JP2011217678A - 発酵食材の製造方法および発酵食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】黄麹菌、乳酸菌および酵母菌を順次個別に添加して前記原材料を順次個別に発酵させる。その際、黄麹菌を活動温度の32〜37℃で3日間、原材料に生育させた後、60℃まで温度を上げて10時間麹菌の活動を停止させる。そして、上記発酵工程により得られた発酵食材を乾燥・焙煎して発酵健康茶とする。
【選択図】図2
Description
ところで、ウコン等の漢方原料を微生物を利用して発酵させることにより、ウコン特有の苦み成分のみを十分に除去することが出来るとされるウコン茶の製造方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
このウコン茶の製造方法は、ウコンにデンプン類および発酵菌として紅麹菌を加えてウコンを発酵させることにより、ウコンが有する肝機能改善作用を維持したまま、ウコン特有の苦み成分のみを十分に除去することが出来るとされている。ウコンにデンプンを加えるのは、そのデンプンを紅麹菌が加水分解して糖類を生成し、その糖類を栄養源として紅麹菌が増殖し、紅麹菌が分泌する酵素の触媒作用によってウコン発酵を長期間に亘り活性化させるためである。
同様な製造方法であるが、デンプンに代えて糖類を直接添加し、微生物として乳酸菌を使用したウコン食材の製造方法も知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
また、原料の持っている苦みや独特の臭みを緩和するために、殺菌処理した原料とともに乳酸菌、酵母菌、麹菌の中から選択した1種又は複数の微生物を加えて任意の時間発酵させる発酵健康茶の製造方法が知られている(例えば、特許文献3を参照。)。
この製造方法は、1種又は複数の上記微生物の発酵によって原料の苦みや臭み成分を分解して、原料の苦みや臭みを和らげる方法であるが、微生物の発酵効率を高めるために発酵の媒体として海洋深層水を利用したことが特徴である。また、海洋深層水に含まれるミネラル成分を健康茶に浸透させるために、海洋深層水の原水、脱塩水、濃縮水の何れか1種又は複数種を用いることとしている。
また、特許文献2に記載の製造方法は、ウコンの根茎を乳酸発酵させるものであるが、乳酸菌はブドウ糖を分解して増殖するため、乳酸菌を活性化させるために茶の原材料の他に精穀残渣及び糖類を加えている。従って、特許文献2に記載の製造方法もやはり特許文献1の場合と同様な問題点がある。
一方、特許文献3に記載の製造方法は、調合タンクに海洋深層水と複数種の原料と共に、乳酸菌、酵母菌、麹菌の中から選択した1種又は複数の微生物を混合して発酵させている。この場合、海洋深層水は発酵を促進する作用がある旨が記載されている(引用文献3の段落[0019]参照。)。仮に、海洋深層水が発酵を促進する作用があるとしても、1種の菌を利用した場合は、その菌が得意とする原材料は良好に発酵されても、全ての原材料を良好に発酵させることは困難である。また、たとえ複数種の微生物を加えたとしても、それぞれの微生物にはそれぞれが活性化する最適温度・環境があるので、一律の環境で全ての微生物が活性化することは不可能であり、やはり全ての原材料を良好に発酵させることは困難である。
そこで、本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、微生物を活性化するための余分な添加物を添加することなく、本来の原材料のみで良好に均一に発酵させることができ、且つその特徴成分に含まれる栄養素の体内への吸収効率が高く、なお且つ原材料の苦み・臭みが取れ、香り高くマイルドでほのかに甘い発酵食材を好適に製造することが出来る発酵食材の製造方法、及びお湯を注ぐだけで短時間に原材料特有の特徴成分を抽出することが出来る発酵健康茶や健康補助食品等の発酵食品を提供することである。
