JP2011231700A - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

内燃機関の可変動弁装置 Download PDF

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Abstract

【課題】減速機構の作動中における打音の発生を十分に抑制し得る内燃機関の可変動弁装置を提供する。
【解決手段】電動モータの正逆回転力を減速してカムシャフト2に伝達する減速機構8は、モータ出力軸13と一体に設けられた偏心軸部33と、タイミングスプロケット1に一体的に設けられた環状部材19と、該環状部材の内周側に有する内歯19aとボールベアリング33の外輪33bとの間に設けられた複数のローラ34と、カムシャフト側に設けられ、各ローラの間を隔成しつつローラ全体の径方向の移動を許容する保持器41と、を備え、前記ローラと内歯との間のクリアランスの大きさに応じて、外径が異なる複数のローラを選択的に組み付けて最適なクリアランスに調整する。これによって、作動時の打音の発生を抑制する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の吸気弁または排気弁の例えば開閉タイミングや作動角などを、電動モータによる可変機構を用いて可変制御する内燃機関の可変動弁装置に関する。
近時、内燃機関の可変動弁装置の一つであるバルブタイミング制御装置にあっては、電動モータを駆動することによって制御の安定化や制御の応答性を向上させるものが提供されている。
例えば、以下の特許文献1に記載されたバルブタイミング制御装置は、電動モータの駆動回転を遊星歯車機構によって構成された減速機構によって減速させて、クランクシャフトから回転力が伝達されるタイミングスプロケットとカムシャフトとの相対回転位相を変化させて、機関弁の開閉タイミングを機関運転状態に応じて可変制御するようになっている。
特開2009−185785号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載したバルブタイミング制御装置にあっては、前記減速機構として、互いに噛合するサンギアやリングギアなどからなる遊星歯車機構を用いているため、各歯車の噛み合い部間の隙間の大きさにばらつきが発生し易く、前記隙間が大きくなってしまうと、カムシャフトに発生した正負の交番トルクを受けて各歯側面同士が干渉して比較的大きな衝突打音が発生するおそれがある。
本発明は、前記従来技術の技術的課題に鑑みて案出されたもので、減速機構の作動中における打音の発生を十分に抑制し得る内燃機関の可変動弁装置を提供することを目的としている。
本発明に係る可変動弁装置は、とりわけ、偏心回転体の外周面と内周噛合い部との間の隙間の大きさに応じて、外径の異なる転動体を選択して組み付けることを特徴としている。
この発明によれば、作動中の衝突打音の発生を抑制して十分な静粛性が得られる。
本発明に係るバルブタイミング制御装置の一実施形態の縦断面図である。 図1のA−A線断面図である。 図1のB−B線断面図である。 本実施形態に供されるカバー部材と第1オイルシールとの分解斜視図である。 図1のC−C線断面図である。 本実施形態の要部拡大図である。 本実施形態におけるクリアランスを調整するための手順を示すフローチャート図である。 Aは前記クリアランスを調整するために基準ローラを組み付けた状態を示す要部拡大図、Bは前記クリアランスを測定する状態を示す要部拡大図である。 実験による前記クリアランスとVTCの騒音との関係を示すグラフである。 実験による前記クリアランスとVTCの振動との関係を示すグラフである。 実験によるVTCの任意の位相角制御保持状態における前記クリアランスとVTCの振れ量との関係を示すグラフである。 実験による前記クリアランスとVTCの制御応答性の平均偏差値との関係を示すグラフである。 第2実施形態におけるクリアランスを調整するための手順を示すフローチャート図である。 Aは前記クリアランスを調整するために基準ローラを組み付けた状態を示す要部拡大図、Bは外輪とローラとの間のクリアランスを測定する状態を示す要部拡大図、Cは前記クリアランスが調整された後の要部拡大図である。
以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置(VTC)の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態では、内燃機関の吸気側の動弁装置に適用したものであるが、排気側の動弁装置に同様に適用することも可能である。
〔第1実施形態〕
このバルブタイミング制御装置は、図1〜図5に示すように、内燃機関のクランクシャフトによって回転駆動する駆動回転体であるタイミングスプロケット1と、図外のシリンダヘッド上に軸受44を介して回転自在に支持され、前記タイミングスプロケット1から伝達された回転力によって回転するカムシャフト2と、該タイミングスプロケット1の前方位置に配置されて、チェーンカバー40にボルトによって取り付け固定された固定部材であるカバー部材3と、前記タイミングスプロケット1とカムシャフト2の間に配置されて、機関運転状態に応じて両者1,2の相対回転位相を変更する位相変更機構4と、を備えている。なお、前記チェーンカバー40は、シリンダヘッドにボルトによって取り付け固定されている。
前記タイミングスプロケット1は、全体が鉄系金属によって一体に形成され、内周面が段差径状に形成された円環状スプロケット本体1aと、該スプロケット本体1aの外周に一体に設けられ、巻回されたタイミングチェーン42を介してクランクシャフトからの回転力を受けるギア部1bと、から構成されている。また、タイミングスプロケット1は、前記スプロケット本体1aの内周側に形成された円形溝1cと前記カムシャフト2の前端部に一体に設けられた肉厚なフランジ部2aの外周との間に介装された第3軸受である第2ボールベアリング43によってカムシャフト2に回転自在に支持されている。
前記スプロケット本体1aは、前端部外周縁に環状突起1eが一体に設けられている。スプロケット本体1aの前端部には、前記環状突起1eの内周側に同軸上に位置決めされた環状部材19が配置されていると共に、この環状部材19の前端面には大径円環状のプレート6がボルト7によって軸方向から共締め固定されている。また、前記スプロケット本体1aの内周面の一部には、図3に示すように、円弧状の係合部であるストッパ凸部1dが周方向に沿って所定長さ範囲まで形成されている。
