JP2011231818A - 自動変速機車両の油圧制御装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】アキュムレータを活用したアイドリングストップを行う自動変速機車両の再発進の応答性を高める。
【解決手段】自動変速機の油圧回路に電磁遮断弁を介してアキュムレータを接続し、アイドリングストップ後エンジン再始動時t1に電磁遮断弁を連通状態としてアキュムレータから油圧をライン圧油路に放出し、オイルポンプの油圧不足を補う。アキュムレータにはそのピストンのストローク量を検出するストロークセンサが付設されて、ストローク量が油圧の放出方向から蓄圧方向に反転したとき時刻t3で電磁遮断弁を遮断状態とする。これにより、オイルポンプの油圧が上昇している途中ではアキュムレータへの充填を行うことなく、オイルポンプからの油圧が専ら油圧回路内の充填、油圧上昇に向けられるので、クラッチのストローク詰めを迅速に進行させることができ、高い応答性が得られる。
【選択図】図6

Description

本発明は、アイドリングストップを行う自動変速機搭載車両における油圧制御装置に関する。
自動変速機はそのギアトレーン内に油圧で摩擦板を押圧して作動する複数の締結装置としてクラッチやブレーキ(以下、単にクラッチで代表する)を備え、その締結、解放の組合せにより複数の変速段を実現する。例えばロウクラッチ(LOW/C)やハイクラッチ(HIGH/C)等が備えられ、前進第1速ではロウクラッチを締結し、高速の第3速などではロウクラッチを解放し、ハイクラッチを締結するようになっている。
クラッチは油圧室と油圧室に供給される油圧によってストロークするピストンを備え、その作動過程には、ピストンが摩擦板に当接するまでの空走区間におけるストローク詰めの段階と、実際にピストンが摩擦板を押圧して滑り状態から完全締結状態へ滑らかに変化させるために油圧を制御しながら最大締結圧まで変化させる締結制御段階とがある。
このような自動変速機を搭載した車両において、従来、燃費の向上と排気ガスの削減を目的として、運行中交差点などで信号待ちのため一時停車した場合や踏切での列車の通過待ち状態などの場合にエンジンを自動停止させ、その後所定条件になったときにエンジンを再始動させて発進するアイドリングストップ機能を備えるものがある。
ところで、自動変速機ではエンジン動力により駆動される機械式オイルポンプによる油圧を用いて上記のクラッチを締結、解放するが、アイドリングストップのエンジン停止中は機械式オイルポンプも作動停止しているので、再始動時に直ちに必要な油圧を得ることができない。
したがって、アイドリングストップ後の再発進時にはクラッチのストローク詰めにも手間取り、所望の応答性が得られないという問題がある。
そこで補助用の電動ポンプを用いて、アイドリングストップ中も油圧の供給を継続することも考えられるが、コスト増大を招く。
このため、例えば米国公報2008/0060862A1には、内部にスプリングで付勢されたピストンを備えるアキュムレータを遮断弁を介して油圧回路に接続して、アキュムレータを蓄圧状態に保持しておき、エンジンの再始動の際に遮断弁を開いてスプリングによる油圧をアキュムレータから急速に放出し、オイルポンプの油圧不足を補うようにした油圧制御装置が開示されている。
米国公報2008/0060862A1
ところで、再発進時のアキュムレータ放出はオイルポンプの油圧不足を補うためのものであり、上記従来の油圧制御装置では、アキュムレータの油圧がオイルポンプの吐出圧より高い間はアキュムレータから油圧回路へ油圧が供給されるが、放出によりオイルポンプの吐出圧より低くなると、逆にオイルポンプはクラッチの締結以外に、アキュムレータのピストンをスプリングに抗して圧縮する仕事も行うことになる。このため、応答性の高い滑らかな発進特性を得にくいという問題を有している。
これは、ピストンを付勢する弾性体が所定量弾性変形することによりアキュムレータを蓄圧状態としているのみで、時々刻々変化する蓄圧状態を管理していない点に理由があると言える。
したがって本発明は、上記に鑑み、アキュムレータなど蓄圧装置の蓄圧状態を把握してアイドリングストップからの再発進の応答性を高めることができる自動変速機車両の油圧制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、エンジンのアイドリングストップ機能を有し、蓄圧用のピストンを備えた蓄圧装置を遮断弁を介して自動変速機の油圧回路に接続し、アイドリングストップからのエンジン再始動の際に蓄圧装置からの油圧を油圧回路に放出して、オイルポンプの油圧不足を補うようにした制御手段を有する自動変速機車両において、蓄圧装置におけるピストンのストローク量を検出するストローク量検出手段を有して、上記制御手段は、エンジン再始動時に遮断弁を開弁した後、ピストンのストローク量が油圧の放出方向から蓄圧方向に反転したとき当該遮断弁を閉弁するものとした。
