出力時間ti’,tk’,to’に基づいて、図17から各相前半タイマ値(Tu_f,Tv_f,Tw_f)を演算する。同様に、出力電圧ベクトルVs’’のセクター(SCT_Vs’’)と出力時間ti’’,tk’’,to’’に基づいて、図18から各相後半タイマ値(Tu_r,Tv_r,Tw_r)を演算する。
例えばSCT_Vs=0でcase=3の場合、SCT_Vs’=0,SCT_Vs’’=0であるので(図13参照)、Tu_f=to’,Tv_f=Tu_f+ti’,Tw_f=Tv_f+tk’,Tu_r=to’’,Tv_r=Tu_r+ti’’,Tw_r=Tv_r+tk’’となる。
PWM駆動信号生成手段18は、各相タイマ値演算手段17が生成した各相タイマ値(Tu_f,Tu_r,Tv_f,Tv_r,Tw_f,Tw_r)と三角波変調するためのキャリアとを比較することで、図8に示すようにPWM駆動信号(UP,UN,VP,VN,WP,WN)の生成を行う。
図19〜22は、変調率Vk=1.5である場合の各相タイマ値、3相モータ4の端子間電圧を出力電圧ベクトルVsの位相に対して示したものである。
図19はU相タイマ値Tu_f、Tu_rの和の波形、図20は3相モータ4のU相と母線負側Nとの端子間電圧Vunの波形、図21はU相タイマ値Tu_f,Tu_rの和とV相タイマ値Tv_f,Tv_rの和との差の波形、図22は3相モータ4のU相とV相との線間電圧Vuvの波形である。
図19〜22において、横軸は出力電圧ベクトルVsの位相θsであり、それぞれの図は電気角1周期分の波形を示している。また、各図の(a)は出力電圧ベクトルVsのまま(case0)のときの波形であり、各図の(b)は本実施の形態を適用した場合の波形である。但し、実際は端子間電圧Vun、線間電圧Vuvにはキャリアが重畳された波形となる。なお、ここでは1/2PWM周期当たりのゼロベクトルの比がV0:V7=1:1の場合について示している。しかし、図21、22の波形についてはゼロベクトルの比に係わらず同じ波形となる。
図19の波形は、U相下アーム駆動信号UNの1PMW周期当たりの「H」の出力時間の波形でもある。U相上アーム駆動信号UPの1PMW周期当たりの「H」の出力時間の波形は、図19の波形を「Tp/2」を中心に反転した波形となる。また、図21の波形は、U相下アーム駆動信号UNとV相下アーム駆動信号VNの1PMW周期当たりの「H」の出力時間の差の波形でもある。U相上アーム駆動信号UPとV相上アーム駆動信号VPの1PMW周期当たりの「H」の出力時間の差の波形は、図21の波形を「0」を中心に反転した波形となる。
図19〜22で(a)と(b)の波形を比較すると分かるように、変調率が1より大きい場合でも、本実施の形態による出力時間管理手段の制御を行うことにより、各種波形の変形を極力抑制して、PWM駆動信号(UP,UN,VP,VN,WP,WN)の生成を行うことが可能となる。
また、図22(a),(b)に示すように変調率が1より大きくなると、線間電圧の波形としては正弦波状態を確保できなくなるが、変調率を1で制限するときより、大きな出力電圧を出力することができる。
本実施の形態では、1/2PWM周期当たりのゼロベクトルの比をV0:V7=1:1にする場合について説明したが、この比を任意の値に設定するようにしても良い。また、出力電圧ベクトルVs’をPWM周期の前半期間に適用し、出力電圧ベクトルVs’’をPWM周期の後半期間に適用する場合について説明したが、出力電圧ベクトルVs’をPWM周期の後半期間に適用し、出力電圧ベクトルVs’’をPWM周期の前半期間に適用するようにしてもよい。なお、本発明の趣旨から逸脱せずに各構成要素を変形して具現化することや、同等な機能を有する代替手段で構成要素を置換することも可能であることは言うまでもない。
以上説明したように、実施の形態1では、図11で説明した制御処理により、出力電圧ベクトルVsに隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間の和が1/2PWM周期より大きい場合、1/2PWM周期との差分である時間の1/2を前記出力時間の各々から減算した値をそれぞれの出力時間として再演算するようにしたので、前記2つの出力時間の和が1/2PWM周期以内となると共に、モータに供給する線間電圧の基本周波数成分の位相を再演算前後で同じとすることができる。つまり、変調率が1より大きいことで線間電圧の波形としては正弦波状態を確保することはできないが、線間電圧の基本周波数成分の位相には影響を与えないようにすることができるので制御性への影響を最小限に抑えることができる。
