しかしながら、両面テープを用いてウエザストリップをフランジ部へ取付ける場合、部品点数の増加等に伴う製造コストの増大や、位置決めや保護テープの剥離等に伴う組付工数の増大等を招くおそれがある。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、軽量化等を図りつつ、製造コストや組付工数の増大を抑制することのできるウエザストリップを提供することにある。
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.車両の車両本体の開口部周縁に沿って設けられたフランジ部に取付けられるインサートレスのトリム部と、
前記トリム部から車外側に突出して設けられ、内部に中空部を形成するとともに、前記車両本体の開口部を開閉する開閉部材の閉鎖時において前記開閉部材の周縁部に圧接されるシール部とを備え、
前記トリム部は、
車外側側壁部と、車内側側壁部と、両側壁部を連結する連結部とを具備して断面略コ字状をなし、ソリッド材又は微発泡材で構成された本体部と、
前記車外側側壁部の先端部から前記車外側側壁部を延長させるようにして前記開口部の外周側に延出形成され、スポンジ材で構成された車外側延出壁部とを備え、
前記車内側側壁部の先端部又はその近傍から車外側に延出し、前記トリム部の前記フランジ部への取付状態において前記フランジ部の車内側面に圧接するソリッド材又は微発泡材で構成された車内側保持リップが設けられ、
前記シール部は、前記車外側側壁部から前記車外側延出壁部にかけて車外側に凸となるようにしてスポンジ材で形成され、
前記車外側側壁部の断面での高さと前記車外側延出壁部の断面での高さとを足した長さは、前記トリム部の前記フランジ部への取付方向おける前記シール部の形成幅よりも短く、又はほぼ同じ長さに形成され、
少なくとも長手方向の一部が押出成形によって形成された押出成形部よりなり、当該押出成形部が前記開口部の直線部だけでなく少なくとも1つのコーナー部に対応して取付けられていることを特徴とするウエザストリップ。
手段1によれば、トリム部の本体部がソリッド材又は微発泡材(例えば、その硬さが国際ゴム硬さ(IRHD)で90度ぐらいの比較的硬いもの)で構成されるとともに、車内側側壁部から車外側に延出し、トリム部のフランジ部への取付状態においてフランジ部に圧接する車内側保持リップがソリッド材又は微発泡材(例えば、IRHDで70度ぐらいの本体部よりも柔らかいもの)で構成されている。このように、本体部及び保持リップの剛性が比較的高められているため、軽量化が図られたインサートレスのウエザストリップであっても、フランジ部に圧接された車内側保持リップ及び本体部の弾性力に基づいて、トリム部をフランジ部に対して確実に保持させることができる。さらに、トリム部をフランジ部に保持させるべく、トリム部等に対して別途両面テープ等の取付手段を設けるような場合に比べ、コストの削減を図ることができる上、組付工数を減少させ、製造作業性の向上を図ることができる。
また、インサートレスのトリム部を備えるウエザストリップを車両本体の開口部のコーナー部に対応して湾曲させると、断面略コ字状のトリム部のうち車外側の側壁と車内側の側壁の先端部位が近接するようにしてトリム部の内側に傾倒変形することが考えられる。例えば、トリム部全体がソリッド材又は微発泡材で構成される場合には、かかる傾倒変形によって、トリム部の開口側の先端部位において両側壁間の距離が詰まりすぎてしまい(トリム部の開口が閉塞されてしまい)、トリム部の内側(両側壁の間)にフランジ部を挿入させることが非常に困難なものとなってしまうことが懸念される。また、ウエザストリップを湾曲させることによって、当該先端部位のソリッド材又は微発泡材で構成されたトリム部において波打つようにして皺が発生してしまうことも懸念され、場合によっては、シール部やトリム部の断面形状が歪に変形し、シール性やフランジ部への取付安定性に悪影響を及ぼすことが懸念される。
これに対し、本手段のトリム部は、車外側側壁部の先端部から延出し、スポンジ材で構成された車外側延出壁部を備えており、シール部の一端部はこの車外側延出壁部から延出している。さらに、車外側側壁部の断面での高さと車外側延出壁部の断面での高さとを足した長さは、トリム部のフランジ部への取付方向おけるシール部の形成幅よりも短く、又はほぼ同じ長さに形成されている。つまり、シール部の好適な断面形状を維持するべく、トリム部のうちシール部の土台部とも言える車外側の側壁(車外側側壁部及び車外側延出壁部)の長さを確保しつつ、当該車外側の側壁のうち、ソリッド材又は微発泡材で構成される部位(車外側側壁部)の長さを極力短くしている。また、ソリッド材又は微発泡材で構成される本体部の内側の領域で確実にトリム部の保持を行うべく、ソリッド材又は微発泡材で構成される車内側保持リップについては、その延出方向先端部が本体部の内側に位置するようにして設けられることが考えられ、さらに、車内側保持リップの土台部とも言える車内側側壁部については、少なくとも連結部から車内側保持リップの付根部までの長さがあればよく、本手段では、車内側保持リップは車内側側壁部の先端部又はその近傍から延出することとしている。つまり、ソリッド材又は微発泡材で構成される車内側側壁部の長さについても極力短くしている。