オイルポンプの油圧が上昇している途中では蓄圧装置への充填を行うことなく、オイルポンプからの油圧が専ら油圧回路内の充填、油圧上昇に向けられる。
さらに、遮断弁を閉弁した後、エンジン回転数が所定値以上になったときには、ピストンが蓄圧装置の最大蓄圧状態に対応する位置になるまで、遮断弁をデューティ制御することが好ましい。オイルポンプの油圧が緩やかに蓄圧装置に充填されて違和感を生じさせず、次回のアイドリングストップに対して最大蓄圧状態で備えることができる。
また、遮断弁を開弁した後、ピストンのストローク範囲の両端を除く位置でストローク量の変化率が所定時間0を継続したときは、アイドリングストップを禁止させることができる。スティック故障などによりピストンストローク途中で停止した場合に次回からのアイドリングストップを禁止させることにより再発進応答性の低いアイドリングストップが避けられる。
本発明によれば、オイルポンプの油圧上昇中は蓄圧装置の油圧が専ら油圧回路内の充填に充てられ、油圧上昇に向けられるので、クラッチのストローク詰めを迅速に進行させることができ、アイドリングストップからの再発進時に高い応答性が得られる。
実施の形態にかかる車両の駆動系統を示す図である。 アイドリングストップに関連する油圧回路を示す図である。 アキュムレータの構成を示す図である。 アイドリングストップ対応制御の流れを示すフローチャートである。 アイドリングストップ対応制御の流れを示すフローチャートである。 エンジン停止した状態から再始動する際の動作過程を示すタイムチャートである。 アキュムレータの変形例を示す図である。 変形例におけるストロークセンサの動作原理を示す説明図である。
次に本発明の実施の形態について説明する。
図1は実施の形態にかかる車両の駆動系統を示す図である。
エンジン1の出力軸に自動変速機2が接続され、自動変速機2はトルクコンバータ3、変速機構部4、および油圧コントロールバルブユニット5とからなっている。自動変速機2の出力は駆動軸6からディファレンシャルギヤ7を経て駆動輪8、9へ伝達される。
エンジン1にはその不図示のスロットル弁や燃料噴射弁、そして点火時期等を制御するエンジン制御ユニット(ECU)10が接続され、自動変速機2には目標変速段やこれを実現するためのクラッチへの油圧等を制御する自動変速機制御ユニット(ATCU)15が接続されている。
エンジン制御ユニット10と自動変速機制御ユニット15には車両電子制御ユニット20が接続されている。
エンジン制御ユニット10にはアクセルペダルセンサ11からのアクセル開度と、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数(エンジン出力軸の回転速度)が入力される。
自動変速機制御ユニット15にはシフトレバーセンサ17からのシフトレバー位置が入力されるとともに、エンジン制御ユニット10を介したエンジン回転数や、ストロークセンサ50(図3参照)の出力も入力される。ストロークセンサ50については後述する。
車両電子制御ユニット20には、ブレーキスイッチ22と車速センサ24からの信号が入力されるとともに、エンジン制御ユニット10を介してアクセル開度、自動変速機制御ユニット15を介してシフトレバー位置が入力され、これらの信号等から得る車両の運転状態に基づいてエンジン1と自動変速機2を統合制御するため、エンジン制御ユニット10と自動変速機制御ユニット15に対して制御指令を発する。
車両電子制御ユニット20は、とくにアイドリングストップの制御において、車両が停止状態(車速=0)、シフトレバーがN(中立)ポジションまたはP(パーキング)ポジション、およびアクセル開度0(アクセルペダルが踏み込まれていない状態)のとき、または、車両が停止状態、シフトレバーがD(ドライブ)ポジション、アクセル開度0、およびブレーキオン(ブレーキペダルが踏み込まれている状態)のときをエンジン1の自動停止条件とする。
エンジン1の再始動条件は、上記自動停止の条件が成立しなくなった状態である。
自動停止条件の成立および再始動条件の成立に対応して、車両電子制御ユニット20はエンジン制御ユニット10に対してそれぞれエンジン停止の指令およびエンジン再始動の指令を出力し、エンジン制御ユニット10はこれらの指令に基づいてエンジン1を停止、再始動させる。