本願発明者は、原材料以外の余分な添加物を添加することなく、堅い原材料も微生物によって満遍なく十分均一に発酵させることにより、成分の抽出の妨げとなる堅い繊維質や組織が微生物の酵素によって分解され、原材料特有の特徴成分をお湯を注ぐだけで簡単に抽出することが出来るようになるのではないかと考え、鋭意研究した結果本願発明に到達した。
従って、本願発明では、堅い原材料を微生物によって満遍なく十分均一に発酵させるために、上記3種類の微生物を時間を空けて原材料に順次作用させて原材料を満遍なく十分均一に発酵させるようにした。その際、後述するように、原材料以外の余分な添加物を添加することなく、発酵源となる各微生物の発酵作用を十分に(最大限に)活性化するように、微生物の添加順を麹菌→乳酸菌→酵母菌として原材料を順次発酵させるようにした。つまり、麹菌が分泌する酵素が原材料に含まれるデンプン質及びタンパク質をグルコース(ブドウ糖)及びアミノ酸へ各々分解する。このブドウ糖は、次発酵工程の乳酸菌と酵母菌の増殖のエネルギー源(栄養源)となり、乳酸菌と酵母菌の発酵作用を十分に活性化し、その結果、麹菌が得意としない原材料の葉、茎、花の発酵が乳酸菌と酵母菌の発酵作用によって好適に成され、原材料全体を満遍なく十分均一に発酵させることが可能となる。更に、アミノ酸は菌糸の組織となる。一方、アミノ酸は食材(お茶)に旨みやコクを与え、ブドウ糖は甘味を与えるため、これらは原材料の苦みを除去し食材の風味の向上に重要な役割を果たしている。
他方、乳酸菌は、麹菌が産生したブドウ糖を分解して増殖する。乳酸菌はその分解過程で乳酸(有機酸)を作り出すため、培地の水素イオン濃度(pH)が酸性に傾き、次発酵工程の酵母菌が発育しやすい環境を形成する。また、この有機酸は腸内で大腸菌等の活性を抑制すると共に、ミネラルの吸収効率を高める働きがあり、人の健康増進に非常に有用である。従って、本願発明によって製造される発酵食材の人の健康増進に対する効能・効果もより向上するようになる。
他方、酵母菌は、麹菌が産生したブドウ糖をアルコールと炭酸ガスに分解する。このアルコールと乳酸菌の産生した有機酸が結合し、香り成分が作られる(エステル化)。これにより、原材料の臭みを除去し食材(お茶)に独特の香りを与える。
結果的に、上記3種類の微生物による原材料の発酵を上記発酵順とすることにより、麹菌が乳酸菌と酵母菌の栄養源(エネルギー源)となる糖を供給し、乳酸菌が酵母菌を活性化する水素イオン濃度に調整するというように微生物同士が相互に密接に連鎖しながら原材料の発酵が進行するようになり、原材料の全体を満遍なく十分均一に発酵させることが可能となる。加えて、上記発酵作用の代謝産物としてのアミノ酸、ブドウ糖、エステル化合物は、原材料の苦みや臭みを和らげ、発酵食材にコクや旨み、ほのかな甘味、香り等の独特の風味、香りを与えるようになる。また、乳酸はミネラルの体内への吸収効率を高める。
上述した通り、麹菌が分泌する酵素にはデンプン質(多糖類)をブドウ糖(単糖類)に加水分解する反応を活性化する作用がある。麹菌による原材料の発酵が十分進行したタイミングで麹菌の活動を停止させると(麹菌による酵素の分泌を停止させると)、デンプン質の加水分解反応が促進される方向に平衡が移動し、ブドウ糖が速やかに生成されようになる。このブドウ糖は次発酵の乳酸菌および酵母菌の栄養源となりその活動を活性化すると共に、発酵食材の苦みを和らげ、甘味を与えるようになる。
従って、上記発酵食材の製造方法では、麹菌による原材料の発酵が十分進行したタイミングで麹菌の活動を停止させることにより、次発酵の乳酸菌および酵母菌の栄養源となるブドウ糖の産生を促進し乳酸菌および酵母菌の活動を活性化すると共に、発酵食材の苦みを和らげ、甘味を与えるようにした。