以上のように車外側側壁部及び車内側側壁部の長さを極力短くすることによって、ウエザストリップを湾曲させた際に、両側壁部が本体部の内側に傾倒変形して両側壁部が近接しすぎてしまうといった事態を抑制することができる。また、車外側延出壁部に関しては、スポンジ材で構成されているため、ソリッド材又は微発泡材で構成された場合に比べ、ウエザストリップを湾曲させた際のトリム部内側への傾倒変形量を小さくすることができる。従って、車両本体の開口部のコーナー部におけるウエザストリップのフランジ部への取付けに際し、トリム部の内側にフランジ部を挿入し難くなってしまうといった事態を抑制することができ、取付作業性の低下を抑制することができる。さらに、ソリッド材又は微発泡材で構成される両側壁部が極力短く構成されることから、ウエザストリップを開口部のコーナー部に対応させて湾曲させた際に、トリム部(本体部)に皺が発生してしまうといった事態を抑制することができる。加えて、車外側延出壁部はスポンジ材であることから、ソリッド材又は微発泡材に比べて比較的追従変形し易く、ウエザストリップをコーナー部に対応させて湾曲させたとしても、車外側延出壁部に皺は発生し難い。従って、側壁部や延出壁部に皺が発生することに起因する各種不具合を抑止することができる。
また、本手段では、押出成形部が車両本体の開口部の直線部だけでなくコーナー部においても取付けられるため、開口部のコーナー部に対応する部位を全て型成形部とするウエザストリップに比べ、製造作業性の向上、コストの削減等を図ることができる。
尚、一般に、開口部の周縁に沿って設けられるフランジ部は、開口部の各部位において厚みが異なるが、車内側保持リップを設けることにより、フランジ部の厚みに応じて車内側保持リップを適宜撓み変形させ、確実にトリム部をフランジ部に取付けることができる。また、「前記車内側保持リップのうち少なくとも延出方向先端部は、前記トリム部の前記フランジ部への取付方向において、前記車外側側壁部の先端部よりも前記開口部の内周側、かつ、前記シール部の前記開口部の内周側端縁よりも前記開口部の外周側に位置すること」としてもよい。この場合、車内側保持リップは、トリム部のフランジ部への取付方向において、車外側側壁部の先端部よりも開口部の内周側、すなわち、シール部の開口部の外周側端縁よりも開口部の内周側、かつ、シール部の開口部の内周側端縁よりも開口部の外周側に位置することから、車内側保持リップ等によって、シール部等を具備するウエザストリップをバランスよく保持することができる。また、本体部は、硬さ90IRHD程度の比較的硬質なソリッド材又は微発泡材で構成され、車内側保持リップは、硬さ70IRHD程度の本体部よりも軟質なソリッド材又は微発泡材で構成されていることとしてもよい。この場合、上記のように車内側保持リップがフランジ部の厚みに応じて適度に撓むとともに、本体部によって車内側保持リップのフランジ部への圧接力等を強め、取付状態のより一層の安定化を図ることができる。
尚、「前記車内側保持リップのうち少なくとも延出方向先端部は、前記トリム部の前記フランジ部への取付方向において、前記車外側側壁部の先端部よりも前記開口部の内周側に位置していること」としてもよい。この場合、ソリッド材又は微発泡材で構成される本体部の内側の領域で確実にトリム部の保持を行うことができる。
手段2.前記車内側側壁部の先端部から前記車内側側壁部を延長させるようにして前記開口部の外周側に延出形成された車内側延出壁部と、前記車内側延出壁部から車外側に延出し、前記トリム部の前記フランジ部への取付状態において前記フランジ部の車内側面に圧接する車内側補助リップとを備え、前記車内側延出壁部及び前記車内側補助リップはスポンジ材で構成されていることを特徴とする手段1に記載のウエザストリップ。