また、エンジン停止の指令およびエンジン再始動の指令は自動変速機制御ユニット15にも出力され、自動変速機制御ユニット15は自動変速機2に対して、後述するアイドリングストップ対応制御を行う。
図2はアイドリングストップに関連する油圧回路を示す。
エンジン1の出力軸回転により駆動されるオイルポンプ30の出力がレギュレータバルブ32によりライン圧とされて、ライン圧油路33を通ってマニュアルバルブ36の入力ポートに入力される。
マニュアルバルブ36のDレンジポートは、制御バルブ37を経て前進第1速で締結されるロウクラッチ(LOW/C)39の油圧室に接続されている。Dレンジポートは他の変速段で締結されるクラッチの制御バルブへも供給されるが図示省略してある。
制御バルブ37はパイロット弁35でライン圧から生成したパイロット圧をソレノイド38で制御して駆動圧とし、自動変速機制御ユニット15からの指令にしたがってロウクラッチ39への油圧(クラッチ圧)を制御して出力する。
マニュアルバルブ36の入力ポートへのライン圧油路33には電磁遮断弁34を介してアキュムレータ40が接続されている。電磁遮断弁34はオフ(OFF)状態でアキュムレータ40をライン圧油路33と連通させ、オン(ON)状態で遮断し、デューティ制御される。
Dレンジで走行中は、電磁遮断弁34はオフ状態に保持され、アキュムレータ40はライン圧油路33に連通しているから、作動油が充填されてライン圧に相当する油圧を蓄圧している状態となっており、アキュムレータ40に蓄圧された油圧をアキュムレータ圧という。
アキュムレータ40は、シリンダ41内にピストン45を備える。ピストン45は電磁遮断弁34を介して供給される油圧に対抗する方向にリターンスプリング47により付勢されている。
図3はアキュムレータ40の構成を示す図である。
シリンダ41は、ベースプレート42と筒状ケース体43とで形成される。筒状ケース体43は、一端に外方に延びるフランジ部43aを備えて、フランジ部43aにおいてボルト66によりベースプレート42と固定されている。フランジ部43aとベースプレート42の対向面にはオイルシール65が設けられて油密となっている。
ベースプレート42は電磁遮断弁34に連通する油孔44を備えてシリンダの一端としての基壁41aをなし、筒状ケース体43の底は他端の端壁41bをなしている。
ピストン45は、シリンダ41の基壁41a側に底壁45aを有し、反対側が開口する筒状である。ピストン45の外周にはシールリング68が設けられている。
リターンスプリング47はピストン45の内側に位置して、ピストン45の底壁45aとシリンダの端壁41bとの間に設けられている。
シリンダ41の端壁41bには、当該端壁41bに形成した穴を貫通させてストロークセンサ50が固定されている。すなわち、ストロークセンサ50の一部はシリンダ41の外部に臨んでいる。ストロークセンサ50は、外周面に抵抗部材55が付設されたスライド軸53と、抵抗部材55上を相対的にスライドするブラシ57によるポテンショメータで構成される。抵抗部材55はスライド軸53の軸方向に延びており、ブラシ57はスライド軸53を貫通させるケース51に固定されている。
ケース51はその両端の内側端壁51aおよび外側端壁51bにそれぞれスライド軸を通す孔を有している。
スライド軸53は一端にヘッド54を備え、ヘッド54とケース51の内側端壁51a間にはスライド軸53をピストン45の底壁45a方向に付勢するバックスプリング58が設けられている。これにより、スライド軸53はそのヘッド54が常時ピストン45の底壁45aに押し付けられ、ピストン45と一体に移動する。
図3はアキュムレータ圧が最大値で、リターンスプリング47が最大に圧縮され、ピストン45の開口端がシリンダ41の端壁41bに着座した状態を示している。この状態でスライド軸53の他端はケース51から外部へ延びているが、スライド軸53の長さはアキュムレータ圧が最小となってピストン45がシリンダ41の基壁41aに当接するまで移動したときにもケース51の外側端壁51bの孔に支持されるように設定されている。
シリンダ41の端壁41bには、ケース51の外側端壁51bから突出するスライド軸53を含めて外部に臨んでいるケース51を覆って防塵カバー59が設けられている。
なお、防塵カバー59内のケース51あるいは端壁41bに設けた図示省略の小孔等により、シリンダ41内におけるピストン45のリターンスプリング47側は大気圧となっている。
抵抗部材55の両端とブラシ57からの配線63はケース51の外側端壁51bから外部へ引き出されて、ストロークセンサ50の出力が自動変速機制御ユニット15に入力される。