また、図12で説明したように、出力電圧ベクトルVs’、Vs’’を演算するに際しては、出力電圧ベクトルVsに隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間及び所定時間TMINに基づいて11通りのケースに分けて演算するようにしたので、よりきめ細かい演算が可能となり、出力電圧ベクトルVsで制御したときの特性に近いPWM駆動信号を出力することができる。つまり、出力電圧ベクトルVsでは発生しない基本電圧ベクトル成分を出力することなどにより生じる相電流波形の歪を抑制することができる。また、それに伴い発生する騒音なども抑制することができる。
また、図12〜15で説明したように、出力電圧ベクトルVs’に隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間の各々が所定時間TMIN以上となるように出力電圧ベクトルVs’,Vs’’の出力時間管理を行う出力時間管理手段を設けたので、1PWM周期中に直流母線電流から2相分の相電流情報を検出可能なPWM駆動信号を出力することができる。これにより、直流母線電流を検出するという安価な電流検出手段を用いることで、変調率が1より大きい状態においても安定したインバータ駆動制御が可能となる。
また、出力電圧ベクトルVsの変調率が1より大きい状態でも1PWM周期中に直流母線電流から2相分の相電流情報を検出することができるようにすることで、直流母線電流を検出するという安価な電流検出手段を用いて、誘起電圧定数の高い高効率な永久磁石型同期電動機をインバータ制御装置の負荷として使用することが可能となる。
また、図15のSTEP36〜38で説明したように、出力電圧ベクトルVs’’ に隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間の和が1/2PWM周期より大きい場合には、2つの出力時間の内短い方の成分の出力時間をさらに短くして、2つの出力時間の和が1/2PWM周期となるようにVs’’を再演算するようにしたので、変調率が1より大きい場合でも出力電圧ベクトルVsに隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトル成分以外の基本電圧ベクトル成分の発生を抑制している。
また、出力電圧ベクトルVs’ における2つのゼロベクトルの比率および出力電圧ベクトルVs’’における2つのゼロベクトルの比率をそれぞれ任意に設定できるようにしたので、例えばランダムにゼロベクトルの比率を可変することで、PWM駆動信号を生成するためのキャリア周波数を一定にしたままでも騒音低減を図ることができる。
また、図12で説明したcase=6,9,10以外となる領域では、出力電圧ベクトルVsに近いゼロベクトル以外の3つの基本電圧ベクトルとゼロベクトルの組合せにより生成したPWM駆動信号で、1PWM周期中に直流母線電流から2相分の相電流情報を検出できることが可能であるので、30°≦θs<90°の区間ではKv0’=Kv0’’=1,90°≦θs<150°の区間ではKv0’=Kv0’’=0というように,60°毎にゼロベクトルの比率を可変することで二相変調制御とすることができ、インバータ主回路のスイッチング損失の低減を図ることも可能となる。
また、所定時間TMINを直流母線電流を検出するのに必要な最小時間とすることで、より出力電圧ベクトルVsで制御したときの特性に近いPWM駆動信号を出力することができる。つまり、出力電圧ベクトルVsでは発生しない基本電圧ベクトル成分を出力することなどにより生じる相電流波形の歪を抑制することができる。また、それに伴い発生する騒音なども抑制することができる。
また、前記出力電圧ベクトルVs’をPWM周期の前半期間もしくは後半期間に適用し、前記出力電圧ベクトルVs’’を前記出力電圧ベクトルVs’とは異なるPWM半周期に適用するようにしたので、出力電圧ベクトルVs’の出力期間である1/2PWM周期中に直流母線電流から2相分の相電流情報を検出できる。その為、残りの1相の相電流情報も精度よく求めることが可能となり、インバータ駆動の制御性を向上することができる。
さらに、前記直流母線電流から2相分の相電流情報を得る間隔を所定時間TMINとするようにしたので、残りの1相分の相電流情報をより精度よく求めることが可能となり、インバータ駆動の制御性をより向上することができる。