手段2によれば、車内側保持リップとともに車内側補助リップをフランジ部に圧接させてトリム部の保持を行うことにより、かかる保持状態をより強固なものとすることができる上、トリム部がフランジ部に対して傾いてしまうといった事態を抑止することができる。さらに、トリム部の内側にフランジ部が挿入された場合、スポンジ材の車内側補助リップがフランジ部に圧接して収縮するようにして変形する。このため、車内側補助リップでのフランジ部との圧接力が高まり、トリム部の内側からフランジ部が相対的に抜けるような力が作用した場合、車内側補助リップがフランジ部の表面上を滑るのではなく、フランジ部に引っ掛かり易い(捉まり易い)。従って、トリム部からフランジ部が相対的に抜けてしまうといった事態を防止することができる。
また、車内側延出壁部に関しては、スポンジ材で構成されているため、ソリッド材又は微発泡材(例えば、IRHDで90度ぐらいのもの)で構成された場合に比べ、ウエザストリップを車両本体の開口部のコーナー部に対応させて湾曲させた際のトリム部内側への傾倒変形量を小さくすることができる。従って、コーナー部に対応してウエザストリップを湾曲させた際に、両延出壁部がトリム部の内側に傾倒変形し、両延出壁部間の距離が近接しすぎてしまうといった事態を抑制することができる。従って、トリム部の内側にフランジ部を挿入し難くなってしまうといった事態を抑制することができる。加えて、車内側延出壁部はスポンジ材であることから、ソリッド材又は微発泡材に比べより追従変形し易く、ウエザストリップを開口部のコーナー部に対応させて湾曲させたとしても、車内側延出壁部に皺は発生し難い。結果として、延出壁部に皺が発生することに起因する各種不具合を抑止することができる。
手段3.前記本体部は、前記トリム部の開口側に向かうにつれ前記車外側側壁部と前記車内側側壁部との間の距離が狭められていることを特徴とする手段1又は2に記載のウエザストリップ。
手段3によれば、車内側側壁部の先端部又はその近傍から延出する車内側保持リップのフランジ部への圧接力を高めることができ、ウエザストリップのフランジ部への取付状態の安定化をより一層図ることができる。尚、前記車内側側壁部の先端部側の部位に厚肉部が形成されることで、前記本体部の開口側の部位において前記車外側側壁部と前記車内側側壁部との間の距離が狭められていることとしてもよい。この場合、トリム部の内側にフランジ部が挿入された際に、車内側側壁部のうち車内側保持リップが延出する先端部側の部位の変形が抑制されるとともに、車内側側壁部が比較的大きな範囲で変形することとなり、結果的に、車内側側壁部の反発力が高められ、ひいては車内側保持リップをフランジ部に圧接させる力を高めることができる。
手段4.前記本体部の外周側面において、前記車外側側壁部及び前記車内側側壁部と、前記連結部とのなす角度は、前記トリム部の前記フランジ部への取付前の状態において、90度〜105度となっていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のウエザストリップ。
手段4によれば、本体部がトリム部の開口側に向けて極力開いていないように構成することで、車内側側壁部の先端部又はその近傍から延出する車内側保持リップのフランジ部への圧接力を高めることができ、ウエザストリップのフランジ部への取付状態の安定化をより一層図ることができる。尚、前記本体部の外周側面において、前記車外側側壁部及び前記車内側側壁部と、前記連結部とのなすコーナー部の曲率半径は、前記トリム部の前記フランジ部への取付前の状態において2mm以下となっていることとしてもよい。この場合、両側壁部を離間させるようにして本体部を広げようとした場合に本体部のコーナー部がより強く突っ張ることとなり、車内側保持リップのフランジ部への圧接力を高めることができる。
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、車両としての自動車1には、開閉部材としてのドア(図ではフロントドア:以下、単に「ドア2」という)が開閉可能に設けられている。また、ドア2に対応してボディ3(車両本体)に形成されたドア用の開口部4の周縁には、ウエザストリップ5が設けられている。尚、ウエザストリップ5は、その長手方向のほぼ全域が押出成形法によって成形されるとともに、図示は省略するが、両端末同士が型成形部によって接続され、全体として環状をなしている。
図2に示すように、ウエザストリップ5は、開口部4の周縁部に沿って形成されたフランジ部43に取付けられる断面略コ字状のトリム部11と、トリム部11から車外側に突出して設けられ、内部に中空部12aを有してなるシール部12とを備えている。