前記環状部材19は、内周に波形状の噛み合い部である内歯19aが形成されている。
前記プレート6の前端側外周には、前記位相変更機構4の後述する電動モータ12の一部を構成する円筒状のハウジング5がボルト11によって固定されている。
前記ハウジング5は、鉄系金属によって横断面ほぼコ字形状(カップ状)に形成されてヨークとして機能し、前端側(底部側)に円環プレート状の保持部5aを一体に有していると共に、該保持部5aを含めた外周側全体が前記カバー部材3によって所定の隙間をもって覆われた形で配置されている。
前記カムシャフト2は、外周に図外の一気筒当たり2つの吸気弁を開作動させる一気筒当たり2つの駆動カムを有していると共に、前端部に従動回転体である従動部材9がカムボルト10によって軸方向から結合されている。前記各吸気弁は、図外のバルブスプリングによってそれぞれ閉方向に付勢されている。したがって、かかるバルブスプリングのばね力などに起因して前記カムシャフト2に正負の交番トルクが発生する。
また、カムシャフト2の前記フランジ部2aには、図3に示すように、前記スプロケット本体1aのストッパ凸部1dが係入するストッパ凹溝2bが円周方向に沿って形成されている。このストッパ凹溝2bは、円周方向へ所定長さの円弧状に形成されて、カムシャフト2がこの長さ範囲で回動してストッパ凸部1dの両端縁1f、1gに周方向の対向縁2c、2dがそれぞれ当接することによって、タイミングスプロケット1に対するカムシャフト2の最大進角側あるいは最大遅角側の相対回転位置を規制するようになっている。
つまり、カムシャフト2が回転して、図3に示すように、カムシャフト2側の一方の対向縁2dがタイミングスプロケット1側の一端縁1gに当接規制された状態で最大遅角側の相対回転位相となり、逆に他方の対向縁2cが他端縁1fに当接規制された状態で最大進角側の相対回転位相になるように設定されている。この両ストッパ凸部1dとストッパ凹溝2bによってストッパ機構が構成されている。
前記カムボルト10は、頭部10aと、該頭部10aに一体に有する軸部10bとからなり、前記頭部10aの軸部10b側の端縁にフランジ状の座面部10cが一体に形成されている。また、前記軸部10bの外周に前記カムシャフト2の先端縁から内部軸方向に形成された雌ねじ部2eに螺着する雄ねじ部10dが形成されている。
前記従動部材9は、鉄系金属材によって一体に形成され、図1に示すように、後端側に形成された円板部9aと、該円板部9aの前端面に一体に形成された円筒状の円筒部9bと、から構成されている。
前記円板部9aは、後端面の径方向ほぼ中央位置に前記カムシャフト2のフランジ部2aとほぼ同じ外径の環状段差突起9cが一体に設けられ、この段差突起9cの外周面と前記フランジ部2aの外周面が対峙しながら前記第2ボールベアリング43の内輪43aの内周に挿通配置されている。これによって、組付時におけるカムシャフト2と従動部材9との軸芯作業が容易になる。なお、前記第2ボールベアリング43の外輪43bは、前記スプロケット本体1aの円形溝1cの内周面に圧入固定されている。
また、前記円板部9aの外周部には、図1、図2に示すように、後述する転動体であるローラ34を保持する保持部材である保持器41が一体に設けられている。この保持器41は、前記円板部9aの外周部に一体に形成された円環状基部から前記円筒部9bと同じ方向、つまり円筒部9bの軸方向へ突出して形成された複数の突起部41aを有している。この各突起部41aは、ほぼ櫛歯状に形成されて、それぞれ横断面ほぼ矩形状に形成されていると共に、円環状基部の円周方向のほぼ等間隔位置に所定の隙間をもって形成されている。
前記円筒部9bは、図1に示すように、中央に前記カムボルト10の軸部10bが挿通される挿通孔9dが貫通形成されていると共に、外周側に後述するニードルベアリング28が設けられている。
前記カバー部材3は、図1及び図5に示すように、比較的に肉厚な合成樹脂材(非磁性材)によって一体に形成され、カップ状に膨出したカバー本体3aと、該カバー本体3aの後端部外周に一体に有するブラケット3bと、から構成されている。
前記カバー本体3aは、前記位相変更機構4の前端側を覆う、つまり前記ハウジング5の前端側の保持部5aから後端部側のほぼ全体を、所定隙間をもって覆うように配置されていると共に、ほぼ平坦状の前端壁のほぼ中央位置には作業用孔3cが貫通形成されている。この作業用孔3cは、オイルシール50と位相変換機構4の同軸を合わせるためのものであって、組付完了後は、横断面ほぼコ字形状の第1栓体29が嵌着固定されて内部を閉塞するようになっている。一方、前記ブラケット3bには、ほぼ円環状に形成された6つのボス部にそれぞれボルト挿通孔3fが貫通形成されている。
また、前記カバー部材3は、図1に示すように、前記ブラケット3bのボルト挿通孔3fを挿通した複数のボルト47によって前記チェーンカバー40に固定されている。また、前記カバー本体3aの前端壁の内周面には、内外2重のスリップリング48a,48bが各内端面を露出した状態で一体的に埋設固定されている。前記各スリップリング48a、48bは、ほぼ薄板円環状に形成されて所定の隙間をもって内外に配置されていると共に、それぞれの軸方向の外端部が前記前端壁の内面側に埋設状態に固定されている。
さらに前記カバー部材3の上端部には、コネクタ部49が設けられている。このコネクタ部49は、基端部がカバー部材3の内部に埋設固定された長板状のコネクター端子49aを有すると共に、カバー部材3の内部に埋設固定されて、一端部が前記コネクター端子49aの基端部に接続され、他端部が前記各スリップリング48a、48bに接続されたクランク状の導電部材49aを有している。前記コネクタ端子49aには、コントロールユニット21を介して図外のバッテリー電源から通電あるいは通電が遮断されるようになっている。