上述した通り、麹菌が分泌する酵素にはデンプン質をブドウ糖に加水分解する反応を活性化する作用がある。従って、麹菌の酵素の産生能力(酵素力価)は高いとデンプンの加水分解反応がより促進され、その結果多くのブドウ糖が産生されるようになる。
そこで、上記発酵食材の製造方法では、糖を作る手助けをする酵素(アミラーゼ)の産生能力(酵素力価)が白麹菌や黒麹菌と比べて一段と高い「焼酎用黄麹菌」を選定して、乳酸菌および酵母菌の栄養源となるブドウ糖をより多く産生するようにした。
上記発酵食材は、上記3種類の微生物による原材料の発酵を上記発酵順とすることにより、原材料の全体を満遍なく十分均一に発酵させたものである。特に、この発酵により、上記発酵食材は原材料の堅い繊維質や組織が分解されて原材料特有の特徴成分が抽出しやすい状態にある。
また、上記麹菌および乳酸菌による原材料の発酵によって、上記発酵食材は、アミノ酸、糖類、乳酸およびミネラル類等の栄養素を豊富に含むようになる。このアミノ酸および糖類により発酵食材は苦みが取れ、コクや甘味を有するようになる。この乳酸はミネラルの体内への吸収効率を高める働きがある。
更に、上記乳酸菌および酵母菌による原材料の発酵によって、上記発酵食材は臭みが取れ、独特の香りを有するようになる。
従って、上記発酵食材を乾燥・焙煎することにより、お湯を注ぐだけで短時間に原材料特有の特徴成分を抽出することができ、且つその特徴成分に含まれる栄養素の体内への吸収効率が高く、なお且つ原材料の苦み・臭みが取れ、香り高くマイルドでほのかに甘い発酵健康茶として、或いは乾燥したものを焙煎することなく、顆粒、錠剤等に加工することにより、そのまま飲食できる人の健康増進・美容促進に有効な発酵健康補助食品(サプリメント)として提供することが出来るようになる。
(1)麹菌発酵工程、乳酸菌発酵工程、酵母菌発酵工程を順に行うことでそれぞれの菌が有する特性を効果的に活用して、従来均一な発酵が困難であった発酵条件が異なる複数種類の草根木皮が混在する原材料を、均一に効率的に発酵させることができる。
(2)発酵を促進するための添加物は一切使用しないので、添加物が残留することがなく原材料本来の風味が得られる。
(3)お湯を注ぐだけで短時間に原材料特有の特徴成分(人の健康増進に有効な機能性成分および生理活性成分)を抽出することができる発酵健康茶を得ることが出来る。
(4)麹菌発酵および糖化によって産生されるブドウ糖によって、原材料の苦みがとれて、マイルドでほのかに甘い味となる。
(5)麹菌発酵で産生されるアミノ酸によって旨みやコクを与える。
(6)乳酸菌発酵によって産生される乳酸菌は、ミネラルの吸収効率を高める。
(7)乳酸菌発酵によって産生される乳酸と、酵母菌発酵によって産生されるアルコールが結合すること(エステル化すること)によって、原材料の臭みが取れ、独特の香りを有するようになる。
(8)本発明による発酵健康茶は、原材料を細かく砕いていないので素材自身の独特の色・香り・風味を楽しむことが出来る。
(9)発酵食材を乾燥・焙煎することにより、従来の健康茶が敬遠される大きな原因であった原材料特有の苦みや臭みが取れ、香り高くまろやかでほのかに甘い発酵健康茶となる。
(10)発酵食材を顆粒、錠剤等に加工することにより、そのまま飲食できる健康増進・美容促進に有効な発酵健康補助食品(サプリメント)を得ることが出来る。