また、インバータ主回路を構成する半導体素子としてワイドギャップ半導体素子を使用することでインバータ主回路のデッドタイム時間、スイッチング時間などの時間の短縮化が可能となる。これにより、直流母線電流を検出するのに必要な最小時間を縮小することができ、出力電圧ベクトルVsで制御したときの特性により近いPWM駆動信号を出力することが可能となる。つまり、出力電圧ベクトルVsでは発生しない基本電圧ベクトル成分を出力することなどにより生じる相電流波形の歪を抑制することができる。また、それに伴い発生する騒音なども抑制することができる。なお、ワイドギャップ半導体素子としては、例えば、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)系材料又はダイヤモンドがある。
また、永久磁石電動機を搭載した圧縮機に本実施の形態のインバータ制御装置を接続することで、安価で騒音発生の少ない圧縮機駆動装置が得られる。また、本実施の形態のインバータ制御装置を搭載した空気調和器についても同様の効果が得られる。
実施の形態2.
実施の形態1では、出力電圧ベクトルVsの変調率が1より大きい場合でも1PWM周期中に直流母線電流Idcから2相分の相電流情報を検出できるようにしたものであった。実施の形態2では、さらにインバータ制御装置のインバータ周波数とPWM駆動信号を生成するためのキャリア周波数との干渉により相電流に生じる電流脈動を抑制することができる3相電圧型PWMインバータ制御装置について説明する。
実施の形態2におけるインバータ制御装置の構成を図23に示す。実施の形態2では脈動抑制補償器21、加算器22を設け、γ−δ軸電圧指令値(Vγ,Vδ,θ)演算手段14'が外部から与えられる角速度指令値ω1*の代わりに加算器22からの出力に基づいて演算するようにしたものである。その他の構成は実施の形態1と同じであるので、実施の形態1と同一構成部分については同一の符号を付して説明は省略する。
本実施の形態におけるインバータ制御装置の動作について図23を用いて説明する。
脈動抑制補償器21は、電流座標変換手段13が出力するδ軸電流Iδに発生する電流脈動成分を抽出して、その電流脈動成分に比例した値を角速度補償量ωdとして出力する。加算器22は、外部から与えられる角速度指令値ω1*と角速度補償量ωdを加算し、γ−δ軸電圧指令値(Vγ,Vδ,θ)演算手段14'に出力する。ここで、脈動抑制補償器21は公知の技術であるバンドパスフィルタを用いた構成(例えば、特開2009−44873号広報に記載)で実現することができる。なお、前記広報では脈動抑制補償器の入力として回転座標系であるdq座標軸における電流値を用いているが、本実施の形態のように回転座標系であるγδ座標軸における電流値を用いても同様に電流脈動成分を検出できる。
一例として、3相モータ4の極数が6極で、インバータ周波数が342Hz、キャリア周波数が4500Hzおける角速度補償量ωd=0(脈動抑制補償器21がない場合に相当)の場合のU相電流波形を図24に示す。図24では約18.5ms周期つまり54HzにてU相電流が脈動している。これはインバータ周波数の13次高調波である4446Hzと前記インバータのキャリア周波数4500Hzとの干渉により、その差分の54Hzつまり約18.5ms周期にて相電流が脈動しているものである。
そこで、本実施の形態のように脈動抑制補償器21にてこの電流脈動成分を抽出できるようにバンドパスフィルタを構成し、その電流脈動成分に比例した値を角速度補償量ωdとして脈動抑制補償を行った場合のU相電流波形を図25に示す。図25から分かるように、この脈動抑制補償を行うことにより、約18.5ms周期にて発生していた相電流脈動を軽減することができる。
なお、脈動抑制補償器21より電流脈動成分を正確に抽出する為には、1PWM周期中に直流母線電流Idcから2相分の相電流情報を検出することが前提である。この為に、実施の形態1で説明した演算制御により、出力電圧ベクトルVsの変調率Vkが1より大きい場合でも1PWM周期中に直流母線電流Idcから2相分の相電流情報を検出できるようにすることが必要である。