ストロークセンサ50は、ポテンショメータにおける抵抗部材55の一端の端子60を共通端子として、この端子60と抵抗部材55の他端の端子61間に印加される電圧に対する端子60とブラシ57間の分圧値を求め、ピストン45がシリンダ41の端壁41bに着座しているときの分圧値とピストン45が基壁41aに当接しているときの分圧値との対比按分によりピストン45の位置を検出することができる。
ピストン45が基壁41aに着座する位置と端壁41bに着座する位置とが、ピストンのストローク範囲の両端となる。
アキュムレータ40のピストン45の移動量(以下、アキュムレータストローク量という)は、アキュムレータ圧が最大値Pmaxのときの位置を最小値として、これから放出方向(基壁41a方向)の移動を正とする。
自動変速機制御ユニット15による自動変速機2のアイドリングストップ対応制御は以下のように行われる。図4、図5はアイドリングストップ対応制御の流れを示すフローチャート、図6はエンジン停止した状態から再始動する際の動作過程を示すタイムチャートである。
アイドリングストップ対応制御の間、自動変速機制御ユニット15ではストロークセンサ50からの信号に基づいてピストン位置の変化からアキュムレータストローク量を監視している。
まず、ステップ100では、車両電子制御ユニット20からエンジン停止の指令があったかをチェックする。
エンジン停止の指令があった場合には、ステップ101において、電磁遮断弁34をオンする。これにより、アキュムレータ40にはアキュムレータ圧の作動油が保持される。電磁遮断弁34オン時のアキュムレータ圧はライン圧相当のPmaxである。
ステップ102では、車両電子制御ユニット20からエンジン再始動の指令があったかをチェックする。
エンジン再始動の指令がない間は、ステップ101へ戻って電磁遮断弁34のオンを継続する。
時刻t1にエンジン再始動の指令を受けると、ステップ103へ進む。
なお、エンジン再始動の指令によってエンジン制御ユニット10はクランキングを開始し、エンジン回転数は変則的に上昇を開始する。
自動変速機制御ユニット15ではステップ103において、電磁遮断弁34をオフにしてアキュムレータ40から作動油を放出する。
作動油の放出により時刻t1からの時間経過でアキュムレータ圧はPmaxから低下していく。
ステップ104では、アキュムレータストローク量の変化率が放出方向の正であるかどうかをチェックする。
アキュムレータストローク量の変化率が正であるときは、オイルポンプ30の出力が低く、ライン圧が低い状態を示しており、ライン圧油路33の油圧は、アキュムレータ40の放出により上昇していく。
アキュムレータストローク量の変化率が正である間はステップ103へ戻って電磁遮断弁34のオフを継続する。
この間にクランキングが進み、時刻t2でエンジン1が完爆すると、オイルポンプ30から十分な油圧が供給されるようになるので、ライン圧油路33の油圧とアキュムレータ圧の大小関係が切り替わる。これによりアキュムレータストローク量の変化率は正ではなくなる。
そこで、ステップ104のチェックで変化率が正ではなくなったときは、ステップ105へ進んで、今度はアキュムレータストローク量の変化率0が所定時間継続しているかどうかをチェックする。
アキュムレータ40が正常であれば、ライン圧油路33からの作動油が充填されることにより変化率は0に留まることなく負に変化するので、この場合、ステップ105から106へ進む。
ステップ106では、電磁遮断弁34をオンして、アキュムレータ40をライン圧油路33から遮断する。
これにより、時刻t3以降、アキュムレータ圧は一定、アキュムレータストローク量0(変化率0)となる。この間に、先に完爆したエンジン1は回転数が所定値No以上の安定状態へ移行していく。
ステップ107ではエンジン回転数が所定値No以上であるかどうかをチェックする。
エンジン回転数が所定値No以上になるまでの間はステップ106へ戻って電磁遮断弁34のオンを継続し、時刻t4にエンジン回転数が所定値No以上となると、ステップ108へ進んで、電磁遮断弁34をデューティ制御する。
デューティ制御でオン、オフされる電磁遮断弁34はオリフィス機能を果たし、これによりアキュムレータ40は緩やかにライン圧油路33から充填される。充填の間は、アキュムレータストローク量の変化率は負を示す。
ステップ109において、アキュムレータストローク量の変化率が0になったかどうかをチェックする。
アキュムレータストローク量の変化率が負の間はステップ108へ戻る。
時刻t5において変化率が0になったら、アキュムレータ圧が最大蓄圧状態のPmaxまで充填されたことになる。
しかし、アキュムレータ圧がPmaxまで充填されなくても、例えばピストンが途中でスティックした場合にも変化率が0になる。