原材料として、例えば、生活習慣病の予防や改善に効果があるとされるエビスグサ、鎮静作用・催眠作用が有るとされるサネブトナツメ、糖尿病に効果があるとされるバンレイ、血液をサラサラにする効果があるとされるクチナシ、いぼ取り効果や美白作用効果があるとされるハトムギ、滋養強壮効果があるとされるオウセイ(ナルコユリ)、ホルモンバランスの維持に効果があるとされるヤマノイモ、肝機能の改善や抗酸化力に優れているとされるウコン(秋ウコン、春ウコン)、高血圧や糖尿病に効果があるとされるクマザサ、ポリフェノールが多く含まれているグァバ、余分な糖のブロックに効果があるとされるギムネマ、体調を整える効果があるとされるコフキダケ、抗血液凝固作用を有するとされるレイシ、健胃薬として用いられているヒキオコシ、脂肪の吸収を抑える作用があるウーロン、脂肪分解に優れているとされるプァール、50種類以上のサニポンが含まれているアマチャヅル、沖縄三大薬草のひとつで脂肪対策に効果があるとされるクミスクチン、体の石を追い出す作用があるとされているウラジロガシ、沈静効果があるとされるシソヨウ、血圧低下作用があるとされるクコヨウ、抗炎症作用・利尿作用・鎮吐作用があるとされるビワヨウ、利尿作用・動脈効果予防作用があるとされるドクダミ、緩和作用・止渇作用があるとされているカンゾウ、健胃作用があるとされるガジュツ、滋養強壮に優れているとされているゴカヒ、血行促進作用があるとされるベニバナ、発汗・発散作用・健胃作用があるとされるケイヒ等の漢方の生薬が好適に採用できる。しかしながら、本発明の健康食材の原料は上記のものに限るものではない。
このように、多種類の原料のうち、主に根や皮には体を温める性質(陽)があり、葉や実には体を冷やす性質(陰)があり、この陽と陰のバランスをとることによって中庸にし、体が冷え易い体質でも火照りやすい体質の人にも良好に飲食できる健康食品が得られる。
上記原料全部を用いることによって、それらの原料がもつ作用の相乗効果が期待できるが、例えば、上記原料のうち、エビスグサ、サネブトナツメ、バンレイ、クチナシ、ハトムギ、オウセイ、ヤマノイモ、秋ウコン、春ウコンの9種類を採用してもバランスの取れた従来にない良好な健康発酵茶を得ることができる。
麹菌の添加量は、焼酎用黄麹菌の場合、原材料の0.015〜0.09重量%(以下、特に区別しない限り、%は重量%である。)の範囲が望ましい。添加量が0.015%より少ないと、活性化が弱く他の雑菌が混じって原材料が汚染されるおそれがあり、添加量が0.09%より多いと、原材料はそれ以上発酵しないので発酵効率上好ましくないからである。また、雰囲気温度は32〜37℃で、湿度は70〜80%であることが望ましい。また、発酵時間は原材料の種類によって異なるが、1日〜4日が望ましい。
この発酵健康茶の製造方法200は、本発明の上記製造方法100をお湯を注いで飲まれる抽出タイプの発酵健康茶(キザミ)の製法に適用した場合の実施例である。
本実施例における発酵健康茶(キザミ)の原材料は、それぞれ乾燥したエビスグサ、サネブトナツメ、バンレイ、クチナシ、ハトムギ、オウセイ、ヤマノイモ、秋ウコン、春ウコン、クマザサ、グァバ、ギムネマ、コフキダケ、レイシ、ヒキオコシ、ウーロン、プァール、アマチャヅル、クミスクチン、ウラジロガシ、シソヨウ、クコヨウ、ビワヨウ、ドクダミ、カンゾウ、ガジュツ、ゴカヒ、ベニバナ、ケイヒの29種類を用いた。
麹菌発酵工程で黄麹菌を活動温度の32〜37℃で3日間、原材料に生育させると、原材料全体に麹菌が繁殖するようになる。このタイミングで60℃まで温度を上げると、麹菌が活動を休止し、加水分解反応が促進され、速やかに糖が作られる。作られた糖は、乳酸菌および酵母菌の増殖の栄養源となる。この糖化は60℃の環境下に10時間置くと完了する。この糖化のおかげで、糖蜜や米ぬか等を補給せずに上記原材料のみで乳酸菌および酵母菌による発酵が可能となる。また、余った糖はお茶に甘味を与える。
添加する量は、上記原材料の0.1%である。また、添加する乳酸菌としては、例えば、味噌製麹用乳酸菌スターター(Lactococcus lactissubsp.lactis)を使用した。