前記カバー本体3aの後端部側の内周面と前記ハウジング5の外周面との間には、図1及び図4に示すように、シール部材である大径な第1オイルシール50が介装されている。この第1オイルシール50は、横断面ほぼコ字形状に形成されて、合成ゴムの基材の内部に芯金が埋設されていると共に、外周側の円環状基部50aが前記カバー部材3a後端部の内周面に形成された円形溝3d内に嵌着固定されている。また、円環状基部50aの内周側には、前記ハウジング5の外周面に当接するシール面50bが一体に形成されている。
前記位相変更機構4は、前記カムシャフト2のほぼ同軸上前端側に配置されたアクチュエータである電動モータ12と、該電動モータ12の回転速度を減速してカムシャフト2に伝達する前記減速機構8と、から構成されている。
前記電動モータ12は、図1に示すように、ブラシ付きのDCモータであって、前記タイミングスプロケット1と一体に回転するヨークである前記ハウジング5と、該ハウジング5の内部に回転自在に設けられたモータ出力軸13と、ハウジング5の内周面に固定された半円弧状の一対の永久磁石14,15と、ハウジング保持部5aの内底面側に設けられた固定子であるステータ16と、を備えている。
前記モータ出力軸13は、筒状に形成されてアーマチュアとして機能し、軸方向のほぼ中央位置の外周に、複数の極を持つ鉄心ロータ17が固定されていると共に、該鉄心ロータ17の外周に電磁コイル18が巻回されている。また、モータ出力軸13の前端部外周には、コミュテータ20が圧入固定されている。このコミュテータ20の前記鉄心ロータ17の極数と同数に分割された各セグメントに、前記電磁コイル18がハーネスによって接続されている。さらに、前記モータ出力軸13の内部には、前記カムボルト10が締結された後に内部を閉塞する横断面ほぼコ字形状の第2栓体31が圧入固定されている。これによって、オイルの自由な排出を阻止するようになっている。
前記ステータ16は、図5に示すように、前記保持部5aの内底壁に4本のビス22aによって固定された円環板状の樹脂ホルダー22と、該樹脂ホルダー22と保持部5aに軸方向から貫通配置されて、各先端面が前記一対のスリップリング48a、48bに摺接して給電される周方向内外2つの給電用ブラシである第1ブラシ23a,23bと、樹脂ホルダー22の内周側に内方へ進退自在に保持されて、円弧状の先端部が前記コミュテータ20の外周面に摺接する通電切換用ブラシである第2ブラシ24a、24bと、から主として構成されている。
前記第1ブラシ23a、23bと第2ブラシ24a、24bは、ピッグテールハーネス25a、25bによって接続されていると共に、それぞれに弾接した捩りばね26a、27aのばね力によって前記スリップリング48a、48b方向やコミュテータ20方向へそれぞれ付勢されている。
前記モータ出力軸13は、図1に示すように、前記従動部材9の円筒部9bの外周側に設けられたニードルベアリング28と、カムボルト10の座面部10c側の軸部10bの外周側に設けられた第3ボールベアリング35と、によってカムボルト10に回転自在に支持されている。また、前記モータ出力軸13のカムシャフト2側の後端部には、減速機構8の一部を構成する円筒状の偏心回転体である偏心軸部30が一体に設けられている。
前記ニードルベアリング28は、図2に示すように、前記偏心軸部30の内周面に圧入された円筒状のリテーナ28aと、該リテーナ28aの内部に回転自在に保持された複数のニードルローラ28bとから構成されている。このニードルローラ28bは、前記従動部材9の円筒部9bの外周面を転動している。
前記第3ボールベアリング35は、内輪35aが前記従動部材9の円筒部9bの前端縁とカムボルト10の座面部10cとの間に挟持状態に固定されている。一方、外輪35bがモータ出力軸13の内周に形成された段差部と抜け止めリングであるスナップリング36との間に軸方向から挟持された状態で位置決め支持されている。
また、前記モータ出力軸13(偏心軸部30)の外周面と前記プレート6の内周面との間には、減速機構8の内部から電動モータ12内への潤滑油のリークを阻止する第2オイルシール32が設けられている。この第2オイルシール32は、シール機能の他に、内周部が前記モータ出力軸13の外周面に弾接していることによって、該モータ出力軸13の回転に対して摩擦抵抗を付与するようになっている。
前記コントロールユニット21は、前記クランクシャフトの回転位置を検出する図外のクランク角センサや、カムシャフト2の回転位置を検出するカム角センサ、吸入空気量を検出するエアーフローメータ、水温センサ、アクセル開度センサなど各種のセンサ類から情報信号に基づいて現在の機関運転状態を検出して、点火時期や燃料噴射量などを制御している。
また、コントロールユニット21は、前記クランク角センサとカム角センサから出力された検出信号によって前記クランクシャフトとカムシャフト2の相対回転角度位相を検出し、これらの検出信号に基づいて前記電動モータ12の電磁コイル18に通電してモータ出力軸13の正逆回転制御を行い、減速機構8を介してタイミングスプロケット1に対するカムシャフト2の相対回転位相を制御するようになっている。
前記減速機構8は、図1、図2に示すように、偏心回転運動を行う前記偏心軸部30と、該偏心軸部30の外周に設けられた回転部材である第1ボールベアリング33と、該第1ボールベアリング33の外周に設けられた転動体である複数のローラ34と、該ローラ34を転動方向に保持しつつ径方向の移動を許容する前記保持器41と、該保持器41と一体の前記従動部材9と、から主として構成されている。
前記偏心軸部30は、円筒状に形成されて、外周面に形成されたカム面の軸心Yがモータ出力軸13の軸心Xから径方向へ僅かに偏心している。
前記第1ボールベアリング33は、大径状に形成されて、前記ニードルベアリング28の径方向位置で全体がほぼオーバラップする状態に配置され、内輪33aと外輪33bとの間に複数のボール33cが転動自在に支持され、前記内輪33aが前記偏心軸部30の外周面に圧入固定されていると共に、前記外輪33bの外周面には前記ローラ34が常時当接している。また、前記外輪33bの外周側には、図2にも示すように、三日月円環状の隙間Cが形成されて、この隙間Cを介して第1ボールベアリング33全体が前記偏心軸部30の偏心回転に伴って径方向へ移動可能、つまり偏心動可能になっている。そして、前記第1ボールベアリング33と偏心軸部30が偏心回転体として構成されている。