そこで、アキュムレータストローク量の変化率が0になったときには、ステップ110において、アキュムレータ40のピストン45がシリンダ41の端壁41bに着座した位置(アキュムレータの最大蓄圧状態に対応する位置)にあるかどうかをチェックする。
ピストン45が端壁41bに着座状態の場合は、ステップ111において、デューティ制御を停止し電磁遮断弁34をオフにして制御を終了する。
一方、先のステップ105のチェックでアキュムレータストローク量の変化率0が所定時間継続した場合は、アキュムレータ40が故障でピストン45がスティックしているものとして、ステップ112へ進み、車両電子制御ユニット20へ次回からのアイドリングストップ禁止の要求を行って制御を終了する。
また、ステップ110におけるチェックでピストン45が端壁41bに着座状態でない、すなわち最大蓄圧状態に対応する位置でない場合もステップ112へ進む。
以上の制御のほか、車両電子制御ユニット20はストロークセンサ50によりアキュムレータ40のピストン45の位置を常時監視して、自動停止条件が成立した場合にピストン45が最大蓄圧状態に対応する位置でないときはエンジン停止指令を出力しないものとすることもできる。
これによりアキュムレータ40のスティックなどの異常状態があるときにはアイドリングストップを回避することができる。
本実施の形態においては、アキュムレータ40が発明における蓄圧装置に該当し、その基壁41aが第1の端壁に、端壁41bが第2の端壁に該当する。
電磁遮断弁34が発明における遮断弁に該当し、ストロークセンサ50がストローク量検出手段に、そして自動変速機制御ユニット15が制御手段に該当する。
実施の形態は以上のように構成され、アイドリングストップからのエンジン再始動の際にアキュムレータ40からの油圧をライン圧油路33に放出して、オイルポンプの油圧不足を補うようにした自動変速機車両において、アキュムレータ40におけるピストン45のストローク量を検出するストロークセンサ50を有して、エンジン再始動時に電磁遮断弁34を開弁した後、ピストン45のストローク量が油圧の放出方向から蓄圧方向に反転したとき電磁遮断弁34を閉弁するものとしたので、オイルポンプの油圧が上昇している途中ではアキュムレータ40への充填を行うことなく、オイルポンプからの油圧が専ら油圧回路内の充填、油圧上昇に向けられる結果、例えばロウクラッチ39等のストローク詰めを迅速に進行させることができ、高い応答性が得られる。(請求項1に対応する効果)
また、電磁遮断弁34を閉弁した後、エンジン回転数が所定値No以上になったときには、ピストン45がアキュムレータ40の最大蓄圧状態に対応する位置になるまで、電磁遮断弁34をデューティ制御するので、アキュムレータ40は緩やかにライン圧油路33から充填されて違和感を生じさせず、次回のアイドリングストップにアキュムレータ40の最大蓄圧状態で備えることができる。(請求項2に対応する効果)
さらに、電磁遮断弁34を開弁した後、ピストン45のストローク範囲の両端を除く位置でストローク量の変化率が所定時間0を継続したときは、油圧の放出途中でピストンが停止したことを示し、スティック故障であるとしてアイドリングストップを禁止させるので、再発進応答性の低いアイドリングストップが避けられる。(請求項3に対応する効果)
ストロークセンサ50は、アキュムレータにおけるシリンダ41の基壁41aと反対側の端壁41bに固定されたケース51と、ケース51を軸方向に貫通してピストン45と一体に変位するスライド軸53を有し、スライド軸53には軸方向にそって抵抗部材55が付設されるとともに、ケース51には抵抗部材55上をスライドするブラシ57が取り付けられて、抵抗部材55とブラシ57によりポテンショメータが形成されているものとしたので、ポテンショメータの出力に基づいて容易にピストン45の位置を把握し、移動量等を検出することができる。(請求項5に対応する効果)
とくに、ストロークセンサ50は、リターンスプリング47の内径側に配置されているので、リターンスプリング47と同軸でシリンダ41内に収納され、アキュムレータ40のサイズを大型化することがない。(請求項8に対応する効果)
また、ストロークセンサ50はスライド軸53を基壁41a側へ付勢するバックスプリング58を有して、スライド軸53の一端(ヘッド54)を常時ピストン45の底壁45aに当接させているので、これによりピストン45と一体に変位することができ、ピストン45に新たな加工などを施す必要がないから、簡単に従来のアキュムレータに適用することができる。(請求項7に対応する効果)
つぎに、ストロークセンサとして他の構成を用いたアキュムレータの変形例について説明する。