以上説明したように、実施の形態2では、電流座標変換手段13が出力するδ軸電流Iδに発生する電流脈動成分を抽出して、その電流脈動成分に比例した値を角速度補償量ωdとして出力する脈動抑制補償器21と、外部から与えられる角速度指令値ω1*と角速度補償量ωdを加算する加算器22とを備えることにより、出力電圧ベクトルVsの変調率が1より大きい場合でもインバータ制御装置のインバータ周波数とPWM駆動信号を生成するためのキャリア周波数との干渉などにより相電流に生じる電流脈動を抑制することができる。そして、相電流脈動を抑制することで相電流ピーク値を抑制することができるので、過電流保護回路(図示なし)による動作停止を防ぐことができる。
なお、本実施の形態では、インバータ周波数とPWM駆動信号を生成するためのキャリア周波数との干渉により相電流に生じる電流脈動を抑制する場合について説明したが、インバータ周波数と交流電源1の周波数との干渉により生じる電流脈動についても、その電流脈動成分を抽出できるように脈動抑制補償器21内のバンドパスフィルタを構成することで、電流脈動の抑制が可能である。また、インバータ周波数とキャリア周波数との干渉により生じる電流脈動とインバータ周波数と交流電源の周波数との干渉により生じる電流脈動を同時に抑制することも可能であることは言うまでもない。
本実施の形態における制御手段を空気調和器などの電気機器に適用することにより、機器の運転範囲を拡大することができ、最大性能をアップすることが可能となる。また、相電流脈動による騒音の発生も防ぐことが可能となるので、機器の低騒音化の効果もある。
1 交流電源、2 コンバータ回路、3 インバータ主回路、4 3相モータ、5 直流電流検出手段、6 直流電流検出手段、7 インバータ制御部、8 A/D変換回路、9 A/D変換回路、10 乗算器、11 乗算器、12 直流電流/相電流変換手段、13 電流座標変換手段、14 γ−δ軸電圧指令値(Vγ,Vδ,θ)演算手段、15 出力電圧ベクトルVs演算手段、16 出力時間管理(出力電圧ベクトルVs’,Vs’’演算)手段、17 各相タイマ値演算手段、18 PWM駆動信号生成手段、19 検出タイミング生成手段、20 Vsセクター保持手段、21 脈動抑制補償器、22 加算器

Claims (18)

  1. 直流母線から供給される直流電力を複数のスイッチング素子を用いて3相交流電力に変換するインバータ主回路と、
    前記直流母線に流れる直流母線電流を検出する直流電流検出手段と、
    前記直流母線の正側と負側間の直流母線電圧を検出する直流電圧検出回路と、
    前記インバータ主回路のスイッチング素子を制御するPWM駆動信号を出力するインバータ制御部とを備え、
    前記インバータ制御部は、
    前記直流母線電流、前記直流母線電圧、及び外部から与えられる角速度指令値に基づいて出力電圧ベクトルVsを演算する出力電圧ベクトル演算手段と、
    出力電圧ベクトルVs’及びVs’’の平均ベクトルが前記出力電圧ベクトルVsに等しく、かつ前記出力電圧ベクトルVs’に隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間の各々が所定時間TMIN以上となるように前記出力電圧ベクトルVs’及びVs’’とを演算する第1演算処理と、前記Vs’’ に隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間の和が1/2PWM周期より大きい場合は、前記2つの出力時間の内短い方の出力時間をさらに小さくし、かつ前記出力時間の和が1/2PWM周期となるようにVs’’の再演算を行う第2演算処理によって出力時間の管理を行う出力時間管理手段と、
    前記再演算後の出力電圧ベクトルVs’及びVs’’に基づいてPWM駆動信号を生成するPWM駆動信号生成手段とを備え、
    前記再演算後の出力電圧ベクトルVs’及びVs’’の平均ベクトルは、前記出力電圧ベクトルVsに必ずしも等しくないことを特徴とする3相電圧型PWMインバータ制御装置。
  2. 前記出力電圧ベクトル演算手段は、
    前記直流母線電流、前記直流母線電圧、及び外部から与えられる角速度指令値に基づいてγ軸電圧指令Vγ、δ軸電圧指令Vδ、位相θを演算するγ−δ軸電圧指令値演算手段と、
    前記γ軸電圧指令Vγ、δ軸電圧指令Vδ、位相θ、及び前記直流母線電圧に基づいて
    出力電圧ベクトルVsを演算する出力電圧ベクトルVs演算手段とを有し、
    前記出力電圧ベクトルVs演算手段は、出力電圧ベクトルVsに隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間の和が1/2PWM周期より大きい場合、前記出力時間の和と1/2PWM周期との差分時間を演算し、この差分時間の1/2を前記出力時間のそれぞれから減算することにより前記出力時間を再演算して、前記出力電圧ベクトルVsを更新することを特徴とする請求項1記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置。