前記各ローラ34は、金属材からなる中実な円柱状に形成され、後述する予め外径の異なる複数形成されている中から特定のものから選択されている。また、各ローラ34は、内周面が前記第1ボールベアリング33の外輪33bの外周面に偏心動に伴って所定の領域のものが当接すると共に、外周側が前記環状部材19の内歯19aに一部が嵌入している。また、第1ボールベアリング33の偏心動に伴って径方向へ移動しつつすると共に、保持器41の前記各突起部41aによって周方向にガイドされつつ径方向へ揺動運動するようになっている。
前記保持器41は、前述したように、周方向へ一定の間隔をもって設けられた複数の突起部41aを有し、この各突起部41aの軸方向の一端側、つまり従動部材9側が閉塞されているが、その反対側は開口されていて、この開口部41bがボルト7によって共締めされた際に、前記プレート6によって閉塞されるようになっている。
そして、前記各ローラ34は、図2に示すように、第1ボールベアリング33の偏心位置によっては一部が環状部材19の各内歯19aに嵌合せず(図2の下側領域)、各内歯19aから外れて各内歯19a間の山頂部に位置しているか、あるいは不完全な嵌合状態になっている。また、各内歯19aに完全に嵌合している状態にある領域(図2の上側領域)でも、図6に示すように、前記内歯19aの内面19bとローラ34の外周面との間に、約10〜40μmの微小なクリアランスC1が形成されていて、これによって、各ローラ34の転動性やVTCの騒音の低減化、制御応答性などを確保している。このクリアランスC1は、各構成部品を組み付ける際に比較的厳しく隙間管理がなされ、これの設定方法については後述する。
前記減速機構8の内部には、潤滑油供給手段によって潤滑油が供給されるようになっている。この潤滑油供給手段は、図1に示すように、前記シリンダヘッドの軸受44に軸受されるカムシャフト2のジャーナルの外周に形成された円環溝状の油供給通路45と、前記カムシャフト2の内部軸方向に形成されて、前記油供給通路45に連通した油供給孔46と、カムシャフト2の先端面に形成されて、前記油供給孔46の下流端に接続された油溝46aと、前記従動部材9の内部軸方向に貫通形成されて、一端が前記油溝46aに開口し、他端が前記ニードルベアリング28と第1ボールベアリング33の付近に開口した前記小径なオイル供給孔46bと、同じく従動部材9に貫通形成された前記大径な3つの図外のオイル排出孔とから構成されている。
前記油供給通路45は、シリンダヘッドの内部に形成された図外のメインオイルギャラリーを介してオイルポンプから潤滑油が常時供給されるようになっている。したがって、前記ニードルベアリング28や第1ボールベアリング33及び前記環状部材19の内歯19a、各ローラ34、保持器41の各突起部41aなどには常時十分な潤滑油が供給されるようになっている。
以下、本実施形態におけるバルブタイミング制御装置の基本的な作動について説明する。まず、機関のクランクシャフトが回転駆動するとタイミングチェーン42を介してタイミングスプロケット1が回転して、その回転力が環状部材19とプレート6を介して電動モータ12のハウジング5に伝達されて永久磁石14,15やステータ16が同期回転する。一方、前記環状部材19の回転力が、ローラ34から保持器41及び従動部材9を経由してカムシャフト2に伝達される。これによって、カムシャフト2は、クランクシャフトの1/2の回転速度で回転しつつ外周側のカムが吸気弁をバルブスプリングのばね力に抗して開作動させる。
そして、機関始動後の通常運転時には、前記コントロールユニット21の制御信号によってバッテリー電源からスリップリング48a、48bなどを介して電動モータ12の電磁コイル17に通電される。これによって、モータ出力軸13が正逆回転制御され、この回転力が減速機構8を介してカムシャフト2に伝達されて前記タイミングスプロケット1に対する相対回転位相が制御されるようになっている。
すなわち、前記モータ出力軸13の回転に伴い偏心軸部30が偏心回転すると、各ローラ34がモータ出力軸13の1回転毎に保持器41の各突起部41aの側面で径方向へガイドされながら前記環状部材19の一の内歯19aを乗り越えて隣接する他の内歯19aに転動しながら移動し、これを順次繰り返しながら円周方向へ転接する。この各ローラ34の転接によって前記モータ出力軸13の回転が減速されつつ前記従動部材9を介してカムシャフト2に回転力が伝達される。このときの減速比は、前記ローラ34の個数などによって任意に設定することが可能であり、ローラ34の数を多くすれば減速比は小さくなり、少なくすれば大きくなる。
これにより、カムシャフト2がタイミングスプロケット1に対して正逆相対回転して相対回転位相が変換されて、吸気弁の開閉タイミングを進角側あるいは遅角側に変換制御するのである。
そして、前記タイミングスプロケット1に対するカムシャフト2の正逆相対回転の最大位置規制(角度位置規制)は、前述したように、前記ストッパ凸部1dの各側縁1f、1gが前記ストッパ凹溝2bの各対向縁2c、2dのいずれか一方に当接することによって行われる。
つまり、前記従動部材9(カムシャフト2)が、前記偏心軸部30の偏心回動に伴ってタイミングスプロケット1の回転方向(図3の矢印方向)と同方向に回転することによって、ストッパ凸部1dの他側縁1fにストッパ凹溝2bの他方側の対向縁2cが当接してそれ以上の同方向の回転が規制される。これにより、カムシャフト2は、タイミングスプロケット1に対する相対回転位相が進角側へ最大に変更される。
一方、従動部材9がタイミングスプロケット1の回転方向と逆方向に回転することによって、ストッパ凸部1dの一側縁1gにストッパ凹溝2bの一方側の対向縁2dが当接してそれ以上の同方向の回転が規制される。これにより、カムシャフト2は、タイミングスプロケット1に対する相対回転位相が遅角側へ最大に変更される。
この結果、吸気弁の開閉タイミングが進角側あるいは遅角側へ最大に変換されて、機関の燃費や出力の向上が図れる。
このように、ストッパ凸部1dとストッパ凹溝2bのストッパ機構によってカムシャフト2の相対回転位置を確実に規制することができる。
次に、前記ローラ34の外周面と環状部材19の内歯19aの内面との間の微小クリアランスC1を設定するための手順を、図7〜図8A、Bに基づいて説明する。本実施形態では、前記微小クリアランスC1を、各ローラ34を交換することによって設定するもので、図7はこのローラ交換方式を示すフローチャート図、図8A、Bは前記フローチャート図に対応した手順説明図である。