すなわち、変形例のアキュムレータ40Aは、抵抗接触式のポテンショメータの代わりに、非接触式の磁気変位センサ(Permanent magnet Linear Displacement Sensor)としたストロークセンサ70を備える。
このアキュムレータ40Aも実施の形態と同一態様で電磁遮断弁34を介してライン圧油路33に接続される。
図7は変形例のアキュムレータ40Aの構成を示す図である。
シリンダ41Aは、ベースプレート42と筒状ケース体43Aとで形成される。筒状ケース体43Aは、一端に外方に延びるフランジ部43aを備えて、フランジ部43aにおいてボルト66によりベースプレート42と固定されている。フランジ部43aとベースプレート42の対向面にはオイルシール65が設けられて油密となっている。
ベースプレート42は電磁遮断弁34に連通する油孔44を備えてシリンダの一端としての基壁41aをなし、筒状ケース体43Aの底は他端の端壁41bをなしている。
端壁41bは中央(軸心)に穴を有し、穴の縁からはシリンダ41A内に内筒46が延びている。
シリンダ41A内には、ベースプレート42側に底壁45aを有し、反対側が開口する筒状のピストン45Aが収納されている。ピストン45Aの外周にはシールリング68Aが設けられている。
ピストン45Aの内側において、リターンスプリング47Aがピストン45Aの底壁45aとシリンダ41Aの端壁41bとの間に設けられている。リターンスプリング47Aは内筒46の外径側に配置されている。
端壁41bからは外方に固定用筒部48が延びている。固定用筒部48は筒状ケース体43Aの外径よりも小径、内筒46よりも大径で、筒状ケース体43Aおよび内筒46と同軸となっている。固定用筒部48の内周壁にはねじ49が形成され、ストロークセンサ70の取付部となる。
ストロークセンサ70は、外周面にコイルが巻き付けられたスライド軸73と、このスライド軸73を貫通させる円筒状のケース71の内壁に取付けられたマグネット77とからなる。コイルは軸方向に互いに離間して設けられた同一仕様の第1出力コイル75および第2出力コイル76と、これらの間に挟まれて配置された入力コイル74とからなっている。
マグネット77はその磁力線が入力コイル74を横切る方向にケース71の直径線上に2個設けられている。
ケース71は外径が内筒46の内径に略整合して、内筒46に保持されて端壁41bの外部からシリンダ41Aの内部に延びており、外方端部にはフランジ80を備えている。フランジ80の外周には固定用筒部48のねじ49と噛み合う雄ねじ82が形成されている。ケース71はその軸回りに回動させることによりねじ49のピッチに従って軸方向に移動する。固定用筒部48にはさらにねじ49と噛み合う雄ねじ86を外周に備えるロックボルト84がねじ込まれている。
スライド軸73は一端がピストン45Aの底壁45aに固定されて、ピストン45Aと一体にケース71内を軸方向に移動可能となっている。
マグネット77の軸方向位置は、ピストン45Aがそのストローク範囲のどの位置にあっても常にその磁力線がスライド軸73上の入力コイル74を横切るように設定されている。
各コイル74〜76からの配線88はケース71の外側端から外部へ引き出されて、ストロークセンサ70の出力が自動変速機制御ユニット15に入力される。
このストロークセンサ70の動作原理は以下による。
すなわち、単純に入力コイル74に電流を流すと磁束Φが発生し、これに隣接した第1、第2出力コイル75、76には磁束Φに対応する所定の電流iが発生する。入力コイル74の両端に隣接した第1、第2出力コイル75、76は同一仕様であるから、第1、第2出力コイル75、76には同一の電流が流れることになる。
ここで、図8に示すように、入力コイル74の途中をマグネット77による磁力線が横切ると、当該部位に磁束の飽和領域が生成され、入力コイル74に発生する磁束が飽和領域を境にして両側の磁束Φ1とΦ2に分かれる。この結果、第1出力コイル75と第2出力コイル76に流れる電流も磁束Φ1とΦ2に対応してi1とi2になる。
ピストン45Aの位置が変化すると、スライド軸73がピストン45Aと一体に移動して入力コイル74も移動し、当該入力コイル74に対しケース71に固定されたマグネット77の相対位置が変化するから、上記第1出力コイル75と第2出力コイル76の出力電流i1、i2が変化する。したがって、電流i1、i2の比較に基づいて、ピストン45Aの位置、すなわちアキュムレータストローク量が検出される。
図7はアキュムレータ圧が最大値で、リターンスプリング47Aが最大に圧縮され、ピストン45Aの開口端がシリンダ41Aの端壁41bに着座した状態を示している。