トリム部11は、車内側側壁部22と、車外側側壁部23と、両側壁部22、23を連結する連結部24とを具備して断面略コ字状をなす本体部21と、車内側側壁部22及び車外側側壁部23の各先端部から、各側壁部22、23を延長させるようにして開口部4の外周側に延設された車内側延出壁部25及び車外側延出壁部26とを備えている。本体部21は、硬さ90IRHDのソリッドEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)で構成され、車内側延出壁部25及び車外側延出壁部26は、比重0.6のスポンジEPDMで構成されている。また、本実施形態のトリム部11は、上記のソリッドEPDM及びスポンジEPDMのみで構成されており、インサートが埋設されていない構成(インサートレス)となっている。
車内側側壁部22の断面での高さ(連結部24からの延出長)は、車外側側壁部23の断面での高さ(連結部24からの延出長)とほぼ同じとなっている。また、車内側延出壁部25の断面での高さ(延出長)は、車外側延出壁部26の断面での高さ(延出長)よりも短くなっている。また、本体部21の外周側面において、車内側側壁部22及び車外側側壁部23と、連結部24とのなす角度は、フランジ部43への取付前の状態においてそれぞれ90度〜105度(本実施形態では100度)となっている。加えて、本体部21の外周側面において、車内側側壁部22及び車外側側壁部23と、連結部24との境界部の曲率半径は、フランジ部43への取付前の状態においてそれぞれ0.5mmとなっている。
さらに、本実施形態では、車内側側壁部22の車外側面、及び車外側側壁部23の車内側面が若干湾曲形成されることで、車内側側壁部22及び車外側側壁部23の先端部側に厚肉部22a、23aが形成されるとともに、厚肉部22a、23aよりも連結部24側の部位に薄肉部22b、23bが形成されている。このため、車内側側壁部22と車外側側壁部23との間の距離が、トリム部11の開口側に向けて次第に狭められるように(近接するように)なっており、本体部21の断面形状は開口側が若干窄められた形状となっている。尚、車内側延出壁部25及び車外側延出壁部26は、車内側側壁部22及び車外側側壁部23の先端部に形成された厚肉部22a、23aから延出していることになる。
また、ウエザストリップ5は、車内側側壁部22の車外側面から車外側かつ開口部4の内周側に向けて延びる車内側保持リップ13と、車外側側壁部23の車内側面から車内側かつ開口部4の内周側に向けて延びる車外側保持リップ14とを備えている。車内側保持リップ13及び車外側保持リップ14は、硬さ70IRHDのソリッドEPDMで構成されている。本実施形態では、車外側側壁部23の先端部近傍部位と、当該部位から所定距離開口部4の内周側に離れた部位とにおいて2本の車外側保持リップ14が設けられるとともに、車内側側壁部22の先端部近傍部位(厚肉部22a)から前記一対の車外側保持リップ14の間の領域に向けて延びる1本の車内側保持リップ13とを備えている。車内側保持リップ13は、車外側保持リップ14よりも大きく、車内側保持リップ13の全体が、トリム部11のフランジ部43への取付方向(開口部4の外周方向)において、車外側側壁部23の先端部よりも開口部4の内周側に位置している。また、両車外側保持リップ14は、その全体が、トリム部11のフランジ部43への取付方向において、車内側側壁部22の先端部よりも開口部4の内周側に位置している。
さらに、ウエザストリップ5は、車内側延出壁部25の先端部から車外側かつ開口部4の内周側に向けて延びる車内側補助リップ15と、車外側延出壁部26の車内側面から車内側かつ開口部4の内周側に向けて延びる車外側補助リップ16とを備えている。車内側補助リップ15及び車外側補助リップ16は、車内側延出壁部25及び車外側延出壁部26と同様に、比重0.6のスポンジEPDMで構成されている。また、本実施形態では、車内側延出壁部25は、その先端部側に向けて(車外側面及び車内側面共に)若干車外側に傾斜している。
また、フランジ部43は、ボディ3を構成するインナパネル41及びアウタパネル42が接合されることによって形成されている。尚、本実施形態では、図2に示すようなインナパネル41及びアウタパネル42が直接接合されている(フランジ部43が2枚のパネル部材31、32で構成されている)部位と、インナパネル41及びアウタパネル42の間に図示しない補強パネルが介在している(フランジ部43が3枚のパネル部材で構成されている)部位とが存在する。