図7及び図8Aに示すように、まず、ステップ1では、径方向から互いに最も近接した位置にある前記内歯19aの内面と外輪33bとの間の空間内に、予め製造しておいた基準ローラ34aを前記先端側の開口部41b側から組み付ける。この基準ローラ34aは、その外径Pが前記各内歯19aや外輪33bの成形加工時などに寸法誤差のないものを基準として設定されているものである。
次に、ステップ2では、図8Bに示すように、前記内歯19aの内面とローラ34aとの間のクリアランスC1を測定する。
ステップ3では、前記クリアランスC1が許容値Q内(10〜40μm)にあるか否かを判断する。この許容値Qを10〜40μmと設定した理由は、後述するように、クリアランスC1の大きさを変えてVTCの振動や騒音などを実験した結果から求められたものである。
すなわち、前記第1ボールベアリング33の製造誤差、特に外輪33bの外径や前記環状部材19の内歯19aの内径などの寸法誤差によって前記クリアランスC1が大小変化する場合がある。そして、このクリアランスC1が予め決められた前記許容値Q内に有ると判断した場合は、ステップ4に移行し、前記基準ローラ34aをそのまま内歯19a内に嵌合した状態で、前記プレート6で開口部41bを閉塞しつつボルト7によって環状部材19と共締めすることによって組み付け作業を完了する。
前記ステップ3でクリアランスC1が許容値Qから外れていると判断した場合は、ステップ5に移行して外径の異なるローラ34を選択する。つまり、前記クリアランスC1が許容値Qより大きい場合は、その大きさに合わせて外径の大きなローラ34を選択し、クリアランスC1が許容値Qより小さい場合は、外径の小さなローラ34を選択して基準ロータ34aと取り替えることによってクリアランス調整作業を行い、最適なクリアランスC1となるように設定する。その後、前記プレート6で開口部41bを閉塞しつつボルト7によって環状部材19と共締めすることによって組み付け作業を完了する。
〔実験例〕
前記クリアランスC1の許容値が10〜40μmの範囲内とした理由は、発明者による多くの実験結果によって決定されたものである。かかる実験例としては、前記クリアランスC1を約5〜50μmに設定した状態で、図9では前記VTC全体の騒音(dB)を示し、図10ではVTC全体の振動(G)を示している。また、図11ではVTCにより任意の位相角に保持した状態におけるVTCの進角、遅角側への振れ量(degCA)(ずれ量)を示し、さらに図12ではVTCの制御応答性の平均偏差値(degCA)を調べたものである。
まず、図9に示す騒音についてみると、クリアランスC1が約5〜35μmではほぼ平坦な低い値を示し、40μmのクリアランスでは僅かに上昇するものの比較的低い値を示しているが、40μmを超えてから45、50μmまで騒音が急激に上昇する傾向となることが分かった。
また、図10に示す振動についてみると、これも前記騒音とほぼ同じ特性を示し、クリアランスが約5〜40μmまでは徐々に上昇するものの、40μmを超えて50μmまで急激に上昇することが明らかになった。
さらに、図11に示す最進角保持制御時における振れ量をみると、クリアランスが5μm〜40μmまでは徐々に上昇するが、40μmを超えて50μmまで急激に上昇する傾向になることが分かった。
また、図12に示す制御応答性の平均偏差値をみると、約5μmから漸次低下して40μmを超えて45,50μmになると大きく低下することが分かった。
かかる実験例から総合的に判断すると、前記クリアランスC1が約5〜40μm、好ましくは10〜40μmの範囲内に設定すれば、VTCの騒音や制御応答性などの全ての要求を満足できることが明らかとなった。したがって、本実施形態では、前記クリアランスC1を10〜40μmの範囲内に設定したものである。
以上のように、本実施形態では、VTCの作動中におけるカムシャフト2から伝達された交番トルクなどによる騒音の低減化や良好な制御応答性などを確保することができる。
また、外径の異なる複数のローラ34を予め用意しておき、各構成部品の組み付け時に、前記述した手順によって単に各ローラ34を交換することによって前記クリアランスC1の誤差を調整することができるので、コストの高騰を十分に抑制することが可能になる。
〔第2実施形態〕
図13及び図14は第2実施形態を示し、バルブタイミング制御装置の基本構造は第1実施形態と同様であるが、異なるのは、外径の異なる外輪33bを備えた複数の第1ボールベアリング33を予め用意しておき、各構成部品の組付時に、外径の異なる外輪33bの第1ボールベアリング33を適宜選択して前記ローラ34と外輪33bとの間のクリアランスC2を調整するようにしたものである。
図13及び図14Aに示すように、まず、ステップ11では、最初に、径方向から最も互いに近接した位置にある前記内歯19aの内面と外輪33bとの間の空間内に、基準ローラ34aを前記先端側の開口部41b側から組み付ける。この基準ローラ34aは、その外径Pが前記各内歯19aや外輪33bの成形加工時などに寸法誤差のないものを基準として予め設定されているものである。
次に、ステップ12で、図14Bに示すように、前記外輪33bの外周面とローラ34aとの間のクリアランスC2を測定する。
ステップ13では、前記クリアランスC2が前述した許容値Q内(10〜40μm)にあるか否かを判断する。すなわち、前記第1ボールベアリング33の製造誤差、特に外輪33bの外径や前記環状部材19の内歯19aの内径などの寸法誤差によって前記クリアランスC2が大小変化する場合があるが、このクリアランスC2が予め決められた前記許容値Q内に有ると判断した場合は、ステップ14に移行する。
ここでは、第1ボールベアリング33をそのまま取り付けた状態で、前記プレート6で開口部41bを閉塞しつつボルト7によって環状部材19と共締めすることのよって組み付け作業が完了する。
前記ステップ13でクリアランスC2が許容値Qから外れていると判断した場合は、ステップ15に移行して、外径の異なる外輪33bの第1ボールベアリング33を選択する。