この位置で、電流i1、i2が等しくなるように、ケース71の回動によりマグネット77の位置、すなわちケース71の初期位置を定めたあと、固定用筒部48にねじ込んでフランジ80に当接させたロックボルト84を締め付けて、フランジ80とロックボルト84のいわゆるダブルナット効果によりケース71を位置固定する。
とくに図示しないが、固定用筒部48に実施の形態における防塵カバー59と同様の防塵カバーを被せることができる。
この変形例では、アキュムレータ40Aが発明における蓄圧装置に該当し、その基壁41aが第1の端壁に、端壁41bが第2の端壁に、そして固定用筒部48が筒部に該当する。
また、ストロークセンサ70がストローク量検出手段に該当し、第1出力コイル75および第2出力コイル76が出力コイルに該当する。
変形例のアキュムレータ40Aは以上のように構成され、ピストン45Aがシリンダ41Aのライン圧油路33側に開口する基壁41a側へリターンスプリング47Aで付勢され、シリンダ41Aの基壁41aと反対側の端壁41bにストロークセンサ70が設けられている。
そして、ストロークセンサ70は、端壁41b側に固定されたケース71と、ケース71を軸方向に貫通してピストン45Aと一体に変位するスライド軸73を有し、スライド軸73には軸方向にそって入力コイル74と出力コイル75、76が付設されるとともに、ケース71には磁力線が入力コイル74を横切るマグネット77が取り付けられて、各コイル74〜76とマグネット77により磁気変位センサが形成されているものとしたので、その出力に基づいて容易にピストン45Aの位置を把握し、移動量等を検出することができる。
そしてとくに磁気変位センサが非接触式であるため、磨耗による耐久性劣化のおそれがなく、またごみ等による精度の低下もないという利点を有する。(請求項6に対応する効果)
また、ストロークセンサ70は、リターンスプリング47Aの内径側に配置されているので、リターンスプリング47Aと同軸でシリンダ41A内に収納され、アキュムレータ40Aのサイズを大型化することがない。(請求項8に対応する効果)
端壁41bからは軸方向外方に固定用筒部48が延びて、その内周壁にはねじ49が形成され、ケース71は、外周に固定用筒部48のねじ49と噛み合う雄ねじ82が形成されたフランジ80を備えて、軸まわりに回動させることにより軸方向位置を調整可能とされ、外周に固定用筒部48のねじ49と噛み合う雄ねじ86が形成されたロックボルト84をフランジ80に当接させて締め付けることによりケース71が固定用筒部48に固定されるので、ストロークセンサの出力のキャリブレーションが容易で、しかも確実な位置固定が得られる。(請求項9に対応する効果)
なお、実施の形態に用いたアキュムレータ40ではストロークセンサ50のケース51を単純にシリンダ41の端壁41bに固定したものとしたが、変形例のアキュムレータ40Aと同様に、端壁41bから軸方向外方に固定用筒部48を延ばして、該固定用筒部の内周壁にねじ49を形成するとともに、ケース51は外周に筒ねじ49と噛み合う雄ねじが形成されたフランジを備えるものとして、ケース51を軸まわりに回動させることにより軸方向位置を調整可能とすることができ、調整した位置にロックボルト84により固定することができる。
一方、変形例のアキュムレータ40Aではストロークセンサ70のスライド軸73がピストン45Aの底壁45aに固定されているものとしたが、アキュムレータ40と同様に、ストロークセンサ70のケース71に内側端壁を備え、スライド軸73にヘッドを備えて、内側端壁とヘッドの間にバックスプリングを設けることにより、ヘッドを常時底壁45aに当接させてピストン45Aと一体に変位するように構成することもできる。これにより、ピストン45Aに新たな加工を施す必要がなくなる。
本発明はアイドリングストップを行う車両における自動変速機の油圧回路に用いて有用である。
1 エンジン
2 自動変速機
10 エンジン制御ユニット
12 エンジン回転数センサ
15 自動変速機制御ユニット(制御手段)
20 車両電子制御ユニット
30 オイルポンプ
32 レギュレータバルブ
33 ライン圧油路
34 電磁遮断弁(遮断弁)
35 パイロット弁
36 マニュアルバルブ
37 制御バルブ
38 ソレノイド
39 ロウクラッチ
40、40A アキュムレータ(蓄圧装置)
41、41A シリンダ
41a 基壁(第1の端壁)
41b 端壁(第2の端壁)
42 ベースプレート
43、43A 筒状ケース体
43a フランジ部
44 油孔
45、45A ピストン
45a 底壁
46 内筒
47、47A リターンスプリング
48 固定用筒部(筒部)
49 ねじ