そして、トリム部11の内側にフランジ部43が相対的に嵌め込まれることで、車内側保持リップ13及び車内側補助リップ15がフランジ部43の車内側面に圧接し、車外側保持リップ14及び車外側補助リップ16がフランジ部43の車外側面に圧接することで、トリム部11がフランジ部43に保持され、ウエザストリップ5がボディ3の開口部4の周縁に取付けられている。本実施形態では、基本的にフランジ部43に圧接する保持リップ21、22及び本体部21の弾性力だけでもウエザストリップ5の取付状態を維持できる構成となっており、さらに、フランジ部43に圧接する補助リップ15、16が設けられていることで、トリム部11がフランジ部43に対して傾いてしまうといった事態が防止される。尚、上記のように、フランジ部43は、開口部4の各部位において厚みが異なるが、フランジ部43の厚みに応じて保持リップ13、14及び補助リップ15、16が適宜撓み変形しつつフランジ部43に圧接することで、ウエザストリップ5の長手方向全域にわたり、ウエザストリップ5のフランジ部への取付状態が確実に維持されるようになっている。また、保持リップ13、14が、硬さ70IRHDの本体部21よりも柔らかいソリッドEPDMで構成されることによって、フランジ部43の厚みに応じて保持リップ13、14が適度に撓むこととなり、本体部21が、硬さ90IRHDの比較的硬質なソリッドEPDMで構成されることによって保持リップ13、14のフランジ部43への圧接力を強め、取付状態のより一層の安定化を図ることができる。
シール部12は、車外側側壁部12の車外側面(車外側側壁部12の付根部)から車外側かつ開口部4の内周側に向けて延出する支持壁部31と、車外側延出壁部26の先端部から支持壁部31の先端部にかけて車外側に凸となるように湾曲形成されたシール壁部32と、車外側側壁部23のうち支持壁部31との連接部よりも先端部側の部位(車外側側壁部23の先端部)から車外側かつ開口部4の外周側に向けて延出し、シール壁部32に連結されたブリッジ部33とを備えている。シール壁部32及びブリッジ部33は、延出壁部25、26と同様に比重0.6のスポンジEPDMで構成されている。支持壁部31は、保持リップ13、14と同様に硬さ70IRHDのソリッドEPDMで構成されている。そして、ドア2の閉鎖時においては、シール部12(シール壁部32)がドア2の周縁部に圧接し、これによりドア2とボディ3との間がシールされるようになっている。
また、車外側延出壁部26の先端部から延出するシール壁部32と支持壁部31との境界部は、本体部21の連結部24よりも開口部4の内周側に位置している。すなわち、車外側側壁部23の延出長と車外側延出壁部26の延出長とを足した長さは、トリム部11のフランジ部43への取付方向(開口部4の外周方向)におけるシール部12(シール壁部32)の形成幅よりも短く、特に、本実施形態では、トリム部11のフランジ部43への取付方向(開口部4の外周方向)において、車外側側壁部23及び車外側延出壁部26の形成範囲は、シール部12(シール壁部32)の形成範囲内となっている。当該構成により、保持リップ13、14、補助リップ15、16によって、シール部12等を具備するウエザストリップ5をバランスよく保持できるようになっている。
また、ウエザストリップ5は、シール壁部32と支持壁部31との境界部から車内側かつ開口部4内周側に延出し、ガーニッシュ等の内装部材45の端部を覆い隠すカバーリップ34を備えている。カバーリップ34は、シール壁部32と同様に比重0.6のスポンジEPDMで構成されている。加えて、シール壁部32及びカバーリップ34の表面には、硬さ70IRHDのソリッドEPDMよりなる被覆層35が形成されている。尚、本実施形態では、図示しない押出成形機のダイスから未加硫のソリッドEPDM及びスポンジEPDMを押出成形して、トリム部11、シール部12、保持リップ13,14、補助リップ15,16、及び被覆層35が同時に一体形成された押出成形部を形成し、加硫工程、冷却工程、裁断工程の後、押出成形部の両端末を型成形で接続することにより、ウエザストリップ5が製造される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、トリム部11の本体部21が、硬さ90IRHDのソリッドEPDMで構成されるとともに、側壁部22、23から延出し、トリム部11のフランジ部43への取付状態においてフランジ部43に圧接する保持リップ13、14が、硬さ70IRHDのソリッドEPDMで構成されている。このように、本体部21及び保持リップ13、14の剛性が比較的高められているため、軽量化が図られたインサートレスのウエザストリップ5であっても、フランジ部43に圧接された保持リップ13、14及び本体部21の弾性力に基づいて、トリム部11をフランジ部43に対して確実に保持させることができる。さらに、トリム部11をフランジ部43に保持させるべく、トリム部11等に対して別途両面テープ等の取付手段を設けるような場合に比べ、コストの大幅な削減を図ることができる上、工数を減少させ、製造作業性の向上を図ることができる。また、トリム部にインサートが埋設されたウエザストリップに比べても、コストの削減を図ることができる。