つまり、例えば、前記クリアランスC2が許容値Qより大きい場合は、その大きさに合わせて外径の大きな外輪33bの第1ボールベアリング33を選択し、クリアランスC2が許容値Qより小さい場合は、外径の小さな外輪33bの第1ボールベアリング33を選択して取り替えることによってクリアランス調整作業を行い、最適なクリアランスC1となるように設定する。その後、前記プレート6と環状部材19をボルト7によって共締めすることによって組み付け作業が完了する。
この実施形態では、外輪33bの外周面とローラ34との間のクリアランスC2を調整するようになっているが、この場合でも、第1実施形態と同様な作用効果が得られる。つまり、VTCの作動中におけるカムシャフト2から伝達された交番トルクなどによる騒音の低減化や良好な制御応答性などを確保することができる。
また、この実施形態も、単一部品である第1ボールベアリング33の外輪33bの外径が異なるものを複数用意しておけば良いので、前記クリアランス調整作業が容易である。
〔各実施形態の共通の作用効果〕
また、前記第1、第2実施形態の共通の作用効果としては、前記カバー部材3を合成樹脂材によって形成したことによって機関の全体の軽量化が図れると共に、前記各スリップリング48a、48bやコネクタ端子49aなどを一体的に設けることができるので、これらの製造作業が容易になる。
前記減速機構8のニードルベアリング28と第1ボールベアリング33を径方向のほぼ同一位置に配置し、特に、ニードルベアリング28と同じ径方向位置に前記環状部材19とローラ34を配置したことから、装置の軸方向の長さを十分に短くすることが可能になる。この結果、装置の小型化と軽量化が図れる。
しかも、前記減速機構8の構造が簡素化されるため、製造作業や組立作業が容易になり、これらのコストを十分の低減することができる。
また、前記環状部材19の内歯19aの歯面とローラ34が噛み合う位置の径方向内周側に前記ニードルベアリング28が配置されていることから、環状部材19側から径方向内側へ作用する大きな荷重を前記ニードルベアリング28によって受けることができる。このため、前記荷重による曲げモーメントが前記モータ出力軸13に殆ど作用しない。したがって、モータ出力軸13の常時スムーズな回転が得られる。
さらに、前記減速機構8内には、潤滑油供給手段から潤滑油が常時強制的に供給されることから、減速機構8の各部の潤滑性が向上する。つまり、内歯19aとローラ34との間や、ニードルベアリング28、第1ボールベアリング33に潤滑油が供給されて、各ローラ、28b、34や各ボールとの間の潤滑性が向上して減速機構8による常時滑らかな位相変換が行われることは勿論のこと、この潤滑油が各部材間の緩衝機能を発揮するため、前記打音の発生をより効果的に抑制することが可能になる。
特に、機関の駆動中はオイルポンプから圧送された潤滑油が前記潤滑油供給手段を介して常時供給されて浸漬された状態になるため、前記各転動体の油膜切れの発生が抑制できる。これにより、電動モータ12の初期駆動負荷を十分に低減でき、バルブタイミングの制御応答性の向上と消費エネルギーの減少化が図れる。
また、前記減速機構8内部から前記各オイル排出孔を介して外部に排出された潤滑油は、遠心力によって前記第2ボールベアリング43に付着すると共に、タイミングスプロケット1の各ギア部1bに付着して、これらの部位を効率良く潤滑する。
さらに、前記モータ出力軸13と偏心軸部30を、ニードルベアリング28と第3ボールベアリング35を介してカムボルト10に支持したため、別途支持軸を設ける必要がなくなり、部品点数の削減が図れると共に、カムシャフト2に軸方向から直接結合されているので、カムシャフト2に対して径方向の倒れが抑制されて高い同軸性が得られる。
また、ハウジング5によって減速機構8と電動モータ12との一体化が図れると共に、スプロケット本体1aを介してタイミングスプロケット1との一体化も図れることから、これら各構成部品全体のユニット化が図れる。したがって、装置の軸方向の他に径方向の小型化が図れると共に、製品管理が容易になる。
また、前記第2オイルシール32は、前記モータ出力軸13に摩擦抵抗を付与することから、バルブスプリングのばね力などによって前記カムシャフト2に発生する交番トルクを吸収して電動モータ12の負荷を抑制することができる。
また、前記モータ出力軸13と偏心軸部30とを一体化したことによって、分割した場合に比較して部品点数の削減が図れると共に、組付、製造作業が容易になり、この点でもコストの低減化が図れる。
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、前記内歯19aの内径の異なる複数の環状部材19を予め用意しておき、前記クリアランスの大きさに応じて環状部材19を選択して、ローラ34と内歯19aとの間のクリアランスC1を調整することも可能である。
また、転動体としてローラを用いたが、各構成部材の構造によってはボールで構成することも可能である。
さらに、可変動弁装置としては、各実施形態のバルブタイミング制御装置に限定されるものではなく、例えば、本出願人が先に出願した特開2010−84716号公報に記載された発明のように、機関運転状態に応じて吸気弁のリフト量と作動角を可変にする可変動弁装置に適用することも可能である。
前記実施形態から把握される前記請求項以外の発明の技術的思想について以下に説明する。
〔請求項a〕
請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
前記転動体は、中実円柱状のローラであることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
この発明によれば、転動体をローラとしたことによって、内歯とボールベアリングとの間の安定した転動性が得られる。
〔請求項b〕
請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
前記保持部材の前記各転動体を隔成しつつ保持する保持部は、前記各転動体が軸方向の少なくとも一方側から抜け出し可能な開口部を有し、前記転動体の抜け出す側の軸方向の端面側には、前記各転動体の抜け出しを規制するプレートが前記第1部材または前記第2部材の一方に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
