JP2011225966A - Snめっき付き導電材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Cu又はCu合金からなる基材の上に、Ni−W合金層、Cu層又はCu−Sn合金層からなる中間層、Sn又はSn合金からなる表面層がこの順で形成され、Ni−W合金層の厚さが0.1〜1.0μm、Ni−W合金層中のW含有量が10〜35at%であり、かつ中間層の厚さが0.2〜1.0μm、表面層の厚さが0.5〜2.0μmである。
【選択図】 図1
Description
このため、導電材としても、厳しい温度環境で使用できる耐熱性を有することが求められており、例えば、160℃で1000時間といった高温環境下で長時間置かれた後でも、接触抵抗の増加が小さく、剥離せず、変色が見られない、耐熱信頼性の高いめっき材の要求が大きくなっている。
そこで、特許文献1又は特許文献2に記載されるような導電材が開発されている。
また、特許文献2記載の導電材も、特許文献1のものと同様、Cu又はCu合金からなる基材の表面に、Ni層及びCu−Sn合金層からなる表面めっき層がこの順に形成されており、Ni層の厚さが0.1〜1.0μm、Cu−Sn合金層の厚さが0.1〜1.0μm、Sn層の厚さが0.1〜0.5μmとされている。
いずれも、Cu又はCu合金からなる基材の上にNiめっき、Cuめっき、Snめっきをこの順に施した後、リフロー処理することにより製作される。
しかしながら、従来のNiめっき浴から析出するNi皮膜は、例えば175℃程度の高温環境下では下地のCuに対する拡散防止効果が十分でなく、高温下で保持された場合にNiめっき層中のNiがCu−Sn合金層へ拡散してしまい、また下地から拡散してきたCuがSn層と反応し、Snを消費してSn層が消滅してしまうため、接触抵抗が増加するといった問題があった。
また、Cu又はCu−Sn合金からなる中間層は、厚さが0.2μm未満であると、その下のNi−W合金層からのNiの拡散が生じるおそれがあり、一方、1.0μmを超えると、中間層がもろくなり、剥離の原因になり易い。
また、Sn又はSn合金からなる表面層は、厚さが0.5μm未満であると、高温時にCuが拡散して表面にCuの酸化物が形成され易くなることから接触抵抗が増加し、一方、2.0μmを超えると、柔軟なSnによる表面層が厚くなり過ぎることから、その下層の中間層による支持効果が薄れ、コネクタ等の使用時の挿抜力の増大を招き易い。
Ni層の厚みが0.005μm未満では、めっき時間が短すぎて水素による不動態皮膜の還元除去が十分にできない。0.05μmを超えると高温で保持した場合にNi層から中間層にNiが多量に拡散してしまい、耐熱性が低下するおそれがあるため、0.005〜0.05μmの範囲とするのが好ましい。
NiイオンとWイオンのモル比をNi/W=0.1〜4.0としたNi−W合金めっき浴を用いることにより、バリア層としてWが10〜35at%含有したNi−Wを形成することができる。Ni/W=4.0よりもNiの比率を高くすると、皮膜中のW濃度が10%以上とならず、Ni/W=0.1よりもWの比率を高くするとめっきの効率が大幅に低下し、めっきが付かなくなる。
本発明の第1実施形態のSnめっき導電材は、図1に層構成を示したように、Cu又はCu合金からなる基材1の表面に、Ni−W合金層2、Cu−Sn合金からなる中間層3、Sn又はSn合金からなる表面層4がこの順に形成された全体構成とされている。
基材1は、Cu又はCu合金から構成された例えば板状のものであり、導電材として一般的に用いられるものを適用できる。
また、このNi−W合金層2の厚さは0.1〜1.0μmとされる。その厚さが0.1μm未満であると拡散防止効果が十分でなく、1.0μmを超えると曲げ加工等が困難になるからであり、0.1〜1.0μmの厚さが望ましい。
このCu−Sn合金層からなる中間層3は、厚さが0.2〜1.0μmとされる。厚さが0.2μm未満であると、その下のNi−W合金層2からのNiの拡散が生じるおそれがあり、一方、1.0μmを超えると、中間層3がもろくなり、剥離の原因になり易いからであり、0.2〜1.0μmの厚さが望ましい。
Cu又はCu合金基材の板材を用意し、これに脱脂、酸洗等の処理をすることによって表面を清浄にした後、Ni―Wめっき、Cuめっき、Snめっきをこの順序で施す。
Ni―Wめっきはニッケルイオン、タングステンイオン、錯化剤を含むめっき浴が用いられる。ニッケルイオン源としては、例えば硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)、タングステンイオン源としては、例えばタングステン酸ナトリウム(Na2WO4・2H2O)、錯化剤としては、例えばクエン酸(クエン酸一水和物)を選択することができる。この場合、硫酸ニッケルを8〜67g/L、タングステン酸ナトリウムを21〜95g/L、クエン酸を67g/L加え、アンモニア水を用いてpHを調整することで、所望のW含有量のNi−W合金層を形成することができる。このめっき浴の温度は65〜75℃、pHは5〜9、電流密度は2〜20A/dm2とされる。このNi―Wめっきにより形成されるNi―Wめっき層の膜厚は0.1〜1.0μmとされる。