  3. 前記出力時間管理手段は、前記出力電圧ベクトルVsに隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間及び前記所定時間TMINに基づいて、複数のケースに分けて前記出力時間の管理を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置。
  4. 前記PWM駆動信号生成手段は、
    前記出力電圧ベクトルVs’をPWM周期の前半期間もしくは後半期間に適用し、
    前記出力電圧ベクトルVs’’を前記出力電圧ベクトルVs’とは異なるPWM半周期に適用することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置
  5. 前記出力電圧ベクトルVs’における2つのゼロベクトルの比率、及び前記出力電圧ベクトルVs’’における2つのゼロベクトルの比率をそれぞれ任意に設定できることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置。
  6. 前記所定時間TMINは、前記直流電流を検出するのに必要な最小時間であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置。
  7. 前記直流電流から2相分の相電流情報を得る間隔を所定時間TMINとすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置。
  8. 前記インバータ制御部は、前記インバータ制御装置のインバータ周波数と前記PWM駆動信号を生成するためのキャリア周波数との干渉により相電流に生じる電流脈動成分に基づいた角速度補償量を算出する脈動抑制補償手段と、前記角速度指令値に前記角速度補償量を加算する加算手段とを備え、
    前記相電流に生じる電流脈動成分を抑制することを特徴とする請求項1記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置。
  9. 交流電源から出力される交流電力を前記直流電力に変換するコンバータ回路を備え、
    前記インバータ制御部は、インバータ制御装置のインバータ周波数と前記PWM駆動信号を生成するためのキャリア周波数との干渉により相電流に生じる電流脈動成分、及び前記インバータ周波数と前記交流電源の周波数との干渉により相電流に生じる電流脈動成分の少なくとも一方の電流脈動成分に基づいた角速度補償量を算出する脈動抑制補償手段と、前記角速度指令値に前記角速度補償量を加算する加算手段とを備え、
    前記相電流に生じる電流脈動成分を抑制することを特徴とする請求項1記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置。
  10. 前記インバータ制御部は、前記直流電流検出手段が検出した直流母線電流を前記インバータ主回路が出力する各相電流に変換する直流電流/相電流変換手段と、前記各相電流を回転座標系における電流値に変換する電流座標変換手段とを備え、
    前記脈動抑制補償手段は前記回転座標系における電流値から電流脈動成分を抽出し、該電流脈動成分に比例した値を前記角速度補償量として出力することを特徴とする請求項8〜9のいずれかに記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置。
  11. 前記スイッチング素子はワイドギャップ半導体素子によって形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置。
  12. 前記ワイドバンドギャップ半導体は、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)系材料又はダイヤモンドであることを特徴とする請求項11記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置。