この発明によれば、前記プレートを適宜取り外すことによって、前記各転動体を開口部から自由に取り替えることができるため、摩耗などにより該各転動体の取り替えが必要になった場合や、取り付け初期における隙間管理のために他のものと取り替える際に、その取り替え作業が容易になる。
〔請求項c〕
請求項bに記載の内燃機関の可変動弁装置において、
前記プレートは、前記内周噛合い部に共締め固定されていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
前記プレートを着脱することによって開口部からローラを自由に取り替えることができるので、メインテナンス性が向上する。
〔請求項d〕
請求項cに記載の内燃機関の可変動弁装置において、
前記偏心回転体は、前記電動モータから回転力が直接伝達される偏心軸部と、該偏心軸部の外周に設けられた軸受部材とからなり、
前記プレートの内周には、前記偏心軸部の外周面と摺動するシール部材が固定されていると共に、該シール部材よりも軸方向の一方側に位置する前記各転動体側に潤滑油が供給されることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
前記シール部材によって電動モータへの潤滑油の流入を規制できると共に、各転動体への積極的な潤滑油の供給によってこれらの潤滑性が向上し、タイミングスプロケットとカムシャフトの相対回転位相の円滑な変換作用が得られる。
〔請求項e〕
請求項dに記載の内燃機関の可変動弁装置において、
前記シール部材よりも軸方向他方側の前記転動体と反対側の位置には、前記電動モータが配置されていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
前記シール部材によって各転動体側に供給された潤滑油が電動モータ側にリークするのを防止できる。
〔請求項f〕
請求項eに記載の内燃機関の可変動弁装置において、
前記電動モータは、モータ出力軸の外周にロータが設けられていると共に、前記モータ出力軸に前記偏心軸部が一体的に固定されていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
モータ出力軸と偏心軸部との一体化によって製造作業や組付作業が極めて容易になると共に、部品管理性も向上する。
〔請求項g〕
請求項fに記載の内燃機関の可変動弁装置において、
前記電動モータは、ハウジングの内周に設けられた永久磁石と、前記ハウジングの内部に回転自在に支持された前記モータ出力軸と、前記ロータに設けられた電磁コイルと、を備えた直流モータであって、前記電磁コイルには給電用ブラシを介して給電されることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項h〕
請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
前記第1部材と前記第2部材の一方は、クランクシャフトから回転力が伝達される回転部に固定され、前記第1部材と前記第2部材の他方は、カムシャフトに固定されることで、前記第1部材に対する前記第2部材の相対回転位相を変更することにより、機関弁の開閉タイミングが変更することを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項i〕
請求項3に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
前記電動モータは、給電用ブラシを介して給電されることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
ブラシを用いた電動モータであることから、コストの低減化が図れる。
〔請求項j〕
請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
前記第1部材と前記第2部材の一方は、機関本体に固定され、他方は、回転することにより少なくとも機関弁の作動角を可変にする作動角可変機構の制御軸に固定されていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項k〕
請求項2に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
前記偏心回転体の外周面と内周噛合い部との間に介在される前記転動体の外周面と、前記偏心軸部の外周面及び前記内周噛合い部との間の径方向のクリアランスを10〜40μmに設定したことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項l〕
請求項2に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
前記偏心回転体は、前記電動モータから回転力が伝達される偏心軸部と、該偏心軸部の外周に設けられ、外周面に前記転動体が当接する回転部材とから成り、
前記回転部材の外周面と前記内周噛合い部の間の隙間の大きさに応じて、外径の異なる複数の回転部材を選択して組み付けることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項m〕
請求項lに記載の内燃機関の可変動弁装置において、
前記偏心軸部は、一部に回転中心に対して偏心した部分を有し、この偏心した部分に前記回転部材であるボールベアリングの内輪を固定し、該ボールベアリングの外輪の外周面と前記内周噛合い部の間の隙間の大きさに応じて、前記外輪の外径が異なる複数のボールベアリングを選択的に組み付けることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
〔請求項n〕
第1部材と第2部材の相対回転位置を減速機構を介して変更することによって、バルブスプリングにより閉じ方向に付勢された機関弁の作動特性を可変にする内燃機関の可変動弁装置の製造方法であって、
前記減速機構は、
電動モータから回転力が伝達され、この回転中心に対して偏心回転する偏心回転体と、
前記第1部材または第2部材の一方に一体的に設けられ、内周に噛み合い部を有する内周噛み合い部と、
前記偏心回転体の外周に周方向へほぼ等間隔位置に回転自在に設けられ、前記偏心回転体の偏心回転によって前記内周噛み合い部との噛み合い箇所が周方向へ移動する複数の転動体と、