乳酸菌は、麹菌が産生したブドウ糖を分解して増殖する。その過程で乳酸(有機酸)を作り出すため、pHが酸性に傾き、酵母菌が発育しやすい環境を形成する。また、この乳酸は人体にも有用成分で、ミネラルの吸収効率を高めるため、お茶の効能効果も向上する。更に、この乳酸はステップS8においてアルコールと結合して香りの成分を作り出す(エステル化)。
添加する量は、上記原材料の0.1%とした。また、添加する酵母菌は、米由来の酵母菌と麹菌を小麦粉に自然培養させたもの(Saccharomycescerevisiae)を採用した。
酵母菌は、麹菌が産生したブドウ類を分解して増殖する。その過程で、ブドウ糖をアルコールと炭酸ガスに分解する。このアルコールと乳酸菌が産生した乳酸が結合して、香り成分が作られる(エステル化)。これにより、原材料の臭みが取れ、お茶に香りが与えられる。なお、乳酸菌と酵母菌は共生できるため、同時に入れて発酵させることも可能であるが、乳酸菌を先に添加して乳酸を産生させておくことで、エステル化がよりスムーズに進行する。
この発酵健康補助食品(粒)の製造方法300は、顆粒または錠剤等のいわゆるサプリメントタイプの発酵健康補助食品を製造する製法である。この発酵健康補助食品(粒)の製造方法300は、その基本的な構成については、上記発酵健康茶(キザミ)の製造方法200と同じであるが、この場合は焙煎工程を省き、乾燥工程後の三次発酵物を粉砕する粉砕工程(ステップS11)および、粉砕した食材を所定の形状に成形する打錠工程(ステップS12)が別途追加されている。打錠工程においても本発明では賦形剤や結合剤等の添加物を一切添加することなく、高圧によって打錠して良好な錠剤を得ることができた。なお、粉砕したものを顆粒状にすることもできる。
上記焙煎をしないサプリメントの製造工程において、乳酸菌発酵工程(ステップS6)において発酵時間が5日間とより長めに設定されている。同様に、酵母菌発酵工程(ステップS8)において発酵時間も2日間とより長めに設定して、発酵度をより高めた。
この表から分かる通り、実施例1の発酵健康茶は殆ど全栄養成分において比較例1の健康茶を上回っている。特に、比較例1の健康茶では検出されない栄養成分が実施例1の発酵健康茶には好適に含まれていることは注目すべきである。
この写真は、本発明の実施例1の発酵健康茶のキザミ3gに熱湯100ccを注ぎ、3分間蒸らして冷ました液を、植物(植物名:ケール)の苗木に2ヶ月間1日1回宛与えた時の栽培状況を示すものである(図4(a))。また、比較例として同種の苗木に実施例1と同様に比較例1の健康茶を同一条件で与えた時の栽培状況も併せて示した(図4(b))。
なお、上記栽培において、肥料を全く含まない土を使用し、栽培期間(2ヶ月)を通して肥料を一切与えなかった。更に、鉢の底から伸びた根が土の栄養を摂らないように、各鉢を地面から嵩上げされた状態に置いた。
この写真から明らかなように、実施例1の茶を与えた場合と比較例1の茶を与えた場合のケールの成長度合いに明らかな差があり、本発明の上記発酵健康茶(キザミ)は、植物の生長にも効果があることは明らかであり、このことから人の健康増進にも効果があると考えられる。
実施例1と同様な原料を基に、実施例1のステップS1からステップS3、4を経ないでステップS5−ステップS10を行った。即ち麹菌発酵工程がなくて、乳酸菌発酵工程及び酵母菌発酵工程のみの発酵工程で発酵茶を製造した。
実施例1と同様な原料を基に、実施例1におけるステップS4(糖化処理工程)を省いて、麹菌発酵工程、乳酸菌発酵工程及び酵母菌発酵工程を経て発酵茶を製造した。即ち、麹菌発酵工程後、すぐに乳酸菌発酵工程、その後酵母菌発酵工程を経て発酵茶を製造した。
実施例1と同様な原料を基に、ステップS2において、実施例1との同様な量の焼酎用黄麹菌、乳酸菌、酵母菌を略同時に投入して、48時間培養して発酵茶を製造した。
(1)糖化処理のメリットについて