  13. 前記インバータ主回路から出力される三相交流電力によって駆動される永久磁石電動機を搭載した圧縮機と、請求項1〜12のいずれかに記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置とを備えたことを特徴とする圧縮機駆動装置。
  14. 請求項13に記載の圧縮機駆動装置により冷媒を循環させることを特徴とする空気調和機。
  15. 直流母線から供給される直流電力を複数のスイッチング素子を用いて3相交流電力に変換するインバータ主回路と、
    前記直流母線に流れる直流母線電流を検出する直流電流検出手段と、
    前記直流母線の正側と負側間の直流母線電圧を検出する直流電圧検出回路と、
    前記インバータ主回路のスイッチング素子を制御するPWM駆動信号を出力するインバータ制御部とを備えた3相電圧型PWMインバータ装置の制御方法であって、
    前記直流母線電流、前記直流母線電圧、及び外部から与えられる角速度指令値に基づいて出力電圧ベクトルVsを演算する出力電圧ベクトル演算ステップと、
    出力電圧ベクトルVs’及びVs’’の平均ベクトルが前記出力電圧ベクトルVsに等しく、かつ前記出力電圧ベクトルVs’に隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間の各々が所定時間TMIN以上となるように前記出力電圧ベクトルVs’及びVs’’とを演算する第1演算処理と、前記Vs’’ に隣接する大きさが非零の2つの基本電圧ベクトルの1/2PWM周期当たりの出力時間の和が1/2PWM周期より大きい場合は、前記2つの出力時間の内短い方の出力時間をさらに小さくし、かつ前記出力時間の和が1/2PWM周期となるようにVs’’の再演算を行う第2演算処理によって出力時間の管理を行う出力時間管理ステップと、
    前記再演算後の出力電圧ベクトルVs’及びVs’’に基づいてPWM駆動信号を生成するPWM駆動信号生成ステップとを備え、
    前記再演算後の出力電圧ベクトルVs’及びVs’’の平均ベクトルは、前記出力電圧ベクトルVsに必ずしも等しくないことを特徴とする3相電圧型PWMインバータ制御装置の制御方法。
  16. 前記インバータ制御装置のインバータ周波数と前記PWM駆動信号を生成するためのキャリア周波数との干渉により相電流に生じる電流脈動成分に基づいた角速度補償量を算出する脈動抑制補償ステップと、前記角速度指令値に前記角速度補償量を加算する加算ステップとを備え、
    前記相電流に生じる電流脈動成分を抑制することを特徴とする請求項15記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置の制御方法。
  17. 交流電源から出力される交流電力を前記直流電力に変換するコンバータ回路と、
    直流母線から供給される直流電力を複数のスイッチング素子を用いて3相交流電力に変換するインバータ主回路と、
    前記直流母線に流れる直流母線電流を検出する直流電流検出手段と、
    前記直流母線の正側と負側間の直流母線電圧を検出する直流電圧検出回路と、
    前記インバータ主回路のスイッチング素子を制御するPWM駆動信号を出力するインバータ制御部とを備えた3相電圧型PWMインバータ装置の制御方法であって、
    インバータ制御装置のインバータ周波数と前記PWM駆動信号を生成するためのキャリア周波数との干渉により相電流に生じる電流脈動成分、及び前記インバータ周波数と前記交流電源の周波数との干渉により相電流に生じる電流脈動成分の少なくとも一方の電流脈動成分に基づいた角速度補償量を算出する脈動抑制補償ステップと、前記角速度指令値に前記角速度補償量を加算する加算ステップとを備え、
    前記相電流に生じる電流脈動成分を抑制することを特徴とする請求項15記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置の制御方法。
  18. 前記直流電流検出ステップが検出した直流母線電流を前記インバータ主回路が出力する各相電流に変換する直流電流/相電流変換ステップと、前記各相電流を回転座標系における電流値に変換する電流座標変換ステップとを備え、
    前記脈動抑制補償ステップは前記回転座標系における電流値から電流脈動成分を抽出し、該電流脈動成分に比例した値を前記角速度補償量として出力することを特徴とする請求項16〜17のいずれかに記載の3相電圧型PWMインバータ制御装置の制御方法。
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