50 ストロークセンサ(ストローク量検出手段)
51 ケース
51a 内側端壁
51b 外側端壁
53 スライド軸
54 ヘッド
55 抵抗部材
57 ブラシ
58 バックスプリング
59 防塵カバー
60、61 端子
63、88 配線
65 オイルシール
68、68A シールリング
70 ストロークセンサ(ストローク量検出手段)
71 ケース
73 スライド軸
74 入力コイル
75 第1出力コイル
76 第2出力コイル
77 マグネット
80 フランジ
82、86 雄ねじ
84 ロックボルト

Claims (9)

  1. エンジンのアイドリングストップ機能を有し、
    蓄圧用のピストンを備えた蓄圧装置を遮断弁を介して自動変速機の油圧回路に接続し、
    アイドリングストップからのエンジン再始動の際に蓄圧装置からの油圧を前記油圧回路に放出して、オイルポンプからの油圧不足を補うようにした制御手段を有する自動変速機車両において、
    蓄圧装置における前記ピストンのストローク量を検出するストローク量検出手段を有して、
    前記制御手段は、エンジン再始動時に前記遮断弁を開弁した後、前記ピストンのストローク量が油圧の放出方向から蓄圧方向に反転したとき当該遮断弁を閉弁することを特徴とする自動変速機車両の油圧制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記遮断弁を閉弁した後、エンジン回転数が所定値以上になったときには、ピストンが蓄圧装置の最大蓄圧状態に対応する位置になるまで、前記遮断弁をデューティ制御することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機車両の油圧制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記遮断弁を開弁した後、前記ピストンのストローク範囲の両端を除く位置でストローク量の変化率が所定時間0を継続したときは、アイドリングストップを禁止させることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機車両の油圧制御装置。
  4. 前記蓄圧装置は、前記ピストンと、該ピストンを収容して第1の端壁が油圧回路側に開口するシリンダと、ピストンを前記第1の端壁側へ付勢するリターンスプリングとからなるアキュムレータであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の自動変速機車両の油圧制御装置。
  5. 前記ストローク量検出手段は、前記シリンダの前記第1の端壁と反対側の第2の端壁側に固定されたケースと、該ケースを軸方向に貫通してピストンと一体に変位するスライド軸を有し、該スライド軸には軸方向にそって抵抗部材が付設されるとともに、前記ケースには前記抵抗部材上をスライドするブラシが取り付けられて、前記抵抗部材とブラシによりポテンショメータを形成するものであることを特徴とする請求項4に記載の自動変速機車両の油圧制御装置。
  6. 前記ストローク量検出手段は、前記シリンダの前記第1の端壁と反対側の第2の端壁側に固定されたケースと、該ケースを軸方向に貫通してピストンと一体に変位するスライド軸を有し、該スライド軸には軸方向にそって入力コイルと出力コイルが付設されるとともに、前記ケースには磁力線が前記入力コイルを横切るマグネットが取り付けられて、前記各コイルとマグネットにより磁気変位センサを形成するものであることを特徴とする請求項4に記載の自動変速機車両の油圧制御装置。
  7. 前記ストローク量検出手段は前記スライド軸を前記第1の端壁側へ付勢するバックスプリングを有して、前記スライド軸の一端を常時ピストンに当接させていることを特徴とする請求項5または6に記載の自動変速機車両の油圧制御装置。
  8. 前記ストローク量検出手段は、前記リターンスプリングの内径側に配置されていることを特徴とする請求項5から7のいずれか1に記載の自動変速機車両の油圧制御装置。
  9. 前記第2の端壁からは軸方向外方に筒部が延びて、該筒部の内周壁にはねじが形成され、
    前記ケースは、外周に前記筒部のねじと噛み合う雄ねじが形成されたフランジを備えて、軸まわりに回動させることにより軸方向位置を調整可能とされ、
    外周に前記筒部のねじと噛み合う雄ねじが形成されたロックボルトを前記フランジに当接させて締め付けることにより前記ケースが前記筒部に固定されることを特徴とする請求項5から8のいずれか1に記載の自動変速機車両の油圧制御装置。
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