また、インサートレスのトリム部11を備えるウエザストリップ5をボディ3の開口部4のコーナー部に対応して湾曲させると、断面略コ字状のトリム部11のうち車外側の側壁と車内側の側壁とが近接するようにしてトリム部11の内側に傾倒変形することが考えられる。例えば、トリム部全体がソリッドEPDMで構成される場合には、かかる傾倒変形によって、トリム部の開口側において両側壁間の距離が詰まりすぎてしまい(トリム部の開口が閉塞されてしまい)、トリム部の内側(両側壁の間)にフランジ部を挿入させることが非常に困難なものとなってしまうことが懸念される。また、ウエザストリップを湾曲させることによって、ソリッドEPDMで構成されたトリム部において波打つようにして皺が発生してしまうことも懸念され、場合によっては、シール部やトリム部の断面形状が歪に変形し、シール性やフランジ部43への取付安定性に悪影響を及ぼすことが懸念される。
これに対し、本実施形態のトリム部11は、側壁部22、23の先端部から開口部4の外周側に延出し、スポンジEPDMで構成された延出壁部25、26を備えており、シール部12の一端部は車外側延出壁部26から延出している。さらに、車外側側壁部23の延出長と車外側延出壁部26の延出長とを足した長さは、トリム部11のフランジ部43への取付方向おけるシール部12(シール壁部32)の形成幅よりも短くなるように構成されている。つまり、シール部12の好適な断面形状を維持するべく、トリム部11のうちシール部12の土台部とも言える車外側の側壁(車外側側壁部23及び車外側延出壁部26)の長さを確保するとともに、当該車外側の側壁のうち、ソリッドEPDMで構成される部位(車外側側壁部23)の長さを極力短くしている。また、ソリッドEPDMで構成される本体部21の内側の領域で確実にトリム部11の保持を行うべく、ソリッドEPDMで構成される車内側保持リップ13は、トリム部11のフランジ部43への取付方向において、上記のように極力短く構成された車外側側壁部23の先端部よりも開口部4の内周側に位置するようにして設けられている。さらに、車内側保持リップ13の土台部とも言える車内側側壁部22については、少なくとも連結部24から車内側保持リップ13の付根部までの長さがあればよく、本実施形態では、車内側保持リップ13は車内側側壁部22の先端部近傍から延出することとしている。つまり、ソリッドEPDMで構成される車内側側壁部22の長さについても極力短くし、その先に車内側補助リップ15の土台部としてスポンジEPDMの車内側延出壁部25を設けている。
以上のように車外側側壁部23及び車内側側壁部22の長さを極力短くすることによって、ウエザストリップ5を湾曲させた際に、側壁部22、23が本体部21の内側に傾倒変形して両側壁部22、23が近接しすぎてしまうといった事態を抑制することができる。また、延出壁部25、26に関しては、スポンジEPDMで構成されているため、ソリッドEPDMで構成された場合に比べ、ウエザストリップ5を湾曲させた際のトリム部11内側への傾倒変形量を小さくすることができる。従って、開口部4のコーナー部に対応してウエザストリップ5を湾曲させた際に、延出壁部25、26がトリム部11の内側に傾倒変形し、両延出壁部25、26が近接しすぎてしまうといった事態を抑制することができる。従って、フランジ部43を挿入し難くなってしまうといった事態を抑制することができ、取付作業性の低下を抑制することができる。さらに、ソリッドEPDMで構成される両側壁部22、23が極力短く構成されることから、ウエザストリップ5を開口部4のコーナー部に対応させて湾曲させた際に、トリム部11(本体部21)に皺が発生してしまうといった事態を抑制することができる。加えて、延出壁部25、26はスポンジEPDMであることから、ソリッドEPDMに比べて比較的追従変形し易く、ウエザストリップ5を開口部4のコーナー部に対応させて湾曲させたとしても、延出壁部25、26に皺は発生し難い。従って、側壁部22、23や延出壁部25、26に皺が発生することに起因する各種不具合を抑止することができる。
また、保持リップ13、14とともに補助リップ15、16をフランジ部43に圧接させてトリム部11の保持を行うことにより、かかる保持状態をより強固なものとすることができる上、トリム部11がフランジ部43に対して傾いてしまうといった事態を抑止することができる。さらに、トリム部11の内側にフランジ部43が挿入された場合、スポンジEPDMの補助リップ15、16がフランジ部43に圧接して収縮するようにして変形する。このため、補助リップ15、16でのフランジ部43との圧接力が高まり、トリム部11の内側からフランジ部43が相対的に抜けるような力が作用した場合、補助リップ15、16がフランジ部43の表面上を滑るのではなく、フランジ部43に引っ掛かり易い(捉まり易い)。従って、トリム部11からフランジ部43が相対的に抜けてしまうといった事態を防止することができる。