a.複数の原料をブレンドしたものでも、均一に発酵できる。
図5の線図に示す実施例から分かるように、麹菌発酵後に糖化させると、pH値が下がり酸性に傾く。これにより弱酸性で増殖する乳酸菌の活動環境を整えることができ、偏りが無く均一に発酵が進行する。本発明の実施例のように複数の素材をブレンドした原料を発酵させる場合、通常はデンプン質の多い豆・芋類に比べ、葉・茎類の発酵スピードが遅いのに対し、糖化処理をしてpHを酸性に傾けると、乳酸菌の分解能が促進され、葉・茎類であっても短時間かつ均一に発酵を進行・完了させることができる。これは、糖化を省略する以外は実施例1と同条件の比較例3の発酵完了後のpH値が実施例1と比べて高いことからも分かる。
b.お茶に甘味とコクを与える(ただ発酵させるだけではなく、発酵臭さのない美味しい発酵茶を作る)。
表4に示すように、官能検査結果より、比較例2〜4は甘味の評価が実施例1と比べて特段に低い。これは、糖化させないことにより、麹菌酵素による加水分解が不完全となり、甘味の素となるデキストリンやグルコース(ブドウ糖)の生成が少なく、乳酸菌や酵母菌は、このわずかに生成したブドウ糖から、酸味の素となる有機酸を合成するため、甘味が無く酸味が残るためである。これは、比較例3の分析結果でアミノ酸量が少なく、乳酸量が極端に多いことからも裏づけられる。また、発酵が不十分なため、旨味やコクの素となるペプチド、アミノ酸などの生成も少なく、「苦味やクセがありコクの無い」発酵茶しか得られない。
(2)麹菌、乳酸菌、酵母菌を順序良く入れるメリットについて
麹菌の酵素が触媒の役割をして進行する加水分解で生成したブドウ糖を、まずは乳酸菌、次いで酵母菌が有機酸へ合成するプロセスで発酵が進行するため、3種類の発酵菌を加えるタイミング・順序を変えると、アミノ酸、ブドウ糖、有機酸の生成がスムーズに運ばず、有効成分や風味の両方においてバランスのとれた発酵茶にならない。これは、比較例2、4の成分分析結果と官能検査結果でも証明された。
更に、本発明に係る上記発酵食材は、抽出のために原材料を細かく粉砕する必要は特にないため、原材料の色、模様、形、風味等を損なわない適当な大きさにカットすることが可能となり、購買者に安心感を与えることが出来る。これにより、購買者は原材料の色、模様、形、風味等を堪能することが出来る。
また、上記発酵食材は、人の健康増進・美容促進に有効な成分を豊富に含むため、上記発酵食材を顆粒、錠剤等に加工することにより、そのまま飲食できる人の健康増進・美容促進に有効な発酵健康補助食品(サプリメント)として提供することが出来る。
200 発酵健康茶(キザミ)の製造方法
300 発酵健康補助食品(サプリメント)の製造方法
Claims (6)
- 原材料を微生物によって発酵させる発酵食材の製造方法であって、複数種の植物片を混合してなる原材料を前処理後に麹菌を添加して麹菌発酵させる麹菌発酵工程、次いで乳酸菌を添加して乳酸菌発酵させる乳酸菌発酵工程、さらに酵母菌を添加して酵母菌発酵させる酵母菌発酵工程を順に有することを特徴とする発酵食材の製造方法。
- 前記発酵工程の後に、前記麹菌の活動を休止させ多糖類から単糖類への加水分解反応を促進させる糖化処理工程を有する請求項1に記載の発酵食材の製造方法。
- 前記麹菌は焼酎用黄麹菌である請求項1又は2に記載の発酵食材の製造方法。
- 前記請求項1から3に記載の製造方法によって生成された発酵食材を乾燥・焙煎して作られることを特徴とする発酵食品。
- 前記発酵食品が発酵健康茶である請求項4に記載の発酵食品。
- 前記発酵食品が前記発酵食材を乾燥・焙煎後粉砕して粉末にしてなる又は該粉末を打錠してなる健康補助食品である請求項4に記載の発酵食品。
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