前記第1部材もしくは前記第2部材の他方と一体的に設けられ、前記各転動体を転動自在に保持しつつ該転動体全体の径方向の移動を許容する保持部材とを備え、
前記偏心回転体の外周面と前記内周噛合い部との間に配置された前記保持部材に、基準の外径を有する前記転動体を組み付け、
この組み付けた状態で、前記転動体の外周面と前記偏心回転体の外周面及び内周噛み合い部の内面との間の径方向の最大クリアランスを測定し、
この測定結果に基づいて外径の適した前記転動体を選択して前記保持部材に組み付けることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置の製造方法。
この製造方法によれば、単に転動体を適宜取り替えてクリアランスを調整するため、その調整作業が容易である。
〔請求項o〕
請求項nに記載の内燃機関の可変動弁装置の製造方法において、
前記第1部材と前記第2部材の一方は、クランクシャフトから回転力が伝達される回転部に固定され、前記第1部材と前記第2部材の他方は、カムシャフトに固定されることで、前記第1部材に対する前記第2部材の相対回転位相を変更することにより、機関弁の開閉タイミングが変更することを特徴とする内燃機関の可変動弁装置の製造方法。
〔請求項p〕
第1部材と第2部材の相対回転位置を減速機構を介して変更することによって、バルブスプリングにより閉じ方向に付勢された機関弁の作動特性を可変にする内燃機関の可変動弁装置の製造方法であって、
前記減速機構は、
電動モータから回転力が伝達され、この回転中心に対して偏心回転する偏心回転体と、
前記第1部材または第2部材の一方に一体的に設けられ、内周に噛み合い部を有する内周噛み合い部と、
前記偏心回転体の外周に周方向へほぼ等間隔位置に回転自在に設けられ、前記偏心回転体の偏心回転によって前記内周噛み合い部との噛み合い箇所が周方向へ移動する複数の転動体と、
前記第1部材もしくは前記第2部材の他方と一体的に設けられ、前記各転動体を転動自在に保持しつつ該転動体全体の径方向の移動を許容する保持部材とを備え、
前記内周噛合い部と外径の基準となる前記偏心回転体との間に配置された前記保持部材に前記転動体を組み付け、
前記偏心回転体の外周面と前記内周噛合い部の間に介在される前記転動体の外周面と、前記偏心回転体の外周面及び前記内周噛合い部の内面との間の径方向の最大クリアランスを測定し、
この測定結果に基づいて、外径の適した前記偏心回転体を選択して組み付けることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置の製造方法。
1…タイミングスプロケット(第1部材)
2…カムシャフト(第2部材)
3…カバー部材
3a…カバー本体
4…位相変更機構
5…ハウジング
6…プレート
7…ボルト
8…減速機構
9…従動部材
10…カムボルト
12…電動モータ
13…モータ出力軸
17…鉄心ロータ
18…電磁コイル
19…環状部材
19a…内歯
23a、23b…第1ブラシ
24a、24b…第2ブラシ
28…ニードルベアリング
30…偏心軸部(偏心回転体)
32…第2オイルシール
33…第1ボールベアリング(偏心回転体)
33a…内輪
33b…外輪
34…ローラ
35…第3ボールベアリング
41…保持器(保持部材)
41a…突起部
41b…開口部
43…第2ボールベアリング
48a、48b…スリップリング
C1…クリアランス
C2…クリアランス
Q…許容値

Claims (3)

  1. 第1部材に対する第2部材の相対回転位置を変更することによって、バルブスプリングにより閉方向へ付勢された機関弁の作動特性を可変にする内燃機関の可変動弁装置であって、
    制御信号に応じて回転状態が制御される電動モータと、
    該電動モータから回転力が伝達され、回転中心に対して偏心回転する偏心回転体と、
    前記第1部材または第2部材の一方に一体的に設けられ、内周に噛み合い部を有する内周噛み合い部と、
    前記偏心回転体の外周に周方向へほぼ等間隔位置に回転自在に設けられ、前記偏心回転体の偏心回転によって前記内周噛み合い部との噛み合い箇所が周方向へ移動する複数の転動体と、
    前記第1部材もしくは前記第2部材の他方と一体的に設けられ、前記各転動体の間を隔成しつつ転動体全体の径方向の移動を許容する保持部材とを備え、
    前記偏心回転体の外周面と前記内周噛合い部との間の隙間の大きさに応じて、外径の異なる前記転動体を選択して組み付けることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  2. 第1部材に対する第2部材の相対回転位置を変更することによって、バルブスプリングによって閉じ方向に付勢された機関弁の作動特性を可変にする内燃機関の可変動弁装置であって、
    制御信号に応じて回転状態が制御される電動モータと、
    該電動モータから回転力が伝達され、回転中心に対して偏心回転する偏心回転体と、
    前記第1部材もしくは前記第2部材の一方に一体的に設けられ、内周に噛合い部を有する内周噛合い部と、
    前記偏心回転体の外周に周方向へほぼ等間隔位置に回転自在に設けられ、前記偏心回転体の回転によって前記内周噛み合い部との噛み合い箇所が周方向へ移動する複数の転動体と、
    前記第1部材もしくは前記第2部材の他方に一体的に設けられ、前記各転動体の間を隔成しつつ転動体全体の径方向の移動を許容する保持部材と、を備え、
    前記偏心回転体の外周面と前記内周噛合い部との間の隙間の大きさに応じて、前記外径が異なる複数の偏心回転体を選択的に組み付けたことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  3. 請求項1または2に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記偏心回転体の外周面と内周噛合い部との間に介在される前記転動体の外周面と、前記偏心軸部の外周面及び内周噛合い部の内面との間の径方向の最大クリアランスを10〜40μmの範囲内に設定したことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
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