さらに、本体部21は、トリム部11の開口側に向かうにつれ車外側側壁部23と車内側側壁部22との間の距離が狭められている。このため、側壁部22、23の先端部近傍から延出する保持リップ13、14のフランジ部43への圧接力を高めることができ、ウエザストリップ5のフランジ部43への取付状態の安定化をより一層図ることができる。また、側壁部22、23の先端部側の部位に厚肉部22a、23aが形成されている。このため、トリム部11の内側にフランジ部43が挿入された際に、側壁部22、23のうち保持リップ13、14が延出する先端部側の部位の変形が抑制されるとともに、側壁部22、23が比較的大きな範囲で変形することとなり、結果的に、側壁部22、23の反発力が高められ、ひいては保持リップ13、14をフランジ部43に圧接させる力を高めることができる。
加えて、本体部21の外周側面において、車外側側壁部23及び車内側側壁部22と、連結部24とのなす角度は、トリム部11のフランジ部43への取付前の状態において、90度〜105度となっている。このように、本体部21がトリム部11の開口側に向けて極力開いていないように構成することで、側壁部22、23の先端部近傍から延出する保持リップ13、14のフランジ部43への圧接力を高めることができ、ウエザストリップ5のフランジ部43への取付状態の安定化をより一層図ることができる。さらに、本体部21の外周側面において、車外側側壁部23及び車内側側壁部22と、連結部24とのなすコーナー部の曲率半径は、トリム部11のフランジ部43への取付前の状態において0.5mmとなっている。このため、両側壁部22、23を離間させるようにして本体部21を広げようとした場合に本体部21のコーナー部がより強く突っ張ることとなり、保持リップ13、14のフランジ部43への圧接力を高めることができる。
また、本実施形態では、ウエザストリップ5の長手方向のほぼ全域が押出成形部で構成され、押出成形部がボディ3の開口部4のコーナー部においても取付けられるため、開口部4のコーナー部に対応する部位を型成形部とするウエザストリップに比べ、製造作業性の向上、コストの削減等を図ることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、本体部21の側壁部22、23の内側面を湾曲形成することで、本体部21の開口側に向けて両側壁部22、23間の距離が近接するように構成されているが、両側壁部22、23を傾けて、両側壁部22、23の内外面両方に関して本体部21の開口側に向けて互いに近接するように構成してもよい。但し、上記実施形態のように、両側壁部22、23の内側面だけを湾曲形成することで両側壁部22、23の先端部に厚肉部22a、23aを設けることができ、この場合、ウエザストリップ5を開口部4のコーナー部に対応させて湾曲させた際に、側壁部22、23が保持リップ13、14の付根部付近だけでなく全体的に変形することとなり、保持リップ13、14のフランジ部43への圧接力を高めることができる。
また、上記実施形態において、車内側延出壁部25が車内側側壁部22の先端部から開口部の外周側かつ車外側に傾斜して延びているが、車内側延出壁部25を傾けることなく車内側側壁部22をそのまま真直ぐ開口部4の外周側に延長させるようにして延出させてもよい。但し、ウエザストリップ5のフランジ部43に取付けることに起因して本体部21が若干開くことで車内側側壁部22がフランジ部43から比較的大きく離間しないように、車内側側壁部22の外側面の開口部4外周側への延長線よりも車内側に車内側延出壁部25が突出しないように構成することが望ましい。
さらに、車外側延出壁部26についても車外側側壁部23の先端部から車内側に傾斜させて設けることとしてもよい。この場合、補助リップ15、16の保持力を高め、より一層の取付状態の安定化等を図ることができる。
(b)上記実施形態において、ブリッジ部33を省略することとしてもよい。但し、ブリッジ部33を設けることにより、一端がスポンジEPDMよりなる車外側延出壁部26に連結されたシール壁部32の断面形状を維持し易くなり、シール性の向上等を図ることができる。さらに、ブリッジ部33は、ソリッドEPDMよりなる車外側側壁部23から延出しているため、ブリッジ部33自体の位置が定まらず、シール壁部32の形状保持の効果が薄れてしまうといった事態を抑止することができる。