Cuめっきは一般的なCuめっき浴を用いればよく、例えば硫酸銅(CuSO4)及び硫酸(H2SO4)を主成分とした硫酸銅浴等を用いることができる。めっき浴の温度は20〜50℃、電流密度は1〜10A/dm2とされる。このCuめっきにより形成されるCuめっき層の膜厚は0.1〜0.5μmとされる。
Snめっき層形成のためのめっき浴としては、一般的なSnめっき浴を用いればよく、例えば硫酸(H2SO4)と硫酸第一錫(SnSO4)を主成分とした硫酸浴を用いることができる。めっき浴の温度は15〜35℃、電流密度は1〜5A/dm2とされる。このSnめっき層の膜厚は1〜2μmとされる。
このリフロー処理により、Ni−W合金層の上のCuめっき層のCuとSnめっき層のSnとが合金化してCu−Sn合金層を形成する。このCu−Sn合金層は、Cu3SnとCu6Sn5を有し、表面が凹凸状に形成される。
そこで、本発明者らは鋭意研究した結果、塩化Niを主成分とするNiめっき浴を用いてNi−W合金層2の上に0.005〜0.05μmのNi層5を設けた上でCuめっきすると、均一にCuをめっきすることができることを見出した。これは、塩化Niを主成分とするNiめっき浴を用いることで、カソード上でNiの電析に加え水素ガスが多量に発生し、この水素により不動態皮膜が還元除去されるためである。
Ni層5の厚みが0.005μm未満では、めっき時間が短すぎ、水素による不動態皮膜の還元除去が十分にできない。0.05μmを超えると、高温で保持した場合にNi層5からCu又はCu−Sn合金からなる中間層3にNiが多量に拡散してしまい、耐熱性が低下するおそれがあるため、0.005〜0.05μmの範囲でNiめっきするのが好ましい。
板厚0.25mmの銅合金を基材とし、Ni−Wめっき、Cuめっき、Snめっきを順に施した。この場合、Ni−Wめっきは、実施例として表1に示すめっき条件としたもの、及び比較例として表2に示すめっき条件でNiめっき又はNi−Wめっきを施したものを作製した。Cuめっき及びSnめっきのめっき条件は実施例、比較例とも同じで、表3に示す通りとした。表中、Dkはカソードの電流密度、ASDはA/dm2の略である。
なお、比較例4については、均一なめっき被膜が形成されなかったので、その後の評価等は行わなかった。また、表4において、実施例5及び比較例3は、実施例1とめっき浴組成は同じ条件で、めっき時間を調整することにより、めっき層の厚みを変量したものである。
このめっき処理後、実施例、比較例とも、リフロー処理として、窒素雰囲気中で、600℃、10秒加熱して水冷した。
そして、このようにして得られた試料につき、耐熱性を評価するため、大気中で175℃×1000時間加熱し、接触抵抗の経時変化を測定した。測定方法はJIS−C−5402に準拠し、4端子接触抵抗試験機(山崎精機研究所製:CRS−113−AU)により、摺動式(1mm)で0から50gまでの荷重変化−接触抵抗を測定した。荷重を50gとしたときの接触抵抗値の変化は表4に示す通りであった。
これに対して、実施例の導電材は、高温時にも安定しており、長時間加熱後においても接触抵抗が低い状態で維持されている。
その結果を表6に示す。
一方、実施例7のNi−W合金層上に直接Cu及びSnめっきした場合、175℃で加熱後もNi−W合金層はバリア層として機能してボイド発生を抑制するため、120時間加熱しても剥離を生じなかった。但し240時間加熱すると、ボイドは発生しないがNi−W合金層とCu層との密着力が弱いために剥離を生じた。それに対し、実施例6のNi−W合金層上にNiめっきした上でCu及びSnめっきすると、175℃で1000時間加熱しても剥離を生じなかった。
例えば、上記実施形態ではNi−W合金層の上に中間層としてCu−Sn合金層が形成されるようにしたが、この中間層は、必ずしもCu−Sn合金でなくとも、Cu層であってもよい。
2 Ni−W合金層
3 中間層
4 表面層
5 Ni層
Claims (3)
- Cu又はCu合金からなる基材の上に、Ni−W合金層、Cu層又はCu−Sn合金層からなる中間層、Sn又はSn合金からなる表面層がこの順で形成され、前記Ni−W合金層の厚さが0.1〜1.0μm、Ni−W合金層中のW含有量が10〜35at%であり、かつ前記中間層の厚さが0.2〜1.0μm、前記表面層の厚さが0.5〜2.0μmであることを特徴とするSnめっき付き導電材。
- Cu又はCu合金からなる基材の上に、Ni−W合金層、Ni層、Cu層又はCu−Sn合金層からなる中間層、Sn又はSn合金からなる表面層がこの順で形成され、前記Ni−W合金層の厚さが0.1〜1.0μm、Ni−W合金層中のW含有量が10〜30at%であり、かつ前記Ni層の厚さが0.005〜0.05μm、かつ前記中間層の厚さが0.2〜1.0μm、前記表面層の厚さが0.5〜2.0μmであることを特徴とするSnめっき付き導電材。
- Cu又はCu合金からなる基材の上に、Ni−W合金めっきを介して、Cuめっき、Snめっきをこの順に施した後、リフロー処理するSnめっき付き導電材の製造方法において、前記Ni−W合金めっきを、NiイオンとWイオンのモル比をNi/W=0.1〜4.0としたNi−W合金めっき浴を用いた電気めっきにて行うことを特徴とするSnめっき付き導電材の製造方法。
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