また、上記実施形態において、車内側延出壁部25を省略することとしてもよい。但し、車内側延出壁部25及び車内側補助リップ15を設けることにより、フランジ部43への保持力を高めるとともに、フランジ部43に対してトリム部11が傾倒してしまうといった事態を抑制することができる。
さらに、上記実施形態では車外側保持リップ14が2本設けられるとともに、車内側保持リップ13が1本設けられているが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、車外側保持リップ14(及び車外側補助リップ16)を省略することとしてもよいし、車内側保持リップ13を複数本設けることとしてもよい。
加えて、シール壁部32及びカバーリップ34の表面に形成された被覆層35を省略することとしてもよい。但し、被覆層35を設けることより、スポンジEPDMよりなるシール壁部32及びカバーリップ34の表面が外観に表れることに起因して、外観品質の低下を招いてしまうといった事態を防止することができる。また、被覆層35によって、シール壁部32やカバーリップ34の表面の耐摩耗性を向上させることができる。尚、カバーリップ34を省略したり、カバーリップ34をシール壁部32からではなく、本体部21の連結部24から延出させたりすることとしてもよい。
(c)上記実施形態では、車外側側壁部23の延出長と車外側延出壁部26の延出長とを足した長さが、トリム部11のフランジ部43への取付方向(開口部4の外周方向)におけるシール部12(シール壁部32)の形成幅よりも短くなっているが、同じ(ほぼ同じ)長さとしてもよい。例えば、シール壁部32を車外側延出部26の先端部よりも若干連結部24側の部位から延出させることとしてもよい。また、上記実施形態では、車内側側壁部22の延出長と車外側側壁部23の延出長とが同じとなっているが、若干異ならせてもよい。さらに、車内側側壁部22の延出長が車外側側壁部23の延出長よりも若干長く、車内側保持リップ13の付根部が車外側側壁部23の先端部よりも開口部4の外周側に位置するような構成とする場合であっても、硬さ90IRHDの本体部21の内側においてトリム部11の保持を行うべく、車内側保持リップ13の少なくとも延出方向先端部は、車外側側壁部23の先端部よりも開口部4の内周側に位置すること(及び、車外側保持リップ14が車内側側壁部22の先端部よりも開口部4の内周側に位置すること)が望ましい。
(d)上記実施形態では、フロントドア2に対応する開口部4の周縁に設けられるウエザストリップ5について具体化しているが、リヤドア、バックドア、ラゲッジドア(トランクリッド)、ルーフドア(スライディングルーフパネル)、スライディングドア等の他の開閉部材の周縁部に圧接されるウエザストリップについて適用することも可能である。
また、上記実施形態のウエザストリップ5は、押出成形部の両端末同士が型成形部によって接続されることで環状に構成されているが、押出成形部が開口部4の直線部だけでなく少なくとも1つのコーナー部においても取付けられる構成となっていればよい。例えば、押出成形部の両端末同士を接続しない押出成形部のみのウエザストリップや、型成形部により複数の押出成形部を接続することで構成されるウエザストリップや、押出成形部の一方の端末に型成形部を形成するが他方の端末と接続することなく他方の端末を覆うようにして型成形部を配設するウエザストリップに適用することも可能である。
尚、本実施形態のように、トリム部11をソリッドEPDMよりなる断面略コ字状の本体部21と、側壁部22、23から延出し、スポンジEPDMよりなる延出壁部25、26とから構成することで、ウエザストリップ5の押出成形部を開口部のコーナー部に対応して湾曲させても、比較的スムースにトリム部11の内側にフランジ部43を挿入させることができる上、トリム部11に皺が発生するといった事態を抑制することができる。従って、開口部4のコーナー部に対応させて型成形部を作らずともウエザストリップ5を開口部4の周縁に好適に取付けることができ、複数の押出成形部を型成形部で接続することでウエザストリップを構成する場合に比べ、製造作業性の向上、コストの削減等を図ることができる。
(e)上記実施形態では、ウエザストリップ5がEPDMで構成されているが、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の別の素材により構成してもよい。また、上記実施形態では本体部21や保持リップ13、14等がソリッド材で構成されているが、比較的剛性の高い微発泡材(例えば、硬さ90IRHDの材料)で構成することとしてもよい。尚、トリム部11の開口が上方を向くような姿勢で取付けられる部位があるウエザストリップ5については、取付状態の安定化を図るべく、本体部21をソリッド材で構成することが望ましい。